JP2015079167A - 反射型投影表示システム - Google Patents
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Abstract
Description
このような反射型スクリーン10は、そのレンズ層13によって、反射型スクリーン10の下側から斜めに入射する映像光Lでも、反射型スクリーン10の正面方向の観察者Vに向けて進行方向が偏向され、映像を良好に観察することを可能にしている。
これを、図6に示した反射型スクリーン10で言うと、映像光Lはレンズ層13を通過して反射部14で反射されて観察者V側に向かう光もあるが、レンズ層13に到達する前に、反射型スクリーン10の最表面10sで反射される反射光Lrもあり、この光が天井32に到達して、映り込みが発生する。
(1)スクリーン面を垂直乃至は略垂直とした反射型スクリーンと、この反射型スクリーンに対して垂直方向下側から映像光を投影する映像源とを備え、
前記映像光は、前記垂直方向の偏光成分が水平方向の偏光成分よりも多い偏光光を含む、反射型投影表示システム。
(2)前記映像光は赤色成分、緑色成分及び青色成分を有し、前記偏光光は少なくとも前記緑色成分である、前記(1)の反射型投影表示システム。
なお、「偏光方向」とは、本発明においては、その光の電場の振動方向のことを意味する。
「垂直方向」とは、地面に対する垂直方向であり、重力によって物体が落下する方向に平行な方向を意味する。
「水平方向」とは、垂直方向と直交する方向を意味する。
「下側」とは、垂直方向において物体が落下する側を意味する。「下側」とは、注目する対象物の高度よりも低い高度であれば水平方向の相対位置は問わず、その真下以外に、その前後及び左右も含む。
同図では、地面に対して垂直方向をZ軸方向とし、地面に平行な床31に反射型スクリーン10に向かって立った観察者Vに対して左右方向をX軸方向とし、前後方向をY軸方向としてある。反射型スクリーン10のスクリーン面は、平面でXZ面に平行な面であり、床31に垂直な面である。
なお、図1以外の図面においても、座標軸が明示されている図面については、その座標軸のとり方は図1と同様である。
反射型スクリーン10のスクリーン面が垂直乃至は略垂直であるとは、スクリーン面の正面側が凹むように湾曲しているなど、完全な平面ではないものもあり得るからである。また、スクリーン面が平面の場合でも、スクリーン面を観察者Vの位置に対応させて、斜め下側に向けてわずかに傾斜させるなどの設置もあるからである。
例えば、この特定の偏光光は、映像光Lの赤色成分、緑色成分及び青色成分のうち、少なくとも緑色成分の光である。
本発明においては、理解を容易にする観点から、この垂直方向Dvの偏光成分が水平方向Dhの偏光成分よりも多い偏光光の偏光方向について、垂直方向Dvと同じ方向であるとして、それを偏光方向Dpで図示及び説明する。
こうした映像源20は、垂直方向Dvの偏光成分が水平方向Dhの偏光成分よりも多い偏光光を含む映像光Lを投影できるようにしたものであれば、特に制限はない。例えば、偏光方向Dpが垂直方向Dvとなった直線偏光の映像光Lを、投影レンズをとおして投影できものを用いることができる。
したかって、映像源20の映像生成方式では、例えば、DLP(登録商標)方式、LCD方式、LCOS方式など、特に制限はない。映像源20については、後ほど詳述する。
次に、映像光Lを垂直方向Dvの偏光成分が水平方向Dhの偏光成分よりも多い偏光光とすることで、映像の天井32への映り込みを改善することができる原理について説明する。
P偏光光とは、その偏光方向が入射面に平行(Parallel)な偏光光であり、S偏光光とは、その偏光方向が入射面に垂直な偏光光である。
「入射面」とは、入射光(映像光L)が入射する物質境界面に垂直な面であって入射光(映像光L)をその面内に含む面である。
反射型スクリーン10としては、従来公知のものを適宜採用することができる。図3は、反射型スクリーン10の一例を示す断面図である。
このような反射型スクリーン10は、そのフレネルレンズを構成するレンズ層13によって、図面下側から斜めに入射する映像光Lでも、反射型スクリーン10の正面方向の観察者Vに向けて進行方向が偏向され、映像を良好に観察することを可能にしている。
とくに、短焦点で斜め下側から映像光Lを投影する反射型投影表示システム100においては、反射型スクリーン10は、フレネルレンズを構成するレンズ層13を有することが好ましい。
表面機能層11は、反射型スクリーン10において映像光Lが入光する最表面10sを構成する層であり、反射型スクリーン10の観察者V側の最表層となる層である。表面機能層11としては、例えば、反射防止機能、防眩機能、紫外線吸収機能、防汚機能、帯電防止機能、耐指紋機能など、用途に応じて必要とされる1又は複数の機能を担う層である。表面機能層11は、例えば基材層12の面に塗工形成することで形成される。具体例を挙げれば、紫外線や電子線で硬化させることができるアクリル系の電離放射線硬化性樹脂の塗料によって、ハードコート機能を有する表面機能層11が形成される。
基材層12は表面機能層11、レンズ層13など各層を支持し、反射型スクリーン10の基材となる透明又は半透明のフィルム状乃至はシート状物として構成される層である。
基材層12としては、例えば、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂を用いることができる。
基材層12の厚みは、特に制限はないが、フィルム乃至はシート状の場合、例えば25〜300μmとすることができ、板状の場合、例えば1〜5mmとすることができる。厚みが薄すぎると、剛性が低下しすぎて加工性の低下や他の層の支持機能の低下が生じることがあり、厚みが厚過ぎると剛性の点で過剰性能となることがあるからである。
基材層12は、光拡散剤の添加によって光拡散層を兼用することもできる。
レンズ層13は、フレネルレンズ作用を有する層である。レンズ層13が有するフレネルレンズは、映像源20から発散光束となって投影された映像光Lを、反射型スクリーン10の観察者V側に向かう略平行光束となるように、光の進行方向を偏向できる機能を有する。
フレネルレンズは、同図の場合、複数の単位レンズが、その延在方向(紙面に垂直な方向)に直交する断面における断面形状が略三角形形状をしており、この三角形形状において、頂点13tと、頂点13tを挟んで一方の辺に対応するレンズ面13aと、他方の辺に対応する非レンズ面13bとを有する。単位レンズの断面形状は、映像源20からの映像光Lが反射されて観察者V側に向くように設定される。
単位レンズの配列ピッチは例えば20〜200μmとすることができる。配列ピッチが、この範囲よりも大きいと、モアレの発生、成形型作成時の切削バイトの消耗、離型性の悪化などが生じることがあり、この範囲よりも小さいと、光の回折や、加工精度の点で製
造がしにくくなることがあるからである。
サーキュラーフレネルレンズの場合、フレネルレンズの光学的中心であるフレネル中心は、映像を表示可能な部分であるスクリーン面の領域外であってもよい。
レンズ層13は、アクリル系などの電離放射線硬化性樹脂と成形型を用いて、いわゆる2P法(フォトポリマー法)によって、基材層12上に形成することができる。
反射部14は、映像光Lを反射する機能を有する層である。図3の場合、反射部14は、レンズ層13の少なくともレンズ面13aの部分に対して形成されている。反射部14は、光反射性材料によって形成することができる。光反射性材料としては、アルミニウム、銀などの金属乃至は合金の蒸着膜、或いは、白色顔料や銀色を呈する金属顔料を樹脂バインダ中に分散させた塗料乃至はインクの塗膜を用いることができる。
白色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などを用いることができ、銀色を呈する金属顔料としては、アルミニウム、クロム、銀などの金属粒子を用いることができる。樹脂バインダの樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂などを用いることができる。
反射部14を、非レンズ面13bを除いてレンズ面13aに選択的に形成するには、蒸着法、スプレー塗装法などの、非接触で、且つ被形成面への形成材料の飛来方向に方向性を持たせることができる形成法が好ましい。ただし、スプレー塗装法では樹脂バインダを必要とし、樹脂バインダ中の光反射性材料によって光が乱反射して反射率が低下したり、拡散反射率が高くなったり、正面輝度が低下したりするため、蒸着法の方がスプレー塗装法よりも好ましい。
光吸収層15は、不要な光を吸収する機能を有する層である。図3の場合、光吸収層15は、レンズ層13の非レンズ面13bとともに、レンズ面13a上の反射部14も被覆するように形成されている。光吸収層15は、カーボンブラックなどの黒色顔料を樹脂バインダ中に含む暗色の塗料乃至はインクの塗膜として形成することができる。樹脂バインダの樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂などを用いることができる。
図示はしないが、反射型スクリーン10は、上記説明した以外に、公知のその他の層を有することがある。例えば、映像光Lを適度に拡散させる光拡散層、両側の層を接合するための接合層、機械的強度を増す補強層などである。
映像源20は、従来の反射型投影表示システムならば、一般的なプロジェクタ、それも、とくに、至近距離から投影可能な短焦点型のプロジェクタなどを採用できるところであるが、本発明においては、特にその映像光Lとして、垂直方向Dvの偏光成分が水平方向Dhの偏光成分よりも多い偏光光を含む映像光Lを投影できるようにしたものを用いる。
こうした映像源20としては、例えば、偏光方向Dpが垂直方向Dvとなった直線偏光の映像光Lを、投影レンズをとおして投影できようにしたものを用いることができる。
MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)による複数のミラーを用いるDLP(Digital Light Processing;登録商標)方式(DMD(Digital Micromirror Device;登録商標)方式とも呼ばれる)、
透過型液晶パネルを用いるLCD(Liquid Crystal Display)方式、
反射型液晶パネルを用いるLCOS(Liquid Crystal on Silicon)方式、など特に制限はない。
また、これらは、カラー表示の場合、1つの映像生成素子を用いた単板方式の他、赤、緑、青の三原色毎に独立した合計3つの映像生成素子を用いた3板方式など、特に制限はない。
したがって、こうした偏光を利用する映像生成素子を用いた映像源20においては、その映像生成素子からの光の通路に設置されている偏光子及び映像生成素子に入光する光を偏光する偏光子の両方について、それらの透過軸の方向を調整することで、垂直方向Dvを偏光方向Dpとすることができる。
表示する映像が無色又は単色ではなく、フルカラー表示で、映像光Lに三原色の光が用いられる場合、特定の偏光光とする映像光Lは、三原色の全て光でなくてもよい。
これは、人間の目には緑色が最も感じやすいために、緑色の映像光Lについてのみ特定の偏光光とすることで、他の赤色や青色のいずれか1色又は2色について、特定の偏光光とする場合に比べて、映像の天井32への映り込みをより効果的に改善することができるからである。
つまり、三原色の赤色成分、緑色成分及び青色成分のうち1色についてのみ、特定の偏光光の映像光Lとするならば、それは緑色が最も効果的である。
ここでは、緑色成分LGの偏光光は、色合成プリズム21にとってはP偏光光である。赤色成分LR、及び、青色成分LBも偏光光であるが、これは、色合成プリズム21にとってのS偏光光である。同図では、P偏光光はPで示し、S偏光光はSで示す。
図4に例示する色合成プリズム21を中心とした光学系の、地面に対する空間配置は、XYZ座標で示すように、色合成プリズム21にとってのP偏光光が、垂直方向Dvの偏光成分が水平方向Dhの偏光成分よりも多い特定の偏光光に該当し、S偏光光は当該特定の偏光光には該当しない場合である。つまり、色合成プリズム21にとってのP偏光光が、反射型スクリーン10にとってのP偏光光でもある形態例である。
同様に、色合成プリズム21に対して図面上側から入光する赤色成分LR、及び、図面下側から入光する青色成分LBは、映像生成素子22に入光したP偏光光が、映像生成素子22で変調されて偏光方向が90°回転して偏光子23を通過してS偏光光となって、映像生成素子22から出光した直線偏光光である。
色合成プリズム21は、その原理から、P偏光光をそのまま通過させる。つまり、緑色成分LGは通過させる。一方、S偏光光は色合成プリズム21に進入したのち、90°進路を偏向されて出光する。つまり、赤色成分LR及び青色成分LBは、進路を90°曲げられる。
こうして、投影レンズ24をとおる映像光Lは、その色成分において、緑色成分LGはP偏光光であって、同図の空間配置の場合は、その偏光方向Dpが垂直方向Dvと一致することになる。一方、赤色成分LR及び青色成分LBはS偏光光で、その偏光方向Dpが水平方向Dhであって、紙面に垂直なX軸方向と一致することになる。
こうして、映像源20は、三原色の色のうち、緑色成分LGのみを特定の偏光光として含む映像光Lを投影することが可能となる。
本発明においては、反射型投影表示システム100は、上述した形態以外の形態を適宜採用することができる。以下、その一部を説明する。
図1に例示した実施形態では、映像源20は、垂直方向Dvにおいては、透過型スクリーン10のスクリーン面下端よりも下側であり、水平方向Dhにおいては、左右方向が透過型スクリーン10のスクリーン中心CtSと同じであった。
しかし、本発明においては、映像源20と透過型スクリーン10との位置関係は、映像光Lが本発明で規定する特定の偏光光を含んでいない場合に、映像の天井32への映り込みが生じるような位置関係であれば、特に限定されない。したがって、映像源20は、垂直方向Dvにおいては、スクリーン中心CtSとスクリーン面下端との間であってもよく、また、映像源20は水平方向Dhにおいては、スクリーン中心CtSに対して右方向又は左方向にずれた位置であってもよい。
このように本発明においては、映像源20と反射型スクリーン10との用途に応じた多様な位置関係においても、映像の天井32への映り込みを改善することができる。
先ず、反射型スクリーン10は、次のようにして作成されたものである。基材層12として厚さ5mmのMBS(メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体)製の光拡散板に、紫外線硬化型のアクリル系電離放射線硬化性樹脂を用いた2P法によって形成した配列ピッチ100μmのサーキュラーフレネルレンズを有するレンズ層13を積層した。次いで、レンズ層13の背面側にアルミニウムを真空蒸着して厚さ80nmの反射部14を形成し、この反射部14の背面に黒色塗料を塗布して光吸収層15を形成して、反射型スクリーン10を作成した。基材層12の正面側の面が、反射型スクリーン10の最表面10sとなる。なお、レンズ面13aの反射率は80%、拡散反射率は5%でる。スクリーン面の大きさは、100インチ型で、縦1250mm、横2200mmである。
透過型スクリーン10は実施例1と同じである。
映像源20は、映像生成素子が透過型液晶パネル一枚の単板式でフルカラー表示可能なものであり、色合成プリズム21などによる色合成は不要なタイプである。映像生成素子の変調光の出光側に配置される偏光子の透過軸を調整して、その直線偏光の偏光方向Dpが垂直方向Dvとなるように偏光子を調整した光学系の映像源20である。
この結果、天井32への映り込みは、赤色成分LR、緑色成分LG及び青色成分LBの全色で減少し、映り込みが実施例1に比べて、より効果的に改善された。
実施例1において、映像源20の色合成プリズム21を含めた光学系の空間配置を、水平方向Dhを回転軸にして90°回転させるように調整して、赤色成分LR及び青色成分LBの色合成プリズム21に対するS偏光の偏光方向Dpを垂直方向Dvとし、緑色成分LGのP偏光が水平方向Dhとなる光学系の映像源20を用いた。その他は、実施例1と同様である。
この結果、天井32への映り込みは、赤色成分LR及び青色成分LBの2色で減少したが、明るさに最も影響する緑色成分LGの映り込みが減少してないため、実施例1ほど映り込みは改善しなかった。
実施例1において、映像源20として、パッシブ方式の眼鏡で三次元表示に対応可能な装置で、映像光Lの三原色全てが円偏光で投影される装置を用いた。その他は、実施例1と同様である。円偏光のため、映像光Lは偏光光ではあるが、その偏光成分は垂直方向Dvと水平方向Dhとが同じ強度となるために、本発明の特定の偏光光には該当しない。
この結果、天井32への映り込みは、三原色の全てで生じており、改善しなかった。
実施例1において、映像源20として、映像生成素子がDLP(登録商標)方式の単板式でフルカラー表示可能なものを用いた。DLP方式では、偏光子が不要なため、映像光Lは無偏光である。
この結果、天井32への映り込みは、三原色の全てで生じている。
10s スクリーンの最表面
11 表面機能層
12 基材層
13 レンズ層
13a レンズ面
13b 非レンズ面
13t 頂点
14 反射部
15 光吸収層
20 映像源
21 色合成プリズム
22 映像生成素子
23 偏光子
24 投影レンズ
30 (従来の)映像源
31 床
32 天井
33 壁面
100 反射型投影表示システム
200 従来の反射型投影表示システム
CtS スクリーン中心
Dh 水平方向
Dp 偏光方向
Dv 垂直方向
L 映像光
Lr 反射光
S S偏光光
P P偏光光
V 観察者
Claims (2)
- スクリーン面を垂直乃至は略垂直とした反射型スクリーンと、この反射型スクリーンに対して垂直方向下側から映像光を投影する映像源とを備え、
前記映像光は、前記垂直方向の偏光成分が水平方向の偏光成分よりも多い偏光光を含む、反射型投影表示システム。 - 前記映像光は赤色成分、緑色成分及び青色成分を有し、前記偏光光は少なくとも前記緑色成分である、請求項1に記載の反射型投影表示システム。
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JP2013216979A JP2015079167A (ja) | 2013-10-18 | 2013-10-18 | 反射型投影表示システム |
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- 2013-10-18 JP JP2013216979A patent/JP2015079167A/ja active Pending
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