JP2015081146A - 収容棚の制震構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】地震時にワークを支える一対の支持部材を備えた架構同士において位相の異なる揺れを発生させ、制振手段による地震エネルギーの効率的な吸収を可能とする収容棚の制震構造の提供にある。【解決手段】柱部材と梁部材により囲まれた構面を有する複数の架構が、構面を互いに平行とするように配設され、複数の架構との間にワークWを収容可能とする架構空間が形成され、一方の架構は、架構空間へ向けて設置された第1支持部材24を備え、他方の架構は、架構空間へ向けて設置され、第1支持部材24と対向する第2支持部材25を備え、第1支持部材24と第2支持部材25により受承されるワークWを備えた収容棚の制震構造において、第1支持部材24は、ワークWと第1支持部材24との水平方向の相対変位を許容するダンパー32を備え、第2支持部材25は、ワークWと第2支持部材25との水平方向の相対変位を規制する規制片38を備えた。【選択図】 図5

Description

この発明は、柱部材と梁部材を有する複数の架構を備えた収容棚の制震構造に関する。
収容棚の制震構造に関する従来技術としては、例えば、特許文献1に開示された制振ラックと制振方法が知られている。
特許文献1に開示された制振ラックでは、制振ラックの長辺方向において間隔を空けて2本の柱が設置されており、この2本の柱が短辺方向に一対設けられている。
長辺方向における両側の柱に腕木がそれぞれ取り付けられており、腕木には棚受け本体がそれぞれ設けられている。
棚受け本体と腕木との間には制振部材として粘弾性体が介在されている。
特許文献1に開示された制振ラックと制振方法によれば、一対の棚受け本体に荷物が支えられている場合、制振ラックの振動エネルギーを荷物の振動エネルギーに変換する間に振動エネルギーを吸収散逸し、荷物を制振するとしている。
特開2003−118818号公報
しかしながら、特許文献1に開示された制振ラックは、荷を支える一対の棚受け本体の両側に制振部材がそれぞれ設けられた構造である。
このため、制振部材の変形量は、地震により脚部から制振ラックが揺れた際に、荷がその場所に位置し続けようとする力(荷の慣性力)によらざるを得ず、荷の質量や、棚受け本体との摩擦係数によっては効果を発揮できないという問題がある。
また、特許文献1に開示された制振ラックと制振方法では、荷を支える一対の棚受け本体の両側に制振部材がそれぞれ設けられることから、製造コストが増大する。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、地震時にワークを支える一対の支持部材を備えた架構同士において位相の異なる揺れを発生させ、制振手段による地震エネルギーの効率的な吸収を可能とする収容棚の制震構造の提供にある。
上記の課題を解決するために、本発明は、柱部材と梁部材により囲まれた構面を有する架構が、前記構面を互いに平行にして複数配設され、互いに隣り合う前記架構との間にワークを収容可能とする架構空間が形成され、前記架構空間を形成する一方の前記架構は、前記架構空間へ向けて設置された第1支持部材を備え、前記架構空間を形成する他方の前記架構は、前記架構空間へ向けて設置され、前記第1支持部材と対向する第2支持部材を備え、前記ワークは、前記第1支持部材および前記第2支持部材により支持される収容棚の制震構造において、前記第1支持部材は、前記ワークと前記第1支持部材との水平方向の相対変位を許容する制振手段を備え、前記第2支持部材は、前記ワークと前記第2支持部材との水平方向の相対変位を規制する変位規制手段を備えたことを特徴とする。
本発明では、収容棚において第1支持部材と第2支持部材により受承されるワークが存在する場合、収容棚が地震エネルギーを受けると、一方の架構および他方の架構ではそれぞれ揺れが生じる。
このとき、他方の架構側では、ワークが変位規制手段により拘束され、第2支持部材とワークが一体となって他方の架構の揺れとともに揺れる。
一方の架構側では、ワークが制振手段を介して第1支持部材に対して他方の架構の揺れに応じて変位する。
ワークと一体となって揺れる他方の架構は、負担する水平荷重の違いにより、一方の架構よりも揺れが大きくなることから、一方の架構と他方の架構は異なる位相の揺れを生じる。
このとき、一方の架構における第1支持部材に設けた制振手段が地震エネルギーを吸収し、収容棚の揺れを減衰する。
本発明によれば、第1支持部材に制振手段を設け、第2支持部材に変位規制手段を設けることで、ワークを利用して一方の架構と他方の架構に互いに異なる位相の揺れを生じさせることができ、制振手段による地震エネルギーの効率的な吸収が可能である。
上記の収容棚の制振構造において、主柱部材と主梁部材により囲まれた主構面を有する主架構と、従属柱部材と従属梁部材により囲まれた従属構面を有し、前記主架構より変形しやすい従属架構とを有し、一方の前記架構は、前記主架構および前記従属架構のいずれか一方であり、他方の前記架構は、前記主架構および前記従属架構のいずれか他方である構成としてもよい。
この場合、架構空間が、主架構と従属架構との組み合わせにより構成される。
従って、ワークを利用して架構空間を形成する架構間に互いに異なる位相の揺れを生じさせるだけでなく、架構の構造上の相違により互いに異なる位相の揺れを生じさせることができる。
上記の収容棚の制振構造において、前記制振手段は、前記ワークと前記制振手段との水平方向の相対変位を規制する規制部材を備えた構成としてもよい。
この場合、制振手段とワークとの水平方向の相対変位が規制部材により規制されるから、ワークと第1支持部材との相対変位が確実に制振手段に入力され、制振手段による地震エネルギーの効率的な確実な吸収が可能である。
上記の収容棚の制振構造において、互いに隣り合う架構を連結する水平架材が、前記架構空間における上下方向の複数箇所に水平に配設され、前記第1支持部材および前記第2支持部材は、前記架構空間の上下方向における複数の前記水平架材の間に設置されている構成としてもよい。
この場合、互いに隣り合う架構では、上下方向における複数の水平架材の間となる部位について互いに異なる位相の揺れを生じさせることができる。
従って、上下方向における複数の水平架材の間となる部位に設けた第1支持部材および第2支持部材に受承されるワークを利用し、制振手段による地震エネルギーの効率的な吸収が可能である。
上記の収容棚の制振構造において、一方の前記架構は前記主架構であり、他方の前記架構は前記従属架構である構成としてもよい。
この場合、一方の架構が主架構であって、他方の架構が従属架構であることにより、ワークを利用して互いに異なる位相の揺れを生じさせるだけでなく、揺れが大きくなりやすい従属架構の揺れを大きくすることができる。
その結果、架構の構造上の相違により互いに隣り合う架構の揺れの差をさらに大きくすることができる。
本発明によれば、地震時にワークを支える一対の支持部材を備えた架構同士において位相の異なる揺れを発生させ、制振手段による地震エネルギーの効率的な吸収を可能とする収容棚の制震構造を提供することができる。
第1の実施形態に係る自動倉庫の概略平面図である。 (a)は図1におけるA−A線の矢視図であり、(b)は図1におけるB−B線の矢視図である。 自動倉庫の収容棚の側面図である。 第1の実施形態に係る自動倉庫の収容棚の要部を示す要部斜視図である。 ダンパーを備えた第1支持部材と規制片を備えた第2支持部材の斜視図である。 (a)はダンパーを備えた第1支持部材と規制片を備えた第2支持部材の拡大側面図であり、(b)は図6(a)におけるA−A線矢視図であり、(c)は図6(a)におけるB−B線矢視図である。 (a)は地震発生時にワークWが第1支持部材24に対して前方へ相対変位した状態を示す平面図であり、(b)は図7(a)におけるC−C線矢視図である。 第2の実施形態に係る自動倉庫の収容棚の要部を示す要部斜視図である。 第3の実施形態に係る自動倉庫の収容棚の要部を示す要部斜視図である。 ダンパーを備えた第1支持部材と規制片を備えた第2支持部材の拡大側面図である。 (a)は別例に係るロータリダンパーを備えた第1支持部材と規制片を備えた第2支持部材の拡大側面図であり、(b)は図11(a)におけるD−D線矢視図である。 第1の実施形態の変形例に係る自動倉庫の収容棚の要部を示す要部斜視図である。
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る収容棚の制震構造について図面を参照して説明する。
本実施形態は、収容棚の制震構造を自動倉庫の収容棚に適用した例である。
図1に示すように、自動倉庫10は、複数の収容棚11と、収容棚11の間に設けたレール12上を往復走行するスタッカクレーン13と、制御装置としての地上制御盤Cとを備えている。
ワーク移送装置としてのスタッカクレーン13は、収容棚11と収容棚11の端部に設けた入出庫台14との間にてワークWを搬送するほか、収容棚11におけるワークWの再配置のためにワークWを搬送する。
地上制御盤Cは、ワークWの入出庫管理や在庫管理を行うほか、収容棚11に収容されているワークWの再配置計画を行い、入出庫管理や在庫管理、ワークWの再配置計画のための指令をスタッカクレーン13へ伝達する。
本実施形態では、スタッカクレーン13の走行方向を収容棚11の長手方向とし、スタッカクレーン13と収容棚11との間でのワークWの出入方向を、収容棚11の前後方向とする。
なお、収容棚11に収容される多数のワークWの重量は互いに同じである。
また、ワークWは、パレットとパレットに搭載された荷を含み、荷が搭載されるパレットは、変形させようとする外力に対して対抗できる十分な剛性を有している。
図1に示すように、収容棚11およびスタッカクレーン13は、収容棚11、スタッカクレーン13、収容棚11、収容棚11、スタッカクレーン13、収容棚11、収容棚11、スタッカクレーン13、収容棚11の順にて配列されている。
各収容棚11は、互いに同一構成である。
図3に示すように、収容棚11の上下方向および長手方向には、ワークWを収容する多数のワーク収容空間Sが形成されている。
図2(a)、図2(b)および図3に示すように、本実施形態の収容棚11は、収容棚11の主たる骨格となる3つの主架構15と、主架構15よりも剛性が小さい4つの従属架構20とを備えている。
まず、架構としての主架構15について説明すると、主架構15は、前後に配置された柱部材としての一対の主柱部材16と、主柱部材16の頂部、下部および中間部を接続する梁部材としての主梁部材17と、を備えている。
各主柱部材16の下端は床面Fに固定されている。
図2(a)に示すように、本実施形態の主架構15には、主柱部材16と主梁部材17より囲まれた構面としての複数の主構面18が形成されており、各主構面18にはラチス19が上下方向にわたって配設されている。
ラチス19は主構面18の変形を防止するための垂直斜材であり、主柱部材16に対して傾斜して前後の主柱部材16を接続する。
主架構15は、収容棚11に必要な強度を主に受け持つ要素である。
主柱部材16、主梁部材17およびラチス19は鋼材により形成されており、主柱部材16は鋼管である。
次に、架構としての従属架構20について説明すると、従属架構20は、前後に配置された柱部材としての一対の従属柱部材21と、従属柱部材21の頂部、下部および中間部を接続する梁部材としての従属梁部材22を備えている。
各従属柱部材21の下端は床面Fに固定されている。
図2(b)に示すように、従属架構20には、従属柱部材21と従属梁部材22より囲まれた構面としての複数の従属構面23が形成されている。
従属構面23にはラチス19が配設されていないため、従属構面23は主構面18と比較すると前後方向の外力を受けると容易に変形し易い。
従属架構20は、ワークWを支持することができる程度の強度を持ち、収容棚11の地震に対する強度への貢献は殆どなく、主架構15と比較すると著しく剛性が小さい。
従属柱部材21および従属梁部材22は鋼材により形成されており、従属柱部材21は主柱部材16より小径の鋼管である。
本実施形態では、主架構15の主構面18と従属架構20の従属構面23を互いに平行にして、主架構15および従属架構20が複数配設されている。
具体的には、図3に示すように、主架構15および従属架構20が、主架構15、従属架構20、従属架構20、主架構15、従属架構20、従属架構20、主架構15の順に連設されている。
つまり、主架構15と主架構15の間に2つの従属架構20が連続して配設されている。
また、主架構15および従属架構20の配設方向における収容棚11の両端部には主架構15がそれぞれ設置されている。
本実施形態では、主架構15と従属架構20との間には第1架構空間R1が形成され、互いに連設される従属架構20の間に第2架構空間R2が形成される。
第1架構空間R1および第2架構空間R2には、多段状に10のワーク収容空間Sが形成されている。
本実施形態では、ワーク収容空間Sについては下から1段目、2段目と数え、最上部のワーク収容空間Sを10段目とする。
収容棚11は、4つの第1架構空間R1と2つの第2架構空間R2を備え、各架構空間R1、R2に10のワーク収容空間Sが形成されていることから、最大60個のワークWを収容可能である。
図3および図4に示すように、主架構15には、一対の主柱部材16に固定された略コ字状の第1支持部材24を備えている。
従属架構20には、第1支持部材24と対向するように一対の従属柱部材21に固定された略コ字状の第2支持部材25を備えている。
第1支持部材24および第2支持部材25はワークWを支持する部材である。
本実施形態では、第1架構空間R1におけるワーク収容空間Sは、第1支持部材24と第2支持部材25により区画され、第2架構空間R2におけるワーク収容空間Sは、一対の第2支持部材25により区画される。
第1架構空間R1では、第1支持部材24および第2支持部材25がワークWを支持する一対の支持部材に相当し、第2架構空間R2では、一対の第2支持部材25がワークWを支持する一対の支持部材に相当する。
第1支持部材24および第2支持部材25の詳細については後述する。
収容棚11は、主架構15の後部側の主柱部材16および従属架構20の後部側の従属柱部材21を連結する水平架材26を備えている。
水平架材26は鋼材により形成され、主架構15および従属架構20における上下方向の複数箇所に配設されている。
具体的には、水平架材26は、主柱部材16および従属柱部材21の最上部と下部に水平に架設されているほか、2段目、4段目、6段目および8段目のワーク収容空間Sの下部においてそれぞれ水平に架設されている。
収容棚11は、後部側の水平架材26と同様に、主架構15の前部側の主柱部材16および従属架構20の前部側の従属柱部材21を連結する水平架材26を備えている。
収容棚11の前部および後部において、連設された2本の従属柱部材21を挟む両側の2本の主柱部材16と、最上部の水平架材26と、6段目の下部の水平架材26とは、収容棚11の前部および後部に垂直構面を形成する。
図3、図4に示すように、収容棚11における後部の垂直構面には対角線状にブレース27が配置されている。
ブレース27の両端部は、主柱部材16と水平架材26が交差する箇所にそれぞれ連結されている。
なお、スタッカクレーン13によりワーク収容空間Sに対するワークWの出し入れを行うことから、収容棚11における前部の垂直構面にはブレース27は設けられない。
水平架材26およびブレース27は収容棚11の強度を向上させる要素である。
本実施形態の収容棚11は、第1架構空間R1では、主架構15および従属架構20の最上部および下部に水平斜材としての連結部材28を備えているほか、2段目、4段目、6段目、8段目のワーク収容空間Sの下部において連結部材28が備えられている。
また、収容棚11は、第2架構空間R2では、互いに連設される従属架構20の最上部および下部に水平斜材としての連結部材28を備えているほか、2段目、4段目、6段目、8段目のワーク収容空間Sの下部に連結部材28が備えられている。
本実施形態では、連結部材28は鋼材により形成されている。
連結部材28は、第1架構空間R1および第2架構空間R2において水平に架設されている。
第1架構空間R1では、連結部材28は、前部の主柱部材16と後部の従属柱部材21との間、又は後部の主柱部材16と前部の従属柱部材21との間を連結する。
第2架構空間R2では、連結部材28は、前部の従属柱部材21と後部の従属柱部材21との間を連結する。
つまり、連結部材28は第1架構空間R1では、主架構15と従属架構20を連結し、第2架構空間R2では、従属架構20同士を連結する。
連結部材28の長手方向は、主梁部材17および従属梁部材22のそれぞれの長手方向に対して傾斜しており、つまり、連結部材28は、主構面18および従属構面23に対して傾斜する。
次に、第1支持部材24および第2支持部材25について詳しく説明する。
まず、第1支持部材24から説明すると、図5に示すように、第1支持部材24は、略コ字状の部材であって、前後の主柱部材16にそれぞれ固定され、先端が第1架構空間R1へ水平に突出する腕部30と、腕部30の先端を接続する接続部31を有している。
主架構15には、1〜10段のワーク収容空間Sに対応する第1支持部材24が備えられている。
本実施形態では、3段目、5段目、7段目、9段目、10段目のワーク収容空間Sに対応する第1支持部材24は、制振手段としてのダンパー32を備え、1段目、2段目、4段目、6段目、8段目のワーク収容空間Sに対応する第1支持部材24はダンパー32を備えない。
1段目、2段目、4段目、6段目、8段目のワーク収容空間Sに対応する第1支持部材24にダンパー32を備えない理由は、これらの第1支持部材24の直下に水平架材26が備えられるためである。
従って、1段目、2段目、4段目、6段目、8段目のワーク収容空間Sに対応する第1支持部材24は、水平架材26を有する第1支持部材24であり、3段目、5段目、7段目、9段目、10段目のワーク収容空間Sに対応する第1支持部材24は、水平架材26が無い第1支持部材24である。
図5、図6(a)、図6(b)に示すように、水平架材26が無い第1支持部材24の接続部31上には、2個のダンパー32が前後に取り付けられている。
ダンパー32の上面にはワークWを支える受板33が設けられている。
ダンパー32は、振動を減衰する制振手段であり、ダンパー32の材料である粘弾性のゴム系材料をせん断変形させて振動を吸収する。
振動時のせん断力がダンパー32に作用してダンパー32が変形する時、ダンパー32が振動エネルギーを吸収して熱エネルギーに変換する。
受板33は、ダンパー32の上部において接続部31を覆うように設けられた平板であり、ワークWの底部(パレット)の一部を支える受部34と、受部34における前後方向の端部において折り曲げにより形成された起立部35とを備える。
起立部35は、受板33に対するワークWの前後方向への相対変位を規制する。
つまり、起立部35は、ワークWと受板33との水平方向の相対変位を規制し、ひいてはワークWとダンパー32との水平方向の相対変位を規制する規制部材に相当する。
従って、ダンパー32および受板33を介して第1支持部材24に支持されているワークWは、ダンパー32の変形の範囲内での第1支持部材24に対する前後方向への相対変位が許容されている。
なお、起立部35は受部34から上方へ向かうほど受部34の外側へ向かうように傾斜する傾斜面を有している。
受部34から起立部35の上端までの高さは、スタッカクレーン13によるワークWの出し入れに支障が出ない高さ以下に設定されている。
起立部35が傾斜面を有していることにより、ワーク収容空間SへワークWの収容時において、ワークWを下降する際に、起立部35がワークWの底部を受部34へ案内するガイド部として機能する。
次に、第2支持部材25について説明する。
図5に示すように、第2支持部材25は、略コ字状の部材であって、前後の従属柱部材21にそれぞれ固定され、先端が第1架構空間R1(又は第2架構空間R2)へ水平に突出する腕部36と、腕部36の先端を接続する接続部37を有している。
第2支持部材25の腕部36は第1支持部材24の腕部30と同じ構成であり、また、第2支持部材25の接続部37は第1支持部材24の接続部31と同じ構成である。
従属架構20には、1〜10段のワーク収容空間Sに対応する第2支持部材25が備えられている。
本実施形態では、ダンパー32を備えた第1支持部材24と対向する第2支持部材25は、ワークWの前後方向への移動を変位する規制片38を備えている。
一方、ダンパー32を備えない第1支持部材24と対向する第2支持部材25は規制片38を備えない。
本実施形態では、3段目、5段目、7段目、9段目、10段目のワーク収容空間Sに対応する第2支持部材25は、変位規制手段としての規制片38を備え、1段目、2段目、4段目、6段目、8段目のワーク収容空間Sに対応する第2支持部材25は規制片38を備えない。
1段目、2段目、4段目、6段目、8段目のワーク収容空間Sに対応する第2支持部材25に規制片38を備えない理由は、これらの第2支持部材25の直下に水平架材26が備えられるためである。
従って、1段目、2段目、4段目、6段目、8段目のワーク収容空間Sに対応する第2支持部材25は、水平架材26を有する第2支持部材25であり、3段目、5段目、7段目、9段目、10段目のワーク収容空間Sに対応する第2支持部材25は、水平架材26が無い第2支持部材25である。
接続部37は、ワークWが第1支持部材24および第2支持部材25に支持された状態で、ワークWが水平となるように、第1支持部材24の受板33の高さに合わせて設定されている。
本実施形態の規制片38は金属板の打ち抜きにより形成されている。
図5、図6(c)に示すように、第2支持部材25における接続部37の前後の端部に取り付けられており、規制片38の一部は接続部より上方へ突出している。
規制片38は、第2支持部材25に対するワークWの前後方向への変位を規制する変位規制手段に相当する。
なお、規制片38は接続部37から上方へ向かうほど接続部37の外側へ向かうように傾斜する傾斜面39を備えている。
接続部37から傾斜面39の上端までの高さは、スタッカクレーン13によるワークWの出し入れに支障が出ない高さ以下に設定されている。
規制片38が傾斜面39を備えていることにより、ワーク収容空間SへのワークWの収容時において、ワークWを下降する際に、傾斜面39がワークWの底部を第2支持部材25へ案内するガイド部として機能する。
本実施形態の収容棚11は、ダンパー32を備えた第1支持部材24と規制片38を有する第2支持部材25と、ダンパー32を備えた第1支持部材24と規制片38を有する第2支持部材25により受承されたワークWとを用いた制震構造となっている。
次に、本実施形態に係る収容棚11の制震作用について説明する。
本実施形態では、説明の便宜上、ワーク収容空間SにワークWが収容されているとする。
第1架構空間R1ではワークWは第1支持部材24および第2支持部材25により支持され、第2架構空間R2では、一対の第2支持部材25により支持される。
大地震が発生し、主架構15および従属架構20の前後方向の振動(主構面18および従属構面23と平行な揺れ)が生じると、十分な強度が設定されている主架構15と、主架構15と比べると変形し易い従属架構20には、互いに位相の異なる揺れが発生する。
剛性の大きい主架構15では変形の小さい揺れであり、従属架構20は外力に対して変形し易いため変形の大きい揺れとなる。
特に、収容棚11の上部は下部と比べて揺れが大きくなる傾向がある。
上下方向において水平架材26と水平架材26との間に存在する複数のワーク収容空間Sでは、主柱部材16における上側の水平架材26と下側の水平架材26との間の部位と、従属柱部材21における上側の水平架材26と下側の水平架材26との間との変形は互いに異なる。
例えば、主柱部材16における2、3段目のワーク収容空間Sに対応する部位は、従属柱部材21における2、3段目のワーク収容空間Sに対応する部位と比べて変形は少ない。
同様に、主柱部材16における4、5段目のワーク収容空間Sに対応する部位は、従属柱部材21における4、5段目のワーク収容空間Sに対応する部位と比べて変形は少ない。
また、主柱部材16における6、7段目のワーク収容空間Sに対応する部位は、従属柱部材21における6、7段目のワーク収容空間Sに対応する部位と比べて変形は少ない。
さらに、主柱部材16における8〜10段目のワーク収容空間Sに対応する部位は、従属柱部材21における8〜10段目のワーク収容空間Sに対応する部位と比べて変形は少ない。
規制片38を有する第2支持部材25では、規制片38により第2支持部材25に対して変位が規制されるワークWが、従属柱部材21における第2支持部材25付近の部位と一体になって前後方向に揺れる。
ワークWが前後方向に揺れるとき、ワークWに生じる水平方向の荷重(以下「水平荷重」と表記する)は、第1支持部材24および第2支持部材25がそれぞれ負担するが、第1支持部材24が負担する水平荷重と第2支持部材25が負担する水平荷重は異なる。
本実施形態では、規制片38を有する第2支持部材25が負担する水平荷重は、第1支持部材24が負担する水平荷重よりも大きい。
従って、主柱部材16における規制片38を有する第2支持部材25と対向する第1支持部材24付近の部位は、従属柱部材21における第2支持部材25付近の部位と異なる位相にて揺れ、この従属柱部材21より揺れは小さい。
ダンパー32を備えた第1支持部材24では、受板33に対するワークWの前後方向への変位は起立部35により規制される。
このため、ワークWは、受板33とともにダンパー32を備えた第1支持部材24に対して前後方向へ相対変位し、ワークWの前後方向への相対変位に伴いダンパー32は変形する。
図7(a)は、ワークWが従属柱部材21と一体となって距離dだけ前方へ変位するとともに、ワークWが第1支持部材24に対して距離dだけ前方へ相対変位した状態を示す。
図7(b)は、ワークWが第1支持部材24に対して距離dだけ前方へ相対変位した状態を示す。
ワークWと従属柱部材21は、一体となって前方へ変位するだけでなく、後方へも変位する。
また、ワークWは、図7(b)に示す第1支持部材24に対する前方への相対変位だけでなく、第1支持部材24に対して後方へも相対変位する。
第1支持部材24に対するワークWの相対変位によりダンパー32が変形され、ダンパー32が変形することにより地震エネルギーがダンパー32に吸収され、ダンパー32において熱エネルギーに変換される。
負担するワークWの水平荷重の違いにより、ワークWの従属柱部材21と一体となった前後方向への変位が大きいほど、第1支持部材24に対するワークWの相対変位が大きくなる。
第1支持部材24に対するワークWの相対変位が大きいほど、ダンパー32の変形も大きくなり、ダンパー32による地震エネルギーの吸収も多くなる。
本実施形態の収容棚11の制震構造は以下の作用効果を奏する。
(1)第1支持部材24と第2支持部材25により受承されるワークWが存在する場合、収容棚11が地震エネルギーを受けると、主架構15および従属架構20ではそれぞれ揺れが生じる。このとき、従属架構20では、ワークWが規制片38により第2支持部材25と一体となって従属架構20とともに揺れる。ワークWと一体となって揺れる従属架構20は、負担するワークWの水平荷重の違いにより、主架構15よりも揺れが大きくなることから、主架構15と従属架構20は異なる位相の揺れを生じる。このため、主架構15では、ワークWがダンパー32を介して第1支持部材24に対して従属架構20の揺れに応じて変位する。このとき、主架構15における第1支持部材24に設けたダンパー32が変形して地震エネルギーを吸収し、収容棚11の揺れを減衰する。主架構15の第1支持部材24にダンパー32を設け、第2支持部材25に規制片38を設けることで、ワークWを利用して主架構15と従属架構20に互いに異なる位相の揺れを生じさせることができ、ダンパー32による地震エネルギーの効率的な吸収が可能である。
(2)主架構15と従属架構20との組み合わせにより構成されるから、ワークWを利用して互いに異なる位相の揺れを複数の架構に生じさせるだけでなく、主架構15と従属架構20の構造上の相違を利用して、主架構15と従属架構20において互いに異なる位相の揺れを生じさせることができる。従って、主架構15と従属架構20の揺れの位相差をより大きくすることができる。
(3)ダンパー32とワークWとの前後方向の相対変位が受板33により規制されるから、ワークWとダンパー32を備えた第1支持部材24との相対変位が確実にダンパー32に入力され、ダンパー32を変形させることができる。従って、ダンパー32の変形による地震エネルギーの確実で効率的な吸収が可能である。また、受板33がダンパー32とワークWとの前後方向の相対変位を規制することから、ワークWのパレットと受板33との間の摩擦係数に関わらず、ダンパー32を確実に変形させることができる。
(4)主架構15の第1支持部材24にダンパー32を設け、主架構15よりも変形しやすい従属架構20の第2支持部材25に規制片38を設けたことにより、ワークWは従属架構20と一体となって揺れる。このため、従属架構20は主架構15に対してより大きな揺れを発生させることができ、より効率的にダンパー32に地震エネルギーを吸収させることができる。
(5)第1支持部材24および第2支持部材25のうち、第1支持部材24にのみダンパー32を設けるから、第1支持部材24および第2支持部材25の両方にダンパー32を設けるよりもダンパー32の数を少なくすることができ、収容棚11の製作コストを抑制することができる。また、既存の収容棚が備える第1支持部材にダンパー32を追加し、第2支持部材に規制片38を追加することにより、既存の収容棚の制振性能を向上させることができる。
(6)水平架材26を有する第1支持部材24および第2支持部材25のワーク収容空間Sでは、水平架材26により主架構15と従属架構20が拘束されているから、水平架材26が設けられるワーク収容空間Sにおける第1支持部材24および第2支持部材25の相対変位は小さくなる。従って、水平架材26を有する第1支持部材24にダンパー32を設ける必要がなく、また、第2支持部材25に規制片38を設けなくてもよい。
(7)ダンパー32を備える第1支持部材24と規制片38を備える第2支持部材25を有するワーク収容空間Sに必ずワークWが収容されていれば、収容棚11の制震機能を最大限に活用することができる。従って、ダンパー32を備える第1支持部材24と規制片38を備える第2支持部材25を有するワーク収容空間Sに優先的にワークWを収容すれば、収容可能なワークWの数が限られている場合でも、収容棚11の制震機能を発揮させることができる。
(8)ワークWは荷およびパレットを有するが、パレットのみのワークWとしてもよい。この場合、ダンパー32を備える第1支持部材24と規制片38を備える第2支持部材25を有するワーク収容空間SにパレットのみのワークWを収容しても収容棚11の制震機能を発揮することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る収容棚の制震構造について説明する。
本実施形態は、第1支持部材を備えた主架構と第2支持部材を備えた従属架構が交互に配設される収容棚である点で第1の実施形態と異なる。
また、本実施形態の収容棚における主架構および従属架構の基本構成は、第1の実施形態と同じであるため、第1の実施形態の説明を援用し、符号を共通して用いる。
図8に示すように、本実施形態の収容棚41は、主架構15と従属架構20が主構面18と従属構面23を互いに平行にするともに交互に配設された構造を有している。
従って、本実施形態では、主架構15と従属架構20との間には第1架構空間R1が形成されるが、従属架構20は連続して配設されないため第2架構空間R2は存在しない。
主架構15には第1支持部材24が設けられ、従属架構20には第2支持部材25が設けられている。
第1支持部材24および第2支持部材25は、ワークWを支持する一対の支持部材に相当する。
第1架構空間R1において、3段目、5段目、7段目、9段目、10段目のワーク収容空間Sに対応する水平架材26の無い第1支持部材24は、ダンパー32および受板33を備えている。
第1架構空間R1において、3段目、5段目、7段目、9段目、10段目のワーク収容空間Sに対応する水平架材26の無い第2支持部材25は規制片38を備えている。
1段目、2段目、4段目、6段目、8段目のワーク収容空間Sに対応する第1支持部材24および第2支持部材25の下部には水平架材26が設けられている。
このため、1段目、2段目、4段目、6段目、8段目のワーク収容空間Sに対応する第1支持部材24はダンパー32および受板33を備えない。
また、1段目、2段目、4段目、6段目、8段目のワーク収容空間Sに対応する第2支持部材25は規制片38を備えない。
本実施形態では、第1支持部材24と第2支持部材25により受承されるワークWが存在する場合、収容棚41が地震エネルギーを受けると、主架構15および従属架構20ではそれぞれ揺れが生じる。
このとき、従属架構20では、ワークWが規制片38により第2支持部材25と一体となって従属架構20の揺れとともに揺れる。
ワークWと一体となって揺れる従属架構20は、主架構15よりも揺れが大きくなることから、主架構15と従属架構20は異なる位相の揺れを生じる。
このため、主架構15では、ワークWがダンパー32を介して第1支持部材24に対して従属架構20の揺れに応じて変位する。
このとき、主架構15における第1支持部材24に設けたダンパー32が地震エネルギーを吸収し、収容棚41の揺れを減衰する。
本実施形態は、第1の実施形態の作用効果(1)〜(8)と同等の作用効果を奏する。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る収容棚の制震構造について説明する。
本実施形態は、収容棚が従属架構を備えず第1支持部材を備えた主架構と第2支持部材を備えた主架構が交互に配設されて構成される点で第1の実施形態と異なる。
また、本実施形態の収容棚における主架構の基本構成は、第1の実施形態と同じであるため、第1の実施形態の説明を援用し、符号を共通して用いる。
また、第1支持部材および第2支持部材についても、第1の実施形態と同じであるから第1の実施形態の説明を援用し、符号を共通して用いる。
図9に示すように、本実施形態の収容棚51は、主柱部材16、主梁部材17およびラチス19を備えた主架構15が配設された構成を有している。
本実施形態では、図示はされないが、7個の主架構15が、互いに主構面18を平行にして順に配設されている。
主架構15同士の間に架構空間Rが形成されており、架構空間Rには、多段状に10のワーク収容空間Sが形成されている。
本実施形態では、ワーク収容空間Sについては下から1段目、2段目と数え、最上部のワーク収容空間Sを10段目とする。
収容棚51は、6つの架構空間Rを備え、各架構空間Rに10のワーク収容空間Sが形成されていることから、最大60個のワークWを収容可能である。
収容棚51は、主架構15の後部側の主柱部材16を連結する水平架材26を備えている。
水平架材26は鋼材により形成され、主架構15における上下方向の複数箇所に配設されている。
具体的には、水平架材26は、主柱部材16の最上部と下部に水平に架設されているほか、2段目、4段目、6段目および8段目のワーク収容空間Sの下部においてそれぞれ水平に架設されている。
また、収容棚51は、主架構15の前部側の主柱部材16を連結する水平架材26を備えている。
収容棚51の前部および後部において、連設された4本の主柱部材16と、上下の水平架材26とは、収容棚51の前部および後部に垂直構面を形成する。
収容棚51における後部の垂直構面には対角線状にブレース27が配置されている。
互いに隣り合う主架構15の一方の主架構15には第1支持部材24が設けられており、他方の主架構15には第2支持部材25が設けられている。
つまり、本実施形態では、架構が主架構15のみである場合であっても、互いに隣り合う主架構15のうち、一方の主架構15に設けた支持部材を第1支持部材24とし、他方の主架構15に設けた支持部材を第2支持部材25としている。
架構空間Rでは第1支持部材24および第2支持部材25によりワークWが支持される。
第1支持部材24にはダンパー32および受板33が設けられ、第2支持部材25には規制片38が設けられている。
本実施形態では、図10に示すように、収容棚51の最も端に位置する主架構15は、ダンパー32および受板33が備えられた第1支持部材24を有している。
ダンパー32および受板33が備えられた第1支持部材24を有した主架構15と隣り合う主架構15は、規制片38が備えられた第2支持部材25を有している。
ダンパー32および受板33が備えられた第1支持部材24および規制片38が備えられた第2支持部材25は、ワークWを支持する一対の支持部材に相当する。
本実施形態では、3段目、5段目、7段目、9段目、10段目のワーク収容空間Sに対応する第1支持部材24は、制振手段としてのダンパー32を備え、1段目、2段目、4段目、6段目、8段目のワーク収容空間Sに対応する第1支持部材24はダンパー32を備えない。
また、3段目、5段目、7段目、9段目、10段目のワーク収容空間Sに対応する第2支持部材25は、変位規制手段としての規制片38を備え、1段目、2段目、4段目、6段目、8段目のワーク収容空間Sに対応する第2支持部材25は規制片38を備えない。
次に、本実施形態に係る収容棚51の制震作用について説明する。
収容棚51にワークWが全く収容されていない状態にて大地震が発生すると、収容棚51の各主架構15はほぼ同じ位相の揺れが発生する。
一方、一部又は全てのワーク収容空間SにワークWが収容された状態にて大地震が発生すると、ワークWが収容されているワーク収容空間Sでは、第2支持部材25側の主架構15は、第1支持部材24側の主架構15よりも大きく揺れる。
つまり、規制片38を備えた第2支持部材24側の主架構15とダンパー32および受板33を備えた第1支持部材24側の主架構15とは互いに異なる位相の揺れを生じる。
その理由は、規制片38を備えた第2支持部材25側の主架構15は、負担するワークWの水平荷重の違いにより、規制片38によりワークWを拘束してワークWと一体となって揺れ、ダンパー32および受板33を備えた第1支持部材24側の主架構15では、ワークWがダンパー32の変形に応じて相対変位するためである。
従って、規制片38を備えた第2支持部材25側の主架構15は、ダンパー32および受板33を備えた第1支持部材24側の主架構15よりも大きく揺れる。
規制片38を備えた第2支持部材25側の主架構15とダンパー32および受板33を備えた第1支持部材24側の主架構15とは互いに異なる位相の揺れを生じることから、ダンパー32は変形に応じて地震エネルギーを吸収し、熱エネルギーに変換する。
本実施形態によれば、主架構15により構成され、従属架構20を備えない収容棚51であっても、負担するワークWの水平荷重の違いにより、互いに隣り合う主架構15について異なる位相の揺れを生じさせることができ、ダンパー32による地震エネルギーの吸収を図ることができる。
また、既存の収容棚が第1支持部材24と第2支持部材25を備える構成であれば、第1支持部材24にダンパー32を追加し、第2支持部材25に規制片38を追加することにより、既存の収容棚の制振性能を向上させることができる。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、次のように変更してもよい。
○ 上記の実施形態では、自動倉庫における収容棚に本発明の収容棚の制震構造を適用した例であったが、自動倉庫以外の収容棚であってもよい。
○ 上記の実施形態では、制振手段として粘弾性材料であるゴム系材料によるダンパーを用いたが、制振手段は粘弾性材料のダンパーに代えて、例えば、前後方向に伸縮するオイルダンパーを用いてもよい。制振手段がオイルダンパーの場合、オイルの抵抗を利用して振動を減衰することができる。この場合も粘弾性材料のダンパーと同等の作用効果を奏する。
○ 本発明では、制振手段を、粘弾性材料のダンパーに代えて、図11に示す別例のようにロータリダンパー61としてもよい。ロータリダンパー61は第1支持部材24の接続部31において前後に一対設けられている。ロータリダンパー61のケース内にロータとオイルを備え、ロータと同軸であってワークWを支持するゴムローラを備えている。例えば、ゴムローラが急激に回転しようとしてもオイルがロータの抵抗となり、ゴムローラの急激な回転を制動する。ワークWがゴムローラにより支持され、ワークWが第1支持部材24に対して相対変位するとき、ゴムローラが相対変位に応じて回転される。ゴムローラが回転するとロータリダンパー61がゴムローラの急激な回転を制動することにより地震エネルギーをロータリダンパー61に吸収することができる。
○ 上記の実施形態では、変位規制手段として金属板の打ち抜きにより形成された規制片としたが、変位規制手段は第2支持部材に対するワークの前後方向の変位を規制することができる構成であればよく、変位規制手段の具体的構成は特に制限されない。
○ 上記の実施形態では、規制部材として、受板に設けた起立部を用いたが、ワークWとダンパーとの摩擦力が十分である等、ワークとダンパーとの前後方向の相対変位が規制できる場合は、第1支持部材に変位規制手段を積極的に設ける必要はない。
○ 上記の実施形態では、上下の水平架材の間において、下部に水平架材を有する第1支持部材に制振手段を設けず、下部に水平架材を有する第2支持部材には変位規制手段を設けないようにしたが、この限りではない。例えば、下部に水平架材を有する第1支持部材に制振手段を設け、下部に水平架材を有する第2支持部材には変位規制手段を設けることを妨げない。また、下部に水平架材の無い第1支持部材の全てに制振手段を設けなくてもよく、下部に水平架材の無い第2支持部材の全てに変位規制手段を設けなくてもよい。例えば、水平架材の無い一部の第1支持部材に制振手段を設け、水平架材の無い一部の第1支持部材と対をなす第2支持部材に変位規制手段を設けてもよい。
○ 上記の第1、第2の実施形態では、主架構が第1支持部材を備え、従属架構が第2支持部材を備えたが、主架構が第2支持部材を備え、従属架構が第1支持部材を備える構成であってもよい。少なくとも、第1支持部材を備える架構と第2支持部材を備える架構が異なる位相の揺れを生じる構成であれば、架構空間を形成する複数の架構に対する第1支持部材および第2支持部材の組み合わせは自由である。
○ 上記の第1の実施形態では、規制片38を備えた第2支持部材25が従属架構20に必ず固定されている構成としたがこの限りではない。例えば、図12に示す変形例のように、互いに隣り合う2つの従属架構20のうち、一方の従属架構20(20A)に第2支持部材25のみを固定し、他方の従属架構20(20B)において、一方の従属架構20(20A)の第2支持部材25と対向するようにダンパー32を備えた第1支持部材24を設けてもよい。なお、他方の従属架構20(20B)には、隣となる主架構15の第1支持部材24と対向するように第2支持部材25を設ければよい。この場合、従属架構20(20A)、20(20B)間にワークWが収容された状態で地震が発生すると、従属架構20(20A)、20(20B)がそれぞれ負担するワークWの水平荷重は異なる。このため、主架構15と従属架構20との間だけでなく、地震の揺れにより従属架構20(20A)、20(20B)間においても異なる位相の揺れを生じさせることができる。
○ 上記の実施形態では、水平斜材として鋼材である連結部材を用いたが、水平斜材にオイルダンパーを設けてもよい。また、一部の水平斜材を鋼材による連結部材とし、残りの水平斜材をオイルダンパーとしてもよい。この場合、オイルダンパーによる制振機能が付加されるから、上記の実施形態よりも収容棚の制振性能が向上する。
○ 上記の実施形態では、ワークを支持することによりダンパーの厚さがワークの重量に応じて小さくなるが、ダンパーの厚さが過度に小さくならないように、例えば、接続部と受板との間に受板を支える支承手段を設けてもよい。
10 自動倉庫
11、41、51 収容棚
13 スタッカクレーン
15 主架構
16 主柱部材
17 主梁部材
18 主構面
19 ラチス
20 従属架構
21 従属柱部材
22 従属梁部材
23 従属構面
24 第1支持部材
25 第2支持部材
26 水平架材
27 ブレース
28 連結部材
30、36 腕部
31、37 接続部
32 ダンパー(制振手段としての)
33 受板
35 起立部
38 規制片(変位規制手段としての)
61 ロータリダンパー
C 地上制御盤(制御装置)
F 床面
S ワーク収容空間
W ワーク

Claims (5)

  1. 柱部材と梁部材により囲まれた構面を有する架構が、前記構面を互いに平行にして複数配設され、
    互いに隣り合う前記架構との間にワークを収容可能とする架構空間が形成され、
    前記架構空間を形成する一方の前記架構は、前記架構空間へ向けて設置された第1支持部材を備え、
    前記架構空間を形成する他方の前記架構は、前記架構空間へ向けて設置され、前記第1支持部材と対向する第2支持部材を備え、
    前記ワークは、前記第1支持部材および前記第2支持部材により支持される収容棚の制震構造において、
    前記第1支持部材は、前記ワークと前記第1支持部材との水平方向の相対変位を許容する制振手段を備え、
    前記第2支持部材は、前記ワークと前記第2支持部材との水平方向の相対変位を規制する変位規制手段を備えたことを特徴とする収容棚の制震構造。
  2. 主柱部材と主梁部材により囲まれた主構面を有する主架構と、
    従属柱部材と従属梁部材により囲まれた従属構面を有し、前記主架構より変形しやすい従属架構とを有し、
    一方の前記架構は、前記主架構および前記従属架構のいずれか一方であり、
    他方の前記架構は、前記主架構および前記従属架構のいずれか他方であることを特徴とする請求項1記載の収容棚の制震構造。
  3. 前記制振手段は、前記ワークと前記制振手段との水平方向の相対変位を規制する規制部材を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の収容棚の制震構造。
  4. 互いに隣り合う架構を連結する水平架材が、前記架構空間における上下方向の複数箇所に水平に配設され、
    前記第1支持部材および前記第2支持部材は、前記架構空間の上下方向における複数の前記水平架材の間に設置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の収容棚の制震構造。
  5. 一方の前記架構は前記主架構であり、他方の前記架構は前記従属架構であることを特徴とする請求項2記載の収容棚の制震構造。
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