以下、図面を参照して、試薬カートリッジが適用される自動分析システムの実施形態について詳細に説明する。なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、一つの実施形態に記載した内容は、原則として他の実施形態にも同様に適用される。
(実施形態)
図1は、本実施形態に係る試薬カートリッジが適用される自動分析システム100の構成の一例を示すブロック図である。図1に示す自動分析システム100は、分析装置70と、駆動装置80と、処理装置90とを備えている。
分析装置70は、各検査項目の標準試料や被検体から採取された被検試料(血液や尿などの生体試料)と、各検査項目の分析に用いる試薬との混合液を測定して、標準データや被検データを生成する。分析装置70は、試料の分注、試薬の分注等を行う複数のユニットを備え、駆動装置80は、分析装置70の各ユニットを駆動する。処理装置90は、駆動装置80を制御して分析装置70の各ユニットを作動させる。
処理装置90は、入力装置50と、出力装置40と、処理回路30と、記憶回路60とを有する。
入力装置50は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、各検査項目の分析パラメータを設定するための入力、被検試料の被検識別情報及び検査項目を設定するための入力等を行う。
出力装置40は、プリンタと、ディスプレイとを備えている。プリンタは、処理回路30で生成された検量データや分析データの印刷を行う。ディスプレイは、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶パネルなどのモニタであり、処理回路30で生成された検量データや分析データの表示を行う。
記憶回路60は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置などである。
処理回路30は、システム全体を制御する。例えば、処理回路30は、図1に示すように、データ生成機能31及び分析制御機能32を実行する。分析制御機能32は、駆動装置80を制御して分析装置70の各ユニットを作動させる。データ生成機能31は、分析装置70で生成された標準データや被検データを処理して各検査項目の検量データや分析データを生成する。
ここで、例えば、処理回路30の構成要素であるデータ生成機能31及び分析制御機能32が実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路60に記録されている。処理回路30は、各プログラムを記憶回路60から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路30は、図1の処理回路30内に示された各機能を有することとなる。ここで、データ生成機能31は、データ生成部の一例である。分析制御機能32は、分析制御部の一例である。
なお、図1においては、単一の処理回路30にて、以下に説明する各処理機能が実現されるものとして説明するが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路60に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路60にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
図2は、本実施形態における分析装置70の構成の一例を示す斜視図である。
分析装置70は、複数の試料容器11を保持するサンプルディスク5を備えている。試料容器11は、各検査項目の標準試料や被検試料等の試料を収容する。
分析装置70は、更に、円周上に配置された複数の反応容器3と、複数の反応容器3の各々を回転移動可能に保持する反応ディスク4とを備えている。
分析装置70は、更に、試料分注プローブ16と、試料分注アーム10と、試料分注ポンプユニット16aと、試料検出器16bと、洗浄槽16cとを備えている。試料分注プローブ16は、試料の分注を行う。具体的には、試料分注プローブ16は、サンプルディスク5に保持された試料容器11内の試料を検査項目毎に吸引して、当該検査項目の分析パラメータとして設定された量の試料を反応容器3内へ吐出する。試料分注アーム10は、試料分注プローブ16を回動及び上下移動可能に支持する。試料分注ポンプユニット16aは、試料分注プローブ16に試料の吸引及び吐出を行わせる。試料検出器16bは、サンプルディスク5に保持された試料容器11内の試料の液面に、当該液面の上方から下降した試料分注プローブ16の先端部が接触することにより、試料容器11内の試料を検出する。例えば、試料検出器16bは、試料分注プローブ16と電気的に接続され、試料分注プローブ16の先端部が試料容器11内の試料と接触したときの静電容量の変化により、試料容器11内の試料を検出する。洗浄槽16cは、試料分注プローブ16を試料の分注終了毎に洗浄する。
分析装置70は、更に、複数の試薬カートリッジ6と、複数の試薬カートリッジ6の各々を格納する試薬庫1と、複数の試薬カートリッジ7と、複数の試薬カートリッジ7の各々を格納する試薬庫2とを備えている。試薬カートリッジ6は、試料に含まれる各検査項目の成分と反応する成分を含有する試薬を収容する。例えば、試薬カートリッジ6は、1試薬系の試薬又は2試薬系の第1試薬を収容する。試薬庫1は、各検査項目の試薬カートリッジ6を回動可能に保持するターンテーブルである試薬ラック1aを備えている。試薬カートリッジ7は、各検査項目の2試薬系の第2試薬を収容する。試薬庫2は、各検査項目の試薬カートリッジ7を回動可能に保持するターンテーブルである試薬ラック2aを備えている。
ここで、輸送前において、試薬カートリッジ6、7に試薬が封入され、輸送後において、試薬カートリッジ6、7はそれぞれ試薬庫1、2に格納される。試薬カートリッジ6、7は、それぞれ、検査項目の分析パラメータとして設定された量の試薬を試薬供給プローブ6a、7aにより反応容器3内に吐出する。
分析装置70は、更に、測定部13と、反応容器洗浄ユニット12とを備えている。測定部13は、試料及び試薬の混合液を収容する反応容器3に、光を照射して混合液を測定する。具体的には、測定部13は、回転移動している測定位置の反応容器3に光を照射し、この照射により反応容器3内の試料及び試薬の混合液を透過した光を検出する。そして、測定部13は、検出した信号を処理してデジタル信号で表される標準データや被検データを生成して処理装置90の処理回路30に出力する。反応容器洗浄ユニット12は、測定部13による測定が終了した反応容器3内を洗浄する。
駆動装置80は、分析装置70の各ユニットを駆動する。
駆動装置80は、分析装置70のサンプルディスク5を駆動する機構を備え、各試料容器11を回動移動させる。また、駆動装置80は、試薬庫1の試薬ラック1aを駆動する機構を備え、各試薬カートリッジ6を回動移動させる。また、駆動装置80は、試薬庫2の試薬ラック2aを駆動する機構を備え、各試薬カートリッジ7を回動移動させる。また、駆動装置80は、反応ディスク4を駆動する機構を備え、各反応容器3を回転移動させる。
また、駆動装置80は、試料分注アーム10を回動及び上下移動させる機構を備え、試料分注プローブ16を試料容器11と反応容器3との間で移動させる。また、駆動装置80は、試料分注ポンプユニット16aを駆動する機構を備え、試料分注プローブ16に試料を分注させる。すなわち、試料分注プローブ16に試料容器11の試料を吸引させ、当該試料を反応容器3に吐出させる。
また、駆動装置80は、図2及び図3に示すように、試薬供給ポンプユニット8、9を備えている。図3は、本実施形態における分析装置70の構成の一例を示す側断面図である。ここで、図3において、図2に示すサンプルディスク5、試料分注アーム10、試料容器11、試料分注プローブ16、試料分注ポンプユニット16a、試料検出器16b、洗浄槽16c、反応容器洗浄ユニット12、測定部13などの図示が省略されている。
試薬カートリッジ6は、試薬供給プローブ6aと試薬供給ユニット6bとを備えている。試薬供給ユニット6bは、検査項目の分析パラメータとして設定された量の試薬を試薬供給プローブ6aにより反応容器3内に吐出させる。試薬カートリッジ7は、試薬供給プローブ7aと試薬供給ユニット7bとを備えている。試薬供給ユニット7bは、検査項目の分析パラメータとして設定された量の試薬を試薬供給プローブ7aにより反応容器3内に吐出させる。試薬供給ユニット6b、7bの構成については後述する。
試薬供給ポンプユニット8は、ポンプヘッド8aと端子8bとを備えている。試薬供給ポンプユニット9は、ポンプヘッド9aと端子9bとを備えている。試薬庫1、2は反応ディスク4の上方に設けられ、ポンプヘッド8a、9aは、それぞれ、試薬庫1、2に格納された複数の試薬カートリッジ6、7のうち、試薬を吐出させる試薬カートリッジ6、7の試薬供給ユニット6b、7bと接続される。端子8b、9bは、それぞれ、試薬供給ポンプユニット8、9を移動可能に支持するアームと接続され、駆動装置80は、当該アームを移動させる機構を備える。また、駆動装置80は、試薬供給ポンプユニット8、9を駆動する機構を備える。試薬供給ポンプユニット8、9や駆動装置80の動作等については後述する。
以上、本実施形態に係る試薬カートリッジ6、7が適用される自動分析システム100の全体構成について説明した。以下、本実施形態に係る試薬カートリッジ6、7を、図4に示す試薬カートリッジ200として説明する。
図4は、本実施形態に係る試薬カートリッジ200の構成の一例を示す図である。図4に示すように、本実施形態に係る試薬カートリッジ200は、ケース240と、ケース240に内蔵された試薬供給プローブ210及び試薬供給ユニット220とを備えている。
ここで、試薬供給プローブ210の先端部210aは、例えば、図3に示す試薬供給プローブ6a、7aに相当する。また、試薬供給ユニット220は、例えば、図3に示す試薬供給ユニット6b、7bに相当する。試薬供給プローブ210は、吐出部の一例である。
試薬供給ユニット220は、チューブ221を備えている。チューブ221は、筒状部材の一例である。
図5は、本実施形態に係る試薬カートリッジ200のチューブ221内に充填される試薬の一例を示す図である。図5に示すように、チューブ221内には、試薬が充填される試薬層221cと、試薬と反応しない媒体(以下、「第1の媒体」と記載する)が充填される媒体層221dとが交互に配置されている。すなわち、試薬と第1の媒体とは、試薬カートリッジ200の輸送前に、工場などで、交互にチューブ221内に充填される。
チューブ221内に試薬と第1の媒体とが充填された場合、図4に示すように、チューブ221は、巻かれた状態でケース240内に収納される。なお、チューブ221は、一部のみが巻かれた状態でもよいし、伸びた状態でもよいし、図4に示す状態に限定されない。
ここで、チューブ221内には、検査項目の分析パラメータとして設定された量の試薬が充填される。例えば、チューブ221の内径を3mmとし、チューブ221の長さを3mとする。検査項目の分析パラメータとして設定された量を50μLとした場合、50μLの試薬が、例えば400ショット程度、チューブ221内に充填される。また、検査項目の分析パラメータとして設定された量を75μLとした場合、75μLの試薬が、例えば267ショット程度、チューブ221内に充填される。また、検査項目の分析パラメータとして設定された量を100μLとした場合、100μLの試薬が、例えば200ショット程度、チューブ221内に充填される。
チューブ221の先端221aには、試薬供給プローブ210が設けられている。例えば、ケース240の底面部には貫通した孔が形成され、試薬供給プローブ210の先端部210aは、ケース240の底面部の孔から露出する。
例えば、チューブ221から試薬供給プローブ210を経由して試薬が1ショット分吐出したときに、その試薬の一部がチューブ221内に残留することは好ましくない。そのため、チューブ221は、撥水性を有する部材で形成されている。例えば、チューブ221は、フッ素樹脂によって形成されている。なお、チューブ221の部材は、その内表面をフッ素系の薬剤で処理して薄膜を作ることにより、チューブ221内で試薬をはじくものであれば、フッ素樹脂に限定されない。
また、チューブ221内に試薬と第1の媒体とを交互に充填したときに、第1の媒体が試薬と反応することは好ましくない。そのため、第1の媒体は、試薬と反応しない媒体であることが好ましい。例えば、第1の媒体としては、窒素等の気体が好ましい。なお、第1の媒体は、試薬と反応しない媒体であれば、窒素に限定されない。
図4に示すように、チューブ221の先端221aとは反対側の終端221bは、試薬供給ポンプユニット230に接続される。試薬供給ポンプユニット230は、ポンプヘッド230aと端子230bとを備えている。
ここで、試薬供給ポンプユニット230は、図3に示す試薬供給ポンプユニット8、9に相当する。また、ポンプヘッド230aは、図3に示すポンプヘッド8a、9aに相当し、端子230bは、図3に示す端子8b、9bに相当する。試薬供給ポンプユニット230は、注入部の一例である。
端子230bは、試薬供給ポンプユニット230を移動可能に支持するアームと接続される。例えば、処理装置90の分析制御機能32は、試薬を吐出させる試薬カートリッジ200と試薬供給ポンプユニット230とを接続させる制御信号を駆動装置80に出力する。この場合、駆動装置80は、当該制御信号に応じて、試薬供給ポンプユニット230を移動可能に支持するアームを移動させて、当該試薬カートリッジ200の試薬供給ユニット220のチューブ221の終端221bと試薬供給ポンプユニット230のポンプヘッド230aとを接続させる。具体的には、ケース240の上面部には貫通した孔が形成され、チューブ221の終端221bは、ケース240の上面部の孔から僅かに露出する。チューブ221の終端221bには、例えば、ゴム製のオーリングが設けられ、当該オーリングをポンプヘッド230aが覆う又は掴むことにより、チューブ221の終端221bとポンプヘッド230aとが接続される。
例えば、処理装置90の分析制御機能32は、1ショット分の試薬を吐き出すための媒体(以下、「第2の媒体」と記載する)を試薬供給ポンプユニット230から試薬カートリッジ200に注入させる制御信号を駆動装置80に出力する。この場合、駆動装置80は、当該制御信号に応じて、試薬供給ポンプユニット230を駆動して、第2の媒体をポンプヘッド230aから排出するように、試薬供給ポンプユニット230を制御する。例えば、試薬供給ポンプユニット230の端子230bには、駆動装置80からアームを介して媒体を吸入させるための吸入口が設けられている。また、試薬供給ポンプユニット230の端子230bには、駆動装置80がアームを介して試薬供給ポンプユニット230を制御するための信号線が接続されている。駆動装置80は、当該制御信号に応じて、当該吸入口から吸い込んだ媒体を第2の媒体としてポンプヘッド230aから排出するように、試薬供給ポンプユニット230を信号線により制御する。この場合、ポンプヘッド230aから試薬カートリッジ200の試薬供給ユニット220のチューブ221の終端221bに第2の媒体が注入され、第2の媒体により、試薬供給ユニット220のチューブ221の先端221aから試薬供給プローブ210を経由して反応容器3内に試薬が吐出される。
例えば、第2の媒体としては、空気が挙げられる。なお、空気は圧縮性があるため、第2の媒体としては、圧力を伝達する媒体であればよく、例えば、純水でもよい。
また、試薬供給ユニット220は、逆止弁222を備えている。図4に示すように、試薬供給ポンプユニット230が試薬供給ユニット220の外部に設けられている場合、チューブ221の終端221bには、試薬の逆流を防止するための逆止弁222が設けられる。すなわち、逆止弁222は、チューブ221の終端221bからケース240の外部に試薬が流れることを防止する。
また、試薬供給ユニット220は、フォトインタラプタ223を備えている。フォトインタラプタ223は、光を用いることにより、チューブ221の先端221a付近に媒体層221dが存在するか否かを検出する。例えば、フォトインタラプタ223は、検出結果を表す信号を、例えば無線信号により処理装置90に出力し、処理装置90の分析制御機能32は、フォトインタラプタ223の検出結果に基づいて、チューブ221内の試薬層221cと媒体層221dとの配置にズレが生じないように、試薬供給ポンプユニット230を制御する制御信号を駆動装置80に出力する。フォトインタラプタ223は、検出器の一例である。
例えば、フォトインタラプタ223の検出結果が媒体層221dの存在を表している場合、次のショットで吐出される試薬がチューブ221内の正しい位置に配置されている。この場合、駆動装置80は、処理装置90から出力された制御信号に応じて、試薬供給ポンプユニット230によって1ショット分の試薬を吐き出すための空気を、チューブ221の終端221bに注入する。このとき、試薬は、チューブ221の先端221aから試薬供給プローブ210を経由して反応容器3内に吐出される。
一方、フォトインタラプタ223の検出結果が試薬層221cの存在を表している場合、次のショットで吐出される試薬がチューブ221内の正しい位置に配置されていない。この場合、駆動装置80は、処理装置90から出力された制御信号に応じて、試薬供給ポンプユニット230によって配置のズレを調整するための空気を、チューブ221の終端221bに注入する。このとき、不要な試薬は、チューブ221の先端221aから試薬供給プローブ210を経由して、例えば、図示しない容器に破棄される。
以上、説明したとおり、本実施形態では、試薬カートリッジ200に試薬供給プローブ210と試薬供給ユニット220とを内蔵している。すなわち、本実施形態では、試薬カートリッジ200のチューブ221内に、検査項目の分析パラメータとして設定された量の試薬を充填しておく。これにより、本実施形態によれば、試薬の分注精度を試薬カートリッジ200の輸送前に確保することができる。また、本実施形態によれば、試薬の分注精度を簡易な構成で向上させることにより、分注プローブに試薬容器の試薬を吸引させる工程と、分注プローブに当該試薬を反応容器に吐出させる工程との両方を行うための高精度のポンプユニットが不要となり、システムの簡易化を図ることができる。
また、試薬の分注精度を分注プローブ、分注アーム及びポンプユニットにより確保するようなシステムでは、試薬容器は輸送後に開栓された状態で試薬庫に格納されるため、試薬が空気と接触し、劣化しやすい。一方、本実施形態では、試薬カートリッジ200の輸送前において、工場などで、試薬カートリッジ200のチューブ221内に、検査項目の分析パラメータとして設定された量の試薬を充填しておくことにより、試薬カートリッジ200は、輸送後に開栓された状態で試薬庫に格納されない。このため、本実施形態に係る試薬カートリッジ200によれば、試薬と空気との接触を避けることができ、試薬の寿命を長くすることができる。また、本実施形態に係る試薬カートリッジ200によれば、試薬と空気との接触を避けることで、試薬の常温保存が可能になり利便性が増す。常温保存は、製品の流通過程、使用場所での保管、試薬庫への保管時に適用されるため、利便性の観点において有効である。
(第1の変形例)
本実施形態では、試薬カートリッジ200は、試薬供給プローブ210と試薬供給ユニット220とを内蔵しているが、これに限定されない。例えば、本実施形態の第1の変形例では、図6に示すように、試薬カートリッジ200は、更に、試薬供給ポンプユニット230を内蔵してもよい。
図7は、本実施形態における分析装置70の構成の一例を示す側断面図である。ここで、図7において、図2に示すサンプルディスク5、試料分注アーム10、試料容器11、試料分注プローブ16、試料分注ポンプユニット16a、試料検出器16b、洗浄槽16c、反応容器洗浄ユニット12、測定部13などの図示が省略されている。ここで、図7において、試薬カートリッジ6、7は、それぞれ、試薬供給ポンプユニット8、9を備えている。なお、図7には、試薬供給ポンプユニット8、9として、それぞれ、端子8b、9bが図示されている。図7に示す試薬カートリッジ6、7は、図6に示す試薬カートリッジ200に相当する。図7に示す試薬供給ポンプユニット8、9は、図6に示す試薬供給ポンプユニット230に相当する。
(第2の変形例)
本実施形態では、駆動装置80は、試薬庫の試薬ラックを駆動する機構により、試薬カートリッジ6、7を回動移動させているが、これに限定されない。例えば、本実施形態の第2の変形例では、図8、図9に示すように、駆動装置80は、当該機構により、試薬カートリッジ6、7を平行移動させてもよい。この場合、図8、図9に示す試薬カートリッジ6、7は、図4に示す試薬カートリッジ200に相当する。
(第3の変形例)
本実施形態の第2の変形例では、試薬カートリッジ6、7は、試薬供給プローブ6a、7aと試薬供給ユニット6b、7bとを内蔵しているが、これに限定されない。例えば、本実施形態の第3の変形例では、図10に示すように、試薬カートリッジ6、7は、更に、試薬供給ポンプユニット8、9を内蔵してもよい。なお、図10には、試薬供給ポンプユニット8、9として、それぞれ、端子8b、9bが図示されている。この場合、図10に示す試薬カートリッジ6、7は、図6に示す試薬カートリッジ200に相当する。図10に示す試薬供給ポンプユニット8、9は、図6に示す試薬供給ポンプユニット230に相当する。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、試薬の分注精度を簡易な構成で向上させることができる。
本発明の実施形態を説明したが、本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。本発明の実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本発明の実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。