JP2015089640A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】モノクロ印刷頻度が多い場合であってもカラーインクの増粘を抑えることで、カラーインクの消費を抑制し、かつ印刷前の維持回復動作が短時間となる画像形成装置を提供する。
【解決手段】インクを吐出する複数色の複数ノズル410と、該複数のノズル410を覆い、内部に吸収体401,405を備えたキャップ部材82とを有し、印刷待機中は該キャップ部材82がノズル410を覆う画像形成装置であり、キャップ部材82がブックのノズル410Kを覆うキャップ408とカラーノズルを覆うキャップ409とを有し、モノクロ印刷中に定期的にブラックインクをブラックのキャップ408とカラーのキャップ409に打ち分けた空吐出を実施する。
【選択図】図10

Description

本発明は、記録ヘッドを有する画像形成装置に関するものである。
画像形成装置としてインクを吐出する記録ヘッド(以下、吐出ヘッドという。)を有するインクジェットプリンタは既に知られている。この種のインクジェットプリンタでは吐出ヘッドのノズルが乾燥により目詰まりすると画像品質を大幅に悪化させるため、印刷が終了するとノズルをキャップ手段で覆っている。さらに、印刷を開始する前にインクを排出して目詰まりの無い状態で印刷するように構成している。かかる構成では印刷前に毎回大量のインクを排出するのでランニングコストが高くなってしまう。さらに、モノクロ印刷時においても目詰まり防止のため、黒インクだけでなくカラーのインクも排出するため、モノクロ印刷がメインで使用している場合であっても消費の少ないカラーインクも消費してしまっていた。
かかる問題を改善する方法として、記録ヘッドをキャップ部材で覆っていない時間を計測し、その計測された時間に応じてモノクロ印刷時は黒のみ、カラー印刷時は全色空吐出するという技術が知られている。
しかしながら、上記技術のように、デキャップ時間に応じて印刷色のみ印刷前に回復動作を実施することを繰り返すと、場合によってはノズル内のインク増粘が極度に進んでしまう。したがって、増粘インクを排出するための回復動作で大量のインクを消費してり、回復動作の実施することで印刷物の出力が遅くなるという問題があった。
ところで、特許文献1には増粘しにくいインクを増粘しやすいインクをキャップするキャップ内に空吐出して増粘しやすいインクのキャップ内を湿潤状態にすることで、増粘を抑えることが記載されている。
しかし、モノクロ印刷頻度が多い場合、使われないカラーインクノズル内においてインク増粘が進み、増粘インクを排出する作業が必要になってしまう。増粘インクの排出する回復動作においては増粘の度合が進むほど大量のインクを消費してしまうことになり、また、その回復動作を実施することで印刷物の出力が遅くなるという問題の解消が十分に達成することができなかった。
本発明は上記した従来の問題を解消し、モノクロ印刷頻度が多い場合であってもカラーインクの増粘を抑えることで、カラーインクの消費を抑制し、かつ印刷前の維持回復動作が短時間となる画像形成装置を提供することを目的としている。
この目的を達成するため、本発明は、液滴を吐出する複数色の複数ノズルとを有し、印刷待機中は該キャップ部材が前記ノズルを覆う画像形成装置において、前記キャップ部材が第1の色のノズルを覆う第1のキャップ部材と該第1の色のノズル以外を覆う他のキャップ部材とを有し、第1の色の印刷中に定期的に前記第1のキャップ部材と前記他のキャップ部材に打ち分けた空吐出を実施することを特徴とする画像形成装置を提案する。
本発明によれば、モノクロ印刷頻度が高い場合に、ブラックとカラーで別のキャップ空間を備え、キャップ内に設けた吸収体がブラックノズルの吐出により湿潤し、待機時のカラーノズルの増粘を抑制し、カラー印刷時にも少ないインク消費及び所要時間の長い回復動作を行わずに印刷を行うことができる。
本発明に係る画像形成装置の一実施形態としてのインクジェット記録装置を示す斜視図である。 同インクジェット記録装置の機構部の概略を示す断面図である。 同インクジェット記録装置の機構部の要部を示す平面図である。 同インクジェット記録装置の維持回復機構を示す説明図である。 同インクジェット記録装置の制御部の概要を示すブロック図である。 記録ヘッドとキャップ部材を示す断面図で、(a)、(b)は記録ヘッドが単数の場合、(c)、(d)は記録ヘッドが複数の場合である。 インク吸引を伴う回復動作の実施する色判断フローチャートである。 ブラッククリーニングにおけるインク吸引を伴う回復動作時の動作の流れを示すフローチャートである。 (a)、(c)はブラックインクのブラックキャップ内の空吐出を示し、(c)、(d)はブラックインクのカラーキャップ内の空吐出を示す断面図である。 自動でインク吸引を実施する制御を示すフローチャートである。 ブラックインクの打ち分け制御を示すフローチャートである。 ノズルの乾燥度合いに応じた空吐出時の動作のフローチャートである。 (a)はブラックインクのブラックキャップ内の空吐出、(b)はブラックインクのカラーキャップ内の空吐出、(c)はカラーインクのカラーキャップ内の空吐出、(d)はカラーインクのブラックキャップ内の空吐出を示す断面図である。 デキャップ時間と印刷したときの着弾位置のズレとの関係を示すグラフである。 空吐出の滴量と印刷したときの着弾位置のズレとの関係を示すグラフである。 デキャップ時間と回復動作の関係を基づく制御を示すフローチャートである。 デキャップ時間カウントに重み付けする係数について説明する図である。
以下、本発明に係る画像形成装置の実施の形態について図面に基づいて説明する。
図1は実施形態1に係る画像形成装置の一例を示す前方側からの斜視図である。この画像形成装置は、装置本体1と、装置本体1に装着された用紙を配置するための給紙トレイ2と、装置本体1に着脱自在に装着されて画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ3とを備えている。
さらに、装置本体1の前面の一端部側(給紙トレイ2および排紙トレイ3の側方)には、前面から装置本体1の前方側に突き出し、上面よりも低くなったインクカートリッジを配置するためのカートリッジ配置部4を備える。また、このカートリッジ配置部4の上面を操作ボタンや表示器などを設ける操作/表示部5としている。
このカートリッジ配置部4には、例えば黒、シアン、マゼンタ、イエローの各インクをそれぞれ収容した複数のカートリッジであるインクカートリッジ10K、10C、10M、10Yを、装置本体1の前面側から後方側に向かって挿入して配置可能としている。
また、このカートリッジ配置部4の前面側には、インクカートリッジ10を着脱するときに開く前カバー(カートリッジカバー)6を開閉可能に設けている。なお、インクカートリッジ10K、10C、10M、10Yについては、色を区別しないときは「インクカートリッジ10」という。
また、操作/表示部5には、各色のインクカートリッジ10K、10C、10M、10Yの残量がニアーエンドおよびエンドになったことを表示するための各色の残量表示部11K、11C、11M、11Yを配置している。この残量表示部11K、11C、11M、11Yは、各色のインクカートリッジ10K、10C、10M、10Yの装着位置(配置位置)に対応する位置に配置される。さらに、この操作/表示部5には、電源ボタン12、用紙送り/印刷再開ボタン13、キャンセルボタン14を配置している。
次に、この画像形成装置の機構部について説明する。図2は実施形態1に係る画像形成装置の機構部の概略を示す断面図、図3は同画像形成装置の機構部の要部を示す平面図である。図示しない左右の側板間に架け渡したガイドロッド21とステー22とでキャリッジ23を主走査方向に移動自在に保持する。キャリッジ23は、主走査モータ24によって駆動プーリ25と従動プーリ26間に架け渡したタイミングベルト27を介して図3中の矢印で示した方向(キャリッジ走査方向:主走査方向)に移動走査される。
このキャリッジ23には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出する液滴吐出ヘッドである記録ヘッド31K、31C、31M、31Yを複数のインク吐出口を主走査方向と交差する方向に配列している。ここで、記録ヘッド31K、31C、31M、31Yは、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。なお、記録ヘッド31K、31C、31M、31Yについて、色を区別しないときは「記録ヘッド31」という。
記録ヘッド31は、インク滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段を備える。圧力発生手段としては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを使用できる。
また、キャリッジ23には、記録ヘッド31に各色のインクを供給するための各色のサブタンク32を搭載している。この各色のサブタンク32には各色のインク供給チューブを介して、カートリッジ配置部4に装着された各色のインクカートリッジ10から各色のインクが補充供給される。
一方、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)41上には用紙42が配置される。この用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離して搬送する半月コロ(給紙コロ)43、分離パッド44を備える。分離パッド44は、給紙コロ43に対向して配置され、摩擦係数の大きな材質からなり、給紙コロ43側に押し付けられている。
そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド31の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンターローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備える。さらに、搬送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド31に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備える。
搬送ベルト51は、環状のベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に架け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回する。この搬送ベルト51は、例えば、抵抗制御を行っていない純粋な厚さ40μm程度の樹脂材、例えばETFEピュア材で形成した用紙吸着面となる表層と、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏側層(中抵抗層、アース層)とを有している。
そして、この搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置され、加圧力として軸の両端に所定の押し付け力を掛けている。なお、搬送ローラ52はアースローラの役目も担っており、搬送ベルト51の中抵抗層(裏側層)と接触配置され接地している。
また、搬送ベルト51の裏側には、記録ヘッド31による印刷領域に対応してベルトガイド部材57を配置している。このベルトガイド部材57は、上面が搬送ベルト51を支持する2つのローラ(搬送ローラ52とテンションローラ53)の接線よりも記録ヘッド31側に突き出させることで搬送ベルト51の高精度な平面性を維持するようにしている。
この搬送ベルト51は、副走査モータ58によって駆動ベルト59およびプーリ60を介して搬送ローラ52が回転駆動されることによってベルト搬送方向(副走査方向:図3参照)に周回移動する。
さらに、記録ヘッド31で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62および排紙コロ63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。
また、装置本体1の背面部には両面ユニット71が着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度カウンターローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット71の上面は手差しトレイ72としている。
さらに、図3に示すように、キャリッジ23の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド31のノズルの状態を維持し、回復するための回復手段を含む維持回復機構81を配置している。
この維持回復機構81には、記録ヘッド31の各ノズル面をキャッピングするためのキャップ部材82と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード83と、粘度が増した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け84などを備えている。
また、キャリッジ23の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに粘度が増した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け88を配置している。この空吐出受け88には記録ヘッド31のノズル列方向に沿った開口89a〜89dを設けている。
このように構成したインクジェット記録装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド部材45で案内される。そして、搬送ベルト51とカウンターローラ46との間に挟まれて搬送され、さらに先端を搬送ガイド37で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、図示しない制御部によってACバイアス供給部から帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返す。つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が搬送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ23を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド31を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号または用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
また、印字(記録)待機中にはキャリッジ23は維持回復機構81側に移動されて、キャップ部材82で記録ヘッド31がキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。さらに、キャップ部材82で記録ヘッド31をキャッピングした状態で図示しない吸引ポンプによってノズルから記録液を吸引し(「ノズル吸引」または「ヘッド吸引」という。)し、粘度が増した記録液や気泡を排出する回復動作を行うことができる。
また、キャップ部材82が記録ヘッド31をデキャップした状態(キャッピングしていない状態)で吸引ポンプによってノズルから記録液を吸引し(「キャップ部材内吸引」という。)し、キャップ部材82内のインクを排除することができる。
また、記録開始前、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する空吐出(一部の場合における吐出は「補充吐出」という。)動作を行う。これによって、記録ヘッド31の安定した吐出性能を維持する。
空吐出実施箇所は、空吐出受け84や空吐出受け88に吐出しても良いし、キャップ部材82内に吐出することも可能である。本文内で空吐出位置に関して特に記載していない箇所は、どちらに吐出しても構わないものとする。
空吐出の一部の場合における吐出、「補充吐出」について説明する。補充吐出とは、キャップ部材内吸収体乾燥防止目的のための動作であり、キャップ部材内の吸収体にインクを補充するために実行される動作のことである。補充吐出は、空吐出同様記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する空吐出であり、キャップ部材内にインク滴を吐出することにより行われる。また、常にキャップ部材内吸引と共に実行されるものであり、1動作あたりの吐出量は空吐出数倍ないし数十倍程度以上とし、キャップ部材内吸収体内のインク乾燥を回復できる相当量の吐出量としている。補充吐出により、キャップ部材内吸収体内のインク乾燥状態を回復できる。
次に、維持回復機構81の概要について説明する。図4は同画像形成装置の維持回復機構を示す説明図である。この維持回復機構81には、前述したように、吸引および保湿用キャップ部材82と、保湿用キャップ部材82bを保持する保持機構を含むキャップ部材ホルダ201Aと、保湿用キャップ部材82cと保湿用キャップ部材82dを保持する保持機構を含むキャップ部材ホルダ201Bと、記録ヘッド31のノズル面を清浄化する(拭き取る)ための弾性体からなるブレードであるワイパーブレード83を保持するブレードホルダ203と、記録ヘッド31から印字に寄与しない液滴を吐出する空吐出動作(予備吐出動作)を行うための空吐出受け84とが配置されている。
ここで、印字領域に最も近い側の吸引用および保湿用キャップ部材82には可撓性チューブ210を介して吸引手段であるチュービングポンプ(吸引ポンプ)211を接続している。したがって、記録ヘッド31の維持回復動作を行うときには、回復動作を行う記録ヘッド31をキャップ部材82によってキャッピング可能な位置に選択的に移動させる。
なお、この吸引用および保湿用キャップ部材82には図示しないが内部に保湿部材を設けている。保湿をすることにより維持回復動作を行うときの後述する閾値を大きくして維持回復動作回数を低減でき、記録液の無駄な消費や回復動作にともなう印刷待機時間を短縮することができる。
また、これらのキャップ部材ホルダ201A、201Bの下方にはフレーム212に回転自在に支持したカム軸213を配置している。このカム軸213には、キャップ部材ホルダ201A、201Bを昇降させるためのキャップ部材カム214A、214Bと、ブレードホルダ203を昇降させるためのワイパーカム215をそれぞれ設けている。
そして、チュービングポンプ211およびカム軸213を回転駆動するために、モータ221の回転をモータ軸221aに設けたモータギア222に、チュービングポンプ211のポンプ軸211aに設けたポンプギア223をかみ合わせている。さらに、このポンプギア223と一体の中間ギア224に中間ギア225を介して一方向クラッチ227付きの中間ギア226をかみ合わせ、この中間ギア226と同軸の中間ギア228に中間ギア229を介してカム軸213に固定したカムギア230をかみ合わせている。
この維持回復機構81においては、モータ221が正転することによってモータギア222、中間ギア224、ポンプギア223、中間ギア225、226までが回転する。このチュービングポンプ211のポンプ軸211aが回転することでチュービングポンプ211が作動して、キャップ部材82内を吸引する。その他のギア228以降は一方向クラッチ227によって回転が遮断されるので回転(作動)しない。
また、モータ221が逆転することによって、一方向クラッチ227が連結されるので、モータ221の回転が、モータギア222、中間ギア224、ポンプギア223、中間ギア225、226、228、229を経てカムギア230に伝達され、カム軸213が回転する。
このとき、チュービングポンプ211はポンプ軸211aの逆転では作動しない構造となっている。このカム軸213の回転によってキャップ部材カム214A、214Bおよびワイパーカム215がそれぞれ所定のタイミングで上昇、下降する。
なお、記録ヘッド31のノズル面を清掃するときにはワイパーブレード83を上昇させた状態にして、記録ヘッド31をワイパーブレード83に相対的に移動させることによってノズル面をワイピングする。
この維持回復機構のように複数のキャップ部材を備えて、複数のキャップ部材のうちの少なくとも1つは吸引手段に連結(連通)されない保湿キャップ部材とすることによって、維持回復動作回数を低減することができる。これによって無駄な記録液の消費や回復動作に掛かる時間を短くすることができる。
また、吸引用のキャップ部材に対する記録ヘッドのみ維持回復動作を行うようにすることで過不足のない回復動作を行うことができる。さらに、記録ヘッドの数とキャップ部材の数を同じにすることによって維持回復機構のサイズを大きくすることがなく、部品点数の削減、装置の小型化を図れる。
なお、この画像形成装置に使用する記録液(インク)は、水分蒸発にともなう粘度上昇率(mPa・s/%)がインク全重量に対する水分蒸発率30%までは1.0以下であり、かつ、水分蒸発率30〜45%の間に粘度上昇率が50を越える点を持つことである。そして、粘度上昇率が50を越える点での、インク中の着色剤の平均粒子径が、初期平均粒子径の5倍以下であり、かつ0.8μm以下とすることが好ましい。
このような記録液を使用することによって、長期放置でもノズルの目詰まりを起こさず、普通紙上での高画質化および高速印字を達成できる。しかも、この記録液は、仮に、ノズル内の記録液が乾燥し粘度が増すことによりノズルから吐出できなくなったとしても、顔料などが粗大粒子化してノズル詰まりを発生するわけではないため、簡単な維持回復動作により容易に回復できるという利点を有している。
次に、実施形態1に係る画像形成装置の制御部の概要について説明する。図5は同制御部の全体ブロック説明図である。この制御部は、この画像形成装置全体を制御する。制御部は、初期動作に関する制御をする手段などを兼ねたマイクロコンピューターで構成した主制御部301および印刷制御をつかさどるマイクロコンピューターで構成した印刷制御部302を備えている。
そして、主制御部301は、通信回路300から入力される印刷処理の情報に基づいて用紙42に画像を形成する。このために、主制御部301は、主走査モータ24や副走査モータ58を主走査モータ駆動回路303および副走査モータ駆動回路304を介して駆動制御するとともに、印刷制御部302に対して印刷用データを送出するなどの制御を行う。
また、主制御部301には、キャリッジ23の位置を検出するキャリッジ位置検出回路305からの検出信号が入力され、主制御部301はこの検出信号に基づいてキャリッジ23の移動位置および移動速度を制御する。キャリッジ位置検出回路305は、例えばキャリッジ23の走査方向に配置されたエンコーダシートのスリット数を、キャリッジ23に搭載されたフォトセンサーで読み取って計数することで、キャリッジ23の位置を検出する。
主走査モータ駆動回路303は、主制御部301から入力されるキャリッジ移動量に応じて主走査モータ24を回転駆動させて、キャリッジ23を所定の位置に所定の速度で移動させる。
また、主制御部301には搬送ベルト51の移動量を検出する搬送量検出回路306からの検出信号が入力され、主制御部301はこの検出信号に基づいて搬送ベルト51の移動量および移動速度を制御する。
搬送量検出回路306は、例えば搬送ローラ52の回転軸に取り付けられた回転エンコーダシートのスリット数を、フォトセンサーで読み取って計数することで搬送量を検出する。副走査モータ駆動回路304は、主制御部301から入力される搬送量に応じて副走査モータ58を回転駆動させて、搬送ローラ52を回転駆動して搬送ベルト51を所定の位置に所定の速度で移動させる。
主制御部301は、給紙コロ駆動回路307に給紙コロ駆動指令を与えることによって給紙コロ43を1回転させる。主制御部301は、維持回復機構駆動用モータ駆動回路308を介して維持回復機構81のモータ221を回転駆動することにより、前述したようにキャップ部材82の昇降、ワイパーブレード83の昇降、チュービングポンプ211の駆動などを行わせる。
主制御部301は、インク供給モータ駆動回路311を介して供給ユニットのポンプを駆動するためのインク供給モータを駆動制御し、カートリッジ配置部4に配置されたインクカートリッジ10からサブタンク32に対してインクを補充供給する。このとき、主制御部301には、サブタンク32が満タン状態にあることを検知するサブタンク満タンセンサー312からの検知信号に基づいて補充供給を制御する。
また、主制御部301は、カートリッジ通信回路314を通じて、カートリッジ配置部4に装着された各インクカートリッジ10に設けられる記憶手段であるカートリッジ不揮発性メモリ316に記憶されている情報を取り込む。そして、主制御部301は、所要の処理を行って、本体記憶手段である不揮発性メモリ(例えばEEPROM)315に格納保持する。
また、主制御部301には、環境温度、環境湿度を検知する環境センサ313からの検知信号が入力される。印刷制御部302は、主制御部301からの信号とキャリッジ位置検出回路305および搬送量検出回路306などからのキャリッジ位置や搬送量に基づいて、記録ヘッド31の液滴を吐出させるための圧力発生手段を駆動するためのデータを生成する。このデータは、上述した画像データをシリアルデータでヘッド駆動回路310に転送される。
また主制御部301は、画像データの転送および転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、滴制御信号(マスク信号)などをヘッド駆動回路310に出力する。さらに主制御部301は、ROMに格納されている駆動信号のパターンデータをD/A変換するD/A変換器および電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動波形生成部およびヘッドドライバーに与える駆動波形選択手段を含む。これにより、主制御部301は、1の駆動パルス(駆動信号)あるいは複数の駆動パルス(駆動信号)で構成される駆動波形を生成してヘッド駆動回路310に対して出力する。
ヘッド駆動回路310は、駆動信号を選択的に記録ヘッド31の液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(例えば前述したような圧電素子)に対して印加することで記録ヘッド31を駆動する。この駆動信号は、シリアルに入力される記録ヘッド31の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部302から与えられる駆動波形を構成する。
このとき、駆動波形を構成する駆動パルスを選択することによって、例えば、大滴(大ドット)、中滴(中ドット)、小滴(小ドット)など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
図6は記録ヘッド31K、31C、31M、31Yとキャップ部材82を示す断面図で、(a)、(b)は記録ヘッドが単数の場合、(c)、(d)は記録ヘッドが複数の場合である。
図6において、待機時に記録ヘッド31のノズルを覆うキャップ部材82はブラック用のキャップ408と、カラー用のキャップ409とが設けられ、ブラックとカラーをわけてキャップできるように構成されている。それぞれのキャップ408、409内部には水分を吸収して保持する吸収体401(ブラック用)と吸収体405(カラー用)とが設けられている。さらに、キャップ408、409はそれぞれ吸引口402(ブラック用)、404(カラー用)を備えており、吸引口402,404は図示していないポンプと選択的に接続されている。すなわち、吸引口402,404はポンプと弁等を介して接続され、吸引のオン・オフが弁等によって切り替えられる。なお、本実施形態において、ブラックが第1の色であり、ブラックノズル410Kを覆うキャップ408が第1のキャップ部材であり、他の色はカラーであり、キャップ409が他のキャップ部材である。また、符号403はブラックノズル410Kとカラーノズル410とを隔てる仕切り部である。
図6の(a)と(c)はブラックインクを吸引したときのインクの移動を表し、図6の(b)と(d)は待機時の水分の移動を示している。待機時の吸収体401、405はその保持している水分が同キャップ内の記録ヘッド31のノズル410にも移動することで当該ノズルを潤している。
ところで、吸収体401、405の水分はインクのキャップ内での空吐出によって補給される。また、使用した記録ヘッドが待機位置に戻るとき実施されるが、ユーザーの使用においてモノクロ印刷がメインの場合には、印刷に使用しないカラーインクの消費を抑えるため、カラーノズル410の空吐出は実施しない。その代わりに、ブラックノズル410Kから定期的に空吐出されるインクをブラック側の吸収体401とカラー側の吸収体405に打ち分けるようにしている。すなわち、記録ヘッド31が待機位置に戻る途中で、ブラックノズル410Kがキャップ409を通過するとき、キャップ409内に図9の(b)、(d)に示す空吐出をする。そして、キャップ408に到着すると図9の(a)、(c)に示す空吐出しており、空吐出をキャップ408、409のそれぞれにするように打ち分けている。この打ち分けによって、吸収体401、405は水分を保持し、キャップ408,409で覆われる時にノズルの水分を奪われないようにすることでブラックノズルだけでなく、カラーノズル内のインク増粘を抑制することができる。
図7は、インク吸引を伴う回復動作の実施する色判断フローチャートである。
図7において、まずユーザーがノズル吐出状態を確認する等により(ステップ1)、ユーザーからクリーニングの要求があったかが判断される(ステップ2)。クリーニングの要求が無ければそれで終了するが、要求があった場合には全色かが判断される(ステップ3)。要求が全色であれば、ステップ4の全色クリーニングを実施する。要求が全色でない場合にはステップ5のブラックのみかが判断され、ブラックのみならばステップ6のブラッククリーニングを実施し、カラーのみであればステップ7のカラークリーニングを実施する。
図8は、ブラッククリーニングにおけるインク吸引を伴う回復動作時の動作の流れを示すフローチャートである。
図8において、ブラッククリーニングが要求された場合(ステップ1A)、ブラックノズル410Kをブラック側のキャップ408上に移動し、キャップ408でキャッピングする(ステップ2A)。そして、図6の(a)、(c)に示すように、ブラックノズル410Kのインクだけをブラックの吸引口402から吸引する(ステップ3A)。なお、カラークリーニングの場合はカラーのインク吸時にはカラーノズル410のインクだけをカラーの吸引口404から吸引し、全色インク吸引時にはカラー吸引とブラック吸引の何れか一方から実施する。このとき、図示しないが、ブラックインク吸引時とカラーインク吸引時には各々の吸引口402、404につながった可撓性チューブ210の流路を解放/閉鎖することでインク吸引を切り替えている。
インク吸引後のブラック色のクリーニングでブラックノズルのみワイパーブレード83で払拭し(ステップ4A)、ブラックノズルをキャップ409上に移動する(ステップ5A)。移動後、ブラックインクを空吐出し(ステップ6A)、それによってカラー側の吸収体405も水分が補充されるので、カラーインクを消費しなくてもカラーノズル410の増粘を抑制することができる。空吐出後、キャップ409内に排出され溜まったインクはキャップ409を記録ヘッド31から離した状態で吸引することで処理できる(ステップ7A)。
なお、上記ステップ4Aの払拭について、ブラッククリーニングの場合はブラックノズルのみワイパーブレード83でノズル面を払拭する。また、、カラーノズル410もワイパーブレード83で払拭する場合にはカラーノズル410にブラックインクが入り込むため、混色防止用にカラー色も払拭後の空吐出を実施する。逆にカラークリーニングでカラーノズル410のみ払拭する場合にはカラー色のみ払拭後の空吐出を実施し、ブラックノズルも払拭する場合には混色防止用にブラック色も払拭後の空吐出を実施する。
ところで、ブラックノズル列を図3に示すようにカラーノズル列よりも維持回復機構81に近い位置側に配置する。そうすることで、画像形成装置の幅を広げることなく、ブラックノズルの吐出滴はブラック側の吸収体401へもカラー側の吸収体405へも吐出することが可能である。さらに、ブラックノズルの空吐出をカラー側の吸収体405側へ行う際には、キャリッジ23の走査距離が短くなり、印刷速度を向上させることができため、印刷速度優先の印刷モード時にはカラー側の吸収体405側へ空吐出を実施する。
キャップ408,409内の吸収体401,405は、印刷とは無関係に乾燥を防止するための記録ヘッド31からの空吐出を実施する。その空吐出された滴を利用して、吸収体401、405へ水分を補充し、待機時に吸収体401、405からノズル内のインクの水分が奪われないようにする。吸収体401、405への水分補充が空吐出滴で満足できないような場合には、次のようにインク吸引により吸収体401、405に十分な水分補充を行う。吸収体401、405への吐出量をカウントし、不揮発性メモリ315に記憶する。吐出量カウントは1滴の滴量にノズル数と滴数を乗じた量である。また、インクの吸引を含む回復動作実施後からキャップ部材82でノズル面を覆っていない時間(以降デキャップ時間と呼ぶ)を累積してカウントし、吐出量カウントと同様に不揮発性メモリ315に記憶する。印刷中だけでなく、非印刷時のデキャップ時間も含み、一度キャッピングしてもカウントは保持され、再度デキャップ時にカウントが再開される。
図10は、自動でインク吸引を実施する制御を示すフローチャートである。
図10において、印刷命令が発せられると(ステップ1B)、印刷命令時にブラックノズルについて記憶した累積するデキャップ時間に対する吐出量カウントを計算する(ステップ2B)。その計算値に取得した温湿度条件を加味した後(ステップ3B)、計算値が所定量未満かを判断する(ステップ4B)。計算値が所定量未満である場合には、水分補充が必要であると判断して、ブラッククリーニングを実行する(ステップ5B)。このとき、ブラックインクの吸引によって吸収体401が十分に潤うのでキャップ408の吐出量カウントをリセットし(ステップ6B)、キャップ408の累積デキャップ時間をリセットする(ステップ7B)。
また、計算値が所定量以上であれば、ブラックノズル410Kはキャップ409上に移動して、キャップ内への空吐出を実行する(ステップ8B)。このとき、ブラックインクの空吐出によって吸収体405が潤うのでキャップ409の吐出量カウントをリセットし(ステップ9B)、キャップ409の累積デキャップ時間をリセットする(ステップ10B)。
次に、印刷を開始し(ステップ11B)、吸収体401,405への吐出量をカウントし(ステップ12B)、キャップ408,409のデキャップ時間を累積カウントする(ステップ13B)。なお、吐出量カウント及び累積デキャップ時間カウントはブラック用とカラー用の少なくとも2つを備えている。また、吐出量カウントには印刷前、印刷中、印刷後の全ての吐出を含み、累積デキャップ時間カウントは環境センサ313で検知する温湿度条件により温湿度係数を乗じた値であり、乾燥しやすい環境ほど係数が大きい。
印刷前と印刷中の空吐出は印刷速度が低下しないように、ブラックインクはブラック用の吸収体401内またはカラー用の吸収体405内へ、カラーインクはカラー用の吸収体405内へ吐出する。印刷後の空吐出は印刷速度に影響しないため、累積デキャップ時間カウントに対する吐出量カウントが少ないと判断される色の吸収体へ空吐出する。また、各空吐出は環境センサ313で検知する温湿度条件により吐出量が異なり、乾燥しやすい環境ほど吐出量が多い。
図11は、ブラックインクの打ち分け制御を示すフローチャートである。
図11において、モノクロ印刷命令が出て(ステップ1C)印刷が開始され(ステップ2C)、前回の空吐出から所定時間経過したかが判断される(ステップ3C)。所定時間経過していればブラックノズル410Kをキャップ408上に移動し(ステップ4C)、ブラックインクを空吐出する(ステップ5C)。空吐出後及びステップ3Cで所定時間経過していなかったときには、再び所定時間経過したかが判断される(ステップ6C)。この判断で、所定時間経過していれば、前回のブラックキャップ408への空吐出かが判断される(ステップ7C)。そして、前回がブラックキャップであればブラックノズル410Kをカラーのキャップ409上に移動し(ステップ8C)、キャップ409にブラックインクを空吐出する(ステップ9C)。また、前回がブラックキャップでなければブラックノズル410Kをブラックのキャップ408上に移動し(ステップ10C)、キャップ408にブラックインクを空吐出する(ステップ11C)。なお、ステップ6Cの判断で所定時間経過していなければ印刷は終了する(ステップ12C)。
ところで、ノズルの目詰まりを防止するには印刷前の回復動作を実施することが有効であるが、印刷前の回復動作は画一的でなく、非印刷時のノズルの乾燥度合いに応じることがより好ましい。
そこで、ノズルの乾燥度合いに応じた空吐出時の動作フローを図12に示す。
図12において、印刷命令は発せられると(ステップ1D)、機内の温湿度値を環境センサ313にて取得する(ステップ2D)。次に、各色毎にノズルから吐出したインク滴の滴量カウントを開始し(ステップ3D)、印刷前の回復動作を実施後(ステップ4D)、印刷を開始する(ステップ5D)。
次に、前回の回復動作実施後から所定時間経過したかどうかを判断し(ステップ6D)、所定時間経過していたらまずブラック吐出量が所定量以上かどうか判断する(ステップ7D)。ブラックの滴量カウントが所定量以上であれば、カラーノズル410をキャップするキャップ409上にブラックノズル410Kを移動し(ステップ8D)、所定量未満であれば、ブラックノズルのキャップ408上に移動する(ステップ8D)。ブラックノズル410Kをキャップ408上に移動後、図13(a)に示すように、移動したキャップ408内へブラックインクを空吐出する(ステップ10D)。同様に、ブラックノズル410Kをキャップ409上に移動した場合には、図13(b)に示すように、カラーノズル410を覆うキャップ409内へブラックインクを空吐出する(ステップ10D)。
カラーノズル410も同様に、カラー吐出量が所定量以上かどうか判断する(ステップ11D)。カラーの滴量カウントが所定量以上であれば、ブラックノズルをキャップするキャップ408上にカラーノズル410の少なくとも1つが位置するように移動する(ステップ12D)。また、所定量未満であれば、カラーノズルのキャップ409上に移動する(ステップ13D)。カラーノズル410をキャップ408上に移動後、図13(c)に示すように、移動したキャップ409内へカラーインクを空吐出する(ステップ14D)。同様に、カラーノズル410をキャップ408上に移動した場合には、図13(d)に示すように、ブラックノズルを覆うキャップ408内へカラーインクを空吐出する(ステップ14D)。
そして、カラーインク吐出後及びステップ6Dの前回の回復動作実施後から所定時間経過していない時には印刷を継続し(ステップ15D)、その後印刷が終了かを判断する(ステップ16D)。印刷が終わっていない時は再びステップ6Dにもどる。
このように、ノズルの乾燥度合いに応じて空吐出するが、具体的には印刷デューティーの高い印刷物を印刷する場合、ノズル内の乾燥度合いは小さい。そのため、乾燥度合いの大きいノズルの方のキャップ部材内へ多く空吐出することで、キャップ部材内の湿度を高め、キャップ部材で覆った後のノズルからの水分移動をできるだけ抑制しようとするものである。
図14は、デキャップ時間と印刷したときの着弾位置のズレとの関係を示すグラフである。同図から明らかなように、累積デキャップ時間が長くなるほど着弾位置ズレ量が増加しているのが分かる。これはデキャップによってキャップ部材82内の湿度は低下し、その状態で記録ヘッド31をキャップ部材82で覆うため、ノズル内の水分がキャップ内に奪われ、ノズル内の乾燥が進むことに起因している。なお、ブラック色とカラー色で累積デキャップ時間に対する乾燥度合いが異なり、カラー色は乾燥が進みにくい。ブラックよりもカラーの滴量カウントの閾値を小さくすることで、カラーの方が先に滴量カウント閾値を越えやすく、カラーの空吐出がブラックのキャップ部材内へ実施され、ブラックのキャップ部材内の湿度は高く保ちやすくなる。
図15は、空吐出の滴量と印刷したときの着弾位置のズレとの関係を示すグラフである。デキャップ時間中にキャップ部材82内に印刷に寄与しない滴を定期的に吐出する際の吐出滴量と、所定時間キャップでヘッドを覆った後に印刷を行った際の着弾位置ズレ量との関係は、吸引キャップ82内への吐出滴量が多いほど着弾位置ズレ量が少ない。キャップ部材82内への空吐出滴量が多いと、キャップ部材82内の吸収体401、405に水分を保持しやすくなり、キャップ部材82内の湿度が高く保持できる。
図16は、デキャップ時間と回復動作の関係を基づく制御を示すフローチャートである。
図16において、印刷命令は発せられると(ステップ1E)、機内の温湿度値を環境センサ313にて取得する(ステップ2E)。次に、全キャップのデキャップ時間カウントを取得し(ステップ3E)、その値に応じて各色の吐出量カウント閾値を設定する(ステップ4E)。さらに、累積デキャップ時間をカウントし(ステップ5E)、各色毎にノズルから吐出したインク滴の滴量カウントを開始する(ステップ6E)。そして、印刷前の回復動作を実施後(ステップ7E)、印刷を開始する(ステップ8E)。
次に、前回の回復動作実施後から所定時間経過したかどうかを判断し(ステップ9E)、所定時間経過していたら、まずブラック吐出量が閾値を越えたかを判断する(ステップ10E)。ブラックの滴量カウントが閾値以上であれば、カラーノズル410をキャップするキャップ409上にブラックノズル410Kを移動し(ステップ11E)、閾値未満であれば、ブラックノズルのキャップ408上に移動する(ステップ12E)。ブラックノズルをキャップ408か409の何れかに移動後、移動したキャップ内へブラックインクを空吐出する(ステップ13E)。
カラーノズル410も同様に、カラー吐出量が閾値を越えたかを判断する(ステップ14E)。カラーの滴量カウントが閾値以上であれば、ブラックノズルをキャップするキャップ408上にカラーノズル410を移動し(ステップ15E)、所定量未満であれば、カラーノズル410のキャップ409上に移動する(ステップ16E)。カラーノズルをキャップ408か409の何れかに移動後、移動したキャップ内へカラーインクを空吐出する(ステップ17E)。
そして、カラーインク吐出後及びステップ9Eの前回の回復動作実施後から所定時間経過していない時には印刷を継続し(ステップ18E)、その後印刷が終了かを判断する(ステップ19E)。印刷が終わっていない時は再びステップ9Eにもどる。ステップ20Eの印刷が終了に至ったら、累積デキャップ時間カウントを不揮発性メモリ315に記憶し、格納する(ステップ21E)。
図17は、デキャップ時間カウントに重み付けする係数について説明する図である。
図はキャップオープン時間カウントに乗じる温湿度環境毎に重み付けされた係数であり、乾燥しやすい低湿度環境ほど係数が大きく、キャップオープン時間カウントが早く進む。逆に乾燥しにくい高湿度環境では係数が小さく、キャップオープン時間カウントの進みが遅い。
環境毎に重み付けすることでキャップオープン時のキャップ内の乾燥度合いを適正に計測でき、より乾燥しやすいキャップ側に空吐出することで、インク消費量を最小限に吐出性を正常に維持することができる。
31 記録ヘッド
81 維持回復機構
82 キャップ部材
401、405 吸収体
408、409 キャップ
410 カラーノズル
410K ブラックノズル
特許第3891235号公報

Claims (11)

  1. 液滴を吐出する複数色の複数ノズルと、該複数のノズルを覆い、内部に吸収体を備えたキャップ部材とを有し、印刷待機中は該キャップ部材が前記ノズルを覆う画像形成装置において、
    前記キャップ部材が第1の色のノズルを覆う第1のキャップ部材と該第1の色以外のノズルを覆う他のキャップ部材とを有し、
    第1の色の印刷中に定期的に前記第1のキャップ部材と前記他のキャップ部材に打ち分けた空吐出を実施することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記第1の色がブラックで、該第1の色以外の色がカラーであって、前記キャップ部材に打ち分けるノズルがブラックノズルであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記キャップ部材を有する維持回復機構を設け、該維持回復機構を用いる前記ノズルから液体を吸引する工程、メニスカス形成工程、及び空吐出工程を含む回復動作では、要求のあった色の前記ノズルから各々の前記キャップ部材が独立して液体を吸引し、続けて行う空吐出を吸引したキャップ部材とは別のキャップ部材に吐出することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
  4. 前記キャップ部材が、ブラック色のみのノズルをキャップするキャップとカラー色のノズルのみをキャップするキャップを備えることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の画像形成装置。
  5. 前記ブラック色のノズルがカラー色のノズルが記録ヘッドの主走査方向に並べて設けられ、前記維持回復機構に最も近い位置にブラックノズルが配置されていることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の画像形成装置。
  6. 前記吸収体への液体吐出量をカウントする手段と、前記キャップ部材がノズルを覆わないデキャップ時間の累積をカウントする手段とを有し、前記キャップ部材で覆っていない累積時間に対する前記吐出量カウントが所定未満と判定された場合、該キャップ部材で当該ノズルを覆って液体の吸引をすることを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載の画像形成装置。
  7. 前記液体を吸引する工程を含む回復動作実施後、前記液体吐出量のカウント及び前記デキャップ時間のカウントをリセットすることを特徴とする請求項1ないし6の何れかに記載のに記載の画像形成装置。
  8. 液滴を吐出する複数色の複数ノズルと、該複数のノズルを覆い、内部に吸収体を備えたキャップ部材とを有し、印刷待機中は該キャップ部材が前記ノズルを覆う画像形成装置において、
    前記キャップ部材が第1の色のノズルを覆う第1のキャップ部材と該第1の色以外のノズルを覆う他のキャップ部材とを有し、
    該キャップ部材内にノズルから吐出する滴量を計測する手段を設け、
    第1の色における計測した滴量のカウントが所定量以上のとき、前記第1の色以外のノズルをキャップするキャップ部材内に第1の色の空吐出を行うことを特徴とする画像形成装置。
  9. 前記滴量を色毎にカウントし、色毎に前記所定量を設定することを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
  10. 前記キャップ部材が前記ノズルと離間するデキャップ時間を計測する手段を有し、デキャップしている累積時間が長いほど、空吐出の吐出量を増やすことを特徴とする請求項8または9に記載の画像形成装置。
  11. 前記デキャップの累積時間は温湿度の環境毎に重み付けされた係数を乗じることを特徴とする請求項8ないし10の何れかに記載の画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020131668A (ja) * 2019-02-25 2020-08-31 富士ゼロックス株式会社 画像形成システム

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