JP2015089627A - 印刷流体供給装置 - Google Patents

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Suguru Tokuchi
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Abstract

【課題】ユーザが容易に印刷流体カートリッジをカートリッジ装着部に装着することができ、且つ、印刷流体カートリッジの印刷流体供給部及び大気連通部からの印刷流体の漏れを低減することができる手段を提供する。
【解決手段】インクカートリッジ10がカートリッジ装着部50の装着位置に位置した状態において、圧縮コイルバネ96の第1付勢力は、インクニードル49がシール部材93に対して摺動し始めることに抗する第1抵抗力より小さい。圧縮コイルバネ86の第2付勢力は、押圧部66がシール部材83に対して摺動し始めることに抗する第2抵抗力より大きい。取出向き69へ大気連通部79が移動して、押圧部66がシール部材83に対して摺動したときの圧縮コイルバネ86の第3付勢力と圧縮コイルバネ96の第1付勢力との和は、第1抵抗力より大きい。
【選択図】図10

Description

本発明は、カートリッジ装着部に印刷流体カートリッジが重力方向と交差する挿入及び取出方向に沿って挿入及び取り出される印刷流体供給装置に関する。
従来、インクを用いて記録用紙に画像を記録するインクジェット記録方式の記録装置は、インク供給装置及び記録ヘッドを備える。インク供給装置は、インクカートリッジから記録ヘッドへインクを供給するものである。記録ヘッドは、インク供給装置から供給されたインクを記録用紙へ向けて選択的に噴出する。これにより、記録用紙に画像が記録される。
インク供給装置は、インクカートリッジが装着される装着部を備える。インクカートリッジは、上記装着部に着脱可能に装着される。インクカートリッジは、その内部に、記録ヘッドへ供給されるインクを収容するインク室が形成されている。また、インクカートリッジの側面には、インク室内から記録ヘッドへインクを導出するためのインク供給部や、インク室を大気に連通させるための大気連通部が設けられている(例えば特許文献1参照。)。
インク供給部や大気連通部は、それぞれ、開口を有する弾性部材、開口を開閉するための弁体、及びこれら弁体を付勢するためのコイルバネを有している。各コイルバネは、インクカートリッジが装着部に装着されていない状態では、弁体を付勢して対向する開口を閉塞している。インクカートリッジが装着部に装着されるべく、装着部に挿入されると、その挿入過程において、装着部に設けられているインクニードルやロッドなどが弾性部材に密着しつつ開口に進入し、そのインクニードルやロッドなどによって、コイルバネの付勢力に抗して弁体が開口を開放する位置へ移動される。
特開2009−132120号公報
装着状態において、インク供給部や大気連通部からのインク漏れを防止するためには、インクニードルやロッドを、インク供給部や大気連通部の弾性部材に密着させる必要がある。この密着力を大きくすると、装着部からインクカートリッジを取り出すときに、インクニードルやロッドを弾性部材から引き離す力も大きくする必要がある。インクニードルやロッドを弾性部材から引き離す力は、コイルバネの付勢力により得られるが、コイルバネの付勢力が大きくなると、インクカートリッジを装着部に挿入するときにユーザが受ける荷重が大きくなるという問題がある。
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザが容易に印刷流体カートリッジをカートリッジ装着部に装着することができ、且つ、印刷流体カートリッジの印刷流体供給部及び大気連通部からの印刷流体の漏れを低減することができる手段を提供することにある。
本発明は、カートリッジ装着部に印刷流体カートリッジが重力方向と交差する挿入及び取出方向に沿って挿入及び取り出される印刷流体供給装置に関する。上記印刷流体カートリッジは、第1壁と、上記第1壁に対して上記挿入及び取出方向のうちの取出向きに位置する第2壁と、上記第1壁と上記第2壁との間に設けられて印刷流体が貯留される空間である貯留室と、上記第1壁に配置されており、上記貯留室から印刷流体を供給する印刷流体供給部と、上記第1壁において上記印刷流体供給部より上方に配置されており、上記貯留室と外部とを連通する大気連通部と、上記大気連通部より上方において上記第1壁と上記第2壁との間に設けられた第3壁と、上記第3壁側に配置された当接部と、を具備する。上記印刷流体供給部は、上記挿入及び取出方向を軸線方向とする第1開口の周囲に設けられた第1弾性部材と、上記挿入及び取出方向に沿って、上記第1開口を閉塞する第1位置及び上記第1開口を開放する第2位置に移動可能な第1弁体と、上記挿入及び取出方向に沿って圧縮変形することにより付勢力を発生させるものであって、上記第1弁体を上記第1位置へ付勢する第1付勢部材と、を有する。上記大気連通部は、上記挿入及び取出方向を軸線方向とする第2開口の周囲に設けられた第2弾性部材と、上記挿入及び取出方向に沿って、上記第2開口を閉塞する第3位置及び上記第2開口を開放する第4位置に移動可能な第2弁体と、上記挿入及び取出方向に沿って圧縮変形することにより付勢力を発生させるものであって、上記第2弁体を上記第3位置へ付勢する第2付勢部材と、を有する。上記カートリッジ装着部は、上記印刷流体カートリッジが上記挿入及び取出方向に沿って挿入及び取り出されるケースと、上記印刷流体カートリッジが上記ケース内の装着位置から上記取出向きへ移動しないように上記当接部に当接可能な保持部材と、上記印刷流体カートリッジが上記装着位置へ挿入される過程において、上記第1弾性部材に摺動しつつ、上記第1弁体を上記第1付勢部材の付勢力に抗して上記第2位置へ移動させる第1開放部材と、上記印刷流体カートリッジが上記装着位置へ挿入される過程において、上記第2弾性部材に摺動しつつ、上記第2弁体を上記第2付勢部材の付勢力に抗して上記第4位置へ移動させる第2開放部材と、を具備する。上記装着位置における上記第1付勢部材の第1付勢力は、上記装着位置における上記第1開放部材が上記第1弾性部材に対して摺動し始めることに抗する第1抵抗力より小さい。上記装着位置における上記第2付勢部材の第2付勢力は、上記装着位置における上記第2開放部材が上記第2弾性部材に対して摺動し始めることに抗する第2抵抗力より大きい。上記取出向きへ上記大気連通部が移動して、上記第2開放部材が上記第2弾性部材に対して摺動したとき又は離れたときの上記第2付勢部材の第3付勢力と、上記第1付勢力との和は、上記第1抵抗力より大きい。
装着位置において、カートリッジ装着部の保持部材が、印刷流体カートリッジの当接部に当接することによって、第1付勢部材及び第2付勢部材の付勢力に抗して、印刷流体カートリッジが装着位置から取出向きへ移動しないように保持される。装着位置において、印刷流体カートリッジは、第1付勢部材及び第2付勢部材の付勢力を受けているので、カートリッジ装着部のケースと印刷流体カートリッジとのガタの範囲において、当接部を中心として印刷流体供給部及び大気連通部が回転しつつ取出向きへ移動した姿勢となる。
保持部材が当接部から離間されると、印刷流体カートリッジは装着位置から取出向きへ移動可能となる。第1付勢力が第1抵抗力より小さいので、第1開放部材は第1弾性部材に対して摺動しない。第2付勢力は第2抵抗力より大きいので、第2開放部材は第2弾性部材に対して摺動する。これに伴って、印刷流体カートリッジは、カートリッジ装着部のケースと印刷流体カートリッジとのガタの範囲において、第1開放部材と第1弾性部材との密着箇所を中心として大気連通部が回転しつつ取出向きへ移動した姿勢に変化する。この姿勢変化によって、第2開放部材と第2弾性部材との密着面が捻られるように位置関係が変化して、第2開放部材が第2弾性部材に対して摺動しやすくなる。
第2開放部材が第2弾性部材に対して摺動し始めると、静止摩擦力から動摩擦力の変化などによって第2抵抗力が小さくなる。これにより、第2付勢部材の付勢力が、第1開放部材が第1弾性部材に対して摺動するために作用する。第1付勢力と第3付勢力との和は、第1抵抗力より大きいので、第1開放部材が第1弾性部材に対して摺動する。このようにして、第2開放部材が第2弾性部材から離れ、かつ第1開放部材が第1弾性部材から離れて、印刷流体カートリッジがカートリッジ装着部のケースから取り出し可能となる。
印刷流体カートリッジがカートリッジ装着部のケースへ挿入されるときには、第1付勢部材及び第2付勢部材の付勢力が装着荷重としてユーザに作用するが、第1付勢力が第1抵抗力より小さいので、印刷流体カートリッジの装着荷重が比較的小さい。
上記装着位置から上記取出向きへ上記印刷流体カートリッジが移動して、上記第1付勢部材が上記第1開放部材に付勢力を付与し、かつ上記第2付勢部材が上記第2開放部材に付勢力を付与している過程において、上記第2付勢部材の付勢力は、上記第1付勢部材の付勢力より常に大きくてもよい。
これにより、装着位置から取出向きへ移動する過程において、印刷流体カートリッジに姿勢変化が生じ難くなり、カートリッジ装着部から印刷流体カートリッジを円滑に取り出すことができる。
上記第2抵抗力は、上記第1抵抗力より小さくてもよい。
これにより、印刷流体供給部及び大気連通部からの印刷流体の漏れを低減しつつ、第2開放部材が第2弾性部材から離れやすくできる。
上記第1開放部材及び上記第1弾性部材は、それぞれ、互いに密着する第1密着面を有しており、上記第2開放部材及び上記第2弾性部材は、それぞれ、互いに密着する第2密着面を有しており、上記第2開放部材の第2密着面及び上記第2弾性部材の第2密着面の少なくともいずれか一方は、上記第1開放部材の第1密着面及び上記第1弾性部材の第1密着面の少なくともいずれか一方より摩擦係数が小さくてもよい。
これにより、簡易な構成で第2密着面における摺動抵抗を小さくできる。
上記第1付勢部材及び上記第2付勢部材として、圧縮コイルバネが挙げられる。
上記第1開口は、上記第1弾性部材を貫通して設けられており、上記第1開放部材として、上記第1弾性部材の上記第1開口に挿入される管体が挙げられる。上記第2弁体として、上記第2開口から外側へ突出されて上記第2開放部材と当接可能なロッドを有するものが挙げられる。
本発明によれば、ユーザが容易に印刷流体カートリッジをカートリッジ装着部に装着することができ、且つ、印刷流体カートリッジの印刷流体供給部及び大気連通部からの印刷流体の漏れを低減することができる。
図1(A)は、インクカートリッジ10の前壁102側の斜視図であり、図1(B)は、インクカートリッジ10の後壁101側の斜視図である。 図2は、カートリッジ装着部50へ挿入される過程におけるインクカートリッジ10を示す、カートリッジ装着部50及びインクカートリッジ10の断面図である。 図3は、大気連通部79の断面図である。 図4は、インク供給部89の断面図である。 図5は、カートリッジ装着部50へ挿入される過程におけるインクカートリッジ10を示す、カートリッジ装着部50及びインクカートリッジ10の断面図である。 図6は、カートリッジ装着部50の装着位置よりオーバーシュートされたインクカートリッジ10を示す、カートリッジ装着部50及びインクカートリッジ10の断面図である。 図7は、カートリッジ装着部50の装着位置に保持されたインクカートリッジ10を示す、カートリッジ装着部50及びインクカートリッジ10の断面図である。 図8は、カートリッジ装着部50から取り外される過程におけるインクカートリッジ10を示す、カートリッジ装着部50及びインクカートリッジ10の断面図である。 図9は、カートリッジ装着部50から取り外される過程におけるインクカートリッジ10を示す、カートリッジ装着部50及びインクカートリッジ10の断面図である。 図10は、第1抵抗力、第2抵抗力、第1付勢力、第2付勢力の関係を示すグラフである。
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明が具体化された一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
本実施形態に係るインク供給装置120は、不図示のインクジェットプリンタに設けられている。インク供給装置120は、インクジェットプリンタが備えるインクジェット記録ヘッド(不図示)へインクを供給するものである。インク供給装置120は、カートリッジ装着部50、インクカートリッジ10、及びインクチューブ48を備えている。インク供給装置120が印刷流体供給装置に相当する。インクカートリッジ10が印刷流体カートリッジに相当する。インクは、印刷流体の一例である。
カートリッジ装着部50に複数のインクカートリッジ10が装着される。具体的には、カートリッジ装着部50に対して、例えばブラック、イエロー、シアン、マゼンタの4色のインクそれぞれが充填された4つのインクカートリッジ10が装着される。このため、カートリッジ装着部50は、各色のインクカートリッジ10毎にインク供給装置120に設けられている。
インクカートリッジ10は、インクを収容する貯留室12が内部空間に設けられた本体20を備えている。貯留室12に収容されたインクは、カートリッジ装着部50にインクカートリッジ10が装着された状態(図7参照)で、インクチューブ48(図2参照)を通じて貯留室12から不図示の記録ヘッドへ供給される。
[インクカートリッジ10の概略構成]
図1に示されるように、インクカートリッジ10は、扁平形状の略6面体として構成されている。詳細には、インクカートリッジ10は、左右方向51に細く、上下方向52及び前後方向57が左右方向51よりも長い略直方体形状に形成されている。インクカートリッジ10は、図1に示された起立状態で、図中の下側の面を下壁104とし、図中の上側の面を上壁103として、前壁102側からカートリッジ装着部50に装着される。
インクカートリッジ10は、本体20、大気連通バルブ80、及びインク供給バルブ90を有する。なお、インクカートリッジ10として、例えば、本体20の略全体を覆うケースや、大気連通部79やインク供給部89を覆うプロテクタなどが設けられていてもよい。
[本体20]
本体20は、フレーム110とフィルム70とによって構成されている。フレーム110は、インクカートリッジ10の筐体を構成する矩形の環状の部材であり、本体20の後壁101、前壁102、上壁103、下壁104を形成する。フレーム110の左右には開口が形成されている。後壁101と前壁102とは、前後方向57において少なくとも部分的に重なっている。上壁103と下壁104とは、上下方向52において少なくとも部分的に重なっている。前壁102が第1壁に相当する。後壁101が第2壁に相当する。上壁103が第3壁に相当する。
フレーム110の左右の開口それぞれにフィルム70が貼り付けられている。フィルム70により、フレーム110の左右の開口が封止されて、本体20の左壁105及び右壁106が形成されている。フレーム110及びフィルム70によって区画された空間が貯留室12である。つまり、貯留室12は、後壁101と前壁102との間に設けられている。なお、本実施形態では、フレーム110とフィルム70とによって貯留室12が区画されているが、例えば、フレーム110自体を直方体の容器状に形成することによってその内部に貯留室12が形成されていてもよい。
フレーム110の上壁103の後壁101側には、当接部107が設けられている。当接部107は、カートリッジ装着部50の装着位置にインクカートリッジ10を保持するために、カートリッジ装着部50に設けられた保持部材63と当接するものである。当接部107は、上壁103の後壁101側の一部が下方へ凹んでなるものである。当接部107は、左右方向51及び上下方向52に沿って延びており、後壁101側を向いた当接面108を有する。当接部107に進入した保持部材63が当接面108に当接することによって、カートリッジ装着部50の装着位置からインクカートリッジ10が取出向き69へ移動することが規制される。
[大気連通部79]
図3に示されるように、フレーム110の前壁102の上部には、円形の開口82が設けられている。開口82に連続してフレーム110の内部に向かって円筒状のバルブ収容室55が形成されている。バルブ収容室55は、本体20の前後方向57へ延設されている。バルブ収容室55の後壁101側は、奥壁58により区画されている。バルブ収容室55は、奥壁58を貫通して形成された貫通孔27を通じて貯留室12に連通している。バルブ収容室55に、大気連通バルブ80が収容されている。これにより、フレーム110の前壁102の上部に大気連通部79が構成されている。大気連通部79は、後述される大気連通孔81を通じて貯留室12とインクカートリッジ10の外部とを連通させるものである。
大気連通バルブ80は、開口82から貯留室12の空気層に至る経路を開放又は閉塞する弁機構である。大気連通バルブ80は、主として、バルブ本体87、圧縮コイルバネ86、シール部材83、キャップ85により構成されている。
バルブ本体87は、バルブ収容室55において、本体20の前後方向57へスライド可能に設けられている。バルブ本体87は、蓋体88と、ロッド84とを有する。ロッド84は、後述される大気連通孔81に挿通される。ロッド84の外径は、大気連通孔81の内径より小さいので、シール部材83と摺動することなく、バルブ本体87とともに前後方向57へ移動可能である。また、ロッド84と大気連通孔81との間には、空気が流通可能な隙間が形成されている。ロッド84は、蓋体88の中心軸から開口82の中心を通って外部へ突出している。バルブ本体87が第2弁体に相当する。
バルブ本体87がバルブ収容室55内でスライドするに伴って、蓋体88が、シール部材83に当接する位置とシール部材83から離れる位置との間でスライドする。蓋体88がシール部材83に当接している第3位置では大気連通孔81が閉塞される。蓋体88がシール部材83から離れた第4位置では大気連通孔81が開放される。
開口82の外縁部分にシール部材83を介してキャップ85が取り付けられている。キャップ85及びシール部材83は軸方向に貫通する貫通孔を有する。シール部材83は、ゴムやエラストマーなどが成形されたものであり、外力が付与されることによって弾性変形するものである。シール部材83が開口82の外縁部分に取り付けられ、シール部材83を覆うようにしてキャップ85が取り付けられている。これにより、シール部材83の貫通孔がバルブ収容室55の内外を連通する大気連通孔81となっている。シール部材83の貫通孔により形成される大気連通孔81が第2開口に相当する。シール部材83が第2弾性部材に相当する。
シール部材83のフレーム110の外側へ突出する先端側の部分には、テーパ面71が設けられている。テーパ面71は、大気連通孔81を区画するシール部材83の内面72と連続する面である。また、テーパ面71は、突出先端へ向かって径が拡がる面である。テーパ面71は、大気連通孔81を区画するシール部材83の内面72より摩擦係数が小さい粗面である。より詳細には、テーパ面71の静摩擦係数及び動摩擦係数は、内面72の静摩擦係数及び動摩擦係数より小さい。これにより、テーパ面71は、内面72よりカートリッジ装着部50の押圧部66(図2参照)に対して摺動し易い。テーパ面71が第2密着面に相当する。なお、テーパ面71と内面72との摩擦係数の比較は、同一の対象物(例えば、押圧部66)との間の摩擦係数の比較であることは言うまでもない。また、テーパ面71と内面72との摩擦係数の差は、例えば、テーパ面71と内面72との表面粗さを異なることにより生じさせることができる。
バルブ収容室55に圧縮コイルバネ86が配置されている。圧縮コイルバネ86は、前後方向57に圧縮可能に配置されている。圧縮コイルバネ86の一端は、バルブ収容室55の奥壁58に当接されており、他端はバルブ本体87の蓋体88に当接されている。つまり、圧縮コイルバネ86は、バルブ収容室55の奥壁58とバルブ本体87の蓋体88との間に介設されている。圧縮コイルバネ86は、シール部材83の大気連通孔81の周囲へ向かってバルブ本体87を付勢している。これにより、大気連通バルブ80は、外力が付与されていない状態では、蓋体88がシール部材83の大気連通孔81の周囲に当接して、すなわち第3位置に位置して大気連通孔81を閉塞している。圧縮コイルバネ86が第2付勢部材に相当する。
カートリッジ装着部50にインクカートリッジ10が装着される過程において、ロッド84は、後述される押圧部66によってバルブ収容室55の奥壁58(図3における左側)へ向けて押圧される。ロッド84が押圧部66からの押圧力を受けると、圧縮コイルバネ86の付勢力に抗してバルブ本体87の蓋体88がシール部材83から離間して第4位置に位置する。これにより、大気連通孔81が開放されて、開口82から貯留室12に至る経路が開放される。大気連通孔81を経て貯留室12に空気が流出入することで、貯留室12内の空気層が大気圧と同圧になる。
[インク供給部89]
図4に示されるように、フレーム110の前壁102の下部に円形の開口92が形成されている。開口92に連続してフレーム110の内部に向かって円筒状のバルブ収容室54が形成されている。バルブ収容室54は、本体20の前後方向57へ延設されている。バルブ収容室54の後壁101側は奥壁53により区画されている。バルブ収容室54は、奥壁53を貫通して形成された貫通孔28を通じて貯留室12に連通している。バルブ収容室54にインク供給バルブ90が収容されている。これにより、フレーム110の前壁102の下部にインク供給部89が構成されている。インク供給部89は、後述されるインク供給孔91を通じて貯留室12からインクカートリッジ10の外部へインクを導出させるものである。インク供給部89が印刷流体供給部に相当する。
インク供給バルブ90は、開口92から貯留室12に至る経路を開放又は閉塞する弁機構として構成されている。インク供給バルブ90は、主として、バルブ本体97、圧縮コイルバネ96、シール部材93、キャップ95により構成されている。
開口92の外縁部分にシール部材93を介してキャップ95が取り付けられている。キャップ95及びシール部材93は貫通孔を有する。シール部材93は、ゴムやエラストマーなどが成形されたものであり、外力が付与されることによって弾性変形するものである。シール部材93が開口92の外縁部分に取り付けられ、そのシール部材93を覆うようにキャップ95が開口92の外縁部分に取り付けられている。シール部材93の貫通孔によって、バルブ収容室54の内部と外部とを連通するインク供給孔91が形成される。インク供給孔91は、インクカートリッジ10がカートリッジ装着部50(図2参照)に挿入されたときに、管状のインクニードル49が挿入される部分である。インクニードル49の先端部には、インクニードル49の内部空間と外周面とを貫通する貫通孔が形成されている(図2参照)。シール部材93におけるインク供給孔91を区画する内面73は、大気連通部79のシール部材83のテーパ面71より摩擦係数が大きい。換言すれば、テーパ面71は、内面73より摩擦係数が小さい。これにより、内面73は、テーパ面71より摺動抵抗が大きい。シール部材93におけるインク供給孔91が第1開口に相当する。シール部材93が第1弾性部材に相当する。内面73が第1密着面に相当する。
バルブ収容室54に圧縮コイルバネ96が配置されている。圧縮コイルバネ96は、圧縮コイルバネ96を構成するバネ材料、バネの線径、巻数、コイル径、及びバネ定数が圧縮コイルバネ86と同じものである。すなわち、圧縮コイルバネ86及び圧縮コイルバネ96は、同一のものである。バルブ収容室54内において、圧縮コイルバネ96は、インク経路を形成するインク供給孔91を閉塞する方向へバルブ本体97を弾性的に付勢している。つまり、圧縮コイルバネ96は、バルブ本体97をシール部材93へ近づける向き(図4における右向き)へ弾性的に付勢している。したがって、インク供給バルブ90が外力を受けていない第1位置では、バルブ本体97がインク供給孔91を閉塞する。インク供給孔91にインクニードル49(図2参照)が挿入されると、圧縮コイルバネ96の付勢力に抗してバルブ本体97がシール部材93から離れて第2位置に位置して、インク供給孔91が開放される。これにより、貯留室12内のインクをバルブ収容室54及びインクニードル49を通じて導出することが可能となる。バルブ本体97が第1弁体に相当する。圧縮コイルバネ96が第1付勢部材に相当する。
図4に示されるように、バルブ収容室54の奥部には流量制御弁30が設けられている。流量制御弁30は、弁体31と、弁体31を受ける弁座37とを備えている。弁体31は、例えばシリコンゴムを射出成形することにより得られる。弁座37は、例えばポリプロピレン樹脂を射出成形することにより得られる。もちろん、このような材料以外のもので弁体31及び弁座37が構成されてもよい。
弁体31は、筒体33、内壁34、及び蓋体35を備える。筒体33は、外径寸法がバルブ収容室54の内径寸法と略等しい筒状に形成されている。筒体33は、弁座37を介して圧縮コイルバネ96に押圧されて、バルブ収容室54の奥壁53に密着する。内壁34は、筒体33の内部に筒体33の中心線と交差する方向に延設されており、断面視で屈曲形状に形成されている(図4参照)。この内壁34は薄肉に形成されている。このため、内壁34は可撓性を有している。なお、内壁34に内壁34の表裏面方向(図4の左右方向)へ貫通する貫通孔(不図示)が形成されている。内壁34の中央に蓋体35が配設されている。蓋体35は、奥壁53に設けられた貫通孔28を閉塞するものであり、貫通孔28を閉塞可能な球状に形成されている。
弁座37は、弁座基部38と弁体受け部39とを備えて構成されている。弁座基部38は、バルブ収容室54の延出方向(図4における左右方向)を長手方向とする棒状の部材である。弁座基部38の外径寸法は、圧縮コイルバネ96の内径寸法よりも若干小さく設定されている。弁座基部38は、圧縮コイルバネ96の内側に挿入されて圧縮コイルバネ96を支持する。これにより、圧縮コイルバネ96の伸縮方向がバルブ収容室54の延出方向に規制される。
弁座基部38の一端に弁体受け部39が設けられている。弁体受け部39は、弁体31を支持する部分である。弁体受け部39は、弁体31の内壁34と蓋体35が受け入れられる凹陥部36を有している。弁体受け部39は、バルブ収容室54の形状に合わせて外観形状が略円柱状に形成されている。この弁体受け部39の凹陥部36の底面には、貫通孔(不図示)が設けられている。弁座37は、凹陥部36に弁体31の内壁34と蓋体35が受け入れられた状態で、圧縮コイルバネ96の付勢力を受けて弁体31の筒体33を奥壁53へ向けて押圧する。
このように流量制御弁30が構成されているので、バルブ収容室54内のインクが貫通孔28を通じて貯留室12へ逆流した場合は、逆流したインクが内壁34を押圧する。この押圧力により、内壁34が伸張して蓋体35が貫通孔28へ向けて移動する。蓋体35が奥壁53における貫通孔28の周囲に当接すると、貫通孔28が閉塞される。これにより、バルブ収容室54から貯留室12へのインクの逆流が抑制される。また、貯留室12内のインクがバルブ収容室54へ流れる場合は、インクが内壁34を押圧して蓋体35を貫通孔28から離隔させる。これにより、貫通孔28が開放される。内壁34及び弁体受け部39の凹陥部36の底面には貫通孔(不図示)が形成されているので、これらの貫通孔と貫通孔28とを通じて貯留室12からバルブ収容室54へのインクの流通が可能となる。なお、流量制御弁30は省略されてもよい。
以下、図3及び図4を参照しながら、圧縮コイルバネ86及び圧縮コイルバネ96について説明する。図3に示されるように、大気連通部79において、ロッド84が外力を受けていない状態では、蓋体88が第3位置に位置してシール部材83に当接する。図4に示されるように、インク供給部89において、バルブ本体97が外力を受けていない状態では、バルブ本体97が第1位置に位置してシール部材93に当接する。
大気連通部79におけるバルブ収容室55の奥壁58と蓋体88との離間距離は、インク供給部89における弁体受け部39とバルブ本体97との離間距離よりも短い。本実施形態では、圧縮コイルバネ86,96として同一の圧縮コイルバネが使用されているので、圧縮コイルバネ86は、圧縮コイルバネ96に比べて前後方向57において圧縮されている。すなわち、バルブ本体87及びバルブ本体97が外力を受けていない状態では、圧縮コイルバネ86が圧縮コイルバネ96よりも短くなっている。
したがって、大気連通部79において、蓋体88が大気連通孔81を閉塞する第3位置に配置されたときの圧縮コイルバネ86の付勢力は、インク供給部89において、バルブ本体97がインク供給孔91を閉塞する第1位置に配置されたときの圧縮コイルバネ96の付勢力よりも大きい。言い換えれば、大気連通孔81及びインク供給孔91が閉塞された状態では、圧縮コイルバネ86の付勢力が圧縮コイルバネ96の付勢力よりも大きい。
[カートリッジ装着部50]
図2に示されるように、カートリッジ装着部50はインクカートリッジ10が挿入及び取り出されるケース60を有する。ケース60は、内部空間にインクカートリッジ10を収容可能な箱形状である。インクカートリッジ10が挿入及び取り出される挿入及び取出方向59は、重力方向と直交する水平方向である。つまり、カートリッジ装着部50が通常使用される状態において、インクカートリッジ10は水平方向に沿って挿入及び取り出される。なお、本実施形態では、挿入及び取出方向59が水平方向に沿っているが、挿入及び取出方向59は重力方向と交差していれば、必ずしも水平方向に沿っていなくてもよい。
ケース60において、挿入及び取出方向59に沿った一方側には開口61が設けられている。開口61を通じて、ケース60にインクカートリッジ10が挿入及び取り出される。ケース60の奥部、つまり開口61と挿入及び取出方向59において反対側となる奥壁62の上部には押圧部66が設けられている。押圧部66は、大気連通バルブ80のロッド84と対応する位置に設けられている。押圧部66は、ロッド84の先端と当接する部材である。インクカートリッジ10がカートリッジ装着部50に挿入される過程で、ロッド84の先端が押圧部66に当接する(図5参照)。この状態からカートリッジ装着部50に対してインクカートリッジ10が更に挿入されると、圧縮コイルバネ86の付勢力に抗してロッド84が大気連通バルブ80内へ押し込まれて、ロッド84及び蓋体88がバルブ収容室55の奥壁58へ向かって移動する。これにより、大気連通孔81が開放される(図6〜図8参照)。また、押圧部66の先端は、シール部材83にも当接して、シール部材83を外側へ拡がるように弾性変形させつつ、シール部材83に対して摺動する。押圧部66が第2開放部材に相当する。
カートリッジ装着部50の奥壁62の下部にインクニードル49が設けられている。インクニードル49は、インクカートリッジ10のインク供給バルブ90と対応する位置に設けられている。インクニードル49は、カートリッジ装着部50の奥壁62から開口61へ向かって突出された中空管である。インクニードル49は、インクカートリッジ10がカートリッジ装着部50に挿入される過程において、インク供給バルブ90のインク供給孔91に挿入されてバルブ本体97に当接する。
インクニードル49がインク供給孔91に挿入された際にインクニードル49の外周面とシール部材93とが密着するように、インクニードル49の外径寸法は、インク供給孔91の内径よりも若干大きく設定されている。このため、インク供給孔91にインクニードル49が挿入された場合に、インクニードル49にシール部材93が圧接する。上述のように、インクカートリッジ10がカートリッジ装着部50に挿入される過程で、インク供給孔91に挿入されたインクニードル49の先端がバルブ本体97に当接する。この状態からカートリッジ装着部50に対してインクカートリッジ10が更に挿入されると、圧縮コイルバネ96の付勢力に抗してバルブ本体97が押し込まれてバルブ収容室54の奥壁53へ向かって移動する。これにより、インク供給孔91が開放される(図6及び図7参照)。また、インクニードル49の外周面は、シール部材93に対して摺動する。インクニードル49が第1開放部材に相当する。
ケース60の上側には、保持部材63が設けられている。保持部材63は、ケース60によって回動可能に支持された長尺な部材である。保持部材63が回動することによって、保持部材63においてケース60の奥壁62側となる端部64が、ケース60の内部空間へ出入りする。端部64は、ケース60の内部空間へ突出した状態において、インクカートリッジ10の当接面108と当接可能である。端部64がケース60の内部空間からケース60の上壁に没入すると、端部64は当接面108から離間する。したがって、保持部材63の端部64がインクカートリッジ10の当接面108に当接すると、カートリッジ装着部50の装着位置からインクカートリッジ10が取出向き69へ移動することが規制され、保持部材63が回動されて端部64が当接面108から離れると、インクカートリッジ10が装着位置から取出向き69へ移動可能となる。
[抵抗力と付勢力]
カートリッジ装着部50に装着されて保持部材63によって装着位置に保持されているインクカートリッジ10には、圧縮コイルバネ86,96から取出向き69へ付勢力が付与されている。保持部材63が回動されて端部64が当接面108から離れると、インクカートリッジ10は、圧縮コイルバネ86.96からの付勢力によって取出向き69へ移動しようとする。このとき、大気連通部79のシール部材83に対して押圧部66の外周面が摺動し、また、インク供給部89のシール部材93に対してインクニードル49が摺動する。これらの摺動が始まるには、シール部材83と押圧部66との摩擦抵抗と、シール部材93とインクニードル49との摩擦抵抗との和より大きな付勢力がインクカートリッジ10に対して取出向き69へ付与されている必要がある。
カートリッジ装着部50にインクカートリッジ10が装着された状態において、圧縮コイルバネ86がインクカートリッジ10に付与する付勢力が第2付勢力と称される。また、圧縮コイルバネ96がインクカートリッジ10に付与する付勢力が第1付勢力と称される。また、シール部材83に対して押圧部66が摺動し始めることに抗する抵抗力(摩擦力)が第2抵抗力と称される。また、シール部材93に対してインクニードル49が摺動し始めることに抗する抵抗力(摩擦力)が第1抵抗力と称される。
図10には、大気連通部79のシール部材83に対して押圧部66を独立して摺動させたときの第2付勢力及び第2抵抗力が示されている。またインク供給部89のシール部材93に対してインクニードル49を独立して摺動させたときの第1付勢力及び第1抵抗力が示されている。さらに、第1付勢力と第2付勢力との和、及び第1抵抗力と第2抵抗力との和が示されている。なお、図10において、第2抵抗力がマイナスの値となっている箇所があるが、これは、第2抵抗力が押圧部66が取出向き69へ移動するのを妨げる抵抗とはならず、逆に押圧部66に対して取出向き69へ移動される力を付与していることを意味する。
なお、横軸(距離)に対して、第1付勢力及び第1抵抗力は、第2付勢力及び第2抵抗力に対して、右方向へずらされて現されている。後述されるように、カートリッジ装着部50からインクカートリッジ10が取り外される過程において、インクニードル49がインク供給部89のシール部材93に対して摺動し始めるタイミングが、押圧部66が大気連通部79のシール部材83に対して摺動し始めるタイミングより遅いからである。
距離(横軸)がゼロのとき、すなわちインクカートリッジ10がカートリッジ装着部50の装着位置にあるときには、第1付勢力は第1抵抗力より小さい。また、第2付勢力は第2抵抗力より大きい。また、第2抵抗力は第1抵抗力より小さい。
取出向き69へ大気連通部79が移動して、押圧部66がシール部材83に対して摺動し始めたときにおける圧縮コイルバネ86の付勢力(第3付勢力に相当する。)と、第1付勢力との和は、第1抵抗力より大きい。
第1付勢力、第2付勢力、及び第1付勢力と第2付勢力との和は、いずれも距離が増えると、すなわちインクカートリッジ10がカートリッジ装着部50の装着位置から取出向き69へ移動した距離が増えると、直線的に減少する。また、第1付勢力及び第2付勢力が生じているときには、第2付勢力は、第1付勢力より常に大きい。
以下、図2、図5から図9を参照して、カートリッジ装着部50にインクカートリッジ10が装着及び取り出される動作が説明される。なお、図2及び図5から図9においては、弁台31の図示が省略されている。また、図5から図9においては、インクチューブ48の図示が省略されている。
図2に示されるように、インクカートリッジ10が未装着のときには、蓋体88が大気連通孔81を閉塞する第3位置に配置され、バルブ本体97がインク供給孔91を閉塞する第1位置に配置されている。
図5に示されるように、ユーザによって、インクカートリッジ10が開口61から挿入向き68へケース60へ挿入されると、ロッド84の先端が押圧部66に当接する。インクカートリッジ10が挿入向き68へ更に挿入されると、ロッド84が圧縮コイルバネ86の付勢力に抗してバルブ収容室55の奥壁58に向かって、すなわち第4位置へ向かって移動する。また、ロッド84と共に蓋体88がシール部材83から離隔する方向へ移動する。これにより、大気連通孔81が開放される。同様に、インクニードル49の先端がバルブ本体97に当接する。ケース60に対してインクカートリッジ10が更に挿入向き68へ挿入されると、バルブ本体97は、インクニードル49に押圧されて圧縮コイルバネ96の付勢力に抗してバルブ収容室54の奥壁53に向かって、すなわち第2位置へ向かって移動する。
図6に示されるように、ケース60の装着位置をインクカートリッジ10が越えると、インクカートリッジ10の当接部107の当接面108が、保持部材63の端部64よりケース60の奥壁62側へ移動する。そして、保持部材63の端部64がケース60の内部空間へ突出することによって、端部64が当接面108と上下方向52において同じ位置となり、端部64が当接面108と当接可能となる。
ユーザがインクカートリッジ10を挿入向き68へ押し込むことを止めると、図7に示されるように、圧縮コイルバネ86,96の第1付勢力及び第2付勢力によってインクカートリッジ10が取出向き69へ移動して、当接面108が保持部材63の端部64に当接する。これにより、インクカートリッジ10が装着位置に保持される。
このように、インクカートリッジ10がカートリッジ装着部50のケース60へ挿入されるときには、圧縮コイルバネ86,96の第1付勢力及び第2付勢力が装着荷重としてユーザに作用するが、第1付勢力が第1抵抗力より小さいので、インクカートリッジ10全体に作用する装着荷重が比較的小さい。
ケース60に対してインクカートリッジ10が挿入及び取り出されるために、ケース60の内部空間は、インクカートリッジ10の外形より若干大きい。具体的には、ケース60の内部空間の上下方向52の長さは、インクカートリッジ10の上下方向52の長さより若干長い。つまり、インクカートリッジ10は、ケース60の内部空間において、左右方向51に沿った回転軸周りに回転するようにガタつくことができる。
装着位置において、インクカートリッジ10の上壁103側において保持部材63の端部64が当接面108と当接している。また、インクカートリッジ10は、圧縮コイルバネ86,96から第1付勢力及び第2付勢力を受けている。第1付勢力及び第2付勢力は、いずれも当接面108より上下方向52の下方に位置する。したがって、装着位置のインクカートリッジ10は、ケース60に対してガタつくことが可能な範囲で、端部64と当接面108の当接位置であって左右方向51に沿った回転軸を中心として、本体20の上壁103と前壁102との角部が挿入向き68且つ下向きへ移動し、下壁104と後壁101との角部が取出向き69且つ上向きへ移動するように回転する。換言すれば、図7において、本体20がケース60内において時計回りに回転する。
装着位置において、蓋体88が大気連通孔81を開放する第4位置に配置され、且つ、バルブ本体97がインク供給孔91を開放する第2位置に配置される。蓋体88が第3位置から第4位置へ移動した距離と、バルブ本体97が第1位置から第2位置へ移動した距離とは同等である。バルブ本体97が第1位置にあるときの圧縮コイルバネ96は、蓋体88が第3位置にあるときの圧縮コイルバネ86より圧縮されている。そして、装着位置まで移動する過程において、圧縮コイルバネ86,96は同等の距離だけ更に圧縮されるので、圧縮コイルバネ86による第2付勢力は、圧縮コイルバネ96による第1付勢力より常に大きい。また、装着位置において、押圧部66の外周面は、シール部材83のテーパ面71及び内面72に密着している。また、インクニードル49の外周面は、シール部材93の内面73に密着している。
図8に示されるように、カートリッジ装着部50からインクカートリッジ10を取り外すときには、ユーザは、保持部材63を回動させて、端部64を当接面108から離間させる。これにより、インクカートリッジ10は、圧縮コイルバネ86,96の第1付勢力及び第2付勢力によって取出向き69へ移動し始める。
インクカートリッジ10がカートリッジ装着部50の装着位置にあるときには、インク供給部89の圧縮コイルバネ96による第1付勢力は、シール部材93がインクニードル49に対して摺動し始めることに抗する第1抵抗力より小さい。したがって、保持部材63の端部64が当接面108から離れても、インク供給部89のシール部材93は、インクニードル49に対して直ちに摺動し始めない。
一方、大気連通部79の圧縮コイルバネ86による第2付勢力は、シール部材83が押圧部66に対して摺動し始めることに抗する第2抵抗力より大きい。したがって、保持部材63の端部64が当接面108から離れると、大気連通部79のシール部材83は、押圧部66に対して直ちに摺動し始める。
図8に示されるように、インク供給部89のシール部材93がインクニードル49に対して摺動せず、大気連通部79のシール部材83が押圧部66に対して摺動することによって、本体20は、シール部材93とインクニードル49との密着箇所を中心として、ケース60内において反時計回りに回転する。これにより、大気連通部79が押圧部66に対して回転しつつ取出向き69へ移動するように姿勢変化して、シール部材83のテーパ面71及び内面72が押圧部66の外周面に対して捻られるように位置関係が変化する。これにより、シール部材83が押圧部66に対して摺動しやすくなる。
シール部材83が押圧部66の外周面に対して摺動して、シール部材83の内面72が押圧部66の外周面から離れると、シール部材83のテーパ面71のみが押圧部66の外周面と接触した状態となり、シール部材83は更に押圧部66に対して摺動しやすくなる。したがって、取出向き69へ大気連通部79が移動して、押圧部66がシール部材83に対して摺動し始めると、第2抵抗力は小さくなる。
第2抵抗力が小さくなることによって、圧縮コイルバネ86の余剰の付勢力(第3付勢力)と圧縮コイルバネ96の第1付勢力との和が、インク供給部89のシール部材93がインクニードル49に対して摺動するための力として作用する。第3付勢力と第1付勢力との和は、第1抵抗力より大きいので、押圧部66がシール部材83に対して摺動し始めた後、インク供給部89のシール部材93がインクニードル49に対して摺動し始める。
インクカートリッジ10が装着位置から取出向き69へ移動する過程において、圧縮コイルバネ86による第2付勢力は、圧縮コイルバネ96による第1付勢力より常に大きいので、インクカートリッジ10は、本体20がケース60内において反時計回りに回転した姿勢を維持しながらケース60内を取出向き69へ移動する。そして、図9に示されるように、押圧部66が大気連通部79のシール部材83から離れ、かつインクニードル49がインク供給部89のシール部材93から離れると、インクカートリッジ10は取出向き69への移動が終了する。
[本実施形態の作用効果]
本実施形態によれば、インク供給部89の圧縮コイルバネ96による第1付勢力が、シール部材93がインクニードル49に対して摺動し始めることに抗する第1抵抗力より小さく、かつ大気連通部79の圧縮コイルバネ86による第2付勢力が、シール部材83が押圧部66に対して摺動し始めることに抗する第2抵抗力より大きいので、装着位置から取出向き69へ移動し始めるときに、インクカートリッジ10は、カートリッジ装着部50のケース60とインクカートリッジ10とのガタの範囲において反時計回りに回転しつつ大気連通部79が取出向き69へ移動する。このようなインクカートリッジ10の姿勢変化によって、シール部材83のテーパ面71及び内面72と押圧部66の外周面とが捻られるように位置関係が変化して、シール部材83が押圧部66に対して摺動しやすくなる。また、シール部材83が押圧部66に対して摺動し始めた後は、圧縮コイルバネ86による第2付勢力が、インク供給部89のシール部材93がインクニードル49に対して摺動するために作用する。これにより、圧縮コイルバネ96による第1付勢力を小さくして、インクカートリッジ10がカートリッジ装着部50へ装着されるときの負荷を小さくすることができる。よって、ユーザが容易にインクカートリッジ10をカートリッジ装着部50に装着することができ、且つ、大気連通部79及びインク供給部89からのインク漏れを低減することができる。
また、装着位置から取出向き69へインクカートリッジ10が移動して、圧縮コイルバネ86,96が蓋体88及びバルブ本体97に付勢力をそれぞれ付与している過程において、圧縮コイルバネ86による第2付勢力は、圧縮コイルバネ96による第1付勢力より常に大きいので、装着位置から取出向き69へ移動する過程において、インクカートリッジ10に姿勢変化が生じ難くなり、カートリッジ装着部50からインクカートリッジ10を円滑に取り出すことができる。
また、大気連通部79のシール部材83が押圧部66に対して摺動し始めることに抗する第2抵抗力は、インク供給部89のシール部材93がインクニードル49に対して摺動し始めることに抗する第1抵抗力より小さいので、大気連通部79及びインク供給部89からのインク漏れを低減しつつ、押圧部66がシール部材83から離れやすくできる。
また、大気連通部79のシール部材83のテーパ面71は、インク供給部89のシール部材93の内面72より摩擦係数が小さいので、簡易な構成でシール部材83における摺動抵抗を小さくできる。
[変形例]
なお、本実施形態では、大気連通部79のシール部材83のテーパ面71が、インク供給部89のシール部材93の内面73より摩擦係数が小さいが、大気連通部79のシール部材83と押圧部66とによる第2抵抗力が、インク供給部89のシール部材93とインクニードル49とによる第1抵抗力より小さくなるのであれば、テーパ面71に代えて押圧部66の外周面の摩擦係数が、シール部材93の内面73の摩擦係数より小さくてもよい。
また、本実施形態では、圧縮コイルバネ86,96に同一の圧縮コイルバネを使用しているが、圧縮コイルバネ86,96は必ずしも同一の圧縮コイルバネである必要はない。すなわち、インクカートリッジ10が取り出される過程において、圧縮コイルバネ86による第2付勢力が圧縮コイルバネ96による第1付勢力よりも大きくなるように、バネ定数が異なる圧縮コイルバネ86,96が採用されてもよい。
また、本実施形態では、本発明の第1付勢部材及び第2付勢部材が圧縮コイルバネ86,96である形態が説明されるが、第1付勢部材及び第2付勢部材はこれに限定されるものではない。第1付勢部材及び第2付勢部材は、例えば樹脂からなる弾性部材であってもよい。
10 インクカートリッジ(印刷流体カートリッジ)
12 貯留室
49 インクニードル(第1開放部材)
50 カートリッジ装着部
60 ケース
63 保持部材
66 押圧部(第2開放部材)
71 テーパ面(第2密着面)
73 内面(第1密着面)
79 大気連通部
83 シール部材(第2弾性部材)
84 ロッド
86 圧縮コイルバネ(第2付勢部材)
88 蓋体(第2弁体)
89 インク供給部(印刷流体供給部)
93 シール部材(第1弾性部材)
96 圧縮コイルバネ(第1付勢部材)
97 バルブ本体(第1弁体)
101 後壁(第2壁)
102 前壁(第1壁)
103 上壁(第3壁)
107 当接部
120 インク供給装置(印刷流体供給装置)

Claims (6)

  1. カートリッジ装着部に印刷流体カートリッジが重力方向と交差する挿入及び取出方向に沿って挿入及び取り出される印刷流体供給装置であって、
    上記印刷流体カートリッジは、
    第1壁と、
    上記第1壁に対して上記挿入及び取出方向のうちの取出向きに位置する第2壁と、
    上記第1壁と上記第2壁との間に設けられて印刷流体が貯留される空間である貯留室と、
    上記第1壁に配置されており、上記貯留室から印刷流体を供給する印刷流体供給部と、
    上記第1壁において上記印刷流体供給部より上方に配置されており、上記貯留室と外部とを連通する大気連通部と、
    上記大気連通部より上方において上記第1壁と上記第2壁との間に設けられた第3壁と、
    上記第3壁側に配置された当接部と、を具備しており、
    上記印刷流体供給部は、
    上記挿入及び取出方向を軸線方向とする第1開口の周囲に設けられた第1弾性部材と、
    上記挿入及び取出方向に沿って、上記第1開口を閉塞する第1位置及び上記第1開口を開放する第2位置に移動可能な第1弁体と、
    上記挿入及び取出方向に沿って圧縮変形することにより付勢力を発生させるものであって、上記第1弁体を上記第1位置へ付勢する第1付勢部材と、を有するものであり、
    上記大気連通部は、
    上記挿入及び取出方向を軸線方向とする第2開口の周囲に設けられた第2弾性部材と、
    上記挿入及び取出方向に沿って、上記第2開口を閉塞する第3位置及び上記第2開口を開放する第4位置に移動可能な第2弁体と、
    上記挿入及び取出方向に沿って圧縮変形することにより付勢力を発生させるものであって、上記第2弁体を上記第3位置へ付勢する第2付勢部材と、を有するものであり、
    上記カートリッジ装着部は、
    上記印刷流体カートリッジが上記挿入及び取出方向に沿って挿入及び取り出されるケースと、
    上記印刷流体カートリッジが上記ケース内の装着位置から上記取出向きへ移動しないように上記当接部に当接可能な保持部材と、
    上記印刷流体カートリッジが上記装着位置へ挿入される過程において、上記第1弾性部材に摺動しつつ、上記第1弁体を上記第1付勢部材の付勢力に抗して上記第2位置へ移動させる第1開放部材と、
    上記印刷流体カートリッジが上記装着位置へ挿入される過程において、上記第2弾性部材に摺動しつつ、上記第2弁体を上記第2付勢部材の付勢力に抗して上記第4位置へ移動させる第2開放部材と、を具備しており、
    上記装着位置における上記第1付勢部材の第1付勢力は、上記装着位置における上記第1開放部材が上記第1弾性部材に対して摺動し始めることに抗する第1抵抗力より小さく、
    上記装着位置における上記第2付勢部材の第2付勢力は、上記装着位置における上記第2開放部材が上記第2弾性部材に対して摺動し始めることに抗する第2抵抗力より大きく、
    上記取出向きへ上記大気連通部が移動して、上記第2開放部材が上記第2弾性部材に対して摺動したとき又は離れたときの上記第2付勢部材の第3付勢力と、上記第1付勢力との和は、上記第1抵抗力より大きい印刷流体供給装置。
  2. 上記装着位置から上記取出向きへ上記印刷流体カートリッジが移動して、上記第1付勢部材が上記第1開放部材に付勢力を付与し、かつ上記第2付勢部材が上記第2開放部材に付勢力を付与している過程において、上記第2付勢部材の付勢力は、上記第1付勢部材の付勢力より常に大きい請求項1に記載の印刷流体供給装置。
  3. 上記第2抵抗力は、上記第1抵抗力より小さい請求項1又は2に記載の印刷流体供給装置。
  4. 上記第1開放部材及び上記第1弾性部材は、それぞれ、互いに密着する第1密着面を有しており、
    上記第2開放部材及び上記第2弾性部材は、それぞれ、互いに密着する第2密着面を有しており、
    上記第2開放部材の第2密着面及び上記第2弾性部材の第2密着面の少なくともいずれか一方は、上記第1開放部材の第1密着面及び上記上記第1弾性部材の第1密着面の少なくともいずれか一方より摩擦係数が小さい請求項1から3のいずれかに記載の印刷流体供給装置。
  5. 上記第1付勢部材及び上記第2付勢部材は、圧縮コイルバネである請求項1から4のいずれかに記載の印刷流体供給装置。
  6. 上記第1開口は、上記第1弾性部材を貫通して設けられており、
    上記第1開放部材は、上記第1弾性部材の上記第1開口に挿入される管体であり、
    上記第2弁体は、上記第2開口から外側へ突出されて上記第2開放部材と当接可能なロッドを有するものである請求項1から5のいずれかに記載の印刷流体供給装置。
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