JP2015086951A - 歯車機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】歯車における潤滑性能を向上することができる歯車機構を提供することを目的とする。
【解決手段】歯車機構1は、潤滑剤が収容されたハウジング2と、ハウジング2の内部に回転可能に支持された歯車31と、歯車31の歯先との間に隙間を設けられた案内面51を有し、歯車31の歯先円Cdに沿う方向への潤滑剤の流通を案内するガイド部材43と、を備える。ガイド部材43の案内面51には、歯先との間隔を小さくして潤滑剤の流通を絞る絞り部52が形成されている。
【選択図】図3
【解決手段】歯車機構1は、潤滑剤が収容されたハウジング2と、ハウジング2の内部に回転可能に支持された歯車31と、歯車31の歯先との間に隙間を設けられた案内面51を有し、歯車31の歯先円Cdに沿う方向への潤滑剤の流通を案内するガイド部材43と、を備える。ガイド部材43の案内面51には、歯先との間隔を小さくして潤滑剤の流通を絞る絞り部52が形成されている。
【選択図】図3
Description
本発明は、歯車機構に関するものであり、特に歯車機構における潤滑構造に関するものである。
歯車機構は、回転駆動力の伝達に用いられる機構である。例えば、特許文献1には、遊星歯車機構により回転駆動力を減速する減速装置が開示されている。このような歯車機構では、歯面や軸受を良好に潤滑するために、グリースなどの潤滑剤がハウジング内に収容されている。しかしながら、歯車の回転に伴う遠心力などにより、潤滑剤がハウジング内で偏在すると、歯車機構の潤滑が不足するおそれがある。
そこで、特許文献1では、ギアケースの一部に潤滑剤の溜り部を設ける構成としている。これにより、潤滑剤を保持するとともに、遊星歯車の回転により他のギヤ部への潤滑剤の循環が図られている。また、特許文献2には、摩擦車を用いた遊星機構において、摩擦車同士が接触する部位の両側に隙間を介して遮蔽板を設ける構成が開示されている。これにより、潤滑剤の飛散が防止されている。
また、歯車機構における良好な潤滑を維持するためには、例えばハウジング内に収容する潤滑剤を増量することが考えられる。しかしながら、このような構成では、歯車による撹拌抵抗の増加に伴って動力損失が生じることが懸念される。
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、従来とは異なる潤滑構造により、歯車における潤滑性能を向上することができる歯車機構を提供することを目的とする。
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、従来とは異なる潤滑構造により、歯車における潤滑性能を向上することができる歯車機構を提供することを目的とする。
(請求項1)本手段に係る歯車機構は、潤滑剤が収容されたハウジングと、前記ハウジングの内部に回転可能に支持された歯車と、前記歯車の歯先との間に隙間を設けられた案内面を有し、前記歯車の歯先円に沿う方向への前記潤滑剤の流通を案内するガイド部材と、を備え、前記ガイド部材の前記案内面には、前記歯先との間隔を小さくして前記潤滑剤の流通を絞る絞り部が形成されている。
このような構成によると、ハウジングに収容された潤滑剤は、歯車の歯先とガイド部材の間を流通することが可能となる。また、歯先から飛散した潤滑剤は、歯車の回転によりガイド部材の絞り部に送られて一時的に収集され、さらに収集される潤滑剤により絞り部の先端から押し出される。これにより、押し出された潤滑剤が歯車に塗布される。このような潤滑構造により、歯車機構における潤滑性能を向上することが可能となる。
以下に、本手段に係る歯車機構の好適な態様について説明する。
(請求項2)前記絞り部は、前記歯先との間隔が前記歯車の周方向に徐変する斜面により構成されてもよい。
このような構成によると、歯車とガイド部材の間の空気流は、絞り部の斜面によって歯車に向かう方向に変更される。これにより、絞り部の先端から押し出される潤滑剤は、この空気流により歯車に向かって飛散して歯面に付着する。よって、歯車機構をより効率的に潤滑することができる。
(請求項2)前記絞り部は、前記歯先との間隔が前記歯車の周方向に徐変する斜面により構成されてもよい。
このような構成によると、歯車とガイド部材の間の空気流は、絞り部の斜面によって歯車に向かう方向に変更される。これにより、絞り部の先端から押し出される潤滑剤は、この空気流により歯車に向かって飛散して歯面に付着する。よって、歯車機構をより効率的に潤滑することができる。
(請求項3)前記絞り部の前記斜面には、前記歯車に対向する軸方向範囲において、軸方向の端部側から中央側に向かうに従って前記絞り部の先端側に近接する方向に延びる溝部が形成されてもよい。
このような構成によると、溝部は、ガイド部材の周方向に流通する潤滑剤を、ガイド部材の軸方向の端部側から中央側へと収集することが可能となる。これにより、潤滑剤がガイド部材の軸方向の端部側へ流出することを防止し、潤滑剤を効率的に収集することができる。
このような構成によると、溝部は、ガイド部材の周方向に流通する潤滑剤を、ガイド部材の軸方向の端部側から中央側へと収集することが可能となる。これにより、潤滑剤がガイド部材の軸方向の端部側へ流出することを防止し、潤滑剤を効率的に収集することができる。
(請求項4)前記絞り部の前記斜面には、前記絞り部の先端側に向かうに従って、前記ガイド部材における軸方向の幅が狭く且つ深さが浅くなる凹部が形成されてもよい。
このような構成によると、凹部は、ガイド部材の周方向に流通する潤滑剤の一部を滞留することが可能となる。そして、凹部の形状により、潤滑剤をガイド部材の軸方向の両端側から中央側へと収集するとともに、収集した潤滑剤を絞り部の先端に流通させることができる。これにより、潤滑剤がガイド部材の軸方向の両端側へ流出することを防止し、潤滑剤の流通性を向上できる。
このような構成によると、凹部は、ガイド部材の周方向に流通する潤滑剤の一部を滞留することが可能となる。そして、凹部の形状により、潤滑剤をガイド部材の軸方向の両端側から中央側へと収集するとともに、収集した潤滑剤を絞り部の先端に流通させることができる。これにより、潤滑剤がガイド部材の軸方向の両端側へ流出することを防止し、潤滑剤の流通性を向上できる。
(請求項5)前記歯車は、遊星歯車として用いられ、前記歯車機構は、サンギヤと、リングギヤと、複数の前記遊星歯車を回転可能に支持するキャリアとにより構成される遊星歯車機構であり、前記ガイド部材は、前記キャリアに設けられてもよい。
このような構成によると、遊星歯車機構におけるキャリアが遊星歯車の公転運動に連動するため、キャリアに設けられたガイド部材は、遊星歯車の外周面に対して対向した状態を維持される。これにより、遊星歯車とガイド部材の間における潤滑剤の流通性を向上できる。よって、歯車機構の中心部に位置するサンギヤと遊星歯車との噛合部を潤滑することができる。
このような構成によると、遊星歯車機構におけるキャリアが遊星歯車の公転運動に連動するため、キャリアに設けられたガイド部材は、遊星歯車の外周面に対して対向した状態を維持される。これにより、遊星歯車とガイド部材の間における潤滑剤の流通性を向上できる。よって、歯車機構の中心部に位置するサンギヤと遊星歯車との噛合部を潤滑することができる。
(請求項6)前記歯車は、前記サンギヤと噛合する第一ギヤと、前記リングギヤと噛合する第二ギヤとを有し、前記ガイド部材は、前記ハウジングの内周面のうち前記第一ギヤが配置される軸方向位置に設けられ、前記第一ギヤに対する前記潤滑剤の流通を案内してもよい。
このような構成によると、第一ギヤと第二ギヤの歯数差の分だけ変速比をさらに高くすることができる。また、ハウジングは、サンギヤと噛合する第一ギヤと干渉しないように内周面の形状を設定されている。そこで、上記のような構成とすることで、ハウジングにおける第一ギヤとの対向面を利用して、第一ギヤを潤滑することができる。
このような構成によると、第一ギヤと第二ギヤの歯数差の分だけ変速比をさらに高くすることができる。また、ハウジングは、サンギヤと噛合する第一ギヤと干渉しないように内周面の形状を設定されている。そこで、上記のような構成とすることで、ハウジングにおける第一ギヤとの対向面を利用して、第一ギヤを潤滑することができる。
(請求項7)前記歯車は、前記サンギヤと噛合する第一ギヤと、前記リングギヤと噛合する第二ギヤとを有し、前記歯車機構は、前記キャリアと同軸に配置され、前記リングギヤが位置する軸方向範囲に位置する軸部材をさらに備え、前記ガイド部材は、前記軸部材のうち前記第二ギヤが配置される軸方向位置に設けられ、前記第二ギヤに対する前記潤滑剤の流通を案内してもよい。
このような構成によると、第一ギヤと第二ギヤの歯数差の分だけ変速比をさらに高くすることができる。また、リングギヤと噛合する第二ギヤを潤滑することができる。さらに、ガイド部材が軸部材と第二ギヤとの間の空間を埋めるように配置されるので、潤滑剤を好適に循環できるとともに、ハウジングに収容する潤滑剤の量を低減できる。
このような構成によると、第一ギヤと第二ギヤの歯数差の分だけ変速比をさらに高くすることができる。また、リングギヤと噛合する第二ギヤを潤滑することができる。さらに、ガイド部材が軸部材と第二ギヤとの間の空間を埋めるように配置されるので、潤滑剤を好適に循環できるとともに、ハウジングに収容する潤滑剤の量を低減できる。
以下、本発明の歯車機構を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。実施形態においては、本発明における「歯車」は遊星歯車機構の遊星歯車として用いられ、歯車機構は入力した回転駆動力を減速して出力する減速装置に遊星歯車機構として用いられた構成を例示する。
<実施形態>
(遊星歯車機構の全体構成)
実施形態の遊星歯車機構1の全体構成について、図1および図2を参照して説明する。この遊星歯車機構1は、図1に示すように、ハウジング2と、入力軸3と、出力軸4と、サンギヤ10と、リングギヤ20と、複数の遊星歯車30を回転可能に支持するキャリア40とを備えて構成される。なお、各図において、一点鎖線は、各ギヤのピッチ円を表している。
(遊星歯車機構の全体構成)
実施形態の遊星歯車機構1の全体構成について、図1および図2を参照して説明する。この遊星歯車機構1は、図1に示すように、ハウジング2と、入力軸3と、出力軸4と、サンギヤ10と、リングギヤ20と、複数の遊星歯車30を回転可能に支持するキャリア40とを備えて構成される。なお、各図において、一点鎖線は、各ギヤのピッチ円を表している。
ハウジング2は、減速装置の外周形状の一部を構成する固定部材である。ハウジング2の内部には、グリースなどの潤滑剤が収容されている。入力軸3および出力軸4は、ハウジング2に回転軸線(図1の二点鎖線)を中心にして回転可能に支持された軸部材である。入力軸3は、図示しないモータなどの駆動源に連結され、駆動源が出力する回転駆動力を遊星歯車機構1に入力する。出力軸4は、遊星歯車機構1により減速された回転駆動力を出力する。
サンギヤ10は、入力軸3の外周面のうち所定の軸方向位置に形成されている。リングギヤ20は、ハウジング2の内周面のうちサンギヤ10が配置された軸方向位置から入力側(図1の左側)にずれた位置に固定されている。
遊星歯車30は、後述するキャリア40によりハウジング2の内部に回転可能に支持されている。遊星歯車30は、サンギヤ10と噛合する大径ギヤ31(本発明の「第一ギヤ」に相当する)と、リングギヤ20と噛合する小径ギヤ32(本発明の「第二ギヤ」に相当する)とを有する段付き歯車である。大径ギヤ31および小径ギヤ32は、異なる軸方向位置で遊星歯車軸33の外周に一体的に形成され、回転軸線(図1の二点鎖線)を中心にして回転する。
キャリア40は、入力軸3と同軸に配置され、周方向に等間隔に配置された3つの遊星歯車30を回転可能に支持する。キャリア40は、ハウジング2の内周に回転可能に支持された一対のキャリアプレート41,42を有する。第一キャリアプレート41は、軸受を介して遊星歯車軸33の出力側の端部を相対回転可能に支持している。第一キャリアプレート41は、出力軸4と一体的に形成されている。
第二キャリアプレート42は、第一キャリアプレート41と軸方向に対向して配置され、軸受を介して遊星歯車軸33の入力側の端部を相対回転可能に支持している。第二キャリアプレート42の出力側の端面には、対向する第一キャリアプレート41に向かって延伸する3本の連結部材43(本発明の「ガイド部材」に相当する)が一体的に設けられている。
連結部材43は、3つの遊星歯車30の間を軸方向に延びて(図2を参照)、第一キャリアプレート41の入力側の端面に接触している。第二キャリアプレート42は、連結部材43の中心部を挿通するボルト44により、第一キャリアプレート41に対して固定される。連結部材43の外周面のうち大径ギヤ31と対向する面は、大径ギヤ31の歯先円に沿う凹状の曲面からなり、大径ギヤ31と干渉しないように隙間が設けられている。この連結部材43の詳細な構成については、遊星歯車機構の潤滑構造において説明する。
このような構成からなる遊星歯車機構1は、入力軸3から回転駆動力が入力されると、サンギヤ10と大径ギヤ31との歯数差、大径ギヤ31と小径ギヤ32との歯数差、およびリングギヤ20と小径ギヤ32との歯数差とに応じて遊星歯車30が自転運動するとともに、回転軸線の周りに公転運動する。遊星歯車機構1は、遊星歯車30を支持するキャリア40を介して、出力軸4から減速された回転駆動力を出力する。
(遊星歯車機構の潤滑構造)
遊星歯車機構1の潤滑構造について、図2〜図4を参照して説明する。遊星歯車機構1の潤滑構造は、上記のようにハウジング2の内部に所定量の潤滑剤を収容し、各部材の回転により潤滑剤を循環させて各歯車の噛合部や軸受などを潤滑している。
遊星歯車機構1の潤滑構造について、図2〜図4を参照して説明する。遊星歯車機構1の潤滑構造は、上記のようにハウジング2の内部に所定量の潤滑剤を収容し、各部材の回転により潤滑剤を循環させて各歯車の噛合部や軸受などを潤滑している。
ここで、キャリア40の連結部材43は、図2に示すように、大径ギヤ31の歯先との間に隙間を設けられた案内面51を有する。連結部材43は、案内面51により、大径ギヤ31の歯先円Cdに沿う方向への潤滑剤の流通を案内するガイド部材としての機能を有する。本実施形態では、潤滑性能の向上を目的として、連結部材43の案内面51には、大径ギヤ31の歯先との間隔を小さくして潤滑剤の流通を絞る絞り部52が形成されている。
この絞り部52は、本実施形態においては、大径ギヤ31の歯先との間隔が大径ギヤ31の周方向に徐変する斜面により構成されている。ここで、連結部材43の案内面51は、大径ギヤ31の歯先円Cdに沿う凹状の曲面に形成され、大径ギヤ31の歯先に対して規定の間隔L1の隙間が設けられている。これに対して、絞り部52の先端は、案内面51の周方向の中央付近に位置し、大径ギヤ31の歯先に対して規定の間隔L1よりも小さい間隔L2の隙間が設けられている(L1>L2)。
絞り部52を構成する斜面は、図3に示すように、本実施形態においては、断面が円弧凹状をなしている。また、絞り部52は、入力する回転駆動力の回転方向が逆転することを想定して、先端を挟んで周方向の両側に同様の斜面により構成されている。
絞り部52の斜面には、図4に示すように、大径ギヤ31(図4の破線で示す)に対向する軸方向範囲R1において、軸方向の端部側から中央部に向かうに従って絞り部52の先端側に近接する方向に延びる溝部53が形成されている。本実施形態においては、溝部53は、軸方向範囲R1の中央に対称で、且つ絞り部52の先端側とは反対側に開口するV字形状からなる。絞り部52の斜面には、この溝部53が周方向に所定の間隔をあけて複数形成されて、溝パターンが構成されている。
また、絞り部52は、図3に示すように、連結部材43が周方向両側に位置する2つの大径ギヤ31と対向する2箇所の案内面51にそれぞれ設けられている。また、3本の連結部材43の何れも同様に、絞り部52が形成されている(図2を参照)。
続いて、このように構成された遊星歯車機構1の潤滑構造の作用について説明する。遊星歯車機構1の運用状態において、サンギヤ10が回転すると、3つの遊星歯車30が自転しながら公転する。キャリア40は、遊星歯車30の公転運動に伴い回転軸線を中心として回転する。このとき、3つの遊星歯車30の間に位置する連結部材43は、自転運動する遊星歯車30の外周面に対して対向した状態を維持される。これにより、ハウジング2に収容された潤滑剤は、大径ギヤ31の歯先と連結部材43の案内面51との間を、歯先円Cdに沿った方向へと流通する。
そして、案内面51の内周側を流通する潤滑剤は、絞り部52まで送られて複数の溝部53によって軸方向範囲R1の両端側から中央側へと収集される。絞り部52に収集された潤滑剤は、さらに収集される潤滑剤により絞り部52の先端から押し出される。
このとき、大径ギヤ31と案内面51との間の空気流(図3の矢印で示す)は、絞り部52の斜面によって大径ギヤ31に向かう方向に変更されるとともに、その流速が早められる。これにより、絞り部52の先端から押し出される潤滑剤は、この空気流によって大径ギヤ31に向かって飛散して歯面に付着する。このように、大径ギヤ31は、サンギヤ10と噛合する前に潤滑される。
(実施形態の構成による効果)
上述した歯車機構によると、ハウジング2に収容された潤滑剤は、大径ギヤ31の歯先とガイド部材として機能する連結部材43の間を流通することが可能となる。また、潤滑剤は、大径ギヤ31の回転により連結部材43の絞り部52に送られて一時的に収集され、さらに収集される潤滑剤により絞り部52の先端から押し出される。これにより、押し出された潤滑剤が大径ギヤ31に塗布される。このような潤滑構造により、遊星歯車機構1における潤滑性能を向上することが可能となる。
上述した歯車機構によると、ハウジング2に収容された潤滑剤は、大径ギヤ31の歯先とガイド部材として機能する連結部材43の間を流通することが可能となる。また、潤滑剤は、大径ギヤ31の回転により連結部材43の絞り部52に送られて一時的に収集され、さらに収集される潤滑剤により絞り部52の先端から押し出される。これにより、押し出された潤滑剤が大径ギヤ31に塗布される。このような潤滑構造により、遊星歯車機構1における潤滑性能を向上することが可能となる。
また、本実施形態において、絞り部52は、大径ギヤ31の歯先との間隔が大径ギヤ31の周方向に徐変する斜面により構成されている。このような構成によると、大径ギヤ31と連結部材43の間の空気流は、絞り部52の斜面によって大径ギヤ31に向かう方向に変更される。これにより、絞り部52の先端から押し出される潤滑剤は、この空気流により大径ギヤ31に向かって飛散して歯面に付着する。よって、大径ギヤ31をより効率的に潤滑することができる。
また、絞り部52の斜面には、大径ギヤ31に対向する軸方向範囲R1において、軸方向の端部側から中央側に向かうに従って絞り部52の先端側に近接する方向に延びる溝部53が形成されている。このような構成によると、溝部53は、連結部材43の周方向に流通する潤滑剤を、連結部材43の軸方向の端部側から中央側へと収集することが可能となる。これにより、潤滑剤が連結部材43の軸方向の端部側へ流出することを防止し、潤滑剤を効率的に収集することができる。
本実施形態において、連結部材43は、第一キャリアプレート41と第二キャリアプレート42を連結し、遊星歯車30の大径ギヤ31を対象として潤滑剤の流通を案内する。このような構成によると、キャリア40が遊星歯車30の公転運動に連動するため、キャリア40に設けられた連結部材43は、遊星歯車30の外周面に対して対向した状態を維持される。これにより、遊星歯車30の大径ギヤ31と連結部材43の間における潤滑剤の流通性を向上できる。よって、遊星歯車機構1の中心部に位置するサンギヤ10と大径ギヤ31との噛合部を潤滑することができる。
<実施形態の変形態様>
実施形態において、絞り部52は、断面が円弧凹状をなす斜面により構成されるものとしたが、平面状の斜面により構成されるものとしてもよい。また、斜面にはV字形状からなる複数の溝部53が形成されるものとした。これに対して、絞り部52の斜面には、図5に示すように、凹部153が形成される構成としてもよい。この凹部153は、絞り部52の先端側に向かうに従って、連結部材43における軸方向の幅が狭く且つ深さが浅くなるように(図6を参照)形成されている。
実施形態において、絞り部52は、断面が円弧凹状をなす斜面により構成されるものとしたが、平面状の斜面により構成されるものとしてもよい。また、斜面にはV字形状からなる複数の溝部53が形成されるものとした。これに対して、絞り部52の斜面には、図5に示すように、凹部153が形成される構成としてもよい。この凹部153は、絞り部52の先端側に向かうに従って、連結部材43における軸方向の幅が狭く且つ深さが浅くなるように(図6を参照)形成されている。
このような構成によると、凹部153は、ガイド部材として機能する連結部材43の周方向に流通する潤滑剤の一部を滞留することができる。そして、凹部153の形状により、潤滑剤を連結部材43の軸方向の両端側から中央側へと収集するとともに、収集した潤滑剤を絞り部52の先端に流通させることができる。これにより、潤滑剤が連結部材43の軸方向の両端側へ流出することを防止し、潤滑剤の流通性を向上できる。
また、絞り部52は、上記のように斜面により構成される他に、図7に示すように、ガイド部材の案内面51から歯車(本実施形態では大径ギヤ31)に向かって突出する突条152により構成されるようにしてもよい。突条152(本発明の「絞り部」に相当する)は、大径ギヤ31の歯先円Cdに倣う円筒内周面からなる案内面51(図8を参照)において、例えば、潤滑油の流通の上流側に開口するV字形状に形成される。これにより、V字形状の頂部に潤滑油を一時的に滞留させ、押し出された潤滑油を歯車に付着させることができる。絞り部52,152は、突条や斜面、溝部、凹部を適宜組み合わせて構成されるようにしてもよい。
また、実施形態において、絞り部52を有し潤滑油の流通を案内するガイド部材を、キャリア40に設ける構成、具体的にはキャリア40の連結部材43とする構成とした。その他に、絞り部52を有するガイド部材は、ハウジング2の内周面のうち大径ギヤ31が配置される軸方向位置P1(図9に示す)に設けられ、大径ギヤ31に対する潤滑剤の流通を案内する構成としてもよい。
遊星歯車機構1におけるハウジング2は、サンギヤ10と噛合する大径ギヤ31と干渉しないように内周面の形状を設定されている。そこで、このハウジング2の内周面に絞り部52を有するガイド部材を設けることにより、大径ギヤ31を潤滑することができる。ハウジング2の内周面には、歯車や軸部材の回転により潤滑剤が滞留しやすい。そこで、滞留した潤滑剤をガイド部材により大径ギヤ31に付着させることができるので、潤滑剤を好適に循環させることができる。
また、絞り部52を有するガイド部材は、入力軸3のうち小径ギヤ32が配置される軸方向位置P2に設けられ、小径ギヤ32に対する潤滑の流通を案内する構成としてもよい。実施形態の遊星歯車機構1は、図9に示すように、リングギヤ20が位置する軸方向範囲R2に入力軸3が位置している。この入力軸3に円盤状からなるガイド部材160を設け、当該ガイド部材160の外周面に絞り部161を形成する構成としてもよい。
これにより、リングギヤ20と噛合する小径ギヤ32を潤滑することができる。さらに、円盤状のガイド部材160が入力軸3と小径ギヤ32との間の空間を埋めるように配置されるので、潤滑剤を好適に循環できるとともに、ハウジング2に収容する潤滑剤の量を低減できる。
ここで、実施形態では、歯車機構が遊星歯車機構1である構成を例示して説明した。その他に、歯車機構は、少なくとも一つの歯車の外周面に対向して設けられたガイド部材を備え、当該ガイド部材に絞り部を形成することで、実施形態と同様の効果を奏する。また、実施形態において、ガイド部材が対象とする歯車(大径ギヤ31、小径ギヤ32)は、外歯である構成を例示した。これに対して、ガイド部材は、内歯を形成された歯車を対象として、当該歯車の内周側に対向して配置される構成としてもよい。
1:遊星歯車機構(歯車機構)、 2:ハウジング、 10:サンギヤ、 20:リングギヤ、 30:遊星歯車、 31:大径ギヤ(第一ギヤ)、 32:小径ギヤ(第二ギヤ)、 40:キャリア、 43:連結部材(ガイド部材)、 51:案内面、 52:絞り部、 152:突条(絞り部) 53:溝部、 153:凹部、 160:ガイド部材、 161:絞り部
Claims (7)
- 潤滑剤が収容されたハウジングと、
前記ハウジングの内部に回転可能に支持された歯車と、
前記歯車の歯先との間に隙間を設けられた案内面を有し、前記歯車の歯先円に沿う方向への前記潤滑剤の流通を案内するガイド部材と、を備え、
前記ガイド部材の前記案内面には、前記歯先との間隔を小さくして前記潤滑剤の流通を絞る絞り部が形成されている歯車機構。 - 前記絞り部は、前記歯先との間隔が前記歯車の周方向に徐変する斜面により構成されている、請求項1の歯車機構。
- 前記絞り部の前記斜面には、前記歯車に対向する軸方向範囲において、軸方向の端部側から中央側に向かうに従って前記絞り部の先端側に近接する方向に延びる溝部が形成されている、請求項2の歯車機構。
- 前記絞り部の前記斜面には、前記絞り部の先端側に向かうに従って、前記ガイド部材における軸方向の幅が狭く且つ深さが浅くなる凹部が形成されている、請求項2または3の歯車機構。
- 前記歯車は、遊星歯車として用いられ、
前記歯車機構は、サンギヤと、リングギヤと、複数の前記遊星歯車を回転可能に支持するキャリアとにより構成される遊星歯車機構であり、
前記ガイド部材は、前記キャリアに設けられている、請求項1〜4の何れか一項の歯車機構。 - 前記歯車は、前記サンギヤと噛合する第一ギヤと、前記リングギヤと噛合する第二ギヤとを有し、
前記ガイド部材は、前記ハウジングの内周面のうち前記第一ギヤが配置される軸方向位置に設けられ、前記第一ギヤに対する前記潤滑剤の流通を案内する、請求項5の歯車機構。 - 前記歯車は、前記サンギヤと噛合する第一ギヤと、前記リングギヤと噛合する第二ギヤとを有し、
前記歯車機構は、前記キャリアと同軸に配置され、前記リングギヤが位置する軸方向範囲に位置する軸部材をさらに備え、
前記ガイド部材は、前記軸部材のうち前記第二ギヤが配置される軸方向位置に設けられ、前記第二ギヤに対する前記潤滑剤の流通を案内する、請求項5または6の歯車機構。
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