以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
図1の斜視図及び断面図を参照して、本発明の第1の実施の形態の包装媒体収納容器3(以下、適宜、収納容器3)を備える包装媒体供給具1(以下、適宜、供給具1)の構成を説明する。図1(A)は、水平に配置された状態の供給具1の斜視図であり、図1(B)は、図1(A)の収納容器3の長手方向中央部における長手方向に直角な方向の断面図である。図1(A)では、後述の蓋板22は、開いた状態であり、図1(B)では、蓋板22は、部分的に閉まっている状態であり(すなわち、蓋板22が底板4に平行になっていない状態であり)、また後述の包装媒体12を収納容器3から引き出した状態が示されている。
供給具1は、巻回体2と、巻回体2を収納する収納容器3とを含んで構成される。巻回体2は、食品包装用等に使用される包装媒体12(図1(B)参照)を円筒状の巻芯10に巻きつけて巻回体2としたものである。巻回体2は、収納容器3の中に収納される。収納容器3は、例えば、厚紙またはボール紙などの紙素材90(図7参照)により形成される。収納容器3は、複数枚、または、1枚の紙素材から形成することが可能である。
収納容器3は、容器本体15を備える。容器本体15は直方体形状をなす。容器本体15は、紙素材90(図7参照)を折り曲げて形成される。紙素材90は、一度折り曲げても元に戻ろうとする曲げに対する弾力性(復元性)を有している。容器本体15は、包装媒体12(図1(B)参照)が円筒状に巻かれた巻回体2を収容し、一面30が開口され、開口された一面30から巻回体2を出し入れすることができる。
巻芯10に巻かれた包装媒体12(図1(B)参照)は、ポリ塩化ビニリデンを原材料とする透明フィルムであるが、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、もしくはこれらを組み合わせた多層フィルムであってもよい。また、包装媒体12は、ロール紙、キッチンペーパ、アルミホイル、加熱調理用紙シート等であってもよい。中でも、ポリ塩化ビニリデンを材料とする包装媒体12は自己密着性を有するために、フラップ20を設ける利点が大きい。
容器本体15は、底板4と、底板4の一辺(長辺)31に底板4に対し直角に立設された前板5と、一辺31に対向する底板4の他の一辺(長辺)32に底板4に対し直角に立設された後板6と、底板4の一辺31に対向する第一の連接辺38を有する副前板7(図1(B)参照)を有する。底板4は、一面30に対向するよう配置されている。
副前板7(図1(B)参照)は、第一の連接辺38において前板5に連接される。副前板7は、直方体形状の容器本体15の形成に際し、第一の連接辺38(折り曲げ線38L)に沿って、収納容器3の内側(巻回体2を収納している側)に180°折り込まれ、前板5に重ねられる。折り込まれた副前板7は、前板5に対向する面の表面に接着剤がライン状に塗布されて、前板5と接着され、固定される。底板4、フラップ20が分離される前のフラップ20を含む前板5、後板6、副前板7は、長方形に設けられる。
底辺4は長辺である一辺31および他の一辺32に加えて、一辺31および他の一辺32に直角な短辺61を有する。収納容器3は、側面板71をさらに備える。側面板71は、それぞれ短辺61に立設されている。側面板71は略正方形に設けられる。側面板71は、底板4の短辺61から延在して短辺61に立設されているが、前板5の短辺から延在して、あるいは後板6の短辺から延在して、底板4の短辺61に立設させてもよい。
収納容器3は、さらに、蓋板22と、蓋前板23とを備える。蓋板22は、長方形に設けられる。蓋板22は、底板4の他の一辺32に対向する第二の連接辺39を有し、第二の連接辺39において後板6に回動可能に連接され、開口された一面30を塞ぐように構成される。蓋前板23は、第二の連接辺39に対向する蓋板22の一辺(長辺)40に蓋板22に対して直角に立設され、蓋板22が一面30を塞いだ状態のとき、前板5に沿って前板5の外側(副前板7(図1(B)参照)とは反対側)に重なるように配置される。
蓋板22は長辺である第二の連接辺39と一辺40に加えて、短辺63を有する。収納容器3は、蓋側面板73をさらに備える。蓋側面板73は、それぞれ短辺63に立設されている。蓋側面板73は長方形に設けられる。
容器本体15は、開口された一面30から引き出された包装媒体12(図1(B)参照)の先端36(図1(B)参照)を前板5から離間させる一つのフラップ20を有する。フラップ20は、基部21(折り曲げ線21L)と、幅広部20Bと、凸部25とを有する。フラップ20は、基部21において副前板7(図1(B)参照)に連接する。幅広部20Bは、後に詳述するように、基部21(折り曲げ線21L)にフラップ20を起き上がらせるための大きな復元モーメントを与えるために、幅広に設けられた幅Wを有するように設けられている。凸部25は、基部21(折り曲げ線21L)と直交する方向に延在長さHを有することで、包装媒体12を前板5から大きく持ち上げることができるように設けられている。前板5には、フラップ20が基部21において副前板7に連接する部分(折り曲げ線21L)を除いて周囲を取り囲む切り込み(カットラインCL)が入れられている。凸部25は、基部21から直角方向に離れた位置において切り出された先端37を有する。先端37は、基部21より見て底板4の長辺31に対向する側に位置する。先端37は、フラップ20のどこよりも基部21から離れて設けられている。
副前板7(図1(B)参照)と前板5とは、第一の連接辺38(折り曲げ線38L)に沿って折り曲げて重ねられるように形成されている。フラップ20は、切り込み(カットラインCL)によって前板5と分離され、基部21(折り曲げ線21L)に沿って前板5に向けて折り曲げられて形成されているため、副前板7と同一平面に復元しようとする復元力を有し、この復元力に基づく基部21(折り曲げ線21L)周りの復元曲げモーメントが、フラップ20に作用する。この原理により、フラップ20は、前板5から起き上がった状態となる。
フラップ20は、フラップ20の基部21(折り曲げ線21L)に沿った幅Wが、基部21(折り曲げ線21L)から先端37までの延在長さHより長く設けられて形成されている。長さHの幅Wに対する比(W/H)は、2以上とすることが望ましい。比(W/H)を2以上とすることで、基部21(折り曲げ線21L)でフラップ20を折り曲げたことによるフラップ20の復元力がフラップ20の重量に比して十分に作用し、それによりフラップ20が前板5から適切な角度θ(図1(B)参照)で起き上がるようにすることができるので、包装媒体12(図1(B)参照)を前板5から確実に離間させることができる。
フラップ20は、前板5から切り込み(カットラインCL)によって分離されており、前板5からフラップ20が切り起こされている。すなわち、フラップ20は前板5に対し角度θ(図1(B)参照)をなすように基部21(折り曲げ線21L)で連接されている。前板5には刳貫部29A、29Bが二つ形成されており、刳貫部29A、29Bは、フラップ20が切り起こされた部分の底板4の一辺(長辺)31に対向する側に形成されている。刳貫部29A、29Bは、刳貫部29A、29Bに指を入れ、引き出された包装媒体12(図1(B)参照)を摘み、さらに引き出すことのできる大きさに設けられる。副前板7(図1(B)参照)は刳貫部29A、29Bが設けられた前板5の対応する部分を遮蔽し、外部からチリ等の異物が入ることを防ぐ。
二つの刳貫部29A、29Bは、凸部25を挟むように凸部25の両側であって、フラップ20の幅広部20Bの下側(底板4の一辺(長辺)31に対向する側)に形成されている。刳貫部29A、29Bの中心線L1(図2に一点鎖線で表示する。中心線L1は基部21に直交する)は、前板5の長手方向に直交する中心線L0(図2に一点鎖線で表示する)から、凸部25の幅W方向における半分の長さと刳貫部29A、29Bの幅W方向における半分の長さとを加えた幅W1(図2参照)だけずれて設けられている。刳貫部29A、29Bは、どちらか一方の刳貫部29A、29Bに指を入れ、包装媒体12(図1(B)参照)をさらに引き出したときに、包装媒体12をスムーズに引き出せる位置に形成されている。すなわち、刳貫部29A、29Bは中心線L0からフラップ20の幅W方向においてあまりずれていない位置に形成されている。また、刳貫部29A、29Bに指を入れた場合、指がフラップ20の凸部25の側部および凸部25より幅広に設けられたフラップ20の幅広部20Bの下部(後に詳述するように、フラップ20の周縁部20A(図3参照))に接触する構造に設けられている。
フラップ20の幅広部20Bの中央部には、包装媒体保持部33が形成されている。包装媒体保持部33の形成方法としては、包装媒体12(図1(B)参照)に対して粘着性を有する粘着剤を塗布して粘着剤層を設ける方法や、包装媒体12に対して密着性と平滑性とを有するニスを塗布して平滑層を設ける方法、さらには包装媒体12自体の自己密着性を利用して、包装媒体12と実質的に同一の材料からなる自己密着性包装媒体密着層を設ける方法等が挙げられる。包装媒体保持部33はフラップ20の包装媒体12に接する側の面に形成される。
蓋前板23の外側の幅W方向における中央には、エンボスが加工されたエンボス加工部28が、蓋板22が開口した一面30を塞いだ状態で、包装媒体保持部33に重なるように形成されている。エンボス加工部28は、この状態において、前板5の方向に隆起し、蓋前板23の外側の表面に凹部を形成するように構成されている。包装媒体12(図1(B)参照)を収納容器3から引き出した後に、蓋板22を完全に閉じた状態で、親指でエンボス加工部28をフラップ20に向けて垂直に押すことにより、包装媒体12が包装媒体保持部33に押し付けられて、包装媒体12が包装媒体保持部33に確実に保持される。
このため、包装媒体12(図1(B)参照)が収納容器3に対して確実に固定され、包装媒体12をカッター24でスムーズに切断することができる。エンボス加工部28は、蓋板22を閉じた状態で前板5の方向に向けて隆起し、蓋前板23の外側の表面に凹部を形成するように構成されているために、エンボス加工部28に指で触れると、目視しなくとも、エンボス加工部28に触れたことを指の触感で確認することができる。
蓋前板23の、底板4の一辺(長辺)31に対向する側(蓋板22が閉じた状態において対向する側)には、包装媒体12(図1(B)参照)を切断するためのカッター24が蓋前板23の一辺54に沿って設けられている。カッター24の先端には複数の鋸刃80が形成されている。カッター24の一部は、図示のように、蓋板22を完全に閉じた状態で(すなわち、蓋板22が底板4に平行となった状態で)、開口している一面30を塞いだ場合に、底板4に対して直角かつ底板4に対向する方向に蓋前板23から突出するように構成されている。なお、カッター24の形状は、図示の実施の形態の形状に限られず、本発明の一の実施の形態では、底板4の一辺(長辺)31と平行に設けられた直線形状のカッター(不図示)を用いるものとしてもよい。
図2の平面状の前板部分を示す図を参照して説明する。図2に収納容器3(図1参照)の蓋板22(図1参照)を完全に閉じて(すなわち、蓋板22が底板4(図1参照)に平行となった状態で)、開口している一面30(図1参照)を塞いだ場合のフラップ20とカッター24との位置関係を示す。なお、蓋板22が完全に閉じた状態の蓋前板23(図1参照)の一辺54(図1参照)およびカッター24の前板5上における位置は破線で示す。図示のように設けると、起伏形状(凸部25)を有するフラップ20は、蓋前板23に設けられたカッター24の複数の鋸刃80と重ならない位置において形成され、かつ、カッター24の複数の鋸刃80は、フラップ20の先端37付近であって先端37から離れた位置に包装媒体12(図1(B)参照)の先端36(図1(B)参照)を形成することが可能となる。また、切断される際に複数の鋸刃80により擦れ磨耗して脆弱化した包装媒体12の脆弱部分が後の切断時にフラップ20の影響を受けないように設けることができるから、包装媒体12が不規則に切断されることを防止することができる。
図3のフラップ裏面図を参照して説明する。図3は、フラップ20を裏側(副前板7(図1(B)参照)側)より見て示す図である。図3に示すように、容器本体15(図1参照)が有するフラップ20は、フラップ20の裏側(副前板7側)の表面上に隆起部としての起き上がりエンボス51Aを有する。起き上がりエンボス51Aは、フラップ20の先端37になるべく近く(例えば、先端37から1mm離した位置に)形成するとよい。起き上がりエンボス51Aは、円弧形状を有し、フラップ20の幅W方向に長い平面形状に設けられている。起き上がりエンボス51Aは、副前板7に向かって隆起し、エンボス加工により形成される。フラップ20に設けられた起き上がりエンボス51Aは、後述する副前板7側に設けられた起き上がりエンボス51B(図4参照)(後述する起き上がりエンボス51Bが副前板7に形成されていない場合には、副前板7)に当接する。このため、起き上がりエンボス51Aを備える場合には、切り込み(カットラインCL)(図2参照)によって前板5(図2参照)から分離されたフラップ20が再び前板5に嵌まり込む現象を防いで、フラップ20を前板5から確実に起き上がらせることを可能とするので、包装媒体12(図1(B)参照)を前板5から確実に離間させることができる。
図4を参照して説明する。図4は破線で示すフラップ20と前板5(図1参照)と副前板7との位置関係を示す。副前板7は第一の連接辺38(折り曲げ線38L)(二点鎖線で表示する)にて前板5に連接されている。図示するように、副前板7は、副前板7のフラップ20に対向する側の表面上であって、フラップ20に対向する位置に隆起部としての起き上がりエンボス51Bを有する。図中、フラップ20とカットラインCLとを破線で描き、前板5と副前板7が重なった場合の、フラップ20と刳貫部29A、29Bの副前板7上の対応位置を示す。起き上がりエンボス51Bは、中心をフラップ20の基部21(折り曲げ線21L)上に有する円弧形状に設けられる(円弧の中央を通る半径はフラップ20の基部21(折り曲げ線21L)に直交する)。副前板7に設けられた起き上がりエンボス51Bは、フラップ20に設けられた起き上がりエンボス51Aに当接するように設けられているので、切り込み(カットラインCL)によって前板5から分離されたフラップ20が再び前板5に嵌まり込む現象を防ぎ、フラップ20を前板5から確実に起き上がらせることを可能とする。このため、包装媒体12(図1(B)参照)を前板5から確実に離間させることができる。
副前板7に設けられた起き上がりエンボス51Bは、副前板7と前板5(図1参照)とが重なって配置された状態のとき、すなわち容器本体15(図1参照)が組み立てられたとき、副前板7に設けられた起き上がりエンボス51Bの全体がフラップ20に設けられた起き上がりエンボス51A(図3参照)に当接するように形成される。すなわち、副前板7に設けられた起き上がりエンボス51Bの全体がフラップ20に設けられた起き上がりエンボス51Aの領域内に入るように形成される。
本実施の形態では、起き上がりエンボス51A(フラップ20)(図3参照)と起き上がりエンボス51B(副前板7)との両方を設けるものとしているが、起き上がりエンボス51A(フラップ20)と起き上がりエンボス51B(副前板7)とのどちらか一方のみを設けるものとしてもよい。このように設けると、簡易な構成で、フラップ20が前板5(図1参照)から起き上がり、包装媒体12(図1(B)参照)を前板5から確実に離間させることができる。
図1に戻って、供給具1(収納容器3および巻回体2)の使用時の作用について説明する。収納容器3は、巻回体2を収納し、蓋板22は完全に閉じた状態で保管される。包装媒体12(図1(B)参照)を収納容器3から引き出した後には、蓋板22を完全に閉じた状態にし、包装媒体12をカッター24により切断した後に、通常は底板4を下にして収納容器3を、例えば台所の棚(不図示)に置いて保管する。
この状態で、包装媒体12(図1(B)参照)は、蓋前板23の内側(蓋板22が完全に閉じた状態における蓋前板23の前板5側)と、フラップ20の外側(フラップ20の副前板7(図1(B)参照)側とは反対の側)および前板5の外側(前板5の副前板7側とは反対の側)との間に挟まれている。包装媒体12は、フラップ20の外側(フラップ20の引き出された包装媒体12側)に設けた包装媒体保持部33に保持されている。フラップ20は、前板5と切り込み(カットラインCL)によって分離され、前板5から切り起こされているので、包装媒体保持部33を有するフラップ20が包装媒体12を蓋前板23の内側に押し付けて、包装媒体保持部33が包装媒体12を保持する作用が促進される。
包装媒体12(図1(B)参照)を使用するために、使用者は、供給具1(収納容器3および巻回体2)を、例えば台所の棚(不図示)から手に取り、蓋板22を開ける。このとき、包装媒体12は、フラップ20に覆い被さり、フラップ20の包装媒体保持部33に保持されているため、フラップ20に対して位置が安定している。
フラップ20は、前板5から幅W方向に広く切り起こされて設けられているので、すなわち、フラップ20の基部21(折り曲げ線21L)に沿った幅Wが、基部21(折り曲げ線21L)から先端37までの延在長さHよりも長く設けられているために、フラップ20は包装媒体12(図1(B)参照)を持ち上げるための十分な復元力を有する。このため、包装媒体12のフラップ20に接触している部分は、フラップ20によって蓋前板23の内側の方向に持ち上げられ、前板5から離間される。特に包装媒体12のフラップ20の先端37により押し上げられている包装媒体12の先端36(図1(B)参照)は、確実に前板5から離間される。したがって、包装媒体12が摘みやすく、包装媒体12を収納容器3からスムーズに引き出すことができる。
蓋板22が完全に閉じた状態のとき、蓋前板23に取り付けられたカッター24の先端は、フラップ20の先端37を超えて配置され、フラップ20は、蓋前板23およびカッター24の裏側に位置して外部から見えない構造に設けられている。前回使用された包装媒体12(図1(B)参照)の使用部分はカッター24により切断されており、残された包装媒体12の先端36(図1(B)参照)は、フラップ20の先端37より底板4側(下側)に位置する。
この状態で、今回、包装媒体12(図1(B)参照)を使用する場合は、蓋板22を開き、刳貫部29A(または29B)に指を入れ、切断された包装媒体12の先端36(図1(B)参照)を摘み、包装媒体12をさらに必要な長さだけ引き出す。包装媒体12を引き出している間、巻回体2は収納容器3内で回転する。その後、蓋板22を閉じ、蓋前板23のエンボス加工部28を親指で押さえると、包装媒体保持部33に包装媒体12が確実に保持され、包装媒体12の収納容器3に対する位置が安定するので包装媒体12をカッター24によってスムーズに切断することができる。
本実施の形態の収納容器3によれば、容器本体15がフラップ20を有するので、開口された一面30から引き出された包装媒体12(図1(B)参照)の先端36(図1(B)参照)をフラップ20によって前板5から確実に離間させることができる。また、包装媒体12の先端36を前板5から確実に離間させることができるために、包装媒体12の使用者は、刳貫部29A(または29B)に指を入れ、前板5から離間された包装媒体12を容易に摘み、収納容器3から、さらに包装媒体12をスムーズに引き出すことができる。なお、例えば、刳貫部29A、29Bが設けられない場合にも、フラップ20を備える場合には、収納容器3から包装媒体12をスムーズに引き出すことができるものといえるから、フラップ20の寄与(作用)は極めて大きいものといえる。
左手で包装媒体12(図1(B)参照)を収納容器3から引き出す場合は、典型的には、右手に収納容器3(フラップ20)を把持する使用者から収納容器3を見て左側の刳貫部29Aに左手の人差し指を入れ、包装媒体12の先端36(図1(B)参照)を表側から直接摘むことができる。あるいは、フラップ20の凸部25の先端37に左手の人差し指の腹で軽く触れてフラップ20に指を沿わせ、フラップ20によって持ち上げられた包装媒体12の背面に人差し指を回りこませながら指を滑らせて刳貫部29Aに人差し指を入れ、裏側から包装媒体12を摘むことが可能となる。このように、スムーズに包装媒体12を収納容器3から引き出すことが可能となる。右手で包装媒体12を収納容器3から引き出す場合は、左手に収納容器3を把持する使用者から収納容器3を見て右側の刳貫部29Bに右手の人差し指を入れ、同様の操作をおこなうとよい。
フラップ20は大きな復元力を得るために副前板7(図1(B)参照)と連接して副前板7から基部21(折り曲げ線21L)で折り曲げられて設けられている。また、フラップ20の基部21(折り曲げ線21L)と、前板5と副前板7との間の第一の連接辺38(折り曲げ線38L)との間にはオフセット(離間または位置ずれ)OSが設けられている。このため、本実施の形態のフラップ20では、前板5に入れられた切り込み(カットラインCL)とフラップ20の先端37との間にオフセットOSを設けることができるから、フラップ20の先端37が前板5に入れられた切り込み(カットラインCL)に嵌まり込む可能性を抑えることができる。
フラップ20の基部21(折り曲げ線21L)と、前板5と副前板7(図1(B)参照)との間の第一の連接辺38(折り曲げ線38L)との間のオフセット(離間または位置ずれ)の量は約0.1mmから0.5mmまでの範囲の値、さらに好ましくは、約0.2mmから0.4mmまでの範囲の値、典型的には、約0.3mm程度に設けるものとするとよい。なお、図では、オフセットOSが視覚的に理解し易いように、オフセットOSを誇張して大きく描いている。
このように、フラップ20の折り曲げ線21Lと、前板5と副前板7(図1(B)参照)との間の折り曲げ線38Lとの間に僅かな量のオフセット(離間または位置ずれ)OSを設けることにより、フラップ20の先端37がフラップ20が切り出された切り出しのカットラインCLに嵌まり込む可能性を抑えることができる。一方で、前板5と副前板7との間の折り曲げ線38Lと、フラップ20の折り曲げ線21Lとの間のオフセットOSの量が僅かな量に設けられていることから、蓋板22が開口する一面30を塞ぐ機能が阻害されることはない。オフセットOSのための僅かな量とは、収納容器3が通常の使用に伴い変形して、フラップ20の先端37とカットラインCLとの間の隙間(クリアランス)が変動する場合にも、フラップ20の先端37とカットラインCLとを実質的に非接触に保つことができる範囲でできるだけ小さなオフセットOS量をいう。
図2を参照して説明を続ける。図2(A)に示す形態のフラップ20の基部21(折り曲げ線21L)は、フラップ20の先端37がカットラインCLから基部21の方向に離間するように、前板5と副前板7(図1(B)参照)との間の第一の連接辺38(折り曲げ線38L)の上方(前板5より見て外方)の位置にオフセット(離間または位置ずれ)OSして設けられている。言い換えれば、前板5と副前板7との間の折り曲げ線38Lより上方に位置する折り曲げ線21でフラップ20が折り返されて設けられている。フラップ基部21の折り曲げ線21Lと、前板5と副前板7との間の折り曲げ線38Lとの間のオフセットOSの分(等量分)だけ、フラップ20の先端37とカットラインCLとの間にオフセットOS(隙間またはクリアランス)が形成される。図2(A)に示す形態では、蓋板22(図1参照)が完全に閉じられたとき(蓋前板23(図1参照)が前板5に重なったとき)に、フラップ20が、先端37とカットラインCLとの間に隙間(クリアランス)を有する状態で切り込み(カットラインCL)内に収まって、出張ることがない。
一方、図2(B)に示す本発明の一の実施の形態では、フラップ20の基部21(折り曲げ線21)は、フラップ20の先端37が切り込みのカットラインCLを超えて前板5とオーバーラップして重なり部27を有するように、前板5と副前板7(図1(B)参照)との間の第一の連接辺38(折り曲げ線38L)の下方(前板5より見て内方)の位置にオフセット(離間または位置ずれ)OSして設けられている。言い換えれば、フラップ20の基部21(折り曲げ線21)は副前板7上に設けられている。フラップ基部21の折り曲げ線21Lと、前板5と副前板7との間の折り曲げ線38Lとの間のオフセットOSの分(等量分)だけ、フラップ20の先端37とカットラインCL(前板5)との間にオフセットOS(オーバーラップ、重なり部27)が形成される。図2(B)に示す実施の形態では、蓋板22(図1参照)が完全に閉じられたとき(蓋前板23(図1参照)が前板5に重なったとき)にも、フラップ20が、切り込み(カットラインCL)内に収まることがないから、フラップ20の先端37の他、後に詳述する、フラップ基部21に大きな回転抑止モーメントを生ずることのないフラップ20の周縁部20A(図3参照)についても、カットラインCLに嵌まり込む可能性を抑えるように設けることができる。
このように、フラップ20の先端37がカットラインCLに対して基部21の方向に離間するようにオフセット(離間または位置ずれ)OSを設ける(図2(A)参照)場合にも、あるいは、フラップ20の先端37がカットラインCLを超えて前板5との重なり部27を有するようにオフセットOSを設ける(図2(B)参照)場合にも、いずれの場合にも、フラップ20の先端37がフラップ20が切り起こされた切り込み(カットラインCL)に再び嵌まり込む可能性を抑えるように設けることができる。
なお、図2(B)に示すように、フラップ20の先端37と前板5とがオーバーラップするように設ける場合には、例えば、図示するように、オフセット(離間または位置ずれ)OSと等量分だけフラップ20の基部21(折り曲げ線21L)と連接する副前板7側に切り込み(カットラインCL)を延長するとよい。このように設けると、フラップ20の折り曲げ線21Lを前板5と副前板7(図1(B)参照)との間の折り曲げ線38Lよりも図示する状態において下方(前板5より見て内方)の位置に設けることができる。言い換えれば、前板5と副前板7との間の折り曲げ線38Lを越えて副前板7上の位置にフラップ20の基部21(折り曲げ線21L)を設けることができる。
図2(B)に示す実施の形態のオフセット(離間または位置ずれ)OS量は、フラップ20の剛性が十分である場合には、前述の図1並びに図2(A)に示す形態のオフセットOS量と等量に設けるものとするとよい。すなわち、オフセットOS量を約0.1mmから0.5mmまでの範囲の値、さらに好ましくは、約0.2mmから0.4mmまでの範囲の値、典型的には、約0.3mm程度に設けるものとするとよい。
しかしながら、フラップ20の剛性が低く、フラップ20が変形する場合には、フラップ20の先端37がオーバーラップ(重なり部27)を失ってカットラインCLに嵌まり込む可能性も生じ得る。このような場合には、オフセット(離間または位置ずれ)OSの量にフラップ20の剛性に応じた安全係数(安全率)を乗ずることで、フラップ20の先端37がカットラインCLに嵌まり込む可能性を抑えるものとするとよい。安全係数は、例えば、フラップ20の低剛性に起因して失われる可能性のあるオーバーラップ(重なり部27)の量がオフセットOSの量未満となるように設けるものとするとよい。あるいは、それ以上の安全率を持たせるものとしてもよい。
ここで、オフセット(離間または位置ずれ)OSの量に安全係数(安全率)を乗ずる場合の具体例を示す。安全係数(安全率)は、1.5から2.5までの範囲の値とするとよい。好ましくは、1.7から2.3までの範囲の値とするとよい。典型的には、安全係数(安全率)は2とするとよい。ここでは、フラップ20の剛性を評価した結果、前述のオフセットOS量に安全係数として2を乗ずる場合について例示する。この場合には、オフセットOSの量は、約0.2mmから1mmまでの範囲の値、さらに好ましくは、約0.4mmから0.8mmまでの範囲の値、典型的には、約0.6mm程度に設けるものとするとよい。このようにして、フラップ20の先端37がカットラインCLに嵌まり込む可能性を抑えることができる。
図3を参照して説明を続ける。図3はフラップ20の裏側を副前板7(図1(B)参照)側より見て示す平面図である。図示するように、フラップ20の凸部25の先端37は、フラップ20の全体の中でフラップ20の基部21(折り曲げ線21L)から最も離れていることにより、最も大きなモーメントアーム(すなわち、フラップ20の延在長さH)を有する。このため、フラップ20の先端37は、フラップ20の先端37がカットラインCL(図2参照)に嵌まり込んだ場合には、フラップ20の基部21(折り曲げ線21L)に最も大きな回転抑止モーメントを作用させる可能性を有する。この可能性を抑えるために、フラップ20の折り曲げ線21Lと、前板5(図2参照)と副前板7との間の折り曲げ線38L(図2参照)との間にオフセット(離間または位置ずれ)OS(図2参照)が設けられる。
このように、最大のモーメントアームHを有するフラップ20の先端37並びに先端37の近傍の近傍部分(図示の例では円弧形状の部分)とカットラインCL(図2参照)との間にオフセット(離間または位置ずれ)OS(図2参照)を設けることにより、フラップ20の先端37並びに先端37の近傍の近傍部分が切り込み(カットラインCL)に嵌まり込んで、フラップ20の基部21(折り曲げ線21L)に最大の回転抑止モーメントが作用する可能性を抑えることができる。
なお、後に詳述する本発明のさらに他の実施の形態(図7参照)において示すように、フラップ20が複数の凸部25(並びに先端37)を有する場合も存在し得る。この場合にも、本実施の形態と同様に、フラップ20の基部21(折り曲げ線21L)を、前板5(図7参照)と副前板7(図7参照)との間の折り曲げ線38L(図7参照)に対してオフセット(離間または位置ずれ)OS(図7参照)して設けることにより、複数のフラップ20の先端37の全てについてカットラインCL(図7参照)に嵌まり込む可能性を抑えることができる。
このように、フラップ20の先端37は、フラップ20の基部21(折り曲げ線21L)から最も離れた部分をいい、フラップ20に凸形状(凸部25)が複数形成されている場合には、最も離れた凸部分25の他、二番目以降に離れた凸部分25の先端37をも含む(図7参照)。言い換えれば、フラップ20の先端37とは、少なくともフラップ20が有する凸部25における最大のモーメントアームを有する部分をいう。また、フラップ20の先端37が有するモーメントアームと実質的に等しいモーメントアームを有するフラップ20の先端37の近傍の近傍部分は、実質的にフラップ20の先端37であるものと見ることができる。図示の実施の形態では、円弧形状に設けられたフラップ20の先端37の近傍の近傍部分は、実質的にフラップ20の先端37であるものと見ることができる。
このようなフラップ20の先端37であって、フラップ20の基部21(折り曲げ線21L)に対して大きなモーメントアームを有して大きな回転抑止モーメントを発生する可能性を有するフラップ20の先端37と、フラップ20を切り出した切り込み(カットラインCL(図2参照))との間にオフセット(離間または位置ずれ)OS(図2参照)を設けることにより、フラップ20の切り込み(カットラインCL)への嵌まり込みの可能性を抑えることができる。
一方、フラップ20の基部21(折り曲げ線21L)に対して大きなモーメントアームを有することがなく、フラップ20の基部21(折り曲げ線21L)に対して大きな回転抑止モーメントを発生する可能性の無い、フラップ20の先端37の近傍の近傍部分を除くフラップ20の周縁部20Aについては、その影響量が小さいために、先端37と一律に均等量のオフセット(離間または位置ずれ)OS(図2参照)設けなくともよい。
本実施の形態のフラップ20では、フラップ20の幅広部20Bの下側(先端37側)の辺については、先端37と均等量のオフセット(離間または位置ずれ)OS(図2参照)が設けられているが、それ以外の周縁部20Aでは、先端37と均等量のオフセットOSは設けられていない。特に、幅広部20Bの幅W方向における両端面(両側面)においては、オフセットOSが設けられていない。しかしながら、当該部分は、フラップ20の基部21(折り曲げ線21L)に対するモーメントアームが特に小さい部分であるために、大きな回転抑止モーメントを発生することがない。このため、当該部分には、先端37と一律に均等量のオフセットOSを設けなくともよい。
なお、周縁部20Aを含めた全てのフラップ20の外周とカットラインCL(図2参照)との間に、フラップ20の先端37と一律に均等量のオフセット(離間または位置ずれ)OS(図2参照)を設けるものとしてもよい。この場合には、例えば、周縁部20Aを含めた全てのフラップ20の外周とカットラインCLとの間に、後に詳述する切り落とし部92(図8参照)を設けることでオフセットOSを設けるものとしてもよい。
図5を参照して説明を続ける。図5は他の形態に係るフラップ20に設けられた屈曲部26を拡大して示す斜視図である。図5(A)では、屈曲部26として、フラップ20の凸部25の延在方向(長さH(図1参照)方向)における中央部に折り曲げ線が設けられた形態を示す。図示のように、フラップ20の凸部25の延在方向における中央部に屈曲部26としての折り曲げ線を設け、凸部25の先端37を副前板7(図1(B)参照)の方向に折り曲げることにより、フラップ20の基部21(折り曲げ線21)からフラップ20の先端37までのフラップ20の延在長さ(直線距離H)(自然長/自由長)を短く設けることができる。
屈曲部26はフラップ20の凸部25に設けることができる他、フラップ20の幅広部20Bに設けるものとしてもよい。すなわち、屈曲部26を設けることにより、フラップ20の基部21(折り曲げ線21L)から先端37までの延在長さ(直線距離H(図1参照))(自然長/自由長)を短く設けることができる位置に設けるものとするとよい。屈曲部26を設けることにより、フラップ20の延在長さを収縮(シュリンク)させることができることから、フラップ20の先端37とカットラインCLとの間にオフセット(離間または位置ずれ)OSを設けて、フラップ20の先端37がカットラインCLに嵌まり込む可能性を抑えることができる。
フラップ20に屈曲部26を設ける場合には、フラップ20の基部21の折り曲げ線21Lと、前板5(図1参照)と副前板7(図1(B)参照)との間の折り曲げ線38Lとの間にオフセット(離間または位置ずれ)OSを設けない場合にも、カットラインCLとフラップ20の先端37との間にオフセットOSを設けることができる。なお、オフセットOSの量は、例えば、前述の形態のオフセット量と同様の値に設けるものとするとよい。
また、前述の形態と同様に、フラップ20の折り曲げ線21Lと、前板5と副前板7(図1(B)参照)との間の折り曲げ線38Lとの間にオフセット(離間または位置ずれ)OS(図1参照)を設けると共に、フラップ20に屈曲部26を設けることにより、フラップ20の先端37とカットラインCLとの間にさらに大きなオフセットOSを設けるものとしてもよい。この場合には、フラップ20の先端37がカットラインCLに嵌まり込む可能性をさらに減少することができる。
また、図5(A)に示すように、フラップ20の凸部25に屈曲部26としての折り曲げ線を設け、フラップ20の先端37を副前板7(図1(B)参照)の方向に折り曲げる場合には、フラップ20の先端37が副前板7に当接するように設けることができる。このため、副前板7に当接するフラップ20の先端37でフラップ20を支持して起き上がらせることができるから、フラップ20を一定の起き上がり角度θ(図1(B)参照)で確実に起き上がらせることができる。また、このように設けると、例えば、自己密着性を有するポリ塩化ビニリデン他により設けられた包装媒体12(図1(B)参照)がフラップ20に設けられた包装媒体保持部33に当接(密着)することを妨げることがないので都合がよい。
屈曲部26には、屈曲部26の屈曲状態(屈曲または収縮(シュリンク))を保持するように、例えば、屈曲部26の表面(折り曲げの圧縮側または引張側の表面)に樹脂製の補強シールを貼る、あるいは樹脂製の補強塗料の塗布をおこなう等の補強をおこなうものとするとよい。このように設けると、紙素材90(図7参照)を折り曲げることにより紙素材90を塑性変形させて屈曲部26を形成した後に、当該塑性変形された屈曲状態を保持するように屈曲部26を補強することができるから、屈曲部26に大きな屈曲力(保持力)を付与することができる。
このため、その後に補強された屈曲部26が弾性変形されることで一時的に屈曲状態が解消された場合にも、包装媒体12(図1(B)参照)の使用者が使用時に供給具1(図1参照)の蓋板22(図1参照)を開くことで補強された屈曲部26が外力から解放されたときには、補強された屈曲部26が大きな屈曲力(保持力)により屈曲状態を回復するように設けることができる。このように設けることにより、補強された屈曲部26がフラップ20の延在長さ(直線距離H(図1参照))(自然長/自由長)を常に減じることができるから、フラップ20の先端37が切り込み(カットラインCL)に嵌まり込む可能性を継続的に抑えることができる。
一方、図5(A)に示す屈曲部26の折り曲げの方向とは逆の方向に向けて、フラップ20の先端37を折り曲げ線(屈曲部26)からフラップ20の外側方向(包装媒体12(図1(B)参照)の方向)に折り曲げるものとしてもよい。このように設ける場合にも、フラップ20の基部21(折り曲げ線21L)から先端37までの延在長さ(直線距離H(図1参照))(自然長/自由長)を減ずることができるから、フラップ20の先端37が切り込み(カットラインCL)に嵌まり込む可能性を抑えることができる。
また、このように設けると、前板5の外面と、フラップ20の基部21(折り曲げ線21L)と先端37とを結ぶ直線との間の起き上がり角度θ(図1(B)参照)をより大きく設けることができる。このため、供給具1(図1参照)の使用者は包装媒体12(図1(B)参照)をより容易に摘んで供給具1からスムーズに引き出すことができる。なお、この場合にも、屈曲部26の屈曲状態(屈曲または収縮(シュリンク))を保持するために、樹脂製の補強シールまたは補強塗料等を用いて屈曲部26の補強をおこなうものとするとよい。
屈曲部26は、図5(B)に示すように、フラップ20の凸部25の延在方向(長さH(図1参照)方向)の中央部にエンボス加工をおこなうことにより設けるものとしてもよい。このように設ける場合にも、屈曲部26としてのエンボス加工部を設けることにより、フラップ20の延在方向(長さH方向)におけるフラップ20の基部21(折り曲げ線21L)から先端37までの延在長さ(直線距離H)(自然長/自由長)を短く設けることができる。このため、フラップ20の先端37とカットラインCLとの間にオフセット(離間または位置ずれ)OSを設けて、フラップ20の先端37が切り込み(カットラインCL)に嵌まり込む可能性を抑えることができる。
エンボス加工により設ける屈曲部26は、フラップ20の基部21(折り曲げ線21L)から先端37までの延在長さ(直線距離H(図1参照))(自然長/自由長)を収縮(シュリンク)させて減ずることができればよい。このため、図示するように、フラップ20の凸部25の延在方向(長さH方向)における中央部にエンボス加工による屈曲部26を設けることができる他、フラップ20の幅広部20B等のフラップ20の延在方向における基部21(折り曲げ線21L)と先端37とを結ぶ経路上の任意の位置にエンボス加工による屈曲部26を設けるものとしてもよい。また、屈曲部26は、フラップ20の延在長さを十分に減ずることができるようにフラップ20に複数設けるものとしてもよい。このため、屈曲部26は、例えば、前述のフラップ20に設けられる起き上がりエンボス51A(図3参照)を含んで構成されるものとしてもよいし、あるいは、フラップ20の延在長さを十分に収縮することができるものであれば、起き上がりエンボス51Aのみにより構成されるものとしてもよい。
屈曲部26により設けられるフラップ20の先端37とカットラインCLとの間のオフセット(離間または位置ずれ)OSの量は、例えば、前述の形態のオフセット量と同様の値に設けるものとするとよい。また、エンボス加工により設けられる屈曲部26の屈曲状態(屈曲または収縮(シュリンク))を保持するために、樹脂製の補強シールまたは補強塗料等を用いて屈曲部26の補強をおこなうものとするとよい。また、屈曲部26は、前述の折り曲げとエンボス加工との両方により設けられるものとしてもよい。
図6を参照して説明を続ける。フラップ20の先端37は、最終的に供給具1(図1参照)として完成されるために前板5から切り起こされるまでは、カットラインCLを超えてフラップ20の先端37と前板5とを接続するニック91により接続して係止しておくものとするとよい。このように設けると、供給具1を製造するための折り曲げ工程、カッター24の刃付け工程等の供給具1の他の製造工程内においてフラップ20の先端37が自由端として遊動してフラップ20が製造工程内で起き上がることを防止することができ、製造工程内において、フラップ20の先端37を固定端として保持しておくことができる。
ニック91は、カットラインCLに直交する方向において所定の幅を有する延在部として設けることで、前板5とフラップ20の先端37とをカットラインCLを超えて一時的に連結(接続/係止)しておくことができる一方で、オフセットOS形成時に切り離してフラップ20の先端37と前板5とを分離することができる、製造上有利な効果を有する連結/切り離し部である。ニック91は、例えば、厚紙またはボール紙等の紙素材90(図7参照)をプレス金型(不図示)等を用いて剪断加工およびエンボス加工するプレス加工の際に、フラップ20の先端37に隣接するカットラインCL上の位置に所定の幅を有する残存部分を剪断せずに残すことで設けることができる。
ニック91が有する所定の幅は、例えば、前述の形態において、折り曲げ加工および/またはエンボス加工をおこなうことで設けられる屈曲部26(図5参照)の存在によりフラップ20に作用する屈曲部26の収縮(シュリンク)に伴う引張力にニック91が耐え得る強度を確保することができるように設けるものとするとよい。すなわち、フラップ20に屈曲部26が設けられることによりフラップ20に作用するフラップ20の延在長さ(長さH(図1参照))の自由長/自然長への収縮(シュリンク)をニック91が抑止してフラップ20を引き伸ばした状態で係止しておくことができる引張強度(断面積)を確保することができるように、ニック91の所定の幅を設けるものとするとよい。
一方で、ニック91が有する所定の幅は、フラップ20を前板5から切り起こす製造工程において、ニック91に意図的に引張力(負荷)を加えることにより、ニック91が千切れて(引張破壊して)フラップ20の先端37を自由端とすることができる引張強度(断面積)となるように設けるものとするとよい。
本実施の形態の収納容器3(図1参照)では、フラップ20の折り曲げ線21Lと、前板5と副前板7(図1(B)参照)との間の折り曲げ線38Lとの間にオフセット(離間または位置ずれ)OSが設けられているために、副前板7を前板5並びにフラップ20に対して折り曲げて収納容器3を組み立てると、フラップ20の先端37と前板5との間にオフセットOSを設けるようにフラップ20に引張力が作用する。このため、ニック91が有する所定の幅が適切に設けられる場合には、副前板7を前板5並びにフラップ20に対して折り曲げる収納容器3の組み立て工程により、ニック91に適切な引張力(負荷)を作用させてニック91を引張破壊してフラップ20の先端37を前板5から分離することができる。
図7を参照して説明を続ける。図7は本発明のさらに他の実施の形態に係る、収納容器3(図1参照)を製造するために用いる紙素材90の簡略化した展開図である。図示するフラップ20は二つの刳貫部29A、29Bを挟むように配置された三つの凸部25の先端37が一の連続した滑らかな曲線により結合されて設けられている。また、中央の凸部25の延在長さH(図1参照)は中央部において突出する形状に設けられた(シャー角が設けられた)カッター24による包装媒体12(図1(B)参照)の集中的な裁断(剪断)を支持するように他の凸部25の延在長さHと比べて僅かに長く設けられている。フラップ20をこのように設けると、刳貫部29A(および29B)を挟んで刳貫部29A(および29B)の両側に設けられた二つの凸部25により使用者が包装媒体12を摘み易いように包装媒体12を両端支持して前板5から持ち上げることができる。
このため、包装媒体12(図1(B)参照)の使用者は、二つの凸部25により両端支持された包装媒体12を刳貫部29A(または29B)にフラップ20の表側(外側)から指を入れて摘むことにより特別容易に包装媒体12を摘むことができる。また、包装媒体12の使用者は、フラップ20に設けられた複数の凸部25のいずれかの先端37に指の腹を添えて、隣接する先端37の間を滑らかに結ぶ一の連続曲線に沿わせて刳貫部29A(または29B)に向けて指を滑らせることで、凸部25により両端支持された包装媒体12をフラップ20(包装媒体12)の裏側(副前板7(図1(B)参照)側)から指で持ち上げて摘むことができるから、特別容易に包装媒体12を摘むことができる。
図示するように、紙素材90の折り曲げ加工をおこなう折り曲げ線上には、折り曲げ加工における折り曲げ位置の正確性を向上する目的並びに折り曲げ部の強度(剛性)を低下する目的から折り曲げエンボス93がプレス金型(不図示)を用いたプレス加工(エンボス加工)により設けられている。また、紙素材90を所定の外形線で切り出すと共に、フラップ20並びに刳貫部29A、29Bを前板5から切り出すためのカットラインCLがプレス金型を用いたプレス加工(剪断加工)により設けられている。またこの他に、フラップ20を起き上がらせるための起き上がりエンボス51B(図4参照)を副前板7に設けるためのエンボス加工等をおこなうものとするとよいが、これらのエンボス加工、剪断加工は一のプレス金型を用いてワンショット(一回の型締め)で加工するように設けることで収納容器3(図1参照)の製造の生産性を向上することができる。
図示の実施の形態では、フラップ20の基部21(折り曲げ線21L)を形成するための折り曲げエンボス93は、前板5と副前板7との間の第一の連接辺38(折り曲げ線38L)を形成するための折り曲げエンボス93から副前板7側にオフセット(離間または位置ずれ)OSして設けられる。なお、オフセットOS量は、前述の形態と等量の約0.1mmから0.5mmまでの範囲の値、さらに好ましくは、約0.2mmから0.4mmまでの範囲の値、典型的には、約0.3mm程度に設けるものとするとよい。
図示するように、フラップ20の先端37と前板5とはカットラインCLを超えてニック91により接続されて設けられている。なお、図示の実施の形態では、中央の凸部25の先端37は二つのニック91によって接続(係止)されるように設けられている。このように、フラップ20の先端37を複数のニック91により重複して係止するものとしてもよい。複数のニック91によりフラップ20の先端37を重複して係止する場合には、製造工程内においてフラップ20に予期せぬ外力が加えられることに起因して、いずれか一つのニック91が切断されてしまったような場合にも、残るニック91によりフラップ20の先端37を固定端として係止しておくことができる。
図示の実施の形態では、収納容器3(図1参照)の組み立てのために、副前板7が前板5並びにフラップ20に対して折り曲げられてニック91が切断されるまでは、フラップ20の先端37と前板5とはニック91で接続されてフラップ20の先端37が固定端として係止される。このため、フラップ20の先端37が自由端となって遊動し、収納容器3の他の製造工程(例えば、折り曲げ工程、カッター24の刃付け工程等)が阻害されることがない。
刳貫部29A、29Bは、プレス金型(不図示)を用いたプレス加工(剪断加工)において、図示のように刳貫部29A、29Bと前板5とを係止するニック91と、刳貫部29A、29Bとフラップ20の幅広部20Bとを係止するニック91とを残存部として残して切断(剪断)するように設けるものとするとよい。このように設けると、刳貫部29A、29Bは二つのニック91に吊られた状態で紙素材90に係止される。このように設けた後に、製造工程内における後の適切な工程において、例えば、プッシュピン(不図示)を用いて紙素材90を貫通する方向に刳貫部29A、29Bを打ち抜くことにより、刳貫部29A、29Bを開口部として設けることができると共に、刳貫部29A、29Bの打ち抜き片を工程内から回収することができる。
以上説明した剪断加工並びにエンボス加工がなされた紙素材90に、例えば、樹脂製のカッター24を接着剤を用いて接着することで刃付けをおこない、折り曲げエンボス93により設けられた折り曲げ線で紙素材90を折り曲げ加工して直方体とし、直方体とされた紙素材90を要所において接着することにより、収納容器3(図1参照)を組み立てることができる。さらに、収納容器3に包装媒体12(図1(B)参照)を巻きつけた巻芯10(図1参照)を収納して収納容器3を密封することにより供給具1(図1参照)を製造することができる。
図8を参照して説明を続ける。図8は他の形態に係る、収納容器3(図1参照)のフラップ20の先端37とカットラインCLとで挟まれた切り落とし部92を示す平面図である。図示の形態では、フラップ20の先端37(切り落とし部92)を僅かに切り落とすことにより、カットラインCLとフラップ20の先端37との間にオフセット(離間または位置ずれ)OSを設ける。なお、オフセットOSの量は、前述の形態と等量の約0.1mmから0.5mmまでの範囲の値、さらに好ましくは、約0.2mmから0.4mmまでの範囲の値、典型的には、約0.3mm程度に設けるものとするとよい。
フラップ20の先端37(切り落とし部92)を僅かに切り落とすことにより(切り落とし部92を設けることにより)、フラップ20の先端37をカットラインCLから離間することができる。このため、フラップ20の基部21(折り曲げ線21L)に対して大きなモーメントアームを有するフラップ20の先端37が切り込み(カットラインCL)に嵌まり込む可能性を抑えることができる。このように設けると、フラップ20が前板5に対して大きな起き上がり角度θ(図1(B)参照)で確実に起き上がるように設けることができる。なお、例えば、図7に示す実施の形態のように、フラップ20が複数の凸部25を有するときは、少なくともフラップ20の基部21(折り曲げ線21L)から最も離れた先端37を有する凸部25に切り落とし部92を設けるものとするとよいが、同様に、第二、第三の凸部25にも切り落とし部92を設けるものとしてもよい。
切り落とし部92は、例えば、前述のプレス金型(不図示)を用いたプレス加工(剪断加工)により設けるものとしてもよい。この場合には、ワンショット(一回の型締め)による一括成形加工によって効率良く収納容器3(図1参照)を製造することができる。あるいは、切り落とし部92はレーザ切断加工機(不図示)を用いたレーザ切断加工、カッター(不図示)あるいは鋏(不図示)等を用いた剪断加工、エンドミル(不図示)あるいはドリル(不図示)等を用いた切削加工、グラインダ(不図示)あるいは砥石(不図示)等を用いた研削加工等のあらゆる既知の加工機を用いて設けるものとしてもよい。さらに、切り落とし部92は、フラップ20の先端37(切り落とし部92)をプレス加工等により挟圧して押し潰すことで(例えば、エンボス加工をおこなうことで)、実質的にフラップ20の先端37(切り落とし部92)の剛性を除去することにより、実質的なオフセット(離間または位置ずれ)OSを設けるものとしてもよい。これらの場合には、それぞれの加工方法によりもたらされる異なる特性並びに品質を有する切り落とし部92を選択的に設けることができる。
なお、切り落とし部92を設ける場合には、切り落とされた切り落とし部92が切断片として製造工程内に生じる場合もあり得る。このような場合には、例えば、打ち抜き金型(不図示)を用いることで、フラップ20の先端37とカットラインCLとの間の切り落とし部92を打ち抜き金型のパンチ(不図示)により打ち抜き片として打ち抜き金型のダイ(不図示)内に打ち抜いて切り落とし部92を製造工程内から回収するものとするとよい。
打ち抜き金型(不図示)は、切り落とし部92の全周を囲んで設けられる一連のカットラインCLをワンショット(一回の型締め)でスロット(隙間)として打ち抜く打ち抜き金型のパンチ(不図示)とダイ(不図示)との嵌合により切り落とし部92の全周を剪断して切り出すことができる。また、紙素材90(図7参照)から切り出された切り落とし部92を打ち抜き金型のパンチにより打ち抜き金型のダイ内へ打ち抜き片として打ち抜いて、製造工程内から切り落とし部92を回収することができる。この場合には、打ち抜き金型のダイ内の空気を負圧吸引ポンプ等を用いて集塵機内に負圧吸引することで、ダイ内に打ち抜かれた切り落とし部92を回収することができる。
切り落とし部92を設けることで、フラップ20の先端37とカットラインCLとの間にオフセット(離間または位置ずれ)OSを設ける場合には、フラップ20の基部21(折り曲げ線21L)と、前板5と副前板7(図1(B)参照)との間の第一の連接辺38(折り曲げ線38L)との間にオフセットOSを設けなくても、フラップ20の先端37とカットラインCLとの間にオフセットOSを設けることができる。また、切り落とし部92を設けることで、フラップ20の先端37とカットラインCLとの間にオフセットOSを設ける場合には、フラップ20に屈曲部26(図5参照)を設けなくても、フラップ20の先端37とカットラインCLとの間にオフセットOSを設けることができる。
しかしながら、フラップ20の基部21(折り曲げ線21L)と、前板5と副前板7(図1(B)参照)との間の第一の連接辺38(折り曲げ線38L)との間にオフセット(離間または位置ずれ)OS(図1参照)を設けると共に、フラップ20の先端37に切り落とし部92を設けるものとしてもよい。あるいは、フラップ20に屈曲部26(図5参照)を設けると共に、フラップ20の先端37に切り落とし部92を設けるものとしてもよい。この場合には、フラップ20の先端37とカットラインCLとの間に、フラップ20の先端37とカットラインCLとを離間する、より大きなオフセットOSを設けることができる。
さらに、フラップ20の基部21(折り曲げ線21L)と、前板5と副前板7(図1(B)参照)との間の第一の連接辺38(折り曲げ線38L)との間にオフセット(離間または位置ずれ)OS(図1参照)を設けると共に、フラップ20に屈曲部26(図5参照)を設け、加えて、フラップ20の先端37に切り落とし部92を設けるものとしてもよい。この場合には、フラップ20の先端37とカットラインCLとの間に、フラップ20の先端37とカットラインCLとを離間する、さらに大きなオフセットOSを設けることができる。
このため、前板5から切り出されたフラップ20の先端37が前板5に入れられた切り込み(カットラインCL)に再び嵌まり込む可能性を抑えて、フラップ20が前板5から確実に起き上がるように設けることができる。
以上説明した形態では、フラップ20は大きな復元力を得るために副前板7(図1(B)参照)と連接して基部21(折り曲げ線21L)で折り曲げられて設けられるものと説明したが、フラップ20は前板5から切り出されると共に、前板5と直接連接するフラップ20の基部21(折り曲げ線21L)で折り曲げられて、前板5の外側(包装媒体12(図1(B)参照)側)に向けて起き上がるように設けるものとしてもよい。なお、以上説明した形態における、前板5に連接し、前板5と一体に設けられた副前板7に連接して設けられたフラップ20は、実質的に前板5に連接して設けられているものと見ることができ、その一形態であるものと見ることができる。
前板5とフラップ20とが直接連接されて設けられる場合には、フラップ20を前板5の外側(包装媒体12(図1(B)参照)側)に向けて大きな起き上がり角度θ(図1(B)参照)で起き上がらせる復元力は、前述の屈曲部26(図5参照)の補強の場合と同様に、フラップ20の基部21(折り曲げ線21L)の屈曲状態を保持するように樹脂製の補強シールまたは補強塗料を用いてフラップ20の基部21(折り曲げ線21)を補強することにより得るものとするとよい。