JP2018072283A - プローブ針及び絶縁性皮膜付プローブ針製造方法 - Google Patents

プローブ針及び絶縁性皮膜付プローブ針製造方法 Download PDF

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恭史 瀬上
中村 弘幸
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大輔 宮本
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諭 西田
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Abstract

【課題】プローブ針において、高価な装置を用いずに密着性に優れる絶縁性皮膜を設けることである。
【解決手段】プローブ針10は、針材を先端側から所定の針先端長のところで所定の角度で曲げて形成されるプローブ針10であって、針材の先端側でない端部側を根元側として、針材の先端側から測って、所定の針先端長Aに所定の酸化処理余裕長さBを加えた長さである酸化膜領域長さCよりも根元側の部分には酸化膜が形成されない根元部分12と、酸化膜領域長さCに酸化膜が形成される先端側の先端部分14とを有し、針材の接触先端面は酸化膜が除去されている平坦面16である。針材は、貴金属材料または貴金属合金材料で構成されてもよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、プローブ針及び絶縁性皮膜付プローブ針製造方法に係り、特に電気特性測定用のプローブカードに用いられるプローブ針及び絶縁性皮膜付プローブ針製造方法に関する。
例えば、LSIや電子デバイスの特性を測定するプローバ装置に用いられるプローブカードには、多数のプローブ針が互いに絶縁分離されて配置される。LSIや電子デバイス等の微細化によりプローブ針の先端部が接触する測定パッドの面積が小さくなり、測定パッド間のピッチ間隔が狭くなるにつれ、プローブ針も細径化し、さらに複数のプローブ針について千鳥配置や階層配置等が用いられる。これにより、隣接するプローブ針の間の接触による短絡等が生じる恐れがあり、それを検知するために、隣接プローブ針接触判定が行われ、隣接プローブ接触が生じたと判定されると、プローバ装置の動作が停止される。
特許文献1には、プローブカードに設置されたプローブ針の摩耗に対する補修等が容易な表面処理方法として、プローブ針の接触先端のみに耐摩耗性、導電性の皮膜をコーティングにより施して、摩耗が導電性の皮膜にのみ生じるようにする構成が開示されている。導電性の皮膜が摩耗したときは、先端の導電性皮膜を研摩し、導電性の皮膜を再度コーティングすることで再使用可能とする。
さらに、プローブ針間隔が狭くなることによる電磁干渉や、異物がプローブ針との間に落ちたときのショート発生等を防ぐために、プローブ針接触先端よりも根元側に絶縁性の皮膜をコーティングし、プローブ針接触先端には導電性の皮膜をコーティングすることが述べられている。この場合も、導電性皮膜を設けたプローブ針の先端が摩耗しても補修等が容易となる。
コーティング方法としては、電解メッキ法、無電解メッキ法が用いられる。無電解メッキ法としては、物理気相堆積法に属する真空スパッタリング法、真空蒸着法、イオンビーム法、化学気相堆積法に属する大気圧化学気相堆積法、低圧化学気相堆積法、プラズマ強化化学気相堆積法が挙げられている。プローブ針は、タングステン、タングステン合金からなる導電性を有する材料からなる。コーティングされる材料としては、金属、合金、酸化物、硼化物、炭化物、フッ化物、窒化物、珪化物、硫化物、テルル化物が挙げられている。
特開2007−171078号公報
堆積法によりプローブ針の表面に設けられる絶縁性皮膜は、針材本体と絶縁性皮膜との間の密着性が十分でない。また、物理気相堆積法や化学気相堆積法に用いられる装置は高価で、プローブ針のコストアップの要因になる。
本発明の目的は、密着性に優れる絶縁性皮膜を有するプローブ針を提供することである。他の目的は、高価な装置を用いずに密着性に優れる絶縁性皮膜付プローブ針の製造方法を提供することである。以下の手段は、これらの目的の少なくとも1つに貢献する。
本発明に係るプローブ針は、針材を先端側から所定の針先端長のところで所定の角度で曲げて形成されるプローブ針であって、針材は、所定の針先端長の部分を含む先端部分が針材を酸化して針材の内部と表面にまたがって成長した酸化膜で覆われていることを特徴とする。
本発明に係るプローブ針において、針材の先端側でない端部側を根元側として、針材の先端側から測って、所定の針先端長に所定の酸化処理余裕長さを加えた長さである酸化膜領域長さよりも根元側の部分には酸化膜が形成されず、針材の接触先端面は酸化膜が除去されることが好ましい。
本発明に係るプローブ針において、酸化膜は、硫黄成分を含まないことが好ましい。
本発明に係るプローブ針において、酸化膜で覆われている部分を酸化膜で覆われていない針材に接触させたときの抵抗値が所定の隣接プローブ針接触判定値よりも高い値を有することが好ましい。
本発明に係るプローブ針において、針材は、貴金属材料または貴金属合金材料で構成されることが好ましい。
本発明に係る絶縁性皮膜付プローブ針製造方法は、硫黄成分を含まない電解液で満たされる電解酸化浴を準備し、針材の先端側から測って所定の酸化膜領域長さの部分を電解酸化浴に浸漬し、電解酸化浴液に浸漬した一方側電極板と針材との間に所定の電解酸化電圧を所定の時間印加して酸化処理し、酸化処理後の針材を洗浄し、針材の接触先端面の酸化膜を除去することを特徴とする。
上記構成によるプローブ針は、先端部分が針材を酸化して針材の内部と表面にまたがって成長した酸化膜で覆われているので、堆積法によるコーティング膜に比べ、密着性に優れる絶縁性皮膜を有するプローブ針となる。
また、プローブ針において、針材の先端側から測って所定の酸化膜領域長さの部分のみに酸化膜が形成され、接触先端面は酸化膜が除去されるので、測定パッドとの電気的接触に支障がなく、また、根元側の電気的接続にも支障がない。
また、プローブ針において、酸化膜は硫黄成分を含まないので、測定対象物やプローブカード等において硫黄成分による腐食問題が生じない。
また、プローブ針において、酸化膜で覆われている部分を酸化膜で覆われていない針材に接触させたときの抵抗値が所定の隣接プローブ針接触判定値よりも高い値を有するので、仮に、導電性異物等によって隣接するプローブ針の間が機械的に接触しても、プローバ装置の動作が停止することがない。
また、プローブ針において、針材は、貴金属材料または貴金属合金材料で構成されるので、例えば、金の測定パッドの場合等に用いられる貴金属針材にも適用が可能となる。
また、本発明に係る絶縁性皮膜付プローブ針製造方法は、硫黄成分を含まない電解液で満たされる電解酸化浴を準備し、針材の先端側から測って所定の酸化膜領域長さの部分を電解酸化浴に浸漬し、電解酸化浴液に浸漬した一方側電極板と針材との間に所定の電解酸化電圧を所定の時間印加して酸化処理し、酸化処理後の針材を洗浄し、針材の接触先端面の酸化膜を除去する。電解酸化浴は、高価な物理気相堆積法や化学気相堆積法に用いられる装置よりも安価で済むので、コストアップを抑制して、密着性に優れる絶縁性皮膜付プローブ針を製造することができる。
本発明に係る実施の形態のプローブ針の構成等を示す図である。図1(a)は、プローブ針の側面図であり、(b)は、先端が曲げられていない素材の針材を示す図であり、(c)は、先端部分の断面図であり、(d)は、針材の中心部の材料分析スペクトル図であり、(e)は、酸化膜部分の材料分析スペクトル図であり、(f)は、(d)に基づいて求めた元素構成図であり、(g)は、(e)に基づいて求めた元素構成図である。 本発明に係る実施の形態の絶縁性皮膜付プローブ針の製造方法の手順を示すフローチャートである。 図2に用いられる電解酸化浴を含む陽極酸化装置の構成図である。 図3において、電解酸化浴へのプローブ針の浸漬法を示す図である。図4(a)は、真直ぐな針材のプローブ針を酸化する場合を示す図で、(b)は、先端が曲げられた針材のプローブ針を酸化する場合を示す図である。 図3の電解酸化浴における印加電圧を示す図で、図5(a)は、一律電圧印加法を示す図で、(b)は段階的電圧印加法を示す図で、(c)は、パルス状電圧印加法を示す図である。 本発明に係る実施の形態のプローブ針における隣接プローブ針接触判定法を示す図である。 本発明に係る実施の形態のプローブ針をプローブカードに取り付けた例を示す図である。図7(a)は、上面図であり、(b)は、(a)の先端側の拡大図である。 本発明に係る実施の形態のプローブ針の作用効果を示す図である。図8(a)は、従来技術のプローブ針の問題点を示す図で、(b)は(a)の先端側の拡大図であり、(c)は、図1の構成のプローブ針を用いたときに(a)の問題が生じないことを示す図である。
以下に図面を用いて、本発明に係る実施の形態について詳細に説明する。以下では、針材の材質として、貴金属材料の三元合金を述べるが、これは説明のための例示であって、1つの貴金属材料で構成されていてもよく、三元以外の合金であってもよい。あるいは、酸化膜が形成できる材質であれば、貴金属材料以外の材質であってもよい。
以下に述べる個数、形状、寸法、材質等は、説明のための例示であって、プローブ針の仕様や、プローブ針を用いるプローブカード等の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明に係る実施の形態のプローブ針の構成等を示す図である。図1(a)は、プローブ針10の側面図であり、(b)は、先端が曲げられていない素材の針材11を示す図である。(c)は、先端部分の断面図である。(d)は、針材の中心部の材料分析スペクトル図であり、(e)は、酸化膜部分の材料分析スペクトル図である。(f)は、(d)に基づいて求めた元素構成図であり、(g)は、(e)に基づいて求めた元素構成図である。
図1(a)に示されるプローブ針10は、プローブ針10の接触対象である測定パッドが微細ピッチで配列されるときに、隣接するプローブ針10の間で導電性異物等を介して仮に機械的に接触しても、電気的に短絡しないように設計されたものである。
プローブ針10は、(b)に示される素材の針材11を先端側から所定の針先端長Aのところで所定の傾斜角度θで曲げた形状を有する。さらに、プローブ針10は、素材の針材11の先端側から測って、所定の針先端長Aに所定の酸化処理余裕長さBを加えた長さである酸化膜領域長さCの部分に酸化処理が施され、素材の針材11の内部と表面にまたがって成長した酸化膜で覆われている。針先端長Aと酸化処理余裕長さBの境界は、プローブ針10の折れ曲がり点Xである。図1(a),(b)に、先端側の方向と根元側の方向を示した。
すなわち、プローブ針10は、表面が素材の針材11の材料と同じ根元部分12と、酸化膜で覆われた先端部分14で構成される。
素材の針材11は、根元側において一様の外形DΦを有する一様外径部13と、先端側から測ってTの長さの部分において所定のテーパ角度αを有し先端で直径dΦとなる先細のテーパ部15とで構成される。テーパ部15の先端は、直径dΦの平坦面16で、平坦面は、プローブ針10の測定対象である測定パッドに接触する先端接触面である。一様外径部13の根元側端部は、プローブ針10が取り付けられるプローブカードの接続端子に接続される端子接続部である。
プローブ針10の接触対象である測定パッドが金または金を含む合金等の材質であるときは、素材の針材11の材質としては、貴金属材料または貴金属合金材料を用いることが好ましい。その場合、素材の針材11の材質である貴金属材料または貴金属合金を構成する構成材料としては、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)が用いられる。これら以外の構成材料であっても、酸化によって形成された酸化膜が絶縁性皮膜となる材料であれば構わない。以下では、プローブ針10の接触対象である測定パッドが金または金を含む合金等の材質であるときに用いられる貴金属針として、上記4つの貴金属材料のうちの3つの材料の合金である貴金属三元合金を用いる場合について述べる。
寸法の一例を上げると、外径DΦは、約50μm〜約150μm、直径dΦは、約10μm〜約30μm、テーパ部15の長さTは、約0.5mm〜約2.0mm、テーパ角度αは、約2°〜約4°、針先端長Aは、約250μm〜約500μ、傾斜角度θは、約5°〜約15°、酸化膜領域長さCは、テーパ部15の長さTとほぼ同じ程度である。
例えば、測定パッドが一列に35μmで配列されるときは、上記の寸法形状のプローブ針10の複数個を一列に配列すると互いに干渉する。そこで、後述する図7に示すように、複数のプローブ針10について針先端長Aを複数段階に変えて、高さ方向に複数層構造とする。針先端長Aの範囲が広いのは、測定パッドが微細配列されるときに対応して、複数層構造でプローブ針10を配列できるようにするためで、寸法精度の大きなばらつきを許容するものではない。
図1(c)は、プローブ針10の先端部分14の断面図である。図1(c)には、外径DΦの輪郭線を一点鎖線で示した。先端部分14は、素材の針材11の内部の材質部分20と、その材質部分20が酸化されて、外径DΦの輪郭線よりも内径側と表面側にまたがって成長した絶縁性皮膜である酸化膜部分22で構成される。酸化膜部分22の厚さは図1(c)の例で約1μmである。酸化膜部分22の厚さとその絶縁性能は、後述する所定の隣接プローブ針接触判定値以上の抵抗値を有するように設定される。
図1(d),(e)は、材質部分20と酸化膜部分22について蛍光X線分析法を用いた材料分析スペクトル図で、横軸がkeVで表した蛍光X線のエネルギ、縦軸が蛍光X線の強度である。図1(d)が材質部分20のスペクトル図で、E,F,Gが貴金属三元合金を構成する3つの貴金属元素である。図1(e)が酸化膜部分22のスペクトル図で、E,F,Gが貴金属三元合金を構成する3つの貴金属元素で、Oが酸素である。図1(d),(e)を比較すると、材質部分20では酸素が検出されないが、酸化膜部分22では酸素が検出されることが分かる。
図1(f),(g)は、図1(d),(e)のスペクトル図に基づいて、各元素の構成割合を算出し、円グラフで示したものである。図1(f)が材質部分20の元素構成図で、E,F,Gの三元素が検出されたことが示される。図1(g)は酸化膜部分22の元素構成図で、E,F,Gの三元素と共に酸素が検出され、これらはほぼ同じ元素数割合であることが示される。このことから、酸化膜部分22は、材質部分20の三元素が酸化し、酸化膜となったことが分かる。
このように、酸化膜部分22は、材質部分20の元素を酸化して形成されたものであるので、材質部分20から酸化膜部分22に渡って元素構成が連続的に変化しており、したがって、酸化膜部分22は、堆積法によって形成された酸化物に比較して、材質部分20との密着性が良い。
図2は、かかる酸化膜付のプローブ針10の製造方法の手順を示すフローチャートである。初めに、納入針が準備される(S10)。納入針とは、酸化膜工程に持ち込まれる針材で、まだ酸化膜が形成されていない針材である。納入針の形態としては、図1(b)の素材の針材11のように、真直ぐな針材でもよく、予め先端側が曲げられている針材でもよい。納入針は、必要に応じ、適当に洗浄と乾燥が行われ、表面の異物等が除去される。
次に、電解酸化浴が準備される(S12)。電解酸化浴とは、納入針に陽極酸化を行うための電解液が満たされ、正極端子と負極端子を有する陽極酸化槽である。図3に、電解酸化浴40を含む陽極酸化装置30を示す。
陽極酸化装置30は、ウオータバス32と、ウオータバス32に満たされる冷却用媒体34と、冷却用媒体34の温度調整を行う温度制御部36と、陽極酸化の条件である電圧、電流、印加時間を制御する電源部38と、冷却用媒体34に浸漬される電解酸化浴40を含んで構成される。冷却用媒体34としては水が用いられる。
電解酸化浴40は、底部を有する容器である浴本体42と、浴本体42に満たされる電解液44と、複数の納入針28を位置決めして浴本体42側に固定する導電性の針固定治具46と、電解液44に浸漬される陰極端子48と、針固定治具46に電気的に接続される陽極端子50と、陰極端子48と電源部38を接続するマイナス側ケーブル52と、陽極端子50と電源部38を接続するプラス側ケーブル54とを含んで構成される。
電解液44は、これに浸漬された2つの導電材料の間に電圧を印加して所定の電流密度で電流を流すことで、陽極側の導電材料を酸化できる液体である。かかる電解液44としては、硫酸液、蓚酸液、硼酸アンモニウム液を用いることができる。硫酸液を用いるときは、酸化膜に硫黄成分を含み、プローブ針10の酸化膜としては、プローブカード等を損傷する可能性がある。蓚酸液を用いるときは、硫酸液で形成された酸化膜に比べて耐摩耗性が良好で硬い膜が得られる。硼酸アンモニウム液を用いるときは、硫酸液、蓚酸液で形成された酸化膜に比べて、より緻密で絶縁性が良好な膜が得られる。
そこで、電解液としては硼酸アンモニウム液を用いることが好ましい。硼酸アンモニウムの化学式は、(NH42O・5B23・8H2で示される。陽極酸化条件の一例を述べると、硼酸アンモニウム液は、約1〜10質量%の濃度の水溶液、温度は、約5℃〜約20℃、電流密度は、約0.1A/dm2、電圧は、約1V〜約100Vである。
再び図2に戻り、電解酸化浴が準備されると、つぎに、納入針28の酸化処理(S14)が行われる。納入針28の酸化処理は、納入針28を、針固定治具46を用いて固定し、その状態で先端側を電解液44に浸漬し、納入針28側を陽極端子50側に電気的に接続し、電解液44に陰極端子48を浸漬する。そして、陰極端子48に接続されるマイナス側ケーブル52と陽極端子50に接続されるプラス側ケーブル54の間に所定の電圧を印加し、納入針28側から陰極端子48側に所定の電流密度で酸化用電流を流す。これによって、納入針28の電解液44に浸漬された部分に酸化膜が形成される。
図4は、複数の納入針28の電解液44への浸漬の2つの例を示す図である。図4(a)は、真直ぐな納入針28の場合である。納入針28の電解液44への浸漬深さは、図1で示した酸化膜領域長さCに設定される。図4(b)は、図1のプローブ針10のように先端側が曲げられた形状でまだ酸化膜が形成されていない納入針29の場合である。納入針29の電解液44への浸漬深さは、中心線に沿って測ると酸化膜領域長さCであるが、先端側が曲がっているため、電解液44の液面からの浸漬深さの設定がやや難しい。そこで、この場合は、酸化処理余裕長さBを用い、電解液44の液面から納入針29の折れ曲がり点Xまでの浸漬深さを、酸化処理余裕長さBに設定する。
図5は、電解酸化浴における印加電圧を示す図で、図5(a)は、一律の電圧V1を印加する方法を示す図である。時間は、酸化膜の厚さが約1μmとなるように、予め先行実験で求めておくことができる。(b)は、電圧V1を所定時間印加してある程度酸化膜が形成された時点で電圧をV1からV2に上げる段階的電圧印加法を示す図である。(b)は、(a)に比較して、短時間で所望の酸化膜厚を得ることができる。(c)は、電圧V3を時間幅t3でパルス状に印加する方法を示す図である。(c)では1つのパルス印加を示すが、必要に応じパルス数を増加させてもよい。V1,V2の印加時間、パルス幅時間t3、V1,V2,V3の電圧値等は、予め先行実験で求めておくことができる。
陽極酸化条件で、酸化膜の酸化膜厚と酸化膜の絶縁特性が決まる。所望の酸化膜の厚さ、絶縁特性は、プローブ針10の抵抗値が隣接するプローブ針の間の接触を検知するための隣接プローブ針接触判定値よりも高くなるように設定される。過剰の酸化膜厚や過剰な絶縁性能は特に必要としない。
図6は、プローブ針10における隣接プローブ針接触判定法を示す図である。ここでは、評価対象のプローブ針10に対し、酸化膜が形成されていない素材の針材11を接触させ、プローブ針10と素材の針材11との間の抵抗値を測定する。接触の程度は、適当に押し付ける程度でよい。押付圧は、例えば、数gとできる。抵抗値は、隣接プローブ針接触判定値を超える値であればよい。所定の隣接プローブ針接触判定値は、隣接プローブ接触が生じたと判定されてプローバ装置の動作が停止される規格値を用いることができる。その規格値は、プローバ装置によって異なるが、1kΩから10kΩ程度である。そこで、最終検査において、100kΩ以上を合格とする。実際のライン検査では、誤差を考慮して、1MΩ以上を合格値とすることが好ましい。
再び図2に戻り、酸化処理が終了すると、酸化処理された納入針28,29の先端側が電解液44から引き上げられ、洗浄処理と乾燥処理が行われる(S16)。洗浄処理は、納入針28,29の先端側を流水で流し洗いする。乾燥処理は、温風乾燥機等を用いて行う。このようにして、酸化された状態のプローブ針10が得られるが、プローブ針10の接触平坦面も酸化膜が形成されたままである。そこで、プローブカードに複数のプローブ針をプローブカードの仕様で定まる所定の配置関係で配置して組み込み(S18)、その状態で、各プローブ針10の接触先端面の酸化膜を研摩等によって除去し、図1(c)で説明した材質部分20を露出させる(S20)。プローブカードに組み込んで複数のプローブ針10の接触先端面を一括して研摩するのは、工数を抑制し、各プローブ針10の接触先端面を同一平面とするためである。研摩工程は、接触先端面を平坦に研摩して材質部分20を露出させるだけで、プローブ針10の先端側の側面は研摩せず、接触先端面以外の側面に酸化膜部分22が残されたままとする。
図7は、図1で説明したプローブ針10を複数個、プローブカードに配置したときを示す図である。図7(a)は、8本のプローブ針10を配置したときの上面図で、(b)は先端部分の拡大図である。(b)に示すように、8本のプローブ針10の接触先端面は、二列に千鳥状に密に配置される。この例では、二列の間の間隔がS1で、各列の隣接する接触先端面の間の間隔がS2である。二列の各列の4本の針先端長さは同じであるが、列の間では異なる針先端長さに設定される。すなわち、針先端長さがA1の列と、針先端長さがA2の列がある。そして、針先端長さがA1の列の隣接する接触先端面の間隔の中間の位置に、針先端長さがA1の列の各プローブ針10の接触先端面が来るように配置される。これにより、8本のプローブ針10の接触先端面は、全体として千鳥状に配置される。千鳥状の配置間隔は、S2方向に沿って(S2/2)で、千鳥状に隣接する接触先端面の間の2次元的間隔は、{S1 2+(S2/2)21/2である。寸法の一例を上げると、(S2/2)=35μmである。これだけ密に配置すると、隣接するプローブ針10のテーパ部15のどこかで互いに機械的に接触することが生じる。そこで、図7(a),(b)に示すように、複数のプローブ針10について、針先端長Aを複数段階に変えて高さ方向に複数層構造とする。各プローブ針10の先端側は酸化膜で覆われているので、仮に導電性異物等で、隣接するプローブ針10の間が機械的に接触しても、電気的に短絡することがない。
図8は、プローブ針10の作用効果について、酸化膜で覆われていない従来技術のプローブ針と比較して示す図である。図8にはICチップ60の測定の一場面が示されている。ICチップ60は、材質が金の測定パッド62を有する。プローブ針10の接触先端面である平坦面16は、材質が金の測定パッド62に適当な接触圧で押し付けられ、測定のための所定の電圧等が印加されてICチップ60の測定が行われる。
図8(a)は、従来技術のプローブ針として、図1の素材の針材11の先端側を曲げたプローブ針における問題点を示す図である。(b)は先端側の拡大図である。ここでは、素材の針材11の接触先端面である平坦面16が金の測定パッド62に接触する。金の測定パッド62は柔らかく、素材の針材11の平坦面16が接触して接触圧で加圧されることで部分的に削られ、それが素材の針材11の平坦面16に付着する。測定が繰り返されるうちに、素材の針材11の平坦面16に付着した金の削りくずが次第に大きくなり、かなりの長さに延びた削りくず70となる。この削りくず70が隣接するもう1つの素材の針材11に接触すると、隣接する素材の針材11が電気的に短絡し、所定の隣接プローブ針接触判定値を下回る抵抗値となると、プローバ装置が停止する。
図8(c)は、図1のプローブ針10を用いた場合を示す図である。この場合でも、プローブ針10の平坦面16には、長く伸びた削りくず70が付着する。この削りくず70が隣接するもう1つのプローブ針10に接触しても、プローブ針10の先端部分14は酸化膜で覆われているので、削りくず70を介しての隣接するプローブ針10の間の接触は機械的接触で済み、所定の隣接プローブ針接触判定値を下回る抵抗値となるような電気的短絡には至らない。したがって、このことによるプローバ装置の停止が生じない。
図8では、金パッドと貴金属針材のプローブ針の組み合わせにおける削りくず70の例を述べたが、これ以外でも、特許文献1で述べられているように、導電性の異物が隣接するプローブ針の間に落ちた場合でも、従来のプローブ針では同様の問題が発生する。従来のプローブ針に堆積法で絶縁性皮膜を設ける場合でも、堆積法による絶縁性皮膜の針材に対する密着力は弱いので、その絶縁性皮膜が剥離すると、同様の問題が生じ得る。図1の酸化膜付のプローブ針10は、針材の材質から成長した酸化膜で覆われているので、密着性に問題が生じることがない。
10 プローブ針、11 素材の針材、12 根元部分、13 一様外径部、14 先端部分、15 テーパ部、16 平坦面(接触先端面)、20 材質部分、22 酸化膜部分、28,29 納入針、30 陽極酸化装置、32 ウオータバス、34 冷却用媒体、36 温度制御部、38 電源部、40 電解酸化浴、42 浴本体、44 電解液、46 針固定治具、48 陰極端子、50 陽極端子、52 マイナス側ケーブル、54 プラス側ケーブル、60 ICチップ、62 測定パッド、70 削りくず。

Claims (6)

  1. 針材を先端側から所定の針先端長のところで所定の角度で曲げて形成されるプローブ針であって、
    針材は、
    所定の針先端長の部分を含む先端部分が針材を酸化して針材の内部と表面にまたがって成長した酸化膜で覆われていることを特徴とするプローブ針。
  2. 請求項1に記載のプローブ針において、
    針材の先端側でない端部側を根元側として、針材の先端側から測って、所定の針先端長に所定の酸化処理余裕長さを加えた長さである酸化膜領域長さよりも根元側の部分には酸化膜が形成されず、
    針材の接触先端面は酸化膜が除去されていることを特徴とするプローブ針。
  3. 請求項1に記載のプローブ針において、
    酸化膜は、硫黄成分を含まないことを特徴とするプローブ針。
  4. 請求項1に記載のプローブ針において、
    酸化膜で覆われている部分を酸化膜で覆われていない針材に接触させたときの抵抗値が所定の隣接プローブ針接触判定値よりも高い値を有することを特徴とするプローブ針。
  5. 請求項1から4のいずれか1に記載のプローブ針において、
    針材は、貴金属材料または貴金属合金材料で構成されることを特徴とするプローブ針。
  6. 硫黄成分を含まない電解液で満たされる電解酸化浴を準備し、
    針材の先端側から測って所定の酸化膜領域長さの部分を電解酸化浴に浸漬し、
    電解酸化浴液に浸漬した一方側電極板と針材との間に所定の電解酸化電圧を所定の時間印加して酸化処理し、
    酸化処理後の針材を洗浄し、
    針材の接触先端面の酸化膜を除去することを特徴とする絶縁性皮膜付プローブ針製造方法。
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