ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)画像配信システムの構成:
(2)画像送信処理:
(3)配信用画像記録処理:
(4)他の実施形態:
(1)画像配信システムの構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかる画像配信システムの構成を示すブロック図である。画像配信システム10は、車両Cから画像を取得し、配信用画像を選定して記録する。また、画像配信システム10は、配信対象車両Coからの要求に応じて配信用画像を配信対象車両Coに対して送信する。画像配信システム10は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部20と記録媒体30と通信部40とを備えている。通信部40は、車両Cと通信を行う回路を備えており、制御部20は、通信部40を介して車両C、配信対象車両Coと通信を行い、車両Cで撮影された画像情報等を取得し、配信用画像を配信対象車両Coに対して送信することができる。なお、車両Cと配信対象車両Coは同一の車両であっても良い。
記録媒体30には予め選定条件情報30cが記録されており、また、画像配信システム10の運用過程で画像情報30aと渋滞情報30bと配信用画像情報30dとが記録される。選定条件情報30cは、車両Cから取得した画像を配信用画像として選定するための条件を示す情報であり、本実施形態においては、渋滞の状況毎に選定条件が定義され、選定条件情報30cとして記録媒体30に記録されている。
画像情報30aは、車両Cから送信される画像を示す情報であり、当該画像が撮影された区間(以下、撮影区間と呼ぶ)および撮影時刻(撮影時刻が含まれる時間帯でもよい)を示す情報(例えば、車両Cのナビゲーションシステムで利用される地図情報に含まれる区間ID等)が対応づけられている。なお、車両Cにおける画像の撮影については後に詳述する。
渋滞情報30bは、区間を示す情報に現在の渋滞の状況を示す情報を対応づけた情報である。本実施形態において、区間毎の渋滞の状況は、当該区間おける平均車速と渋滞の発生原因と車線毎の渋滞の有無と渋滞の車列の長さとの少なくとも1個の要素によって定義される。従って、ある区間についての渋滞情報30bが記録媒体30に記録されている場合、当該区間について、現在の平均車速と渋滞の発生原因と車線毎の渋滞の有無と渋滞の車列の長さとの少なくとも1個が特定されていることになる。
渋滞情報30bは、各種の手法によって生成されて良く、図示しない渋滞情報(VICS(Vehicle Information and Communication System:VICSは登録商標)情報、プローブ情報等)を管理する渋滞情報管理サーバによって生成され、画像配信システム10に提供されてもよいし、車両Cから取得した走行履歴に基づいて画像配信システム10によって生成されても良い。また、道路上の車両Cで撮影された画像を画像配信システム10が解析することによって渋滞情報30bを取得しても良い。渋滞情報30bを生成するための手法は種々の手法が存在し、情報源としても種々の情報源があり得る。
なお、種々の情報源があり得るとしても、全ての情報源が常に利用可能であるとは限らない(例えば、車両からの走行履歴が充分に取得されていない等)。また、情報源によって生成可能な渋滞の状況は異なり得る(例えば、車両の走行履歴からは渋滞の発生原因を特定できない等)。従って、本実施形態においては、平均車速と渋滞の発生原因と車線毎の渋滞の有無と渋滞の車列の長さの全てが渋滞の状況として特定されているとは限らない。この意味で、ある区間についての渋滞情報30bが記録媒体30に記録されている場合、当該区間おける平均車速と渋滞の発生原因と車線毎の渋滞の有無と渋滞の車列の長さとの少なくとも1個が特定された状況となる。
なお、本実施形態において、平均車速は0〜20km/h、20〜40km/h、40km/h以上の3段階で定義される。すなわち、一般には、渋滞が激しくなるほど渋滞が発生している道路を走行する車両Cの平均車速が小さくなるため、本実施形態においては、平均車速が渋滞の程度を反映していると見なしている。むろん、渋滞の程度は他の指標で定義することも可能であり、例えば、空き、混雑、渋滞等の段階的な表現や区間毎の旅行時間等で定義されてもよい。また、渋滞情報30bには、当該渋滞情報30bが示す渋滞の状況が有効である有効時間帯が対応づけられる。すなわち、渋滞情報30bが生成される際には、渋滞の状況が正しいと見なされる有効時間帯が予め定義され当該有効時間帯が渋滞情報30bに対応づけられる。従って、渋滞情報30bに対応づけられた有効時間帯に含まれる時刻であれば、当該時刻にける渋滞の状況は、渋滞情報30bが示す渋滞の状況と同一であると見なされる。
配信用画像情報30dは、選定条件情報30cが示す選定条件を満たす配信用画像として画像情報30aの中から選定された画像を示す情報であり、配信用画像が撮影された撮影区間を示す情報と渋滞の状況を示す情報とが対応づけて記録される。すなわち、本実施形態においては、当該撮影区間が特定の渋滞の状況である場合における画像として配信用画像を配信することができるように、配信用画像情報30dが定義されている。
制御部20は、記録媒体30やROMに記憶されたプログラムを制御部20で実行することができる。本実施形態において制御部20は、当該プログラムとして画像配信プログラム21を実行可能である。画像配信プログラム21は、画像取得部21aと渋滞状況取得部21bと画像記録部21cと画像配信部21dとを備えている。
画像取得部21aは、道路上の車両Cから撮影された画像を、通信部40によって取得する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。本実施形態において、車両Cは、車両Cの前方の道路と道路上の空間とを視野に含むカメラおよびナビゲーションシステムを備えており、ナビゲーションシステムは、予め決められた撮影区間においてカメラによって車両Cの前方の画像を撮影し、撮影時刻を特定する。また、ナビゲーションシステムは、当該撮影した画像を示す情報に撮影区間および撮影時刻を示す情報を対応づけた画像情報を所定の送信タイミングにて送信する。当該画像情報が送信されると、制御部20は、通信部40を介して当該画像情報を取得し、記録媒体に画像情報30aとして記録する。
渋滞状況取得部21bは、車両Cにおいて画像が撮影された時点における道路の渋滞の状況を取得する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。すなわち、制御部20は、渋滞状況取得部21bの処理により、画像情報30aの中から配信用画像の候補となる画像を特定し、当該候補となる画像が撮影された撮影区間と撮影時刻とを特定し、当該撮影区間に対応する区間および当該撮影時刻が含まれる時間帯が対応づけられた渋滞情報30bを取得し、当該撮影区間における撮影時刻の渋滞の状況を取得する。
画像記録部21cは、渋滞の状況に応じた選定条件を満たす画像を配信用画像として記録媒体30に記録する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。すなわち、制御部20は、画像情報30aの中で選定条件を満たす画像を配信用画像として選定し、撮影区間を示す情報を対応づけて配信用画像情報30dとして記録媒体30に記録する。
具体的には、制御部20は、選定条件情報30cを参照し、候補となる画像が撮影された撮影区間における撮影時刻の渋滞の状況に応じた選定条件を特定する。本実施形態における渋滞情報30bは、平均車速と渋滞の発生原因と車線毎の渋滞の有無と渋滞の車列の長さとの少なくとも1個について各区間における渋滞の状況を示している。そこで、制御部20は、渋滞情報30bとして特定されている渋滞の状況のそれぞれについての選定条件を選定条件情報30cから抽出する。
そして、制御部20は、候補となる画像がそれぞれの選定条件を満たすか否か判定し、特定の渋滞の状況についての選定条件を満たす場合、制御部20は、候補となる画像を、当該渋滞の状況についての選定条件を満たす配信用画像として選定する。以上の処理によって渋滞の状況毎の配信用画像が選定されると、制御部20は、当該配信用画像に撮影区間を示す情報および渋滞の状況を示す情報を対応づけ、配信用画像情報30dとして記録媒体30に記録する。配信用画像が選定されなかった場合、制御部20は、画像を破棄する。
選定条件情報30cは渋滞の状況に応じた選定条件であり、当該選定条件によって画像を選定することにより、選定された画像から渋滞の状況の誤認が発生することを抑制するように定義されている。選定条件は、渋滞の状況を反映している画像と反映していない画像とを選別する条件であれば良く、本実施形態においては、画像から渋滞の状況が特定される場合に当該画像を選定する条件を選定条件とする構成が採用されている。
具体的には、表1のように選定条件情報30cが定義されている。
表1においては、渋滞の状況(平均車速、渋滞の発生原因、車線毎の渋滞の有無、渋滞の車列の長さ)が、具体的な状況(車速の範囲、個別の発生原因等)毎に分類されており、各分類について選定条件が定義されている。なお、本実施形態においては、同一の渋滞の状況について複数の選定条件が定義されている場合もある。この場合、表1に示す優先度の順に選定条件を満たすか否かが判定される。また、表1に示す選定条件を満たさない画像は配信用画像には設定されない。
平均車速に応じた選定条件は、車両Cと当該車両Cの直前の先行車両との車間距離によって規定され、当該車間距離が許容値以下である画像を選定する条件である。そして、当該条件においては、平均車速が小さいほど許容値が小さくなるように設定されている。具体的には、平均車速が0〜20km/hである場合、車間距離が10m以内である画像を選定するように選定条件が設定されている。また、平均車速が20〜40km/hである場合、車間距離が20m以内である画像を選定するように選定条件が設定され、平均車速が40km/h以上である場合、車間距離が20m以上である画像または先行車両の像が含まれない画像を選定するように選定条件が設定されている。
すなわち、平均車速が小さければ、多くの場合、車両Cと当該車両Cの直前の先行車両との車間距離が小さくなるため、先行車両との車間距離が小さい画像を撮影した車両Cの平均車速は小さいことが示唆される。しかし、先行車両の加減速タイミングと車両Cの加減速タイミングとが異なる等によって偶発的に車間距離が大きくなる場合もある。このような場合に車両Cのカメラで画像が撮影されると、車間距離が大きい状態の画像が生成される。そして、このような場合には、車両Cの平均車速が大きいことに起因して車間距離が大きい状況と、車両Cの平均車速が小さい状態であるが偶発的に車間距離が大きくなっている状況とを区別できない。従って、このような画像は渋滞の状況である車両Cの平均車速に応じた画像ではない。そこで、本実施形態においては、平均車速に関する選定条件において、平均車速が小さいほど許容値が小さくなるように設定してある。
渋滞の発生原因に応じた選定条件は、表1に示すように、事故、工事、特異点、自然発生のそれぞれについて定義されている。ここで、特異点は、交差点や踏切など、渋滞を誘発する地物が存在する渋滞多発地点等であり、予め、当該特異点を含む区間が特定されている。自然発生は、事故、工事、特異点のいずれにも該当しない発生原因である。事故、工事、特異点が渋滞の発生原因である場合、画像にこれらの渋滞の発生原因が含まれていれば、画像を視認することによって極めて容易に渋滞の発生原因を認識することが可能である。そこで、本実施形態においては、事故、工事、特異点に対応する選定条件のうち、最も優先度が高い選定条件を、渋滞の発生原因を示す像が含まれている画像を選定する条件として設定してある。このように、発生原因を示す像が含まれている画像を選定すれば、渋滞の発生原因の誤認が発生することを抑制することができる。
さらに、画像内に車両C以外の他の車両の像が複数台含まれる場合、画像からは前方の道路が渋滞していることが示唆される。そこで、事故、工事、特異点が渋滞の発生原因である場合において、2番目に優先度が高い選定条件として、複数台の他の車両の像が含まれるという条件が設定してある。当該画像によれば、渋滞の発生原因が不明であるとしても、渋滞の有無について誤認が発生することを抑制することができる。
さらに、車両Cが信号待ちの車列の先頭に存在することを示す画像は、車両Cが単に信号待ちで停止しており、渋滞で停止しているのではないと示唆する。従って、このような画像は、渋滞が発生していないという誤認を誘発し得る。そこで、事故および工事が渋滞の発生原因である場合において、3番目に優先度が高い選定条件として、信号待ちの先頭ではないという条件が設定してある。当該画像によれば、渋滞が発生していないという誤認を誘発することを抑制することができる。なお、渋滞の発生原因が特異点である場合、信号待ちが特異点における渋滞の発生原因であることがあり得るため、信号待ちの先頭ではないという条件は選定条件となっていない。
なお、自然発生においては、渋滞の発生原因を視覚的に特定することが困難であるため、1番目に優先度が高い選定条件として、複数台の他の車両の像が含まれるという条件が設定してある。また、2番目に優先度が高い選定条件として、信号待ちの先頭ではないという条件が設定してある。
車線毎の渋滞の有無に応じた選定条件は、車両Cの走行車線に隣接する隣接車線に渋滞がない場合と渋滞がある場合について定義されている。具体的には、隣接車線が渋滞している場合には当該隣接車線上の車列の像が含まれている画像を選定する条件、隣接車線が渋滞していない場合には当該隣接車線上の車列の像が含まれていない画像を選定する条件が選定条件である。
すなわち、車両の前方に先行車両が存在する場合、車両から撮影された画像においては先行車両の像によって隣接車線に存在し得る車列の像が遮蔽される。そして、画像内において隣接車線上に車列が存在しない場合、隣接車線上が空いているように見えるが、実際に空いているとは限らない。また、隣接車線上に車列が存在する場合、隣接車線上が渋滞しているように見えるが、先行車両によって遮蔽されていない区間において実際に渋滞しているとは限らない。そこで、隣接する車線が渋滞している場合に当該隣接する車線上の車列の像が含まれている画像を選定すれば、当該画像に基づいて隣接車線上の渋滞度合いの誤認が発生することを抑制することができる。また、隣接する車線が渋滞していない場合に当該隣接する車線上の車列の像が含まれていない画像を選定すれば、隣接車線上の渋滞度合いの誤認が発生することを抑制することができる。
車列の長さに応じた選定条件は、車列の長さについて予め設定された閾値である所定距離(本実施形態においては1km)に基づいて設定されており、車列の長さが所定距離以上である場合、複数台の他の車両の像が含まれている画像を選定する条件が選定条件として設定されている。すなわち、車両Cから撮影された画像に複数台の他の車両の像が含まれる場合、画像からは渋滞によって車列が形成されていることが示唆される。しかし、先行車両や他の地物等の遮蔽物によって他の車両が遮蔽されている場合、車両Cの周辺に車列が形成されていると画像から認識されない場合もある。この場合、車列の程度を誤認する原因となる。そこで、車列の長さが所定距離以上である場合に複数台の他の車両の像が含まれている画像を選定すれば、当該画像に基づいて車列の長さの誤認が発生することを抑制することができる。
さらに、本実施形態においては、車列の長さが所定距離未満である場合、選定条件は設定されていない。すなわち、車列の長さが所定距離未満である場合、渋滞の度合いが小さいため、車両Cのカメラによって撮影された画像の全てが配信用画像となる。当該配信用画像によれば、車両Cの周囲の状況を把握することが可能になる。
画像配信部21dは、渋滞の状況に応じた選定条件を満たす画像(配信用画像)を配信対象車両Coに対して配信する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。すなわち、配信対象車両Coは、任意の撮影区間から特定の距離以内の位置に到達した場合に撮影区間を示す情報とともに配信用画像の配信要求を送信する。制御部20は、通信部40を介して当該配信要求を受信し、撮影区間を特定する。
さらに、制御部20は、渋滞状況取得手段21bの処理によって渋滞情報30bを参照し、配信要求が行われた撮影区間における現在の渋滞の状況を取得する。さらに、制御部20は、画像配信部21dの処理により、記録媒体30を参照し、当該撮影区間を示す情報および現在の渋滞の状況を示す情報が対応づけられた配信用画像情報30dが記録されているか否かを判定する。そして、当該撮影区間を示す情報および現在の渋滞の状況を示す情報が対応づけられた配信用画像情報30dが記録されている場合、制御部20は、画像配信部21dの処理により、通信部40を介して当該撮影区間を示す情報および現在の渋滞の状況を示す情報が対応づけられた配信用画像情報30dを配信対象車両Coに対して送信する。配信対象車両Coにおいては、当該配信用画像情報30dを受信し、図示しないディスプレイに配信用画像を表示する。この結果、配信対象車両Coの運転者は、撮影区間における現在の渋滞の状況に応じて選定された配信用画像を視認することができる。
以上のように、本実施形態においては、道路上の車両Cから画像が撮影された時点における当該道路の渋滞の状況に応じて画像を選定し、配信用画像として記録媒体に記録し、配信対象車両Coからの要求に応じて配信する。従って、配信対象車両Coにおいては、渋滞の状況に応じた内容の配信用画像を配信することが可能になる。この結果、配信用画像に基づいて特定される渋滞の状況が誤認されることを防止することが可能になる。
(2)画像送信処理:
次に、図2Aに示すフローチャートに基づいて車両Cにおける画像送信処理を詳細に説明する。画像送信処理は、車両Cに搭載されたナビゲーションシステムを起動後に実行される。画像送信処理において、ナビゲーションシステムは、撮影区間を取得する(ステップS100)。すなわち、ナビゲーションシステムは図示しない記録媒体を備えており、当該記録媒体には地図情報が記録されている。地図情報においては、交差点を端点とする区間によって道路が定義されている。車両Cにおいて画像を撮影すべき撮影区間は区間を示すID情報等によって予め特定され、地図情報に含まれる区間を示す情報には、当該区間が撮影区間である場合に、撮影区間を示す情報が対応づけられている。そこで、ナビゲーションシステムは、地図情報を参照して当該撮影区間を示す情報を取得する。
次に、ナビゲーションシステムは、現在位置情報を更新する(ステップS105)。すなわち、車両Cは、GPS受信部、車速センサ、ジャイロセンサ等の図示しない現在位置特定装置を備えており、ナビゲーションシステムは、当該現在位置特定装置に基づいて車両Cの現在位置を特定する。
次に、ナビゲーションシステムは、車両Cの現在位置が撮影区間内であるか否かを判定する(ステップS110)。すなわち、ナビゲーションシステムは、地図情報に基づいて車両Cの現在位置が存在する区間を特定し、当該区間とステップS100で取得された撮影区間とが一致する場合、車両Cの現在位置が撮影区間内であると判定する。ステップS110において、車両Cの現在位置が撮影区間内であると判定されない場合、ナビゲーションシステムは、ステップS105以降の処理を繰り返す。
一方、ステップS110において、車両Cの現在位置が撮影区間内であると判定された場合、ナビゲーションシステムは、カメラに制御信号を出力して車両Cの前方の画像を撮影する(ステップS115)。この結果、撮影区間に含まれる道路上で車両Cから撮影された画像を示す画像情報が取得される。なお、ナビゲーションシステムは、カメラによる撮影の際に、撮影時刻を特定する。
そして、ナビゲーションシステムは、撮影された画像を送信する(ステップS120)。すなわち、ナビゲーションシステムは、画像配信システム10と通信を行い、撮影された画像を示す画像情報に撮影区間を示す情報と撮影時刻を示す情報とを対応づけて送信する。画像配信システム10において制御部20は、画像取得部21aの処理により通信部40を介して当該画像情報を取得し、画像情報30aとして記録媒体30に記録する。
(3)配信用画像記録処理:
次に、画像配信プログラム21による配信用画像記録処理を説明する。図2Bは画像配信プログラム21が実行する配信用画像記録処理を示すフローチャートである。配信用画像記録処理は、所定の期間毎に実行される。配信用画像記録処理において、制御部20は、画像記録部21cの処理により、撮影区間を取得する(ステップS200)。すなわち、車両Cにおいて画像を撮影すべき撮影区間を示す情報は記録媒体30に記録されており(図示せず)、制御部20は、当該撮影区間を示す情報を取得する。この結果、撮影区間として設定された全ての区間が特定される。
次に、制御部20は、画像記録部21cの処理により、選定条件を取得する(ステップS205)。すなわち、制御部20は、記録媒体30から選定条件情報30cを取得してRAMに記録し、任意のタイミングで選定条件を参照できる状態とする。次に、制御部20は、画像記録部21cの処理により、画像品質条件を取得する(ステップS210)。すなわち、本実施形態においては、画像が視認されるに値する品質で撮影された場合に当該画像を配信用画像の候補とする構成が採用されており、視認されるに値する品質であるか否かを判定するための画像品質条件が予め定義され、画像品質条件を示す情報が記録媒体30に記録されている(図示せず)。
そこで、制御部20は、記録媒体30から画像品質条件を示す情報を取得してRAMに記録し、任意のタイミングで画像品質条件を参照できる状態とする。なお、画像品質条件は、例えば、車両の像が画像全体に対して占める割合が所定の割合(例えば50%)以下であること、フォーカスが許容範囲であること(ぼけやブレがないこと)、色が許容範囲であること(逆光や白飛びがないこと)等を判定するための閾値等によって定義可能である。
次に、制御部20は、処理対象の撮影区間を特定する(ステップS215)。すなわち、配信用画像記録処理においては、ステップS200で取得された撮影区間のそれぞれについて配信用画像を選定するための処理を行うため、ステップS215〜S265のループ処理における処理対象となっていない撮影区間を1個選択し、処理対象の撮影区間とする。
次に、制御部20は、画像記録部21cの処理により、撮影された画像を取得する(ステップS220)。すなわち、制御部20は、画像取得部21aの処理により、任意のタイミングで送信される画像情報30aを記録媒体30に記録する処理を行っており、画像配信システム10の運用過程で記録媒体に30画像情報30aが記録されていく。そこで、制御部20は、ステップS220において、記録媒体30を参照し、処理対象の撮影区間を示す情報が対応づけられた画像情報30aを取得し、RAMに記録する。
次に、制御部20は、画像記録部21cの処理により、撮影された画像が画像品質条件を満たすか否かを判定する(ステップS225)。すなわち、制御部20は、RAMに記録された画像情報30aに基づいて所定の画像処理を行い、画像の品質を示す特徴量(車両の像が画像全体に対して占める比率を示す値や、ぼけやブレの評価値、逆光や白飛びを評価する評価値)を取得し、画像品質条件が示す閾値と比較することで撮影された画像が画像品質条件を満たすか否かを判定する。
ステップS225において、撮影された画像が画像品質条件を満たすと判定されない場合、制御部20は、画像記録部21cの処理により、撮影された画像を示す画像情報30aを記録媒体30およびRAMから破棄する(ステップS250)。すなわち、この場合、撮影された画像は配信用画像の候補とされない。なお、ステップS220において、処理対象の撮影区間を示す情報が対応づけられた画像情報30aが取得されない場合(当該処理対象の撮影区間で新たな画像が撮影されていない場合)、制御部20は、ステップS225において画像品質条件を満たすと判定せず、ステップS250をスキップする。
一方、ステップS225において、撮影された画像が画像品質条件を満たすと判定された場合、制御部20は、渋滞状況取得部21bの処理により渋滞の状況を取得する(ステップS230)。すなわち、制御部20は、記録媒体30を参照し、処理対象の撮影区間と同一の区間を示す情報が対応づけられた渋滞情報30bを取得し、RAMに記録する。この結果、処理対象の撮影区間について、平均車速と渋滞の発生原因と車線毎の渋滞の有無と渋滞の車列の長さとの少なくとも1個の要素が特定された状態となる。次に、制御部20は、画像記録部21cの処理により、配信用画像を取得する(ステップS235)。すなわち、制御部20は、記録媒体30を参照し、処理対象の撮影区間を示す情報とステップS230において取得された渋滞の状況を示す情報とが対応づけられた配信用画像情報30dを取得し、RAMに記録する。
次に、制御部20は、画像記録部21cの処理により、撮影された画像が、いずれかの渋滞の状況についての選定条件を満たすか否かを判定する(ステップS240)。すなわち、制御部20は、ステップS230にて取得した渋滞の状況のそれぞれに対応する選定条件(表1参照)を特定し、それぞれの選定条件によって選定を行う。選定条件を満たすと判定された場合、当該選定条件に対応づけられた優先度が特定され、優先度および渋滞の状況を示す情報がRAMに記録される。なお、選定条件に基づく画像の選定は、画像が渋滞の状況を示しているか否かを選定するように実施されれば良く、本実施形態において制御部20は、画像の内容が渋滞の状況を反映しているか否かを画像解析によって直接的に判定する。
平均車速に応じた選定条件に基づいて選定を行う場合、制御部20は、渋滞情報30bに基づいて処理対象の撮影区間における平均車速を特定する。また、制御部20は、選定条件情報30cを参照し、平均車速に応じた車間距離の許容値(10m以内または20m以内または許容値なし)を取得する。さらに、制御部20は、撮影された画像から直前の先行車両の像を抽出する画像処理を行い、当該像の画像内における位置に基づいて車両Cと車両Cの直前の先行車両との車間距離を特定する。なお、車間距離は、例えば、画像内の画素の位置に基づいて特定可能である。すなわち、画像内の画素毎に各画素に地物の像が存在する場合における地物と車両Cとの距離を予め特定し、画素に対応づけておけば、先行車両の像(車輪の像等)が写っている画素に対応する距離を特定することによって車間距離を特定することができる。
そして、車間距離の許容値が10mまたは20mのように定義されている場合、制御部20は、撮影された画像から得られた車間距離がこれらの許容値以下である場合に、選定条件を満たすと判定する。車間距離が20m以上であることまたは先行車両がないことが選定条件である場合、制御部20は、撮影された画像から得られた車間距離が20m以上であるか先行車両が存在しない状態である場合に、選定条件を満たすと判定する。
渋滞の発生原因に応じた選定条件に基づいて選定を行う場合、制御部20は、渋滞情報30bに基づいて処理対象の撮影区間における渋滞の発生原因を特定する。また、制御部20は、選定条件情報30cを参照して渋滞の発生原因に応じた選定条件のうち、最も優先度が高い選定条件を特定する。そして、制御部20は、撮影された画像が当該選定条件を満たすか否かを判定する。選定条件を満たすと判定されない場合、制御部20は、優先度を下げて、撮影された画像が選定条件を満たすか否かを判定する処理を行う。制御部20は、いずれかの優先度の選定条件で選定条件を満たすと判定されるか、または、全ての優先度の選定条件で選定条件を満たさないと判定されるまで優先度を下げて選定条件による判定を行う。そして、いずれかの優先度の選定条件で選定条件を満たすと判定された場合ステップS240において選定条件を満たすと結論づけ、全ての優先度の選定条件で選定条件を満たさないと判定された場合ステップS240において選定条件を満たさないと結論づける。
なお、渋滞の発生原因を示す像が画像に含まれるという選定条件に基づいて選定を行う場合、制御部20は、撮影された画像から各選定条件に示された像を抽出する画像処理を行う。すなわち、制御部20は、撮影された画像から渋滞の発生原因の像の特徴量を抽出する処理を行い、抽出された場合に、選定条件を満たすと判定する。なお、渋滞の発生原因が事故である場合に抽出対象となる像の特徴量は、例えば、事故処理車両や事故であることを示す標識の像の特徴量である。また、渋滞の発生原因が工事である場合に抽出対象となる像の特徴量は、例えば、工事車両や工事中であることを示す標識の像の特徴量である。渋滞の発生原因が特異点である場合に抽出対象となる像の特徴量は特異点毎に異なり、例えば、特異点が交差点であれば道路の像が交わっていることを示す量等が特徴量となり、特異点が踏切であれば踏切の遮断棒の像を示す量や線路の像を示す量等が特徴量となる。
複数台の他の車両の像が画像に含まれるという選定条件に基づいて選定を行う場合、制御部20は、撮影された画像から車両の像の特徴量(例えば、車輪の像やテールランプの像の特徴量等)を抽出する処理を行い、複数台分の特徴量が抽出された場合に選定条件を満たすと判定する。信号待ちの先頭でないという選定条件に基づいて選定を行う場合、制御部20は、撮影された画像から停止信号の像の特徴量(例えば、点灯しているランプが信号機の停止信号灯の位置であることを示す特徴量等)と道路上の停止線の像の特徴量(例えば、進行方向に対して垂直な白線等)を抽出する処理を行い、停止信号の像の特徴量が抽出され、停止線が車両Cの直前に存在する場合に、選定条件を満たすと判定する。
車線毎の渋滞の有無に応じた選定条件に基づいて選定を行う場合、制御部20は、撮影された画像から車線の境界線の特徴量を抽出する処理を行い、車両Cが存在する境界線のパターン(実線または破線)によって車両Cが走行する走行車線を特定する。むろん、車両Cが走行する走行車線は車両Cにおいて特定され、走行車線を示す情報が撮影された画像に対応づけられていても良い。
さらに、制御部20は、渋滞情報30bに基づいて、走行車線に隣接する隣接車線における渋滞の有無を特定し、当該隣接車線に渋滞がない場合に、隣接車線上の車列の像が含まれないという選定条件を選択する。さらに、制御部20は、撮影された画像から車両の像の特徴量(例えば、車輪の像やテールランプの像の特徴量等)を抽出する処理を行い、車両が隣接車線上で連続して存在しない場合に選定条件を満たすと判定する。一方、制御部20は、隣接車線に渋滞がある場合に、隣接車線上の車列の像が含まれるという選定条件を選択する。さらに、制御部20は、撮影された画像から車両の像の特徴量を抽出する処理を行い、車両の像が抽出され、かつ、抽出された車両が隣接車線上で連続して存在する場合に選定条件を満たすと判定する。
車列の長さに応じた選定条件に基づいて選定を行う場合、制御部20は、渋滞情報30bに基づいて渋滞の車列の長さを特定し、当該渋滞の車列の長さが所定距離未満である場合、選定条件は特定されていないため、制御部20は、選定条件を満たすと判定する。一方、渋滞の車列の長さが所定距離以上である場合、制御部20は、複数台の他の車両の像が画像に含まれるという選定条件を選択する。そして、制御部20は、撮影された画像から車両の像の特徴量を抽出する処理を行い、車両の像が抽出され、かつ、抽出された車両が車線上で連続して存在する場合に選定条件を満たすと判定する。
以上の処理によって、ステップS240において、撮影された画像が、いずれかの渋滞の状況についての選定条件を満たすと判定されない場合、制御部20は、画像記録部21cの処理により、撮影された画像を示す画像情報30aを記録媒体30およびRAMから破棄する(ステップS250)。なお、処理対象の撮影区間と同一の区間を示す情報が対応づけられた渋滞情報30bが存在せず、ステップS230において処理対象の撮影区間と同一の区間についての渋滞情報30bが取得できない場合、ステップS240において制御部20は、撮影された画像が選定条件を満たすと判定しない。
一方、ステップS240において、撮影された画像が、いずれかの渋滞の状況についての選定条件を満たすと判定された場合、制御部20は、画像記録部21cの処理により、撮影された画像の優先度が配信用画像の優先度以上であるか否かを判定する(ステップS245)。すなわち、制御部20は、ステップS240における選定に使用された選定条件の優先度と、ステップS235で取得された配信用画像の選定に使用された選定条件の優先度とを比較し、前者が後者以上であるか否かを判定する。むろん、複数の渋滞の状況について選定が行われた場合、各渋滞の状況について比較が行われる。
ステップS245において、全ての渋滞の状況について、撮影された画像の優先度が配信用画像の優先度以上であると判定されない場合、制御部20は、画像記録部21cの処理により、撮影された画像を示す画像情報30aを記録媒体30およびRAMから破棄する(ステップS250)。一方、ステップS245において、いずれかの渋滞の状況について、撮影された画像の優先度が配信用画像の優先度以上であると判定された場合、制御部20は、画像記録部21cの処理により、配信用画像を破棄する(ステップS255)。すなわち、制御部20は、撮影された画像の優先度が配信用画像の優先度以上であると判定された渋滞の状況を特定し、当該渋滞の状況が対応づけられた配信用画像を示す配信用画像情報30dを記録媒体30から削除する。なお、ステップS235にて、処理対象の撮影区間を示す情報が対応づけられた配信用画像が取得できなかった場合(処理対象の撮影区間を示す情報が対応づけられた配信用画像が存在しない場合)、ステップS255はスキップされる。
次に、制御部20は、画像記録部21cの処理により、撮影された画像を配信用画像として記録する(ステップS260)。すなわち、制御部20は、ステップS220にて取得された画像情報30aに対して、選定条件を満たすと判定された渋滞の状況を示す情報と処理対象の撮影区間を示す情報とを対応づけて配信用画像情報30dとして記録媒体30に記録する。ステップS250またはステップS260が実行されると、制御部20は、全撮影区間について選定処理が終了したか否かを判定する(ステップS265)。すなわち、制御部20は、ステップS200で取得された撮影区間の全てについて処理対象の撮影区間とし、ステップS215〜S260のループ処理が行われた場合に、全撮影区間について選定処理が終了したと判定する。そして、ステップS265にて全撮影区間について選定処理が終了したと判定されるまで、ステップS215以降の処理を繰り返す。
(4)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、渋滞の状況に応じた選定条件で画像を選定して配信用画像とする限りにおいて、各種の態様を採用可能である。例えば、渋滞の状況を対応づけることなく配信用画像を記録する構成としても良い。具体的には、撮影区間の現在の渋滞の状況に対応する選定条件で画像を選定して配信用画像として記録し、車両Cが撮影区間に近づいた場合には、記録されている配信用画像を配信するように構成しても良い。なお、撮影区間において2個以上の渋滞の状況の併発している場合、いずれか1個の状況について選定条件による判定を行う構成としても良い。この場合、予め渋滞の状況に優先順位を設定しておくことが好ましい。例えば、表1に記載した順序(平均車速、渋滞の発生原因、車線毎の渋滞の有無、渋滞の車列の長さ)で優先順位が低下する設定等を採用可能である。
また、画像配信システムにおいては、配信用画像を配信することができればよく、配信用画像の配信先としては種々の対象を想定可能である。すなわち、渋滞の状況を把握することを望む各種の対象に対して配信用画像を配信して良く、例えば、車両に備えられた端末や車室内で利用される端末、道路上で利用される端末等が配信対象として想定される。
画像取得手段は、道路上の車両から撮影された画像を取得することができればよく、画像を取得する装置としては種々の装置を想定可能である。例えば、車両に搭載されたカメラや車室内で利用される端末に搭載されたカメラ等を想定可能である。
渋滞状況取得手段は、画像が撮影された時点における道路の渋滞の状況を取得することができればよく、種々の情報源から渋滞の状況を取得可能である。例えば、道路区間毎の渋滞情報を管理する渋滞情報管理サーバや車両の走行履歴から渋滞情報を生成して管理する走行履歴管理サーバ等から渋滞の状況を取得する構成を採用可能である。また、道路上の車両から撮影された画像を解析することによって渋滞の状況を取得しても良い。なお、道路上の車両から撮影された画像が渋滞の状況を反映しているとは限らないため、画像解析以外の情報源から渋滞の状況を取得可能である場合、画像解析以外の情報源から優先的に渋滞の状況を取得することが好ましい。
渋滞の状況は、渋滞を特徴づける種々の要素によって定義することが可能であり、例えば、渋滞度合いや渋滞の発生原因等によって渋滞の状況を定義可能である。なお、渋滞度合いは種々の要素によって定義可能である。例えば、渋滞区間を走行する際の車両の平均車速や、車列の長さ、単位距離あたりの車両台数等によって渋滞度合いを定義可能である。むろん、以上の要素と異なる要素で渋滞の状況を定義しても良く、例えば、車線毎の混雑度合い(平均車速や単位距離あたりの車両台数等)によって渋滞の状況を定義しても良い。
さらに、渋滞状況取得手段は、画像が撮影された時点についての渋滞の状況を取得するが、ここでは、撮影された画像が渋滞の状況を示していると見なすことができればよく、画像が撮影された時点が時刻等によって詳細に特定される構成において、当該時刻における渋滞の状況が取得されても良いし、画像が撮影された時点での渋滞の状況が推定されることによって画像が撮影された時点についての渋滞の状況が取得されても良い。
画像記録手段は、渋滞の状況に応じた選定条件を満たす画像を配信用画像として記録媒体に記録することができればよい。ここでは、渋滞の状況に応じた選定条件によって画像を選定することにより、選定された画像から渋滞の状況の誤認が発生することを抑制することができればよい。従って、選定条件としては、例えば、渋滞の状況を反映している画像と反映していない画像とを選別する条件等を採用可能であり、画像から渋滞の状況が特定される場合に当該画像を選定する条件を選定条件とする構成等を採用可能である。
選定条件に基づく画像の選定は、渋滞の状況を示している画像を選定するように実施されれば良く、画像解析によって画像の内容が渋滞の状況を反映しているか否かを直接的に判定しても良いし、渋滞の状況を変動させ得る周囲の状況(渋滞多発地点等)と画像が撮影された位置との関係から間接的に判定しても良い。
また、記録媒体は、配信対象に配信用画像を配信できるように記録することができればよい。従って、配信対象に対して配信用画像を配信する際に参照される情報が対応づけられることが好ましく、例えば、画像が撮影された位置や区間、渋滞の状況、日時、車両の走行履歴(平均車速等)等を対応づけて記録する構成を採用可能である。
さらに、渋滞の状況に前記道路上での平均車速が含まれる構成とし、当該平均車速に応じた選定条件を、車両と当該車両の直前の先行車両との車間距離が許容値以下である画像を選定する条件であるとともに、平均車速が小さいほど許容値が小さくなるように設定されているように構成しても良い。
すなわち、一般には、渋滞が激しくなるほど渋滞が発生している道路を走行する車両の平均車速が小さくなり、平均車速が小さければ、多くの場合、車両と当該車両の直前の先行車両との車間距離が小さくなる。ただし先行車両の加減速タイミングと車両Cの加減速タイミングとが異なる等によって車間距離が大きくなる場合もある。このような場合に画像が撮影されると、車両の平均車速が大きいことに起因して車間距離が大きい状況と、車両の平均車速が小さい状態であるが偶発的に車間距離が大きくなっている状況とが区別できない。従って、このような画像は渋滞の状況である車両の平均車速に応じた画像ではない。そこで、車両と当該車両の直前の先行車両との車間距離が許容値以下である画像を選定する条件であるとともに、平均車速が小さいほど許容値が小さくなるように設定された選定条件で画像を選定すれば、渋滞の状況である車両の平均車速に応じた車間距離になっている画像を選定することができる。
さらに、渋滞の状況に渋滞の発生原因が含まれる構成とし、発生原因に応じた選定条件を、発生原因を示す像が含まれている画像を選定する条件とする構成を採用しても良い。すなわち、画像に渋滞の発生原因が含まれる場合、画像を視認することによって極めて容易に渋滞の発生原因を認識することが可能である。従って、発生原因を示す像が含まれている画像を選定する条件で画像を選定すれば、渋滞の発生原因の誤認が発生することを抑制することができる。
さらに、渋滞の状況に車両が走行している車線に隣接する車線の渋滞の状況が含まれる構成とし、隣接する車線の渋滞の状況に応じた選定条件を、隣接する車線が渋滞している場合に当該隣接する車線上の車列の像が含まれている画像を選定する条件であり、隣接する車線が渋滞していない場合に当該隣接する車線上の車列の像が含まれていない画像を選定する条件とする構成を採用しても良い。
すなわち、車両の直前に先行車両が存在する場合、車両から撮影された画像においては先行車両の像によって隣接車線に存在し得る車列の像が遮蔽される。そして、画像内において隣接車線上に車列が存在しない場合、隣接車線上が空いているように見えるが、実際に空いているとは限らない。また、隣接車線上に車列が存在する場合、隣接車線上が渋滞しているように見えるが、先行車両によって遮蔽されていない区間において実際に渋滞しているとは限らない。そこで、隣接する車線が渋滞している場合に当該隣接する車線上の車列の像が含まれている画像を選定すれば、当該画像に基づいて隣接車線上の渋滞度合いの誤認が発生することを抑制することができる。また、隣接する車線が渋滞していない場合に当該隣接する車線上の車列の像が含まれていない画像を選定すれば、隣接車線上の渋滞度合いの誤認が発生することを抑制することができる。
さらに、渋滞の状況には車列の長さが含まれる構成とし、車列の長さに応じた選定条件を、車列の長さが所定距離以上である場合に複数台の他の車両の像が含まれている画像を選定する条件とする構成を採用しても良い。すなわち、車両から撮影された画像に複数台の他の車両の像が含まれる場合、画像からは渋滞によって車列が形成されていることが示唆される。しかし、先行車両や他の地物等の遮蔽物によって他の車両が遮蔽されている場合、車両から撮影された画像から車両の周辺に車列が形成されていると認識されない場合もある。
この場合、車列の程度を誤認する原因となる。そこで、車列の長さが所定距離以上である場合に複数台の他の車両の像が含まれている画像を選定すれば、当該画像に基づいて車列の長さの誤認が発生することを抑制することができる。なお、所定距離は、車列が長いことによって車両の走行速度を低下させる等の影響が生じる距離として予め規定されていれば良く、例えば、1km等を採用可能である。
さらに、道路上の車両から撮影された画像を取得する画像取得手段と、画像が撮影された時点における道路の渋滞の状況を取得する渋滞状況取得手段と、渋滞の状況に応じた選定条件を満たす画像を他の車両に対して配信する画像配信手段と、を備える画像配信システムを構成しても良い。むろん、上述の各システムを構成する各手段は、一体の装置に備えられていても良いし、別体の装置に備えられていても良い。例えば、車両で利用される端末で画像の選定を行い、選定された画像をサーバで管理して他の車両に配信する構成等を採用しても良い。
さらに、渋滞の状況に応じた選定条件で画像を選定して配信用画像とする手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のような装置を備えた交通情報の管理システムや方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。