JP2015079027A - レンズ鏡筒 - Google Patents

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哲哉 宇野
Tetsuya Uno
哲哉 宇野
科野 文男
Fumio Shinano
文男 科野
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Abstract

【課題】レンズ鏡筒の強度を損なうことなく、レンズ鏡筒の小型化を図ることにある。
【解決手段】レンズ鏡筒20は、第1枠体130と、第2枠体335と、退避レンズ枠401とを、備えている。第2枠体335は、第1枠体130に対して光軸方向に移動可能である。退避レンズ枠401は、撮影可能状態と収納状態との移行期間において、光軸と略平行な退避軸回りに移動可能である。第1枠体130の内周部には、内方へ向けて立設する少なくとも1つの側壁を有する当接部a7が、形成されている。退避レンズ枠401は、突起411を有している。突起411は、退避レンズ枠401が退避軸回りに移動する場合に、当接部a7に係合し案内される。当接部の側壁を構成する領域では、第1枠体130の内方に向けて、他の領域より厚みが増加されている。
【選択図】図9A

Description

ここに開示される技術は、光学系を備えるレンズ鏡筒に関する。
従来、1群レンズを基準として、退避可能な2群レンズを有するレンズ鏡筒が、開示されている(特許文献1を参照)。ここでは、2群レンズを保持する2群レンズ保持枠(退避レンズ枠に対応)が、1群レンズを保持する保持部材に対して、退避可能になっている。具体的には、2群レンズ保持枠の被押圧突起が、撮像素子ホルダーに形成された離脱制御突起によって、押圧される。これにより、2群レンズ保持枠の姿勢が、撮影可能姿勢から退避姿勢へと、変更される。
特開2011−150132号公報
従来技術では、2群レンズ保持枠を、撮像素子ホルダーの離脱制御突起によって押圧することによって、2群レンズ保持枠の姿勢を、撮影可能姿勢から退避姿勢へと変更していた。この場合、撮像素子ホルダー上において光軸方向に延びる離脱制御突起を、形成する必要がある。このため、撮像素子ホルダーが大型化してしまうおそれがある。
この問題を解決するためには、2群レンズ保持枠と、2群レンズ保持枠の外周に配置される枠体との間に、カム機構を設けることが考えられる。この技術は、例えば、枠体にカム溝を形成し、この枠体のカム溝に上記の被押圧突起を案内させることによって、2群レンズ保持枠を、撮影可能姿勢から退避姿勢へと変更することができる。しかしながら、この場合、カム溝を形成することによって、枠体の強度が低下するおそれがある。
ここに開示される技術は、上記のような問題に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、レンズ鏡筒の強度を損なうことなく、レンズ鏡筒の小型化を図ることにある。
ここに開示されるレンズ鏡筒は、第1枠体と、第2枠体と、退避レンズ枠とを、備えている。第2枠体は、第1枠体に対して光軸方向に移動可能である。退避レンズ枠は、第2枠体に保持されている。退避レンズ枠は、撮影可能状態と収納状態との移行期間において光軸と略平行な退避軸回りに移動可能である。第1枠体は、円筒部を有している。この円筒部の内周部には、内方へ向けて立設する少なくとも1つの側壁を有する当接部が、形成されている。退避レンズ枠は、突起を有している。突起は、退避レンズ枠が退避軸回りに移動する場合に、カム溝に係合し案内される。円筒部の内周部において当接部の側壁を構成する領域では、円筒部の内方に向けて、他の領域より厚みが増加されている。
ここに開示される技術によれば、強度を損なうことなく小型化を図ることができるレンズ鏡筒を、提供することができる。
デジタルカメラの斜視図 レンズ鏡筒の斜視図 レンズ鏡筒の分解斜視図 固定枠の斜視図 第1直進枠の斜視図 第1回転枠の斜視図 第2直進枠の斜視図 第2回転枠の斜視図 第3直進枠の斜視図 第3直進枠の斜視図 第2直進枠と第2回転枠と第3直進枠とを組み付けた模式図 第1レンズ群枠の斜視図 第2レンズ群枠の斜視図 第2レンズ群枠を前方から見た図 第2レンズ群枠とシート部材との関係を示す斜視図 シャッター枠の斜視図 シャッター枠を被写体側から見た図 シャッター枠、OIS枠、及び退避レンズ枠の斜視図 シャッター枠、OIS枠、退避レンズ枠、及び第2レンズ群枠の断面図 OIS枠の斜視図 OIS枠の回り止め部に退避レンズ枠が係合した状態の拡大断面図 回動バネが退避レンズ枠をOIS枠に付勢する状態を示す断面図 退避軸と当接面との当接状態を示す拡大断面図 第2レンズ群枠と退避レンズ枠との関係を示す斜視図(撮影可能状態) 第2レンズ群枠と退避レンズ枠との関係を示す斜視図(沈胴状態) シャッター枠と退避レンズ枠との関係を示す図(撮影可能状態) シャッター枠と退避レンズ枠との関係を示す断面図(撮影可能状態) シャッター枠と退避レンズ枠との関係を示す図(沈胴状態) 退避レンズ枠を撮像素子側から見た図 レンズ鏡筒の模式断面図(沈胴状態) レンズ鏡筒の模式断面図(ワイド状態) レンズ鏡筒の模式断面図(テレ状態) 他の実施形態に係る回動バネの側面図 他の実施形態に係る回動バネを退避レンズ枠に装着した状態を示す側面図 他の実施形態に係る、OIS枠の回り止め部に退避レンズ枠が係合した状態の拡大断面図
次に、図面を用いて、本発明の実施形態について説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なっている場合がある。従って、具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
なお、以下の実施形態では、撮像装置としてデジタルカメラを例に挙げて説明する。以下の説明では、横撮り姿勢のデジタルカメラを基準として、被写体側を「前」、被写体の反対側を「後」、鉛直上側を「上」、鉛直下側を「下」、被写体に向かって右側を「右」、被写体に向かって左側を「左」と表現する。横撮り姿勢とは、デジタルカメラの姿勢の一種であり、横撮り姿勢で撮影する場合、横長矩形画像の長辺方向は画像内における水平方向に略一致する。
〈デジタルカメラ1の構成〉
デジタルカメラ1の構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、デジタルカメラ1の斜視図である。図2は、レンズ鏡筒20の斜視図である。
デジタルカメラ1は、図1に示すように、筐体10と、レンズ鏡筒20と、を備える。
筐体10は、前板11と、後板12と、側板13と、によって構成される。前板11には、開口10Sが形成されている。
レンズ鏡筒20は、3段沈胴式のズーム機構を備える。レンズ鏡筒20は、非撮影時には筐体10に収容されており、撮影時には開口10Sから前方に繰り出される。具体的に、レンズ鏡筒20は、図2に示すように、第1移動鏡筒部21と、第2移動鏡筒部22と、第3移動鏡筒部23と、固定鏡筒部24と、を有している。
第1移動鏡筒部21は、固定鏡筒部24に対して繰り出し可能である。第2移動鏡筒部22は、第1移動鏡筒部21に対して繰り出し可能である。第3移動鏡筒部23は、第2移動鏡筒部22に対して繰り出し可能である。固定鏡筒部24は、筐体10内に固定される。レンズ鏡筒20が繰り出される場合、第1乃至第3移動鏡筒部21〜23のうち第3移動鏡筒部23が最も前方に位置する。
〈レンズ鏡筒20の詳細構成〉
次に、レンズ鏡筒20の詳細構成について、図面を参照しながら説明する。図3は、レンズ鏡筒20の分解斜視図である。
レンズ鏡筒20の第1乃至第3移動鏡筒部21〜23は、光学系の光軸AXに沿って固定鏡筒部24から繰り出される。光学系には、第1乃至第4レンズ群L1〜L4が含まれる。なお、以下の説明では、光軸AXに平行な方向を「光軸方向」、光軸方向に垂直な方向を「径方向」、光軸AXを中心とする円に沿った方向を「周方向」と称する。光軸AXは、レンズ鏡筒20を構成する各枠の軸心と略一致する。
また、本実施形態において、「直進」とは、周方向に回転することなく光軸方向に移動することを意味する。「移動」は、周方向に回転しながら光軸方向に移動することも含む概念である。
1.第1移動鏡筒部21
第1移動鏡筒部21は、第1直進枠110、第1回転枠210及び第1化粧枠301を有する。第1直進枠110は、後述する固定枠100の径方向内側に配置される円筒状の樹脂部材である。第1回転枠210は、第1直進枠110の径方向内側に配置される円筒状の樹脂部材である。第1化粧枠301は、第1直進枠110の外周を覆う円筒状の板金部材である。
2.第2移動鏡筒部22
第2移動鏡筒部22は、第2直進枠120、第2回転枠220、第3直進枠130、第2レンズ群枠320、第2レンズ群L2、第3レンズ群枠330、第3レンズ群L3、シャッター枠335および第2化粧枠302を有する。
第2直進枠120は、第1回転枠210の径方向内側に配置される円筒状の樹脂部材である。第2回転枠220は、第2直進枠120の径方向内側に配置される円筒状の樹脂部材である。
第3直進枠130は、第2回転枠220の径方向内側に配置される円筒状の樹脂部材である。第2レンズ群枠320は、第3直進枠130の径方向内側に配置されており、ズーム用の第2レンズ群L2を支持する。第3レンズ群枠330は、シャッター枠335に収容され、像ぶれ補正用の第3レンズ群L3を支持する。第3レンズ群枠330は、径方向において揺動自在にシャッター枠335によって支持されており、第3レンズ群L3とともに像ぶれ補正機構を構成している。
シャッター枠335は、第3直進枠130の径方向内側に配置されており、シャッター機構を内蔵する。シャッター枠335は、第3レンズ群枠330を径方向において揺動自在に支持する。シャッター枠335には、制御用フレキシブル配線335aが接続されている。
制御用フレキシブル配線335aは、固定枠100の内周面に沿って配置され、図示しない制御装置に接続されている。制御用フレキシブル配線335aは、後述するシャッター機構や像ぶれ補正機構に制御信号を伝達する。第2化粧枠302は、第2直進枠120の外周を覆う円筒状の板金部材である。
3.第3移動鏡筒部23
第3移動鏡筒部23は、第1レンズ群枠310、第1レンズ群L1および第3化粧枠303を有する。
第1レンズ群枠310は、第2直進枠120と第2回転枠220との間に配置される。第1レンズ群枠310は、レンズ鏡筒20内に光を取り込むための第1レンズ群L1を支持する。第3化粧枠303は、第1レンズ群枠310の外周を覆う円筒状の板金部材である。
4.固定鏡筒部24
固定鏡筒部24は、固定枠100、第4レンズ群枠340、第4レンズ群L4、ズームモータ241、ズームギア242、フォーカスモータ243、マスターフランジ244、撮像素子245および撮像素子フレキシブル配線245aを有する。
固定枠100は、第1直進枠110および第1回転枠210の径方向外側に配置される円筒状の樹脂部材である。第4レンズ群枠340は、マスターフランジ244に取り付けられ、フォーカスモータ243によって光軸方向に駆動される。第4レンズ群枠340は、フォーカス調整用の第4レンズ群L4を支持する。
ズームモータ241は、第1乃至第3移動鏡筒部21〜23を繰り出すための駆動源であり、固定枠100の側面に取り付けられる。ズームギア242は、ズームモータ241の駆動力を第1回転枠210に伝達する。ズームギア242の前端は、固定枠100によって支持され、ズームギア242の後端は、マスターフランジ244によって支持される。フォーカスモータ243は、第4レンズ群枠340を光軸方向に駆動するための駆動源であり、マスターフランジ244に取り付けられる。マスターフランジ244は、固定枠100の後方を覆う板状の樹脂部材である。撮像素子245は、マスターフランジ244の中央に嵌め込まれる。撮像素子フレキシブル配線245aは、マスターフランジ244の後面に貼り付けられる。撮像素子フレキシブル配線245aは、図示しない制御装置に接続されており、撮像素子245からの信号を伝達する。
〈各枠の構成〉
以下において、レンズ鏡筒20を構成する枠について、図面を参照しながら説明する。具体的には、固定枠100、第1直進枠110、第1回転枠210、第2直進枠120、第2回転枠220、第3直進枠130、第1レンズ群枠310、第2レンズ群枠320、第3レンズ群枠330、およびシャッター枠335の構成について順次説明した後に、枠どうしの係合状態について説明する。
1.固定枠100の構成
図4は、固定枠100の斜視図である。
固定枠100は、固定枠本体101と、ズームギア支持部102と、を有する。
固定枠本体101は、円筒状に形成され、内周面100Sと外周面100Tを有する。
前支持部102は、外周面100Tから突出するように設けられる。前支持部102は、ズームギア242の前端を回転自在に支持する。本実施形態において、前支持部102は、前板11によって覆われるため、筐体10の外部に露出しない(図1参照)。なお、ズームギア242の歯部は、固定枠本体101の内側に突出している。
また、固定枠100は、5本の直進溝a1と、3本のカム溝b1と、を有する。ただし、図4では、3本の直進溝a1と2本のカム溝b1が図示されている。
5本の直進溝a1は、光軸方向に沿って内周面100Sに形成されており、周方向において適宜間隔をあけて配置される。
3本のカム溝b1は、光軸方向と交差するように内周面100Sに形成される。
2.第1直進枠110の構成
図5は、第1直進枠110の斜視図である。
第1直進枠110は、第1直進枠本体111と、5本の直進突起A1と、3本の直進溝a2と、バヨネット溝e1と、バヨネット突起E0と、を有する。
直進枠本体111は、円筒状に形成され、内周面110Sと外周面110Tを有する。
5つの直進突起A1は、外周面110Tの後端部に立設される。5つの直進突起A1は、固定枠100の5本の直進溝a1に係合される。
3本の直進溝a2は、光軸方向に沿って内周面110Sに形成される。
バヨネット溝e1は、内周面110Sの後端部において周方向に沿って円弧状に形成される。バヨネット溝e1は、3本の直進溝a2と交差している。
バヨネット突起E0は、内周面110Sの前端部に配置される。バヨネット突起E0は、周方向に沿って円弧状に形成される。本実施形態において、バヨネット突起E0は、周方向において複数本に分断されている。
3.第1回転枠210の構成
図6は、第1回転枠210の斜視図である。
第1回転枠210は、第1回転枠本体211と、ギア部212と、を有する。
第1回転枠本体211は、円筒状に形成され、内周面210Sと外周面210Tを有する。
ギア部212は、外周面210Tの後端部に立設されており、周方向に沿って形成される。ギア部212がズームギア242に噛合することによって、第1回転枠210は、ズームモータ241の駆動力によって周方向に回転される。なお、図示しないが、ギア部212は、第1直進枠110の直進突起A1よりも後方に位置している。
また、第1回転枠210は、3つのカムフォロアB1と、3つのバヨネット突起E1と、3本のカム溝b2と、バヨネット溝e0と、3本の直進溝a3と、を有する。ただし、図6では、直進溝a3は1本だけ図示されている。
3つのカムフォロアB1は、外周面210Tの後端部に立設される。3つのうち2つのカムフォロアB1は、ギア部212の両端に配置されている。3つのカムフォロアB1は、固定枠100の3つのカム溝b1に係合される。
バヨネット突起E1は、外周面210Tの後端部において周方向に沿って形成される。バヨネット突起E1は、ギア部212の前方に配置される。バヨネット突起E1は、第1直進枠110のバヨネット溝e1に係合される。本実施形態において、バヨネット突起E1とバヨネット溝e1とは、第1回転枠210を第1直進枠110に回転自在に係合するためのバヨネット機構を構成している。
3本のカム溝b2は、内周面210Sから外周面210Tまで第1回転枠本体211を貫通している。
バヨネット溝e0は、外周面210Tの前端部に形成される。バヨネット溝e0は、周方向に沿って円弧状に形成される。バヨネット溝e0は、3本のカム溝b2と交差している。バヨネット溝e0には、バヨネット突起E0が係合される。
3本の直進溝a3は、内周面210Sにおいて光軸方向に沿って形成される。3本の直進溝a3のうち2つは近接しており、残り一つは120°〜180°離れて形成される。
4.第2直進枠120の構成
図7は、第2直進枠120の斜視図である。
第2直進枠120は、第2直進枠本体121と、2つの係止部122と、を有する。
第2直進枠本体121は、円筒状に形成され、内周面120Sと外周面120Tを有する。
2つの係止部122は、第2直進枠本体121の後端面上に立設され、後方に向かって突出している。また、2つの係止部122は、光軸AX(図3参照)を中心として略対称な位置に形成される。後述するように、2つの係止部122が第3直進枠130に係止されることによって、第3直進枠130の第2直進枠120に対する相対回転が抑止される。なお、本実施形態では、2つの係止部122のうち一方が他方よりも周方向に長く形成されている。
また、第2直進枠120は、3つの直進カムフォロアAB2と、3本の直進溝a4と、バヨネット溝e2と、を有する。
3つの直進カムフォロアAB2は、外周面120Tの後端部に立設され、周方向において略等ピッチで配置される。3つの直進カムフォロアAB2は、第1回転枠210の3本のカム溝b2に係合される。また、3つの直進カムフォロアAB2は、3本のカム溝b2に挿通され、かつ、第1直進枠110の3本の直進溝a2に係合される。
3本の直進溝a4は、光軸方向に沿って内周面120Sに形成される。3本の直進溝a4は、周方向において略等ピッチで配置される。
バヨネット溝e2は、周方向に沿って内周面120Sの後端部に形成される。バヨネット溝e2は、3本の直進溝a4と交差している。
5.第2回転枠220の構成
図8は、第2回転枠220の斜視図である。
第2回転枠220は、第2回転枠本体221と、3つの直進突起A3と、3つのバヨネット突起E2と、2本のバヨネット溝e3と、3本のカム溝b3と、3本のカム溝b4と、3本のカム溝b5と、を有する。ただし、図8では、カム溝b3、カム溝b4、カム溝b5が各々2本ずつ図示されている。
第2回転枠本体221は、円筒状に形成され、内周面220Sと外周面220Tを有する。
3つの直進突起A3は、外周面220Tの後端部に立設され、周方向において3つの直進突起A3のうち2つは近接しており、残り一つは近接する2つの直進突起A3から120°以上離れて形成される。3つの直進突起A3は、第1回転枠210の3つの直進溝a3に係合される。
3つのバヨネット突起E2は、外周面220Tの後端部において周方向に沿って形成される。3つのバヨネット突起E2は、3つの直進突起A3より前方に配置される。バヨネット突起E2は、第2直進枠120のバヨネット溝e2に係合される。本実施形態において、バヨネット突起E2とバヨネット溝e2とは、第2回転枠220を第2直進枠120に回転自在に係合するためのバヨネット機構を構成している。
2本のバヨネット溝e3は、周方向に沿って内周面220Sの略中央部に形成される。2本のバヨネット溝e3は、互いに平行に形成される。2本のバヨネット溝e3は、カム溝b4およびカム溝b5と交差する。
3本のカム溝b3は、光軸方向と交差するように外周面220Tに形成され、周方向において略等ピッチで配置される。
カム溝b4およびカム溝b5は、内周面220Sに形成される。カム溝b4およびカム溝b5は、互いに交差する。
6.第3直進枠130の構成
図9A及び図9Bは、第3直進枠130の斜視図である。
第3直進枠130は、第3直進枠本体131と、フランジ部132と、2つの係止凹部133と、を有する。
第3直進枠本体131は、円筒状に形成され、内周面130Sと外周面130Tを有する。
フランジ部132は、円環状に形成され、外周面130Tの後端部上に立設されている。
2つの係止凹部133は、フランジ部132の外縁に形成される切り欠きである。2つの係止凹部133は、光軸AX(図3参照)を中心として略対称な位置に形成される。ここで、図10は、第2直進枠120と第2回転枠220と第3直進枠130とを組み付けた状態を示す模式図である。図10に示すように、第2直進枠120の2つの係止部122が第3直進枠130の2つの係止凹部133に係止されることによって、第3直進枠130の第2直進枠120に対する相対回転が抑止される。なお、2つの係止部122の一方が他方よりも周方向に長く形成されているのに対応して、2つの係止凹部133の一方が他方よりも周方向に長く形成されている。これによって、2つの係止凹部133の強度が向上されている。
また、第3直進枠130は、2つのバヨネット突起E3と、3つの直進溝a5と、3つの直進溝a6と、を有する。ただし、図9Aでは、バヨネット突起E3は2つだけ図示されている。
2つのバヨネット突起E3は、外周面130Tの略中央部において周方向に沿って形成される。2つのバヨネット突起E3は、互いに平行に形成される。2つのバヨネット突起E3は、第2回転枠220の2本のバヨネット溝e3に係合される。本実施形態において、バヨネット突起E3とバヨネット溝e3とは、第3直進枠130を第2回転枠220に回転自在に係合するためのバヨネット機構を構成している。
3つの直進溝a5は、内周面130Sから外周面130Tまで第3直進枠本体131を貫通している。3つの直進溝a5は、光軸方向に沿って延びており、周方向において略等ピッチで配置される。
3つの直進溝a6は、内周面130Sから外周面130Tまで第3直進枠本体131を貫通している。3つの直進溝a6は、光軸方向に沿って延びており、周方向において略等ピッチで配置される。
本実施形態において、3つの直進溝a5と3つの直進溝a6とは、周方向において交互に配置されている。
図9Aに示すように、第3直進枠130は、第3直進枠本体131の内周面に形成された案内溝a7(第1カム部の一例)と、案内溝a7の近傍に形成された補強部130H(斜線部)とを、さらに有している。
案内溝a7は、後述する被駆動部411(図14Aを参照)を、カムフォロア−として案内する。案内溝a7と被駆動部411とによって、退避レンズ枠401を移動させるためのカム機構が、構成されている。このカム機構は、第3直進枠130が退避レンズ枠401に対して光軸方向に相対移動することによって、退避レンズ枠401の姿勢を変更させる。
図9Aのように、案内溝a7は、光軸に対して斜めになっている部分(傾斜部)と、光軸と平行になっている部分(平行部)とを、有している。この傾斜部に被駆動部411が案内されることによって、退避レンズ枠401は、退避軸501b周りに回動する。退避レンズ枠401は、退避軸501b周りに回動することで、像ぶれ補正可能位置と退避位置の間を遷移する。
退避レンズ枠401は、回動バネ403により、退避位置から像ぶれ補正可能位置に向かう方向に、付勢されている。詳細には、この付勢方向は、退避軸510回りであって、光軸と直交し、且つ退避レンズ枠401が撮影可能状態となる方向である。すなわち、この付勢方向は、第3レンズ群L3の光軸が他のレンズの光軸上に並ぶ方向である。
従って、案内溝a7と被駆動部411とで、回動バネ403の付勢力に抵抗して、退避レンズ枠401を回動させる場合、被駆動部411は案内溝a7の片面(片方の側面)で当接する。案内溝a7は溝状に形成されている。すなわち、案内溝a7は3面で構成されている。3面とは、光軸方向前側の側面、光軸方向後側の側面、上記2面を繋ぐ光軸と平行な底面である。上記被駆動部411と接触する案内溝a7の当接面は、光軸方向後側の側面である。このため、この光軸方向後側の側面だけを用意すれば、退避レンズ枠401を回動させることはできる。
しかしながら、案内溝a7を溝状すなわち3面で構成することによって、落下及び衝撃等が入力された場合でも、被駆動部411の位置を案内溝a7によって確実に保持し、退避レンズ枠401の姿勢を安定させることができる。さらに、案内溝a7における異物の付着及び継続使用による磨耗等の影響によって、退避レンズ枠401の回動負荷が、回動バネ403の回転力よりも増大したとしても、強制的に退避レンズ枠401を回動させることができる。
案内溝a7の光軸方向前側の側面及び光軸方向後側の側面は、光軸と直交する方向に対してテーパ状、すなわち斜面状に、形成されている。そして、この光軸と直交する方向に対する斜面の角度は、光軸方向前側の側面よりも光軸方向後側の側面が、小さい。この光軸と直交する方向に対する斜面の角度が、小さくなればなるほど、回転負荷によるトルクロスも小さくなる。
上述の通り、通常作動時、すなわち落下等の衝撃がかからず異物付着及び磨耗等が存在しない場合は、光軸方向後側の側面のみが被駆動部411と接触している。このため、少なくとも、光軸と直交する方向に対する光軸方向後側の側面の角度が、小さければ、上記の効果を得ることができる。
被駆動部411と係合する案内溝a7が、第3直進枠130に形成されていることによって、撮影可能状態と収納状態との移行期間において、退避レンズ枠401の回転開始を、早いタイミングで行うことができる。案内溝a7が撮像素子ホルダー等の固定部に構成されている場合には、退避レンズ枠401が、固定部から光軸方向に離れている場合が多い。このため、撮影可能状態と収納状態との移行期間において、案内溝a7と退避レンズ枠401とを即座に係合することができず、退避レンズ枠401の回転を直ちに開始することができない。
これに対して、案内溝a7が第3直進枠130に構成されている場合には、撮影可能状態と収納状態との移行期間において、案内溝a7と被駆動部411が常に係合可能な近接した位置に存在している。このため、案内溝a7が第3直進枠130に構成されている場合は、撮影可能状態と収納状態との移行期間において、直ちに退避レンズ枠401の回転を開始することができる。
また、被駆動部411と係合する案内溝a7が、第3直進枠130に形成されていることによって、退避レンズ枠401の回転精度を向上することができる。例えば、案内溝a7が撮像素子ホルダー等の固定部に構成されている場合には、被駆動部411と案内溝a7との間に介在する部品が多くなるおそれがある。これら部品数が多くなればなるほど、退避レンズ枠401における相対的な位置精度は劣化する。これに対して、案内溝a7が第3直進枠130に構成されている場合には、被駆動部411と案内溝a7との間に介在する部品が比較的少なくなり、退避レンズ枠401の相対的な位置精度は向上する。
また、上述したように、案内溝a7が撮像素子ホルダー等の固定部に構成されている場合には、被駆動部411と案内溝a7との間に介在する部品が多くなるため、退避レンズ枠401における相対的な位置精度は劣化する。さらに、退避レンズ枠401が、光軸に平行な軸周りに回転できるように、OIS枠400に装着された場合、被駆動部411と案内溝a7の相対位置精度は、更に劣化する。言い換えると、退避機構が構成され、且つOIS枠400が光軸と直交した面内で動作できるようにシャッター枠335に装着された場合(手振れ補正機構が構成されている場合)、被駆動部411と案内溝a7との相対的な位置精度は、更に劣化する。しかしながら、案内溝a7が第3直進枠130に構成されている場合には、被駆動部411と案内溝a7との間に介在する部品が比較的少なくなるので、退避レンズ枠401における相対的な位置精度は向上する。
また、被駆動部411と係合する案内溝a7を、第3直進枠130に形成することによって、案内溝a7を、3面すなわち光軸方向前側の側面、光軸方向後側の側面、及び上記2面を繋ぐ光軸と平行な面(底面)によって、容易に構成することができる。
一方で、案内溝a7が撮像素子ホルダー等の固定部に構成されている場合には、案内溝a7を、撮像素子ホルダーの固定部に形成する必要がある。ここで、案内溝a7を構成する3面を、撮像素子ホルダーの固定部に形成しようとすると、撮像素子ホルダー等の固定部が大型化する。また、撮像素子ホルダーの固定部の大型化を避けるために、小さなスペースに案内溝a7を形成してしまうと、案内溝a7の強度が不足する。
しかしながら、案内溝a7が第3直進枠130に構成されている場合には、第3直進枠130が筒形状のため、案内溝a7に溝としての3面を構成することが容易である。また、この場合は、撮像素子ホルダー等の固定部に案内溝a7を形成する必要がないので、撮像素子ホルダーの固定部を大型化する必要もない。また、この場合、案内溝a7を形成する部分が筒形状になるので、案内溝a7の強度も向上することができる。
さらに、被駆動部411と係合する案内溝a7を、第3直進枠130に形成することによって、退避時のセンタリングを精度良く行うことができる。案内溝a7が第3直進枠130に構成されている場合には、OIS枠400のセンタリング機構も第3直進枠130に形成されている。このため、退避レンズ枠401及びOIS枠400の位置精度を、向上することができる。
補強部130Hは、第3直進枠本体131に部分的に形成されている。補強部130Hは、第3直進枠本体131の内周面に形成されている。より具体的には、補強部130Hは、第3直進枠本体131の内方に向けて突出するように、第3直進枠本体131に形成されている。すなわち、第3直進枠本体131の外周面を基準として、補強部130Hの厚みが他の部分の厚みより内周側に向けて厚くなるように、補強部130Hは形成されている。また、補強部130Hは、案内溝a7の近傍、例えば案内溝a7に隣接して、形成されている。
補強部130Hの厚みは、案内溝a7の深さによって決定される。すなわち、案内溝a7の深さ(案内溝a7の径方向寸法)が補強部130Hに収まるように、補強部130Hの厚さが設定されている。また、案内溝a7の深さは、案内溝a7に挿入される被駆動部411のサイズ(高さ)によって決定される。案内溝a7の深さ(案内溝a7の径方向寸法)は、被駆動部411の高さ(被駆動部411の径方向寸法)を収容可能なように、設定されている。
第3直進枠本体131の厚みは、レンズ鏡筒20の外径を小さくするために、出来るだけ薄くすることが望ましい。しかしながら、退避レンズ枠401を移動させるためのカム機構、すなわち案内溝a7と被駆動部411とが係合する部分は、強度が必要なため、所定の肉厚が必要となる。この所定の肉厚を有する部分を、第3直進枠本体131の内周面側に形成することで、第3直進枠本体131の外径の大型化を、抑えることができる。すなわち、レンズ鏡筒20の外径の大型化を、抑えることができる。
図9Bに示すように、第3直進枠130は、シャッター枠335又は第3直進枠130に対するOIS枠400の移動を規制するための3つの片寄せ溝a9を、有している。3つの片寄せ溝a9は、第3直進枠本体131の内周面130Sに形成されている。3つの片寄せ溝a9は、内周面130Sにおいて、円周方向に互いに所定の間隔を隔てて、第3直進枠本体131に形成されている。
3つの片寄せ溝a9は、光軸方向に延びる溝部である。片寄せ溝a9は、フランジ部132側の溝部が大きくなるように、形成されている。具体的には、片寄せ溝a9は、第1溝a91と、第2溝a92と、第3溝a93とを、有している。第1溝a91及び第2溝a92は、光軸と直交する断面の形状が、半円又は半楕円又は台形又は矩形又は放物線又はそれらの組合せた形状である。
第1溝a91は、フランジ部132側に形成された溝部である。第1溝a91の溝幅及び溝深さは、第2溝a92の溝幅及び溝深さより、大きくなっている。第3溝a93は、第1溝a91の溝幅及び溝深さから、第2溝a92の溝幅及び溝深さに滑らかに変化するように、斜面又は円錐面又は曲面又はそれらを組合せた形状で構成されている。後述するOIS枠400の片寄せ突起404(図15Aを参照)が、第1溝a91に配置された場合、片寄せ突起404第1溝a91の内部において、片寄せ突起404は移動可能である。すなわち、この場合、OIS枠400は、シャッター枠335又は第3直進枠130に対して光軸に直交する面内で移動可能である。
第2溝a92は、第1溝a91から光軸方向に延びる溝部である。後述するOIS枠400の片寄せ突起404(図15Aを参照)が第2溝a92に配置されると、OIS枠400は、シャッター枠335又は第3直進枠130に対して、半径方向及び周方向において拘束される。これにより、シャッター枠335又は第3直進枠130に対するOIS枠400の移動が、規制される。
第3溝a93は、第1溝a91と第2溝a92を繋ぐ、光軸方向に延びる溝部である。後述するOIS枠400の片寄せ突起404(図15Aを参照)が第3溝a93に配置されると、OIS枠400は、シャッター枠335又は第3直進枠130に対して、光軸に直交する面内で移動可能な状態から、徐々に半径方向及び周方向において規制される状態に、遷移する。
すなわち、OIS枠400の片寄せ突起404が、第1溝a91から、第3溝a93を経て、第2溝a92に配置されることによって、OIS枠400のセンタリングが行われる。
OIS枠400をセンタリングする機構(センタリング機構)は、第3直進枠130の片寄せ溝a9(a91,a92,a93)と、OIS枠400の片寄せ突起404とから、構成される。
7.第1レンズ群枠310の構成
図11は、第1レンズ群枠310の斜視図である。
第1レンズ群枠310は、第1レンズ群枠本体311と、3つの直進突起A4と、3つのカム突起B3と、を有する。
第1レンズ群枠本体311は、円筒状に形成され、内周面310Sと外周面310Tを有する。第1レンズ群枠本体311には、後方に向かって突出する3つの突出部311aが形成されている。
3つの直進突起A4は、突出部311aの外周面310Tに立設され、周方向において略等ピッチで配置される。3つの直進突起A4は、第2直進枠120の3本の直進溝a4に係合される。
3つのカム突起B3は、突出部311aの内周面310Sに立設され、周方向において略等ピッチで配置される。3つのカム突起B3は、第2回転枠220の3本のカム溝b3に係合される。
本実施形態において、3つの直進突起A4と3つのカム突起B3とは、突出部311aを挟んで略反対に配置されている。
8.第2レンズ群枠320の構成
図12Aは、第2レンズ群枠320の斜視図である。図12Bは、第2レンズ群枠320を前方から見た図である。図12Cは、第2レンズ群枠320とシート部材324との関係を示す斜視図である。
図12Aに示すように、第2レンズ群枠320は、第2レンズ群枠本体321と、第2レンズ群L2を保持するための第2レンズ保持部321Lと、収納受部322(後述する退避レンズ枠401の移動を規制する規制部の一例)と、収容部323と、3つの直進突起A5と、3つのカム突起B4と、を有する。
第2レンズ群枠本体321は、コップ状に形成され、外周面320Tを有する。
収納受部322は、撮影可能状態と収納状態との移行期間において、退避レンズ枠401の移動を規制し、退避レンズ枠401の位置決め部412に当接することにより、退避レンズ枠401を位置決めするためのものである。図12Aに示すように、収納受部322は、第2レンズ群枠本体321に一体に形成されている。詳細には、収納受部322は、第2レンズ保持部321L(第2レンズ群L2を保持する部分)の外周部において、第2レンズ群枠本体321に一体に形成されている。収納受部322は、退避レンズ枠401の位置決め部412に当接することにより退避レンズ枠401を退避位置へと案内する案内部322aと、退避レンズ枠401を退避位置で保持する保持部322bとを、有している(図17Aを参照)。
案内部322aは、傾斜面を有している。光軸AXに沿って撮像素子側に向かうにつれて、光軸AXからの距離が小さくなるように、傾斜面は形成されている。
案内溝a7と被駆動部411とによって構成されているカム機構は、第3直進枠130が退避レンズ枠401に対して光軸方向に相対移動することによって、退避レンズ枠401の姿勢を変更させる。その後、この案内部322a(傾斜面)に退避レンズ枠401の位置決め部412を当接させることによって、退避レンズ枠401が退避位置へと案内される。
保持部322bは、光軸方向に延びる部分であり、退避レンズ枠401を保持する。上記のように案内部322aによって案内された退避レンズ枠401の位置決め部412が、保持部322bに当接した状態で保持される。
図12A〜図12Cに示すように、収容部323は、沈胴状態において、退避レンズ枠401及びOIS枠400の少なくとも一部を収容するための部分である。収容部323は、第1収容部323a及び第2収容部323bを、有している。
第1収容部323aは、後述するOIS枠400の第2連結部408を収容するためのものである。第1収容部323aは、第2レンズ群枠本体321の前面側に設けられた孔部である。第1収容部323aは、第2レンズ群L2の上方に設けられている。第1収容部323aは、第2連結部408の外形と略相似形に形成されている。
第1収容部323aの少なくとも一部と第2連結部408の少なくとも一部は、光軸方向でオーバーラップしている。これにより、レンズ鏡筒20の収納状態での光軸方向サイズを小さくできる。
第2収容部323bは、退避軸501bを収容するためのものである。第2収容部323bは、第2レンズ群枠本体321の前面側に設けられた孔部である。第2収容部323bは、略円形状に形成されている。
また、図12Bに示すように、第2レンズ群枠320の前面には、シート部材324が貼り付けられている。シート部材324によって、第2レンズ群枠320の前面の孔部(収容部323を含む)からの漏光を防止することができる。
3つの直進突起A5は、外周面320Tの後端部上に形成され、周方向において略等ピッチで配置される。3つの直進突起A5は、第3直進枠130の3本の直進溝a5に係合される。
3つのカム突起B4は、3つの直進突起A5上に形成される。3つのカム突起B4は、第2回転枠220の3本のカム溝b4に係合される。
9.第3レンズ群枠330の構成
図13Aでは、シャッター枠335の内部に第3レンズ群枠330が収容された状態が図示されている。図13Aを用いて、第3レンズ群枠330の構成を説明する。
第3レンズ群枠330すなわちOIS(Optical Image Stabilizer)ユニットは、主に、OIS枠400(保持枠の一例)と、退避レンズ枠401と、スラストバネ402(第1付勢手段の一例)と、回動バネ403(第2付勢手段の一例、付勢部材の一例)と、像ぶれ補正用の第3レンズ群L3と、を有している。
図13A及び図14Aに示すように、OIS枠400は、シャッター枠335に装着されている。OIS枠400のシャッター枠335に対する光軸方向位置は、シャッター枠335に圧入された3本のOISシャフト339を、3箇所のOIS枠400の光軸方向保持部415(図14Aでは1つの光軸方向保持部415のみ図示)が光軸方向に挟み込むことで、保持される。図14Aに示すように、シャッター枠335に対する光軸と直交する方向のOIS枠400の位置は、シャッター枠335に圧入された1本のOIS回動軸334を、1箇所のOIS枠400の直交方向保持部416が光軸方向に挟み込み、光軸方向ストッパーピン409が、OIS枠400の移動範囲規制部338の周壁に当接することによって、保持される(図18Bを参照)。
図14A及び図15Aに示すように、OIS枠400には、撮影可能状態において、退避レンズ枠401によって保持された第3レンズ群L3を保持する第3レンズ保持部420を収容するための空間STが、形成されている。退避レンズ枠401が退避した場合、この空間STには、第2レンズ群枠320の第2レンズ保持部321Lが、収容される。
また、OIS枠400は、本体部405と、第1連結部407と、第2連結部408とを、有している。本体部405は、孔部405aと、第1切欠部405b(OIS枠400の切欠部の一例)とを、有している。
孔部405aは、上記の空間STを形成する。孔部405aは、本体部405の中央部に形成されている。孔部405aには、撮影可能状態において、第3レンズ群L3を保持する第3レンズ保持部420が、配置される。また、孔部405aには、沈胴時において、第2レンズ群320の第2レンズ保持部321Lが、収容される。
第1切欠部405bは、孔部405aに連なって形成されている。第1切欠部405bは、本体部405の外周部に形成されている。
第1連結部407は、本体部405の強度を向上するための部分である。第1連結部407は、本体部405に一体に形成されている。具体的には、第1連結部407は、本体部405のシャッター枠335側において第1切欠部405bに架け渡され、本体部405に一体に形成されている。
また、図13B及び図14Bに示すように、シャッター枠335のシャッター枠本体336の光軸方向前側の面において第1連結部407と対向する部分は、一部除肉され、その除肉部350に第1連結部407が入り込む。すなわち、シャッター枠335の少なくとも一部と第1連結部407の少なくとも一部は、光軸方向でオーバーラップしている。そうすることで、レンズ鏡筒20を光軸方向にさらに小型化することができる。
また、OIS枠400の側面には、OIS枠400を略光軸位置にセンタリングするための突起404(図15Aを参照)が、半径方向に突出している。この突起404を、シャッター枠335のシャッター枠本体336側壁に挿通させるために、図14Aに示すように、シャッター枠本体336側壁には側壁孔351が設けられている。OIS枠400は、シャッター枠本体336の側壁孔351を略覆うような側壁417を備えている。これにより、シャッター枠本体336の側壁孔351からの漏光を、防ぐことができる。
また、図13Bに示すように、シャッター枠本体336の側面には、3つの遮光壁352が半径方向に突出して形成されている。3つの遮光壁352の周方向位置は、第3直進枠130の3つの直進溝a6の周方向位置と対応している。3つの遮光壁352それぞれの周方向幅は、第3直進枠130の3つの直進溝a6のそれぞれの周方向幅と略同じか小さくなっている。これにより、第3直進枠130の3つの直進溝a6からの漏光を防ぐことができる。
図15Aに示すように、OIS枠400は、第3直進枠130の片寄せ溝a9に係合する片寄せ突起404を、有している。片寄せ突起404は、OIS枠400の本体部405に一体に形成されている。具体的には、2つの片寄せ突起404が、本体部405の外周部から外方に突出するように、本体部に形成されている。また、2つの片寄せ突起404は、本体部405の外周部周りに所定の間隔を隔てて、本体部405に一体に形成されている。2つの片寄せ突起404は、第3直進枠130の2つの片寄せ溝a9に、格別に嵌合され案内される。
より具体的には、OIS枠400がシャッター枠335に装着された状態で、OIS枠400が第3直進枠130に接近すると、OIS枠400に形成された片寄せ突起404が、第3直進枠130のフランジ部132側から、第3直進枠130の第1溝a91に導入される。片寄せ突起404が第1溝a91に配置された状態では、OIS枠400は、シャッター枠335又は第3直進枠130に直交する面内で移動可能である。
続いて、OIS枠400がシャッター枠335に装着された状態で、OIS枠400が、第3直進枠130の内周側にて光軸方向にさらに移動すると、片寄せ突起404が第3溝a93に導入される。すると、OIS枠400は、シャッター枠335又は第3直進枠130に対して、光軸に直交する面内で移動可能な状態から、徐々に半径方向及び周方向において規制される状態に遷移する。
続いて、片寄せ突起404が第2溝a92に導入されると、片寄せ突起404が第2溝a92によって、第3直進枠130の内周面130Sから離れる方向に押圧される。これにより、シャッター枠335又は第3直進枠130に対するOIS枠400の移動が、規制される。このようにして、OIS枠400のセンタリングが行われる。なお、OIS枠400のセンタリングは、本実施麗では、退避レンズ枠401が退避動作を開始する前に、実行されることとしたが、退避動作完了までにセンタリングが完了していれば良い。
OIS枠400がシャッター枠335に装着された状態において、第1連結部407は、後述するマグネット521及びコイル522(アクチュエータ)の上方に配置される。
第2連結部408は、本体部405の強度を向上し、且つ撮像素子側へ光を遮るために設けられている。すなわち、第2連結部408は、遮光部としても用いられる。第2連結部408は、本体部405に一体に形成されている。具体的には、第2連結部408は、本体部405の被写体側において第1切欠部405bに架け渡され、本体部405に一体に形成されている。
第2連結部408は、本体部405から所定の間隔を隔てた位置に設けられている。また、第2連結部408は、第1連結部407と所定の間隔を隔てた位置に設けられている。
退避レンズ枠401が退避した状態(収納状態)では、第3レンズ群L3を保持する第3レンズ保持部420は、第1連結部407と第2連結部408との間において、切欠部405bに配置される。
OIS枠400は、光軸と垂直な面内で移動可能である。より具体的にはマグネット521が、OIS枠400に固定されており、コイル522が、マグネット521に対向する位置においてシャッター枠335に固定されている。この状態において、電力が、図示しないカメラ回路からシャッター枠335のコイル552に供給されると、コイル552に電流が流れ磁界が発生する。この磁界によってOIS枠400のマグネット521が駆動され、この駆動力によりOIS枠400が光軸と垂直な面内で移動する。
図15Aに示すように、OIS枠400は、3つのレール部503を、さらに有している。3つのレール部503(503a〜503c)は、本体部405に形成されている。各レール部503は、略円板状の本体部405の一面に形成されている。各レール部503は、退避レンズ枠401に形成される当接部603(後述する第1当接部603A)と対向する位置において、本体部405に形成されている。
また、退避レンズ枠401に保持された第3レンズ群L3が移動する範囲を除いた部分において、各レール部503は、本体部405に形成されている。さらに、レンズ鏡筒20が撮影可能状態から沈胴状態へと移行する場合に、後述する当接部603(第1当接部603A)が移動する軌跡に対応する形状に、形成されている。
図15A及び図15Bに示すように、OIS枠400は、回り止め部511を、さらに有している。回り止め部511は、退避レンズ枠401を撮影可能状態において位置決めするためのものである。回り止め部511は、本体部405の外周部に一体に形成されている。
図15Bに示すように、回り止め部511には、凹部512が形成されている。凹部512の2つの側壁の一方の側壁512aには、後述する退避レンズ枠401の第2当接部603Bが、当接する。具体的には、側壁512aは、本体部405の表面から所定の間隔を隔てた位置に、形成されている。この側壁512aは、凹部512の底部に向かうにつれて、対向する側壁(本体部405の表面)に近づくように、傾斜している。この傾斜によって、退避レンズ枠401の第2当接部603Bを、OIS枠400側に押し込み、退避レンズ枠401の第2当接部603BをOIS枠400の当て面512cに押付けることができる。
図14Aに示すように、退避レンズ枠401は、光軸と略平行な退避軸501b回りに移動可能に、OIS枠400に保持されている。退避レンズ枠401は、像ぶれ補正用の第3レンズ群L3を第3レンズ保持部420により保持する。第3レンズ群L3は、少なくとも1つのレンズから構成される。
なお、以下では、「退避軸」という文言は、「退避軸の軸芯」という意味で用いられることがある。
図14Aに示すように、退避レンズ枠401は、本体部401aと、軸受け部410と、被駆動部411と、位置決め部412(図17A及び図19を参照)と、第3レンズ保持部420と、係合部413とを、有している。軸受け部410は、本体部401aに一体に形成されている。
図14A及び図15Aに示すように、軸受け部410は、OIS枠400に設けられた支持軸501b(退避軸)に、回転自在に装着される。図16A及び図16Bに示すように、軸受け部410には、退避軸501bが挿入される穴部が、形成されている。軸受け部410の穴部には、退避軸501bに当接する少なくとも2つの当接面601aが、形成されている。言い換えると、2つの当接面601aは、軸受け部410の内周面に形成されている。
また、2つの当接面601aは、退避軸501bの基端側、すなわち軸受け部410(穴部)の開口側において、軸受け部410の内周面に形成されている。2つの当接面601aは、互いに非平行の関係になるように、軸受け部410の内周面に形成されている。より具体的には、軸受け部410(穴部)を奥行方向に見た場合に、2つの当接面601aが角度をもつように、軸受け部410の内周面に形成されている。
図16Bに示すように、2つの当接面601a(以下、V字面と呼ぶ)は、退避軸501bの外周面に当接する。具体的には、退避レンズ枠401は回動バネ403の付勢力F0によって付勢されており(図16Aを参照)、この付勢力F0の分力F1によって、軸受け部410のV字面601aが、退避軸501bの外周面に当接させられる。
後述するように、本実施形態では、回動バネ403の他端部403bが折り曲げて形成されている。このように、回動バネ403の他端部403bを形成した場合は、回動バネ403の他端部403bを直線状に形成した場合と比較して、分力F1、すなわち軸受け部410のV字面601aを退避軸501bの外周面に当接させる力を、増加させることができる。
これにより、退避軸501bを、退避レンズ枠401の軸受け部410に対して、確実に位置決めすることができる。詳細には、退避軸501bの偏心に対する精度を、向上することができる。なお、図16Aでは、付勢力F0の分力は、F1及びF2である。
被駆動部411は、撮影可能状態と収納状態との移行期間において、後述する回動バネ403の付勢力に反して、駆動される部分である。図14A及び図19に示すように、被駆動部411は、本体部401aから外方に突出して一体に形成されている。被駆動部411は、第3直進枠130の内周面に形成された案内溝a7に、係合する。詳細には、被駆動部411は、シャッター枠335の開口部SK1(後述する)を介して、第3直進枠130の案内溝a7に係合する。被駆動部411は、第3直進枠130が退避レンズ枠401に対して光軸方向に相対移動することによって、第3直進枠130の案内溝a7に案内される。これにより、退避レンズ枠401の姿勢が、撮影可能状態と沈胴状態との間において変化する。
位置決め部412は、退避レンズ枠401において第3レンズ群L3を保持する部分(第3レンズ保持部420)に、形成されている。位置決め部412は、撮影可能状態と収納状態との移行期間において、第2レンズ枠320の収納受部322に、位置決めされる。
位置決め部412と退避軸501bとの距離が、被駆動部411と退避軸501bとの距離より長くなるように、位置決め部412は形成されている。詳細には、図14Aに示すように、位置決め部412が収納受部322に当接する位置と退避軸501bの軸芯との距離LK1が、被駆動部411の基端部と退避軸501bの軸芯との距離LK2より長くなるように、位置決め部412が形成されている。
図14A及び図17A−図17Bに示すように、第3レンズ保持部420は、第3レンズ群L3を保持する部分である。第3レンズ保持部420は、円筒状に形成されている。第3レンズ保持部420には、第3レンズ群L3が内部に装着されている。
図17Bに示すように、第3レンズ保持部420は、第2切欠部420aを、有している。第2切欠部420aは、第3レンズ保持部420の外周部に設けられている。より具体的には、第2切欠部420aは、第3レンズ保持部420の外周部を、部分的に切り欠いた部分である。詳細には、第2切欠部420aでは、退避レンズ枠401が退避状態にあるときに、第3レンズ保持部420の外周部において撮影可能状態の光軸から離れた側が、切りかかれている。切欠部420aは、撮影可能状態と収納状態との移行期間において、後述するシャッター枠335の遮光部357(図14Aを参照)と対向して、配置される。
図14A及び図18Cに示すように、第3レンズ保持部420は、撮影可能状態と収納状態との移行期間において、シャッター枠335のシャッター枠本体336の光軸方向前側の面と、第2連結部408との間に配置される。また、第3レンズ保持部420は、シャッター枠本体336の光軸方向前側の面の除肉部350に入り込んだ状態の第1連結部407と、第2連結部408との間に配置される。シャッター枠335の少なくとも一部と、第1連結部407の少なくとも一部は、光軸方向でオーバーラップしている。そうすることで、レンズ鏡筒20の収納状態での光軸方向サイズを小さくできる。
図18A−図18Cに示すように、第1係合部413aは、後述するシャッター枠335の第1規制部337aに係合可能な部分である。また、第2係合部413bは、後述するOIS枠400の第2連結部408に係合可能な部分である。係合部は、第1規制部337a(後述する)に係合する第1係合部413aと、撮影可能状態と収納状態との移行期間において規制部として作用する第2連結部408に係合する第2係合部413bと、を有している。
第1係合部413aは、図18A−図18Bに示すように、退避軸501bの近傍に形成される。第1係合部413aは、図18Bに示すように、OIS枠400と第1規制部337aとの間に配置される。第2係合部413bは、第3レンズ群L3を保持する第3レンズ保持部420に、形成されている。第2係合部413bは、撮影可能状態と収納状態との移行期間において、OIS枠400に形成された第2連結部408に対向して配置される。
図19に示すように、退避レンズ枠401は、複数の当接部603(603A〜603B)を、さらに有している。複数の当接部603は、退避レンズ枠401の本体部401aに一体に形成されている。複数の当接部603は、例えば、3つの第1当接部603A(603A1,603A2,603A3)と、第2当接部603Bとから、構成されている。
3つの第1当接部603Aと第2当接部603Bとは、軸受け部410とは異なる位置において、本体部401aに一体に形成されている。言い換えると、3つの第1当接部603Aと第2当接部603Bとは、軸受け部410により保持される退避軸501bとは異なる位置において、本体部401aに形成されている。また、3つの第1当接部603Aと第2当接部603Bとは、OIS枠400に当接可能なように、退避軸501bとは異なる位置において、本体部401aに形成されている。
詳細には、3つの第1当接部603Aの中の2つの当接部603A1,603A2は、退避軸501bの近傍において、本体部401aに形成されている。これら2つの第1当接部603A1,603A2の間に退避軸501bが位置するように、2つの第1当接部603A1,603A2は、本体部401aに形成されている。また、これら2つの第1当接部603A1,603A2を除いた残りの第1当接部603A3と、第2当接部603Bとは、退避軸501bから離れた位置において、本体部401aに形成されている。
図19に示した3つの第1当接部603A(603A1,603A2,603A3)は、OIS枠400に当接可能になっている。すなわち、3つの第1当接部603Aが、OIS枠400に当接することにより、退避レンズ枠401の光軸方向への移動が規制される。
詳細には、3つの第1当接部603Aが、OIS枠400のレール部503(図15Aを参照)に当接することにより、退避レンズ枠401の光軸方向への移動が規制される。具体的には、レンズ鏡筒20が撮影可能状態である場合、3つの第1当接部603A1,603A2,603A3が、OIS枠400のレール部503a,503b,503cに、各別に当接する。ここでは、第1当接部603A1がレール部503aに当接し、第1当接部603A2がレール部503aに当接し、第1当接部603A3がレール部503cに当接する。
このように、3つの第1当接部603AをOIS枠400のレール部503に当接させることにより、退避レンズ枠401の光軸方向への移動を、規制している。
図19に示した第2当接部603Bは、撮影可能状態において、退避レンズ枠401をOIS枠400に位置決めするためのものである。第2当接部603Bは、撮影可能状態において、OIS枠400の回り止め部511に、当接する。第2当接部603Bの外周部は、OIS枠400の回り止め部511に嵌合可能に形成されている。例えば、第2当接部603Bの外周部は、テーパ状に形成されている(図15Bを参照)。第2当接部603Bを、OIS枠400の回り止め部511の凹部512に嵌合することによって、撮影可能状態において、退避レンズ枠401を確実に位置決めすることができる。
図14Aに示したように、スラストバネ402は、退避レンズ枠401をOIS枠400に対して光軸方向に付勢するバネである。スラストバネ402は、略C字形状に形成されている。スラストバネ402の一端はOIS枠400に装着され、スラストバネ402の他端は退避レンズ枠401に装着される。これにより、退避レンズ枠401及びOIS枠400が、スラストバネ402により光軸方向に挟持される。
図14Aに示したように、回動バネ403は、退避レンズ枠401を、退避軸510回り、すなわち光軸と直交する方向に、付勢するバネである。回動バネ403は、OIS枠400に保持されている。回動バネ403は、例えば、ねじりコイルばねである。回動バネ403のコイルの部分が、軸受け部410の外周に配置される。
回動バネ403の一端部403aは、OIS枠400に形成された係止部504a,504b(図15Aを参照)によって挟持されている。図16Aに示すように、回動バネ403の他端部403bは、退避レンズ枠401に形成された溝部605に、装着される。回動バネ403の他端部403bは、2段階に折り曲げられている。
図16Aに示すように、回動バネ403の他端部403bは、先端側に形成された第1折り曲げ部403b1と、中央部に形成された第2折り曲げ部403b2とを、有している。第1折り曲げ部403b1及び第2折り曲げ部403b2は、退避レンズ枠401の第3レンズ保持部420の外形に沿うように、折り曲げて形成されている。この場合、第1折り曲げ部403b1が、退避レンズ枠401に形成された溝部605に、装着されている。
また、図16Aに示すように、退避軸501bの軸芯を通過する所定の直線(水平線)と、回動バネ403の他端部403bにおける第1折り曲げ部403b1とがなす角度αが、所定の角度になるように、第1折り曲げ部403b1及び第2折り曲げ部403b2は、折り曲げて形成されている。
このように、回動バネ403の他端部403bを形成することによって、上述したように、軸受け部410のV字面601aを退避軸501bの外周面に当接させる力(分力F1)を、増加することができる。これにより、退避軸501bを、退避レンズ枠401の軸受け部410に対して、確実に位置決めすることができる。
上記のような回動バネ403が退避レンズ枠401を付勢することによって、退避レンズ枠401の第2当接部603Bが、OIS枠400の回り止め部511に、当接する(図13A及び図15Bを参照)。退避レンズ枠401は、軸受け部410がOIS枠400の退避軸501bに嵌合され、第2当接部603BがOIS枠400の回り止め部511に当接することで、OIS枠400に対して位置決めされる。
図17A及び図17Bに示すように、退避レンズ枠401は、第3レンズ群L3が像ぶれ補正を実行可能な補正可能位置(第1姿勢)から、第3レンズ群L3が光軸から退避した退避位置(第2姿勢)へと、その位置を変更可能である。退避レンズ枠401は、少なくとも1つのレンズから構成される第3レンズ群L3を、保持している。
図17Aに示すように、退避レンズ枠401が補正可能位置に位置する場合は、第2レンズ群L2の中心と、第3レンズ群L3の中心とが、光軸AX上に位置している。
退避レンズ枠401が退避動作を開始すると、退避レンズ枠401は回動しながら、退避レンズ枠401と第2レンズ枠320の第2レンズ保持枠321Lとが互いに接近する。すると、まず、退避レンズ枠401の位置決め部412が、第2レンズ枠320の案内部322aに当接する。すると、位置決め部412が、案内部322a上を移動し、保持部322bに到達し、保持部322bにおいて保持される。このようにして、退避レンズ枠401が、第2レンズ枠320に保持される。
この状態を示した図が、図17Bである。すなわち、図17Bに示すように、退避レンズ枠401が退避位置に位置する場合は、退避レンズ枠401は、第2レンズ群枠320の保持枠322bに当接し、第2レンズ群枠320の空間内、すなわち第2レンズ保持部321Lと外周面320T(図12Aを参照)との間の空間に、収容される。より具体的には、退避レンズ枠401は、第2レンズ群L2の半径方向外側の空間において、第2レンズ枠320の保持部322bに当接した状態で、保持され収容される。
10.シャッター枠335の構成
続いて、図13A、図14A、図18A−図18Cを参照しながら、シャッター枠335の構成について説明する。
図13Aに示すように、シャッター枠335は、シャッター枠本体336と、3つの直進突起A6と、3つのカム突起B5とを、有している。また、図14Aに示すように、シャッター枠335は、開口部356と、遮光部357と、第1規制部337aと、を有している。
シャッター枠本体336は、円筒状に形成され、外周面335Tを有する。
3つの直進突起A6は、外周面335T上に形成され、周方向において略等ピッチで配置される。3つの直進突起A6は、第3直進枠130の3本の直進溝a6に係合される。
3つのカム突起B5は、3つの直進突起A6の前端部に立設される。3つのカム突起B5は、第2回転枠220の3本のカム溝b5に係合される。
開口部356は、撮影可能状態と収納状態との移行期間において第3レンズ保持部420の一部420bを収納する部分である。図14Aに示すように、撮影可能状態と収納状態との移行期間において第3レンズ保持部420の一部420bは、第2切欠部420aに隣接した部分である。詳細には、遮光部357は、光線を遮断するために開口部356に設けられている。
図18A−図18Cに示すように、規制部は、退避レンズ枠401の光軸方向への移動を規制可能な部分である。規制部は、退避軸501bの近傍に形成される第1規制部337aと、退避軸501bから離れた位置に形成され第2規制部として作用する第2連結部408と、を有している。
第1規制部337aは、第1係合部413aの前方側(被写体側)において、シャッター枠本体336に一体に形成されている。具体的には、第1規制部337aは、第1係合部413aの前方側(被写体側)において、駆動軸501b近傍の部材を収容する空間SK1(図18Bを参照)に架け渡されている。第1規制部337aは、退避レンズ枠401の駆動軸501bの近傍における、光軸方向への移動を、撮影可能状態及び沈胴状態において、規制する。
第2連結部408は、OIS枠400に一体に形成されている。具体的には、第2連結部408は、退避レンズ枠401が退避位置に位置した場合に、第3レンズ群L3を収容する空間SK2(図14Aを参照)の前方側(被写体側)に、架け渡されている。第2連結部408は、退避レンズ枠401の第3レンズ群L3の近傍における、光軸方向への移動を、沈胴状態において、規制する。
通常動作時、すなわち撮影動作時及び電源オンオフ動作時等、及び退避レンズ枠401に強い力が作用しない時には、退避レンズ枠401は、スラストバネ402によりOIS枠400に挟持され、光軸方向の位置が規制される。従って、第1規制部337a及び第2連結部408は、第1係合部413a及び第2係合部413bに各別に当接しない。しかしながら、落下等の強い力が光軸方向に掛かった時には、退避レンズ枠401が、スラストバネ402の力に抗して、OIS枠400に対して光軸方向に移動する。
撮影状態で落下等の強い力が光軸方向に掛かった時には、退避レンズ枠401がOIS枠400に対して光軸方向に移動し、第1規制部337aが第1係合部413aと当接する。このため、スラストバネ402を、常に弾性範囲において作動させることができる。その際、回り止め部501aに対する当接部414の係合は、スラストバネ402を弾性範囲に収めるのに寄与している。
沈胴状態で落下等の強い力が光軸方向に掛かった時には、退避レンズ枠401がOIS枠400に対して光軸方向に移動し、第1規制部337a及び第2連結部408が、第1係合部413a及び第2係合部413bと各別に当接する。これにより、スラストバネ402を、常に弾性範囲において作動させることができる。
11.枠どうしの係合
図20−図22は、レンズ鏡筒20の断面図である。ただし、図20−22は、光軸AXを通る複数の切断面が組み合わされた模式図である。なお、図20では、レンズ鏡筒20の沈胴状態が図示され、図21では、レンズ鏡筒20のワイド状態が図示され、図22では、レンズ鏡筒20のテレ状態が図示されている。本実施形態において、デジタルカメラ1の撮影可能状態とは、レンズ鏡筒20のワイド状態からテレ状態までの状態を意味する。
第1回転枠210のギア部212は、ズームギア242に噛合される(不図示)。第1回転枠210のカムフォロアB1は、固定枠100のカム溝b1に係合される。従って、第1回転枠210は、ズームモータ241の駆動力によって周方向に回転しながら光軸方向に移動可能である。
第1直進枠110の直進突起A1は、固定枠100の直進溝a1に係合される。第1直進枠110のバヨネット溝e1には、第1回転枠210のバヨネット突起E1が係合される。従って、第1直進枠110は、第1回転枠210とともに光軸方向に直進可能である。
第2直進枠120の直進カムフォロアAB2は、第1回転枠210のカム溝b2に挿通され、かつ、第1直進枠110の直進溝a2に係合される。従って、第2直進枠120は、第1回転枠210の回転に応じて、光軸方向に直進可能である。
第2回転枠220の直進突起A3は、第1回転枠210の直進溝a3に係合される。また、第2回転枠220のバヨネット突起E2は、第2直進枠120のバヨネット溝e2に係合される。従って、第2回転枠220は、第1回転枠210とともに周方向に回転しながら、第2直進枠120とともに光軸方向に移動可能である。
第3直進枠130の係止凹部133には、第2直進枠120の係止部122が係止される。また、第3直進枠130のバヨネット突起E3は、第2回転枠220のバヨネット溝e3に係合される。第2回転枠220の3つの直進突起A3同士の間隔のうち少なくとも2つ間隔が略120°以上離れて配置され、第2直進枠120の2つの係止部122同士の間隔も同じく略120°以上離れて配置されており、ズーム駆動時の互いの相対回転角が略120°以下にされている。そのため、第3直進枠130は、第2回転枠220の回転に干渉することなく、第2直進枠120とともに光軸方向に直進可能である。
2つの係止部122の一方が他方よりも周方向に長く形成されているのに対応して、2つの係止凹部133の一方が他方よりも周方向に長く形成されているが、第3直進枠130が、第2回転枠220の回転に干渉しない範囲で周方向に長くすることが望ましい。
また、第2回転枠220の3つの直進突起A3同士の間隔のうち少なくとも2つの間隔が略150°で、第2直進枠120の2つの係止部122の間隔も同じく略150°であり、ズーム駆動時の互いの相対回転角が略150°以下とされている。そのため、第3直進枠130が第2回転枠220の回転に干渉することはない。さらに、他の角度でも同様である。
第1レンズ群枠310の直進突起A4は、第2直進枠120の直進溝a4に係合される。また、第1レンズ群枠310のカム突起B3は、第2回転枠220のカム溝b3に係合される。従って、第1レンズ群枠310は、第2回転枠220の回転に応じて、光軸方向に直進可能である。
第2レンズ群枠320の直進突起A5は、第3直進枠130の直進溝a5に係合される。また、第2レンズ群枠320のカム突起B4は、第2回転枠220のカム溝b4に係合される。従って、第2レンズ群枠320は、第2回転枠220の回転に応じて、光軸方向に直進可能である。
シャッター枠335の直進突起A6は、第3直進枠130の直進溝a6に係合される。また、シャッター枠335のカム突起B5は、第2回転枠220のカム溝b5に係合される。従って、シャッター枠335は、第2回転枠220の回転に応じて、光軸方向に直進可能である。
シャッター枠335には、第3レンズ群枠330が装着されており、シャッター枠335が第3直進枠130に対して光軸方向に直進すると、第3レンズ群枠330の退避レンズ枠401が、退避機構(第3直進枠本体130の案内溝a7及び退避レンズ枠401の被駆動部411)によって回動させられる。これにより、沈胴状態から撮影可能状態に移行する際には、退避レンズ枠401は、退避位置から補正可能位置へと移動する。また、撮影可能状態から沈胴状態に移行する際には、退避レンズ枠401は、補正可能位置から退避位置へと移動する。退避レンズ枠401が補正可能位置に配置された場合、第3レンズ群L3は、光軸と垂直な面内で移動可能である。すなわち、この状態では、像ぶれ補正が可能である。
以上のように、ズームモータ241の駆動力による第1回転枠210および第2回転枠220の回転によって、第1乃至第3直進枠110〜130と各レンズ群枠310,320,335の直進が実現されている。
〈レンズ鏡筒20の組立て方法〉
以下において、レンズ鏡筒20の組立て方法について説明する。
まず、第2回転枠220の後方から第3直進枠130を挿入する。続いて、第3直進枠130を周方向に回転させてテレ状態にする。
次に、第3直進枠130の後方から第2レンズ群枠320を挿入する。
次に、OIS枠400の前方から退避レンズ枠401を挿入し、退避レンズ枠401にOIS枠400を回動可能に取り付ける。
次に、シャッター枠335の前方からOIS枠400を挿入する。
次に、第3直進枠130の後方からシャッター枠335を挿入する。
続いて、第2レンズ群枠320を周方向に回転させて沈胴状態にする。
次に、第1レンズ群枠310の後方から第2回転枠220を挿入する。
次に、第1レンズ群枠310の前方から第2直進枠120を被せる。
次に、第1直進枠110の後方から第1回転枠210を挿入する。続いて、第1回転枠210の後方から第2直進枠120を挿入する。
次に、固定枠100の後方から第1直進枠110を挿入する。
最後に、各枠を回転させることによって沈胴状態にする。
〈退避レンズ枠の動作及び姿勢〉
ここでは、退避レンズ枠401の動作及び姿勢について、詳細に説明する。
レンズ鏡筒20が、撮影可能状態から沈胴状態に移行する際には、退避レンズ枠401は、退避機構(第3直進枠本体130の案内溝a7及び退避レンズ枠401の被駆動部411)によって、補正可能位置から退避位置へと移動する。すなわち、退避機構によって、退避レンズ枠401の姿勢が、撮影可能状態と沈胴状態との間において変化する。なお、レンズ鏡筒20が、沈胴状態から撮影可能状態に移行する際は、上記とは逆の動作を行うことによって、退避レンズ枠401の姿勢が、撮影可能状態と沈胴状態との間において変化する。
以下では、退避機構の詳細な説明をする。退避レンズ枠401は、撮影可能状態から沈胴状態にかけて、第3直進枠本体130に対して光軸方向に相対移動する。その撮影可能状態から沈胴状態に移行する過程で、被駆動部411が案内溝a7と係合し、案内溝a7の軌跡に沿って移動する。案内溝a7は、第3直進枠本体130の内面に形成されたカム溝である。また、被駆動部411は、カムフォロアとなっている。図9Aのように、案内部a7には、光軸に対して斜めになっている部分(傾斜部)と、光軸と平行になっている部分(平行部)とが、形成されている。この傾斜部に沿って被駆動部411が移動することで、退避レンズ枠401は、退避軸501b周りに回転する。退避レンズ枠401は、退避軸501b周りに回転することで、像ぶれ補正可能位置と退避位置の間を遷移する。
退避レンズ枠401は、OIS枠400と光軸方向に一体的に係合し、OIS枠400はシャッター枠335と光軸方向に一体的に係合している。このため、第3直進枠本体130に対する退避レンズ枠401の光軸方向の移動は、シャッター枠335の第3直進枠本体130に対する光軸方向移動と、同じである。シャッター枠335の直進突起A6は、第3直進枠130の直進溝a6に係合される。また、シャッター枠335のカム突起B5は、第2回転枠220のカム溝b5に係合される。従って、シャッター枠335は、第2回転枠220の回転に応じて、光軸方向に直進可能である。
シャッター枠335に保持されたOIS枠400は、退避レンズ枠401が退避を開始する前に、第3直進枠130によって、センタリングされる。例えば、撮影可能状態から収納状態へと遷移する場合に、シャッター枠335が光軸方向に直進すると、シャッター枠335に保持されたOIS枠400の片寄せ突起404が、第3直進枠130のフランジ部132側から、第3直進枠130の片寄せ溝a9に、嵌合される。そして、シャッター枠335が光軸方向にさらに直進すると、片寄せ突起404が片寄せ溝a9によって押圧され、シャッター枠335に対してOIS枠400が規制される。このように、OIS枠400のセンタリングは、退避レンズ枠401が退避動作を開始する前に、実行される。
シャッター枠335に保持された退避レンズ枠401は、像ぶれ補正可能位置から退避位置に移動する時には、第3直進枠本体131の内側において、上述の第3直進枠本体130の案内溝a7及び退避レンズ枠401の被駆動部411による退避機構により、退避レンズ枠401は回動する。この間に、退避レンズ枠401と第2レンズ枠320の第2レンズ保持部321Lとが、互いに接近する。そして、退避レンズ枠401の位置決め部412は、第2レンズ枠320の案内部322aに案内され、保持部322bに当接する(図17Aを参照)。これにより、退避レンズ枠401は、第2レンズ枠320の保持部322bに当接した状態で、第2レンズ群枠320の空間内、すなわち第2レンズ保持部321Lと外周面320Tの間の空間に、収容される。より具体的には、退避レンズ枠401は、第2レンズ群L2の半径方向外側の空間において、第2レンズ枠320の保持部322bに当接した状態で、保持され収容される。
また、このときには、OIS枠400の第2連結部408は、第2レンズ枠320の第1収容部323aに収容され、退避軸501bが第2レンズ枠320の第2収容部323bに収容される(図12A〜図12Cを参照)。
また、このときには、OIS枠400の第1連結部407は、シャッター枠本体336の光軸方向前側の面の除肉部350に収容される。
また、この状態では、図17Bに示すように、OIS枠400の空間ST(図14Aを参照)には、第2レンズ群枠320の第2レンズ保持部321Lが、収容されている。
また、この状態では、スラストバネ402の一端はOIS枠400に装着され、スラストバネ402の他端は退避レンズ枠401に装着される。これにより、退避レンズ枠401及びOIS枠400が、スラストバネ402により光軸方向に挟持され、位置決めされる。
また、この状態では、退避レンズ枠401の第3レンズ保持部420が、第1連結部407と第2連結部408との間に配置されている。また、退避レンズ枠401の駆動軸近傍の部分413a(第1係合部)が、第1規制部337aとOIS枠400との間に配置されている。これにより、上述したように、落下等の強い力が光軸方向に掛かった時の退避レンズ枠401の光軸方向の移動が、規制可能である。
また、この状態では、退避レンズ枠401の第3レンズ保持部420に形成された切欠部420aが、シャッター枠335の遮光部357と対向して、配置されている。また、シャッター枠335の開口部356は、第3レンズ保持部420の一部420bが、収納されている。
一方で、レンズ鏡筒が撮影可能状態では、退避レンズ枠401の軸受け部410がOIS枠400の退避軸501bに嵌合され、退避レンズ枠401の当接部414がOIS枠400の回り止め部511に当接することによって、退避レンズ枠401がOIS枠400に対して位置決めされる(図13Aを参照)。
また、この状態では、スラストバネ402の一端はOIS枠400に装着され、スラストバネ402の他端は退避レンズ枠401に装着される。これにより、退避レンズ枠401及びOIS枠400が、スラストバネ402により光軸方向に挟持され、位置決めされる。
また、この状態では、退避レンズ枠401の第3レンズ群L3を用いて、OIS枠400上において像ぶれ補正が可能である。
また、この状態では、退避レンズ枠401の駆動軸近傍の部分413a(第1係合部)が、第1規制部337aとOIS枠400との間に配置されている。これにより、上述したように、落下等の強い力が光軸方向に作用した時の退避レンズ枠401の光軸方向の移動が、規制可能である。
〈作用及び効果〉
(1)レンズ鏡筒20では、第3直進枠130と、シャッター枠335と、退避レンズ枠401とを、備えている。シャッター枠335は、第3直進枠130に対して光軸方向に移動可能である。退避レンズ枠401は、シャッター枠335に保持され、かつ、撮影可能状態と収納状態との移行期間において光軸と略平行な退避軸回りに移動可能である。
第3直進枠130は第3直進枠本体131を、有している。第3直進枠本体131の内周部には、案内溝a7が、形成されている。案内溝a7は、第3直進枠本体131の内周部から内方に向けて立設された少なくとも1つの側壁を、有している。
退避レンズ枠401は、被駆動部411を、有している。被駆動部411は、退避レンズ枠401が退避軸回りに移動する場合に、案内溝a7に係合し案内される。案内溝a7の側壁を構成する領域では、第3直進枠本体131の内方に向けて、他の領域より厚みが増加されている。
本レンズ鏡筒20では、カム機構(案内溝a7と被駆動部411)によって、退避レンズ枠401の姿勢が変更される。具体的には、被駆動部411が案内溝a7に係合し案内されることによって、退避レンズ枠401の姿勢が変更される。
第3直進枠本体131の厚みは、レンズ鏡筒20の外径を小さくするために、出来るだけ薄くすることが望ましい。しかしながら、退避レンズ枠401を移動させるためのカム機構、すなわち案内溝a7と被駆動部411とが係合する部分は、強度が必要となる。このため、本レンズ鏡筒20では、案内溝a7と被駆動部411とが係合する部分、すなわち案内溝a7の側壁を構成する領域において、第3直進枠本体131の内方に向けて、他の領域より厚みを増加させている。具体的には、案内溝a7の側壁を構成する領域において、第3直進枠本体131の内方に、補強部130Hを形成している。これにより、第3直進枠本体131の強度を確保しながら、第3直進枠本体131の外径の大型化を、抑えることができる。すなわち、レンズ鏡筒20を小型化することができる。
(2)本レンズ鏡筒20では、案内溝a7の側壁を構成する領域が、案内溝a7が形成された部分の近傍を、含んでいる。具体的には、補強部130Hが、案内溝a7が形成された部分の近傍に形成されている。より具体的には、補強部130Hは、案内溝a7に隣接させて形成されている。
(3)本レンズ鏡筒20では、案内溝a7が、対向する2つの側壁からなる溝形状に形成されている。この場合、案内溝a7は溝状に形成されているので、退避レンズ枠401を回動させる場合、被駆動部411は案内溝a7の片面(片方の側面)に当接する。このため、この側面だけを用意すれば、退避レンズ枠401を回動させることはできる。しかしながら、案内溝a7を溝状に形成することによって、落下及び衝撃等が入力された場合でも、被駆動部411の位置を案内溝a7によって確実に保持し、退避レンズ枠401の姿勢を安定させることができる。さらに、案内溝a7における異物の付着及び継続使用による磨耗等の影響によって、退避レンズ枠401の回動負荷が、回動バネ403の回転力よりも増大したとしても、強制的に退避レンズ枠401を回動させることができる。
また、補強部130Hは、案内溝a7の深さ、すなわち径方向寸法が収まる厚さで形成されている。案内溝a7の深さ、すなわち径方向寸法は、被駆動部411の高さ、すなわち径方向寸法が収容できる形状となっている。このため、カム機構作動時に被駆動部411を、案内溝a7の内部で安定的に案内することができる。
〈その他の実施形態〉
(A)上記実施形態において、レンズ鏡筒20は、第1直進枠110と第2直進枠120と第1レンズ群枠310とによる3段沈胴式であることとしたが、これに限られるものではない。レンズ鏡筒20は、第1直進枠110と第2直進枠120とによる2段沈胴式であってもよい。この場合、レンズ鏡筒20は、第2回転枠220および第3直進枠130を備えていなくてもよい。さらに、レンズ鏡筒20は、4段以上の沈胴式であってもよい。
(B)上記実施形態では、2つの枠のうち一方の枠にカム溝bが形成され、他方の枠にカム突起Bが形成されているが、これに限られるものではない。2つの枠のうち一方の枠にカム突起Bが形成され、他方の枠にカム溝bが形成されていてもよい。また、2つの枠のそれぞれにカム溝bとカム突起Bとが形成されていてもよい。
(C)上記実施形態では、2つの枠のうち一方の枠に直進溝aが形成され、他方の枠に直進突起Aが形成されているが、これに限られるものではない。2つの枠のうち一方の枠に直進突起Aが形成され、他方の枠に直進溝aが形成されていてもよい。また、2つの枠のそれぞれに直進溝aと直進突起Aとが形成されていてもよい。
(D)上記実施形態では、2つの枠のうち一方の枠にバヨネット溝eが形成され、他方の枠にバヨネット突起Eが形成されているが、これに限られるものではない。2つの枠のうち一方の枠にバヨネット突起Eが形成され、他方の枠にバヨネット溝eが形成されていてもよい。また、2つの枠のそれぞれにバヨネット溝eとバヨネット突起Eとが形成されていてもよい。
(E)上記実施形態では、第3レンズ群枠330が沈胴状態において第2レンズ群枠320の側方に退避することとしたが、これに限られるものではない。第3レンズ群枠330は、沈胴状態において第2レンズ群枠320の後方に配置されてもよい。
(F)上記実施形態では、図23Aの破線で示すように、回動バネ403の他端部403bが、回動バネ403のコイルの部分の軸芯KJ(コイル部の軸芯、退避軸501bの軸芯)を基準として90度の位置で、コイル部の軸芯KJから離れる方向に延びるように、形成されている。これに代えて、図23Aの実線で示すように、回動バネ403の他端部403b’が、コイル部の軸芯KJを基準として、90度より大きい位置で、コイル部の軸芯KJから離れる方向に延びるように、形成してもよい。
この場合、回動バネ403を、上記実施形態と同様に、退避レンズ枠401及びOIS枠400に装着すると、図23Bに示すように、退避レンズ枠401をOIS枠400に押圧する力FPを発生させることができる。これにより、退避レンズ枠401の3つの第1当接部603A(603A1,603A2,603A3)を、OIS枠400により確実に当接させることができる。
(G)上記実施形態では、第2回転枠220(第3枠体)が回転すると、第3直進枠130(第1枠体)を介して、シャッター枠335及びOIS枠400(第2枠体)が、第3直進枠130(第1枠体)に対して、光軸方向に移動する場合の例を、示した。
これに代えて、第1枠および第2枠を相対的に回転可能に構成し、第2枠および第3枠が相対的に回転不能に構成してもよい。この場合、第1枠体の貫通溝は、光軸方向および周方向へ延伸している。
この構成では、第1枠体が回転すると、第3枠体の案内溝の方向例えば光軸方向に、第2枠体(ex. シャッター枠335及び/又はOIS枠400)及び退避レンズ枠が移動する。また、このときには、退避レンズ枠401が、第2枠体に対して、光軸と垂直な方向へ移動する。
このように、第2枠体例えばシャッター枠335及び/又はOIS枠400が、第3枠体に対して、光軸方向に移動するように、レンズ鏡筒20を構成したとしても、被駆動部411及び案内部a7を、上記実施形態と同様に設けることができ、且つ退避レンズ枠401を動作させることができる。これにより、上記と同様の効果を得ることができる。
(H)上記実施形態では、OIS枠400の回り止め部511が凹状に形成されており、凹部512に退避レンズ枠401の当接部603Bの上面が当接する場合の例を、示した。これに代えて、図24に示すように、回り止め部511’の凹部512’における2つの側面512a’に、退避レンズ枠401の第2当接部603Bが当接するようにしてもよい。この場合、凹部512’の2つの側壁512a'は、互いに対向しており傾斜している。より具体的には、凹部512’の2つの側壁512a’は、凹部512’の底部512b’に向けて互いに接近するように、形成されている。これにより、退避レンズ枠401を、OIS枠400に対してより確実に位置決めすることができる。
ここに開示された技術は、レンズ鏡筒に広く適用できる。
1 …デジタルカメラ
10 …筐体
20 …レンズ鏡筒
21 …第1移動鏡筒部
22 …第2移動鏡筒部
23 …第3移動鏡筒部
24 …固定鏡筒部
100…固定枠
110…第1直進枠
120…第2直進枠
122…係止部
130…第3直進枠
133…係止凹部
210…第1回転枠
212…ギア部
220…第2回転枠
241…ズームモータ
242…ズームギア
310…第1レンズ群枠
320…第2レンズ群枠
330…第3レンズ群枠
335…シャッター枠
a1〜a6 …直進溝
A1,A3〜A6 …直進突起
b1〜b5 …カム溝
B1,B3〜B5 …カムフォロア
AB2 …直進カムフォロア
e1〜e3 …バヨネット溝
E1〜E3 …バヨネット突起

Claims (3)

  1. 第1枠体と、
    前記第1枠体に対して光軸方向に移動可能な第2枠体と、
    前記第2枠体に保持され、かつ、撮影可能状態と収納状態との移行期間において光軸と略平行な退避軸回りに移動可能な退避レンズ枠と、
    を備え、
    前記第1枠体は円筒部を有しており、前記円筒部の内周部には、内方に向けて立設された少なくとも1つの側壁を有する当接部が、形成され、
    前記退避レンズ枠は、前記退避レンズ枠が退避軸回りに移動する場合に、前記当接部に係合し案内される突起を、有し、
    前記当接部の側壁を構成する領域では、前記円筒部の内方に向けて、他の領域より厚みが増加されている、
    レンズ鏡筒。
  2. 前記当接部の側壁を構成する領域は、前記当接部が形成された部分の近傍を、含んでいる、
    請求項1に記載のレンズ鏡筒。
  3. 前記当接部は、対向する2つの前記側壁からなる溝形状に形成されている、
    請求項1または2に記載のレンズ鏡筒。
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