JP2015087198A - 計測装置及び計測方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】基準計測時と被検面計測時とにおける光線分布の違いを抑制することにより、光線分布の違いで発生する収差の違いを抑えて計測誤差を抑制する。
【解決手段】光源11と、入射光の光線分布を検出するシャックハルトマンセンサ40と、被検面2aからシャックハルトマンセンサ40まで設けられる投影光学系70と、所定形状の波面を有する基準光を発生させ、計測光と選択的に基準光を投影光学系70に入射可能な基準光学素子3と、計測光と基準光との少なくとも一方の光線角度を、投影光学系70に入射される前に部分ごとに変更可能な光線分布可変素子60と、光線分布可変素子60を制御することにより、シャックハルトマンセンサ40で検出される計測光の光線分布と基準光の光線分布とを一致させ、光線分布可変素子60の制御量に基づいて被検面2aの形状を演算する演算部50と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、光を用いて被検物の表面形状を計測するのに用いる計測装置及び計測方法に関するものである。
近年、カメラ、光学ドライブ、露光装置等の光学機器では、非球面光学素子が多用されており、これらの光学機器の高精度化に伴い、非球面光学素子の形状も高精度化が求められている。このような非球面光学素子の高精度な形状を実現するためには、非球面光学素子の形状を高精度に計測する必要があり、そのための計測装置の1つとしてシャックハルトマンセンサを用いた計測装置が提案されている(特許文献1参照)。
図8に示すように、この計測装置100により非球面光学素子等の被検物120の形状を計測する際は、被検物120の被検面120aが対物レンズ102の焦点と一致するように配置して、基準計測を行う。光源103から出射された光源光は、ビームスプリッタ104で反射され、対物レンズ102によって被検物120の光軸と被検面120aとの交点に集光される。被検面120aでの反射光は、対物レンズ102とビームスプリッタ104とを透過し、シャックハルトマンセンサ105に入射され、マイクロレンズアレイ106の各マイクロレンズに入射され、それぞれCCDカメラ107上にスポットを形成する。CCDカメラ107により撮影された画像は、フレームグラバ108を経てコンピュータ109に入力され、この画像に基づいてCCDカメラ107上でのスポットの位置の分布(以下、スポット分布という)が算出される。
この際、対物レンズ102及びビームスプリッタ104により構成される光学系に収差が無ければ、マイクロレンズアレイ106には平面状の波面を有する光が入射し、CCDカメラ107上に形成されるスポットは各マイクロレンズの光軸上に位置される。しかし、実際には、対物レンズ102及びビームスプリッタ104により構成される光学系には収差がある。このため、マイクロレンズアレイ106には平面状ではない乱れた形状の波面を有する光が入射し、CCDカメラ107上に形成されるスポットは各マイクロレンズの光軸上に位置しなくなる。このような乱れたスポット分布は、その計測装置100が有しているシステム誤差に相当するものであり、この時のスポット分布を基準光線分布として記憶する。
次に、図9に示すように、対物レンズ102から出射される光がアパーチャ110を経て被検面120aの全面に照射されると共に被検面120aの曲率と波面の曲率とがほぼ一致するように、被検物120を配置して被検面計測を行う。ここで、被検面120aに入射される光の波面の形状と被検面120aの形状とに差がある場合は、この形状差により、入射される光の波面は反射される際に変形される。このため、被検面120aで反射されて変形された波面がシャックハルトマンセンサ105に入射すると、スポット分布は、波面が変形した分だけ基準光線分布からずれたものになる。このずれたスポット分布を計測光線分布として基準光線分布と比較することにより、各スポットの移動量を算出し、その結果から被検面120aの形状を算出する。このように、被検面120aを計測して得られた計測結果から、計測装置100のシステム誤差を差し引いて、被検面120aの形状を算出しているので、システム誤差の影響が抑制された計測結果を得られるようになる。
米国特許第6750958号明細書
しかしながら、特許文献1に記載された計測装置100では、被検面120aが正確な球面ではない場合には、図8に示す基準計測と、図9に示す被検面計測とで、被検面120aからCCDカメラ107まで光が透過する際の光線分布が異なってしまう。即ち、基準計測時には、対物レンズ102からの出射光が、被検面120aの一点で反射されるので、それによる反射光は球面状の波面を有する光になる。これに対し、被検面計測時には、対物レンズ102からの出射光が、正確な球面ではない被検面120aの全体で反射されるので、それによる反射光は、球面状ではない乱れた形状の波面を有する光になる。このような被検面120aでの反射光の波面形状の違いにより、波面に依存する光線分布は異なったものになる。
基準計測時と被検面計測時とで、被検面120aからCCDカメラ107までの光線分布が異なることにより、各光線が被検面120aからCCDカメラ107までの各光学素子から受ける収差の影響は異なってしまう。このため、被検面計測時には、基準計測時のシステム誤差とは異なる誤差を生じてしまうので、被検面計測時の計測結果から基準計測時のシステム誤差を差し引いても、得られた被検面120aの形状に誤差を含んでしまう。この計測装置100では、この誤差を十分に抑制することは困難であり、被検面120aの形状計測の更なる高精度化の妨げとなっていた。
本発明は、基準計測時と被検面計測時とにおける光線分布の違いを抑制することにより、光線分布の違いで発生する収差の違いを抑えて計測誤差を抑制できる計測装置及び計測方法を提供することを目的とする。
本発明の計測装置は、光を出射する光源と、入射した光の光線分布を検出する光線分布センサと、前記光源からの光を被検物の被検面に照射して得られた反射光を、計測光として前記光線分布センサに投影するように、前記被検面から前記光線分布センサまで設けられる投影光学系と、所定形状の波面を有する基準光を発生させ、前記計測光と選択的に前記基準光を前記投影光学系に入射可能な基準光発生部と、前記計測光と前記基準光との少なくとも一方の光線角度を、前記投影光学系に入射される前に部分ごとに変更可能な光線分布可変素子と、前記光線分布可変素子を制御して前記計測光と前記基準光との少なくとも一方の光線角度を部分ごとに変更することにより、前記光線分布センサで検出される前記計測光の光線分布と前記基準光の光線分布とを一致させ、前記光線分布可変素子の制御量に基づいて前記被検面の形状を演算する演算部と、を備えることを特徴とする。
また、本発明は、光を出射する光源と、入射した光の光線分布を検出する光線分布センサと、前記光源からの光を被検物の被検面に照射して得られた反射光を、計測光として前記光線分布センサに投影するように、前記被検面から前記光線分布センサまで設けられる投影光学系と、所定形状の波面を有する基準光を発生させ、前記計測光と選択的に前記基準光を前記投影光学系に入射可能な基準光発生部と、前記計測光と前記基準光との少なくとも一方の光線角度を、前記投影光学系に入射される前に部分ごとに変更可能な光線分布可変素子と、演算部と、を備える計測装置の計測方法において、前記演算部が、前記光線分布可変素子を制御して前記計測光と前記基準光との少なくとも一方の光線角度を部分ごとに変更することにより、前記光線分布センサで検出される前記計測光の光線分布と前記基準光の光線分布とを一致させる光線分布変更工程と、前記演算部が、前記光線分布可変素子の制御量に基づいて前記被検面の形状を演算する形状演算工程と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、計測光の光線分布と基準光の光線分布とを検出して、これらの光線分布が一致するように計測光と基準光の少なくとも一方の光線角度を部分ごとに変更するようにしている。従って、基準計測時と被検面計測時とにおいて投影光学系での光線分布が異なることを抑制できるので、光線分布の違いにより発生し得る投影光学系の収差の違いを抑え、計測誤差を抑制できるようになる。
本発明の第1実施形態に係る計測装置の概略構成を示す説明図であり、(a)は透過型の光線分布可変素子を適用した場合、(b)は数式1の座標系を示す説明図である。 本発明の第1実施形態に係る計測装置の概略構成を示す説明図であり、(a)は透過型の光線分布可変素子を適用しビームスプリッタを除去した場合、(b)は反射型の光線分布可変素子を適用しビームスプリッタを用いた場合である。 本発明の第1実施形態に係る計測装置により、被検物の被検面の形状の計測を行う際の処理手順を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る計測装置の概略構成を示す説明図であり、(a)は被検物を設置した場合、(b)は被検物を離脱した場合である。 本発明の第3実施形態に係る計測装置の概略構成を示す説明図である。 本発明の第3実施形態に係る計測装置の変形例の概略構成を示す説明図であり、(a)は被検物を離脱した場合、(b)は被検物を設置した場合である。 本発明の計測装置に用いられるシアリング干渉計の概略構成を示す説明図である。 従来の計測装置により基準計測を行う場合の概略構成を示す説明図である。 従来の計測装置により被検面計測を行う場合の概略構成を示す説明図である。
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1(a)に示すように、計測装置1は、計測用のレーザ光を光源光として出射する光源部10と、被検物2を保持する保持部30と、光線分布可変素子60と、投影光学系70と、シャックハルトマンセンサ(光線分布センサ)40と、を備えている。本実施形態では、被検物2は、非球面レンズとしている。
光源部10には、レーザ光(光)を光源光として出射するレーザダイオードからなる光源11が設けられており、該光源11から出射されたレーザ光が集光レンズ12により集光されて、光ファイバ13の一端部13aに入射されるようになっている。光ファイバ13の他端部13bから出射された光は、コリメータレンズ14により波形を平面状にして出射されるようになっている。尚、光源部10の構成は一例であり、これに限られないことは勿論であり、例えば光ファイバ13を用いなくてもよい。
投影光学系70は、保持部30に保持された被検物2の被検面2aからシャックハルトマンセンサ40までの光学系であり、光源光を被検面2aに照射して得られた反射光を、計測光としてシャックハルトマンセンサ40に投影するようになっている。本実施形態では、投影光学系70は、ビームスプリッタ(分離光学系)20と、対物レンズ24と、結像レンズ25とを備えている。
ビームスプリッタ20は、光源部10に対向する入射面21と、被検物2に対向する入出面22と、シャックハルトマンセンサ40に対向する出射面23とを備えている。ビームスプリッタ20は、入射面21に入射された光源光を入出面22から出射して被検物2の被検面2aに照射させ、該光線が被検面2aで反射された反射光を入出面22から計測光として入射し、光源光から分離して出射面23から出射するようになっている。
対物レンズ(集光素子)24は、ビームスプリッタ20の入出面22に対向して設けられている。対物レンズ24は、集光レンズであり、ビームスプリッタ20の入出面22から出射された光源光を球面波にして被検面2aに照射すると共に、該被検面2aで反射された計測光を入出面22に入射するようになっている。
結像レンズ25は、ビームスプリッタ20の出射面23に対向して設けられている。出射面23から出射された光は、結像レンズ25を経てシャックハルトマンセンサ40に入射する。この結像レンズ25は、後述する光線分布可変素子60とシャックハルトマンセンサ40とが結像関係になるように設計されていることが望ましい。
保持部30は、被検物2を着脱可能に保持するホルダ31と、該ホルダ31の位置及び姿勢を微調整するためのステージ32とを備えている。ホルダ31に保持された被検物2は、被検面2aの曲率及び向きが光源光の波面に一致するように、ステージ32によって位置及び姿勢を微調整されるようになっており、これら位置及び姿勢が一致した時の位置姿勢を被検位置(所定位置)とする。
ホルダ31には、被検物2及び基準光学素子(基準光発生部)3が選択的に着脱可能になっている。基準光学素子3としては、例えば球面や非球面等の形状が既知であって光源光を反射する基準面3aを有する基準レンズあるいは基準ミラー等を適用する。被検物2がホルダ31により保持され被検位置に設置されると、光源光が被検物2の被検面2aに照射され、該被検面2aから計測光がビームスプリッタ20に入射される。また、基準光学素子3がホルダ31により保持された時は、光源光が基準光学素子3の基準面3aに照射され、該基準面3aから基準光がビームスプリッタ20に入射される。即ち、本実施形態では、基準光学素子3は、基準面3aの形状に応じた所定形状の基準波面を有する基準光を発生させ、計測光と選択的に基準光を投影光学系70に入射可能になっている。
ここで、図1(a)に示す実施形態では、被検面2a及び基準面3aが凸形状であるので、被検物2及び基準光学素子3は対物レンズ24に対してその焦点よりも近い範囲に設置されているが、これには限られない。例えば、被検面2a及び基準面3aの形状が凹形状であれば、被検物2及び基準光学素子3は対物レンズ24に対してその焦点よりも遠い範囲に設置する。
また、図1(a)に示す実施形態では、ビームスプリッタ20及びコリメータレンズ14を備えているが、これには限られない。例えば、被検面2a及び基準面3aの形状が凹形状であれば、図2(a)の計測装置101に示すように、ビームスプリッタ20及びコリメータレンズ14を備えないようにしてもよい。この場合、光ファイバ13の他端部13bから出射された光線は、被検面2a又は基準面3aにより反射され、光線分布可変素子60に入射され、対物レンズ24及び結像レンズ25を経てシャックハルトマンセンサ40に入射される。尚、この場合は、投影光学系70は、対物レンズ24及び結像レンズ25により構成される。あるいは、例えば、図1(a)及び図2(a)の例において、被検面2a及び基準面3aの形状が平面状であれば、対物レンズ24を利用しないようにできる。
シャックハルトマンセンサ40は、入射された光を分割して集光してスポットを形成するマイクロレンズアレイ41と、形成された複数のスポットを撮像するCCDカメラ42とを備え、入射光の光線分布を検出するようになっている。マイクロレンズアレイ41は、1枚の結像面にそれぞれ集光する複数のマイクロレンズを有している。CCDカメラ42は、マイクロレンズアレイ41の結像面に配置されている。
シャックハルトマンセンサ40は、演算部50に接続されている。演算部50は、例えばコンピュータにより構成され、シャックハルトマンセンサ40から取得した計測値に基づき演算を行って、被検物2の形状を算出するようになっている。演算部50を構成するコンピュータは、例えばCPU51と、各種データを一時的に記憶するRAM52と、各種演算を実行するためのプログラムを記憶するROM53と、入出力インターフェース回路(I/F)54と、を備えている。
CPU51は、光線分布を演算する光線分布演算部55と、後述する光線分布可変素子60を制御する光線分布変更部56と、各種データに基づき被検物2の形状を算出する形状演算部57と、を備えている。光線分布演算部55は、シャックハルトマンセンサ40のCCDカメラ42で得られた画像に基づきスポット分布を算出し、その結果を光線分布としてRAM52に保存するようになっている。即ち、光線分布演算部55はCPU51に備えられており、シャックハルトマンセンサ40とは別体であるが、スポット分布を算出する光線分布センサは、光線分布演算部55及びシャックハルトマンセンサ40により構成されている。
次に、本実施形態の特徴部である光線分布可変素子60について説明する。光線分布可変素子60は、屈折率が可変な透明物質を備え、屈折率の空間的な分布を制御することで、透過する光の位相の空間分布を変調する位相変調素子である。例えば、液晶層の配向状態を電気的に制御することで屈折率を制御するものが周知であるが、これに限られないのは勿論である。この光線分布可変素子60は、対物レンズ24と被検物2または基準光学素子3との間に設置され、透過する光の空間位相を変調可能になっている。即ち、光線分布可変素子60は、計測光と基準光との少なくとも一方の光線角度を、投影光学系70に入射される前に部分ごとに変更可能になっている。
この光線分布可変素子60による位相変調量は、演算部50の光線分布変更部56から入力される制御信号によって制御される。光線分布可変素子60を用いることにより、光線角度を部分ごとに変化させることができ、その後の光線分布を変化させることができる。
ここで、被検物2の被検面2aにより反射された計測光の光線分布をシャックハルトマンセンサ40により検出したスポット分布の結果を、計測光線分布とする。また、基準光学素子3の基準面3aにより反射された基準光の光線分布をシャックハルトマンセンサ40により検出したスポット分布の結果を、基準光線分布とする。
光線分布変更部56は、光線分布可変素子60を制御して計測光と基準光との少なくとも一方の光線角度を部分ごとに変更することにより、計測光線分布と基準光線分布とを一致させるようになっている。また、形状演算部57は、光線分布可変素子60の制御量に基づき、被検面2aと基準面3aとの形状差を演算し、基準面3aの形状及び形状差に基づいて被検面2aの形状を演算するようになっている。本実施形態では、形状演算部57は、光線分布可変素子60で変調した位相の分布に基づいて演算する。
上述した計測装置1により被検物2の被検面2aの形状を算出する手順を、図3に示すフローチャートに沿って説明する。
まず、既知の形状である基準面3aを有する基準光学素子3を、ホルダ31に設置して(ステップS1)、基準計測を開始する。光源部10から出射された光源光は、ビームスプリッタ20の入射面21から入射し、内部で反射されて入出面22から出射され、対物レンズ24で集光され光線分布可変素子60を透過して基準面3aに照射される。この時、対物レンズ24から出射される光の球面状の波面の中心と基準面3aの中心とを一致させるように、ホルダ31の位置及び姿勢をステージ32により微調整する。
基準面3aで反射された光は、基準光として光線分布可変素子60を透過し、対物レンズ24を透過して入出面22に入射し、ビームスプリッタ20を透過して、出射面23から出射し、結像レンズ25を透過してシャックハルトマンセンサ40に入射する。ここでは、光線分布可変素子60によって光の位相を変化させることはない。
シャックハルトマンセンサ40に入射した光は、マイクロレンズアレイ41によって分割され、それぞれ集光され、CCDカメラ42上に複数のスポットを形成する。CCDカメラ42は、形成された複数のスポットを撮像し、その画像は演算部50のCPU51の光線分布演算部55の演算により解析されて、スポット分布として取得され、RAM52に保存される(ステップS2)。
ここで、図1(b)の座標系に示すように、光軸が(x,y)に位置するマイクロレンズによって、fだけ離れたCCDカメラ42の(x’(x,y),y’(x,y))の位置にスポットが生成されているものとする。この場合、マイクロレンズに入射している光線の傾斜角θ、θは、図1(b)の座標系に従い、数式1のように表される。
Figure 2015087198
即ち、基準光を入射した場合のスポット分布(x’,y’)は、マイクロレンズに入射する基準光の光線角度の分布(θ(x,y),θ(x,y))と密接な物理量であり、本明細書中では基準光線分布に相当するものとしている。
基準光線分布の取得後、基準光学素子3をホルダ31から離脱させ(ステップS3)、ホルダ31に被検物2を設置して(ステップS4)、被検面計測を開始する。この時、対物レンズ24から出射される光の球面状の波面の曲率と被検面2aの中心部での曲率とが一致するように、ホルダ31の位置及び姿勢をステージ32により微調整する。
被検面2aで反射された光の波面の形状には、被検面2aの形状が反映される。その後、この反射光は、計測光として光線分布可変素子60を透過し、投影光学系70を透過してシャックハルトマンセンサ40に入射する。入射した光は、CCDカメラ42上に複数のスポットを形成し、その画像は光線分布演算部55の演算により解析され、スポット分布として取得され、計測光線分布としてRAM52に保存される(ステップS5)。その結果、CCDカメラ42でのスポット分布は、基準光における基準光線分布から計測光線分布に変化する。
ここで、基準面3aに基づいて取得したスポット分布は、投影光学系70の収差によるシステム誤差に相当する。また、被検面2aに基づいて取得したスポット分布は、システム誤差に加え、被検面2aの形状によるスポットの移動を含むものとなる。ところが、基準面3aの反射光と被検面2aの反射光とでは、投影光学系70を透過する際の光線分布が異なるため、収差が異なり、結果的にシステム誤差も異なっている。従って、基準面3aを設置して取得したスポット分布と被検面2aを設置して取得したスポット分布との差から被検面2aの形状を求めても、十分にシステム誤差が抑制された形状とはならない。
そこで、本実施形態では、光線分布変更部56が、被検面2aの反射光の位相分布を光線分布可変素子60で変調し、光線分布を変化させる。これにより、被検面2aの反射光が投影光学系70を透過する際の光線分布を、基準面3aの反射光の光線分布と一致させることができる(ステップS6、光線分布変更工程)。光線分布が一致したか否かは、シャックハルトマンセンサ40の出力、即ちCCDカメラ42上でのスポット分布が一致したか否かによって、光線分布変更部56により判断される。
形状演算部57は、スポット分布が一致した時の位相変調量の分布、即ち光線分布可変素子60の制御量から、被検面2aと基準面3aとの形状の差異を求める。更に、形状演算部57は、既知の基準面3aに対して形状の差異を加えることで、被検面2aの形状を演算して取得することができる(ステップS7、形状演算工程)。
被検物2の被検面2aの形状の計測の終了後、該被検物2をホルダ31から取り外し、計測結果に応じて、例えば再加工したり、あるいは形状を考慮した組付け等を行うようにする。また、基準光学素子3の基準面3aのデータを利用して、次の被検物2をホルダ31に設置して、その被検面2aの形状計測を行うことができる。即ち、次の被検物2については、図3に示すステップS4から計測処理を開始することができるので、基準光学素子3の計測をする場合に比べて計測時間を短縮することができる。
以下、ステップS6の光線分布変更工程の具体例について、詳細に説明する。尚、以下に説明するツェルニケ関数を用いた手法は一例であり、この手法に限られないことは勿論であり、例えば積分により直接演算するようにしてもよい。まず、基準面3aの反射光から取得したスポット分布と、被検面2aの反射光から取得したスポット分布とを比較し、その差をスポット移動量分布Δx(x,y)、Δy(x,y)として求める。そして、この差に相当する光線分布可変素子60での光線角度の変化量Δθ(x,y)、Δθ(x,y)を、数式2により求める。
Figure 2015087198
数式2中、kは、対物レンズ24と結像レンズ25によって光線分布可変素子60での波面がシャックハルトマンセンサ40に結像される際の倍率を表す。光線分布可変素子60での光線角度が決まれば、その後の光線分布は一意に決まる。即ち、このようにスポット移動量分布を取得して光線分布可変素子60の光線角度を求めることは、光線分布可変素子60から後の光線分布をシャックハルトマンセンサ40でモニタすることに相当する。更に、数式3に示すように、この光線分布をツェルニケ関数Z(x,y)(i=1,2,…)の微分形でフィッティングし、その係数cを求める。
Figure 2015087198
数式3に示すように、ここでは第36項までのツェルニケ関数を仮定したが、この項数は被検面2aに必要となる形状データの空間周波数に応じて変化させることが好ましい。そして、このcを数式4に代入することで、光線分布可変素子60での被検面2aの反射光の波面と、基準面3aの反射光の波面との差ΔW(x,y)を求める。
Figure 2015087198
そして、演算部50から光線分布可変素子60に制御信号を送り、光線分布可変素子60での位相変調量φ(x,y)に−πW(x,y)/λを加える(λ:入射光の波長)。これにより、被検面2aの形状によって変形した波面の形状が相殺され、光線分布可変素子60から出射される光の波面は、球面状、即ち基準面3aの反射光の波面の形状に近づく。
上述したスポット移動量分布Δx(x,y)、Δy(x,y)を求める処理から、光線分布可変素子60での位相変調量φ(x,y)に−πW(x,y)/λを加えるまでの処理を、基準面3aで得られたスポット分布が得られるまで繰り返す。即ち、光線分布可変素子60から後側の光線分布が、基準面3aを設置した場合の光線分布と一致するまで繰り返す。
光線分布可変素子60から後側の光線分布が基準面3aを設置した場合の光線分布と一致した時は、演算部50から光線分布可変素子60に送信している制御信号から、演算部50にて位相変調量φ(x,y)を求め、更に被検面2aの形状を求める。このような方法であれば、投影光学系70の収差による影響を極力抑制して、被検面2aの形状データを取得することができる。
上述したように本実施形態の計測装置1によれば、計測光に基づいて得られる計測光線分布と、基準光に基づいて得られる基準光線分布とを検出して、これら計測光線分布と基準光線分布とが一致するように光線分布可変素子60により計測光を変調する。従って、基準計測時と被検面計測時とにおいて投影光学系70での光線分布が異なることを抑制できるので、光線分布の違いにより発生し得る投影光学系70の収差の違いを抑え、被検面2aの形状計測での計測誤差を抑制できるようになる。
また、本実施形態の計測装置1によれば、1つのホルダ31に対して被検物2と基準光学素子3とを選択的に着脱可能で、被検面2aの形状と基準面3aの形状との差を算出するようになっている。このため、例えば、基準光学素子3が被検物2の理想形状である場合は、被検物2が理想形状の基準光学素子3に対してどの程度の形状誤差があるかを算出できる。これにより、基準光学素子3が被検物2の理想形状ではない場合のように、一旦基準光学素子3との差異を算出してから更に理想形状との差異を算出する必要が無いので、演算部50での演算処理の負担の増加を抑えることができる。
また、本実施形態の計測装置1によれば、投影光学系70はビームスプリッタ20を備えているので、例えば、被検面2aが凸形状であっても計測することができる。このため、計測対象を広く設定することができる。
尚、上述した本実施形態では、透過型の光線分布可変素子60を適用した場合について説明したが、これには限られず、例えば、図2(b)に示す計測装置111のように、反射型の光線分布可変素子61を適用してもよい。ここでの反射型の光線分布可変素子61は、光の位相変調と反射とを同時に行う素子である。この素子としては、液晶層をSi上に形成し、その配向状態を電気的に制御することで屈折率を制御する素子が周知であるが、これに限られないのは勿論である。また、図2(b)における反射型の光線分布可変素子61は、形状可変ミラーとしてもよい。ここでの形状可変ミラーは、微小な面積単位で反射面の角度を調整できるようになっており、位相変調素子ではなく、反射光の任意の箇所で反射角度を調整可能になっている。これらの場合、対物レンズ24とホルダ31との間に、光路を適宜屈曲させるようにして光線分布可変素子61若しくは形状可変ミラーを設置する。これらの場合も、上述と同様に投影光学系70の収差の違いを抑え、被検面2aの形状計測での計測誤差を抑制できるようになる。よって、透過型の光線分布可変素子60、反射型の光線分布可変素子61、形状可変ミラーのいずれを選択するかは、設計的事項となる。
また、上述した本実施形態では、1つのホルダ31に被検物2と基準光学素子3とを選択的に着脱可能にした場合について説明したが、これには限られない。例えば、被検面2a及び基準面3aの各曲率が大きく異なる場合は、被検物2及び基準光学素子3の設置位置を異ならせる必要がある。この場合、例えば、ホルダ31に対しては被検物2のみを着脱可能にして、基準光学素子3をホルダ31の背面側、即ちホルダ31に対してビームスプリッタ20とは反対側に設置するようにしてもよい。この場合は、基準計測時には被検物2をホルダ31から取り外すようにする。被検面2a及び基準面3aが光源光の波面の曲率に合うように、被検物2及び基準光学素子3を設置することで、上述と同様に投影光学系70の収差の違いを抑え、被検面2aの形状計測での計測誤差を抑制できるようになる。
あるいは、例えば、ホルダ31に対しては被検物2のみを着脱可能にして、基準光学素子3を対物レンズ24とホルダ31との間に着脱可能に設置するようにしてもよい。この場合は、被検面計測時には基準光学素子3を設置位置から除去するようにする。被検面2a及び基準面3aが光源光の波面の曲率に合うように、被検物2及び基準光学素子3を設置することで、上述と同様に投影光学系70の収差の違いを抑え、被検面2aの形状計測での計測誤差を抑制できるようになる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る計測装置201について説明する。図4に示すように、第2実施形態は、第1実施形態と比べて、光線分布可変素子62が反射型であると共に、ホルダ31とビームスプリッタ20との間ではなく、ホルダ31に対してビームスプリッタ20とは反対側に配置されている点で構成が異なっている。その他の構成については、第1実施形態と同様であるので、第1実施形態と同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態では、反射型の光線分布可変素子62が、ホルダ31の背面側、即ちホルダ31に対してビームスプリッタ20とは反対側に、反射面62aをビームスプリッタ20側に向けて、投影光学系70に対して固定されて配置されている。
上述した計測装置201により被検物2の被検面2aの形状を算出する手順を説明する。図4(a)に示すように、ホルダ31に被検物2を設置して、被検面計測を開始する。被検面計測では、第1実施形態での手順と同様に、被検面2aで反射された光は、CCDカメラ42上に複数のスポットを形成し、撮影される。その画像は光線分布演算部55の演算により解析され、スポット分布として取得され、計測光線分布としてRAM52に保存される。
次に、図4(b)に示すように、被検物2をホルダ31から取り外し、基準計測を開始する。ここでは、光源部10から出射された光源光は、ビームスプリッタ20の入射面21から入射し、内部で反射されて入出面22から出射され、対物レンズ24で集光されホルダ31を通過して光線分布可変素子62の反射面62aに照射される。反射面62aで反射された光は、基準光としてホルダ31を通過し、対物レンズ24を透過して入出面22に入射し、ビームスプリッタ20を透過して、出射面23から出射し、結像レンズ25を透過してシャックハルトマンセンサ40に入射する。
シャックハルトマンセンサ40に入射した光は、CCDカメラ42上に複数のスポットを形成し、撮影される。その画像は光線分布演算部55の演算により解析され、スポット分布として取得され、基準光線分布としてRAM52に保存される。
そして、光線分布変更部56が、反射面62aで反射される光の位相分布を光線分布可変素子62で変調し、光線分布を変化させる。これにより、反射面62aによる反射光が投影光学系70を透過する際の光線分布を、被検面2aの反射光の光線分布と一致させることができる(光線分布変更工程)。
光線分布の一致は、形状演算部57が、シャックハルトマンセンサ40の出力、即ちCCDカメラ42上でのスポット分布で確認する。形状演算部57が、スポット分布が一致した時の位相変調量の分布、即ち光線分布可変素子62の制御量から、被検面2aと反射面62aとの形状の差異を求める。更に、形状演算部57が、既知の反射面62aに対して形状の差異を加えることで、被検面2aの形状を演算して取得できる(形状演算工程)。
上述したように本実施形態の計測装置201によれば、反射型の光線分布可変素子62の反射面62aを基準面としているので、基準光学素子3等、基準面3aを示すための部材を別途用意する必要が無く、部品点数を削減することができる。しかも、光線分布可変素子62は投影光学系70に対して固定して設置されているので、基準計測時に微調整を行う必要が無く、基準光学素子3を光学系に対して微調整する場合に比して、計測手順を簡易化することができる。
尚、上述した本実施形態では、光線分布可変素子62がホルダ31に対してビームスプリッタ20とは反対側に配置されている場合について説明したが、これには限られない。例えば、光線分布可変素子62を、対物レンズ24とホルダ31との間に着脱可能に設置するようにしてもよい。この場合は、被検面計測時には光線分布可変素子62を設置位置から除去するようにする。この場合も、上述と同様の効果を得ることができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る計測装置301について説明する。図5に示すように、第3実施形態は、第1実施形態と比べて、ホルダ31が光軸方向により大きく移動可能である点で構成が異なっている。その他の構成については、第1実施形態と同様であるので、第1実施形態と同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態では、保持部30は、被検物2(光学素子)を着脱可能なホルダ31と、該ホルダ31を被検物2の光軸方向に移動可能な変位ステージ33と、を備えている。変位ステージ33は、ホルダ31に保持された被検物2を、被検面2aの曲率及び向きが光源光の波面に一致する被検位置と、被検面2aと光軸との交点に対物レンズ24の焦点が一致する焦点位置と、に変位可能になっている。被検物2は、対物レンズ24の焦点位置に設置可能であると共に、焦点位置に設置された際に光源11からの光が集光して反射する集光点2bを有している。また、光源11からの光が集光点2bで反射された光が基準光となる。尚、被検位置にあるホルダ31及び被検物2は、図5に一点鎖線で示すと共に、集光位置にあるホルダ31及び被検物2は、同図に実線で示している。
上述した計測装置301により被検物2の被検面2aの形状を算出する手順を説明する。まず、被検物2をホルダ31に設置して、変位ステージ33により被検物2を焦点位置に位置させ、基準計測を開始する。光源部10から出射された光源光は、ビームスプリッタ20の入射面21から入射し、内部で反射されて入出面22から出射され、対物レンズ24で集光され光線分布可変素子60を透過して、被検面2aと光軸との交点に集光する。この時、対物レンズ24から出射される光源光の焦点と、被検面2a及び光軸の交点とが集光点2bで一致するように、ホルダ31の位置及び姿勢を変位ステージ33により微調整する。
被検面2aの集光点2bで反射された光は、球面状の波面を有する基準光として光線分布可変素子60を透過し、対物レンズ24を透過することで平面状の波面を有するようになる。基準光は、第1実施形態での手順と同様に、CCDカメラ42上に複数のスポットを形成し、撮影される。ここでは、光線分布可変素子60によって光の位相を変化させることはない。CCDカメラ42により撮影された画像は光線分布演算部55の演算により解析され、スポット分布として取得され、基準光線分布としてRAM52に保存される。
基準光線分布の取得後、変位ステージ33によりホルダ31を移動させ、被検物2を被検位置に位置させ、被検面計測を開始する。この時、対物レンズ24から出射される光の球面状の波面の曲率と被検面2aの中心部での曲率とが一致するように、ホルダ31の位置を変位ステージ33により微調整する。
被検面計測では、第1実施形態での手順と同様に、被検面2aで反射された光の波面は、CCDカメラ42上に複数のスポットを形成し、撮影される。その画像は光線分布演算部55の演算により解析され、スポット分布として取得され、計測光線分布としてRAM52に保存される。
そして、光線分布変更部56が、被検面2aの反射光の位相分布を光線分布可変素子60で変調し、光線分布を変化させる。これにより、被検面2aの反射光が投影光学系70を透過する際の光線分布を、基準光の光線分布と一致させることができる(光線分布変更工程)。
光線分布の一致は、シャックハルトマンセンサ40の出力、即ちCCDカメラ42上でのスポット分布で確認する。形状演算部57は、スポット分布が一致した時の位相変調量の分布、即ち光線分布可変素子60の制御量から、被検面2aの形状を取得できる(形状演算工程)。
上述したように本実施形態の計測装置301によれば、被検物2の被検面2aを利用して基準光を発生させているので、基準光学素子3等、基準面3aを示すための部材を別途用意する必要が無く、部品点数を削減することができる。しかも、被検面2aに合焦させた光線を集光点2bで反射して基準光としているので、反射面積が小さく点光源としてバラつきが少ない。このため、例えば基準光学素子3や反射型の光線分布可変素子62の点より大きな面で反射する場合に比べて、基準光の波面の形状の精度を向上することができ、計測精度を高めることができる。
尚、上述した本実施形態では、光線分布可変素子60として透過型を適用した場合について説明したが、これには限られず、例えば、反射型を適用してもよい。この場合、対物レンズ24とホルダ31との間に、光路を適宜屈曲させるようにして反射型の光線分布可変素子60を設置する。この場合も、上述と同様の効果を得ることができるので、光線分布可変素子60として透過型と反射型とのいずれを選択するかは設計的事項となる。
また、上述した本実施形態では、球面状の波面を有する基準光を得るために、光源光を被検面2aの集光点2bに集光して反射させる場合について説明したが、これには限られない。例えば、図6に示す計測装置401のように、対物レンズ24の焦点位置に点光源である光源部10を設置するようにしてもよい。ここでは、被検面2aは平面状としているが、これに限られないのは勿論である。
この場合、光源部10の光ファイバ13の他端部13bは、基準位置130と被検位置131とに選択的に設置可能にする。基準位置130は、図6(a)に示すように、対物レンズ24の焦点位置であり、そこに設置された他端部13bから出射された光は、基準光として対物レンズ24に入射されるようになっている。被検位置131は、図6(b)に示すように、そこに設置された他端部13bから出射された光は、ホルダ31に設置された平面状の被検物2の被検面2aに照射され、反射されて計測光として対物レンズ24に入射されるようになっている。尚、この場合は、ビームスプリッタ20を省略できるので、投影光学系70は対物レンズ24及び結像レンズ25により構成される。
基準計測時には、図6(a)に示すように、ホルダ31から被検物2を取り外し、光源部10から基準光を出射する。その後、光源光は光線分布可変素子60を通過し、投影光学系70によってシャックハルトマンセンサ40に結像され、CCDカメラ42上にスポット光を生成する。このスポット光がCCDカメラ42で撮像され、得られた画像が光線分布演算部55により解析され、スポット分布として取得され、基準光線分布を得ることができる。ここでは、光線分布可変素子60によって光の位相を変化させることはない。
被検面計測時には、図6(b)に示すように、ホルダ31に被検物2を設置し、光源部10から光を被検面2aに照射する。その反射光は、計測光として光線分布可変素子60を通過し、投影光学系70によってシャックハルトマンセンサ40に結像され、CCDカメラ42上にスポット光を生成する。このスポット光がCCDカメラ42で撮像され、得られた画像が光線分布演算部55により解析され、スポット分布として取得され、計測光線分布を得ることができる。その後は、光線分布変更部56により、計測光線分布が基準光線分布と一致するように光線分布可変素子60で計測光の位相分布を変調し、形状演算部57により、その変調量から被検面2aの形状を算出する。
図6に示す実施形態によれば、光源部10を利用することにより、基準光として点光源を利用することができるので、基準面3aを用いた場合と比較して、基準光の波面の形状の精度を向上することができ、計測精度を高めることができる。
また、上述した第1及び第3実施形態では、計測光線分布と基準光線分布とが一致するように、光線分布可変素子60により計測光を変調する場合について説明したが、これには限られない。例えば、光線分布可変素子60により、計測光ではなく基準光を変調するようにしてもよい。即ち、被検面2aの反射光と光線分布が一致するように、基準面3aの反射光の光線分布を光線分布可変素子60で変化させ、その変化量から被検面2aの形状を求めるようにしてもよい。この場合も、上述と同様に、光線分布の違いにより発生し得る投影光学系70の収差の違いを抑え、被検面2aの形状計測での計測誤差を抑制できるようになる。
また、上述した第1及び第3実施形態では、計測光線分布と基準光線分布とが一致するように、光線分布可変素子60により計測光及び基準光の両方を変調するようにしてもよい。この場合、例えば、基準光のスポット分布が全てマイクロレンズの光軸に一致するように光線分布可変素子60により基準光を変調し、次いで計測光のスポット分布もまた全てマイクロレンズの光軸に一致するように光線分布可変素子60により計測光を変調する。この場合も、上述と同様に、光線分布の違いにより発生し得る投影光学系70の収差の違いを抑え、被検面2aの形状計測での計測誤差を抑制できるようになる。
また、上述した第1及び第3実施形態では、基準計測を行ってから被検面計測を行う場合について説明したが、これには限られず、被検面計測を行ってから基準計測を行うようにしてもよい。
また、上述した第1乃至第3実施形態では、光線分布センサとしてシャックハルトマンセンサ40を利用した場合について説明したが、これには限られず、他のセンサ、例えばシアリング干渉計80を利用することができる。シアリング干渉計80は、例えば図7に示すように、回折格子81と、CCDカメラ82とを備えている。回折格子81に入射した光は複数の光に分割され、分割された光同士がCCDカメラ82上で干渉し、干渉縞を形成する。この干渉縞は、シャックハルトマンセンサ40でのスポット分布と同様に、投影光学系70の光線分布に対応して変化するので、この干渉縞を撮像することによって、光線分布を得ることができる。
1,101,111,201,301,401…計測装置、2…被検物(光学素子)、2a…被検面、2b…集光点、3…基準光学素子(基準光発生部)、3a…基準面、11…光源、20…ビームスプリッタ(投影光学系、分離光学系)、24…対物レンズ(投影光学系、集光素子)、25…結像レンズ(投影光学系)、40…シャックハルトマンセンサ(光線分布センサ)、50…演算部、60,61,62…光線分布可変素子、62a…反射面、70…投影光学系

Claims (12)

  1. 光を出射する光源と、
    入射した光の光線分布を検出する光線分布センサと、
    前記光源からの光を被検物の被検面に照射して得られた反射光を、計測光として前記光線分布センサに投影するように、前記被検面から前記光線分布センサまで設けられる投影光学系と、
    所定形状の波面を有する基準光を発生させ、前記計測光と選択的に前記基準光を前記投影光学系に入射可能な基準光発生部と、
    前記計測光と前記基準光との少なくとも一方の光線角度を、前記投影光学系に入射される前に部分ごとに変更可能な光線分布可変素子と、
    前記光線分布可変素子を制御して前記計測光と前記基準光との少なくとも一方の光線角度を部分ごとに変更することにより、前記光線分布センサで検出される前記計測光の光線分布と前記基準光の光線分布とを一致させ、前記光線分布可変素子の制御量に基づいて前記被検面の形状を演算する演算部と、を備える、
    ことを特徴とする計測装置。
  2. 前記基準光発生部は、所定位置に設置可能であると共に、前記所定位置に設置された際に前記光源からの光により照射される基準面を有する基準光学素子であり、
    前記基準光は、前記光源からの光が前記基準面で反射された光であり、
    前記被検物が被検位置に設置された場合には、前記光源からの光が前記被検面に照射され、該被検面から前記計測光が前記投影光学系に入射され、前記光線分布センサにより前記計測光の光線分布が検出され、
    前記基準光学素子が前記所定位置に設置された場合には、前記光源からの光が前記基準面に照射され、該基準面から前記基準光が前記投影光学系に入射され、前記光線分布センサにより前記基準光の光線分布が検出される、
    ことを特徴とする請求項1記載の計測装置。
  3. 前記所定位置は、前記被検位置であり、
    前記基準光学素子は、前記被検位置に前記被検物と選択的に設置可能である、
    ことを特徴とする請求項2記載の計測装置。
  4. 前記基準光発生部は、所定位置に設置可能であると共に、前記所定位置に設置された際に前記光源からの光により照射される反射面を有する反射型の前記光線分布可変素子であり、
    前記基準光は、前記光源からの光が前記反射面で反射された光であり、
    前記被検物が被検位置に設置された場合には、前記光源からの光が前記被検面に照射され、該被検面から前記計測光が前記投影光学系に入射され、前記光線分布センサにより前記計測光の光線分布が検出され、
    前記光線分布可変素子が前記所定位置に設置された場合には、前記光源からの光が前記反射面に照射され、該反射面から前記基準光が前記投影光学系に入射され、前記光線分布センサにより前記基準光の光線分布が検出される、
    ことを特徴とする請求項1記載の計測装置。
  5. 前記所定位置は、前記光源からの光が前記被検位置を通過した位置であり、
    前記被検物は、前記被検位置に対して設置及び離脱が可能である、
    ことを特徴とする請求項4記載の計測装置。
  6. 前記投影光学系は、前記光源からの光を集光する集光素子を備え、
    前記基準光発生部は、前記集光素子の焦点位置に設置可能であると共に、前記焦点位置に設置された際に前記光源からの光が集光して反射する集光点を有する光学素子であり、
    前記基準光は、前記光源からの光が前記集光点で反射された光であり、
    前記被検物が被検位置に設置された場合には、前記光源からの光が前記被検面に照射され、該被検面から前記計測光が前記投影光学系に入射され、前記光線分布センサにより前記計測光の光線分布が検出され、
    前記光学素子が前記焦点位置に設置された場合には、前記光源からの光が前記集光点に照射され、該集光点から前記基準光が前記投影光学系に入射され、前記光線分布センサにより前記基準光の光線分布が検出される、
    ことを特徴とする請求項1記載の計測装置。
  7. 前記被検物は、前記被検位置と前記焦点位置とに変位可能であり、
    前記光学素子は、前記被検物であり、
    前記集光点は、前記被検面に設けられる、
    ことを特徴とする請求項6記載の計測装置。
  8. 前記光線分布可変素子は、透過型である、
    ことを特徴とする請求項2、3、6又は7のいずれか1項に記載の計測装置。
  9. 前記光線分布可変素子は、反射型である、
    ことを特徴とする請求項2、3、6又は7のいずれか1項に記載の計測装置。
  10. 前記投影光学系は、前記光源からの光を入射して、前記被検面に向けて出射すると共に、前記被検面で反射された前記計測光を入射して前記光源からの光と分離して出射する分離光学系を備える、
    ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の計測装置。
  11. 前記光線分布センサは、シャックハルトマンセンサである、
    ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の計測装置。
  12. 光を出射する光源と、
    入射した光の光線分布を検出する光線分布センサと、
    前記光源からの光を被検物の被検面に照射して得られた反射光を、計測光として前記光線分布センサに投影するように、前記被検面から前記光線分布センサまで設けられる投影光学系と、
    所定形状の波面を有する基準光を発生させ、前記計測光と選択的に前記基準光を前記投影光学系に入射可能な基準光発生部と、
    前記計測光と前記基準光との少なくとも一方の光線角度を、前記投影光学系に入射される前に部分ごとに変更可能な光線分布可変素子と、
    演算部と、を備える計測装置の計測方法において、
    前記演算部が、前記光線分布可変素子を制御して前記計測光と前記基準光との少なくとも一方の光線角度を部分ごとに変更することにより、前記光線分布センサで検出される前記計測光の光線分布と前記基準光の光線分布とを一致させる光線分布変更工程と、
    前記演算部が、前記光線分布可変素子の制御量に基づいて前記被検面の形状を演算する形状演算工程と、を備える、
    ことを特徴とする計測方法。
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