JP2015086348A - 加熱調理器具用のコーティング樹脂組成物とそれを用いた加熱調理器具 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐汚染性及び塗膜硬度が良好でありクラックの発生を抑えた塗膜を形成することができる加熱調理器具用のコーティング樹脂組成物を提供する。【解決手段】加熱調理器具用のコーティング樹脂組成物は、オルガノシロキサン又はその部分加水分解物と鎖状コロイダルシリカとを含有する。【選択図】なし
Description
本発明は、加熱調理器具用のコーティング樹脂組成物とそれを用いた加熱調理器具に関する。
フライパンやホットプレート等の加熱調理器具の調理面の塗膜は耐汚染性が求められており、これまではフッ素樹脂系塗料を加熱調理器具の調理面にコーティングして撥水撥油性の塗膜を形成するのが一般的であった。例えば、特許文献1には、シリコーン系樹脂塗料を下塗りにし、有機溶媒に分散された四フッ化エチレン樹脂塗料(フッ素樹脂系塗料)を上塗りにして塗膜を形成することが記載されている。引用文献2には、球状セラミック顔料と六チタン酸カリウムウイスカーを含む塗料を下塗りにし、六チタン酸カリウムウイスカーを含むフッ素樹脂系塗料を上塗りにして塗膜を形成することが記載されている。
しかしながら、上記したフッ素樹脂系塗料の塗膜は、金属へら等の金属体で擦られると傷が入ったり塗膜が剥がれたりする等、硬度が充分でない。傷つき性の観点からフッ素樹脂系塗料の代わりにシリコーン樹脂系塗料が検討されるも、その塗膜は冷熱繰り返しでクラックが生じやすいという課題がある。
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、耐汚染性及び塗膜硬度が良好でありクラックの発生を抑えた塗膜を形成することができる加熱調理器具用のコーティング樹脂組成物とそれを用いた加熱調理器具を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するために、本発明の加熱調理器具用のコーティング樹脂組成物は、オルガノシロキサン又はその部分加水分解物と鎖状コロイダルシリカとを含有することを特徴とする。
この加熱調理器具用のコーティング樹脂組成物においては、前記オルガノシロキサン又はその部分加水分解物と前記鎖状コロイダルシリカとの配合比がモル比換算で90:10〜10:90の範囲内であることが好ましい。
また、加熱調理器具用のコーティング樹脂組成物においては、前記鎖状コロイダルシリカは、アスペクト比が5以上であることが好ましい。
本発明の加熱調理器具は、上記いずれかのコーティング樹脂組成物の塗膜が調理面に形成されていることを特徴とする。
本発明の加熱調理器具用のコーティング樹脂組成物によれば、耐汚染性及び塗膜硬度が良好でありクラックの発生を抑えた塗膜を形成することができる。また、そのコーティング樹脂組成物を用いた加熱調理器具によれば、コーティング樹脂組成物の塗膜は耐汚染性及び塗膜硬度が良好でありクラックの発生が抑えられている。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の実施形態に係る加熱調理器具用のコーティング樹脂組成物は、オルガノシロキサン又はその部分加水分解物と鎖状コロイダルシリカとを含有する。
このコーティング樹脂組成物は、フライパン、ホットプレート、電子レンジ、ホームベーカリー、炊飯器、遠赤外線レンジ、ガスコンロ、魚焼きグリル等の加熱調理器具に適用され、その金属材料や無機材料等の基材の調理面に塗膜として形成される。
本実施形態において用いられるオルガノシロキサンは、下記一般式で表わすことができる。
ここでR1、R2は各々同一又は別異に1価の炭化水素基を示す。pは0〜2の整数である。
R1としては、例えば、炭素数1〜4の1価の炭化水素基が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基が挙げられる。アルキル基は直鎖状のものでもよいし分岐状のものでもよい。
R2としては、例えば、置換又は非置換で炭素数1〜8の1価の炭化水素基が挙げられる。具体的には次の炭化水素基が挙げられる。メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基。シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基。2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基、3−フェニルプロピル基等のアラルキル基。フェニル基、トリル基等のアリール基。ビニル基、アリール基等のアルケニル基。クロロメチル基、γ−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換炭化水素基。γ−メタクリロキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基、γ−メルカプトプロピル基等の置換炭化水素基。合成の容易さや入手の容易さ等から、R2は炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基であることが好ましい。
上記一般式においてp=0のテトラアルコキシシランとして、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等が例示できる。p=1のオルガノトリアルコキシシランとして、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン等が例示できる。また、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等も例示できる。p=2のジオルガノジアルコキシシランとして、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン等が例示できる。本実施形態においては、所期の効果をより向上させる観点から、p=1のメチルトリメトキシシランやメチルトリエトキシシランが好適に用いられる。より柔軟性を塗膜に持たす観点からは、p=2のジメチルジエトキシシランやジメチルジエトキシシラン等を用いることができる。これらのオルガノシロキサンは、単独でも良く、複数を混合して用いることもできる。
本実施形態において用いられるオルガノシロキサンの部分加水分解物は、上記したオルガノシロキサンの部分加水分解物である。このような部分加水分解物として、例えば、重量平均分子量(Mw)がポリスチレン換算で100〜5000の範囲内のものを用いることができる。
本実施形態に係るコーティング樹脂組成物においては、オルガノシロキサン及びその部分加水分解物の一方のみを含んでいても良く、併用して含んでいてもよい。
次に、本実施形態において用いられる鎖状コロイダルシリカについて説明する。まず、コロイダルシリカについて説明する。
コロイダルシリカは、シリカ粒子が水中あるいは有機溶媒中に分散してコロイド状をなし、アルカリ及び酸性域で長期的に安定化している。有機溶媒としては、例えば、次のものが挙げられる。メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等の低級脂肪族アルコール類。エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコール誘導体。ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール誘導体。ジアセトンアルコール。これらからなる群より選ばれた1種又は2種以上のものを使用することができる。また、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトオキシム等も用いることができる。
本実施形態においては、主に塗膜のクラックの発生を抑えるために鎖状コロイダルシリカが用いられる。鎖状コロイダルシリカはシリカ粒子が鎖状に連なったものである。このような鎖状コロイダルシリカは、塗膜のクラックの発生をより抑えるためにアスペクト比が5以上のものを用いるのが好ましい。なかでもアスペクト比が5〜500の範囲内のものが好ましい。例えば、シリカ粒子が太さ1〜10nm、長さ50〜500nm程度に鎖状に連なったコロイダルシリカを用いるのが好ましい。
このような鎖状コロイダルシリカは市販品として入手可能である。例えば、日産化学株式会社製のST−UP、ST−OUP等が挙げられる。
本実施形態においては、鎖状コロイダルシリカと共に球状コロイダルシリカを併用することができる。球状コロイダルシリカは、平均粒子径4〜100nm程度の球状のシリカ粒子が水中あるいは有機溶媒中に分散してコロイド状をなしているものである。
オルガノシロキサン又はその部分加水分解物と鎖状コロイダルシリカとの配合比は、モル比換算で90:10〜10:90の範囲内であることが好ましい。これによって、耐汚染性、耐傷つき性、及び耐クラック性の各物性がより良好な塗膜を形成することができる。なかでも75:25〜25:75の範囲内であることが好ましい。
以上のコーティング樹脂組成物は、オルガノシロキサン又はその部分加水分解物と鎖状コロイダルシリカとを含有するため、耐汚染性及び塗膜硬度が良好でありクラックの発生を抑えた塗膜を形成することができる。
本実施形態に係るコーティング樹脂組成物は、オルガノシロキサン又はその部分加水分解物と鎖状コロイダルシリカとを反応(加水分解及び重縮合反応)させてプレポリマー(加水分解重縮合物)化し、コーティング溶液(塗料)に調製して使用するのが好ましい。そのためにコーティング樹脂組成物は、必要に応じて、溶剤、硬化剤としての水、触媒、シリコーンオイル等を含んでいてもよい。
プレポリマーは、Mwがポリスチレン換算で700以上、好ましくは900以上になるように調製されることが望ましい。縮重合の際の硬化収縮を低減でき、硬化後の塗膜にクラックが発生しにくくなるからである。
溶剤は、希釈剤として使用され、例えば、次のものが挙げられる。メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等の低級脂肪族アルコール類。エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコール誘導体。ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール誘導体。ジアセトンアルコール。これらからなる群より選ばれた1種又は2種以上のものを使用することができる。また、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトオキシム等も用いることができる。
触媒は、オルガノシロキサン又はその部分加水分解物と鎖状コロイダルシリカとの加水分解及び重縮合反応を促進させるために使用され、例えば、次のものが挙げられる。塩酸、酢酸、硝酸、ハロゲン化シラン、クロロ酢酸、クエン酸、安息香酸、ジメチルマロン酸、蟻酸、プロピオン酸、グルタール酸、グリコール酸、マレイン酸、マロン酸、トルエンスルホン酸、しゅう酸等の有機酸及び無機酸等の1種又は2種以上のもの。
シリコーンオイルは、離型性を向上させるために使用される。なかでも、末端にシラノール基やカルビノール基等の反応基を有する直鎖状の反応性シリコーンオイルを用いるのが好ましい。このような直鎖状の反応性シリコーンオイルは反応させやすくプレポリマーの骨格に容易に取り込むことができる。
コーティング溶液には、硬化触媒を添加することができる。硬化触媒は、コーティングしたプレポリマーを硬化させるために使用される。
硬化触媒としては、例えば、次のものが挙げられる。アルキルチタン酸塩類。オクチル酸錫、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジマレエート等のカルボン酸金属塩類。ジブチルアミン−2−ヘキソエート、ジメチルアミンアセテート、エタノールアミンアセテート等のアミン塩類。酢酸テトラメチルアンモニウム等のカルボン酸第4級アンモニウム塩。テトラエチルペンタミン等のアミン類。N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミン系シランカップリング剤。p−トルエンスルホン酸、フタル酸、塩酸等の酸類。アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレート等のアルミニウム化合物。酢酸リチウム、酢酸カリウム、蟻酸リチウム、蟻酸ナトリウム、リン酸カリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属塩。テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、チタニウムテトラアセチルアセトネート等のチタニウム化合物。メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルモノクロロシラン等のハロゲン化シラン類。
コーティング溶液には、金属酸化物や金属粉等の顔料をはじめ、物性及び塗装性を改良するために、抗菌剤、防黴剤、艶消し剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、レベリング剤、分散剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、ワックス成分、溶媒等が配合されていてよい。
顔料としては、例えば、次のものが挙げられる。酸化チタン、硫酸バリウム、カーボン、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、無機複合酸化物などの球状顔料。マイカ、タルク、ベントナイト、スメクタイトなどの燐片状顔料。ウォラストナイト、ウィスカ、セピオライトなどの繊維状顔料。
このようなコーティング溶液を加熱調理器具の基材の調理面に塗装し、硬化させることで調理面に塗膜を形成することができる。ここで、基材は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等の金属材料や無機材料等から構成される。金属材料で構成される基材の場合、塗膜をより強固に形成するためにあらかじめブラスト処理しておくことが好ましい。
コーティング溶液の調理面への塗布回数は、特に制限はなく、一回または二回以上でもよい。塗布方式としては、従来公知の方法が挙げられる。例えば、フローコーター、ロールコーター、カーテンコート、ナイフコート、スピンコート、テーブルコート、シートコート、枚葉コート、ダイコート、バーコートによる方法である。また、吹き付け法、エアレススプレー法、エアスプレー法、刷毛塗り、コテ塗り、浸漬法、引き上げ法等でもよい。これら方法にて自動化して塗布してもよいし、手動にて塗布してもよい。
こうして、コーティング樹脂組成物の塗膜が調理面に形成されている加熱調理器具を得る。この加熱調理器具の塗膜は、上記したコーティング樹脂組成物で形成されているので、耐汚染性及び塗膜硬度が良好でありクラックの発生が抑えられている。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<基材の準備と下塗り塗膜の作成>
ブラスト処理したアルミニウム製の金属基材(サイズ:150mm×150mm)を準備した。また、オルガノシロキサンとしてメチルトリメトキシシラン100質量部に、メタノール100質量部、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル20質量部、コロイダルシリカ(平均粒子径:4〜6nm)150質量部を配合した塗料を準備した。この塗料をペイントシェーカーを用いて、着色顔料、体質顔料を分散させた後、金属基材のブラスト処理面に膜厚が20μmになるように塗装した。
ブラスト処理したアルミニウム製の金属基材(サイズ:150mm×150mm)を準備した。また、オルガノシロキサンとしてメチルトリメトキシシラン100質量部に、メタノール100質量部、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル20質量部、コロイダルシリカ(平均粒子径:4〜6nm)150質量部を配合した塗料を準備した。この塗料をペイントシェーカーを用いて、着色顔料、体質顔料を分散させた後、金属基材のブラスト処理面に膜厚が20μmになるように塗装した。
次いで、この膜を200℃×30分加熱して硬化させ、下塗り塗膜とした。次いで、この下塗り塗膜上に下記の実施例及び比較例に示すコーティング溶液を塗装して塗装品を得た。その塗装品に形成された塗膜について塗膜硬度を測定した。また、形成された塗膜について耐クラック性及び耐汚染性を評価した。
<実施例1>
オルガノシロキサンとしてメチルトリメトキシシラン100質量部に、直鎖状の反応性シリコーンオイル(モメンティブ株式会社製 商品名7812)10質量部、溶剤としてメタノール180質量部を添加し、十分撹拌した。この溶液に、鎖状コロイダルシリカ(日産化学株式会社製 商品名OUP)150質量部、0.1N硝酸10質量部を配合し、約3時間反応させオルガノシロキサンと鎖状コロイダルシリカが反応したコーティング溶液を調製した。このコーティング溶液を下塗り塗膜上に膜厚が5μmになるように塗装し、200℃で30分間焼成して塗膜を形成した。
<実施例2>
実施例1の溶液において鎖状コロイダルシリカの配合量を50質量部としたこと、及び溶剤の配合量を150質量部としたこと以外は実施例1と同様にして溶液を調製した。また、この溶液を用いて実施例1と同様にしてコーティング溶液を調製して塗膜を形成した。
<実施例3>
実施例1の溶液において鎖状コロイダルシリカの配合量を300質量部としたこと、及び溶剤の配合量を250質量部としたこと以外は実施例1と同様にして溶液を調製した。また、この溶液を用いて実施例1と同様にしてコーティング溶液を調製して塗膜を形成した。
<比較例1>
実施例1と同様にして溶液を調製した。この溶液に、鎖状コロイダルシリカに代えて球状コロイダルシリカ(日産化学株式会社製 商品名STO)150質量部、0.1N硝酸10質量部を配合し、約3時間反応させオルガノシロキサンと球状コロイダルシリカが反応したコーティング溶液を調製した。このコーティング溶液を用いて実施例1と同様にして塗膜を形成した。
<比較例2>
実施例2と同様にして溶液を調製した。この溶液に、鎖状コロイダルシリカに代えて球状コロイダルシリカ(日産化学株式会社製 商品名STO)50質量部、0.1N硝酸10質量部を配合し、約3時間反応させオルガノシロキサンと球状コロイダルシリカが反応したコーティング溶液を調製した。このコーティング溶液を用いて実施例2と同様にして塗膜を形成した。
<比較例3>
実施例3と同様にして溶液を調製した。この溶液に、鎖状コロイダルシリカに代えて球状コロイダルシリカ(日産化学株式会社製 商品名STO)300質量部、0.1N硝酸10質量部を配合し、約3時間反応させオルガノシロキサンと球状コロイダルシリカが反応したコーティング溶液を調製した。このコーティング溶液を用いて実施例3と同様にして塗膜を形成した。
<比較例4>
シリコーン樹脂としてメチルシリコーンレジン(モメンティブ株式会社製 商品名301)100質量部、溶剤としてトルエン100質量部、触媒としてジブチルスズジアセテート1質量部を配合したコーティング溶液を調製した。このコーティング溶液を用いて実施例1と同様にして塗膜を形成した。
<比較例5>
フッ素樹脂として四フッ化エチレン樹脂粉末100質量部、トルエン300質量部を配合した塗料を調製した。この塗料を下塗り塗膜上に膜厚が15μmになるように塗装し、380℃で15分間焼成して塗膜を形成した。
<塗膜硬度の測定> 鉛筆硬度の測定
JIS K−5600に基づき鉛筆硬度を測定した。
<実施例1>
オルガノシロキサンとしてメチルトリメトキシシラン100質量部に、直鎖状の反応性シリコーンオイル(モメンティブ株式会社製 商品名7812)10質量部、溶剤としてメタノール180質量部を添加し、十分撹拌した。この溶液に、鎖状コロイダルシリカ(日産化学株式会社製 商品名OUP)150質量部、0.1N硝酸10質量部を配合し、約3時間反応させオルガノシロキサンと鎖状コロイダルシリカが反応したコーティング溶液を調製した。このコーティング溶液を下塗り塗膜上に膜厚が5μmになるように塗装し、200℃で30分間焼成して塗膜を形成した。
<実施例2>
実施例1の溶液において鎖状コロイダルシリカの配合量を50質量部としたこと、及び溶剤の配合量を150質量部としたこと以外は実施例1と同様にして溶液を調製した。また、この溶液を用いて実施例1と同様にしてコーティング溶液を調製して塗膜を形成した。
<実施例3>
実施例1の溶液において鎖状コロイダルシリカの配合量を300質量部としたこと、及び溶剤の配合量を250質量部としたこと以外は実施例1と同様にして溶液を調製した。また、この溶液を用いて実施例1と同様にしてコーティング溶液を調製して塗膜を形成した。
<比較例1>
実施例1と同様にして溶液を調製した。この溶液に、鎖状コロイダルシリカに代えて球状コロイダルシリカ(日産化学株式会社製 商品名STO)150質量部、0.1N硝酸10質量部を配合し、約3時間反応させオルガノシロキサンと球状コロイダルシリカが反応したコーティング溶液を調製した。このコーティング溶液を用いて実施例1と同様にして塗膜を形成した。
<比較例2>
実施例2と同様にして溶液を調製した。この溶液に、鎖状コロイダルシリカに代えて球状コロイダルシリカ(日産化学株式会社製 商品名STO)50質量部、0.1N硝酸10質量部を配合し、約3時間反応させオルガノシロキサンと球状コロイダルシリカが反応したコーティング溶液を調製した。このコーティング溶液を用いて実施例2と同様にして塗膜を形成した。
<比較例3>
実施例3と同様にして溶液を調製した。この溶液に、鎖状コロイダルシリカに代えて球状コロイダルシリカ(日産化学株式会社製 商品名STO)300質量部、0.1N硝酸10質量部を配合し、約3時間反応させオルガノシロキサンと球状コロイダルシリカが反応したコーティング溶液を調製した。このコーティング溶液を用いて実施例3と同様にして塗膜を形成した。
<比較例4>
シリコーン樹脂としてメチルシリコーンレジン(モメンティブ株式会社製 商品名301)100質量部、溶剤としてトルエン100質量部、触媒としてジブチルスズジアセテート1質量部を配合したコーティング溶液を調製した。このコーティング溶液を用いて実施例1と同様にして塗膜を形成した。
<比較例5>
フッ素樹脂として四フッ化エチレン樹脂粉末100質量部、トルエン300質量部を配合した塗料を調製した。この塗料を下塗り塗膜上に膜厚が15μmになるように塗装し、380℃で15分間焼成して塗膜を形成した。
<塗膜硬度の測定> 鉛筆硬度の測定
JIS K−5600に基づき鉛筆硬度を測定した。
○ : 7H以上
△ : 4H〜6H
× : 3H以下
<耐クラック性の評価> 耐クラック性負荷試験
塗装品を200±5℃に加熱し、その後、15℃から20℃の範囲内の水を用いて加熱した塗装品を急激に冷却する熱衝撃を連続して3回繰り返す負荷試験を実施した。負荷試験後の塗膜を50倍のルーペで観察し、クラック発生の程度から耐クラック性を評価した。
△ : 4H〜6H
× : 3H以下
<耐クラック性の評価> 耐クラック性負荷試験
塗装品を200±5℃に加熱し、その後、15℃から20℃の範囲内の水を用いて加熱した塗装品を急激に冷却する熱衝撃を連続して3回繰り返す負荷試験を実施した。負荷試験後の塗膜を50倍のルーペで観察し、クラック発生の程度から耐クラック性を評価した。
○ : クラックは全くない。
△ : 面積の20%程度にクラックが発生。
× : 面積の20%超にクラックが発生。
<耐汚染性の評価> 防汚性試験
IHクッキングヒーター上に塗装品を置き、表面温度が120〜130℃に達したところで卵1個を落とし、更に昇温して200℃前後に保持し目玉焼き程度に焼き上がったところで、専用のへらを用いて卵を除去した。その卵の除去性から耐汚染性を評価した。なお、本実施例及び比較例においては「×」の評価となる塗膜はなかった。
○ : 負荷なしに卵が除去できる。
△ : 負荷はかかるが卵を除去できる。
× : 卵が焦げ付いてしまい除去できない。
<総合評価>
各塗装品の塗膜についての塗膜硬度の測定、耐クラック性及び耐汚染性の評価において全て「○」の場合は総合評価「◎」とした。一つでも「×」又は「△」がある場合はその塗装品は実用上使用不可として総合評価「×」とした。
<耐汚染性の評価> 防汚性試験
IHクッキングヒーター上に塗装品を置き、表面温度が120〜130℃に達したところで卵1個を落とし、更に昇温して200℃前後に保持し目玉焼き程度に焼き上がったところで、専用のへらを用いて卵を除去した。その卵の除去性から耐汚染性を評価した。なお、本実施例及び比較例においては「×」の評価となる塗膜はなかった。
○ : 負荷なしに卵が除去できる。
△ : 負荷はかかるが卵を除去できる。
× : 卵が焦げ付いてしまい除去できない。
<総合評価>
各塗装品の塗膜についての塗膜硬度の測定、耐クラック性及び耐汚染性の評価において全て「○」の場合は総合評価「◎」とした。一つでも「×」又は「△」がある場合はその塗装品は実用上使用不可として総合評価「×」とした。
以上の結果を表1に示す。
表1の結果に示すように、実施例1−3で得られた塗装品は、耐汚染性及び塗膜硬度が良好でありクラックの発生を抑えられるなど耐傷つき性(塗膜硬度)、耐クラック性、及び耐汚染性についてバランスが取れており、実用上使用可能であることが確認された。実施例1−3で得られた塗装品は、オルガノシロキサン又はその部分加水分解物と鎖状コロイダルシリカとの配合比がモル比換算で90:10〜10:90の範囲内の組成物を使用しているので、各物性は特に良好である。
一方、比較例1−3で得られた塗装品は、鎖状コロイダルシリカの代わりに球状コロイダルシリカを含有するコーティング組成物を使用しているので塗膜の耐クラック性が劣っている。比較例4で得られた塗装品は、通常のシリコーン樹脂を使用しているので、塗膜の塗膜硬度及び耐クラック性が劣っている。また、比較例5で得られた塗装品は、フッ素樹脂を用いているので、塗膜の塗膜硬度が劣っている。
Claims (4)
- オルガノシロキサン又はその部分加水分解物と鎖状コロイダルシリカとを含有することを特徴とする加熱調理器具用のコーティング樹脂組成物。
- 前記オルガノシロキサン又はその部分加水分解物と前記鎖状コロイダルシリカとの配合比がモル比換算で90:10〜10:90の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器具用のコーティング樹脂組成物。
- 前記鎖状コロイダルシリカは、アスペクト比が5以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の加熱調理器具用のコーティング樹脂組成物。
- 請求項1から3のいずれかのコーティング樹脂組成物の塗膜が調理面に形成されていることを特徴とする加熱調理器具。
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