JPH07108035B2 - 全炭素質音響機器用振動板の製造法 - Google Patents

全炭素質音響機器用振動板の製造法

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JPH07108035B2
JPH07108035B2 JP60076790A JP7679085A JPH07108035B2 JP H07108035 B2 JPH07108035 B2 JP H07108035B2 JP 60076790 A JP60076790 A JP 60076790A JP 7679085 A JP7679085 A JP 7679085A JP H07108035 B2 JPH07108035 B2 JP H07108035B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は全炭素質から成る音響機器用の振動板の製造法
に関する。詳しくは、本発明は、スピーカー用及びマイ
クロフォン用の振動板として、従来の振動板に比較して
軽さと弾性に富んでおり、音の伝達速度が速く、しかも
剛性に優れていているため外力による変形が少なく、音
の歪が小さく、かつ再生音域が広く、明瞭な音質を出す
ことが可能であり、デジタル・オーディオ時代に好適な
全炭素質音響機器用振動板の製造法に関する。
(従来の技術) 一般に、スピーカー等の振動板としては、次の各条件を
満たすことが望ましい。
(1) 密度が小さいこと。
(2) ヤング係数が大きいこと。
(3) 縦波の伝播速度が大きいこと。
(4) 振動の内部損失が適度に大きいこと。
(5) 外気条件の変化に対して安定であり、変形や変
質の無いこと。
(6) 製造方法が簡単で安価であること。
即ち、広範な周波数帯域に亘って忠実に再生できる音域
が広く、効率的であり、明瞭な音質を発現させるために
は高剛性であって、外部応力によるクリープ等の歪がな
く、音の伝播速度が大きいことが要求される。
(V:音速、E:ヤング係数、ρ:密度) の式から音速を高めるためには、密度が小さく、ヤング
率の高い材料が求められる。従来の振動板材料として
は、紙(パルプ)、プラスチック及びそれらの素材を基
材として、これにガラス繊維や炭素繊維を複合させたも
の、アルミニウム、チタニウム、マグネシウム、ベリリ
ュウム、ボロン等の金属やそれらの金属の合金及び窒化
物、炭化物、硼化物等の素材を加工したものが使用され
ていた。しかしながら、紙、プラスチック及びそれらの
複合素材等は、ヤング率と密度の比が小さく、従って音
速が遅く、特定のモードで分割振動を起こして、特に高
周波数帯域での周波数特性が著しく低下するので、明瞭
な音質を得ることが困難であり、その上温度、湿度等の
外的環境に左右され易く、素材の質的劣化や経時疲労が
発生して特性を低下させる等の欠点を有している。一
方、アルミニウム、チタニウム、マグネシウム等の金属
板を用いた場合は、紙やプラスチックに比べて音速が速
く、優れた性能を有するが、なおE/ρ値が小さく、かつ
振動の内部損失が小さいので、高周波数帯域において、
鋭い共振現象を生じたり、材質のクリープ等の経時疲労
が発生して特性を低下させる欠点があり、またベリリュ
ウム、ボロンは優れた物理定数を有する理想的な材料で
あり、これらを振動板に用いたスコーカーやトゥイータ
ーは再生限界が可聴周波数帯域以上まで伸びているの
で、可聴帯域における信号を過渡現象なく正しく再生で
き、自然な音質を発現させることができる。しかしなが
ら、これらの素材は、資源的に乏しく極めて高価であ
り、かつ工業的にもその加工が著しく困難であって、ロ
ール圧延とプレス成形による従来の振動板製造法では実
用性に乏しく、C.V.D.、P.V.D.等の高度な技術が要求さ
れる蒸着法に依らざるを得ないので、加工費も極めて高
価になり、また大型のスピーカーの製造が困難である等
の欠点を有している。これらの素材の外に、炭素材料の
E/ρ値が大きいことに着目して、全炭素質から成る音響
機器用振動板を得ようとする試みがあった。即ち、プラ
スチックのシート又はフイルムを単独に炭化及び黒鉛化
させる方法及び原油分解ピッチの液晶成分に黒鉛粉末を
混合させる方法であるが、前者の方法では、用いるプラ
スチック材料の炭素収率が小さく、賦形後の寸法収縮が
大きいため、炭化時に変形したり、甚だしくは、収縮応
力に耐えきれず亀裂を生じて、精度の高い製品が得られ
ないばかりか、品質管理を十分に行うことが困難であっ
て、歩留まりを低下させるので、量産効率が悪く、経済
的でない。また後者の方法では、有機材料としての炭素
収率を極限まで高めて予備焼成及び炭化時における収縮
や変形を防止する工夫をなしたものであるが、原料とし
て用いる原油分解ピッチ及びその液晶成分を工業的に得
るためには、高温熱処理及び溶剤分別抽出処理等の極め
て煩雑な工程を余儀無くされて高価につき、更にこれら
の材料は、その軟化点(融点)が極めて高く(300℃前
後)、また溶剤等を用いる場合でも、溶解性が極めて低
く、その種類もキノリン、ピリジン等の特殊なものに限
定されるため、一般的な工業量産に際して不利であり、
その上賦形されたものもなお軟化変形する自由度を持つ
ため、450℃以下の空気中で酸化架橋させ、その後の炭
化焼成工程で変形させないようにするための予備焼成処
理が必須で、この予備焼成処理及びその後の炭化焼成工
程に際して、一品毎に形状保持用の担持治具を必要とす
るため、焼成炉中の空間を有効に使用することができ
ず、担持治具の償却もかかり製品コストに影響するので
好ましくない。本願発明者も、以前に熱硬化性樹脂に各
種炭素質粉末を複合させた素材を賦形した後焼成するこ
とによる全炭素質音響機器用振動板の製造法の開発に成
功し、特許出願した。(特願昭58−229378号、特願昭59
−185438号) (発明が解決しようとする問題点) これらの方法(特願昭58−229378号、特願昭59−185438
号)に依って得られた振動板は、従来に無い極めて優れ
た機能特性を示したが、音速については、現在最高の特
性値を示すベリリュウムに比べて今一歩不足していた。
また、その後の追試の結果、その製造過程において、以
下に示す幾つかの問題点が発見されらた。
(1) 予備成形用シート又はフイルムを得るために
は、剥離膜を有するバックシート上に塗布させるため、
液状流動が必要なので、高弾性を発現させるための黒鉛
及び複合炭素材料を多量に配合させることが困難であ
り、高音速を発現させるための重要な要素である高弾性
材料を高度に配合させることができない、このため高音
速をえる特性改善を行うことが難しい。
(2) 焼成時の形状変化(歪み)は無いが、全体の収
縮率が15〜20%程度もあるので、製品の精度高い寸法の
読み込みが難しくバラツキを生じ易い。
(3) 硬化剤を添加した後の素材は、ポットライフが
短く、作業時間に制限があり、製品の品質を一定に保つ
ための管理が行い難いと共に、余剰材料等の再利用は全
く不可能で、工業的量産に際し不経済である。
(問題点を解決するための手段) 本願発明者は、前記の従来の欠点に鑑み、炭素材料の有
する機能特性を最高度に発揮し、製造に際しては煩雑な
工程を避け、特に賦形時の形状を全く損なうこと無く、
初期の寸法形状を精度高く維持する製造法を開発すべく
鋭意研究して、本願発明を完成するに至った。
本願発明者は、高結晶度を有する黒鉛の結晶が板状かつ
偏平で、その理論弾性率が1020GPa.であり、他の素材に
比較して極めて高い値を持つこと、及び天然黒鉛/炭素
バインダーによって構成された極細鉛筆芯の弾性率が80
〜150GPa.であることに着目し、この知見に基づいて、
樹脂炭をバインダーとし、高弾性率を有する高結晶性黒
鉛の結晶を膜の面方向に対し高度に配向させた複合炭素
薄膜を任意の形状に賦形させるべく創意工夫した。一
方、賦形した初期の寸法形状を精度高く維持するバイン
ダーの原料を探索する間に、硬化剤を添加しない熱硬化
性樹脂のモノマー及び/又は初期縮合物と加熱時に分解
して発生する分解成分が熱硬化性樹脂成分と反応して、
これを硬化させるような熱反応性の官能基を有する熱可
塑性樹脂を選択し、これにこれら両樹脂を共溶する溶
剤、もしくは比較的揮発し易い可塑剤を添加してブレン
ドポリマー化させたものが、賦形時には通常の熱可塑性
樹脂と同様の挙動を示し、容易に熱可塑成形加工を施す
ことが可能であり、賦形後空気中で加熱して含有する溶
剤、もしくは可塑剤を揮発させ、更に該熱可塑性樹脂の
分解点近傍に昇温させることで発生した熱反応性官能基
によって熱硬化性樹脂成分が硬化して、その後は、熱及
び溶剤に対しても不溶・不融の状態に変化することを見
出した。しかも、この炭化バインダーを用いて黒鉛粉末
と複合させた成形用素材は、硬化終了後全く収縮せず、
賦形時の寸法・形状を精度高く維持しており、その後の
炭化工程においても、別に形状保持用の担持治具を必要
とすること無く、単独で焼成しても厚さ方向の収縮があ
るのみで、膜の面方向に対しては全く収縮すること無く
賦形時の寸法・形状を精度高く維持することを発見し
た。
次に、本願発明による全炭素質音響機器用振動板の製造
方法について説明する。
炭化バインダーの原料として、硬化剤を添加しない熱硬
化性樹脂のモノマー及び/又は初期縮合物と、加熱時に
分解して熱硬化性樹脂成分と相互に反応して硬化させる
官能基を有する熱可塑性樹脂とを選択し、これにこれら
両樹脂を共溶する溶剤、もしくは比較的揮発し易い可塑
剤を添加し、良く混練してフレンドポリマー化させたも
のを用い、これに高度な結晶性を有する黒鉛粉末を加え
た混合物をミキシングロール等の高度な剪断力を発揮す
る混練機を用いて十分に混練する。この操作によりメカ
ノケミカル反応(機械化学反応)が誘発され、劈開され
た微粒黒鉛結晶とバインダー樹脂とが相互に強い親和性
を示すようになって十分に分散すると共に、劈開した微
粒黒鉛結晶がフイルムの両方向に平行して高度に配向し
たシート状組成物が得られる。
このシート状組成物をさらにカレンダーロールに通し
て、所望の厚さを有するフイルム、又はシート状の賦形
用予備成形体として保存する。この段階の賦形用予備成
形体は、硬化剤が配合されていないので、冷暗所に長期
間保存しておくことが可能である。次に、目的とする振
動板の形状に賦形するに際しては、上記のフイルム、又
はシート状の賦形用予備成形体を適宜裁断し、常法によ
る熱間プレス成形法、真空成形法、ブロー成形法を適用
して、所望の振動板の形状に成形する。脱型した生成形
体をエアーオーブン中で加熱して、含有する溶剤及び可
塑剤を揮発させ、更に該官能基を有する熱可塑性樹脂の
分解温度近傍に昇温させて保留する。この段階で分解し
て発生する官能基により、熱硬化性樹脂の硬化反応が進
行し、完全に硬化して、その後の加熱によっても変形す
ることの無い焼成前駆体となる。この焼成前駆体は、成
形時の形状及び寸法を殆ど変化させることなく維持す
る。また、成形工程中に余剰となった残余素材は、再度
カレンダーロールに通すことによって十分に再利用が可
能であった。ポストキュアーを終えた焼成前駆体は、窒
素、又はアルゴン等の不活性気相中500℃以上、好まし
くは1000〜1500℃まで加熱して炭化させる。更に、特性
向上の目的で、アルゴン気相中で2500℃以上に加熱して
黒鉛化させる場合もある。
これらの焼成過程では、各素材の組成に応じて昇温速度
を制御する必要があり、更に炭化反応の均一性を確保す
る目的で、最高温度において1〜5時間保持した後、自
然放冷させることが好ましい。こうして得られた全炭素
質振動板は、全く変形しておらず、賦形された寸法・形
状を精度高く維持することができる。
ここで、本願発明において使用される炭化バインダーの
原料としては、熱硬化性樹脂成分としては、フラン樹脂
類、フェノール樹脂類、キシレン樹脂類、トルエン樹脂
類、レゾルシノール樹脂類等のモノマー及び/又は初期
縮合物が好ましく、また、熱可塑性樹脂成分としては、
加熱分解によりハロゲン基、アルデヒド基、アセチル
基、メチロール基等の熱反応性官能基を離脱するものが
好ましく、ポリ塩化ビニル樹脂、後塩素化ポリ塩化ビニ
ル樹脂、ポリ塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、ポリ
ビニルアセタール樹脂又はビニル樹脂を主鎖として前記
熱反応性官能基を側鎖に導入した樹脂等が原料調製、賦
形性、熱時反応性において、特に好ましい。
また、本願発明に用いられる高結晶質の黒鉛としては、
マダカスカル産、スリランカ産等の天然黒鉛、キッシュ
黒鉛、パイログラファイト、黒鉛ウイスカー等の超高弾
性率黒鉛繊維が好ましく、これらの黒鉛粉末の粒度は平
均粒度1.0〜200μm(好ましくは、50μm以下)のもの
が用いられ、振動板成形用組成物への配合比率は、10〜
90%の範囲で添加されるが、20〜70%の範囲がより良好
であり、黒鉛比率が小さいと、目的とする高音速が得ら
れず、また大きすぎると、賦形の自由度が減少し、かつ
最終製品の強度が劣化するので、好ましくない。
(実施例) 以下本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例 1 フルフリルアルコール/フルフラール系樹脂の初期縮合
物(日立化成(株)製VF−302)30重量%とポリ塩化ビ
ニル樹脂(日本ゼオン(株)製、平均重合度800)20重
量%とを、テトラヒドロフランで溶解した後、可塑剤と
してジブチルフタレート20重量%を加えたものを炭化バ
インダーの原料とし、これに結晶の良く発達した天然鱗
状黒鉛(平均粒度5μm)50重量%をニーダー中に配合
して均一に分散させた後、表面温度を50℃に保ったミキ
シング用二本ロールを用いロール間隙を十分に締めてバ
ンク混練を行い、溶剤を揮発させて除去し、シート状に
して取り出した。更に、このシートを数十回通過させ
て、材料に強力な剪断力を作用させて劈開された黒鉛結
晶とバインダー樹脂相互を強固に親和、分散させると共
に黒鉛結晶面がシートの膜面方向に高度に配向したシー
ト状組成物とした。次に、この組成物をカレンダーロー
ルに通して厚さ100μmのフイルムに予備成形した。
次に、得られた予備成形フイルムを真空成形機を用い
て、直径80mmのドーム状に賦形し、金型中で180℃まで
加熱して可塑剤の一部を除去すると共に、予備硬化を進
行させてから、冷却して脱型した。得られた成形体を20
0℃に加温したエアーオーブン中で10時間処理して可塑
剤を完全に除去し、更にポリ塩化ビニル樹脂の分解によ
って発生したHC1ガスによって、フラン樹脂が完全に硬
化した焼成前駆体を得た。この段階で得られた焼成前駆
体は、フイルムの膜厚が80μmに減少した外は外形的に
全く収縮すること無く、寸法形状等の変化は無かった。
次に、完全硬化の終了した焼成前駆体を窒素ガス雰囲気
の焼成炉中で500℃までは15℃/時間の昇温速度で加熱
し、500〜1000℃までを50℃/時間の昇温速度で加熱し
た。続いて、1000℃で3時間保持した後自然放冷して焼
成を終了させた。
このようにして得られた全炭素質ドーム型振動板は、膜
厚が65μmに減少した外は外形的に全く収縮すること無
く寸法・形状等の変化は無く、 直径 80mm、密度 1.68g/cm3、 ヤング率 250GPa、音速 12.1Km/秒 の特性を示した。
実施例 2 フルフリルアルコール/フルフラール系樹脂の初期縮合
物(日立化成(株)製VF−302)20重量%とポリ塩化ビ
ニル/酢酸ビニル共重合樹脂(日本ゼオン(株)製400x
150S、平均重合度800)25重量%とを、溶剤で溶解した
後、可塑剤としてジブチルフタレート20重量%を加えて
均一に混合したものを炭化バインダーとし、これに結晶
の良く発達した天然鱗状黒鉛(平均粒度1μm)55重量
%をニーダー中に配合して均一に分散させた後、実施例
1と同様の工程で加工して、膜厚50μmの予備成形フイ
ルムを得た。これを真空成形機を用いて直径35mmのセミ
ドーム型に賦形し、以後実施例1と同様に処理して全炭
素質セミドーム型振動板を得た。このようにして得られ
た振動板は、 膜厚 35μm、直径 35mm、 密度 1.85g/cm3、ヤング率 320GPa 音速 13.1Km/秒 の特性を示した。
実施例 3 レゾール系フェノール樹脂(群栄化学(株)製PL−238
2)30重量%とポリビニルホルマール樹脂(電気化学
(株)製ホルマール化度74モル%)20重量%を溶剤に溶
解した後、ジブチルフタレート20重量%を加えたものを
炭化バインダーとして、これに結晶の良く発達した天然
黒鉛粉末(平均粒度10μm)50重量%をニーダー中に均
一に配合して分散させた後、実施例1と同様の工程で加
工して、膜厚1.5mmmの予備成形用シートを得た。これを
加熱プレス成形機を用いて直径30cmのコーン形状に成形
し、実施例1と同様に1400℃まで焼成して炭化させ、全
炭素質ウーハー用コーン型振動板を得た。得られた振動
板は、 直径 30cm、密度 1.64g/cm3、 ヤング率 190GPa、音速 10.8Km/秒 の特性を示した。
本願発明によって得られた振動板の特性を従来の振動板
素材と比較した結果を下の表に示す。
この表から判断されるように、本願発明によれば、中・
高音域用の振動板では金属振動板を遥かに越え、ベリリ
ウムより優れた特性が得られた。また、実施例3に示し
たように、ウーハーとしても従来に無い高音速及び適度
な内部損失が得られた。これらの振動板を採用すること
により、明瞭な音質と幅の広いダイナミックレンジを誇
る最近流行のコンパクトディスクプレーヤー等のディジ
タル・オーディオ機器の能力を遺憾無く発揮させること
ができる。
(作用) 本願発明の全炭素質音響機器用振動板の製造法によれ
ば、 (1) 高弾性率を発現させる高結晶質の黒鉛粉末を多
量に配合させることができ、かつ面方向に高度に配向さ
せ得るので高音速材料が得られる。
(2) 予備成形用フイルム又はシートは、単独で十分
ハンドリングに耐え得る強度を有し、剥離膜を有するバ
ックシート等を要しないので、作業性が極めて良好であ
り、かつフイルム又はシートが展延性に富むので、賦形
に際し形状の自由度が大きい。
(3) 賦形後の成形体(焼成前駆体及び焼成体)の形
状及び寸法変化が殆ど無い(収縮率1.5%以下)ので、
寸法精度の高い製品が得易く、品質管理が容易である。
(4) 硬化剤を使用しないため、熱可塑性樹脂成分の
分解が開始される以前の素材は、ポットライフが極めて
長いので、作業時間に制限を受けない。また、工程中で
の残余材料は回収して再利用することが可能である。
(5) 所望の設計形状に基づいて賦形するに際し、従
来の樹脂成形加工技術を応用することができるので、工
業的量産性に優れている。
以上の説明から明らかなごとく、本願発明は、高性能を
発揮する振動板を簡単な工程により安価に製造する方法
を提供するものである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高弾性率を有する結晶の発達した黒鉛粉末
    に、これを結合する樹脂バインダーの原料として熱硬化
    性樹脂のモノマー及び/又は初期縮重合物と加熱時に分
    解して上記熱硬化性樹脂成分と相互に反応して架橋硬化
    する官能基を有する熱可塑性樹脂とを配合し、これにこ
    れらの樹脂成分を共溶する溶剤、もしくは可塑剤を加え
    た混合物を、高度の剪断力を有する混練機を用いて十分
    に混練し、メカノケミカル(機械化学的)反応により、
    劈開された黒鉛結晶とバインダー樹脂相互とを強固に親
    和、分散させ、かつ複合した黒鉛の結晶面が膜の面方向
    に高度に配向したシート状とした後、さらにカレンダー
    ・ロールに通して所望の厚さを有するフイルム又はシー
    トに予備成形し、得られた予備成形フイルム又はシート
    を設計された振動板の形状に賦形してから成形物を加熱
    空気中で処理して、含有する溶剤もしくは可塑剤を除去
    すると共に、熱可塑性樹脂の分解成分による硬化反応を
    進行させて熱変形性を示さない完全硬化体とした後、不
    活性雰囲気中で焼成することから成る全炭素質音響機器
    用振動板の製造法。
  2. 【請求項2】該熱硬化性樹脂は、熱可塑性樹脂の反応性
    官能基によって硬化する性質を有する第1項に記載の全
    炭素質音響機器用振動板の製造法。
  3. 【請求項3】該熱硬化性樹脂は、フルフリルアルコール
    樹脂、フルフリルアルコール/フルフラール共縮合樹
    脂、フルフラール/フェノール共縮合樹脂等のフラン樹
    脂、及びレゾール系、ノボラック系等のフェノール樹
    脂、又はキシレン樹脂、トルエン樹脂、レゾルシノール
    樹脂等のモノマー及び/又は初期縮合物から選ばれる第
    2項の全炭素質音響機器用振動板の製造法。
  4. 【請求項4】該熱可塑性樹脂は、ハロゲン基、アルデヒ
    ド基、アセチル基、メチロール基等の反応性官能基を側
    鎖に有し、これらの官能基が加熱により他の熱硬化性樹
    脂成分と反応して架橋硬化するもので、ポリ塩化ビニル
    樹脂、後塩素化塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル/酢酸
    ビニル共重合樹脂等のハロゲン化ビニル樹脂、及びポリ
    ビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等の
    ポリビニルアセタール樹脂、及びビニル樹脂を主鎖とし
    てハロゲン基、アルデヒド基、アセチル基、メチロール
    基等の反応性官能基を側鎖に導入したものである第1項
    に記載の全炭素質音響機器用振動板の製造法。
  5. 【請求項5】該黒鉛粉末は、高弾性率を有する天然黒
    鉛、人造黒鉛、キッシュ黒鉛及びパイロ・グラファイ
    ト、超高弾性率黒鉛繊維(ウイスカー)等の高結晶度を
    有する黒鉛質粉体である第1項に記載の全炭素質音響機
    器用振動板の製造法。
  6. 【請求項6】該焼成は、500℃以上の温度で行われる第
    1項に記載の全炭素質音響機器用振動板の製造法。
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