JP7350452B2 - 動力伝達装置 - Google Patents
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Description
駆動軸と、
前記駆動軸と接続された差動機構と、
前記差動機構を収容するケースと、
前記ケースに支持されたピニオン軸と、
前記ピニオン軸を軸心とするピニオンギアと、
前記ピニオンギアと噛合するサンギアと、を有し、
前記ケースは、前記ピニオンギアに周方向に隣接する柱部を有し、
前記サンギアとの対向面である前記柱部の内周面には、前記サンギアの軸中心を囲む仮想円に沿う向きに設けられた油溝と、前記サンギアの軸方向に延び前記油溝と連通する油溜め凹部とが設けられており、
前記油溝から前記仮想円に沿う方向に潤滑油を供給し、前記ピニオンギアと前記サンギアとの噛合部を潤滑するようにした構成の動力伝達装置とした。
図1は、本実施形態にかかる動力伝達装置1を説明するスケルトン図である。
図2は、本実施形態にかかる動力伝達装置1を説明する断面図である。
図3は、動力伝達装置1の遊星減速ギア4周りの拡大図である。
図4は、動力伝達装置1の差動機構5周りの拡大図である。
動力伝達装置1では、モータ2の出力回転の伝達経路に沿って、パークロック機構3と、遊星減速ギア4と、差動機構5と、ドライブシャフト9(9A、9B)と、が設けられている。
ここで、遊星減速ギア4は、モータ2の下流に接続されており、差動機構5は、遊星減速ギア4の下流に接続されており、ドライブシャフト9(9A、9B)は、差動機構5の下流に接続されている。
第1ボックス11は、支持壁部111をモータ2の回転軸Xに沿わせた向きで設けられており、支持壁部111の内側にモータ2が収容される。
周壁部121は、第1ボックス11の支持壁部111に外挿可能な内径で形成されている。
第1ボックス11と第2ボックス12は、第1ボックス11の支持壁部111に、第2ボックス12の周壁部121を外挿して互いに組み付けられている。
第1ボックス11では、支持壁部111の外周に凹溝111bが設けられている。凹溝111bは、回転軸X方向に間隔をあけて複数設けられている。凹溝111bの各々は、回転軸X周りの周方向の全周に亘って設けられている。
第1ボックス11の支持壁部111に、第2ボックス12の周壁部121が外挿されると、凹溝111bの開口が周壁部121で閉じられて、支持壁部111と周壁部121との間に、冷却水が通流する複数の冷却路CPが形成される。
これらシールリング113は、支持壁部111に外挿された周壁部121の内周に圧接して、支持壁部111の外周と、周壁部121の内周との間の隙間を封止する。
壁部120では、モータ2側(図中、右側)の面に、開口120aを囲む筒状のモータ支持部125が設けられている。
モータ支持部125は、後記するコイルエンド253bの内側に挿入されて、ロータコア21の端部21bに回転軸X方向の隙間をあけて対向している。
この径方向の厚みが厚い領域には、回転軸X方向に貫通してオイル溜り部128が設けられている。
オイル溜り部128は、第1ボックス11の接合部112に設けた連通孔112aを介して、第3ボックス13の接合部132に設けた軸方向油路138に連絡している。
第1ボックス11から見て第3ボックス13は、差動機構5とは反対側(図中、右側)に位置している。第3ボックス13の接合部132は、第1ボックス11の接合部112に回転軸X方向から接合されており、第3ボックス13と第1ボックス11は、ボルト(図示せず)で互いに連結されている。この状態において第1ボックス11は、支持壁部111の接合部122側(図中、右側)の開口が、第3ボックス13で封止される。
挿通孔130aの内周には、リップシールRSが設けられている。リップシールRSは、図示しないリップ部をドライブシャフト9Aの外周に弾発的に接触させている。挿通孔130aの内周と、ドライブシャフト9Aの外周との隙間が、リップシールRSにより封止されている。
壁部130における第1ボックス11側(図中、左側)の面には、挿通孔130aを囲む周壁部131が設けられている。周壁部131の内周には、ドライブシャフト9AがベアリングB4を介して支持されている。
モータ支持部135の外周には、円筒状の接続壁136が接続されている。接続壁136は、壁部130側(図中、右側)の周壁部131よりも大きい外径で形成されている。接続壁136は、回転軸Xに沿う向きで設けられており、モータ2から離れる方向に延びている。接続壁136は、モータ支持部135と第3ボックス13の壁部130とを接続している。
モータ支持部135の内周には、ベアリングB1が支持されており、モータシャフト20の外周が、ベアリングB1を介してモータ支持部135で支持されている。
ベアリングB1に隣接する位置には、リップシールRSが設けられている。
第4ボックス14は、第2ボックス12から見て差動機構5側(図中、左側)に位置している。第4ボックス14の接合部142は、第2ボックス12の接合部123に回転軸X方向から接合されており、第4ボックス14と第2ボックス12は、ボルト(図示せず)で互いに連結されている。
モータ室Saは、第1ボックス11の内側で、第2ボックス12の壁部120と、第3ボックス13の壁部130との間に形成されている。
ギア室Sbは、第4ボックス14の内径側で、第2ボックス12の壁部120と、第4ボックス14の周壁部141との間に形成されている。
プレート部材8は、第4ボックス14に固定されている。
プレート部材8は、ギア室Sbを、遊星減速ギア4と差動機構5を収容する第1ギア室Sb1と、パークロック機構3を収容する第2ギア室Sb2とに区画している。
回転軸X方向において第2ギア室Sb2は、第1ギア室Sb1と、モータ室Saとの間に位置している。
ロータコア21から見てモータシャフト20の一端20a側(図中、右側)に位置するベアリングB1は、第3ボックス13のモータ支持部135の内周に支持されている。他端20b側に位置するベアリングB1は、第2ボックス12の円筒状のモータ支持部125の内周に支持されている。
モータシャフト20の回転軸X方向から見て、珪素鋼板はリング状を成しており、珪素鋼板の外周側では、図示しないN極とS極の磁石が、回転軸X周りの周方向に交互に設けられている。
電磁鋼板の各々は、支持壁部111の内周に固定されたリング状のヨーク部251と、ヨーク部251の内周からロータコア21側に突出するティース部252と、を有している。
モータシャフト20の他端20bは、第4ボックス14の内側で、後記するサイドギア54Aに、回転軸X方向の隙間をあけて対向している。
リップシールRSは、モータ2を収容するモータ室Saと、第4ボックス14内のギア室Sbとを区画している。
リップシールRSは、モータ室SaへのオイルOLの流入を阻止するために設けられている。
嵌合部202の外周には、パークギア30とサンギア41がスプライン嵌合している。
基部410の他端410bには、モータシャフト20の他端20bに螺合したナットNが、回転軸X方向から圧接している。
サンギア41とパークギア30は、ナットNと段部201との間に挟み込まれた状態で、モータシャフト20に対して相対回転不能に設けられている。
段付きピニオンギア43は、大径歯車部431と小径歯車部432が、回転軸Xに平行な軸線X1方向で並んで、一体に設けられたギア部品である。
大径歯車部431は、小径歯車部432の外径R2よりも大きい外径R1で形成されている。
段付きピニオンギア43は、軸線X1に沿う向きで設けられており、この状態において大径歯車部431をモータ2側(図中、右側)に位置させている。
リングギア42は、外周に設けた係合歯421を、第4ボックス14の支持壁部146に設けた歯部146aにスプライン嵌合して設けられている。リングギア42は、回転軸X回りの回転が規制されている。
段付きピニオンギア43は、貫通孔430を貫通したピニオン軸44の外周で、ニードルベアリングNB、NBを介して回転可能に支持されている。
ピニオン軸44には、軸内油路440とピニオン軸44の外周とを連通させる油孔442、443が設けられている。
油孔442は、小径歯車部432の内周を支持するニードルベアリングNBが設けられた領域に開口している。
ピニオン軸44において油孔443、442は、段付きピニオンギア43が外挿された領域内に開口している。
ピニオン軸44の外周において導入路441は、後記する第2ケース部7の支持孔71a内に位置する領域に開口している。導入路441は、軸内油路440とピニオン軸44の外周とを連通させている。
軸線X1に沿う断面視においてケース内油路781は、軸線X1に対して傾斜している。ケース内油路781は、回転軸X側に向かうにつれて、基部71に設けたスリット710に近づく向きで傾斜している。
ケース内油路781から導入路441に流入したオイルOLは、ピニオン軸44の軸内油路440に流入する。軸内油路440に流入したオイルOLは、油孔442、443から径方向外側に排出されて、ピニオン軸44に外挿されたニードルベアリングNBを潤滑する。
ピニオン軸44は、貫通孔444と、後記する第2ケース部7側の挿入穴782との軸線X1回りの位相を合わせて設けられている。挿入穴782に挿入された位置決めピンPが、ピニオン軸44の貫通孔444を貫通することで、ピニオン軸44は、軸線X1回りの回転が規制された状態で、第2ケース部7側で支持される。
ピニオン軸44の長手方向の他端44b側では、段付きピニオンギア43から突出した領域が第2軸部446となっており、第2軸部446は、デフケース50の第2ケース部7に設けた支持孔71aで支持されている。
ピニオン軸44では、第1軸部445よりも第2軸部446のほうが、軸線X1方向の長さが長くなっている。
図5は、差動機構5のデフケース50周りの斜視図である。
図6は、差動機構5のデフケース50周りの分解斜視図である。
図4から図6に示すように、差動機構5のデフケース50は、第1ケース部6と第2ケース部7を回転軸X方向で組み付けて形成される。本実施形態では、デフケース50の第1ケース部6と第2ケース部7が、遊星減速ギア4のピニオン軸44を支持するキャリアとしての機能を有している。
ピニオンメートシャフト51は、回転軸X周りの周方向に等間隔で3つ設けられている(図6参照)。
ピニオンメートシャフト51各々の内径側の端部は、共通の連結部510に連結されている。
この状態においてピニオンメートギア52の各々は、ピニオンメートシャフト51で回転可能に支持されている。
サイドギア54Aは、回転軸X方向における一方側から、3つのピニオンメートギア52に噛合している。サイドギア54Bは、回転軸X方向における他方側から、3つのピニオンメートギア52に噛合している。
図7の(a)は、第1ケース部6を第2ケース部7側から見た斜視図である。図7の(b)は、第1ケース部6を第2ケース部7側から見た平面図である。
図8の(a)は、図7の(b)におけるA-A断面図であって、ピニオンメートシャフト51とピニオンメートギア52の配置を仮想線で示した図である。図8の(b)は、図7の(b)におけるA-A断面図であって、紙面奥側の連結梁62の図示を省略しつつ、サイドギア54Aと段付きピニオンギア43とドライブシャフト9Aの配置を仮想線で示した図である。
図9の(a)は、図7の(b)におけるA-A断面図であって、段付きピニオンギア43とサンギア41を仮想線で示した図である。図9の(b)は、(a)におけるA-A断面図である。なお、(b)では、凹部635の大きさを誇張してある。
図10の(a)は、図9の(a)におけるB-B断面図である。図10の(b)は、(a)のA領域の拡大図である。なお、図10では、大径歯車部431およびサンギア41を仮想線で示すと共に、凹部635の大きさを誇張して記載してある。
図8に示すように、基部61の中央部には、開口60が設けられている。基部61における第2ケース部7とは反対側(図中、右側)の面には、開口60を囲む筒壁部611が設けられている。筒壁部611の外周は、ベアリングB3を介して、プレート部材8で支持されている(図2参照)。
連結梁62は、回転軸X周りの周方向に、等間隔で3つ設けられている(図7参照)。
連結梁62は、基部61に対して直交する基部63と、当該基部63の幅W1よりも広い幅W2を有する連結部64と、を有している(図5参照)。
図8に示すように、支持溝65は、ピニオンメートシャフト51の外径に沿う半円形を成している。支持溝65は、円柱状のピニオンメートシャフト51の半分を収容可能な深さ、すなわち、ピニオンメートシャフト51の直径Daの半分(=Da/2)に相当する深さで形成されている。
円弧部641では、ピニオンメートギア52の外周が、球面状ワッシャ53を介して支持される。
円弧部641では、前記した半径線Lに沿う向きで油溝642が設けられている。油溝642は、ピニオンメートシャフト51の支持溝65から、連結部64の内周に固定されたギア支持部66までの範囲に設けられている。
図7の(b)に示すように、ギア支持部66の外周は、3つの連結部64の内周に接続されており、この状態において貫通孔660の中心は、回転軸X上に位置している。
サイドギア54Aの裏面には、円筒状の筒壁部541に設けられており、ワッシャ55は筒壁部541に外挿されている。
油溝662は、前記した半径線Lに沿って、ギア支持部66の内周から外周まで及んでおり、前記した円弧部641側の油溝642に連絡している。
基部61には、支持孔61aを囲むボス部616が設けられている。ボス部616には、ピニオン軸44に外挿されたワッシャWc(図8の(b)参照)が、回転軸X方向から接触する。
図7の(b)に示すように、油溝617は、ボス部616に近づくにつれて、回転軸X周りの周方向の幅が狭くなる先細り形状で形成されており、ボス部616に設けた油溝618に連絡している。
第1ケース部6の連結部64には、第2ケース部7側の連結部74が回転軸X方向から接合される。第1ケース部6と第2ケース部7は、第2ケース部7側の連結部を貫通したボルトBが、ボルト穴67、67に螺入されて、互いに接合される。
図11の(a)は、第2ケース部7を第1ケース部6側から見た斜視図である。
図11の(b)は、第2ケース部7を第1ケース部6側から見た平面図である。
図12の(a)は、図11の(b)におけるA-A断面図であって、ピニオンメートシャフト51とピニオンメートギア52の配置を仮想線で示した図である。
図12の(b)は、図11の(b)におけるA-A断面図であって、紙面奥側の連結部74の図示を省略しつつ、サイドギア54Bと段付きピニオンギア43とドライブシャフト9Bの配置を仮想線で示した図である。
図13の(a)は、第2ケース部7を第1ケース部6とは反対側から見た斜視図である。
図13の(b)は、第2ケース部7を第1ケース部6とは反対側から見た平面図である。
基部71は、回転軸X方向に厚みW71を有する板状部材である。
基部71の中央部には、基部71を厚み方向に貫通する貫通孔70が設けられている。
基部71における第1ケース部6とは反対側(図中、左側)の面には、貫通孔70を囲む筒壁部72と、筒壁部72を所定間隔で囲む周壁部73が設けられている。
周壁部73の先端には、回転軸X側に突出する突起部73aが設けられている。突起部73aは、回転軸X周りの周方向の全周に亘って設けられている。
周壁部73の内径側には、基部71を厚み方向に貫通するスリット710が設けられている。
回転軸X方向から見てスリット710は、周壁部73の内周に沿う弧状を成している。スリット710は、回転軸X周りの周方向に所定の角度範囲で形成されている。
ボルト収容部76の内側には、ボルトの挿通孔77が開口している。挿通孔77は、基部71を厚み方向(回転軸X方向)に貫通している。
連結部74は、回転軸X周りの周方向に、等間隔で3つ設けられている。連結部74は、第1ケース部6側の連結部64と同じ周方向の幅W7で形成されている。
図5に示すように、支持溝75は、ピニオンメートシャフト51の外径に沿う半円形を成している。
図12の(a)に示すように、支持溝75は、円柱状のピニオンメートシャフト51の半分を収容可能な深さ、すなわち、ピニオンメートシャフト51の直径Daの半分(=Da/2)に相当する深さで形成されている。
円弧部741では、ピニオンメートギア52の外周が、球面状ワッシャ53を介して支持される(図12参照)。
円弧部741では、前記した半径線Lに沿う向きで油溝742が設けられている。油溝742は、ピニオンメートシャフト51の支持溝75から、連結部74の内周に位置する基部71までの範囲に設けられている。
基部71の表面71bには、サイドギア54Bの裏面を支持するリング状のワッシャ55が載置される。サイドギア54Bの裏面には、円筒状の筒壁部540が設けられており、ワッシャ55は筒壁部540に外挿されている。
回転軸X方向から見て、ガイド部78は筒状を成しており、基部71に設けた支持孔71aを囲んでいる。ガイド部78の外周部は、基部71の外周71cに沿って切除されている。
この状態において、ピニオン軸44に外挿された段付きピニオンギア43の小径歯車部432が、ワッシャWcを間に挟んで、軸線X1方向からガイド部78に当接している。
開口部145aの内周には、リップシールRSが固定されており、リップシールRSの図示しないリップ部が、ドライブシャフト9Bに外挿されたサイドギア54Bの筒壁部540の外周に弾発的に接触している。
これにより、サイドギア54Bの筒壁部540の外周と開口部145aの内周との隙間が封止されている。
ドライブシャフト9Aは、モータ2のモータシャフト20と、遊星減速ギア4のサンギア41の内径側を回転軸X方向に横切って設けられている。
本実施形態では、合計3つのピニオンメートシャフト51が、連結部510から径方向外側に延びている。ピニオンメートシャフト51の各々で支持されたピニオンメートギア52は、回転軸X方向の一方側に位置するサイドギア54Aおよび他方側に位置するサイドギア54Bに、互いの歯部を噛合させた状態で組み付けられている。
本実施形態では、連結梁62が最も下部側に位置した際に、連結梁62がオイルOL内に位置する高さまで、オイルOLが貯留されている。
貯留されたオイルOLは、モータ2の出力回転の伝達時に、回転軸X回りに回転するデフケース50により掻き上げられるようになっている。
図14の(a)は、第4ボックス14を第3ボックス13側から見た平面図である。図14の(b)は、図14の(a)に示したオイルキャッチ部15を斜め上方から見た斜視図である。
図15の(a)は、第4ボックス14を第3ボックス13側から見た平面図であって、デフケース50を配置した状態を示した図である。図15の(b)は、図15の(a)に示したオイルキャッチ部15を斜め上方から見た斜視図である。
図16は、図15の(a)におけるA-A断面図である。
図17は、動力伝達装置1を上方から見た場合におけるオイルキャッチ部15と、デフケース50(第1ケース部6、第2ケース部7)との位置関係を説明する模式図である。
尚、図14の(a)および図15の(a)では、第4ボックス14の接合部142と、支持壁部146の位置を明確にするために、ハッチングを付して示している。
第4ボックス14内の上部には、オイルキャッチ部15の空間と、ブリーザ室16の空間が形成されている。
オイルキャッチ部15は、デフケース50の回転中心(回転軸X)を通る鉛直線VLからオフセットした位置に配置されており、上方からオイルキャッチ部15を見ると、オイルキャッチ部15は、デフケース50の真上からオフセットした位置に配置されている。
ここで、鉛直線VLは、動力伝達装置1の車両での設置状態を基準とした鉛直線VLであり、回転軸X方向から見て鉛直線VLは、回転軸Xと直交している。
オイルキャッチ部15の下縁には、紙面手前側に突出して支持台部151が設けられている。支持台部151は、支持壁部146よりも紙面手前側であって、第4ボックス14の接合部142よりも紙面奥側までの範囲に設けられている。
回転軸X方向から見て連通口147は、鉛直線VLをブリーザ室16側(図中、右側)から、オイルキャッチ部15側(図中、左側)に横切る範囲に設けられている。
そのため、オイルキャッチ部15は、デフケース50の回転方向における下流側に位置している。そして、連通口147の周方向の幅は、鉛直線VLを挟んだ左側(デフケース50の回転方向における下流側)のほうが、右側(デフケース50の回転方向における上流側)よりも広くなっている。これにより、回転軸X回りに回転するデフケース50で掻き上げられたオイルOLの多くが、オイルキャッチ部15内に流入できるようになっている。
そのため、第2軸部446の外径側に空間的な余裕があり、この空間を利用して、オイルキャッチ部15を設けることで、本体ボックス10内の空間スペースの有効利用が可能となっている。
よって、当該周辺部材からオイルキャッチ部15へのオイルOL(潤滑油)の供給をスムーズに行うことができるようになっている。
図2に示すように、支持部145において油孔151aの内径側の端部は、リップシールRSとベアリングB2との間に開口している。
オイルガイド152は、キャッチ部153と、キャッチ部153から第1ボックス11側(図15の(b)における紙面手前側)に延びるガイド部154とを有している。
回転軸Xの径方向から見て、キャッチ部153は、ピニオン軸44の第2軸部446と重なる位置に設けられている。さらにガイド部154は、ピニオン軸44の第1軸部445と大径歯車部431と重なる位置に設けられている。
切欠部155は、油孔151aに対向する領域に設けられており、キャッチ部153に貯留されたオイルOLの一部が、切欠部155の部分から油孔151aに向けて排出されるようになっている。
そのため、キャッチ部153に貯留されたオイルOLの一部が、ガイド部154側にも排出されるようになっている。
壁部120の外周には、貫通孔126aを囲むボス部126が設けられており、ボス部126には、回転軸X方向から配管127の一端が嵌入している。
径方向油路137は、内部空間Scから径方向下側に延びており、接合部132内に設けた軸方向油路138に連通している。
オイル溜り部128は、周壁部121内を回転軸X方向に貫通しており、第4ボックス14に設けた第2ギア室Sb2に連絡している。
動力伝達装置1では、モータ2の出力回転の伝達経路に沿って、遊星減速ギア4と、差動機構5と、ドライブシャフト9(9A、9B)と、が設けられている。
ここで、段付きピニオンギア43の小径歯車部432は、第4ボックス14の内周に固定されたリングギア42に噛合している。そのため、段付きピニオンギア43は、軸線X1回りに自転しながら、回転軸X周りに公転する。
これにより、段付きピニオンギア43を支持するデフケース50(第1ケース部6、第2ケース部7)が、モータ2側から入力された回転よりも低い回転速度で回転軸X回りに回転する。
そのため、遊星減速ギア4のサンギア41に入力された回転は、段付きピニオンギア43により、大きく減速されたのちに、デフケース50(差動機構5)に出力される。
掻き上げられたオイルOLにより、サンギア41と大径歯車部431との噛合部と、小径歯車部432とリングギア42との噛合部と、ピニオンメートギア52とサイドギア54A、54Bとの噛合部とが潤滑される。
第4ボックス14の上部には、オイルキャッチ部15が設けられている。オイルキャッチ部15は、デフケース50の回転方向における下流側に位置しており、デフケース50で掻き上げられたオイルOLの多くが、オイルキャッチ部15内に流入する。
デフケース50の第1ケース部6の径方向外側と、デフケース50の第2ケース部7の径方向外側に、オイルガイド152のガイド部154とキャッチ部153が位置している。
そのため、デフケース50で掻き上げられてオイルキャッチ部15内に流入したオイルの多くが、オイルガイド152に捕捉される。
オイルガイド152に捕捉されたオイルOLの一部は、壁部153aに設けた切欠部155から排出されて、支持台部151の上面に一端が開口した油孔151aに流入する。
ケース内油路781に流入したオイルOLは、導入路441を通ってピニオン軸44の軸内油路440に流入する。軸内油路440に流入したオイルOLは、油孔442、443から径方向外側に排出されて、ピニオン軸44に外挿されたニードルベアリングNBを潤滑する。
さらに、第2ケース部7の基部71に設けた油溝712と、円弧部741に設けた油溝742を通って、ピニオンメートギア52の裏面を支持する球面状ワッシャ53に供給されて、球面状ワッシャ53を潤滑する。
そのため、ガイド部154側に排出されたオイルOLの多くが、第2ボックス12の貫通孔126aに流入する。
配管127は、第2ボックス12の外側を通って第3ボックス13まで及んでおり、配管127の他端は、第3ボックスの円筒状の接続壁136に設けた油孔136a(図2参照)に連通している。
油孔136aから内部空間Scに排出されたオイルOLは、内部空間Scに貯留されると共に、第3ボックス13の周壁部131で支持されたベアリングB4を潤滑する。
図8に示すように、モータシャフト20の他端20bは、サイドギア54Aの筒壁部541の内側に挿入されている。筒壁部541の内周には、サイドギア54Aの裏面に連通する連絡路542が設けられている。
そのため、モータシャフト20の他端20b側まで移動して、筒壁部541の内側に排出されたオイルOLの一部は、連絡路542を通って、サイドギア54Aの裏面のワッシャ55に供給されて、ワッシャ55を潤滑する。
そのため、内部空間Sc内のオイルOLは、第4ボックス14内に貯留されたオイルOLと同じ高さ位置に保持される。
そして、これらベアリングB2、B4を潤滑したオイルOLは、最終的に第4ボックス14内に戻されて、回転するデフケース50により掻き上げられる。
油溜め溝636でキャッチされたオイルOLは、側壁636b、636b及び底壁636aに沿って移動し、油路637、637に導かれる(図18の(c)、(d)におけるハッチング矢印)。
(1)動力伝達装置1は、ドライブシャフト9(駆動軸)と、
ドライブシャフト9と接続された差動機構5と、
差動機構5を収容するデフケース50と、
デフケース50に支持されたピニオン軸44と、
ピニオン軸44を軸心とする段付きピニオンギア43と、
段付きピニオンギア43の大径歯車部431と噛合するサンギア41と、を有する。
デフケース50の第1ケース部6は、段付きピニオンギア43に周方向に隣接する連結梁62(柱部)を有する。
連結梁62を構成する基部63の内周面631には、段付きピニオンギア43の大径歯車部431とサンギア41との噛合部にオイルOL(潤滑油)を供給する油路637が設けられている。
四方八方に広がったオイルOLの一部で大径歯車部431とサンギア41との噛合部を潤滑するだけでは、潤滑効率が良いとは言えない。
(2)基部63の内周面631には、油路637と連通する油溜め溝636が設けられている。
(3)連結梁62は、差動機構5のピニオンメートシャフト51を支持する連結部64を有する。
(4)差動機構5の上流には、モータ2が配置されている。
ドライブシャフト9は、モータ2の内周を貫通するドライブシャフト9Aを備える。
10 本体ボックス
11 第1ボックス
12 第2ボックス
13 第3ボックス
14 第4ボックス
15 オイルキャッチ部
151 支持台部
151a 油孔
152 オイルガイド
153 キャッチ部
154 ガイド部
16 ブリーザ室
2 モータ
20 モータシャフト
21 ロータコア
25 ステータコア
3 パークロック機構
4 遊星減速ギア
41 サンギア
42 リングギア
43 段付きピニオンギア
430 貫通孔
431 大径歯車部
432 小径歯車部
44 ピニオン軸
440 軸内油路
441 導入路
442、443 油孔
444 貫通孔
445 第1軸部
446 第2軸部
5 差動機構
50 デフケース
51 ピニオンメートシャフト
510 連結部
52 ピニオンメートギア
53 球面状ワッシャ
54A、54B サイドギア
540 筒壁部
541 筒壁部
542 連絡路
55 ワッシャ
6 第1ケース部
60 開口
61 基部
61a 支持孔
611 筒壁部
616 ボス部
617、618 油溝
62 連結梁
63 基部
631 内周面
632 外周面
633 側面
635 凹部
636 油溜め溝
636a 底壁
636b 側壁
637 油路
637a 端部
64 連結部
641 円弧部
642 油溝
65 支持溝
66 ギア支持部
660 貫通孔
661 凹部
662 油溝
67 ボルト穴
7 第2ケース部
70 貫通孔
71 基部
71a 支持孔
710 スリット
711 突出壁
712、721 油溝
72 筒壁部
73 周壁部
74 連結部
741 円弧部
742 油溝
75 支持溝
76 ボルト収容部
77 挿通孔
78 ガイド部
781 ケース内油路
782 挿入穴
8 プレート部材
9(9A、9B) ドライブシャフト
B ボルト
B1、B2、B3、B4 ベアリング
NB ニードルベアリング
OL オイル
RS リップシール
Rx 隙間
Sa モータ室
Sb ギア室
Sb1 第1ギア室
Sb2 第2ギア室
Sc 内部空間
W 駆動輪
Wc ワッシャ
X 回転軸
X1 軸線
Claims (3)
- 駆動軸と、
前記駆動軸と接続された差動機構と、
前記差動機構を収容するケースと、
前記ケースに支持されたピニオン軸と、
前記ピニオン軸を軸心とするピニオンギアと、
前記ピニオンギアと噛合するサンギアと、を有し、
前記ケースは、前記ピニオンギアに周方向に隣接する柱部を有し、
前記サンギアとの対向面である前記柱部の内周面には、前記サンギアの軸中心を囲む仮想円に沿う向きに設けられた油溝と、前記サンギアの軸方向に延び前記油溝と連通する油溜め凹部とが設けられており、
前記油溝から前記仮想円に沿う方向に潤滑油を供給し、前記ピニオンギアと前記サンギアとの噛合部を潤滑するようにしたことを特徴とする動力伝達装置。 - 請求項1において、
前記柱部は前記差動機構の傘歯車の軸を支持する軸支持部を有することを特徴とする動力伝達装置。 - 請求項1又は請求項2において、
前記差動機構の上流に配置されるモータを有し、
前記駆動軸は、前記モータの内周を貫通することを特徴とする動力伝達装置。
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