以下に図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。
〔第1の実施形態〕
図1及び図2には、第1の実施形態に係る画像形成装置10の概略構成を示している。画像形成装置10は、画像処理部12、画像形成部14、及び制御部16を備え、前処理部18が接続され、前処理部18から入力される画像データに応じたカラー画像又は白黒画像(単色画像)を記録媒体に形成する。
図2に示すように、画像形成装置10の画像形成部14は、像保持体の一例として感光体ドラム20を用い、感光体ドラム20を帯電する帯電プロセス22A、帯電した感光体ドラム20に画像データに応じた静電潜像を形成する露光プロセス22B、及び感光体ドラム20に形成した静電潜像を現像してトナー像を形成する現像プロセス22Cを実行する。また、画像形成部14は、記録媒体として用いる記録用紙Sに前記トナー像を転写する転写プロセス22D、感光体ドラム20から残トナーを除去する清掃プロセス22E、感光体ドラム20を除電する除電プロセス22F、及び記録用紙Sに転写されたトナー像を記録用紙Sに定着させる定着プロセス22Gを実行する。
図3には、画像形成部14の一例を示し、図4には、画像形成部14の要部を示している。図3に示すように、画像形成装置10は、筐体10A(図3の紙面左側)、及び筐体10B(図3の紙面右側)を備え、筐体10A、10B内に画像形成部14が形成されている。
画像形成部14は、筐体10Aの上部に、複数のトナーカートリッジ24が配置されている。トナーカートリッジ24は、各々が異なる色のトナーTを含む現像剤GD(図4参照)を収容して、筐体10Aに装填される。現像剤GDは、トナーT及び帯電されたキャリアCが混合された二成分現像剤が用いられる。トナーTの極性は、キャリアCの帯電極性により定まり、トナーカートリッジ24には、キャリアCに対するトナーの比率(TC比、以下、トナー濃度ともいう)が、予め設定された比率となっている現像剤GDが収容されている。なお、以下では、現像剤GDをトナー(又はトナーT)と表記して説明する。
画像形成装置10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)のトナーを収容するトナーカートリッジ24Y、24M、24C、及び24Kを用いる。また、画像形成装置10は、Y、M、C、Kと異なる色(例えば、第1特別色V1及び第2特別色V2)のトナーを収容したトナーカートリッジ24V1、24V2を用いても良い。なお、以下では、Y、M、C、Kを用いた画像形成を例に説明し、トナーの色を区別する場合、Y、M、C、Kの符号を付与し、トナーの色を区別しない場合、Y、M、C、Kの符号を省略して説明する。
画像形成部14は、トナーカートリッジ24の装着位置の下側に、各色のトナーカートリッジ24に対応する複数の画像形成ユニット26(26Y、26M、26C、26K、26V1、26V2)、及び画像形成ユニット26の各々に対応する露光ユニット28(28Y、28M、28C、28K、28V1、28V2)が配置されている。画像形成ユニット26の各々は、前記した感光体ドラム20を備え、露光ユニット28の各々は、画像データに応じて変調した光ビームLを、対応する画像形成ユニット26の感光体ドラム20へ向けて走査しながら照射する。
図4に示すように、画像形成ユニット26は、感光体ドラム20が、予め設定されている回転速度で一方向(矢印F方向)に回転される。画像形成ユニット26は、感光体ドラム20の回転方向が、電子写真プロセスにおけるプロセス方向となっている。画像形成ユニット26には、感光ドラム20の周囲に、感光体ドラム20の回転方向に沿って帯電器30、現像器32、ブレード34、及び除電器36が順に設けられている。以下では、感光体ドラム20の回転方向に対応する方向をプロセス方向として矢印Fで示す。
感光体ドラム20は、例えば、アルミニウムなどの導電性を有する材料により円筒状に形成され、外周面に電荷発生層、電荷輸送層及び保護層(図示省略)を含む表面層20Aが予め設定された膜厚dとなるように形成されている。
帯電器30は、例えばコロナ放電方式(非接触帯電方式)が適用され、帯電プロセス22Aでは、帯電器30により感光体ドラム20の表面層20Aに、例えば、トナーT(キャリアC)と同極性の電荷を付与して、感光体ドラム20の表面層20Aを帯電する。また、露光プロセス22Bでは、露光ユニット28から画像データに応じた光ビームLを感光体ドラム20に走査しながら照射し、帯電された感光体ドラム20の表面層20Aに、画像データに応じた静電潜像を形成する。
現像器32は、トナーカートリッジ24(図2参照)から供給されるトナーT(現像剤GD)を収容する現像剤収容部材32A、及び現像剤収容部材32Aに収容されたトナーTを感光体ドラム20に供給する現像ロール38を含む。現像ロール38としては、例えばマグネットロールが用いられ、現像器32は、感光体ドラム20と現像ロール38とが予め設定された間隙(以下、対ロール間距離gとする)となるように取り付けられる。
現像プロセス22Cでは、現像器32の現像ロール38に、例えば、直流成分に交流成分を重畳した現像バイアス電圧を印加して、現像ロール38からトナーT(トナーT及びキャリアC)を感光体ドラム20に形成された静電潜像に応じて飛翔させて感光体ドラム20に付着させることで、静電潜像を現像したトナー像を形成する。各色の感光体ドラム20上のトナー像は、転写プロセス22Dにおいて、重畳されて最終的に記録用紙Sに転写される。なお、清掃プロセス22Eでは、転写後の感光体ドラム20に残留するトナーTをブレード34により除去し、除電プロセス22Fでは、例えば除電器36から感光体ドラム20の表面に光を照射することで、感光体ドラム20から残留電荷を除去する。
図3に示すように、画像形成部14は、転写ユニット40を備える。転写ユニット40は、中間転写体の一例として画像形成ユニット26の下方に配置された転写ベルト42、各画像形成ユニット26の感光体ドラム20との間で転写ベルト42を挟む複数の一次転写ロール44、及び二次転写ロール46を備える。転写ベルト42は、無端の環状に形成され、一次転写ロール44の各々、二次転写ロール46、駆動ロール42A、複数の従動ロール、及び張力付与ロール等に掛け渡され、駆動ロール42Aが回転駆動することで、感光体ドラム20の各々に接触しながら、感光体ドラム20の回転方向(プロセス方向)に沿って循環移動する。
転写ユニット40は、図示しない給電部により一次転写ロール44の各々に、トナー極性とは逆極性の転写電圧(一次転写電圧)を印加する。一次転写電圧は、例えば、一次転写ロール44から感光体ドラム20へ流れる転写電流が予め設定された電流値となるように決定される。転写プロセス22Dでは、一次転写ロール44に一次転写電圧を印加することにより、各色の感光体ドラム20と一次転写ロール44との間で挟んだ転写ベルト42に、各色の感光体ドラム20上のトナー像を順に重ねて転写する。なお、転写ユニット40には、例えば、駆動ロール42Aの近傍に、転写ベルト42の外周面を清掃する清掃器42Bが配置され、トナー像の転写に先立って、清掃器42Bにより転写ベルト42の外周面から残トナーが除去される。
転写ユニット40には、転写ベルト42に対向してトナー像濃度センサ(ADCセンサ:Auto Density Control sensor)48が配置されてもよい。トナー像濃度センサ48が配置されている場合、画像形成装置10では、トナー像濃度センサ48に対向する転写ベルト42上に予め設定したトナー像を形成し、形成したトナー像をトナー像濃度センサ48により検出し、検出結果に基づいて各色間のトナー像のずれ(レジストレーションずれ、以下、レジずれとする)調整、及び各種のパラメータの設定等を行う。なお、第1の実施形態では、後述するように、トナー像濃度センサ48に替えて、画像検出センサ62を用いている。
筐体10Aには、各々に記録用紙Sを収容した複数の記録媒体収容部50が、転写ユニット40の下方に装填される。記録媒体収容部50に収容された記録用紙Sは、最上層の一端部に対向する分離ロール50Aにより1枚ずつに分離され、送出ロール50Bにより記録媒体収容部50から送出される。
転写ユニット40は、二次転写ロール46に対向する対向ロール46Aを備え、二次転写ロール46と対向ロール46Aとの間が、記録用紙Sへのトナー像の転写位置Tnとなっている。筐体10A内には、記録媒体収容部50から転写位置Tnを経て、筐体10Bに至る記録用紙Sの搬送経路52Aが形成されている。画像形成部14は、記録媒体収容部50から送出された記録用紙Sを、搬送経路52Aに沿って転写位置Tnへ搬送し、転写ベルト42に重ねて転写ロール46と対向ロール46Aとの間に挟む。転写プロセス22Dでは、トナー極性とは逆極性の転写電圧(二次転写電圧)を二次転写ロール46に印加し、転写ベルト42に重ねられた記録用紙Sに、転写ベルト42上のトナー像を転写する。なお、画像形成装置10には、筐体10Aに記録用紙Sの挿入口54Aが形成されており、画像形成部14は、挿入口54Aから挿入された記録用紙Sを搬送経路52Aに沿って転写位置Tnへ搬送してトナー像を転写する。
画像形成部14は、筐体10B内に、定着ユニット56、及び冷却ユニット58を備える。また、画像形成部14には、画像が転写されて筐体10Aから送り込まれる記録用紙Sを、定着ユニット56、及び冷却ユニット58を経て、筐体10Bの排出口54Bへ搬送する搬送経路52Bが形成されている。
定着ユニット56は、例えば、定着ベルト56A、及び定着ベルト56Aとの間で記録用紙Sを挟んで加圧する加圧ロール56Bを備える。定着ベルト56Aは、無端の環状に形成されて駆動ロール及び従動ロールとの間に巻き掛けられて循環移動される。また、定着ベルト56Aは、例えば駆動ロール及び従動ロールの内部に加熱手段として設けられたハロゲンヒータ等により加熱されている。
定着プロセス22Gでは、定着ユニット56の定着ベルト56Aと加圧ロール56Bとの間に記録用紙Sを挟んで記録用紙Sを加圧及び加熱し、記録用紙S上のトナー像を記録用紙Sに定着させる。
冷却ユニット58は、例えば、各々が環状に形成された吸収ベルト58A及び押付ベルト58Bを備える。吸収ベルト58Aは、環状移動しながら搬送経路50Bに沿って搬送される記録用紙Sに接触し、押付ベルト58Bは、吸収ベルト58Aとの間で記録用紙Sを挟んで、記録用紙Sを吸収ベルト56Aへ押し付ける。また、冷却ユニット58は、吸収ベルト58Aの内方側にヒートシンク58C、及びヒートシンク58Cから熱を奪って筐体10Bの外部へ排出するためのファン58Dが設けられている。冷却ユニット58は、ヒートシンク58Cにより吸収ベルト58Aから熱を奪いことで、吸収ベルト58Aに接触する記録用紙Sを冷却する。なお、画像形成装置10は、冷却ユニット58を備えない構成であっても良い。
画像形成部14には、冷却ユニット58の下流側(冷却ユニット58と排出口54Bとの間)に画像検出部60が設けられている。画像検出部60は、例えば、記録用紙Sの搬送方向と交差する方向の全域に対応するCCDラインセンサを用いた画像検出センサ62を備える。
画像検出部60は、記録用紙Sの搬送方向を走査方向として、搬送経路52Bを搬送される記録用紙Sに形成された画像を画像検出センサ62により読み取り、記録用紙Sに形成された画像に応じた画像データを出力する。画像形成装置10は、画像検出センサ62により読み取られた画像データがレジずれ調整(レジストレーション)、各種のパラメータの設定、及び調整等に用いられる。なお、画像検出センサ62は、記録用紙Sに形成した画像を読み取る一般的機能を備えるものであれば良い。
画像形成部14には、筐体10A、10Bに跨って反転搬送経路52Cが形成されている。反転搬送経路52Cは、画像読検出60を通過した記録用紙Sが送り込まれることで、この記録用紙Sの表裏を反転させて、筐体10Aの搬送経路52Aへ送り込む。画像形成装置10は、一方の面に画像が形成された記録用紙Sを、反転搬送経路52Cを経て、再度、転写位置Tnへ送り込むことで、記録用紙Sの他方の面に画像を形成する。
図1に示すように、画像形成装置10に接続される前処理部18は、例えばDFE(Digital Front End processor)として機能し、画像形成装置10を用いて画像形成を行うための画像処理等を実行する。前処理部18は、RIP(Raster Image Processing)処理部64を含み、例えば、Post Script等のPDL(Page Description Language:ページ記述言語)で記述されたベクタデータである原稿の画像データ(以下、原稿画像データとする)を、画像形成装置10で画像を形成するための各色の画像データに変換する。また、前処理部18は、例えば、RGB色空間の原稿画像データを、画像形成装置10(画像形成部14)で用いるYMCK色空間の画像データに変換する色調整等を行う。
これにより、画像処理部12には、原稿画像データに対して予め設定された画像処理が行われ、画像形成装置10で用いるY、M、C、Kの各色1画素当たり複数ビット(例えば、8ビット等の多値)で階調(8ビットの場合、0〜255の256階調)が表現されたページ単位の画像データ(ラスタイメージデータ)が生成されて入力される。なお、第1特別色V1、及び第2特別色V2を用いた画像形成が指示されている場合、前処理部18は、第1特別色V1及び第2特別色V2の画像データを生成する。
画像処理部12は、階調補正部66及びスクリーン処理部68等を備える。階調補正部66は、各色のトナーTの特性を含めた画像形成部14の色再現特性に基づいて設定されている多次元の対照表(DLUT:Direct Lock−Up Table)、及び階調再現曲線(TRC:Tone Reproduction Curve)等の変換パラメータを用い、各色の画像データの階調特性を補正する。なお、階調補正部66には、CMS(Color Management System)などが用いられる。
スクリーン処理部68は、例えばページ単位で各色の画像データに対して多値データを二値データに変換する(スクリーン処理)。このような画像処理部12の基本的構成は、公知の構成が適用される。なお、画像形成装置10は、画像処理部12が前記した前処理部18の機能を合わせ持つ構成であっても良い。
制御部16は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び不揮発性記憶媒体(例えば、HDD:Hard Disk Drive等)などを含む一般的構成のマイクロコンピュータ(何れも図示省略)を備える。制御部16は、画像形成部14により帯電プロセス22A〜定着プロセス22Gを実行するためのプログラム、及び画像検出部60により記録用紙Sに形成した画像を読み取るプログラム等の各プログラムが不揮発性記憶媒体に記憶されている。制御部16は、RAMがワークメモリとして用いられ、CPUが不揮発性記憶媒体から読み出してRAMに展開したプログラムを実行することで、画像データに対する画像処理、画像処理した画像データに基づいた記録用紙Sへの画像形成処理を実行する。
制御部16には、CPUを画像処理部12の階調補正部66として機能させるための階調補正プログラム、及びスクリーン処理部68として機能させるためのスクリーン処理プログラム等が不揮発性記憶媒体に記憶されている。
図5(A)及び図5(B)には、記録用紙Sに形成される画像の要部の一例を示す。図5(A)に示すように、記録用紙Sには、何れかの色について、中間階調(ハーフトーン:half tone)の濃度の画像(以下、中間濃度部70Aとする)、及びプロセス方向に沿って中間濃度部70Aに連続して、当該中間濃度部70Aの濃度より高い濃度(例えば濃度100%のベタ濃度)の画像(以下、高濃度部70Bとする)が形成される場合がある。
中間濃度部70Aと高濃度部70Bとがこの順序でプロセス方向に沿って連続する場合、感光体ドラム20上では、中間濃度部70Aに対応する領域から高濃度部70Bに対応する領域に変化する境界部分において、高濃度部70Bに対応する領域に生じるカウンターチャージによって、中間濃度部70Aに対応する領域に付着するトナー量が減少することがある。
図5(B)に示すように、感光体ドラム20に付着するトナー量が減少すると、記録用紙Sには、中間濃度部70A内の境界部分側の画素に、所謂スタベーション(Starvation:STV)と呼ばれる濃度低下が生じる。以下、カウンターチャージに起因して境界部分に生じる濃度低下を境界デフェクト(defect)と表記する。
境界デフェクトは、中間濃度部70Aと高濃度部70Bとの境界部分で、境界部分よりプロセス方向の下流側の中間濃度部70Aに濃度低下領域70Cを生じさせる。すなわち、濃度低下領域70Cは、高濃度部70Bよりも先に感光体ドラム20に形成される中間濃度部70Aに生じる。特に、高濃度部70Bがベタ濃度(濃度100%)であれば、濃度低下領域70Cでは、トナー量の減少が大きくなり、濃度が大きく低下する。境界デフェクトにより生じる濃度低下領域70Cは、中間濃度部70Aと高濃度部70Bとの境界線BLから中間濃度部70A側に、下地の色(記録用紙Sの地色、例えば、白色)が占める割合が増加した白抜け等として現れる。なお、境界線BLは、高濃度部70Bのプロセス方向下流側のエッジ部としている。
濃度低下領域70Cを生じさせる境界デフェクトの深さ(中間濃度部70Aの濃度の低下量)、及び幅(濃度低下が生じるプロセス方向に沿う画素の範囲)は、画像形成装置10の状態によって異なる。以下、深さ及び幅を含めて境界デフェクトの強さとする。
ここから、画像形成装置10には、Y、M、C、Kの各色について境界デフェクトを検出するための境界濃度検出パターンが設定されている。境界濃度検出パターンには、中間濃度部70Aに対応する中間濃度画像部と高濃度部70Bに対応する高濃度画像部とが含まれる。画像形成装置10には、境界濃度検出パターンを含む画像(以下、テスト画像とする)を記録用紙Sに形成するための画像データ(以下、テスト画像データとする)が記憶されている。
図6には、記録用紙Sに形成されるテスト画像72の一例を示している。テスト画像72は、Y、M、C、Kの各色の境界濃度検出パターン74(74Y、74M、74C、74K)を含んでいる。各色の境界濃度検出パターン74は、中間濃度画像部とする中間濃度部76、及び高濃度画像部とする高濃度部78を含んでいる。
高濃度部78は、画像の濃度が、例えば、濃度90%以上で予め設定された濃度を適用することができ、本実施形態では、一例としてベタ濃度(濃度100%)を適用している。また、中間濃度部76は、高濃度部78よりも画像サイズが大きく、境界濃度検出パターン74は、中間濃度部76の中央部に高濃度部78が配置されている。境界濃度検出パターン74は、中間濃度部76及び高濃度部78が、例えば矩形形状に形成され、高濃度部78のエッジ部により形成される中間濃度部76と高濃度部78との境界線BLがプロセス方向と交差する方向に沿うように配置されている。境界濃度検出パターン74は、少なくとも高濃度部78のプロセス方向下流側の境界線BLが、プロセス方向と交差する方向に沿うように形成されていれば良く、境界濃度検出パターン74は、例えば、中間濃度部76を円形等の他の形状で形成することもできる。
中間濃度部76は、中間階調(half−tone)の画像であり、例えば、濃度5%〜60%の範囲で予め設定された濃度で形成される。第1の実施形態に係るテスト画像72には、Y、M、C、Kの各色について、互いの間で中間濃度部76の濃度の異なる複数の境界濃度検出パターン74が形成されている。テスト画像72は、一例として、各色の複数の中間濃度部76の濃度が、濃度5%〜40%の範囲で5%ずつ段階的に変化している。これにより、テスト画像72には、各色の境界濃度検出パターン74に、濃度40%の中間濃度部76A、濃度35%の中間濃度部76B、濃度30%の中間濃度部76C、濃度25%の中間濃度部76D、濃度20%の中間濃度部76E、濃度15%の中間濃度部76F、濃度10%の中間濃度部76G、及び濃度5%の中間濃度部76Hが含まれる。
画像形成装置10の制御部16は、予め設定しているタイミングで、テスト画像データに基づいて記録用紙Sに、境界濃度検出パターン74を含むテスト画像72を形成するように画像処理部12及び画像形成部14を制御する。
図1に示すように、画像形成装置10は、制御部16に補正情報生成部80が形成されている。制御部16は、記録用紙Sに形成したテスト画像72を画像検出センサ62により読み取る。補正情報生成部80は、濃度検出センサ62により読み取ったテスト画像72の画像データに基づき、Y、M、C、Kの各色について、プロセス方向に沿う濃度変化のプロファイル(以下、濃度プロファイルとする)を生成する。補正情報生成部80は、濃度プロファイルに基づいて境界濃度検出パターン74に生じる濃度低下領域を抽出し、濃度低下領域の濃度を中間濃度部76の濃度とするための画像データに対する補正情報を生成する。
図7(A)には、テスト画像データにおける境界濃度検出パターン74の濃度プロファイルの一例を示し、図7(B)には、画像検出センサ62によって読み取られた境界濃度検出パターン74の濃度プロファイルの一例を示す。なお、図7(A)、及び図7(B)における縦軸は、濃度検出センサ62により検出された濃度(出力濃度Dout)とし、横軸は、プロセス方向に沿う画素位置Pを示す。画素位置Pは、中間濃度部76と高濃度部78との境界線BL上を基準の画素位置P0とし、右方向をプロセス方向(プロセス方向の下流側)としている。
図7(A)に示すように、境界デフェクトが生じていない場合、境界濃度検出パターン74の濃度は、画像データの濃度(入力濃度Din)に応じて変化し、中間濃度部76に対応する領域(濃度DMの領域)と高濃度部78に対応する領域(濃度DHの領域)との境界線BL(画素位置P0)で、中間濃度部76の濃度DMから高濃度部78の濃度DHに切り替わる。
図7(B)に示すように、カウンターチャージに起因する境界デフェクトが生じた境界濃度検出パターン74の濃度Dは、画素位置Pnから境界線BLへ向けて傾斜するように減少し、画素位置P0の手前の画素位置P1において最も低くなる(以下、濃度DLとする)。
記録用紙Sに形成した境界濃度検出パターン74は、境界デフェクトが生じることで、境界線BLの中間濃度部76側に濃度Dが濃度DMより低下した濃度低下領域82が現れる(白抜け、図5(B)参照)。図7(B)では、境界線BLの画素位置P0を基準とし、n画素目の画素位置Pnの次の画素(画素位置Pn−1)から濃度低下が生じている場合を示し、濃度低下領域82を、画素位置P1〜Pnの領域としている。
ここで、濃度低下領域82における濃度DMと濃度DLとの差(濃度差ΔD1)を境界デフェクトの深さH(H=DM−DL=ΔD1)とし、画素位置P0〜Pnの画素数を境界デフェクトの幅W(幅Wの画素数はn+1)とし、濃度低下領域82を生じさせる境界デフェクトの強さを深さH及び幅Wで表す。
境界デフェクトの深さHは、画像形成部14において画像形成に関わる各種のパラメータに相違が無ければ、高濃度部78の濃度の影響を受ける。また、境界デフェクトにより生じる濃度低下領域82では、画素位置Pが境界線BLに近ければ濃度低下(濃度差ΔD)が大きくなり、画素位置Pが境界線BLから離れるほど濃度低下が小さくなる。
ここから、補正情報生成部80は、濃度低下領域82の画像位置Pnから画素位置P1へ向けて濃度を大きくするための補正情報を生成する。図8(A)には、図7(B)の濃度プロファイルにおける濃度低下領域に対する補正特性曲線Ccの一例を示し、図8(B)には、入力濃度に対する出力濃度の一例を示している。なお、図8(B)では、横軸の入力濃度Dinとして画像データ上の階調により定まる濃度を示し、縦軸の出力濃度Doutとして記録用紙S上に出力される画像上の濃度(画像検出センサ62により検出される濃度)を示している。
図8(A)に示す補正特性曲線Ccは、境界デフェクトの幅Hに対応する範囲の画素位置Pにおける補正レベルCLを示している。補正特性曲線Ccは、画素位置P1における補正レベルCL1が、画素位置P1における濃度差ΔD1(境界デフェクトの深さH)に対応する値が得られるように設定される。濃度差ΔDは、高濃度部78の濃度及び境界線BLからの距離に応じて変化し、補正特性曲線Ccは、各画素位置Pにおける補正レベルCLが、その画素位置Pにおける濃度差ΔDに対応する値が得られるように設定される。
テスト画像72には、濃度(階調)を複数段階に変化させた中間濃度部76A〜76Hの境界濃度検出パターン74が形成されており、中間濃度部76A〜76Hの濃度毎の補正特性曲線が得られる。ここから、図8(B)に示すように、濃度低下領域82内の画素位置Pi(1≦i≦n)における、入力濃度Dinに対する出力濃度Doutの関係が得られる。
境界デフェクトが生じてない場合、図8(B)において波線で示すように、入力濃度Dinが濃度Dhtであると、出力濃度Doutは濃度DMとなる。これに対して、境界デフェクトが生じていると、図8(B)に実線で示すように、入力濃度Dinが濃度Dhtであっても、出力濃度Doutは、濃度DMから濃度差ΔDiだけ低下した濃度Diとなる(Di=DM−ΔDi)。ここから、入力濃度Dinを、濃度Dciとすることで、出力濃度Doutを濃度DMとすることができる。
従って、中間濃度部76の濃度を複数段階に分けた境界濃度検出パターン74を用いることで、中間濃度部76の濃度が異なる複数の補正特性曲線Ccが得られ、複数の補正特性曲線Ccを用いることで、図8(B)の実線に対応する濃度変換テーブルを生成することができる。なお、補正情報としては、テスト画像72から得られる入力濃度Dinに対する出力濃度Dout及び画素位置Pに基づいて、画素位置Pごとの濃度を補正する補正回帰式を作成しても良い。
図1に示すように、画像処理部12には、画像データ補正部84が形成されている。画像データ補正部84は、特定領域抽出部86、及び抽出領域補正部88を備える。また、制御部16は、データ格納部90を備える。データ格納部90としては、HDD等の不揮発性を有しデータの書き替えが可能な記憶媒体が用いられる。データ格納部90には、テスト画像72の生成に適用するテスト画像データが格納されている。また、データ格納部90には、補正情報生成部80により生成された補正情報(Y、M、C、Kの各色に対する補正特性曲線Cc)が格納される。
特定領域抽出部86は、前処理部18から入力される各色の画像データから、補正情報に基づいて、補正対象とする画像領域(以下、補正対象領域とする)を抽出する。抽出領域補正部88は、抽出された補正対象領域の画像データに対して、補正特性曲線Ccに基づいた濃度補正(階調補正)処理を行う。
特定領域抽出部86で抽出する補正対象領域は、予め設定された濃度範囲の中間濃度部70Aと、ベタ濃度などの中間濃度部70Aよりも高い濃度である高濃度部70Bとがプロセス方向に沿って連続する領域であり、画像データに応じた画像を記録用紙Sに形成した場合に、境界デフェクトによる濃度低下が生じる領域(濃度低下領域70Cになりうる領域)を含む。高濃度部70Bは、例えば、ベタ濃度(濃度100%)等でカウンターチャージにより、プロセス方向の下流側に隣接する中間濃度部70Aに濃度低下を生じさせる濃度であり、中間濃度部70Aは、カウンターチャージによる濃度低下が目立つ濃度範囲となる領域としている。このような補正対象領域は、例えば、中間濃度部70Aとして濃度5%〜60%の領域、及び高濃度部70Bとして濃度90%以上の領域が適用される。なお、補正対象領域として抽出する中間濃度部70A及び高濃度部70Bの濃度範囲は、C、M、Y、Kの各色の間で異なっても良い。
補正対象領域は、プロセス方向に交差する範囲が、境界線BLの範囲に設定される。また、補正対象領域は、プロセス方向に沿った範囲が、中間濃度部70Aと高濃度部70Bとの境界線BL、又は、境界線BLに隣接する中間濃度部70Aの画素から、補正情報に基づいた境界デフェクトの幅Wに対応する画素数を含む範囲に設定される。
画像形成装置10は、補正情報生成部80、特定領域抽出部76、及び抽出領域補正部88等がハードウェアにより形成されていても良い。また、画像形成装置10は、制御部16のCPUを補正情報生成部80、特定領域抽出部86及び抽出領域補正部88として機能させるためのプログラムが記憶されていても良い。
以下に、第1の実施形態に係る画像形成装置10における境界デフェクトに対する処理を詳細に説明する。
画像形成装置10は、画像形成装置10の製品出荷時などのタイミングで、データ格納部90に格納されているテスト画像データを用いて境界デフェクトを抑制するための補正情報の初期設定(生成)が行われる。図9には、補正情報(補正特性曲線Cc)の初期設定の一例を示す。なお、補正情報は、Y、M、C、Kの各色について生成される。
このフローチャートは、例えば、画像形成装置10の製造時、製品出荷時又は設置時などの予め設定されたタイミングで補正情報の初期設定が指示されることで実行され、最初のステップ200において、データ格納部90に格納しているテスト画像データを読み出し、次のステップ202において、テスト画像データを用いて、記録用紙Sにテスト画像72を形成する。
画像形成装置10は、記録用紙Sの搬送経路52B上に画像検出部60を備えており、次のステップ204では、テスト画像72が形成された記録用紙Sが画像検出部60を通過する際、画像検出センサ62によりテスト画像72を読み取る。これにより、制御部16は、記録用紙Sに形成したテスト画像72に応じた画像データを取得する。なお、画像検出部60は、RGB色空間からYMCK色空間に変換することで、画像検出センサ62によって読み取ったR、G、Bの各色の画像データを、Y、M、C、Kの各色の画像データを出力する。
画像形成装置10は、テスト画像72の画像データに基づいて補正情報を生成する。補正情報の生成は、先ず、ステップ206において、テスト画像72の画像データに基づいて、境界濃度検出パターン74の中間濃度部76から高濃度部78に跨るプロセス方向に沿った濃度プロファイルを作成する。画像検出センサ62では、主走査方向の全域に渡ってテスト画像72を読み込むようになっており、濃度プロファイルには、例えば、プロセス方向に沿う各画素位置Pについて、プロセス方向と交差する方向に各画素の濃度の平均値が用いられる。
次のステップ208では、境界検出パターン72の濃度プロファイルに基づいて、中間濃度部76に対応する領域において、境界デフェクトによる画像濃度の変化を抑制するように補正情報(画像データを補正するための補正特性曲線Cc)を生成する。ステップ210では、生成した補正特性曲線を初期値としてデータ格納部90に格納する。
画像データ補正部84は、データ格納部90に格納されている補正情報(補正特性曲線Cc)に基づき、記録用紙Sに画像を形成する際の画像データに対する境界デフェクトを抑制するための濃度補正処理(境界デフェクト処理)を行う。
図10には、境界デフェクト処理の一例を示す。このフローチャートは、例えば、前処理部18から画像データが入力され、入力された画像データに対する画像処理が指示されると、C、M、Y、Kの各色の画像データに対して実行される。なお、図10では、一例としてページ単位で境界デフェクト処理を実行するように説明するが、これに限らず、全ページを処理単位として実行されても良い。
最初のステップ220では、入力された画像データから1ページ分の画像データを読み込み、ステップ222では、読み込んだ画像データから補正対象領域を抽出する。補正特性曲線には、境界デフェクトの幅W(画像位置P0〜Pn)を特定する情報が含まれ、補正対象領域としては、中間濃度部70Aと高濃度部70Bとの境界線BLを基準として幅W(画素位置P1〜Pn)を含む範囲が設定される。なお、補正対象領域は、境界線BLを基準として、少なくとも濃度低下領域70C(画素位置P1〜Pnの範囲)となり得る範囲が含まれれば良く、例えば、補正対象領域は、境界線BLを含む画素位置P0〜Pm(n<m)として設定しても良い。
補正対象領域が抽出されると、ステップ224で肯定判定してステップ226へ移行する。ステップ226では、抽出した補正対象領域の各画素(画素位置P0〜Pnに対応する画素)のデータに対して、補正特性曲線Ccを用いて濃度補正(階調補正)を施す。
また、ステップ228では、1ページ分の画像データに対する処理が終了したか否かを確認し、ステップ230では、全ページ分の画像データに対する処理が終了したか否かを確認する。1ページ分の処理が終了した場合、ステップ228で肯定判定して、ステップ230へ移行する。また、処理すべきデータ(ページ)が残っていると、ステップ230で否定判定して、ステップ220へ移行し、次のページの画像データを読み込む。
境界デフェクトに対する補正処理の終了した画像データは、階調補正(階調補正部66)及びスクリーン処理(スクリーン処理部68)等の画像処理が施され、画像形成部14において画像の生成に用いられる。
一方、画像形成装置10では、予め設定されたタイミングで、補正情報(補正特性曲線Cc)の更新が行われる。図11には、補正情報の更新処理の一例を示す。補正特性曲線の更新処理は、例えば、画像形成装置10の稼働時間の積算値情報、画像形成装置10による処理量(画像形成を行った記録用紙Sの枚数)の積算値情報、及びトナーカートリッジ等の交換等のメンテナンス情報等のいずれか少なくとも一つの情報に基づいて行われる。また、補正情報の更新は、画像処理に用いる変換パラメータ、及び画像形成処理に用いる制御パラメータの変化に基づいて行われるものであっても良い。なお、図11において、図9と同様の処理ついては、図9におけるステップ番号を併記し、詳細な説明を省略する。
このフローチャートは、ステップ240においてテスト画像データを読出し、ステップ242においてテスト画像データに基づいたテスト画像72を記録用紙Sに形成する。次のステップ244では、濃度検出センサ62を用いてテスト画像72を読み込み、ステップ246において、テスト画像72の境界濃度検出パターン74に基づいた濃度プロファイルを作成する。
この後、ステップ248では、作成した濃度プロファイルから境界デフェクトの深さH及び幅Wを抽出する。また、ステップ250では、データ格納部90に格納している補正情報から境界デフェクトの深さH及び幅Wを読み込む。ステップ252では、境界デフェクトの深さH及び幅Wを比較し、境界デフェクトの差が予め設定した範囲内か否かを確認する。すなわち、データ格納部90に格納している補正特性曲線Ccが対応する境界デフェクトの強さと、現在の画像形成装置10の装置状態に応じた境界デフェクトの強さを比較する。境界デフェクトの強さの差が予め設定している範囲内である場合、ステップ254で肯定判定して補正特性曲線を更新せずに終了する。
これに対して、境界デフェクトの強さの差が、予め設定している範囲を外れていると、ステップ254で否定判定してステップ256へ移行する。ステップ256では、画像検出センサ62により読み取った画像データから作成した濃度プロファイルに基づいて補正情報(補正特性曲線Cc)を生成する。また、ステップ258では、生成した補正情報をデータ格納部90に格納することで補正情報の更新を行う。
従って、画像形成装置10では、境界濃度検出パターン74を含むテスト画像72を用いることで、境界デフェクトを適切に抑制する補正情報を得ることができる。また、境界濃度検出パターン74に異なる濃度の中間階調部76A〜76Hを形成するテスト画像72を用いることで、境界デフェクトを適切に抑制する補正情報を得ることができる。
また、画像形成装置10は、記録用紙Sに画像を形成する画像データを、テスト画像72を用いて生成した補正情報に基づいて補正することで、中間濃度部70Aと高濃度部70Bとの間に濃度低下領域70Cによる白抜け等が生じることのない高品質の画像を記録用紙Sに形成することができる。
さらに、画像形成装置10では、予め設定しているタイミングで、補正情報の更新を行うので、画像形成装置10の装置状態に応じて適切に境界デフェクトを抑制することができる。
また、画像処理には、CPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)、あるいはPWBA(Printed Wiring Board Assembly、高密度実装基板)等が用いられることがある。画像形成装置10における境界デフェクトを抑制するための補正情報に基づいた画像処理(画像抽出及び階調補正)は、CPUに対して大きな負荷となることがないため、FPGA、及びPWBA等を設けること無く、CPUが実行するプログラムにより容易となる。従って、画像形成装置10は、処理能力(例えば、処理時間等)の低下を抑えるための装置コストの抑制を図ることができる。
以上説明した第1の実施形態では、記録用紙Sの搬送経路52B中に画像読取部60が設けられた画像形成装置10を例に説明したが、画像読取部60に替えて、原稿に形成された画像を読み取って原稿に応じた原稿画像データを出力する画像読取部(Scanner)を備えた構成であっても良い。
図12に示す画像形成装置100は、原稿から画像を読み取る画像読取部(スキャナ:Scanner)102を備える。画像読取部102は、例えば、プラテンガラス上に載せられた原稿の画像を読み取って原稿画像データを出力する一般的機能を備え、画像形成装置100は、画像読取部102により読み取った原稿の画像データに基づいて記録用紙Sに画像を形成する複写機能を備える。なお、画像形成装置110は、前処理部18の機能を合わせ持つ画像処理部104を備える。また、画像形成装置100の画像形成部106は、Y、M、C、Kの各色のトナーTを用いて記録用紙Sに画像を形成する基本的機能は同じであるが、第1特別色V1、第2特別色V2を用いた画像形成機能、冷却ユニット58、及び画像読取部60の機能を備えない点で画像形成装置10と相違する。
画像形成装置100は、補正情報の初期設定及び更新を行う際に、オペレータによりテスト画像72を形成した記録用紙Sが画像読取部102に装着されることで、テスト画像72の画像データを読み込む。補正情報生成部80は、画像読取部102により読み取られたテスト画像82の画像データを用いて補正情報を生成する。
このように形成した画像形成装置100においても、画像形成装置10と同様に、境界デフェクトを抑制した高品質の画像を記録用紙Sに形成することができる。
〔第2の実施形態〕
次に本発明の第2の実施形態を説明する。なお、第2の実施形態の基本的構成は、前記した第1の実施形態と同様であり、第2の実施形態において、第1の実施形態と同様の機能部品については、第1の実施形態と同様の符号を付与して、詳細な説明を省略する。
図13には、第2の実施形態に係る画像形成装置110を示している。画像形成装置110は、画像処理部12に替えて用いる画像処理部112、画像形成部14、及び制御部16に替えて用いる制御部114を備える。画像処理部112は、前処理部18から入力されるY、M、C、Kの各色の画像データに対して、階調補正処理及びスクリーン処理を行い、画像形成に用いる各色の画像データ(二値のビットマップデータ)を生成する。
制御部114は、補正情報生成部116、及びレジストレーション抽出部(以下、レジ抽出部とする)118が形成されている。画像形成装置110において境界デフェクトの検出に用いるテスト画像には、画像形成装置110におけるレジストレーションを判定するレジストレーション検出用の画像パターンが形成される。
図14には、第2の実施形態において境界デフェクトの検出に用いるテスト画像72Aの一例を示す。テスト画像72Aは、第1の実施形態に係るテスト画像72に替えて用いられる。画像形成装置110は、例えば、データ格納部90Aにテスト画像72Aを形成するためのテスト画像データが記憶される。
テスト画像72Aには、Y、M、C、Kの各色の境界領域検出パターン74(74Y、74M、74C、74K)が含まれ、各色の境界領域検出パターン74は、濃度の異なる複数の中間濃度部76(76A〜76H)を含む。
また、テスト画像72Aには、複数のレジストレーション検出パターン(以下、レジ検出パターン92とする)が含まれる。レジ検出パターン92は、例えば、記録用紙Sの周縁部に、記録用紙Sの縦方向(紙面上下方向、プロセス方向)及び横方向(紙面左右方向、プロセス方向と交差する方向)に3組ずつとなるように8組が形成される。なお、レジ検出パターン92の数及び形成位置は、これに限るものではない。
図15には、レジ検出パターン92の一例を示している。レジ検出パターン92は、プロセス方向及びプロセス方向と交差する方向に沿う2本の線分を交差させた複数の十字部94が設けられている。また、レジ検出パターン92は、十字部94により区画された4つの領域の各々に、十字部94の各線分に沿う2本の線分をつなげて形成された角部96が設けられている。
レジ検出パターン92は、複数の十字部94が、Y、M、C、Kの何れかの色で形成され、2列3段に配置され、十字部94の各々に対応する角部96が、十字部94と異なる色で形成されている。レジ検出パターン92は、一例として十字部94をY、M、Cの何れかを用い、角部96をM、C、Kを用いている。これにより、レジ検出パターン92には、Yの十字部94YとKの角部96K、Mの十字部94MとKの角部96K、Cの十字部94CとKの角部96K、Mの十字部94MとCの角部96C、Yの十字部94YとMの角部96M、及びYの十字部94YとCの角部96Cの組み合わせを含む。なお、画像形成装置110は、レジ検出パターン92を、十字部94及び角部96の各々が、例えば600dpiで1bitの線幅(約42.3μm)で形成する。
図13に示す補正情報生成部116は、テスト画像72Aの境界濃度検出パターン74を読み取った画像データから、境界デフェクトを抑制する補正情報(補正特性曲線Cc)を生成する。また、レジ抽出部118は、レジ検出パターン92から、画像形成装置110におけるY、M、C、Kの各色間のレジずれの状態(以下、レジストレーション状態とする)を検出する。レジ検出部118で検出されたレジストレーション状態は、画像形成部14のレジストレーション情報として、補正情報生成部116で生成される補正情報(補正特性曲線Cc)と共にデータ格納部90Aに格納される。
画像形成装置110の画像処理部112には、画像データ補正部120が形成されている。画像データ補正部120は、特定領域抽出部86、及び抽出領域補正部88を含み、データ格納部90Aに格納されている補正情報に基づき、Y、M、C、Kの各色について、境界デフェクトを抑制するための濃度補正処理を実行する。
また、画像データ補正部120には、二次色抽出部122、トラッピング処理部124が形成されている。画像データ補正部120は、境界デフェクトを補正するための濃度補正処理が行われる色を一次色として、二次色抽出部122が、一次色と異なる色であり、かつ一次色の中間濃度部70Aに重ねられる中間階調の濃度の色を二次色として抽出する。
トラッピング処理部124は、二次色の画像データに対して、レジストレーション情報に基づいてトラッピング処理を行う。トラッピング処理部124は、一次色の中間濃度部70Aに重ねられる二次色の画像が一次色における境界線BLからプロセス方向にずれると判定される場合、二次色の画像部を一次色の高濃度部70Bにオーバーラップさせるように、二次色の画像データに対してデータ処理を行う(トラッピング処理)。なお、二次色となる色が複数ある場合、トラッピング処理は、各々の色に対して実行される。
以下に、第2の実施形態の係る画像形成装置110の処理を説明する。画像形成装置110では、テスト画像72Aを記録用紙Sに形成し、レジストレーション情報を含む補正情報(補正特性曲線Cc)の初期設定が行われる。また、画像形成装置110は、予め設定されたタイミングで、レジストレーション情報を含む補正情報の更新を行う。
テスト画像72Aには、境界領域検出パターン74に加え、レジ検出パターン92が含まれる。画像形成装置110では、テスト画像72Aを形成した際に得られるレジ検出パターン92から画像形成部14のレジストレーション状態を示すレジストレーション情報が生成される。このレジストレーション情報には、C、M、Y、Kの各々について、他の各色のずれ量が含まれる。例えば、Kの画像については、Kに対するY、M、Cの各々のずれ量がレジストレーション情報として生成される。
図16には、画像形成装置110において実行される補正情報及びレジストレーション情報を用いた画像データの補正処理の一例を示している。なお、図16において、前記した図10と同様の処理には、図10のステップ番号を併記する。また、以下では、一例として1ページを1処理単位としているが、全ページを1処理単位としても良い。
このフローチャートでは、例えば、前処理部18から画像データが入力され、入力された画像データに対する画像形成処理が指示されると実行され、最初のステップ260では、入力された画像データから1ページ分の画像データ(Y、M、C、Kの各色の画像データ)を読み込む。次のステップ262では、一次色を設定し、ステップ264では、設定した色(一次色)の画像データから補正対象領域を抽出する。補正対象領域が抽出されると、ステップ266で肯定判定してステップ268へ移行する。ステップ268では、抽出した補正対象領域の各画素のデータについて、補正特性曲線Ccに基づいた濃度補正処理(階調補正処理)を実行する。
また、一次色について補正対象領域を抽出すると、ステップ270では、補正対象領域の中間濃度部70Aに重ねられる中間階調の他の色(二次色)の画像を抽出する。すなわち、二次色の画像は、例えば、一次色がKである場合、Y,M、Cの各画像データから、中間濃度部70Aに重ねられる中間階調の画像とする。C、M、Yの何れかにおいて、Kの中間濃度部70Aに重ねられる画像があると、当該画像を二次色の画像として抽出する。
二次色が抽出されると、ステップ272で肯定判定してステップ274へ移行する。ステップ274では、一次色と二次色との間のレジストレーション情報に基づき、二次色の画像の画像データに対してトラッピング処理を実行する。トラッピング処理は、二次色において一次色の中間濃度部70Aに重なる画像部を、一次色の高濃度部70Bに重なるようにプロセス方向に沿って拡幅するようにデータ処理する。なお、レジストレーション情報から二次色の画像部が一次色の高濃度部70Aにオーバーラップしていると判断される場合、トラッピング処理を実行しなくても良く、トラッピング処理においては、少なくとも、二次色の画像部が一次色の高濃度部70Aにオーバーラップする状態を形成する。
トラッピング処理を行うと、ステップ276では、一次色として全ての色を設定したかを確認し、ステップ278は、全ページに対する処理が終了したか否かを確認する。このとき、一次色に設定する色が残っている場合、ステップ276で否定判定して、ステップ262へ移行し、次の色に対する処理を行い、処理対象ページが残っている場合、ステップ278で否定判定してステップ260へ戻り、次のページに対する処理を行う。
このようにして、トラッピング処理を含む境界デフェクト処理が行われた画像データは、階調補正及びスクリーン処理等の画像処理が施され、画像形成部14において、記録用紙Sへの画像形成に用いられる。
図17(A)及び図17(B)には、一次色における中間濃度部70Aと高濃度部70Bとが接する画像の濃度プロファイルの一例を示している。なお、図17(A)及び図17(B)では、一例として、Kを一次色とし、C、Mを二次色とし、Kの中間濃度部70Aの濃度に、Cの画像部98Cの濃度分、及びMの画像部98Mの濃度分を重ねて示している。
図17(B)に示すように、一次色と二次色との間に、プロセス方向に沿ったレジずれが生じていると、一次色の境界線BLと二次色の画像部98C、98Mとの間に画像の間隙98Gが生じる。この画像の間隙98Gは、一次色に境界デフェクトが生じていると白抜けとして現れる。また、一次色に対して境界デフェクトを抑制するように濃度補正を行った場合でも、記録用紙Sに形成した画像には、画像の間隙98Gが、一次色の色で中間濃度部70Aの濃度の筋として現れる。
更に、二次色の画像部98C及び98Mの少なくとも一方の端部に所謂エッジだれ98Eによる濃度低下が生じていると、この濃度低下が、記録用紙Sに形成した画像に筋として現れる。
画像形成装置110では、二次色の画像部98C、98Mに対してトラッピング処理を行う。これにより、図17(A)に示すように、画像部98C及び画像部98Mの拡幅部98Bが形成され、一次色の高濃度部70Bには、二次色の画像部98C、98M(拡幅部98B)が重ねられる。
画像形成装置110は、トラッピング処理を行うことで、一次色の高濃度部70Bと二次色の画像部98C、98Mとの間に間隙98G、及び二次色の画像部98C、98Mのエッジだれ98Eが、記録用紙Sに形成した画像に筋状に現れて、画質低下を生じさせてしまうのを防止することができる。
一般に、トラッピング処理は、記録用紙Sに形成された画像の仕上がりを確認し、使用者が好みで、画像形成条件として設定することで実行される。これに対して、画像形成装置110は、一次色の中間濃度部70Aに重ねて形成される二次色の画像部98(98C、98M)に対して、画像形成部14のレジストレーション情報に基づいて行う。
従って、画像形成装置110は、使用者がトラッピング処理を指定すること無く、記録用紙Sに形成される画像に画質低下が生じるのを防止でき、高品質の画像形成が可能となる。なお、画像形成装置110では、一次色に対して境界デフェクトを抑制する濃度補正行っているが、一次色に対する濃度補正を省略して、二次色に対すトラッピング処理を行うことで、一次色の境界デフェクトを抑制するようにしても良い。
以上説明した第2の実施形態では、記録用紙Sの搬送経路52B中に画像読取部60が設けられた画像形成装置10を例に説明したが、例えば、図12に示すように画像読取部60に替えて、原稿に形成された画像を読み取って原稿に応じた原稿画像データを出力する画像読取部(Scanner)102を備えた構成であっても良い。
〔第3の実施形態〕
次に本発明の第3の実施形態を説明する。なお、第3の実施形態の基本的構成は、前記した第1の実施形態と同様であり、第3の実施形態において、第1又は第2の実施形態と同様の機能部品については、第1又は第2の実施形態と同様の符号を付与してその説明を省略する。
図18には、第3の実施形態に係る画像形成装置130を示している。画像形成装置130は、画像処理部132、画像形成部134、及び制御部136を備える。画像処理部132は、画像処理部12及び前処理部18の機能を含んでいる。なお、画像形成装置130としては、前処理部18から画像データが入力される構成であっても良い。
画像形成部134は、トナーカートリッジ24(24Y、24M、24C、24K)、画像形成ユニット26(26Y、26M、26C、26K)、露光ユニット28(28Y、28M、28C、28K)、転写ユニット40、及び定着ユニット56を備える。なお、画像形成部134は、冷却ユニット58、画像検出部60の機能を備えない点で画像形成部14と相違する。
画像処理部132には、通信手段を介してパーソナルコンピュータ等の画像処理端末から記録用紙Sに形成する画像の原稿画像データが入力される。画像処理部132は、入力された原稿画像データに対して、リップ処理(RIP処理部64)、階調補正処理(階調補正部66)、及びスクリーン処理(スクリーン処理部68)等の予め設定された画像処理を実行し、画像形成部134に用いる画像データ(例えば、Y、M、C、Kの二値のビットマップデータ)を生成する。画像形成部134は、画像データに基づいた画像形成処理を行う。
画像形成装置130には、画像形成部134の転写ユニット40(図3参照)にトナー像濃度センサ48が設けられている。トナー像濃度センサ48は、転写ベルト42上の予め設定された位置に対向されている。制御部136は、トナー像濃度センサ48を用いて読み取ったトナー像の濃度等に基づいて、階調補正処理に用いる多次元の対照表及び階調再現曲線等の変換パラメータを設定する。また、制御部136は、例えば、制御パラメータとして、帯電器30に印加する帯電電圧、現像器34の現像ロール38に印加する現像バイアス、一次転写ロール44に印加する一次転写電圧、及び二次転写ロール46に印加する二次転写電圧等を設定する。
制御部136は、設定した変換パラメータに基づいて画像処理部132が画像データに対する画像処理を実行するように制御し、制御パラメータに基づいて、帯電プロセス22A〜定着プロセス22Gの実行を制御することで、予め設定された画像品質の画像を形成する。このような画像形成装置130の基本的構成は、公知の構成を適用でき、第3の実施形態では、詳細な説明を省略する。
一方、画像処理部136には、特定領域抽出部86及び抽出領域補正部88を含む画像データ補正部84が設けられている。画像データ補正部84は、データ格納部90Bに格納された補正情報(補正特性曲線Cc)に基づいて画像データに対する濃度補正処理を行う。
一方、記録用紙Sに形成した画像に生じる境界デフェクトは、トナー濃度TC、感光体ドラム20の表面層20Aの膜厚d、感光体ドラム20に形成する静電潜像の電位コントラストVcon、及び感光体ドラム20と現像ロール38との間の距離g等に応じて、強さ(深さH及び幅Wの少なくとも一方)が変化する。
画像形成部134では、表面層12Aの摩耗により感光体ドラム20の膜厚dが減少し、感光体ドラム20の帯電特性が変化する。感光体ドラム20の帯電特性の変化は、境界デフェクトの深さHを変化させる。また、画像形成部134では、感光体ドラム20に形成可能な静電潜像の最高電位と最低電位との差である電位コントラストVconが変化することで階調特性が変化し、この階調特性の変化に応じて境界デフェクトの深さHが変化する。さらに、画像形成部134では、例えば、トナー濃度TCが高くなることで境界デフェクトの深さHも大きくなる。
また、画像形成部134では、感光体ドラム20と現像ロール38との間隔である対ロール間距離gが予め設定した距離に保持されているが、例えば、現像器32の交換等のメンテナンスが行われることで、予め定めている公差範囲内で対ロール間距離gが変化する。画像形成部134は、感光体ドラム20と現像ロール38との対ロール間距離gが変化することで、境界デファクトの幅Wが変化し、これに伴って深さHも変化する。
ここから、第3の実施形態では、一例として、トナー濃度TC、感光体ドラム20の表面層20Aの膜厚d(以下、感光体ドラム20の膜厚dとする)、感光体ドラム20に静電潜像を形成した際の電位コントラストVcon、及び対ロール間距離gを、境界デフェクトに関するパラメータ(以下、STVパラメータとする)として用いる。画像形成装置130は、STVパラメータの何れかが変化した場合、又はSTVパラメータが変化する状態が生じた場合、境界デフェクトの抑制に用いる補正情報(補正特性曲線Cc)の調整を行い、調整した補正情報に基づいて境界デフェクトの抑制のための濃度補正処理を行う。
図19(A)には、トナー濃度TCに対する境界デフェクトの深さHを示し、図19(B)には、膜厚dに対する境界デフェクトの深さHを示し、図19(C)には、電位コントラストVconに対する境界デフェクトの深さHを示している。
図19(A)に示すように、境界デフェクトの深さHは、トナー濃度TCに応じて変化し、例えば、トナー濃度TCが初期値(トナー濃度TC0)からトナー濃度TCaに変化すると、深さHは、初期値(深さH0)から深さHaに変化する。この際、トナー濃度TCの変化量ΔTCに対する深さHの変化量は、変化量ΔHTCとなる。
図19(B)に示すように、境界デフェクトの深さHは、膜厚dに応じて変化し、例えば、膜厚dが初期値(膜厚d0)から膜厚dbに変動すると、深さHは、初期値(深さH0)から深さHbに変化する。この際、膜厚dの変化量Δdに対する深さHの変化量は、変化量ΔHdとなる。
また、図19(C)に示すように、境界デフェクトの深さHは、電位コントラストVconに応じて変化し、例えば、電位コントラストVconが初期値(電位コントラストVcon0)から電位コントラストVconcに変化すると、深さHは、初期値(深さH0)から深さHcに変化する。この際、電位コントラストVconの変化量ΔVconに対する深さHの変化量は、変化量ΔHVとなる。
画像形成装置130では、予めシミュレーション等に基づいてトナー濃度TCの変化量ΔTC、膜厚dの変化量Δd、及び電位コントラストVconの変化量ΔVconの各々に対する境界デフェクトの深さHの変化量ΔHTC、ΔHd、ΔHVが設定され、調整変換テーブル(例えば、図19(A)〜図19(C)に対応するテーブル)としてデータ格納部90Bに格納されている。
一方、図20(A)には、対ロール間距離gに応じた入力濃度Dinに対する出力濃度Doutの変化の一例を示している。なお、図20(A)では、予め設定している対ロール間距離gの初期値(対ロール間距離g0とする)、及び対ロール間距離g0に対して公差範囲内で対ロール間距離g0より狭くした対ロール間距離gSと、対ロール間距離g0より広くした対ロール間距離gwとにおける変化を示している(gS<g0<gw)。また、入力濃度Dinは、データ(画像データ)上の濃度とし、出力濃度Doutは、トナー像濃度センサ48により検出される濃度としている。
一般に、画像形成部134では、入力濃度Dinが、画像形成部134の出力特性により定まる濃度DSである場合、出力濃度Doutが、対ロール間距離gに関わらず濃度DTとなる。これに対して、対ロール間距離gSにおいては、入力濃度Dinが濃度DSよりも低い濃度DSLの場合、出力濃度Doutは、対ロール間距離g0における濃度DTSより高くなり、入力濃度Dinが濃度DSより高い濃度DSHの場合、出力濃度Doutは、対ロール間距離g0における濃度DTSよりも低くなる。また、対ロール間距離gWにおいては、入力濃度Dinが濃度DSよりも低い濃度DSLの場合、出力濃度Doutは、対ロール間距離g0における濃度DTSより低くなり、入力濃度Dinが濃度DSより高い濃度DSHの場合、出力濃度Doutは、対ロール間距離g0における濃度DTWよりより高くなる。すなわち、画像形成部130では、対ロール間距離gに応じて、入力濃度Dinに対する出力濃度Doutの変化特性が異なる。
図20(B)には、対ロール間距離gに対する境界デフェクトの幅Wを示している。境界デフェクトの幅Wは、対ロール間距離gに応じて変化し、例えば、対ロール間距離g0から対ロール間距離geに変化すると、幅Wは、初期値(幅W0)から幅Weに変化する。この際、対ロール間距離gの変動量Δgに対する幅Wの変化量は、変化量ΔWgとなる。
画像形成装置130では、例えば、装置の製造時の感光ドラム20の対ロール間距離gが初期値(対ロール間距離g0)として、データ格納部90Bに格納されている。また、画像形成装置130では、予めシミュレーション等を行うことで、対ロール間距離gに応じた入力濃度Dinに対する出力濃度Doutが求められて、距離変換テーブル(例えば、図20(A)に対応するテーブル)としてデータ格納部90Bに格納されている。さらに、画像形成装置130は、対ロール間距離gの変化量Δgに対する境界デフェクトの幅Wの変化量ΔWgが設定され、調整変換テーブル(例えば、図20(B)に対応するテーブル)としてデータ格納部90Bに格納されている。
図18に示すように、画像形成装置130の画像形成部134には、トナー濃度TCを検出するトナー濃度検出部138、感光体ドラム20の膜厚dを検出する膜厚検出部140、及び感光体ドラム20の電位コントラスルVconを検出する電位検出部142が形成されている。また、画像形成装置130には、制御部136に、ユーザインターフェイス(UI144)、各種のデータを受け付ける受付部146、及び情報補正部148が形成されている。
トナー濃度検出部138は、例えば、磁力を測定する透磁率センサ(図示省略)を備え、透磁率センサにより現像剤収容部材32A(図4参照)内の現像剤GD(トナーT)のトナー濃度TCを検出する。
また、膜厚検出部140は、例えば、感光体ドラム20を帯電する際の放電開始電圧から感光体ドラム20の膜厚dを検出する。感光体ドラム20が帯電する際の帯電開始電圧は、感光体ドラム20の膜厚dに応じて変化し、膜厚dが薄くなることで帯電開始電圧が高くなる。ここから、膜厚検出部140は、例えば、帯電器30により感光体ドラム20を帯電させる際の電流値を検出し、電流値の変化から帯電開始電圧を判定して感光体ドラム20の膜厚dに換算する。
電位検出部142は、例えば、感光体20に予め設定した静電潜像を形成し、感光体ドラム20の外周面に対向して配置した電位センサ(図示省略)により静電潜像に応じた感光体ドラム20の表面の電位を測定する。電位検出部142は、測定した電位に基づいた電位コントラストVconを出力する。
情報調整部148は、トナー濃度検出部138により検出したトナー濃度TC、膜厚検出部140により検出した膜厚d、及び電位検出部142により検出した電位コントラストVconの各々を初期値(トナー濃度TC0、膜厚d0、電位コントラストVcon0)と比較することで、境界デフェクトの深さH(境界デフェクトの強さ)が変化しているか否かを予測する。また、情報調整部148は、境界デフェクトの深さHが変化していると予測される場合、調整変換テーブルを用いて変化量(ΔHTC、ΔTd、ΔHV)を求め、求めた変化量に基づいて補正特性曲線Cc(補正情報)を調整する。
また、制御部136は、予め複数段階に設定された濃度のトナー像を転写ベルト42に形成し、形成した各トナー像の濃度をトナー像濃度センサ48により検出する。例えば、制御部136は、濃度DSより高い濃度DSH(例えば、濃度80%)及び濃度DSより低い濃度DSL(例えば、濃度20%)を入力濃度Dinとするトナー像を形成する。情報調整部136は、これらのトナー像に対する濃度(出力濃度Dout)から、距離判定テーブルを用いて対ロール間距離gを判定する。また、情報調整部148は、判定した対ロール間距離g及び対ロール間距離g0から調整変換テーブルを用いて境界デフェクトの幅Wの変化量ΔWgを予測し、予測した変化量ΔWgに基づいて補正特性曲線Cc(補正情報)を調整する。
なお、トナー濃度検出部138、膜厚検出部140、電位検出部142、及び情報調整部148は、上記構成に限らず、トナー濃度TC、感光体ドラム20の膜厚d、電位コントラストVcon及び対ロール間距離gを検出し得る各種の構成を適用することができる。
UI144は、画像形成装置130の動作状態等を含む各種の情報を表示する表示部、及び画像形成装置130に各種の情報を入力する操作キー(何れも図示省略)等を含む。画像形成装置130には、データ格納部90Bに、例えばテスト画像72のテスト画像データが予め格納されており、制御部136は、UI144の操作キーの操作によりテスト画像72の出力が指示されることで、テスト画像データを読み出して、記録用紙Sにテスト画像72を形成して出力する。
画像形成装置130は、記録用紙Sに形成されたテスト画像72が画像読取装置や濃度センサ等により読み取られ、テスト画像72を読み取ったデータが受付部146から入力される。補正情報生成部80は、受付部146に入力されたテスト画像の画像データに基づいて補正情報(補正特性曲線)を生成して、データ格納部90Bに格納する。なお、受付部146としては、通信手段を介してデータ入力を受け付ける通信インターフェイスを用いても良く、UI144に設けた操作キー等を用いて良い。また、補正情報等が可搬式記憶媒体に記憶される場合、受付部146は、可搬式記憶媒体からデータを読み取るインターフェイスが適用される。
また、情報補正部148は、テスト画像72を記録用紙Sに形成する際に、膜厚d、電位コントラストVcon、及びトナー濃度TC等のSTVパラメータを取得し、補正情報に対するSTVパラメータの初期値(トナー濃度TC0、膜厚d0、電位コントラストVcon0、及び対ロール対距離g0)として、補正情報と共に、データ格納部90Bに格納する。
以下に、画像形成装置130における境界デフェクト処理を説明する。画像形成装置130では、例えば、製造時、製品出荷時又は設置時などの予め設定されたタイミングで補正情報の設定が行われる。
図21には、補正情報の設定の一例を示している。このフローチャートは、例えば、UI144の操作キーの操作により補正情報の設定が指示されることで実行され、最初のステップ280において、データ格納部90Bに格納しているテスト画像データを読み出し、次のステップ282において、テスト画像データを用いて、記録用紙Sにテスト画像72を形成する。また、ステップ284では、STVパラメータとして設定しているトナー濃度TC、感光体ドラム20の膜厚d、及び電位コントラストVconを取得する。
画像形成装置130では、記録用紙Sに形成したテスト画像72の境界領域検出パターン74が、図示しない画像読取装置等により読み取られて、読み取られたデータ(濃度データ)を受付部146が受け付けると、ステップ286で肯定判定して、ステップ288へ移行する。このステップ288は、受け付けたデータから濃度プロファイルを作成し、作成した濃度プロファイルに基づいて補正情報(補正特性曲線Cc)を設定する。
次のステップ288では、補正情報及びSTVパラメータをデータ格納部90Bに格納する。この際、STVパラメータは、初期値(トナー濃度TC0、膜厚d0、電位コントラストVcon0)として格納される。また、画像形成装置130では、感光体ドラム20と現像ロール38との対ロール間距離gが測定され、初期値(対ロール間距離g0)としてデータ格納部90Bに格納される。
画像形成装置130は、例えば、原稿画像データに基づく画像を記録用紙Sに形成する際、STVパラメータから境界デフェクトの変化を予測し、予測結果に基づいて補正情報を調整し、調整した補正情報に基づいて画像処理を行う。
図22には、画像形成装置130における画像データに対する処理の一例を示している。このフローチャートは、例えば、原稿画像データから生成した画像データ(例えば、多値のビットマップデータ)に対する画像処理を行う際に実行され、最初のステップ300では、原稿画像データに対してRIP処理等が行われて生成された画像データを読み込み、ステップ302では、読み込んだ画像データから境界デフェクトが生じる可能性のある補正対象領域を抽出する。なお、補正対象領域の抽出は、例えば、記録用紙Sの1ページ分ずつに対して行うものであっても良いが、ここでは、一例として全ページを処理単位としている。
画像データに補正対象領域が含まれていない場合、ステップ304で否定判定して、処理を終了する。なお、処理の終了した画像データは、階調補正処理及びスクリーン処理が行われた後、記録用紙Sへの画像形成処理に用いられる。
画像データから補正対象領域が抽出された場合、ステップ304で肯定判定してステップ306へ移行する。このステップ306では、STVパラメータに適用しているトナー濃度TC、膜厚d及び電位コントラストVconを取得し、ステップ308では、各々を初期値(トナー濃度TC0、膜厚d0、及び電位コントラストVcon0)と比較する。
ここで、トナー濃度TC、膜厚d、及び電位コントラストVconの何れにも変化が生じていないと判断される場合、ステップ310で否定判定してステップ312へ移行する。ステップ312では、データ格納部90Bに格納されている補正情報を読み出し、補正対象領域の各々の画像データに対して濃度補正処理を行う。
これに対して、トナー濃度TC、膜厚d、及び電位コントラストVconの何れか少なくとも一つに変化が生じていると判断されると、ステップ310で肯定判定してステップ314へ移行する。ステップ314では、該当するSTVパラメータ(トナー濃度TC、膜厚d、及び電位コントラストVconの何れか少なくとも一つ)の変化量から境界デフェクトの変化を予測し、補正情報に対する調整処理を行う。STVパラメータの変化量に基づいて調整された補正情報は、ステップ312における画像データに対する濃度補正処理に用いられる。
ここで、画像形成装置130におけるトナー濃度TC、膜厚d、及び電位コントラストVconの変化に基づいた補正情報の調整を説明する。図23(A)〜図23(C)には、境界デフェクトの強さ(深さH)の変化に対する補正特性曲線Ccの変化の概略を示している。なお、図23(A)は、トナー濃度TCに対応する補正レベルCLを示し、図23(B)は膜厚dに対応する補正レベルCLを示し、図23(C)は電位コントラストVconに対応する補正レベルCLを示している。
例えば、画像形成装置130では、トナー濃度TCが高くなった場合、境界デフェクトの深さHが大きくなる(境界デフェクトが強くなる)。記録用紙Sへの画像形成処理に先立って取得したトナー濃度TCと、データ格納部90Bに格納している初期値のトナー濃度TC0とを比較することで、トナー濃度TCの変化量ΔTC、この変化量ΔTCから深さHの変化量ΔHTCが得られる(図19(A)参照)。
図23(A)に示すように、トナー濃度TCに応じて深さHが変化量ΔHTCだけ大きくなった場合、情報調整部148は、画素位置P1における補正レベルCL0をトナー濃度TCの変化量ΔTCに応じて高くする(例えば、補正レベルCLTC)ように補正特性曲線Ccを調整する。また、情報調整部148は、同様に、画像位置Pnまでの各画素位置Pの各々において、境界線BLからの距離(画素数)及び変化量ΔHTCに応じて設定される補正レベルCLを高くするように補正特性曲線Ccを調整した補正特性曲線CLTCを求める。
また、画像形成装置130では、電子写真プロセスが実行されることで、感光体ドラム20に摩耗が生じて膜厚dが減少した場合、境界デフェクトの深さHが減少する(境界デフェクトが弱くなる)。記録用紙Sへの画像形成処理に先立って取得した膜厚dと、データ格納部90Bに格納している初期値の膜厚d0とを比較することで、膜厚dの変化量Δdが得られ、この変化量Δdから深さHの変化量ΔHdが得られる(図19(B)参照)。
図23(B)に示すように、膜厚dに応じて深さHが変化量ΔHdだけ減少した場合、情報調整部148は、補正レベルCL0を膜厚dの変化量Δdに応じて低くする(例えば、補正レベルCLd)ように補正特性曲線Ccを調整する。また、情報調整部148は、同様に、画像位置Pnまでの各画素位置Pの各々において、境界線BLからの距離(画素数)に応じて設定される補正レベルCLを低くするように補正特性曲線Ccを調整した補正特性曲線CLdを求める。
さらに、画像形成装置130では、電位コントラストVconが高くなった場合、境界デフェクトの深さHが大きくなる。記録用紙Sへの画像形成処理に先立って取得した電位コントラストVconと、初期値の電位コントラストVcon0とを比較することで、電位コントラストVconの変化量ΔVconが得られ、この変化量ΔVconから深さHの変化量ΔHVが得られる(図19(C)参照)。
図23(C)に示すように、電位コントラストVconに応じて深さHが変化量ΔHVだけ大きくなった場合、情報調整部148は、画像位置P1において変化量ΔHVに応じて補正レベルCL0が高くする(例えば、補正レベルCLV)ように補正特性曲線Ccを調整する。また、情報調整部148は、同様に、画像位置Pnまでの各画素位置Pの各々において、境界線BLからの距離(画素数)及び変化量ΔHVに応じて、補正レベルCLを高くするように補正特性曲線Ccを調整した補正特性曲線CLVを求める。
なお、トナー濃度TCが低くなった場合、及び電位コントラストVconが小さくなった場合、境界デフェクトの深さHが小さくなる(浅く)ことから、変化量ΔHTC又は変化量ΔHVに応じて、補正レベルCLを下げるように補正特性曲線Ccが調整される。
また、例えば、膜厚d及びトナー濃度TCが変化していた場合など、複数のSTVパラメータが変動している場合、例えば、各々変化量ΔH(ΔHd、ΔHTC、ΔHV)に応じて補正レベルCLの調整量が加算することで補正情報の調整が行われる。例えば、膜厚dが減少し、トナー濃度TCが高くなった場合、膜厚d又はトナー濃度TCの一方の変化に合わせて補正レベルCLを調整した補正特性曲線Ccに対し、膜厚d又はトナー濃度TCの他方の変化に合わせた補正レベルCLの調整が行われる。
一方、画像形成装置130では、現像器32の交換やメンテナンスのために現像ロール38が取り外されることがある。この場合、新た取り付けられた現像ロール38に対して、対ロール間距離gが予め設定されている公差範囲内で変化することがある。画像形成装置130は、対ロール間距離gが変化することで境界デフェクトの強さが変化する。制御部136は、対ロール間距離gに変化が生じたと判断される場合、対ロール間距離gの変化を反映するように補正情報(補正特性曲線)の調整を行う。
図24には、対ロール間距離gに応じた補正情報の調整の一例を示す。このフローチャートは、例えば、現像器32等のメンテナンスに先だって実行が開始され、最初のステップ320では、予め対ロール間距離gの判定用として設定されている濃度パターンのトナー像を転写ベルト42に形成する。
判定用濃度パターンとしては、Y、M、C、Kの各色又は何れか少なくとも1色について、濃度(階調)を複数段階に変化させたパターンが適用される。また、判定用濃度パターンのデータとしては、入力濃度Dinとして、濃度DS、濃度DSより高い濃度の濃度DSH(例えば、濃度80%)、及び濃度DSより低い濃度の濃度DSL(例えば、濃度20%)のデータを含むように設定されている。
判定用濃度パターンのトナー像を転写ベルト42に形成すると、次のステップ322では、転写ベルト42に形成したトナー像の濃度をトナー像濃度センサ48により読み込み、メンテナンス前の濃度情報Dpri(対ロール間距離g0の濃度情報)として保持する(ステップ314)。
この後に、画像形成装置130では、現像器32等のメンテナンスが行われる。なお、メンテナンスを行う場合、例えばステップ326において、UI144の表示部にメンテナンスを許可する表示を行うようにしても良い。
ステップ328では、メンテナンスが終了したか否かを確認する。ここで、メンテナンスが終了し、例えば、UI144のキー操作により調整処理の開始が指示されると、ステップ328で肯定判定してステップ330へ移行する。このステップ330では、再度、判定用濃度パターンのトナー像を転写ベルト42に形成し、次のステップ332において、転写ベルト42に形成したトナー像の濃度をトナー像濃度センサ48により読み込み、メンテナンス後の濃度情報Daftを取得する(ステップ334)。
次のステップ326では、メンテナンス前の濃度情報Dpriとメンテナンス後の濃度情報Daftとを比較し、ステップ338では、トナー像の濃度に変化が生じたか否かを判断する。対ロール間距離g0における濃度情報(メンテナンス前の濃度情報)Dpriに対してメンテナンス後の濃度情報Daftに変化が生じていないと判断される場合、ステップ338で否定判定して、補正情報の調整を行わずに処理を終了する。
一方、濃度情報Dpriに対して濃度情報Daftに変化が生じていると判断される場合、ステップ338で肯定判定してステップ340へ移行する。このステップ340では、濃度情報Dpriに対する濃度情報Daftの変化状態から、予め設定している距離判定テーブル(図20(A)参照)を用いて対ロール間距離gの変化量Δgを判定する。
図20(A)に示すように、対ロール間距離gが変化することで入力濃度Dinに対する出力濃度Doutが変化する。ここから、例えば、入力濃度Dinとしている濃度DSH及び濃度DSLの各々における濃度情報Dpri(対ロール間距離g0に対応)と濃度Daftとの大小関係から、対ロール間距離gが広がったが狭まったかを判定することができる。また、濃度DSH及び濃度DSLにおける濃度情報Dpriと濃度Daftの差から対ロール間距離gの変化量Δgが得られる。
図24のフローチャートのステップ342では、対ロール間距離gに応じた調整変換テーブルを用い、対ロール間距離gの変化量Δgから、境界デフェクトの強さの変化(変化量ΔHg)を予測し、予測に基づいて補正特性曲線Ccを調整する。ステップ344では、調整した補正特性曲線Cc又は補正特性曲線Ccを調整するための情報をデータ格納部90Bに格納する。
図25には、境界デフェクトの強さ(幅W)の変化に対する画素位置Pに対応する補正レベルCLの補正特性曲線Ccの変化の概略を示している。画像形成装置130では、例えば、対ロール間距離gが広がった場合、境界デフェクトの幅Wが広がる(境界デフェクトが強くなる)。
ここから、図25に示すように、対ロール間距離gの変化により境界デフェクトの幅Wが広がった場合、情報調整部148は、変化量ΔWgに応じて、補正対象領域を調整する。例えば、対ロール間距離gが広がって場合、情報調整部148は、補正対象領域を画素位置Pnから画素位置Pm(n<m)まで広がるように補正特性曲線Ccを調整する。また、情報補正部148は、例えば、画素位置Piの補正レベルCLiが、変化量ΔWgに応じて移動し、例えば、画素位置P(i+m−n)における補正レベルCLとなるように、補正特性曲線Ccをシフトする。
さらに、情報調整部148は、境界デフェクトの幅Wが広がることにより生じる深さHに応じて、補正レベルCLを調整する。この際、情報調整部148は、画像位置P1において変化量ΔHgに応じて補正レベルCL0が高くする(例えば、補正レベルCLg)ように補正特性曲線Ccを調整し、調整した補正特性曲線CLgを求める。
なお、対ロール間距離gが狭まった場合、情報調整部148は、変化量ΔWgに応じて補正対象領域の範囲を狭めると共に、補正特性曲線Ccを境界線BL側へシフトすることで、補正対象領域の各画素位置Pの補正レベルCLが下がるように補正特性曲線Ccを調整する。
対ロール間距離gの変化に応じて調整された補正特性曲線Ccg又は補正特性曲線Ccを調整するための調整情報は、データ格納部90Bに格納される。情報補正部148は、膜厚d、トナー濃度TC、及び電位コントラストVconの変化に応じて補正情報を調整する際、対ロール間距離gに応じて調整した補正特性曲線Ccg又は補正特性曲線Ccを調整するための調整情報を加算する。
以上説明した第3の実施形態では、補正情報を更新せずに、STVパラメータの変化から、境界デフェクトの変化を予測して補正情報を調整し、調整した補正情報を用いて、画像データに対する補正を行うようにしたが、STVパラメータ毎に変動量の許容範囲を設定して、変動量が許容範囲を外れた場合に、補正情報が更新されるようにしても良い。
図26には、このときの処理の一例を示している。なお、図26において、前記した図22と同様の処理については、同様のステップ番号を付与して説明を省略している。
このフローチャートでは、画像データを読み込むと、読み込んだ画像データから補正対象領域を抽出し、補正対象領域が抽出された場合、STVパラメータの各々の初期値と、現状のSTVパラメータとを比較する(ステップ300〜ステップ308)。
ここで、STVパラメータの何れかに変化があった場合、ステップ310で肯定判定してステップ350へ移行する。このステップ350では、STVパラメータの変化量が予め設定している許容範囲内か否かを確認する。このとき、STVパラメータの何れも変化量が小さく、STVパラメータ毎に設定している許容範囲を外れていない場合、ステップ350で肯定判定してステップ314へ移行し、STVパラメータに基づいて補正情報の調整を行う。
これに対して、STVパラメータの何れか少なくとも一つのパラメータについて変化量が許容範囲を超えていた場合、ステップ350で否定判定してステップ352へ移行する。このステップ352では、例えば、UI144の表示部に、補正情報(補正特性曲線Cc)の更新を要求する表示を行うなどして、補正情報の更新を促す。
画像形成装置130は、補正情報の更新が要求された場合、画像データに対する画像処理(画像形成処理)を中止しても良く、また、UI144を用いる等して画像データに対する画像形成処理を継続するか否かを確認し、継続するように指示された場合に、例えば、STVパラメータの変化量に基づいて補正特性曲線Ccを調整して、調整した補正特性曲線Ccに基づいて画像データに対する処理を行うようにしても良い。
補正情報の更新が指示された場合、例えば、前記した図21に示す初期設定と同様の処理を行うことで、その時点における画像形成装置130の装置状態に応じたトナー濃度TC、膜厚d、及び電位コントラスVconに基づく適切な補正情報が得られ、境界デフェクトに起因する画像品質の低下を防止することができる。
画像形成装置130では、予めテスト画像72を記録用紙Sに形成して補正情報を設定することで、STVパラメータの変化に基づいて境界デフェクトの変化を予測して、予測した変動に応じた適正な境界デフェクト処理を行うことができる。
従って、画像形成装置130は、装置の状態が境界デフェクトを悪化(強く)させる状態となっても、補正不足が生じることがなく、また、境界デフェクトが弱くなる状態となっても、過補正による画質低下を生じさせることがない。
なお、第3の実施形態では、STVパラメータとして膜厚d、トナー濃度TC、電位コントラストVcon、及び対ロール間距離gを適用して、境界デフェクトの変化を予測したが、境界デフェクトの変化の予測は、これに限るものではない。境界デフェクトの予測には、境界デフェクトに変化を生じさせる各種のパラメータを用いることができる。
なお、以上説明した本実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。また、本発明は、電子写真プロセスにより記録媒体に画像を形成する任意の構成の画像形成装置に適用することができる。