JP2015086155A - 機能性物質の放出方法、機能性物質の放出用キット及び放出性組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本実施の形態に係る機能性物質の放出方法は、機能性物質及び界面活性剤を含むS/O型粒子と非プロトン性極性溶媒を含む放出剤とを接触させてS/O型粒子から機能性物質を放出する。
図1は、本実施の形態に係るS/O型粒子の概念図である。本実施の形態に係るS/O型粒子10は、タンパク質類及びポリペプチド類などの各種機能性物質11と、この機能性物質11を被覆して内包する界面活性剤12とを含む。このS/O型粒子10においては、界面活性剤12によって機能性物質11を被覆することにより、機能性物質11の酸化防止が可能になると共に、防腐性及び保存性が向上する。そして、本実施の形態に係る機能性物質の放出方法によれば、界面活性剤12によって被覆された機能性物質11と非プロトン性極性溶媒を含む放出剤とが接触することにより、S/O型粒子10から機能性物質11を放出させることが可能となる。
次に、本実施の形態に係る機能性物質の放出方法に用いられるS/O型粒子の製造方法について説明する。本実施の形態に係るS/O型粒子の製造方法においては、機能性物質を含む水溶液に、界面活性剤を含む有機溶媒の溶液を加え、ホモジナイザーによる高速撹拌などで混合してW/O型エマルションを調製する。次に、このエマルションを凍結乾燥などにより乾燥させることによって、S/O型粒子を製造することができる。
本実施の形態において、放出剤としては、例えば、非プロトン性極性溶媒の水溶液を用いることができる。放出剤が非プロトン性極性溶媒を用いることにより、S/O型粒子に内包された機能性物質を放出させることが可能となる。非プロトン性極性溶媒としては、本発明の効果を奏する範囲で各種非プロトン性極性溶媒を用いることができる。なお、本発明において、非プロトン性極性溶媒としては、プロトン供与性をもたない極性溶媒であるものをいう。また、非プロトン性極性溶媒としては、室温で液体であるものを用いる。
本実施の形態に係る機能性物質の放出用キットは、上述した機能性物質の放出方法に用いられる機能性物質の放出用キットである。本実施の形態に係る放出用キットは、機能性物質及び界面活性剤を含むS/O型粒子と、機能性物質をS/O型粒子から放出させる非プロトン性極性溶媒を含む放出剤とを備える。
本実施の形態に係る放出性組成物は、機能性物質及び界面活性剤を含むS/O型粒子と、この機能性物質をS/O型粒子から放出させる非プロトン性極性溶媒を含む放出剤とを含有する。
機能性物質としてオバアルブミン(分子量45000)40mgを超純水40mLに溶解した水溶液と、界面活性剤としてショ糖脂肪酸エステル3000mgをシクロヘキサン80mLに溶解した溶液とをホモジナイザーによる高速撹拌により5分〜10分混合してW/O型エマルションを調製した。次に、調整したW/O型エマルションを24時間凍結乾燥させることによってS/O型粒子Aを調整した。
機能性物質としてリパーゼ(分子量45000)40mgを使用したこと以外は、S/O型粒子Aと同様にしてS/O型粒子Bを調整した。
機能性物質としてアルブミン(分子量66000)40mgを使用したこと以外は、S/O型粒子Aと同様にしてS/O型粒子Cを調整した。S/O型粒子A〜S/O型粒子Cの組成を下記表1に示す。
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を蒸留水に溶解させて10質量%NMP水溶液を調製して放出剤Aとした。
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を蒸留水に溶解させて20質量%NMP水溶液を調製して放出剤Bとした。
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を蒸留水に溶解させて30質量%NMP水溶液を調製して放出剤Cとした。
ジメチルスルホキシド(DMSO)を蒸留水に溶解させて30質量%DMSO水溶液を調製して放出剤Dとした。
アセトニトリル(MeCN)を蒸留水に溶解させて30質量%MeCN水溶液を調製して放出剤Eとした。
メタノール(MeOH)を蒸留水に溶解させて30質量%MeOH水溶液を調製して放出剤Fとした。
エタノール(EtOH)を蒸留水に溶解させて30質量%EtOH水溶液を調製して放出剤Gとした。
蒸留水を放出剤Hとした。放出剤A〜放出剤Hの組成を下記表2に示す。
S/O型粒子A70mgに、放出剤A14mLを添加した試料をスターラーで24時間撹拌した。その後、試料を一部採取し、20,000xg、室温の条件で10分の遠心分離操作をした後、試料の上清を回収した。その後、上清中に含まれる機能性物質をローリー法にて定量し、機能性物質の放出量を評価した。評価結果を下記表3に示す。
下記式(A)に基づいて算出した放出率(%)を以下の基準で評価した。
放出率(%)=放出量(μg/mL)/放出量の理論上の最大値×100 …式(A)
◎ 50%以上100%以下
○ 20%以上50%未満
× 0%以上20%未満
放出剤として放出剤Bを用いたこと以外は実施例1と同様にして機能性物質の放出量を評価した。評価結果を下記表3に併記する。
放出剤として放出剤Cを用いたこと以外は実施例1と同様にして機能性物質の放出量を評価した。評価結果を下記表3に併記する。
放出剤として放出剤Dを用いたこと以外は実施例1と同様にして機能性物質の放出量を評価した。評価結果を下記表3に併記する。
放出剤として放出剤Eを用いたこと以外は実施例1と同様にして機能性物質の放出量を評価した。評価結果を下記表3に併記する。
S/O型粒子としてS/O型粒子Bを用いたこと以外は実施例1と同様にして機能性物質の放出量を評価した。評価結果を下記表3に併記する。
S/O型粒子としてS/O型粒子Cを用いたこと以外は実施例1と同様にして機能性物質の放出量を評価した。評価結果を下記表3に併記する。
放出剤として放出剤Fを用いたこと以外は実施例1と同様にして機能性物質の放出量を評価した。評価結果を下記表3に併記する。
放出剤として放出剤Gを用いたこと以外は実施例1と同様にして機能性物質の放出量を評価した。評価結果を下記表3に併記する。
放出剤として放出剤Hを用いたこと以外は実施例1と同様にして機能性物質の放出量を評価した。評価結果を下記表3に併記する。
11 機能性物質
12 界面活性剤
Claims (13)
- 機能性物質及び界面活性剤を含むS/O型粒子と非プロトン性極性溶媒を含む放出剤とを接触させて前記S/O型粒子から前記機能性物質を放出することを特徴とする、機能性物質の放出方法。
- 前記機能性物質がタンパク質類及びポリペプチド類からなる群から選択された少なくとも1種を含む、請求項1に記載の機能性物質の放出方法。
- 前記機能性物質の分子量が、1000以上150000以下である、請求項1又は請求項2に記載の機能性物質の放出方法。
- 前記機能性物質が、オバアルブミン、リパーゼ、カゼイン、及びアルブミンからなる群から選択された少なくとも1種を含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の機能性物質の放出方法。
- 前記非プロトン性極性溶媒が、ピロリドン類、スルホキシド類、ホルムアミド類、テトラヒドロフラン類、ケトン類及びニトリル類からなる群から選択された少なくとも1種である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の機能性物質の放出方法。
- 前記界面活性剤が、脂肪酸エステル類及びヒマシ油類からなる群から選択された少なくとも1種を含む、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の機能性物質の放出方法。
- 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の機能性物質の放出方法に用いられる機能性物質の放出用キットであって、
機能性物質及び界面活性剤を含むS/O型粒子と、
前記機能性物質を前記S/O型粒子から放出させる非プロトン性極性溶媒を含む放出剤とを備えた機能性物質の放出用キット。 - 機能性物質及び界面活性剤を含むS/O型粒子と、
前記機能性物質を前記S/O型粒子から放出させる非プロトン性極性溶媒を含む放出剤とを含有することを特徴とする、放出性組成物。 - 前記機能性物質がタンパク質類及びポリペプチド類からなる群から選択された少なくとも1種を含む、請求項8に記載の放出性組成物。
- 前記機能性物質の分子量が、1000以上150000以下である、請求項8又は請求項9に記載の放出性組成物。
- 前記機能性物質が、オバアルブミン、リパーゼ、カゼイン、及びアルブミンからなる群から選択された少なくとも1種を含む、請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の放出性組成物。
- 前記非プロトン性極性溶媒が、ピロリドン類、スルホキシド類、ホルムアミド類、テトラヒドロフラン類、ケトン類及びニトリル類からなる群から選択された少なくとも1種である、請求項8から請求項11のいずれか1項に記載の放出性組成物。
- 前記界面活性剤が、脂肪酸エステル類及びヒマシ油類からなる群から選択された少なくとも1種を含む、請求項8から請求項12のいずれか1項に記載の放出性組成物。
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Title |
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"多孔性シリカ粒子を利用した徐放性インスリン製剤の開発", SCEJ 38TH AUTUMN MEETING (FUKUOKA), JPN6017020853, 2006, ISSN: 0003648478 * |
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