JP6919231B2 - インク補給容器 - Google Patents
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Description
本発明の一形態は、プリンターのインクタンクにインクを補給するインク補給容器である。このインク補給容器は、前記インクを収容可能な容器本体と、前記容器本体の先端側に装着され、インク出口を形成するインク出口形成部と、前記インク出口形成部の先端側に装着可能なキャップと、前記インク出口の開口よりも前記容器本体側の後端側において前記インク出口に装着された出口弁と、を備える。前記インク出口は、外周面と、前記外周面の内側に位置し、前記インクが通過する前記開口に面した内周面とを有し、前記キャップは、前記インク出口の前記外周面に接して第1出口シール部を形成する第1突起と、前記インク出口の前記内周面に接して第2出口シール部を形成する第2突起とを有し、前記インク出口は、前記出口弁に接して第3出口シール部を形成する第3突起を有する。
このインク補給容器によれば、インク出口の内周面に第2出口シール部が形成されるので、インク出口の内周面よりも外側の部分がインクで汚れてしまうという不具合を抑制できる。また、インク出口の外周面と内周面の両方によって2重の出口シール部が形成されるので、インク出口におけるインクの漏れ出しをより確実に抑制できる。
この構成によれば、キャップを閉める際に、内周側の第2出口シール部の方が外周側の第1出口シール部よりも先にシールを開始するので、キャップの内部とインク出口形成部との間に形成される空間の容積を小さくすることができる。また、これに伴って、容器本体の内部圧力が増大してしまう現象を抑制できる。
この構成によれば、第2出口シール部と第3出口シール部がインク補給容器の中心軸から同じ距離の位置に形成される場合に比べて、第2出口シール部で発生する歪みが第3筒状突起に伝わり難いので、第3筒状突起と出口弁との間に形成される第3出口シール部のシール性能が低下してしまうことを抑制できる。
<インク出口形成部400とキャップ600の間のシール箇所>
(1)キャップ600の第1突起610の内周面と、インク出口460の外周面との間(第1出口シール部S461)。
(2)キャップ600の第2突起620の外周面と、インク出口460の内周面との間(第2出口シール部S462)。
<出口弁500とインク出口形成部400との間のシール箇所>
(1)インク出口形成部400の第3突起424の後端と、スリット弁521の上面の凹部との間(第3出口シール部S463)。
(2)保持リング510の第2筒状部514の外側にある凸部515と、インク出口形成部400の中空円筒部410の内側にある凹部411との間。
<出口弁500の部品間のシール箇所>
(1)スリット弁521の支持部523の後端と保持リング510の凹部との間。
実施形態のインク補給容器200(図5)では、(i)キャップ600の第1突起610の内周面とインク出口460の外周面との間の接触部分が第1出口シール部S461を形成しており、また、(ii)キャップ600の第2突起620の外周面とインク出口460の内周面との間の接触部分が第2出口シール部S462を形成している。これに対して、参考例(図12)では、第2出口シール部S462に相当するシール部は存在しない。実施形態では、インク出口460の内周面に第2出口シール部S462が形成されるので、インク出口460の先端側の表面(すなわち、出口リング部420の上面)がインクで汚れてしまうという不具合を抑制することが可能である。更に、実施形態では、インク出口460の外周面と内周面に2重の出口シール部S461,S462が形成されるので、キャップ600を閉めた状態におけるインク出口460からのインクの漏れ出しをより確実に抑制できる。
実施形態のインク補給容器200(図5)では、第2出口シール部S462の後端高さH462が、第1出口シール部S461の後端高さH461よりも低い位置にある。換言すれば、容器本体300の底部から第2出口シール部S462の容器本体300側の後端位置までの距離H462が、容器本体300の底部から第1出口シール部S461の容器本体300側の後端位置までの距離H461よりも短い。このような構成を採用すれば、キャップ600を閉める際に、内周側の第2出口シール部S462の方が外周側の第1出口シール部S461よりも先にシールを開始する。すなわち、内周側の第2出口シール部S462では、外周側の第1出口シール部S461よりも部材同士の接触がより早く開始される。この結果、キャップ600の内部とインク出口形成部400との間に形成される空間の容積を小さくすることができる。ここで、仮に外周側の第1出口シール部S461の方が内周側の第2出口シール部S462よりも先にシールを開始する構造を想定する。この仮想的な構造では、キャップ600を閉める際に、キャップ600の内部とインク出口形成部400との間に形成される空間の容積が実施形態よりも大きくなり、また、キャップ600を完全に閉めた際にその内部の閉空間における圧力が実施形態よりも増大する。キャップ600内部の閉空間の圧力が増大すると、閉空間内の空気がスリット弁521を通過して容器本体300の内部に移動し、容器本体300の内部圧力も増大する。容器本体300の内部圧力が増大すると、インク補給容器200を用いてインクタンク130にインクを補給する際に、その内圧とともにインク水頭がスリット弁521に掛かり、一挙にスリット弁521が開弁してインクが噴出する可能性がある。一方、実施形態のインク補給容器200では、内周側の第2出口シール部S462の後端高さH462が外周側の第1出口シール部S461の後端高さH461よりも低い位置にあるので、仮想的な構造に比べてキャップ600の内部とインク出口形成部400との間に形成される空間の容積を小さくすることができる。この結果、インク補給容器200からインクが不用意に噴出してしまう可能性を低減できる。
実施形態のインク補給容器200(図5)では、キャップ600とインク出口460との間に形成される第2出口シール部S462が、インク出口460と出口弁500との間に形成される第3出口シール部S463よりも、インク補給容器200の中心軸Cに近い側に形成されている。ここで、仮に2箇所の出口シール部S462,S463が、インク補給容器200の中心軸Cから同じ距離の位置に設けられている構造を想定する。この仮想的な構造では、キャップ600を閉める際にキャップ600とインク出口460とが接触したときに、第2出口シール部S462の位置(すなわち第2突起620とインク出口460との間)で発生する歪みが、インク出口460の第3突起424に伝わりやすい。この結果、第3突起424が変形してしまい、第3突起424と出口弁500との間に形成される第3出口シール部S463のシール性能が低下する可能性がある。実施形態のインク補給容器200では、上述した仮想的な構造に比べて第2出口シール部S462で発生する歪みが第3突起424に伝わり難いので、第3突起424と出口弁500との間に形成される第3出口シール部S463のシール性能が低下してしまうことを抑制できる。
実施形態のインク補給容器200(図6)では、容器本体300の中心を軸心としたとき、容器本体300の先端係合部350の外径が、ネジ形成部310の外径よりも小さく設定されている。この結果、容器本体300とインク出口形成部400の間の本体シール部S351,S352が、容器本体300のネジ形成部310よりもインク補給容器200の中心軸Cに近い位置に形成されている。ここで、仮に先端係合部350とネジ形成部310の外径を同一にした構造を想定する。この仮想的な構造では、本体シール部S351,S351の周長が実施形態よりも長くなるので、本体シール部S351,S352のシール性能がやや低下する可能性がある。換言すれば、実施形態のインク補給容器200では、本体シール部S351,S352の周長が短く抑えられるので、シール性能を向上させることができる。一方、先端係合部350とネジ形成部310の外径を同一にしたままで、本体シール部S351,S352の周長が実施形態と同程度になるように容器本体300のネジ形成部310の径を小さくした他の仮想的構造を考えると、容器本体300の容積が減少してしまうという問題が生じる。一方、実施形態のインク補給容器200では、ネジ形成部310の外径が容器本体300の先端係合部350の外径よりも大きいので、容器本体300の容積が過度に小さくなることを抑制できる。このように、容器本体300の先端係合部350の外径をネジ形成部310の外径よりも小さく設定することによって、シール性能を向上させつつ、容器本体300の容積が過度に小さくなることを抑制できる。
実施形態のインク補給容器200(図6)では、先端係合部350の外周側の第1本体シール部S351の後端高さH351が、内周側の第2本体シール部S352の後端高さH352よりも高い位置にある。換言すれば、容器本体300の底部から第1本体シール部S351の容器本体300側の後端位置までの距離H351は、容器本体300の底部から第2本体シール部S352の容器本体300側の後端位置までの距離H352より長い。このような構成を採用すれば、インク補給容器200の製造時等において容器本体300にインク出口形成部400を装着する際に、内周側の第2本体シール部S352の方が外周側の第1本体シール部S351よりも先にシールを開始する。すなわち、内周側の第2本体シール部S352では、外周側の第1本体シール部S351よりも部材同士の接触がより早く開始される。ここで、内周側の第2本体シール部S352が無い仮想的な構造を考える。この仮想的な構造では、第1本体シール部S351の内側が容器本体300とインク出口形成部400で囲まれる閉空間となるので、その閉空間の容積がかなり大きくなってしまう。一方、実施形態のインク補給容器200では、内周側の第2本体シール部S352の内側が容器本体300とインク出口形成部400で囲まれる閉空間となるので、仮想的な構造に比べて容器本体300とインク出口形成部400で囲まれる閉空間の容積を小さくすることができる。また、上述した仮想的な構造では、第1本体シール部S351においてシールが開始された後に更にインク出口形成部400を螺合してゆくと、容器本体300の内圧が増大してしまうという問題も生じる。一方、実施形態のインク補給容器200では、内周側の第2本体シール部S352において先にシールが開始されるので、容器本体300の内圧が過度に上昇する可能性を低減できる。
実施形態のインク補給容器200(図6)では、容器本体300のネジ形成部310の先端側部分に設けられた肩部340が、インク出口形成部400の当接部440と当接するように構成されている。従って、容器本体300にインク出口形成部400を螺合してゆくと、ネジ形成部310の肩部340がインク出口形成部400の当接部440に当接して螺合が完了する。このとき、肩部340と当接部440間の応力は、インク補給容器200の軸方向に沿って、肩部340の後端側にあるネジ形成部310に伝達される。これに対して、参考例(図13)では、インク出口形成部400Rの内面に設けられた当接部480Rが、シール部材302Rを挟んで容器本体300Rの先端係合部350Rの先端面に押しつけられた状態で螺合が完了する。この参考例では、当接部480Rが、ネジ形成部310Rよりもインク補給容器200Rの中心軸Cに近い位置にあるので、当接部480Rに押されて先端係合部350Rが軸方向又は径方向に変形し、当接部480Rと先端係合部350Rで挟まれるシール部材302Rのシール性能が損なわれる可能性がある。一方、実施形態のインク補給容器200では、容器本体300のネジ形成部310の先端側にある肩部340と当接部440の間の応力は、インク補給容器200の軸方向に沿ってネジ形成部310に伝達されるので、先端係合部350を変形させることが無い。従って、先端係合部350におけるシール性能が損なわれる可能性を低減できる。
実施形態のインク補給容器200(図6)では、インク出口形成部400の当接部440として、複数のリブ状の当接部440を、中心軸C回りの円周上の複数の箇所に分散して設けている。この構造では、隣接するリブ状の当接部440同士の間の部分には、容器本体300の肩部340とインク出口形成部400との間にギャップが形成される。従って、インク出口形成部400のネジ形成部430と容器本体300との間の空間が、肩部340と当接部440によって封止されて閉空間となってしまうことを防止できる。また、インク補給容器200の製造時には、容器本体300にインクを充填した後に容器本体300の内部を減圧し、インク補給容器200の全体を密封材料で包装する減圧パック処理が実行される場合がある。この減圧パック処理を行う場合に、容器本体300とインク出口形成部400との間に閉空間が存在すると、この閉空間を十分に減圧できないので、インクの脱気が不十分となる可能性がある。一方、実施形態のインク補給容器200では、減圧パック処理の際にインクの脱気が不十分となる可能性を低減できる。また、インクの脱気を十分に行うことができるので、微少気泡の少ないインクをインクタンク130に補給できる。
本発明は上述した実施形態やその変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
実施形態のインク補給容器200の部材の一部を任意に省略したり、変更したりすることが可能である。例えば、出口弁500やキャップ600を省略してもよい。また、容器本体300の一部又は全部を、可撓性の袋体で構成してもよい。
本発明は、インク補給容器などのインク収容容器に限らず、インク以外の液体を収容する他の種類の液体収容容器にも適用可能である。
Claims (3)
- プリンターのインクタンクにインクを補給するインク補給容器であって、
前記インクを収容可能な容器本体と、
前記容器本体の先端側に装着され、インク出口を形成するインク出口形成部と、
前記インク出口形成部の先端側に装着可能なキャップと、
前記インク出口の開口よりも前記容器本体側の後端側において前記インク出口に装着された出口弁と、
を備え、
前記インク出口は、外周面と、前記外周面の内側に位置し、前記インクが通過する前記開口に面した内周面とを有し、
前記キャップは、前記インク出口の前記外周面に接して第1出口シール部を形成する第1突起と、前記インク出口の前記内周面に接して第2出口シール部を形成する第2突起とを有し、
前記インク出口は、前記出口弁に接して第3出口シール部を形成する第3突起を有する、インク補給容器。 - 請求項1に記載のインク補給容器であって、
前記容器本体の底部から前記第2出口シール部の前記容器本体側の後端位置までの距離は、前記容器本体の前記底部から前記第1出口シール部の前記容器本体側の後端位置までの距離よりも短い、インク補給容器。 - 請求項1又は2に記載のインク補給容器であって、
前記インク補給容器の中心軸を軸心とした半径方向において、前記第2出口シール部は、前記第3出口シール部よりも前記インク補給容器の中心軸に近い位置に形成される、インク補給容器。
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