JP2015086155A - 機能性物質の放出方法、機能性物質の放出用キット及び放出性組成物 - Google Patents

機能性物質の放出方法、機能性物質の放出用キット及び放出性組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】S/O型粒子からのタンパク質類及びポリペプチド類などの各種機能性物質の放出性に優れた機能性物質の放出方法、機能性物質の放出用キット、及び放出性組成物を提供すること。【解決手段】機能性物質11の放出方法は、機能性物質11及び界面活性剤12を含むS/O型粒子10と非プロトン性極性溶媒を含む放出剤とを接触させてS/O型粒子10から機能性物質11を放出する。機能性物質11の放出用キットは、上記機能性物質11の放出方法に用いられる機能性物質11の放出用キットであって、機能性物質11及び界面活性剤12を含むS/O型粒子10と、機能性物質11をS/O型粒子10から放出させる非プロトン性極性溶媒を含む放出剤とを備える。放出性組成物は、機能性物質11及び界面活性剤12を含むS/O型粒子10と、機能性物質11をS/O型粒子10から放出させる非プロトン性極性溶媒を含む放出剤とを含有する。【選択図】図1

Description

本発明は、機能性物質の放出方法、機能性物質の放出用キット及び放出性組成物に関し、特に、タンパク質及びポリペプチドなどの各種機能性物質を放出させることが可能な機能性物質の放出方法、機能性物質の放出用キット及び放出性組成物に関する。
近年、親水性化合物を油中に溶かすことが可能なSolid−in−Oil(以下、「S/O」ともいう)化技術が脚光を浴びている。このS/O化技術においては、親水性化合物を油相に分散させたWater−in−Oil(以下、「W/O」ともいう)エマルションの内水相を除去することにより、親水性薬物を油相に溶かすことを可能にしている。
従来、S/O化技術としては、界面活性剤によって被覆された固体状の抗原−界面活性剤複合体を、油相に溶解又は分散させたS/O型経皮免疫剤が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このS/O型経皮免疫剤においては、本来皮膚透過性が非常に低いタンパク質などの抗原を油状基材によって可溶化するので、抗原の皮膚浸透性を高めることが可能となる。
特開2008−179561号公報
しかしながら、従来のS/O化技術においては、S/O型粒子に内包された抗原がS/O型粒子から十分に放出されず、皮膚内に浸透したS/O型粒子がタンパク質などの抗原を保持した状態で表皮細胞に留まり、十分な薬効が得られない可能性がある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、S/O型粒子からのタンパク質類及びポリペプチド類などの各種機能性物質の放出性に優れた機能性物質の放出方法、機能性物質の放出用キット及び放出性組成物を提供することを目的とする。
本発明の機能性物質の放出方法は、機能性物質及び界面活性剤を含むS/O型粒子と非プロトン性極性溶媒を含む放出剤とを接触させて前記S/O型粒子から前記機能性物質を放出することを特徴とする。
本発明の機能性物質の放出方法においては、前記機能性物質がタンパク質類及びポリペプチド類からなる群から選択された少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明の機能性物質の放出方法においては、前記機能性物質の分子量が、1000以上150000以下であることが好ましい。
本発明の機能性物質の放出方法においては、前記機能性物質が、オバアルブミン、リパーゼ、カゼイン、及びアルブミンからなる群から選択された少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明の機能性物質の放出方法においては、前記非プロトン性極性溶媒が、ピロリドン類、スルホキシド類、ホルムアミド類、テトラヒドロフラン類、ケトン類及びニトリル類からなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の機能性物質の放出方法においては、前記界面活性剤が、脂肪酸エステル類及びヒマシ油類からなる群から選択された少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明の機能性物質の放出用キットは、上記機能性物質の放出方法に用いられる機能性物質の放出用キットであって、機能性物質及び界面活性剤を含むS/O型粒子と、前記機能性物質を前記S/O型粒子から放出させる非プロトン性極性溶媒を含む放出剤とを備えることを特徴とする。
本発明の放出性組成物は、機能性物質及び界面活性剤を含むS/O型粒子と、前記機能性物質を前記S/O型粒子から放出させる非プロトン性極性溶媒を含む放出剤とを含有することを特徴とする。
本発明の放出性組成物においては、前記機能性物質がタンパク質類及びポリペプチド類からなる群から選択された少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明の放出性組成物においては、前記機能性物質の分子量が、1000以上150000以下であることが好ましい。
本発明の放出性組成物においては、前記機能性物質が、オバアルブミン、リパーゼ、カゼイン、及びアルブミンからなる群から選択された少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明の放出性組成物においては、前記非プロトン性極性溶媒が、ピロリドン類、スルホキシド類、ホルムアミド類、テトラヒドロフラン類、ケトン類及びニトリル類からなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の放出性組成物においては、前記界面活性剤が、脂肪酸エステル類及びヒマシ油類からなる群から選択された少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明によれば、S/O型粒子からのタンパク質類及びポリペプチド類などの各種機能性物質の放出性に優れた機能性物質の放出方法、機能性物質の放出用キット及び放出性組成物を提供することができる。
図1は、本発明の実施の形態に係るS/O型粒子の概念図である。
以下、本発明の一実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
<機能性物質の放出方法>
本実施の形態に係る機能性物質の放出方法は、機能性物質及び界面活性剤を含むS/O型粒子と非プロトン性極性溶媒を含む放出剤とを接触させてS/O型粒子から機能性物質を放出する。
本実施の形態に係る機能性物質の放出方法によれば、界面活性剤によって被覆されてS/O型粒子に内包された機能性物質が、非プロトン性極性溶媒を含む放出剤と接触するので、非プロトン性極性溶媒によって機能性物質をS/O型粒子内から効率よく放出させることが可能となる。したがって、S/O型粒子からのタンパク質類及びポリペプチド類などの各種機能性物質の放出性に優れた機能性物質の放出方法を実現できる。以下、本実施の形態に係る機能性物質の放出方法に用いられる各種構成要素について詳細に説明する。
<S/O型粒子>
図1は、本実施の形態に係るS/O型粒子の概念図である。本実施の形態に係るS/O型粒子10は、タンパク質類及びポリペプチド類などの各種機能性物質11と、この機能性物質11を被覆して内包する界面活性剤12とを含む。このS/O型粒子10においては、界面活性剤12によって機能性物質11を被覆することにより、機能性物質11の酸化防止が可能になると共に、防腐性及び保存性が向上する。そして、本実施の形態に係る機能性物質の放出方法によれば、界面活性剤12によって被覆された機能性物質11と非プロトン性極性溶媒を含む放出剤とが接触することにより、S/O型粒子10から機能性物質11を放出させることが可能となる。
機能性物質としては、本発明の効果を奏する範囲で各種機能性物質を用いることができる。機能性物質としては、例えば、タンパク質類及びポリペプチド類などの抗原、並びに、各種酵素類などを用いることが可能である。機能性物質として、抗原及び酵素などを用いることにより、S/O型粒子に抗原及び酵素を内包することができるので、抗原及び酵素などの各種機能性物質の酸化防止が可能になると共に、防腐性及び保存性が向上する。そして、このようなS/O型粒子に内包された抗原及び酵素と非プロトン性極性溶媒を含む放出剤とを接触させることにより、S/O型粒子から抗原及び酵素などの機能性物質を放出させることが可能となるので、抗原を利用した免疫療法及び酵素を利用した触媒反応に好適に用いることができる。
タンパク質類としては、天然由来のタンパク質または合成タンパク質のいずれでもよく、例えば、オバアルブミン、リパーゼ、リアーゼ、リガーゼ、リゾチーム、カゼイン、グロブリン、フィブリン、ゼラチン、コラーゲン、インスリン、及びアルブミンなどが挙げられる。タンパク質類は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
ポリペプチド類としては、天然由来のポリペプチドまたは合成ポリペプチドのいずれでもよく、例えば、3〜50のアミノ酸残基からなるポリペプチドが好ましい。ポリぺプチド類は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
機能性物質としては、本発明の効果を奏する範囲で各種抗原及び酵素を用いることが可能である。抗原としては、癌抗原(腫瘍抗原)、種々のウイルス由来抗原、感染原因菌由来抗原、種々のアレルギー原因抗原等が挙げられる。抗原は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が混合されて用いられてもよい。また、酵素類としては、例えば、リパーゼ、リアーゼ、リガーゼ、及びリゾチームなどの、酸化還元、転移、加水分解、及び異性化などの各種化学反応に用いられる酵素などが挙げられる。酵素類は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が混合されて用いられてもよい。
本実施の形態においては、機能性物質としては、タンパク質類及びポリペプチド類からなる群から選択された少なくとも1種を含むことが好ましい。機能性物質がタンパク質類及びポリペプチド類を含むことにより、S/O型粒子から機能性物質を効率的に放出させることが可能となる。
本実施の形態においては、機能性物質としては、S/O型粒子からの機能性物質の放出性に優れる観点から、オバアルブミン、リパーゼ、カゼイン、リゾチーム及びアルブミンからなる群から選択された少なくとも1種を含むことが好ましく、オバアルブミン、リパーゼ、及びアルブミンからなる群から選択された少なくとも1種を含むことがより好ましい。
本実施の形態においては、機能性物質の分子量としては、S/O型粒子からの機能性物質の放出性の観点から、1000以上であることが好ましく、5000以上であることがより好ましく、10000以上であることが更に好ましく、15000以上であることがより更に好ましく、また150000以下であることが好ましく、100000以下がより好ましく、75000以下であることが更に好ましく、50000以下であることがより更に好ましい。以上を考慮すると、機能性物質の分子量としては、1000以上150000以下が好ましく、5000以上100000以下がより好ましく、10000以上75000以下が更に好ましく、15000以上50000以下がより更に好ましい。なお、機能性物質の分子量は、例えば、質量分析によって求めることができる。
界面活性剤としては、本発明の効果を奏する範囲で各種界面活性剤を用いることができる。また界面活性剤の構造については特に制限はない。界面活性剤としては、例えば、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、及び両性界面活性剤などが挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、デカグリセリンエステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル(ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖エルカ酸エステル、ショ糖混合脂肪酸エステル)などを挙げることができる。非イオン界面活性剤は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本実施の形態においては、界面活性剤としては、S/O型粒子からの機能性物質の放出性の観点から、脂肪酸エステル類及びヒマシ油類からなる群から選択された少なくとも1種が好ましく、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油からなる群から選択された少なくとも1種が好ましい。
脂肪酸エステル類としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルが挙げられる。ヒマシ油類としては、ポリオキシエチレンヒマシ油、及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が挙げられる。これらの中でも、界面活性剤としては、S/O型粒子からの機能性物質の放出性の観点から、ショ糖脂肪酸エステルが好ましい。界面活性剤は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
界面活性剤としては、HLB価が10以下のものが好ましく、9以下のものがより好ましく、6以下のものが更に好ましい。
S/O型粒子における機能性物質の配合量は、S/O型粒子からの機能性物質の放出性の観点から、S/O型粒子の全質量に対して、機能性物質を0.1質量部%以上が好ましく、0.5質量部%以上がより好ましく、1質量部%以上が更に好ましく、また20質量部%以下が好ましく、10質量部%以下がより好ましく、5質量部%以下が更に好ましい。
S/O型粒子における界面活性剤の配合量は、S/O型粒子からの機能性物質の被覆性の観点から、S/O型粒子の全質量に対して、界面活性剤を80質量部%以上が好ましく、90質量部%以上がより好ましく、95質量部%以上が更に好ましく、また99.9質量部%以下が好ましく、99.5質量部%以下がより好ましく、99質量部%以下が更に好ましい。
<S/O型粒子の製造方法>
次に、本実施の形態に係る機能性物質の放出方法に用いられるS/O型粒子の製造方法について説明する。本実施の形態に係るS/O型粒子の製造方法においては、機能性物質を含む水溶液に、界面活性剤を含む有機溶媒の溶液を加え、ホモジナイザーによる高速撹拌などで混合してW/O型エマルションを調製する。次に、このエマルションを凍結乾燥などにより乾燥させることによって、S/O型粒子を製造することができる。
本実施の形態に係るS/O型粒子の製造方法に用いられる有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエンなどの炭化水素系溶媒が挙げられる。
また、S/O型粒子の集合体は、室温で液体であってよく、固体であってもよいが、液体であることが好ましい。なお、S/O型粒子は、上記のように、凍結乾燥などにより乾燥させることによって得られるため、通常、揮発性有機溶媒を実質的に含まない。「実質的に含まない」とは、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーにより測定した場合の溶媒の含有量が検出限界以下であることを意味し、0であることが好ましい。
<放出剤>
本実施の形態において、放出剤としては、例えば、非プロトン性極性溶媒の水溶液を用いることができる。放出剤が非プロトン性極性溶媒を用いることにより、S/O型粒子に内包された機能性物質を放出させることが可能となる。非プロトン性極性溶媒としては、本発明の効果を奏する範囲で各種非プロトン性極性溶媒を用いることができる。なお、本発明において、非プロトン性極性溶媒としては、プロトン供与性をもたない極性溶媒であるものをいう。また、非プロトン性極性溶媒としては、室温で液体であるものを用いる。
放出剤における非プロトン性極性溶媒の配合量は、S/O型粒子からの機能性物質の放出性の観点から、放出剤の全質量に対して、非プロトン性極性溶媒を1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましく、またS/O型粒子からの機能性物質の放出制御の観点から、100質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましい。以上を考慮すると、放出剤における非プロトン性極性溶媒の配合量は、放出剤の全質量に対して、1質量%以上100質量%以下が好ましく、3質量%以上80質量%以下がより好ましく、5質量%以上50質量%以下が更に好ましい。放出剤における非プロトン性極性溶媒以外の成分としては、水、アルコールなどのプロトン性極性溶媒や、安定剤、酸化防止剤、粘度調整剤、高分子化合物などの各種添加剤を配合できる。放出剤の形態は、液体、ゲル状体、固体の何れであってもよい。
非プロトン性極性溶媒としては、S/O型粒子からの機能性物質の放出性の観点から、ピロリドン類、スルホキシド類、ホルムアミド類、テトラヒドロフラン類、ケトン類及びニトリル類からなる群から選択された少なくとも1種が好ましい。非プロトン性溶媒は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
ピロリドン類としては、例えば、一般式(1)で表されるものが挙げられる。
Figure 2015086155

(式(1)中、Rは、分岐を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基を示す。)
ピロリドン類としては、上記式(1)中、Rが炭素数1以上12以下のアルキル基であるN−アルキルピロリドンが好ましく、炭素数1以上6以下のアルキル基であるN−アルキルピロリドンがより好ましく、炭素数1以上3以下のアルキル基であるN−アルキルピロリドンが更に好ましい。Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル、n−オクチル基、及び2−エチル−ヘキシル基などが挙げられる。Rとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、及びイソプロピル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。ピロリドン類としては、N−メチル−2−ピロリドン、及びN−エチル−2−ピロリドンが好ましく、N−メチル−2−ピロリドンがより好ましい。ピロリドン類は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
スルホキシド類としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、メチルエチルスルホキシド、及びジプロピルスルホキシドなどのジアルキルスルホキシドが挙げられる。これらの中でも、スルホキシド類としては、ジメチルスルホキシド、及びジエチルスルホキシドが好ましく、ジメチルスルホキシドがより好ましい。スルホキシド類は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
ホルムアミド類としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、及びN,N−ジエチルホルムアミドなどのN,N−ジアルキルホルムアミドが挙げられる。ホルムアミド類としては、これらの中でも、N,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。ホルムアミド類は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
テトラヒドロフラン類としては、例えば、テトラヒドロフラン、及び2,5−ジエチルテトラヒドロフランなどが挙げられる。テトラヒドロフラン類は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノンなどのジアルキルケトン、パラメチルアセトフェノン、メチルβ−ナフチルケトンなどなどのアルキルアリールケトンが挙げられる。ケトン類としては、これらの中でも、アセトン及びメチルエチルケトンが好ましく、アセトンがより好ましい。ケトン類は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
ニトリル類としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ヘキサンニトリル、ヘプチルシアニド、及びオクチルシアニドなどを挙げることができる。ニトリル類は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本実施の形態においては、S/O型粒子からの機能性物質の放出性の観点から、非プロトン性極性溶媒が、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、アセトン及びアセトニトリルからなる群から選択された少なくとも1種を含むことが好ましく、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、及びアセトニトリルからなる群から選択された少なくとも1種を含むことが好ましい。
<機能性物質の放出用キット>
本実施の形態に係る機能性物質の放出用キットは、上述した機能性物質の放出方法に用いられる機能性物質の放出用キットである。本実施の形態に係る放出用キットは、機能性物質及び界面活性剤を含むS/O型粒子と、機能性物質をS/O型粒子から放出させる非プロトン性極性溶媒を含む放出剤とを備える。
この機能性物質の放出用キットによれば、機能性物質及び界面活性剤を含むS/O型粒子と機能性物質をS/O型粒子から放出させる非プロトン性極性溶媒を含む放出剤とを接触させることにより、界面活性剤によって被覆されてS/O型粒子に内包された機能性物質をS/O型粒子内から効率よく放出させることが可能となる。これにより、S/O型粒子内からの機能性物質を効率よく放出させることができる。なお、機能性物質の放出用キットにおける各種構成要素は、上述した機能性物質の放出方法と同一のものを用いることができる。また、本実施の形態に係る放出用キットを用いることにより、後述する本実施の形態に係る放出性組成物を製造することができる。
<放出性組成物>
本実施の形態に係る放出性組成物は、機能性物質及び界面活性剤を含むS/O型粒子と、この機能性物質をS/O型粒子から放出させる非プロトン性極性溶媒を含む放出剤とを含有する。
この放出性組成物によれば、界面活性剤によって被覆されてS/O型粒子に内包された機能性物質が、非プロトン性極性溶媒と接触するので、S/O型粒子内から効率よく機能性物質を放出させることが可能となる。なお、放出性組成物の各種構成要素は、上述した機能性物質の放出方法及び機能性物質の放出用キットと同一のものを用いることができる。
本実施の形態に係る放出性組成物においては、S/O型粒子と放出剤との配合量は、S/O型粒子からの機能性物質の放出性の観点から、S/O型粒子1質量部に対して、放出剤を0.5質量部以上が好ましく、50質量部以上がより好ましく、100質量部以上が更に好ましく、また1000質量部以下が好ましく、500質量部以下がより好ましく、300質量部以下が更に好ましい。以上を考慮すると、S/O型粒子と放出剤との配合量は、S/O型粒子1質量部に対して、0.5質量部以上1000質量部以下が好ましく、50質量部以上500質量部以下がより好ましく、100質量部以上300質量部以下が更に好ましい。
本実施の形態に係る放出性組成物においては、S/O型粒子の配合量は、S/O型粒子からの機能性物質の放出性の観点から、放出性組成物の全質量に対して、S/O型粒子を0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、また70質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい。以上を考慮すると、S/O型粒子の配合量は、放出性組成物の全質量に対して、0.001質量%以上70質量%以下が好ましく、0.01質量%以上30質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上10質量%以下が更に好ましい。
本実施の形態に係る放出性組成物においては、放出剤の配合量は、S/O型粒子からの機能性物質の放出性の観点から、放出性組成物の全質量に対して、放出剤を1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましく、また99.999質量%以下が好ましく、99.99質量%以下がより好ましく、99.9質量%以下が更に好ましい。以上を考慮すると、放出剤の配合量は、放出性組成物の全質量に対して、1質量%以上99.999質量%以下が好ましく、5質量%以上99.99質量%以下がより好ましく、10質量%以上99.9質量%以下が更に好ましい。
以下、本発明の効果を明確にするために行った実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
(S/O型粒子Aの調製)
機能性物質としてオバアルブミン(分子量45000)40mgを超純水40mLに溶解した水溶液と、界面活性剤としてショ糖脂肪酸エステル3000mgをシクロヘキサン80mLに溶解した溶液とをホモジナイザーによる高速撹拌により5分〜10分混合してW/O型エマルションを調製した。次に、調整したW/O型エマルションを24時間凍結乾燥させることによってS/O型粒子Aを調整した。
(S/O型粒子Bの調製)
機能性物質としてリパーゼ(分子量45000)40mgを使用したこと以外は、S/O型粒子Aと同様にしてS/O型粒子Bを調整した。
(S/O型粒子Cの調製)
機能性物質としてアルブミン(分子量66000)40mgを使用したこと以外は、S/O型粒子Aと同様にしてS/O型粒子Cを調整した。S/O型粒子A〜S/O型粒子Cの組成を下記表1に示す。
(放出剤A)
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を蒸留水に溶解させて10質量%NMP水溶液を調製して放出剤Aとした。
(放出剤B)
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を蒸留水に溶解させて20質量%NMP水溶液を調製して放出剤Bとした。
(放出剤C)
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を蒸留水に溶解させて30質量%NMP水溶液を調製して放出剤Cとした。
(放出剤D)
ジメチルスルホキシド(DMSO)を蒸留水に溶解させて30質量%DMSO水溶液を調製して放出剤Dとした。
(放出剤E)
アセトニトリル(MeCN)を蒸留水に溶解させて30質量%MeCN水溶液を調製して放出剤Eとした。
(放出剤F)
メタノール(MeOH)を蒸留水に溶解させて30質量%MeOH水溶液を調製して放出剤Fとした。
(放出剤G)
エタノール(EtOH)を蒸留水に溶解させて30質量%EtOH水溶液を調製して放出剤Gとした。
(放出剤H)
蒸留水を放出剤Hとした。放出剤A〜放出剤Hの組成を下記表2に示す。
(実施例1)
S/O型粒子A70mgに、放出剤A14mLを添加した試料をスターラーで24時間撹拌した。その後、試料を一部採取し、20,000xg、室温の条件で10分の遠心分離操作をした後、試料の上清を回収した。その後、上清中に含まれる機能性物質をローリー法にて定量し、機能性物質の放出量を評価した。評価結果を下記表3に示す。
<機能性物質の放出量の評価基準>
下記式(A)に基づいて算出した放出率(%)を以下の基準で評価した。
放出率(%)=放出量(μg/mL)/放出量の理論上の最大値×100 …式(A)
◎ 50%以上100%以下
○ 20%以上50%未満
× 0%以上20%未満
(実施例2)
放出剤として放出剤Bを用いたこと以外は実施例1と同様にして機能性物質の放出量を評価した。評価結果を下記表3に併記する。
(実施例3)
放出剤として放出剤Cを用いたこと以外は実施例1と同様にして機能性物質の放出量を評価した。評価結果を下記表3に併記する。
(実施例4)
放出剤として放出剤Dを用いたこと以外は実施例1と同様にして機能性物質の放出量を評価した。評価結果を下記表3に併記する。
(実施例5)
放出剤として放出剤Eを用いたこと以外は実施例1と同様にして機能性物質の放出量を評価した。評価結果を下記表3に併記する。
(実施例6)
S/O型粒子としてS/O型粒子Bを用いたこと以外は実施例1と同様にして機能性物質の放出量を評価した。評価結果を下記表3に併記する。
(実施例7)
S/O型粒子としてS/O型粒子Cを用いたこと以外は実施例1と同様にして機能性物質の放出量を評価した。評価結果を下記表3に併記する。
(比較例1)
放出剤として放出剤Fを用いたこと以外は実施例1と同様にして機能性物質の放出量を評価した。評価結果を下記表3に併記する。
(比較例2)
放出剤として放出剤Gを用いたこと以外は実施例1と同様にして機能性物質の放出量を評価した。評価結果を下記表3に併記する。
(比較例3)
放出剤として放出剤Hを用いたこと以外は実施例1と同様にして機能性物質の放出量を評価した。評価結果を下記表3に併記する。
Figure 2015086155
Figure 2015086155
Figure 2015086155
表3から分かるように、放出剤が非プロトン性極性溶媒を含む実施例1から実施例7においては、いずれも機能性物質を効率よく放出できていることが分かる。この結果は、S/O型粒子に内包された機能性物質と非プロトン性極性溶媒とが接触することにより、S/O型粒子から機能性物質が効率よく放出されたためと考えられる。これに対して、プロトン性極性溶媒であるメタノール(比較例1)、エタノール(比較例2)及び蒸留水(比較例3)を用いた場合には、いずれも放出量が著しく低下することが分かる。この結果は、プロトン性極性溶媒は、S/O型粒子に内包された機能性物質を放出させる機能を有しないためと考えられる。
10 S/O型粒子
11 機能性物質
12 界面活性剤

Claims (13)

  1. 機能性物質及び界面活性剤を含むS/O型粒子と非プロトン性極性溶媒を含む放出剤とを接触させて前記S/O型粒子から前記機能性物質を放出することを特徴とする、機能性物質の放出方法。
  2. 前記機能性物質がタンパク質類及びポリペプチド類からなる群から選択された少なくとも1種を含む、請求項1に記載の機能性物質の放出方法。
  3. 前記機能性物質の分子量が、1000以上150000以下である、請求項1又は請求項2に記載の機能性物質の放出方法。
  4. 前記機能性物質が、オバアルブミン、リパーゼ、カゼイン、及びアルブミンからなる群から選択された少なくとも1種を含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の機能性物質の放出方法。
  5. 前記非プロトン性極性溶媒が、ピロリドン類、スルホキシド類、ホルムアミド類、テトラヒドロフラン類、ケトン類及びニトリル類からなる群から選択された少なくとも1種である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の機能性物質の放出方法。
  6. 前記界面活性剤が、脂肪酸エステル類及びヒマシ油類からなる群から選択された少なくとも1種を含む、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の機能性物質の放出方法。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の機能性物質の放出方法に用いられる機能性物質の放出用キットであって、
    機能性物質及び界面活性剤を含むS/O型粒子と、
    前記機能性物質を前記S/O型粒子から放出させる非プロトン性極性溶媒を含む放出剤とを備えた機能性物質の放出用キット。
  8. 機能性物質及び界面活性剤を含むS/O型粒子と、
    前記機能性物質を前記S/O型粒子から放出させる非プロトン性極性溶媒を含む放出剤とを含有することを特徴とする、放出性組成物。
  9. 前記機能性物質がタンパク質類及びポリペプチド類からなる群から選択された少なくとも1種を含む、請求項8に記載の放出性組成物。
  10. 前記機能性物質の分子量が、1000以上150000以下である、請求項8又は請求項9に記載の放出性組成物。
  11. 前記機能性物質が、オバアルブミン、リパーゼ、カゼイン、及びアルブミンからなる群から選択された少なくとも1種を含む、請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の放出性組成物。
  12. 前記非プロトン性極性溶媒が、ピロリドン類、スルホキシド類、ホルムアミド類、テトラヒドロフラン類、ケトン類及びニトリル類からなる群から選択された少なくとも1種である、請求項8から請求項11のいずれか1項に記載の放出性組成物。
  13. 前記界面活性剤が、脂肪酸エステル類及びヒマシ油類からなる群から選択された少なくとも1種を含む、請求項8から請求項12のいずれか1項に記載の放出性組成物。
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