<第1の実施形態>
[自動分析装置]
自動分析装置の実施形態について各図を参照して説明する。
[自動分析装置の全体構成]
図1は、この実施形態に係る自動分析装置100の全体構成を示した機能ブロック図である。
図1に示すように、自動分析装置100は、各検査項目の標準試料や被検体から採取された被検試料等の試料と各検査項目の分析に用いる試薬との混合液を測定して標準データや被検データを生成する分析部24と、分析部24の測定に係る各分析ユニットの駆動及び制御を行う分析制御部25とを備えている。
また、自動分析装置100は、分析部24で生成された標準データや被検データを処理して検量データや分析データを生成するデータ処理部30と、データ処理部30で生成された検量データや分析データを印刷出力、表示出力、オンライン出力等する出力部40と、各種コマンド信号の入力等を行う操作部50と、分析制御部25、データ処理部30、及び出力部40を統括して制御するシステム制御部60とを備えている。
[分析部]
図2は、分析部24の構成の詳細を示した斜視図である。
[分析部の構成]
図2に示すように、分析部24は、標準試料や被検試料等の試料を収容する試料容器17と、試料容器17を保持するサンプルディスク5とを備えている。また、試料に含まれる検査項目の成分と反応する成分を含有する1試薬系及び2試薬系の第1試薬を収容する試薬容器6と、試薬容器6を格納する試薬庫1と、試薬庫1に格納された試薬容器6を回動可能に保持する試薬ラック1aとを備えている。
また、分析部24は、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する試薬容器7と、試薬容器7を格納する試薬庫2と、試薬庫2に格納された試薬容器7を回動可能に保持する試薬ラック2aとを備えている。また、円周上に設けられた複数の反応容器3と、反応容器3を保持する保持部である反応ディスク4とを備えている。反応ディスク4は、少なくとも円形の外周部を有しており、反応容器3は、円周方向に一定の間隔をおいて複数保持されている。
また、分析部24は、サンプルディスク5に保持された試料容器17内の試料を吸引して反応容器3内へ吐出する分注を行うサンプル分注プローブ16と、サンプル分注プローブ16に試料の吸引及び吐出を行わせるサンプル分注ポンプ16aと、サンプル分注プローブ16を移動可能に保持するサンプル分注アーム10とを備えている。また、サンプルディスク5に保持された試料容器17内の試料の液面をこの液面とサンプル分注プローブ16との接触により検出する試料検出器16bと、サンプル分注プローブ16を洗浄する洗浄槽70とを備えている。
ここで、分析部24のうち、第1試薬を取扱うセクションを第1セクション、第2試薬を取扱うセクションを第2セクションとして以下において説明する。
〔第1セクション〕
第1セクションは、試薬ラック1aに保持された試薬容器6内の第1試薬を吸引して、反応容器3内に吐出する、分注を行う第1試薬分注プローブ14と、第1試薬分注プローブ14に第1試薬の吸引及び吐出を行わせる第1試薬分注ポンプ14aと、第1試薬分注プローブ14を移動可能に保持する第1試薬分注アーム8とを備えている。反応容器3には、例えば、試料が分注されている。
第1試薬分注プローブ14による、反応容器3への分注は、例えば、分注位置において行われる。また、試薬ラック1aに保持された試薬容器6内の第1試薬の液面を、この液面と第1試薬分注プローブ14との接触により検出する第1試薬検出器14bと、第1試薬分注プローブ14を洗浄する洗浄槽80とを備えている。
また、反応容器3に分注された試料と第1試薬の混合液を撹拌する第1撹拌子18と、第1撹拌子18を移動可能に保持する第1撹拌アーム20と、第1撹拌子18を洗浄する洗浄槽18aとを備えている。
(第1試薬分注プローブ)
第1試薬分注プローブ14は直線管であって、例えば、図4に示すように、両端部を貫く流路を備えた細長の長尺形状を有している。両端部のうちの下端には試薬を吐出するための開口である吐出部14dが備えられている。第1試薬分注プローブ14は、鉛直下方向に、吐出部14dが向くように設けられる。吐出部14dと前記反応容器3の開口部3bとは、一定間隔をおいて設けられている。
両端部のうちの上端には、チューブが設けられており、第1試薬分注プローブ14は、このチューブを介して第1試薬分注ポンプ14aに連通している。流路及びチューブ内には、第1試薬分注ポンプ14aからの吸引及び吐出動作による圧力を伝達する純水等の圧力伝達媒体を保持している。そして、第1試薬分注ポンプ14aの吸引動作により、試薬ラック1aに保持された試薬容器6内の第1試薬を吸引する。また、第1試薬分注ポンプ14aの吐出動作により、吸引した第1試薬を吐出する。
第1試薬分注プローブ14の形状は、両端部を貫通する流路を備えた筒形状を有している。第1試薬分注プローブ14は、例えば、筒形状として円筒形状を有する円形ノズル、角筒形状を有する矩形ノズル等が挙げられる。第1試薬分注プローブ14が円形ノズルの場合には、円形の吐出部14dから軸対称噴流の形態で第1試薬を吐出する。一方、矩形ノズルの場合には、矩形の吐出部14dから2次元噴流の形態で第1試薬を吐出する。
第1試薬分注プローブ14は、例えば、制御部27による制御によって、水平方向に移動可能なように構成されている。また、反応ディスク4は水平に回転可能に構成されている。反応ディスク4若しくは第1試薬分注プローブ14又はその両方が移動することによって、吐出部14dは、1つ又は複数の反応容器3の開口部3bの上側を順に通過する。この通過の軌跡は、例えば、後述する反応容器3の傾斜内壁面3d1を順に通過する曲線となる。
〔反応容器〕
反応容器3は、分注機構から分注された試薬等の液体を収容する容器である。反応容器3は、図4に示すように、液体等を収容するための収容部3eを有し、収容部3eに予め収容された試料と分注された試薬とが混合することで混合液が調製される。
(反応容器の形態)
反応容器3は、図4に示すように、一方の端部が閉塞した直線管であって、透明材料によって構成されている。反応容器3の形状は、一方に開口部3bを備え、他方に閉口した底部3fを備えた直筒形状である。反応容器3の形状は、例えば、円筒形状、角筒形状、これらを組み合わせた形状等が挙げられる。角筒形状は、例えば、三角形筒形状、矩形筒形状(正方形筒形状、矩形筒形状等)等が挙げられる。また、底部3fの形状は、例えば、所定の曲率を有する形状であることが好ましく、例えば、部分球形状、部分円柱形状であることが好ましい。また、透明材料は、透明樹脂材料、透明無機材料等として従来公知のものを適宜選択することができる。開口部3bには、第1試薬分注プローブ14等から第1試薬が吐出され、吐出された第1試薬は、開口部3bを経て収容部3eに溜まる。
(反応容器の保持形態)
反応容器3は、鉛直方向に対して所定の角度傾斜するようにして、反応ディスク4に保持される。反応容器3は、例えば、以下に示す方向に傾斜して保持される。
図3A及び図3Bは、反応容器3が反応ディスク4に保持される一例を示した側面図である。図3Aは、反応ディスク4の上面から反応容器3が突出する形態で設けられる場合を示し、図3Bは反応ディスク4の上面から反応容器3が吐出しない形態で設けられる場合を示す。図3Cは、反応容器3が反応容器ラック4Aに保持され、反応容器3が保持された反応容器ラック4Aが反応ディスク4に保持される場合を示す。
また、図3A及び図3Bの太線は、反応容器3の外形を示し、太線破線部は、反応容器3のうち反応ディスク4内に設けられた貫通孔である孔部4bに保持された部分を示す。また、細線破線部は、内部構成を示し、この場合においては、試薬等が溜まる収容部3eを構成する内壁を示す。この例においては、円形の外周部を有する反応ディスク4には、反応ディスク4を貫通する形態で反応容器3が少なくとも1つ保持されている。これらの図は、反応容器3が保持された反応ディスク4を、反応容器3の位置から反応ディスク4の半径方向に向かって見た側面を示している。
図3A及び図3Bに示すように、反応容器3は、反応ディスク4を貫通する形態で、反応ディスク4の円周の接線方向に傾斜して保持されている。一点鎖線で示す回転軸35は、反応ディスク4の中心軸を示している。この回転軸35は、鉛直方向に延びる。反応容器3は、反応ディスク4の主面に設けられた開口である孔部4bに挿入されることで反応ディスク4に保持される。孔部4bに挿入された反応容器3は、上部側面が孔部4bの側面に挟持されることで固定される。反応容器3には、例えば、段差部3aが設けられており、段差部3aと孔部4bとが嵌合することで、反応容器3が脱落しないように構成されている。
孔部4bは円周方向に所定の間隔をおいて複数設けられている。孔部4bは、保持される反応容器3が反応ディスク4の円周の接線方向に向かって、回転軸35と所定の角度θ(θ<90°)を有して傾斜するように構成される。例えば、孔部4bを構成する側面は、前述の方向に角度θ傾いている。複数の孔部4bは、それぞれ任意の角度θで傾いて保持されるように構成することができるが、分注の制御を簡易化するために、複数の孔部4bの全てにおいて、同一の構成とすることが好ましい。これにより、複数の孔部4bに保持された複数の反応容器3は、傾斜方向及び傾斜角θが全て同一となる。
孔部4bの開口は、反応容器3を固定して保持可能な形状を有していれば、反応容器3に対応する形状を適宜選択することができる。孔部4bの開口形状としては、例えば、円形、楕円形、矩形形、正方形等が挙げられる。
反応容器3の保持形態は、例えば、図3Aに示すように段差部3aの一部若しくは全部が反応ディスク4から突出するようにして保持されてもよいし、図3Bに示すように段差部3aが反応ディスク4に埋設するようにして保持されてもよい。段差部3aが反応ディスク4から突出することにより、反応容器3の反応ディスク4からの取り出しが容易となる。また、段差部3aが反応ディスク4に埋設されることで、反応容器3の反応ディスク4への保持固定が確実なものとなる。
また、反応ディスク4の下側には、反応容器3を取り囲むように構成され、反応容器3の保持を確実にするための保持部(図示せず)を設けてもよい。反応容器3は、保持部によって管外壁の少なくとも一部を取り囲まれることで保持される。なお、反応ディスク4の下方に、反応容器3内に保持された混合液等の液体の温度を制御する恒温槽が設けられる場合には、保持部を設けない構成としてもよい。
この他に、例えば、周方向断面が矩形形状である角筒形状を有する反応容器3を反応ディスク4の周方向に設ける場合に、反応容器3の内壁面のうち、反応ディスク4の半径方向に平行な面を傾斜面とすることができる。
反応容器3の保持形態は、上記に示したものに限定されるものではなく、使用する試薬等の液体、反応容器3の形状等によって適宜決定することができる。
例えば、反応容器3を反応ディスク4等の保持部に対して垂直に設け、保持部全体を傾けることで、反応容器3を傾ける構成であってもよい。
(反応容器ラック)
また、反応容器3は、反応ディスク4に直接保持される形態の他に、例えば、反応容器ラック4Aを介して反応ディスク4に保持されてもよい。
図3Cに示すように、反応容器ラック4Aは、反応ディスク4の外周に沿って保持されている。反応容器ラック4Aは、複数の反応容器3を保持することができ、保持される複数の反応容器3は、反応容器ラック4Aが反応ディスク4に保持されることで、反応ディスク4の周方向に一定間隔で並ぶ。反応ディスク4に複数の反応容器ラック4Aが保持されることで、反応容器3が保持される反応ディスク4の外周近傍の領域を、反応容器ラック4Aが所定の数の反応容器3ごとに区画する。
図3Cは、この実施形態において、複数の反応容器3が保持された反応容器ラック4Aの一例を示した上面図である。図3Dは、複数の反応容器3が保持された反応容器ラック4Aを図3Cに示したA−A’線によって鉛直方向に切り取った断面を示す。図3Cに示したA−A’線は、複数の反応容器3のそれぞれの軸中心を結んだ円弧である。
図3Cに示すように、反応容器ラック4Aは、外周側面4Cと内周側面4Dとを備えた扇型を有し、上面には反応容器3を保持可能な孔部4Bを6つ備えている。孔部4Bは周方向に設けられ、例えば等間隔に設けられる。孔部4Bの構成を示すために、6つの孔部4Bのうちの5つに反応容器3保持されているが、通常は6つの孔部4Bの全てに反応容器3が保持されている。
また、孔部4Bは、図3Dに示すように、保持される反応容器3が鉛直方向に対して所定角度θで傾斜するように構成される。保持される反応容器3は、図3Cに示したA−A’方向に沿って傾斜しているので、図3Dに示す反応容器3は、全て鉛直方向に対して所定角度θ(θ<90°)で傾いている。
また、反応容器3の底部が反応容器ラック4Aの底面4Eに保持されるので、反応容器3が脱落することはない。また、底面4Eで反応容器3の底部を保持するので、反応容器3には段差部3aを設ける必要がなくなる。このように、反応容器3は、反応容器ラック4Aによって側面及び底面を取り囲むようにして保持されることで、反応容器ラック4Aに固定される。これにより、反応容器3に反応ディスク4の回転等による外力が掛かっても、反応容器3の保持形態は変化しない。
反応容器3の保持形態のその他の例については、図3A及び図3Bにおいて述べたことを、反応ディスク4を、反応容器ラック4Aに読み替えて同様に構成することができる。反応容器ラック4Aは、反応ディスク4から取り外し可能に構成される。例えば、反応容器ラック4Aが反応ディスク4と一体となって構成されてもよい。
〔反応容器と第1試薬分注プローブとの位置関係〕
図4は、第1試薬分注プローブ14と反応容器3との位置関係を示す側面図及び上面図である。上面図には、第1試薬分注プローブ14及び反応容器3に加えて、第1試薬分注プローブ14の移動の軌跡41が示されている。
図中の破線のうち、破線部が長いものは内部構成を示す透視線、破線部が短いものは側面図と上面図との対応を示す。また、反応容器3は、段差部3aを有しない構成とした。また、反応容器3の傾斜角θは図面の煩雑さを避けるために省略しているが、図3に示したものと同様に傾斜している。これらのことは、以下の図面において、特段の断りが無い限り同様である。
図4の側面図及び上面図に示すように、反応容器3は、開口部3bを有する周方向断面が矩形の角筒形状を有する。また、反応容器3は、前記したように反応ディスク4の主面を貫通する形態で、反応ディスク4の接線方向に傾斜して保持されている。この傾斜によって、反応容器3の側面は、鉛直方向と角度θ傾いた面となる。この傾斜面を、傾斜面3c及び3dとする。傾斜面3cの内壁は、傾斜内壁面3c1、外壁面は傾斜外壁面3c2、傾斜面3dの内壁面は傾斜内壁面3d1、外壁面は傾斜外壁面3d2となる。このうち、傾斜内壁面3d1は、開口部3bの方向を向いている。また、底部内壁面3f1と傾斜内壁面3d1とが接する辺を3d3、開口部3bと傾斜面3dとが接する辺を3d4とする。また、底部3fの内壁面は、底部内壁面3f1、外壁面は底部外壁面3f2となる。
第1試薬分注プローブ14は、両端部を備える長尺形状を有し、第1試薬を輸送、吸引、吐出等するための流路と、流路を通って鉛直下向きに第1試薬を吐出するための吐出部14dとを備える。流路は両端部を貫通して構成され、吐出部14dは、両端部のうち鉛直下方向を向く端部に設けられた貫通孔によって構成される。流路は図中、第1試薬分注プローブ14に示された破線部に挟まれた部分をいう。
反応ディスク4若しくは第1試薬分注プローブ14又はその両方が移動することによって、吐出部14dは、反応容器3の開口部3bの上側を順に通過する。この通過の軌跡41は、上面図に示すように、後述する反応容器3の傾斜内壁面3d1を順に通過する曲線となる。第1試薬分注プローブ14が、反応容器3の上部に到達したとき、吐出部14dの位置は、開口部3bと一定間隔を置いて対向する位置となる。
この軌跡41が示す位置のうち、例えば、図中に示すような、吐出部14dと、傾斜面のうち内壁面が上側を向いている傾斜内壁面3d1とが対向する位置で、第1試薬分注プローブ14が停止するように、移動が制御される。これにより、吐出部14dから、傾斜内壁面3d1に対して、鉛直下向きに試薬を吐出することができる。
この傾斜内壁面3d1に向けて、第1試薬分注プローブ14から第1試薬が吐出された場合、反応容器3の傾斜角度θは、第1試薬分注プローブ14から吐出される第1試薬の液体噴流が進む方向(吐出方向)に対する傾斜内壁面3d1の迎え角となる。このため、この迎え角であるθが大きいと、当該部分を底部3fの近傍とする場合に、傾斜内壁面3d1に対向する傾斜外壁面3c2が液体を遮ってしまう場合がある。
また、壁面に衝突した液体が飛び散ることの要因の一つには、吐出された液体噴流が壁面に衝突することで放射状に形成された液膜が、壁面からの抗力を受けたり、拡がることによって膜端部が減衰したりして、不安定となり破壊されることが挙げられる。そうすると、吐出方向に対する迎え角が大きいと、傾斜壁面に形成される液膜が拡がる面は、吐出方向に対して直交する成分を多く含む。これにより、傾斜壁面は衝突した液体噴流による力を大きく受け、形成された液膜は傾斜壁面からの抗力を大きく受けることから破壊され、液滴となって飛散する。
一方で、迎え角が小さい場合には、傾斜壁面に形成される液膜が拡がる面は、吐出方向の成分を多く含む。このことによって、傾斜壁面は衝突した液体噴流から受ける力が小さく、また、液膜が拡がる方向には重力が作用するため減衰は小さく、形成される液膜は安定となり、液膜は傾斜壁面に沿って剥離することなく流れる。
θには適切な角度が存在する。この角度θは、例えば、1°〜40°であることが好ましく、1°〜20°であることがより好ましく、1°〜10°であることが更に好ましく、1°〜5°であることが最も好ましい。これは、一般的に用いられる反応容器の開口部の大きさである5mm、長さ40mm、吐出される液体噴流の粘性、流速等を勘案したものであるが、使用する反応容器3の大きさ、吐出する液体噴流の粘性、速度等によって適宜選択することができる。
〔第2セクション〕
第2セクションは、図2に示すように、試薬ラック2aに保持された試薬容器7内の第2試薬を吸引して第1試薬が分注された反応容器3内に吐出する分注を行う第2試薬分注プローブ15と、第2試薬分注プローブ15に第2試薬の吸引及び吐出を行わせる第2試薬分注ポンプ15aと、第2試薬分注プローブ15を移動可能に保持する第2試薬分注アーム9とを備えている。また、試薬ラック2aに保持された試薬容器7内の第2試薬の液面をこの液面と第2試薬分注プローブ15との接触により検出する第2試薬検出器15bと、第2試薬分注プローブ15を洗浄する洗浄槽90とを備えている。
また、反応容器3に分注された試料、第1試薬、及び第2試薬の混合液を撹拌する第2撹拌子19と、第2撹拌子19を回動及び上下移動可能に保持する第2撹拌アーム21と、第2撹拌子19を洗浄する洗浄槽19aとを備えている。また、反応容器3内の混合液に光を照射して光学的に測定する測光部13と、測光部13で測定を終了した反応容器3内を洗浄する反応容器洗浄ユニット12とを備えている。
(第2試薬分注プローブ)
第2試薬分注プローブ15は、第1試薬分注プローブ14と同様にして構成することができる。また、第1試薬分注プローブにおいて述べたこと、及び以下に述べることは、第2試薬分注プローブにおいても同様に適用することができ、必要に応じて適宜選択することができる。また、第1セクションにおいて述べたこと、及び以下に述べることは、第2セクションにおいても同様に適用することができ、必要に応じて適宜選択することができる。
〔測光部〕
そして、測光部13は、回転移動して光路を横切る反応容器3に光を照射し、この照射により反応容器3内の試料及び第1試薬の混合液や、試料、第1試薬、及び第2試薬の混合液を透過した光を検査項目の波長毎に検出する。そして、検出した検出信号を処理してデジタル信号で表される標準データや被検データを生成し、生成した標準データや被検データをデータ処理部30に出力する。
〔分析制御部〕
分析制御部25は、図2に示すように、分析部24の各分析ユニットを駆動する機構を有する機構部26と、機構部26の各機構を制御する制御部27とを備えている。そして、機構部26は、サンプルディスク5、試薬ラック1a、及び試薬ラック2aを夫々回動する機構、並びに反応ディスク4を回転する機構を備えている。また、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、第2試薬分注アーム9、第1撹拌アーム20、及び第2撹拌アーム21を夫々回動及び上下移動する機構を備えている。また、サンプル分注ポンプ16a、第1試薬分注ポンプ14a、及び第2試薬分注ポンプ15aを夫々吸引及び吐出駆動する機構、並びに反応容器洗浄ユニット12を上下移動する機構を備えている。
〔制御部〕
制御部27は、図2に示すように、機構部26のサンプルディスク5、試薬ラック1a、試薬ラック2a、反応ディスク4、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、第2試薬分注アーム9、サンプル分注ポンプ16a、第1試薬分注ポンプ14a、第2試薬分注ポンプ15a、反応容器洗浄ユニット12等の各分析ユニットを駆動する機構を制御する制御回路を備えている。そして、第1及び第2試薬分注アーム8、9の機構を制御して、それぞれ、第1及び第2試薬分注プローブ14、15を移動させる。
制御部27における第1試薬分注アーム8の制御回路は、第1試薬分注アーム8を回動する回動機構及びこの回動機構及び第1試薬分注アーム8を上下方向に移動する上下移動機構を制御する。そして、第1試薬分注プローブ14を、回動機構により上死点の高さで試薬庫1、反応ディスク4、及び洗浄槽80の各上停止位置へ移動させる。また、上下移動機構に下移動駆動パルスを供給して各上停止位置から下に移動させ、様々な位置で停止させる。
ここで、第1試薬の分注における吸引では、第1試薬分注プローブ14を試薬庫1の上停止位置から下へ移動させる。そして、第1試薬検出器14bからの検出信号に基づいて、試薬容器6内の第1試薬の液面が第1試薬検出器14bにより検出される位置から、その第1試薬の吸引が可能な所定の距離下方へ移動させた第1試薬吸引位置で停止させる。
また、第1試薬の吐出において、第1試薬分注プローブ14を平行移動させて反応ディスク4上の停止位置において停止させる。この停止位置は、水平位置が、例えば、予め検査項目毎に設定された反応容器3の傾斜内壁面3d1と対応する位置に設定される。また、鉛直位置は第1試薬分注プローブ14が、傾斜内壁面3d1に接触しない位置となる。この位置としては、例えば、吐出部14dが反応容器3の開口部3bと所定間隔離れるような位置に設定される。
このように、吐出部14dの位置を、反応容器3の開口部3bと鉛直方向に所定距離離れた位置としたので、第1試薬分注プローブ14を水平移動させても、第1試薬分注プローブ14と反応容器3とが衝突することがない。
また、反応ディスク4に反応容器3が複数保持されている場合には、第1試薬分注プローブ14は、例えば、隣り合う反応容器3の傾斜内壁面3d1を、順に通過するようにして水平移動する。第1試薬分注プローブ14は、複数の反応容器3のそれぞれの傾斜内壁面3d1を順に通過するように水平移動すれば、その移動形態、移動方向等は限定されるものではないが、例えば、反応容器3の傾斜方向等により適宜設定される。
また、例えば、分析部24において反応容器3を輸送する手段が、反応ディスク4を使用せずに複数の反応容器3が直線的に並ぶ構成である場合には、複数の反応容器3の傾斜面が向く方向は全て同一であることが好ましい。このとき、吐出部14dの軌跡は、反応容器3が並ぶ方向の直線となる。これは、反応容器3が並ぶ方向に一様に傾斜している場合、反応容器3が並ぶ方向と直交する方向に一様に傾斜している場合においても同様に、第1試薬分注プローブ14の軌跡は、反応容器3が並ぶ方向に進む方向となる。
このように、吐出部14dの位置を、反応容器3の開口部3bと鉛直方向に所定間隔離れた位置としたので、第1試薬分注プローブ14を水平移動させても、第1試薬分注プローブ14と反応容器3とが衝突することがない。また、吐出部14dからは鉛直下方向に液体が吐出するので、吐出部14dと開口部3bとが離間していても、反応容器3内に液体を供給することができる。これにより、分注工程の反応容器3への吐出時において、第1試薬分注プローブ14の鉛直方向の制御が不要となり、分注工程の短縮化を図ることができる。
また、反応容器3における吐出位置(吐出液到達位置)55は、傾斜内壁面3d1上のいずれかの位置であればよく、例えば、第1試薬の吐出量、反応容器3に溜まる混合液の総量等によって吐出位置55を決定することができる。吐出位置55は、例えば、第1試薬分注プローブ14の吐出部14dから吐出された液体が、反応容器3の傾斜内壁面3d1に到達したときの傾斜内壁面3d1における位置であるが、吐出位置55は、傾斜内壁面3d1上に限定されるものではない。例えば、傾斜内壁面3d1と、底部内壁面3f1を挟む側壁で形成された角部を吐出位置55としてもよい。
図5A及び図5Bは、吐出部14dからの吐出によって、反応容器3に少量の第1試薬を供給する場合を示した側面図及び上面図である。図5Aは吐出前、図5Bは吐出後を示す。この図に示す斜線部は、収容部3eに溜まった液体を明確に示すものであって、反応容器3の断面を示すものではない。
図5A及び図5Bに示すように、吐出部14dからの吐出された第1試薬は、傾斜内壁面3d1の所定の位置に到達する。傾斜内壁面3d1の所定の位置に到達した第1試薬は、そこから傾斜内壁面3d1を伝って下方に流れ底部3fに達する。
このとき、傾斜内壁面3d1には、伝った第1試薬が下方に流れずに付着することで、第1試薬が残存する場合がある。そのため、吐出された第1試薬が内壁に付着する量を最小とするために、全ての第1試薬を供給し終えた時点での第1試薬の液面54に対応する傾斜内壁面3d1の位置を吐出位置55とする。つまり、吐出位置55は、吐出後の液面が傾斜内壁面3d1に接すると予想された位置である。この吐出位置55は、例えば、辺3d3から傾斜内壁面3d1に沿って鉛直上方向にH1の距離上った位置であり、反応容器3への第1試薬の量が少量の場合には、吐出位置55は底部3fの近傍となる。
図6A及び図6Bは、吐出部14dからの吐出によって、反応容器3に多量の第1試薬を供給する場合を示した側面図及び上面図である。図6Aは吐出前、図6Bは吐出後を示す。この図に示す斜線部は、収容部3eに溜まった液体を明確に示すものであって、反応容器3の断面を示すものではない。
図6A及び図6Bに示すように、傾斜内壁面3d1における吐出位置55は、全ての第1試薬を供給し終えた時点での第1試薬の液面54に対応する傾斜内壁面3d1の位置を吐出位置55とする。反応容器3への第1試薬の量が多量の場合には、吐出位置55は開口部3bの近傍となる。この吐出位置55は、例えば、辺3d3から傾斜内壁面3d1に沿って鉛直上方向にH2の距離上った位置である。また、第1試薬分注プローブ14に隣接する破線で示された長方形は、図5に示した例における第1試薬分注プローブ14の位置であって、l1は、両プローブの中心軸間の距離を示す。
この場合においては、前述したように図5において示した例よりも多量の試薬が収容部3eに吐出される。これにより、第1試薬分注プローブ14の位置は、図5に示した例よりも、反応容器3が進行する方向に、l1進んだ方向にずれる。
このl1は、数式(1)に示すように、図6Bに示した例における液面位置H2と、図5Aに示した例における液面位置H1との差分をとり、この差分値にsinθを積算することにより算出することができる。
このように、吐出位置55は、収容部3eに溜まった液体の量によって変化するので、例えば、第1試薬の分注量の変化に応じても変化する。第1試薬分注プローブ14を移動させる位置は、前述のように、液面の高さから算出ができる。このため、例えば、複数の反応容器3に異なる量の第1試薬を、連続的に吐出する場合には、それぞれの反応容器3に溜まる液面の高さから数式(1)に基づいて第1試薬分注プローブ14の移動量を決定する。
第1試薬分注プローブ14と、反応容器3の傾斜内壁面3d1との相対的な吐出位置55については、図4〜図6で示したものに基づいていればよい。図4において開口部3bと底部内壁面3f1とが接する辺3d4から傾斜内壁面3d1と底部内壁面3f1とが接する辺3d3までに挟まれる間の面内にあればよい。
しかしながら、この範囲において吐出位置を任意に決めると、第1試薬が分注され反応容器3に第1試薬が溜まるに連れて、その液面が高くなり、そこに吐出された第1試薬がこの界面を叩くことによって、空気の巻込みが起こる。これを避けるには、分注後の液面と、傾斜内壁面3d1とが接する線上を通る点を吐出位置とすることが好ましい。具体的には、例えば、第1試薬の分注量(吐出量)をA、反応容器3の容量をB、反応容器3の高さをh、反応容器の傾きをθ、反応容器3の収容部3eの傾き方向の径をlとして、分注量Qのときを考える。そうすると、辺3d3から吐出位置55までの傾斜内壁面3d1に沿った距離Mは、
となり、l及びθが微小な場合にはltanθは無視できるので、
図7は、傾斜させた反応容器3を洗浄する洗浄機構65の一例を示した断面図である。この図に示す斜線部は、反応容器3の収容部に溜まった液体を示すものであって、反応容器3の断面を示すものではない。
図7に示すように、洗浄機構65は、第1試薬分注プローブ14と同様に鉛直下向きに延びる洗浄機構プローブ66が洗浄機構本体部67に一定間隔を置いて複数並ぶことで構成されている。この間隔によって、例えば、洗浄機構プローブ66が、反応容器3が配置される位置に対応することで、複数の洗浄機構プローブ66をそれぞれの反応容器3に挿入することが可能となる。また、洗浄機構プローブ66の先端部には、液体を吸入、吐出するための開口部63が設けられており、この開口部63から鉛直下向きに洗浄液、例えば水が吐出される。
反応容器3に複数の洗浄機構プローブ66が挿入される場合には、それぞれの洗浄機構プローブ66の開口部68が、それぞれの傾斜内壁面3d1の底辺となる辺3d3の近傍となる位置に挿入される。これにより、反応容器3が傾いていても洗浄機構65は、反応容器3の内部を鉛直方向に移動することができ、反応容器の内壁を洗浄することが可能となる。また反応容器3の傾きによっては、吸引すべき混合液等の液体を洗浄機構65の直下に集めることも可能になる。
図8は、傾斜させた反応容器3を洗浄する洗浄機構65の他の一例を示した断面図である。この図に示す斜線部は、反応容器3の収容部に溜まった液体を示すものであって、反応容器3の断面を示すものではない。
図8に示すように、この例においては、洗浄機構65に備えられた洗浄機構プローブ66を、反応容器3と同様に傾斜させて構成したものである。洗浄機構65は、反応容器3と同様に鉛直方向に対して角度θをなす洗浄機構プローブ66が洗浄機構本体部67に一定間隔を置いて複数並ぶことで構成されている。
反応容器3に複数の洗浄機構プローブ66が挿入される場合には、それぞれの洗浄機構プローブ66の開口部68が、それぞれの傾斜内壁面3d1の底辺となる辺3d3の中央近傍の位置に挿入される。洗浄機構プローブ66は反応容器3と同様な傾きを有しているので、洗浄機構プローブ66の長手方向と開口部3bの開口面とがなす角度が垂直となる。これにより、反応容器3への洗浄機構プローブ66の挿入が容易となる。
図9は反応容器3内に挿入された乾燥セル75を示した断面図である。この図に示す斜線部は、セル部76、及び収容部3eに溜まった液体を明確に示すものであって、反応容器3の断面を示すものではない。
図9に示すように、乾燥セル75は反応容器3の収容部3eとほぼ同サイズのため、傾きを有する反応容器3に垂直に挿入することができない。このため、例えば、セル部76と乾燥セル本体部77とを繋ぐ軸部78を可撓性を有する構成とする。また、例えば、セル部76を反応容器3の傾きと平行に移動させる機構、例えば、乾燥セル75の駆動機構(図示せず)に設けられたカム機構によって垂直動作を斜方動作に変換する機構が設けられる。
また、分析制御部25及び制御部27は、第1セクションと同様にして、第2セクションを制御することができ、第1セクションの制御として述べたことを適宜選択して用いることができる。
また、測光部13が反応容器3内の液体、例えば、混合液に光を照射する方向は、傾斜方向と直交する方向であることが好ましい。この場合、反応容器3の面うち、傾斜面と直交する方向の垂直面に光を照射するので、従来公知の測光部13の構成をそのまま用いることが可能となる。
[自動分析装置の動作]
次に、この実施形態の自動分析装置の動作、特に第1試薬分注プローブ14の動作について説明する。
自動分析装置100は、操作部50からの第1試薬吐出量の入力等に基づいて、対応する反応容器3の管内壁の吐出位置を所定の計算式、例えば、前述した式(3)で算出し、制御部27は、算出された吐出位置に第1試薬分注プローブ14を移動する制御を行う。
所定の計算式は、反応容器容量、反応容器の傾き、反応容器の幅を既知ものとして、第1試薬吐出量を入力することで、吐出位置の鉛直方向の位置を得ることができる。この吐出位置は、例えば、傾斜内壁面3d1と底部3fとが交わる線分を基準として求めることができる。つまり、この線分上の所定の位置からこの線分と直交し、傾斜内壁面3d1に向かう方向にどのくらいの距離を移動させればよいかを算出する。
線分上の所定の位置は、例えば、この線分の中点となる位置である。傾斜内壁面3d1と底部3fとが交わる線分を基準線分とすることで、この線分上の所定の位置を基準位置58として予め記憶させておき、基準位置58から吐出位置55へ向かう方向と、その距離である第一の補正距離を求めることで、吐出位置を定めることができる。この場合、基準位置58から吐出位置55へ向かう方向は反応容器3が傾く方向である。これにより、第一の補正距離を計算することで吐出位置が定まるので、吐出位置を求める計算量を減らすことができ、計算時間の短縮となる。
第1試薬分注プローブ14は前述したように、移動機構によって水平方向に移動が可能である。移動機構は、例えば、1のパルス信号を受けることで第1試薬分注プローブ14を、1パルスに対して予め設定された距離移動させる。この場合においては、入力されたパルス信号に応じで、動作する移動機構を用いるが、この動作に限定されるものではなく、従来公知の移動機構を適宜用いることができる。
第1試薬分注プローブ14を、算出された第一の補正距離分、実際に移動させる場合には、第一の補正距離を第1試薬分注プローブ14の1パルスあたりの移動距離で割り、パルスのカウント数である補正パルス数を算出する。ここで、第1試薬分注プローブ14を基準位置まで移動させることができるパルスカウント値を移動パルス数とし、この移動パルス数に補正パルス数を加えたパルスカウント値を吐出位置パルス数とし、第1試薬分注プローブ14を吐出位置パルス数に対応した距離動かす。
第1試薬分注プローブ14の移動の形態は、この場合においては、移動パルス数に補正パルス数を加えた吐出位置パルス数を算出して、第1試薬分注プローブ14を位置の制御で吐出位置まで移動させる。
移動の別の形態としては、例えば、まず、移動パルス数によって第1試薬分注プローブ14を基準位置58まで移動させ、次に、補正パルス数によって吐出位置まで移動させる。この場合、補正パルス数の算出は、例えば、第1試薬分注プローブ14が基準位置58まで移動する間になされる。第1試薬分注プローブ14の移動と第一の補正距離の算出を同時に行うことで、第1試薬分注プローブ14が吐出位置に到達するまでの所要時間を短縮することができる。
吐出位置に移動した第1試薬分注プローブ14は傾斜内壁面3d1に設定された吐出位置、又はその近傍の位置に第1試薬を吐出する。第1試薬は、反応容器3の開口部3bから所定距離離れた位置から、鉛直下方向に吐出される。
図10は反応容器3に第1試薬を吐出するまでの流れを示したフローチャートである。
図10に示すように、反応容器3の収容部3eへ供給する第1試薬の量に対応した吐出位置を算出し、この吐出位置に吐出した第1試薬が当たるようにするため、第1試薬分注プローブ14を水平移動させる。第1試薬分注プローブ14が、前記吐出位置に対向する位置に達すると、その移動を停止し、吐出部14dから鉛直下方向に第1試薬を吐出する。
以下に、図10を参照して具体的な第1試薬の吐出の流れについて述べる。
まず、所定の反応容器3に対してA(μl)の第1試薬の吐出をするという指示入力を操作部50によって行う(ステップS001)。
データ記憶部32に予め記憶された、反応容器3の容量B(μl)、傾斜内壁面3d1の開口部3bから底部3fに向けて光を当てた射影の、傾斜内壁面3d1が傾く方向の距離である傾き幅C(mm)及び、第1試薬分注プローブ14を傾斜内壁面3d1と底部3fとが交わる線分上の所定の位置である基準位置58まで移動させるパルスのカウント数D(カウント)を呼び出す(ステップS002)。
次に、基準位置58から吐出位置55までの距離である第一の補正距離E(mm)を数式(4)に基づいて算出する(ステップS003)。この場合、第1試薬が分注される反応容器3は空であるので、Aは、第1試薬の吐出量となる。一方で、反応容器3に予め試料等がA1(μl)分注されている場合には、A(μl)は、この試料と試薬とを合計した全量A2(μl)=A(μl)+A1(μl)に置き換えられる。
第1試薬分注プローブ14の1パルスあたりの移動距離をF(mm)として、第一の補正距離Eに対応するパルスのカウント数G(カウント)を数式(5)に基づいて算出する(ステップS004)。
次に、第1試薬分注プローブ14を吐出位置に移動させるために、移動機構に入力する総カウント数H(カウント)を数式(6)に基づいて算出する(ステップS005)。
制御部27は、移動機構にH(カウント)のパルスを入力して、第1試薬分注プローブ14を移動させ、吐出部14dから反応容器3に向けて、鉛直下向きに第1試薬を吐出する(ステップS006)。
<実施例>
次に、この実施の形態の自動分析装置100の実施例について図を参照して説明する。この実施例は、図10に示したフローチャートに対応して処理が行われる。
図11は、この実施例で用いる反応容器3の構成を示した側面図及び上面図、図12は、この実施例における吐出位置55及び第1試薬分注プローブ14の動作を示した側面図及び上面図である。これらの図においては、簡単のため、管の内壁を3c1、3d1、3f1を有して構成された収容部3eを反応容器3として示している。また、この図に示す斜線部は、収容部3eに溜まった液体を明確に示すものであって、反応容器3の断面を示すものではない。また、水平方向をx方向及びy方向、鉛直方向をz方向としている。
図11に示すように、この実施例において使用する反応容器3は、直方体の収容部3eを有する角柱形状を有し、収容部3eは、底面が5(mm)×4(mm)の矩形状(長方形状)で、高さが40(mm)であり、800(μl)の容積を有する。反応容器3は、上部から見た時に、傾斜面3dの下辺と上辺との変位が1(mm)となるように、x方向に向かって傾けられる。このとき、反応容器3は、z軸である鉛直方向に対して約1.5°傾斜する。この場合、傾斜内壁面のx軸に対する正射影のx方向距離である傾き幅Iは1(mm)となる。
また、第1試薬分注プローブ14は、長手方向がz軸である鉛直方向に平行に設けられており、x−y平面を水平に移動が可能なスライド移動機構を備えている。このスライド機構は、例えば、各反応容器3の傾斜内壁面3d1が向く方向に沿って水平方向に延びるレールと、ステッピングモータとを組み合わせたもの等の従来公知のものを適宜選択して構成されている。
このスライド移動機構は、コンピュータからの指示入力に基づいて、ステッピングモータにパルスが供給されることでx−y平面上の所望の位置に第1試薬分注プローブ14を移動させることができる。第1試薬分注プローブ14を移動させる場合には、例えば、このステッピングモータにパルスを与えることによって、第1試薬分注プローブ14をx方向の所望の位置に移動させることができる。
前述のように構成された反応容器3に、吐出部14dから第1試薬を400(μl)供給する場合において、まず、反応容器への第1試薬の供給量が400(μl)であることを、自動分析装置に備えられたコンピュータの操作部から入力する。
次に、コンピュータの記憶装置に予め記憶された、反応容器の800(μl)、傾き幅1(mm)及び、第1試薬分注プローブ14を、第1試薬の吸入位置から基準位置58までの移動に対応したパルスカウント数1000(カウント)を呼び出す。
次に、基準位置58から吐出位置55までの距離である第一の補正距離を数式(1)に基づいて算出する。そうすると、第一の補正距離Jは、1(mm)×(400(μl)/800(μl))=0.5(mm)となる。
ここで、1パルスあたりに第1試薬分注プローブ14が移動する距離は0.1(mm)である。そうすると、補正パルスは、0.5(mm)/0.1(mm)=5(カウント)となる。
その結果、第1試薬分注プローブ14を吐出位置に移動させるために、移動機構に入力する総カウント数は、第1試薬の吸入位置から基準位置まで移動させるパルスカウント数と補正パルスとの合計1000+5=1005(カウント)となる。
図12は、予め基準位置58に対応する位置に第1試薬分注プローブ14を移動させておき、第一の補正距離の分だけ、第1試薬分注プローブ14を傾斜内壁面3d1側に移動させている。
第1試薬の吸入行程は、従来公知の方法を適宜選択して行う。第1試薬の供給量は400μlであり、第1試薬分注プローブ14内には、当該量の第1試薬が保持されている。
次に、ポンプを駆動させることによって、吐出部14dから反応容器3の吐出位置55に向けて、z軸下方向、すなわち鉛直下方向に第1試薬を吐出する。
第1試薬分注プローブ14は、400μlの第1試薬の吐出を終えると、洗浄槽等に移動し洗浄された後に、別の反応容器3に第1試薬を供給するために同様な行程を繰り返す。
この実施例においては、数式(1)を用いることによって、第1試薬の液面位置を底部3fの位置から、反応容器3が延びる方向に約20mmの位置としている。しかしながら、液面54の正確な位置は、液面の傾き、表面張力等によって当該位置よりも高い位置55aとなるため、適宜補正してこの補正後の液面位置を求める必要がある。
この補正は、例えば、底部3fから、反応容器3が延びる方向の液面位置を補正することで、傾き幅の位置を補正する。
ここで、液面54の傾きによる液面位置の補正をすると、液面54の反応容器3が延びる方向の位置は、20mm+4mm×tanθ×(1/2)となる。ここで、θ=1.5°とすると、第二の補正距離は、0.05mmとなり、液面の反応容器3が延びる方向の位置は20+0.05=20.05(mm)となる。そうすると、傾き幅の増加分は、0.00125(mm)となり、ほとんど無視できるほどの大きさとなる。このため、この実施例のように、これらの補正を省略することもできる。
一方、表面張力による液面位置の補正をする場合には、使用する液体の特性、反応容器3の内壁のぬれ性を勘案して接触角度を算出することで行う。この場合においても傾き幅の増加分が微小である場合には、この実施例のように、この補正を省略することもできる。こうして補正された吐出位置55が決定される。こうして補正された吐出位置55が決定される。
また、図11に示すように、吐出位置55の鉛直方向位置(z方向位置)は、前述した液面54の位置よりも所定距離、鉛直下方(−z方向)に設定することもできる。この鉛直方向位置は、液面54に液体が吐出されても泡立ちが起きない程度の位置であって、具体的には、吐出完了時の液面と傾斜内壁との交点近傍である。この位置の具体例としては、液面54から傾斜内壁面3d1に沿って鉛直下方(−z方向)に30mmまでの位置が挙げられる。
また、第2セクションの動作、特に第2試薬分注プローブ15の動作は、第1セクションの動作、特に第1試薬分注プローブ14の動作と同様であり、第1試薬分注プローブ14の動作として述べたことを適宜選択して用いることができる。
[自動分析装置の作用、効果]
この実施形態の自動分析装置100の作用、効果を説明する。
この実施形態の自動分析装置100においては、反応容器3を傾けることで傾斜内壁面3d1を形成し、この傾斜内壁面3d1に向けて鉛直下方向に試薬を吐出したので、試薬が傾斜内壁面3d1を伝って底部3fに達する。これにより、反応容器3に試薬を分注する場合に、試薬が飛び散ることを抑制することができる。
また、収容部3eに試薬が吐出される場合に、混合液の最終的な液面54となる位置を吐出位置55とし、この吐出位置55の近傍に試薬を吐出したので、液面54において試薬が巻き込む空気を最小限とすることができる。
これらのことから、この実施形態による自動分析装置100は、反応容器3を傾けることで傾斜内壁面3d1を形成し、この傾斜内壁面3d1に向けて鉛直下方向に試薬を吐出したので、試薬が傾斜内壁面3d1を伝って底部3fに達する。これにより、反応容器3に試薬を分注する場合に、試薬が飛び散ったり、液中に空気が混入したりすることを抑制することができる。
また、収容部3eに試薬が吐出される場合に、混合液の最終的な液面54となる位置を吐出位置とし、この吐出位置の近傍に試薬を吐出したので、液面54において試薬が巻き込む空気を最小限とすることができる。また、吐出部14dの位置を、反応容器3の開口部3bと鉛直方向に所定距離離れた位置としたので、第1試薬分注プローブ14を水平移動させても、第1試薬分注プローブ14と反応容器3とが衝突することがない。
また、吐出部14dからは鉛直下方向に液体が吐出するので、吐出部14dと開口部3bとが離間していても、反応容器3内に液体を供給することができる。これにより、分注工程の反応容器3への吐出時において、第1試薬分注プローブ14の縦方向の制御が不要となり、分注工程の短縮化を図ることができる。
<第2の実施形態>
[自動分析装置]
この実施形態による自動分析装置100は、第1の実施形態と同様に分析部24を備え、反応ディスク4に保持された複数の反応容器3を備える。
図13は、この実施形態の自動分析装置100における、反応容器3を示した側面図及び上面図である。この反応容器3は、側面の一面が傾斜面で構成されている。
図13に示すように、反応容器3の形状は、一方に開口部3bを備え、他方が閉口した底部3fを備えた角筒形状を有し、反応容器3を構成する側面3hが傾斜面3gを含んで構成されている。傾斜面3gを含む側面3hは、底部3fから所定距離の位置まで鉛直上方に延び、この位置から開口部3bに至るまで、鉛直上方に対して所定角度傾斜した方向に延びる。これにより、側面3hの内壁面である傾斜内壁面3g1は、開口部3bの方向を向く傾斜面となる。また、側面の少なくとも一部が傾斜面3gで構成されていてもよく、側面が鉛直面と傾斜面とを組み合わせた形状であってもよい。これは、例えば、中央部に斜面、両側部に鉛直面を組み合わせた形状等が挙げられる。この場合、傾斜面3gの傾斜角度は、例えば、角度θとして前記した実施形態の構成を適宜選択することができる。
また、この図の上面図に示すように、この側面3hを挟む側面3i及び3jは、それぞれの面が側面3hと直交している。側面3hに対向する側面3kも側面3i及び3jに挟まれており、同様にそれぞれの面が側面3kと直交している。
また、この図の側面図に示すように、側面3hを構成する辺は、開口部3b及び底部3fに対応する辺は、水平方向に延びる線分であって、開口部3bに対応する線分の長さが、底部3fに対応する線分の長さよりも長い。また、側面3kに直交する辺は、底部3fから開口部3bにかけて鉛直上方に延びる線分となり、側面3hに直交する辺は、底部3fから所定距離の位置まで鉛直上方に延びる線分と、この位置から開口部3bに至るまで、鉛直上方に対して所定角度傾斜した方向に延びる線分とが組み合わされた線分となる。側面3hは、この4つの辺の端部を接続した形状を有し、長方形の上辺と、台形の下底とを共通辺として組み合わせた形状となる。この台形の形状は、下底の長さが、上底の長さよりも短く、脚の一方が鉛直方向に延びる線分、他方の脚が斜めに延びる線分となる。
図14は、この実施形態の自動分析装置100において、反応容器3が反応ディスク4に保持される一例を示した断面図である。この図において太線は、反応容器3の外形を示し、太線破線部は、反応容器3のうち反応ディスク4内に埋設された部分を示す。また細線破線部は、内部構成を示し、この場合においては、試薬等が溜まる収容部3eを構成する内壁を示す。
図14に示すように、反応容器3は、反応ディスク4の主面を貫通する形態で、反応ディスク4の主面に対して垂直な方向に保持されている。反応容器3は、同様に反応ディスク4に設けられた開口である孔部4bに挿入されることで、図3において示したものと同様にして反応ディスク4に保持される。この場合、の孔部4bの形状は、傾斜部を保持する辺が短辺となる矩形状となる。反応容器3及びその保持形態のその他の構成は、図3A及び図3Bに示したものと同様に構成することができる。
また、反応容器3は、反応ディスク4の主面に対して垂直に保持されるので、洗浄機構65の洗浄機構プローブ66の長手方向と開口部3bの開口面とがなす角度が垂直となる。これにより、反応容器3への洗浄機構プローブ66の挿入が容易となる。また、乾燥セル75を反応容器3の収容部3eに対して、開口部3bに対して垂直方向に挿入することができる。
この実施形態による自動分析装置100のその他の構成は第1の実施形態と同様であって、特に、反応容器3のその他の構成は、傾斜内壁面3d1を傾斜内壁面3g1に読み替えることで、第1の実施形態と同様に構成することができる。
また、反応容器3の下部3lを直方体形状としたので、測光部13による反応容器3内の液体、例えば、混合液に対する光の照射を、下部3lに対してすることで、全ての側面を照射面とすることができる。この場合、反応容器3の面うち、傾斜面3gと直交する方向の垂直面に光を照射するので、従来公知の測光部13の構成をそのまま用いることが可能となる。また、傾斜面3gには測光部13空の光が照射されないので、傾斜面3gの位置を適宜選択して反応ディスク4等に設けることができる。また、反応容器3を構成する側面のうち、複数の側面を傾斜面3gで構成することができる。つまり、反応容器3の側面のうちの少なくとも1面を傾斜面3gで構成することができる。
[自動分析装置の動作]
この実施形態による自動分析装置100の動作は、反応容器3の傾斜内壁面3d1を傾斜内壁面3g1に読み替えることで、第1の実施形態と同様の動作を実現することができる。
図15A及び図15Bは、反応容器3を反応ディスク4の主面に垂直に設けた時の吐出位置55を示した側面図及び上面図である。この図において示す座標系は、上面図に対応する。この図に示す斜線部は、反応容器3の収容部に溜まった液体を明確に示すものであって、反応容器3の断面を示すものではない。
図15Aに示すように、この実施例において使用する反応容器3は、傾斜内壁面3g1を有する。また、この反応容器3の鉛直方向長さ、底部3fの大きさ、傾斜面3gの角度等は、例えば、第1の形態の角度θと同様に設定される。
図15Bに示すように、吐出位置55は、例えば、傾斜内壁面3d1を傾斜内壁面3g1に読み替えて、図10において示したフローチャートと同様に決定することができる。
この場合、反応容器3は反応ディスク4の主面に対して垂直に保持されるので、液面54の傾斜による液面位置の補正をする必要がなくなる。また、反応容器3が、第1試薬分注プローブ14に対して傾斜していないので、吐出部から吐出された第1試薬が、傾斜内壁面3g1と対向する面の外壁面に遮られることがない。
この実施形態による自動分析装置100の動作の説明は第1の実施形態と同様である。
[自動分析装置の作用、効果]
この実施形態による自動分析装置100は、傾斜内壁面3g1を備える反応容器3を反応ディスク4の主面に対して垂直に保持する以外の構成は、第1の実施形態と同様に構成されるので、第1の実施形態と同様な作用、効果を奏することができる。さらに、反応容器3の側面のうち少なくとも一面を傾斜面3gで構成したので、反応ディスク4に対して垂直に設けることができる。これにより、反応容器3への洗浄機構プローブ66の挿入が容易となる。また、乾燥セル75を反応容器3の収容部3eに対して、開口部3bに対して垂直方向に挿入することができる。また、吐出位置55の決定の際の液面54の傾斜による液面54の位置の補正をする必要がなくなる。また、反応容器3が、第1試薬分注プローブ14に対して傾斜していないので、吐出部から吐出された第1試薬が、傾斜内壁面3g1と対向する面の外壁面に遮られることがない。
<第3の実施形態>
[自動分析装置]
自動分析装置100は、第1の実施形態と同様に分析部24を備え、反応ディスク4に保持された複数の反応容器3を備える。
図16Aは、この実施形態の自動分析装置100において、反応ディスク4の主面を貫通するような形態で保持された反応容器3が、第1試薬が分注される分注位置14cに達したときの一例を示す部分断面図である。この図においては、反応容器3の支持構造を示すために反応ディスク4及び支持部37は断面を示し、その他の構成は側面を示している。
図16Aに示すように、反応容器3は、支持部37を介して反応ディスク4に保持されており、反応容器3は反応ディスク4の主面に対して垂直に設けられている。反応容器3は例えば、直方体形状の収容部3eを備えた直方体形状を有する。
支持部37は、可撓性を有する材料で構成された可撓体である。また、分注位置14cにおいて、反応ディスク4の下方には可動機構110を有する。可動機構110は、反応ディスク4が回転することによって、反応容器3が分注位置14cに達した場合に、反応容器3の底部3fと可動機構110の上面42とが、所定距離をおいて互いに対向するように設けられる。反応容器3において、支持部37が設けられる位置は、側面であればよく、側面部のうち開口部3bの近傍の位置である首部近傍であることが好ましい。
図16Bは、分注位置14cに達した反応容器3が、可動機構110内に備えられた可動体111に押されることによって傾斜する様子を示したものである。
図16Bに示すように、可動機構110は、反応容器3の側面を押す可動体111を有している。可動体111は、可動機構110の内部に収納されており、反応容器3が分注位置14cに達すると、可動機構110の上面42から可動体111が鉛直方向に向かって突出する。可動体111を示す斜線は、可動体111を明確に示すものであって断面を示すものではなく、以下同様である。
可動体111は、例えば、鉛直方向に延びるくさび型形状を有し、このくさび型形状を構成する斜面111aが反応容器3の側面に接し、この側面に沿って鉛直上方に延びることで、反応容器3は斜面111aが向く方向に力を受ける。反応容器3は、変形可能な可撓体で構成された支持部37によって首部近傍が支持されているので、支持部37が変形することにより。反応容器3は、斜面111aが向く方向に傾く。この場合、反応容器3は、可動体111に接する側面が、可動体111の頂部111bに対応するような位置に停止する。
反応容器3が傾く方向は、可動体111の斜面111aが反応容器3の側面のうちのどれに接するかによって適宜選択することができる。このことにより、反応容器3の側面のうち特定の側面に可動体111の斜面111aが接するように可動機構110を構成又は配置することで、反応容器を傾ける方向を適宜選択することができる。また、反応容器3を傾ける角度は、可動体111の反応容器3の側面に接する斜面111aと鉛直方向とがなす角度を適宜設定することで決定することができる。この角度を、例えば、前記に挙げた角度θとして可動体111の斜面111aにおける傾きを決定することが好ましい。
図17Aは、この実施形態の自動分析装置100において、回動可能な回転軸で構成された支持部38に支持された反応容器3が、第1試薬が分注される分注位置14cに達したときの別の一例を示す部分断面図である。この図においては、反応容器3の支持構造を示すために反応ディスク4及び支持部38は断面を示し、その他の構成は側面を示している。
図17Aに示すように、反応容器3は、回転軸で構成された支持部38によって保持されている。反応容器3は、この回転軸が回動することによって、回転軸が延びる方向に直交する方向に傾斜する。反応容器3は反応ディスク4の主面に対して垂直に設けられている。反応容器3は、同様に、例えば、直方体形状の収容部3eを備えた直方体形状を有する。
支持部38は、前述したように回転軸で構成されており、反応容器3を構成する側面のうち対向する側面の外壁部に、軸中心を共通にしてそれぞれ設けられる。反応容器3において、支持部38が設けられる位置は、側面であればその位置は限定されるものではないが、同様に首部近傍であることが好ましい。また、支持部38は、反応容器3が、分注位置14cにない場合に、反応容器3の意図しない動作を抑制するストッパーを有していてもよい。反応容器3の位置が分注位置14cでない場合には、ストッパーにより支持部38が固定されることで反応容器3が鉛直方向を向く形態で固定される。一方で、反応容器3の位置が分注位置14cとなった場合には、ストッパーが外れ支持部38が回動可能となることで、反応容器3が可動となる。
図17Bは、分注位置14cに達した反応容器3が、可動機構110内に備えられた可動体111に押されることによって傾斜する様子を示したものである。
図17Bに示すように、可動機構110は、前記したものと同様な構成を有し、反応容器3が分注位置14cに達すると、可動機構110の上面42から可動体111が鉛直方向に向かって突出する。
可動体111は、同様にくさび型形状を有し、斜面111aが前記と同様に反応容器3の側面のうち支持部38を備えない側面に接することで前記と同様に反応容器3は斜面111aが向く方向に力を受ける。反応容器3は、回動可能な回転軸で構成された支持部38で首部近傍が保持されているので、支持部38が回動することにより。反応容器3は、斜面111aが向く方向に傾く。その他のことは、図3A及び図3Bに示したものと同様にして構成することができる。
この実施形態による自動分析装置100の動作のその他のことは第1の実施形態と同様である。
また、反応容器3を傾斜させる可動機構110、反応容器3の傾斜方法、反応容器3を傾ける動作等は、例えば、特許文献2に記載された技術を適宜選択することによって構成されてもよい。
[自動分析装置の作用、効果]
この実施形態による自動分析装置100は、反応容器3が傾斜内壁面を有するように可動とした以外のことは、第1の実施形態と同様に構成されるので、第1の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。さらに、反応容器3を可動とし、可動機構110に備えられた可動体111によって側面が任意の方向に押されることによって、反応容器3に所望の角度の傾斜内壁面を形成することができる。また、分注位置14cに反応容器3が達した場合において、傾斜内壁面の形成が行われるので、分注位置14c以外の位置においては、反応容器3は反応ディスク4の主面に対して垂直に保持される。これにより、反応容器3への洗浄機構プローブ66の挿入が容易となる。また、乾燥セル75を反応容器3の収容部3eに対して、開口部3bに対して垂直方向に挿入することができる。
また、第1〜3の実施形態の自動分析装置100においては、反応ディスク4の回転によって、回動輸送される反応容器3について述べたが、反応容器3が、リニア駆動機構等によって直線輸送される場合にあっても適用することができる。この場合においては、反応容器3は、反応容器3が傾く方向に直線的に輸送され、第1試薬分注プローブ14は、反応容器3が傾く方向に直線的に移動することが好ましい。
また、第1〜3の実施形態の自動分析装置100は、例えば、容器に分注プローブを用いて分注する分注装置にも適用することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるととともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。