JP2015086121A - 酸化物粒子、酸化物粒子の製造方法およびリチウムイオン電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】小粒径化された酸化物粒子を提供する。また、結晶中の原子比率を好適に制御可能であり、低温で小粒径化が可能な酸化物粒子の製造方法を提供する。【解決手段】立方晶ペロブスカイト型結晶であり、少なくともリチウム原子とチタン原子とを含み、平均一次粒子径が10nm以上100nm以下である酸化物粒子。【選択図】図6
Description
本発明は、酸化物粒子、酸化物粒子の製造方法およびリチウムイオン電池に関するものである。
携帯型情報機器をはじめとする多くの電気機器の電源として、リチウム電池(一次電池及び二次電池を含む)が利用されている。リチウム電池は、正極層と負極層と、これらの層の間に設置され、電気的な絶縁を保ちつつリチウムイオンの伝導を媒介する電解質層とを備える。近年、リチウム電池のエネルギー密度は飛躍的に向上したが、同時に電解質の発煙・発火といったおそれも増した故に、電解質層に用いられる有機電解液を不燃性のものとした、より安全なリチウム電池の要請が高まっている。
このような高エネルギー密度と安全性を両立したリチウム電池として、正・負極間のリチウムの伝導に有機電解液を用いない全固体型リチウム電池が提案されている(例えば、特許文献1参照)。全固体型リチウム電池は、正・負極間のリチウムイオンの伝導に固体電解質を使用しており、有機溶媒系の電解液を用いることに伴う問題、例えば、電解液の漏れによる安全性の問題、高温時に有機電解液がその沸点を超えて揮発することによる耐熱性の問題などを解消することができる。
このような固体電解質として、リチウムイオン伝導性が高く、絶縁性に優れ、また化学的安定性の高い酸化物系の固体電解質粒子が広く知られている。このような酸化物粒子として、チタン酸ランタンリチウム系の材料が特筆すべき高いリチウムイオン伝導率を有しており、電池への適用が期待されている。
固体電解質を形成する手法として、液相材料を用いた合成系、特にゾルーゲル法が採用される場合がある。ゾルーゲル法により、固体電解質を形成するためには、例えばチタン酸ランタンリチウムの製造に関する特許文献2のような方法が知られている。
特許文献2では、まず、目的とする固体電解質を構成するための金属のアルコキシドを、アルコール溶液に溶解させる。次に、このアルコール溶液を、例えば25〜80℃でゾル化する。次に、当該ゾルを電極表面に塗布し、例えば25〜120℃で1日〜1週間程度放置して、ゲル化させる。その後、800〜900℃で1時間程度の加熱焼成を行うことによって、電極上において固体電解質を形成することとしている。
しかしながら、構成金属元素の供給源、即ち、金属アルコキシドのアルコール溶液は吸湿や酸素の接触により水酸化物や酸化物等の不溶性成分を容易に形成してしまう特性がある。このため、固体電解質の結晶の組成が変化してしまい、イオン伝導率が低下してしまう傾向にある。また、800〜900℃という高温で熱処理する際に、電解質からリチウムが揮発して減少することでイオン伝導率が低下するおそれがある。
例えば、Li3XLa2/3−XTiO3はx=0.12のときおよそ10−3S/cmのリチウムイオン伝導率を有するが、x=0.1及び0.15のときのリチウムイオン伝導率はおよそ10−5S/cm程度になってしまう。このように固体電解質の結晶中の組成はリチウムイオン伝導率に大きく影響するため、組成を精密に制御できる酸化物粒子の製造方法が求められている。
また、上述した固体電解質粒子は、圧縮成形により、利用される形状に合わせた形態に成形されることが多い。しかしながら、固体電解質粒子の多くは非常に硬度が高いため、成形品(固体電解質)における電解質粒子同士の接触が不十分で粒界抵抗が高くなり、成形品のリチウムイオン伝導度が低くなる傾向にある。
そこで、圧縮成形の後に1000℃以上の温度での焼結を施すことにより固体電解質を得ることが行われているが、リチウム電池においては焼結の熱により層中の電解質と正極活物質とが化学反応し易いといった問題や、電解質からリチウムが揮発して減少することでイオン伝導率が低下し易いといった問題がある。
このような問題に対し、固体電解質粒子の一次粒子の粒径をナノメートルオーダーとすることで、接触性を向上し、焼結温度を熱拡散しにくい600℃以下にする効果が期待できる。そのため、固体電解質粒子の組成を精密に制御しつつ、少なくとも一次粒子を微細化できる酸化物粒子の製造方法や、微細化された酸化物粒子が求められている。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、小粒径化された酸化物粒子を提供することを目的とする。また、結晶中の原子比率を好適に制御可能であり、低温で小粒径化が可能な酸化物粒子の製造方法、およびこのような酸化物粒子を有するリチウムイオン電池を提供することを併せて目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の一態様は、立方晶ペロブスカイト型結晶であり、少なくともリチウム原子とチタン原子とを含み、平均一次粒子径が10nm以上100nm以下である酸化物粒子を提供する。
この構成によれば、従来知られた酸化物粒子よりも表面積が広いため、例えば圧縮成形した成形体としたときに、粒子間の接触を十分に確保し、粒界抵抗を低減した成形体とすることができる。
本発明の一態様においては、立方晶ペロブスカイト型結晶のAサイトを置換する1種以上の原子をさらに有する構成としてもよい。
この構成よれば、イオン伝導率や電位窓などの特性の改良が容易となる。
この構成よれば、イオン伝導率や電位窓などの特性の改良が容易となる。
本発明の一態様においては、前記平均一次粒子径の測定条件において、前記一次粒子の粒子径分布が単一ピークである構成としてもよい。
酸化物粒子の粒度分布が単一ピークであると、品質が一定なものとなりやすく、酸化物粒子を固体電解質に用いた場合に、品質の維持が容易となる。
酸化物粒子の粒度分布が単一ピークであると、品質が一定なものとなりやすく、酸化物粒子を固体電解質に用いた場合に、品質の維持が容易となる。
また、本発明の一態様は、ペルオキソチタン酸、過酸化水素及びアンモニアを含むペルオキソチタン酸水溶液に、分子内にカルボキシ基またはアミノ基の少なくとも一方を2以上含むキレート剤を加えて第1の水溶液を得る工程と、前記第1の水溶液に少なくともリチウムを含む水溶性の塩を加え、第2の水溶液を得る工程と、前記第2の水溶液に、カルボキシ基またはアミノ基と縮合反応を生じる官能基を2以上有する架橋剤と、非解離性配位基を有する水溶性高分子と、を加え、加熱して前記第2の水溶液をゲル化させる工程と、得られたゲルを300℃以上550℃以下の温度条件で熱処理する工程と、を含む酸化物粒子の製造方法を提供することができる。
まず、ペルオキソチタン酸水溶液を用いることで、チタンを水溶性化合物として扱うことが出来る。ペルオキソチタン酸は、チタンアルコキシドよりも、水や酸素に対する化学的安定性が高いため、原料としてチタンアルコキシドを用いた場合よりも、目的物の組成や粒径の制御が容易になる。
また、キレート剤、架橋剤、および水溶性高分子を添加してゲル化させることで、ゲル中では、キレート剤と架橋剤とが縮重合して得られる高分子や、水溶性高分子が、ペルオキソチタン酸やリチウム原子に配位し、近接した位置で保持することとなる。これにより、酸化物を得るための熱処理時に、従来よりも低い温度で反応を生じさせることができ、処理温度を低くすることができる。
さらに、ペルオキソチタン酸やリチウム原子など、目的とする酸化物の原料が、高分子に配位され保持された状態で、ゲルの内部全体に分散するため、系内のどの位置であっても目的とする酸化物の原料の比率に大きな違いがない。そのため、得られたゲルを熱処理することで、所望の組成比の酸化物を得ることができる。
そして、目的とする酸化物の原料が、高分子に配位され保持されることで、反応位置が固定され、結晶成長が阻害される。そのため、得られる酸化物粒子が小粒径化しやすい。
したがって、上記方法によれば、結晶中の原子比率を好適に制御可能であり、低温で小粒径化が可能な酸化物粒子の製造方法とすることができる。
本発明の一態様においては、前記ゲル化させる工程では、前記非解離性配位基のモル数と前記第2の水溶液に含まれるチタン錯体のモル数とが等しい製造方法としてもよい。
この方法によれば、チタン錯体と非解離性配位基との間で形成される配位構造により、チタン錯体間の凝集が抑制され、熱分解反応により形成される酸化物の粒子の平均粒径をさらに小さくすることができる。
本発明の一態様においては、前記加熱する工程は、熱処理温度に至る昇温レートが、100℃/分以上である製造方法としてもよい。
この方法によれば、得られる酸化物粒子の最小粒径および平均粒径を減少させることができる。
この方法によれば、得られる酸化物粒子の最小粒径および平均粒径を減少させることができる。
また、本発明の一態様は、正極と負極と、前記正極および前記負極に挟持された固体電解質層と、を有し、前記固体電解質層は、請求項1から3のいずれか1項に記載の酸化物粒子を形成材料とするリチウムイオン電池を提供する。
この構成によれば、固体電解質層の総イオン伝導率が高く、高い性能を有するリチウムイオン電池とすることができる。
この構成によれば、固体電解質層の総イオン伝導率が高く、高い性能を有するリチウムイオン電池とすることができる。
<酸化物粒子の製造方法>
図1は、本実施形態の酸化物粒子の製造方法を示すフローチャートである。ここでは、酸化物粒子として、立方晶ペロブスカイト型結晶であるLi0.35La0.55TiO3の微粒子を形成することとして説明する。
図1は、本実施形態の酸化物粒子の製造方法を示すフローチャートである。ここでは、酸化物粒子として、立方晶ペロブスカイト型結晶であるLi0.35La0.55TiO3の微粒子を形成することとして説明する。
[1.第1の水溶液を得る工程]
まず、ペルオキソチタン酸、過酸化水素及びアンモニアを含むペルオキソチタン酸水溶液に、分子内にカルボキシ基またはアミノ基の少なくとも一方を2以上含むキレート剤を加えて第1の水溶液を得る(第1の水溶液を得る工程、ステップS1)。
まず、ペルオキソチタン酸、過酸化水素及びアンモニアを含むペルオキソチタン酸水溶液に、分子内にカルボキシ基またはアミノ基の少なくとも一方を2以上含むキレート剤を加えて第1の水溶液を得る(第1の水溶液を得る工程、ステップS1)。
ペルオキソチタン酸水溶液は、チタン金属の粉末、二酸化チタンの粉末などのチタン源を水冷しながら30%の過酸化水素水に溶解し、さらに35%のアンモニア水を加えて調整する。得られたペルオキソチタン酸水溶液は、ペルオキソチタン酸と過酸化水素及びアンモニアを含む。
なお、チタン源としては、ペルオキソチタン酸を誘導するチタン化合物であれば、チタン金属および二酸化チタンとは異なる他の原料を用いてもよい。ただし、チタン金属粉末、二酸化チタン粉末を原料として用いると、過酸化水素水中でペルオキソチタン酸以外の化合物を含まない、高純度の溶液を調製することができるため好ましい。
次いで、ペルオキソチタン酸水溶液に、分子内にカルボキシ基またはアミノ基の少なくとも一方を2以上含むキレート剤を溶解する。「キレート剤」とは、カルボキシ基またはアミノ基の少なくとも一方を2以上含む多座配位子のことを指す。
キレート剤としては、ヒドロキシカルボン酸またはアミノカルボン酸が好ましい。ペルオキソチタン酸と、ヒドロキシカルボン酸またはアミノカルボン酸からなるキレート剤と、が錯体を形成することで、チタン原子の水溶液中での安定性を増す。
このようなキレート剤としては、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸等のヒドロキシカルボン酸類;2−アミノエタン酸、3−アミノプロピオン酸、4−アミノブタン酸、5−アミノペンタン酸、6−アミノヘキサン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸等のアミノ酸をはじめとするアミノカルボン酸類を挙げることができる。
ここでは、キレート剤としてクエン酸を用いることとして説明する。この場合、キレート剤が有する官能基はカルボキシ基である。例えば、ペルオキソチタン酸水溶液中のチタン原子のモル数に対し1.9倍のモル数になるようにクエン酸1水和物を溶解する。上記操作により、ペルオキソチタン酸とクエン酸とが錯形成し、ペルオキソチタン酸クエン酸錯体水溶液が得られる。
[2.第2の水溶液を得る工程]
次いで、前記第1の水溶液に少なくともリチウムを含む水溶性の塩を加え、第2の水溶液を得る(第2の水溶液を得る工程、ステップS2)。
次いで、前記第1の水溶液に少なくともリチウムを含む水溶性の塩を加え、第2の水溶液を得る(第2の水溶液を得る工程、ステップS2)。
「リチウムを含む水溶性の塩」としては、通常知られた水溶性の塩であれば種々のものを用いることができる。例えば、硝酸リチウム(LiNO3)、塩酸リチウム(LiCl)、硫酸リチウム(Li2SO4)など、無機酸に由来する陰イオンとリチウムイオンとが結合して得られる無機酸塩や、酢酸リチウム(CH3COOLi)のような、有機酸に由来する陰イオンとリチウムイオンとが結合して得られる有機酸塩を例示することができる。
ここでは、リチウムを含む水溶性の塩としてLiNO3を用いることとして説明する。
ここでは、リチウムを含む水溶性の塩としてLiNO3を用いることとして説明する。
また、その他の水溶性の塩として、立方晶ペロブスカイト型結晶のAサイトを置換する1種以上の原子を含む水溶性の無機酸塩や有機酸塩を併用することができる。
「その他の水溶性の塩」に含まれるAサイトを置換する原子としては、ランタン、セリウム等のアルカリ希土類、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、ジルコニウム、銀などの遷移金属、その他アルミニウム、珪素、ゲルマニウム、リンなどの典型元素の原子を例示することができる。このような原子を含み水溶性を有する塩であれば、「その他の水溶性の塩」として種々のものを用いることができる。
また、その他の水溶性の塩として、立方晶ペロブスカイト型結晶の酸素サイトを置換するフッ素原子を含む水溶性の塩(フッ化物)を併用することができる。
「その他の水溶性の塩」を用いる場合、1種のみ用いることとしてもよく、2種以上を併用することとしてもよい。
例えば、第1の水溶液を攪拌しながら、第1の水溶液にLiNO3およびLa(NO3)3・6水和物を溶解する。このとき、LiNO3およびLa(NO3)3・6水和物を、それぞれチタン原子のモル数に対し0.035倍および0.055倍のモル濃度になるように溶解する。この溶液をマグネティックスターラーで30分間攪拌すると、淡橙色の第2の水溶液が得られる。
[3.ゲル化させる工程]
次いで、前記第2の水溶液に、カルボキシ基またはアミノ基と縮合反応を生じる官能基を2以上有する架橋剤と、非解離性配位基を有する水溶性高分子と、を加え、加熱して前記第2の水溶液をゲル化させる(ゲル化させる工程、ステップS3)。
次いで、前記第2の水溶液に、カルボキシ基またはアミノ基と縮合反応を生じる官能基を2以上有する架橋剤と、非解離性配位基を有する水溶性高分子と、を加え、加熱して前記第2の水溶液をゲル化させる(ゲル化させる工程、ステップS3)。
架橋剤は、錯体分子内のキレート剤が有するカルボキシ基またはアミノ基と縮重合することにより、ポリエステルを生じる。得られたポリエステルは、後述する熱処理時において、酸化物粒子を構成する原子の熱拡散を抑制するため、二酸化チタン等の夾雑物の副生を抑制することができる。そのため、架橋剤を加えることにより、目的組成を維持したまま均一な粒径の立方晶ペロブスカイト型結晶粒子を得ることができる。
また、水溶性高分子を加えることにより、目的物である酸化物粒子を小粒径にしやすい。
(架橋剤)
架橋剤としては、分子内の炭素数が20以下であるものが好ましく、炭素数が2以上12以下であるものがより好ましく、炭素数が2以上8以下であるものがさらに好ましい。炭素数が2以上である架橋剤は、化学的に安定な化合物であり、副反応を抑制することができる。
架橋剤としては、分子内の炭素数が20以下であるものが好ましく、炭素数が2以上12以下であるものがより好ましく、炭素数が2以上8以下であるものがさらに好ましい。炭素数が2以上である架橋剤は、化学的に安定な化合物であり、副反応を抑制することができる。
また炭素数が20以下である架橋剤は、架橋剤自身の水溶性を確保しやすく、本実施形態の製造方法に適している。さらに、炭素数が8以下であると、後述する熱処理において、架橋剤を熱分解させ除去する際に、有機成分の分解および除去が容易となり、目的物に残留しにくい。
架橋剤が有する「カルボキシ基またはアミノ基と縮合反応を生じる官能基」としては、アミノ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、を例示することができる。
このような架橋剤としては、1,2−エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオールなど示性式HO−(CH2)n−OHで表される脂肪族1,n−アルカンジオール類(n=1〜8);
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどの示性式HO−(C2H4−O)n−Hで示されるオリゴエチレングリコール類(n=1〜4);
エチレンジアミン、プロパンジアミン、ブタンジアミン、ペンタンジアミン、ヘキサンジアミンなど示性式H3N−(CH2)n−NH3で表される脂肪族1,n−アルカンジアミン(n=1〜6)類;
およびこれらの誘導体;を例示することができる。
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどの示性式HO−(C2H4−O)n−Hで示されるオリゴエチレングリコール類(n=1〜4);
エチレンジアミン、プロパンジアミン、ブタンジアミン、ペンタンジアミン、ヘキサンジアミンなど示性式H3N−(CH2)n−NH3で表される脂肪族1,n−アルカンジアミン(n=1〜6)類;
およびこれらの誘導体;を例示することができる。
架橋剤としては、炭素数2以上12以下のアルカンジオールまたはアルカンジアミンが好ましい。本実施形態では、架橋剤として炭素数2以上12以下のアルカンジオールである1,6−ヘキサンジオールを用いることとして説明する。
第2の水溶液中において、錯体分子内のキレート剤が有するカルボキシ基またはアミノ基のうち、配位結合をしていないもののモル数が、架橋剤のモル数に等しいとよい。「キレート剤が有するカルボキシ基またはアミノ基のうち、配位結合をしていないもののモル数」は、例えば、1H−NMR測定によりカルボキシ基またはアミノ基と帰属されるピークの積分強度から求めることができる。
錯体分子内のキレート剤が有するカルボキシ基またはアミノ基のうち、配位結合をしていないもののモル数と、架橋剤のモル数とが等しい場合、縮重合反応して得られるポリエステルは、キレート剤と架橋剤とが交互に連結された架橋構造をとる。そのため、従来例よりも低温の熱処理によっても所望の結晶組成の酸化物を得ることができる。
例えば、第2の水溶液に対し、架橋剤として1,6−ヘキサンジオールをチタン原子のモル数に対し0.19倍量になるように溶解する。チタン原子のモル数に対する、キレート剤であるクエン酸の使用量と、架橋剤である1,6−ヘキサンジオールの使用量とを、上述のように既定することにより、第2の水溶液に含まれるクエン酸における配位結合していないカルボキシ基のモル数は、少なくとも1,6−ヘキサンジオールのモル数以下となる。
架橋剤の溶解は、後述する縮重合反応を生じない程度に加熱しながら行ってもよい。また、pHが5.5になるように硝酸およびアンモニア水を用いて調整し、60℃で1時間攪拌する。この工程により、暗赤色溶液が得られる。
(水溶性高分子)
本発明において、水溶性高分子が有する「非解離性配位基」とは、解離によるプロトン(H+)放出を生じない、非プロトン供与性の配位基のことを指す。具体的には、第2の水溶液に含まれる金属イオンに配位可能非共有電子対を有する原子が含まれている配位基である基であればよく、非共有電子対を有する原子として窒素原子、硫黄原子、酸素原子を含む基が好ましい。
本発明において、水溶性高分子が有する「非解離性配位基」とは、解離によるプロトン(H+)放出を生じない、非プロトン供与性の配位基のことを指す。具体的には、第2の水溶液に含まれる金属イオンに配位可能非共有電子対を有する原子が含まれている配位基である基であればよく、非共有電子対を有する原子として窒素原子、硫黄原子、酸素原子を含む基が好ましい。
このような非解離性配位基のうち窒素原子含む基としては、イミド基、シアノ基、3級アミノ基、含窒素複素環を含む基などの含窒素配位基を例示することができる。含窒素複素環としては、ピロリドン環、ピリジン環のような窒素原子を環内に1つ含む複素環であってもよく、トリアゾール環のような窒素原子を環内に2以上含む複素環であってもよい。また、プリン環のように複数の環が縮環した複素環であってもよい。
また、非解離性配位基のうち硫黄原子含む基としては、スルフィド基、スルホキシド基、含硫黄複素環を含む基などの含硫黄配位基を例示することができる。含硫黄複素環としては、チオフェン環、チアゾール環などを例示することができる。
非解離性配位基のうち酸素原子含む基としては、エーテル基、カルボニル基、エステル基、含酸素複素環を含む基を例示することができる、含酸素複素環としては、フラン環、ピラン環などを例示することができる。
水溶性高分子が複数の非解離性配位基を有する場合には、非解離性配位基を1種のみ有することとしてもよく、2種以上の非解離性配位基を有することとしてもよい。
本工程において、このとき水溶性の無い高分子を添加すると、水溶液中で相分離し、目的物である酸化物を微細化する効果が得られない。また、高分子に解離性の(プロトン供与性の)配位基が含まれていると、第2の水溶液中に含まれる塩や錯体と反応するおそれがあり、目的物である酸化物の組成が不均一になり易く、異相が生成するおそれがある。
水溶性高分子としては、ポリビニルピロリドン(PVP)や、その誘導体を用いることができる。また、非プロトン供与性の側鎖構造を有する水溶性高分子であれば、種々のものを用いることができる。
水溶性高分子の分子量は10000以上であると好ましい。また、分子量が大きすぎると水溶性が低下し、水溶液中で相分離して、目的物である酸化物を微細化する効果が得られなくなる。そのため、水溶性高分子の分子量の上限値は、発明を阻害しない範囲で、必要量を溶解可能であることを判断基準として設定するとよい。
本実施形態では、水溶性高分子としてポリビニルピロリドンを用いることとして説明する。例えば、ポリビニルピロリドンをペルオキソチタン酸クエン酸錯体と同じモル数となるように溶解する。
このとき、水溶性高分子に含まれる非解離性配位基のモル数と第2の水溶液に含まれるチタン錯体のモル数とが等しくなるように水溶性高分子を添加することが好ましい。水溶性高分子に含まれる非解離性配位基のモル数がチタン錯体のモル数と等しい場合、チタン錯体と非解離性配位基との間で形成される配位構造により、チタン錯体間の凝集が抑制され、熱分解反応により形成される酸化物の粒子の平均粒径をさらに小さくすることができる。
このとき非解離性配位基のモル数がチタン錯体のモル数より小さいと、チタン錯体と非解離性配位基との間の配位構造を形成しないチタン原子により平均粒径が増加してしまう。また非解離性配位基のモル数がチタン錯体のモル数より大きいと、過剰な配位構造により目的の酸化物組成が得られにくく、異相が生成しやすくなる。
(ゲル化)
暗赤色溶液に水溶性高分子を加えた後、撹拌しながら加熱することで、キレート剤と架橋剤とが縮重合し、水溶液をゲル化する。例えば、マグネティックスターラーで攪拌しながら120℃に加熱し、20分〜1時間保持することで、暗橙色の粘稠なゲルが得られる。
暗赤色溶液に水溶性高分子を加えた後、撹拌しながら加熱することで、キレート剤と架橋剤とが縮重合し、水溶液をゲル化する。例えば、マグネティックスターラーで攪拌しながら120℃に加熱し、20分〜1時間保持することで、暗橙色の粘稠なゲルが得られる。
ここで、ゲル化前の暗赤色溶液は、pHを5〜6の弱酸性に保つとよい。pHを弱酸性とすることで、立方晶ペロブスカイト結晶の生成を促進することができる。
このとき暗赤色溶液のpHが低すぎると、ゲル化反応の縮重合時に析出物を生じ易く、偏析の原因になる。また、暗赤色溶液のpHが高すぎると、ペルオキソチタン酸がポリアニオンとして析出しやすくなり、焼成後にTiO2などの偏析が起こり易くなる。これらの現象はペルオキソチタン酸の特性によるものであり、例えばJournal of Sol−Gel Science and Technology 22, 33−40, 2001に記載されている。特に、Aサイト原子が2種以上であり、且つ当該2種以上のAサイト原子のイオン半径の差が大きい場合に、この傾向が顕著になり易い。
[4.熱処理する工程]
次いで、得られたゲルを300℃以上550℃以下の温度条件で熱処理する(熱処理する工程、ステップS4)。温度条件は、300℃以上350℃以下であると好ましい。例えば、得られたゲルを350℃で3時間加熱して熱処理する。
次いで、得られたゲルを300℃以上550℃以下の温度条件で熱処理する(熱処理する工程、ステップS4)。温度条件は、300℃以上350℃以下であると好ましい。例えば、得られたゲルを350℃で3時間加熱して熱処理する。
このような温度範囲で熱処理することにより、組成がよく制御された、平均一次粒径が10nm以上100nm以下の酸化物粒子を得ることができる。
加熱温度が300℃以上であると、目的物である立方晶ペロブスカイト型結晶を有する酸化物粒子が形成されやすい。また、添加したキレート剤や架橋剤の熱分解が進行しやすいため、目的物にこれらの有機物が残存しにくく、目的物の純度が低下しにくい。一方、加熱温度が550℃以下であると、原子の熱拡散が進行しにくく、また、粒子が成長にくくなるため、酸化物の微粒子が得られやすい。
ゲルの加熱方法は特に制限されず、一次粒子粒径の小さな電解質粒子が得られる方法であればいかなる態様であってもよい。例えば架橋したゲル状の原料を容器内で加熱すれば、微細な一次粒子の凝集塊が得られる。また、噴霧熱分解装置を用いて一次粒子単体を分散させることもできる。
また、本工程において熱処理温度に至る昇温レートは、100℃/分以上であると好ましく、150℃/分以上であるとより好ましく、200℃/分以上であるとさらに好ましく、225℃/分以上であると特に好ましい。昇温レートの上限値は、熱処理に用いる装置構成に依存する。
昇温レートが大きいほど、得られる酸化物粒子の最小粒径および平均粒径を減少させることができる。昇温レートが100℃/分未満であると、酸化物粒子の最小粒径および平均粒径を減少させることはできるが、チタン錯体の凝集が進行し、最小粒径および平均粒径が増加しやすい。
本実施形態の酸化物粒子の製造方法は、以上のような構成となっている。
本実施形態の酸化物粒子の製造方法は、以上のような構成となっている。
<酸化物粒子>
本実施形態の酸化物粒子は、立方晶ペロブスカイト型結晶であり、少なくともリチウム原子とチタン原子とを含み、平均一次粒子径が10nm以上100nm以下である。このような酸化物粒子は、例えば、上述の製造方法により得られる。
本実施形態の酸化物粒子は、立方晶ペロブスカイト型結晶であり、少なくともリチウム原子とチタン原子とを含み、平均一次粒子径が10nm以上100nm以下である。このような酸化物粒子は、例えば、上述の製造方法により得られる。
なお、本実施形態において、平均一次粒子径は、動的光散乱式粒度分布測定法により測定した値を用いる。
本実施形態の酸化物粒子は、立方晶ペロブスカイト型結晶のAサイトを置換する1種以上の原子をさらに有することが好ましい。このような原子としては、上述した「その他の水溶性の塩」に含まれる、立方晶ペロブスカイト型結晶のAサイトを置換する原子を例示することができる。
また、本実施形態の酸化物粒子は、立方晶ペロブスカイト型結晶の酸素サイトがフッ素原子で置換されていてもよい。これにより、無置換のものと比べ、イオン伝導率が高い酸化物粒子とすることができる。
本実施形態の酸化物粒子は、前記平均一次粒子径の測定条件において、前記一次粒子の粒子径分布が単一ピークであると好ましい。酸化物粒子の粒度分布が単一ピークであると、品質が一定なものとなりやすく、酸化物粒子を固体電解質に用いた場合に、品質の維持が容易となる。
また、本実施形態の酸化物粒子は、動的光散乱式粒度分布測定法により測定した一次粒子径において、体積基準の粒度分布の半値幅が、0より大きく35nm以下であることが好ましい。
本実施形態の酸化物粒子は、以上のような構成となっている。
本実施形態の酸化物粒子は、以上のような構成となっている。
以上のような構成の酸化物粒子によれば、結晶中において原子比率が好適に制御され、小粒径化されたものとなる。
以上のような構成の酸化物粒子の製造方法によれば、得られる酸化物粒子の結晶中の原子比率を好適に制御可能であり、従来900℃程度の高温を要していた熱処理温度よりも低温で小粒径化が可能となる。
<リチウムイオン電池>
次に、本実施形態のリチウムイオン電池について説明する。図2は、本実施形態のリチウムイオン電池を示す断面図である。
次に、本実施形態のリチウムイオン電池について説明する。図2は、本実施形態のリチウムイオン電池を示す断面図である。
図2に示すリチウムイオン電池100は、集電体1と、活物質層2と、固体電解質層3と、電極4がこの順に積層された構成となっている。固体電解質層3は、上述した酸化物粒子を形成材料として用いる。
集電体1の形成材料としては、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)およびパラジウム(Pd)からなる群から選ばれる1種の金属(金属単体)や、この群から選ばれる2種以上の金属元素を含む合金等が挙げられる。
集電体1の形状は、板状、箔状、網状等を採用することができる。集電体1の表面は、平滑であってもよく、凹凸が形成されていてもよい。
活物質層2は、リチウムイオン電池100において集電体1を正極側に使用する場合と、負極側に使用する場合とで、形成材料が異なる。
集電体1を正極側に使用する場合には、活物質層2の形成材料として、正極活物質として通常知られている物質を用いることができる。このような物質としては、例えば、リチウム複酸化物が挙げられる。
リチウム複酸化物としては、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、Li2Mn2O3、LiFePO4、Li2FeP2O7、LiMnPO4、LiFeBO3、Li3V2(PO4)3、Li2CuO2、LiFeF3、Li2FeSiO4、Li2MnSiO4等が挙げられる。また、これらのリチウム複酸化物の結晶内の一部原子が他の遷移金属、典型金属、アルカリ金属、アルカリ希土類、ランタノイド、カルコゲナイド、ハロゲン等で置換された固溶体も正極活物質として用いることができる。
集電体1を負極側に使用する場合には、活物質層2の形成材料として、負極活物質として通常知られている物質を用いることができる。
負極活物質としては、シリコン−マンガン合金(Si−Mn)、シリコン−コバルト合金(Si−Co)、シリコン−ニッケル合金(Si−Ni)、五酸化ニオブ(Nb2O5)、五酸化バナジウム(V2O5)、酸化チタン(TiO2)、酸化インジウム(In2O3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、酸化ニッケル(NiO)、錫(Sn)が添加された酸化インジウム(ITO)、アルミニウム(Al)が添加された酸化亜鉛(AZO)、ガリウム(Ga)が添加された酸化亜鉛(GZO)、アンチモン(Sb)が添加された酸化スズ(ATO)、フッ素(F)が添加された酸化スズ(FTO)、炭素材料、炭素材料の層間にリチウムイオンが挿入された物質、TiO2のアナターゼ相、Li4Ti5O12,Li2Ti3O7等のリチウム複酸化物、Li金属等が挙げられる。
集電体1を正極側に使用する場合、電極4は負極となる。この場合、集電体1の形成材料としてアルミニウムを選択し、電極4の形成材料としてリチウムを選択することができる。
このようなリチウムイオン電池100は、以下のようにして製造することができる。
まず、表面に活物質層2が形成された集電体1を用意し、活物質層2の表面に、本実施形態の酸化物粒子を配置して焼結することで、活物質層2の表面に容易にリチウムイオン伝導性に優れた固体電解質層3を形成する。
まず、表面に活物質層2が形成された集電体1を用意し、活物質層2の表面に、本実施形態の酸化物粒子を配置して焼結することで、活物質層2の表面に容易にリチウムイオン伝導性に優れた固体電解質層3を形成する。
次いで、固体電解質層3の表面に電極4を形成する。これにより、容易にリチウムイオン電池100を製造することができる。
リチウムイオン電池100の製造方法としては、他にも、活物質層2の表面に固体電解質層を形成した部材と、電極4の表面に固体電解質層を形成した部材とをそれぞれ製造した上で、各部材の固体電解質層同士を貼り合わせることとしてもよい。
このようなリチウムイオン電池によれば、固体電解質層の総イオン伝導率が高く、高い性能を有するリチウムイオン電池とすることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
上記実施形態においては、本発明の酸化物粒子をリチウムイオン電池の固体電解質層の形成材料として用いることとして説明したが、これに限らず、例えば、リチウム空気電池の固体電解質層の形成材料として用いることも可能である。
[実施例]
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[水準1]
(実施例1)
チタン金属粉末を、30%過酸化水素水に溶解した。このとき、過酸化水素水を水冷しながらチタン金属を溶解した。さらに35%のアンモニア水を加えてペルオキソチタン酸水溶液とした。
さらに、ペルオキソチタン酸溶液に、チタン原子のモル数に対し0.19倍量のクエン酸1水和物を溶解し、第1の水溶液を得た。
(実施例1)
チタン金属粉末を、30%過酸化水素水に溶解した。このとき、過酸化水素水を水冷しながらチタン金属を溶解した。さらに35%のアンモニア水を加えてペルオキソチタン酸水溶液とした。
さらに、ペルオキソチタン酸溶液に、チタン原子のモル数に対し0.19倍量のクエン酸1水和物を溶解し、第1の水溶液を得た。
次いで、第1の水溶液をマグネティックスターラーで攪拌しながら、LiNO3およびLa(NO3)3・6水和物をそれぞれチタン原子のモル数に対し0.035および0.055倍のモル濃度になるよう溶解した。この溶液をマグネティックスターラーで30分間攪拌し、淡橙色の第2の水溶液を得た。
次いで、第2の水溶液に対し、チタン原子のモル数に対し0.19倍量の1,6−ヘキサンジオールを溶解した。その後、pHが5.5になるように、硝酸およびアンモニア水を用いて調整した後、60℃で1時間攪拌することで、暗赤色溶液を得た。
さらに、得られた暗赤色溶液に、ポリビニルピロリドンを溶解した。その際、ポリビニルピロリドンは、ポリビニルピロリドンを構成する繰り返し単位(モノマー)のモル数を基準として、当該繰り返し単位のモル数がペルオキソチタン酸クエン酸錯体と同じモル数(1.0倍)となるようにポリビニルピロリドンを秤量し溶解した。マグネティックスターラーで攪拌しながら120℃に加熱し1時間保持した。この操作により、暗橙色の粘稠なゲルが得られた。
次いで、大気雰囲気においてゲルをペトリ皿内で加熱した。120℃から350℃まで25℃/5分(5℃/分)の昇温レートで昇温した後、350℃で3時間保持した。3時間後の加熱後、白色の酸化物粒子を得た。
この粉末を粉体X線回折装置(PANnalitical X’Pert PRO)を用いて解析し、粉末の結晶相を調べた。図3は、実施例1の酸化物粒子のXRDチャートである。測定の結果Li0.35La0.55TiO3結晶の単一相が生成していることが分かった。
得られた酸化物粒子の粉末100mgに、1−ブタノール10mlを加え、120Wの超音波洗浄機内で15分間の超音波分散処理を行った試料を調製した。得られた試料の粒度分布を、動的光散乱式粒度分布測定装置(DLS:日機装製)を用いて、体積基準で測定した。
(実施例2)
ポリビニルピロリドンの量を、ペルオキソチタン酸クエン酸錯体に対して0.25倍としたこと以外は、実施例1と同様にして酸化物粒子を得た。
ポリビニルピロリドンの量を、ペルオキソチタン酸クエン酸錯体に対して0.25倍としたこと以外は、実施例1と同様にして酸化物粒子を得た。
(実施例3)
ポリビニルピロリドンの量を、ペルオキソチタン酸クエン酸錯体に対して2.0倍としたこと以外は、実施例1と同様にして酸化物粒子を得た。
ポリビニルピロリドンの量を、ペルオキソチタン酸クエン酸錯体に対して2.0倍としたこと以外は、実施例1と同様にして酸化物粒子を得た。
実施例2,3で得られた酸化物粒子について、粉体X線回折装置を用いて粉末の結晶相を調べたところ、Li0.35La0.55TiO3結晶の単一相が生成していることが分かった。また、実施例2,3で得られた酸化物粒子について、実施例1と同様にして粒度分布を測定した。
図4は、実施例1〜3の酸化物粒子の粒度分布を示す図である。図4において、PVP/Ti=1.0として示すチャートが、実施例1の酸化物粒子のものである。PVP/Ti=0.25して示すチャートが、実施例2の酸化物粒子のものである。PVP/Ti=2.0して示すチャートが、実施例3の酸化物粒子のものである。
図に示すように、実施例1〜3の比較では、実施例1の酸化物微粒子が、粒径のピーク値が最も小さく、平均一次粒子径が最少となることが分かった。実施例1の酸化物粒子の平均粒径は約350nmであった。
(比較例1)
ポリビニルピロリドンの代わりにポリアクリル酸を用いたこと以外は実施例1と同様にして、酸化物粒子を得た。図3は、比較例1の酸化物粒子のXRDチャートである。得られた酸化物粒子をXRDにより解析すると、異相としてTiO2やLa2Ti2O7の生成が認められた。
ポリビニルピロリドンの代わりにポリアクリル酸を用いたこと以外は実施例1と同様にして、酸化物粒子を得た。図3は、比較例1の酸化物粒子のXRDチャートである。得られた酸化物粒子をXRDにより解析すると、異相としてTiO2やLa2Ti2O7の生成が認められた。
[水準2]
(参考例1)
ポリビニルピロリドンを添加しないこと、および大気雰囲気においてゲルをペトリ皿内で加熱する際、120℃から350℃までの昇温レートを5℃/5分(1℃/分)としたこと以外は、実施例1と同様にして酸化物粒子を得た。
(参考例1)
ポリビニルピロリドンを添加しないこと、および大気雰囲気においてゲルをペトリ皿内で加熱する際、120℃から350℃までの昇温レートを5℃/5分(1℃/分)としたこと以外は、実施例1と同様にして酸化物粒子を得た。
(参考例2)
大気雰囲気においてゲルをペトリ皿内で加熱する際、120℃から350℃までの昇温レートを25℃/5分(5℃/分)としたこと以外は、参考例1と同様にして酸化物粒子を得た。
大気雰囲気においてゲルをペトリ皿内で加熱する際、120℃から350℃までの昇温レートを25℃/5分(5℃/分)としたこと以外は、参考例1と同様にして酸化物粒子を得た。
(参考例3)
大気雰囲気においてゲルをペトリ皿内で加熱する際、120℃から350℃までの昇温レートを50℃/5分(10℃/分)としたこと以外は、参考例1と同様にして酸化物粒子を得た。
大気雰囲気においてゲルをペトリ皿内で加熱する際、120℃から350℃までの昇温レートを50℃/5分(10℃/分)としたこと以外は、参考例1と同様にして酸化物粒子を得た。
(参考例4)
大気雰囲気においてゲルをペトリ皿内で加熱する際、120℃から350℃までの昇温レートを225℃/分としたこと以外は、参考例1と同様にして酸化物粒子を得た。
大気雰囲気においてゲルをペトリ皿内で加熱する際、120℃から350℃までの昇温レートを225℃/分としたこと以外は、参考例1と同様にして酸化物粒子を得た。
参考例1〜4で得られた酸化物粒子について、粉体X線回折装置を用いて粉末の結晶相を調べたところ、Li0.35La0.55TiO3結晶の単一相が生成していることが分かった。また、実施例4〜7で得られた酸化物粒子について、実施例1と同様にして粒度分布を測定した。
図5は、参考例1〜4の酸化物粒子の粒度分布を示す図である。図に示すように、参考例1〜4の比較では、昇温レートが大きくなるほど、100nm以下の粒子が増加し、微粒子化することが分かった。参考例4の酸化物粒子の平均粒径(体積分率のメジアン径(MV))は220nmであり、一次粒子の最小粒径は約50nmであった。
(実施例4)
大気雰囲気においてゲルをペトリ皿内で加熱する際、120℃から350℃までの昇温レートを225℃/分としたこと以外は、実施例1と同様にして酸化物粒子を得た。
大気雰囲気においてゲルをペトリ皿内で加熱する際、120℃から350℃までの昇温レートを225℃/分としたこと以外は、実施例1と同様にして酸化物粒子を得た。
実施例8で得られた酸化物粒子について、粉体X線回折装置を用いて粉末の結晶相を調べたところ、Li0.35La0.55TiO3結晶の単一相が生成していることが分かった。また、得られた酸化物粒子について、実施例1と同様にして粒度分布を測定した。
図6は、実施例4の酸化物粒子の粒度分布を示す図である。実施例4の酸化物粒子の平均粒径(体積分率のメジアン径(MV))は約55nmであり、最小粒径は約45nmであった。また、半値幅は28nmであった。
以上の結果より、本発明が有用であることが確認できた。
1…集電体、2…活物質層、3…固体電解質層、4…電極、100…リチウムイオン電池
Claims (7)
- 立方晶ペロブスカイト型結晶であり、少なくともリチウム原子とチタン原子とを含み、平均一次粒子径が10nm以上100nm以下である酸化物粒子。
- 立方晶ペロブスカイト型結晶のAサイトを置換する1種以上の原子をさらに有する請求項1に記載の酸化物粒子。
- 前記平均一次粒子径の測定条件において、前記一次粒子の粒子径分布が単一ピークである請求項1または2に記載の酸化物粒子。
- ペルオキソチタン酸、過酸化水素及びアンモニアを含むペルオキソチタン酸水溶液に、分子内にカルボキシ基またはアミノ基の少なくとも一方を2以上含むキレート剤を加えて第1の水溶液を得る工程と、
前記第1の水溶液に少なくともリチウムを含む水溶性の塩を加え、第2の水溶液を得る工程と、
前記第2の水溶液に、カルボキシ基またはアミノ基と縮合反応を生じる官能基を2以上有する架橋剤と、非解離性配位基を有する水溶性高分子と、を加え、加熱して前記第2の水溶液をゲル化させる工程と、
得られたゲルを300℃以上550℃以下の温度条件で熱処理する工程と、を含む酸化物粒子の製造方法。 - 前記ゲル化させる工程では、前記非解離性配位基のモル数と前記第2の水溶液に含まれるチタン錯体のモル数とが等しい請求項4に記載の酸化物粒子の製造方法。
- 前記加熱する工程は、熱処理温度に至る昇温レートが、100℃/分以上である請求項4または5に記載の酸化物粒子の製造方法。
- 正極と負極と、前記正極および前記負極に挟持された固体電解質層と、を有し、
前記固体電解質層は、請求項1から3のいずれか1項に記載の酸化物粒子を形成材料とするリチウムイオン電池。
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