JP2015089087A - 音響振動板とその製造方法 - Google Patents

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俊樹 大野
Toshiki Ono
俊樹 大野
厚則 佐竹
Atsunori Satake
厚則 佐竹
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Abstract

【課題】音響振動板として必要とされる弾性率を達成し、かつ、充分な厚みを有する音響振動板とその製造方法を提供する。【解決手段】炭素含有樹脂に黒鉛などの平板粒子を混合して均一に分散させ、押出成形機により板状に成形し、非酸化性雰囲気中で焼成・炭素化する。【選択図】なし

Description

本発明は、音響振動板、特に、圧電素子をその上に支持して圧電素子と共に振動する音響振動板、さらに特定すれば、超音波により周囲の物体を検出し距離を測定する車載用ソナーセンサに用いられるに適した音響振動板とその製造方法に関する。
下記特許文献1〜3には、樹脂に、平板粒子である黒鉛を混合して黒鉛を樹脂中に均一に分散させ、音響振動板として必要な弾性率を達成するために、黒鉛結晶の面が振動板の面に平行になるように黒鉛を配向させつつシート状に成形して樹脂を硬化させ、非酸化性雰囲気中で樹脂を焼成・炭素化して得られる、アモルファス炭素中に黒鉛の粒子が均一に分散し、かつ、その結晶面が振動板の面に平行になるように配向した音響振動板が記載されている。それらのうち、特許文献2には、圧電発音体をその上に支持して圧電発音体と共に振動する圧電発音体用の振動板が記載されている。
しかしながら、いずれの特許文献においても、焼成前の成形時にロールによる圧延などにより板厚を薄くして配向させる手法によるため、黒鉛の結晶を充分に配向させて所要の弾性率を得るためには、焼成後の黒鉛を含む層の厚みは最大でも60μm程度(引用文献2)と薄くならざるを得ない。そのため、例えば、車載用ソナーセンサに用いた場合には強度が不充分であり、使用時の振動や異物の衝突により破損する恐れがあるという問題がある。
特開平4−261299号公報 特開2001−160998号公報 特開平2−24309号公報
したがって本発明の目的は、音響振動板として必要とされる弾性率を達成し、かつ、充分な厚みを有する音響振動板とその製造方法を提供することにある。
本願の出願時には未公開である特願2012−283091の明細書において示したように、平均長さ150μmの炭素繊維を樹脂に混合し、口径1mmのシート用ダイスを装着した押出成形機でシート状に成形して非酸化性雰囲気中で焼成・炭素化すれば、0.7mmの厚さを有し、かつ、成形方向において100GPaに近い弾性率を有する音響振動板が得られることが見い出された。そして、本願明細書の実施例において示すように、炭素繊維に代えて平板粒子である黒鉛(平均粒子径5μm)を用いて同様に押出成形を行えば、成形方向において100GPa以上の弾性率が達成されるだけでなく、成形方向と垂直な方向においてもそれに近い弾性率が達成されることが見い出された。本願発明はこの知見に基づくものである。
本発明によれば、厚みが0.4mm以上の板状の母材と、前記母材中に均一に分散した平板粒子であって、前記平板粒子の面が前記母材の面に平行になるように配向している平板粒子とを含む音響振動板が提供される。
前記母材は、例えば、硬化後の樹脂である。
或いはまた、前記母材は、アモルファス炭素である。
母材がアモルファス炭素である場合に、音響振動板の面内の任意の方向における曲げ弾性率は90GPa以上であり得る。
前述の音響振動板は、樹脂に平板粒子を均一に分散させ、前記平板粒子が均一に分散した樹脂を押出成形機にて板状に成形し、前記成形物を加熱して樹脂を硬化させることを含む方法により製造される。
前記樹脂は炭素含有樹脂であり、前記樹脂が硬化された成形物を非酸化性雰囲気中で焼成・炭素化することをさらに含むことが好ましい。
前記平板粒子は、黒鉛、窒化硼素、セラミックス、酸化チタン、ガラスからなる群から選択される一種または二種以上の無機粒子である。
塩化ビニル樹脂60部、天然鱗状黒鉛(日本黒鉛製 平均粒子径5μm)40部に、可塑剤としてジアリルフタレートモノマーを添加して、ヘンシェルミキサーで分散させた後、3本ロールにて混練し、ペレタイザーにてペレット化し、成形用組成物を得た。これを、口径1.2mmのシート用ダイスを装着した押出成形機にてシート状に成形し、180℃のエアオーブン中で3時間処理し樹脂を硬化させた炭素前駆体とした。その後窒素ガス中で毎時15℃で昇温し、1000℃で3時間保持して焼成・炭素化し、0.8mm厚の板材を得た。焼成・炭素化前および焼成・炭素化後の板材について、成形方向と成形方向に垂直な方向において3点曲げ試験により曲げ強度と曲げ弾性率を測定し、密度を測定した。結果を表1に示す。
塩化ビニル樹脂50部、天然鱗状黒鉛(日本黒鉛製 平均粒子径5μm)50部に、可塑剤としてジアリルフタレートモノマーを添加して、ヘンシェルミキサーで分散させた後、3本ロールにて混練し、ペレタイザーにてペレット化し、成形用組成物を得た。これを、口径1.2mmのシート用ダイスを装着した押出成形機にてシート状に成形し、180℃のエアオーブン中で3時間処理し炭素前駆体とした。その後窒素ガス中で毎時15℃で昇温し、1000℃で3時間保持して焼成・炭素化し、0.8mm厚の板材を得た。得られた板材について、成形方向と成形方向に垂直な方向において3点曲げ試験により曲げ強度と曲げ弾性率を測定し、密度を測定した。結果を表1に示す。
〔比較例〕
塩化ビニル樹脂40部、フラン樹脂20部、天然鱗状黒鉛(平均粒子径5μm)20部、およびピッチ系黒鉛質炭素繊維(日本グラファイトファイバー製HC600−15M、平均直径7μm、平均長さ150μm)20部に、可塑剤としてジアリルフタレートモノマーを添加して、ヘンシェルミキサーで分散させた後、3本ロールにて混練し、ペレタイザーにてペレット化し成形用組成物を得た。これを、口径1.0mmのシート用ダイスを装着した押出成形機にてシート状に成形し、180℃のエアオーブン中で3時間処理し炭素前駆体とした。その後窒素ガス中で毎時15℃で昇温し、1000℃で3時間保持して焼成・炭素化し、厚み0.7mmの板材を得た。得られた板材について、成形方向と成形方向に垂直な方向において3点曲げ試験により曲げ強度と曲げ弾性率を測定し、密度を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2015089087
表1の結果によれば、黒鉛粒子と炭素繊維が含まれる比較例では、成形方向の曲げ弾性率のみが著しく向上しているのに対し、それらの合計と等しい量もしくはそれ以上の量の黒鉛粒子が含まれる実施例1,2では、成形方向の曲げ弾性率が120GPa以上であり、成形方向に垂直な方向でも90GPa以上の曲げ弾性率が得られている。すなわち、音響振動板の面内の任意の方向における曲げ弾性率が90GPa以上である。また、焼成前においても、面内の任意の方向における曲げ弾性率が40GPa以上である。

Claims (8)

  1. 厚みが0.4mm以上の板状の母材と、
    前記母材中に均一に分散した平板粒子であって、前記平板粒子の面が前記母材の面に平行になるように配向している平板粒子とを含む音響振動板。
  2. 前記母材は、硬化後の樹脂である請求項1記載の音響振動板。
  3. 前記母材は、アモルファス炭素である請求項1記載の音響振動板。
  4. 音響振動板の面内の任意の方向における曲げ弾性率が90GPa以上である請求項3記載の音響振動板。
  5. 前記平板粒子は、黒鉛、窒化硼素、セラミックス、酸化チタン、ガラスからなる群から選択される一種または二種以上の無機粒子である請求項1〜4のいずれか1項記載の音響振動板。
  6. 樹脂に平板粒子を均一に分散させ、
    前記平板粒子が均一に分散した樹脂を押出成形機にて板状に成形し、
    前記成形物を加熱して樹脂を硬化させることを含む音響振動板の製造方法。
  7. 前記樹脂は炭素含有樹脂であり、前記樹脂が硬化された成形物を非酸化性雰囲気中で焼成・炭素化することをさらに含む請求項6記載の音響振動板の製造方法。
  8. 前記平板粒子は、黒鉛、窒化硼素、セラミックス、酸化チタン、ガラスからなる群から選択される一種または二種以上の無機粒子である請求項6または7記載の音響振動板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114105667A (zh) * 2020-08-28 2022-03-01 常州驰科光电科技有限公司 一种新型球顶材料及其制备方法

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