JP2015078737A - 円筒ころ軸受 - Google Patents

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良寿 前岡
Yoshihisa Maeoka
良寿 前岡
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【課題】保持器の組み立てを不要とするとともに、保持器のポケットに円筒ころを容易に配置することができ、保持器から円筒ころを脱落させることなく取り扱うことができる円筒ころ軸受を提供する。【解決手段】外輪または内輪の軸方向両端部に形成された鍔部にて保持器15が案内される円筒ころ軸受10であって、円筒ころは10、突起部16aを収容する突起収容溝14を軸方向両端部に有し、突起収容溝14は、径方向に延びて突起部16aの径より幅が大きい径方向溝部14aと、径方向溝部14aに径方向外方の端部で連通する入口部14bと、径方向溝部14aに径方向内方の端部で連通する第1円弧部14cおよび第1円弧部14cより小径の第2円弧部14dと、径方向溝部14aの径方向外方に開口する開口部14bとからなり、円筒ころ10は、突起部16aを開口部14bから挿入し、突起収容溝14に沿って回転することによりポケット16に配置される。【選択図】図3

Description

本発明は、円筒ころ軸受に関する。
従来の大形の円筒ころ軸受70は、図10に示すように、内周面に軌道面を有する外輪71と、外周面に軌道面を有する内輪72と、外輪71の軌道面と内輪72の軌道面との間に複数配置された円筒ころ73とを備えた構成である。この複数の円筒ころ73は、外輪71の軌道面と内輪72の軌道面との間に配置された環状の保持器75によって、周方向に間隔を隔てた状態で保持されている。この保持器75には、大形で強度を必要とすることから、削り出しにより形成された環状の本体76と、環状の蓋部77とをリベット78により組み合わせた分割タイプのもみ抜き保持器が多く使用されている。
保持器75の本体76は、図11に示すように、保持器75の一方の側壁となる円環状の環状部76aと、環状部76aの側壁面に周方向に等間隔を隔てて複数立設された柱部76bとを備えている。環状部76aと柱部76bとによってポケット76eが区画され、柱部76bの内部をリベット孔76cが貫通している。柱部76bは、その基端部が環状部76aに一体的に接続されており、その先端面にはインロー凸部76dが設けられている。柱部76bの先端面に、保持器75の他方の側壁となる円環状の蓋部77が接続される。蓋部77には、本体76のリベット孔76cに対応する位置にリベット孔77cが設けられ、本体76に区画されたポケット76eの開放端部を蓋部77で塞ぐことで、保持器75のポケットが形成される。
この保持器75の組み立てにおいて、本体76のインロー凸部76dを蓋部77のインロー凹部77dに嵌合させた状態で、本体76と蓋部77とをリベット接合している。このリベットを加締める際に、本体76と蓋部77とがずれる不良が出ると、やり直しとなり、工数がかかる。また、保持器と円筒ころの構成を内外輪に組み込む場合、円筒ころが内外輪と干渉しないように位置を調整すると、ポケットから円筒ころが脱落することがあり、組み立てに手間がかかることが知られている。このため、例えば、特許文献1には、外輪の内側に保持器を装着し、ポケットから円筒ころが脱落するのを防止するために、保持器のポケットに、脱落防止の爪部を設けた円筒ころ軸受が開示されている。
実開平5−12753号公報
しかしながら、上記の円筒ころ軸受は、円筒ころの脱落を防止する保持器の爪部が複雑な形状であるため、その加工に多くの時間を要するとともに、この爪部により、円筒ころを保持器のポケットに配置するのに手間がかかるという問題があった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、保持器の組み立てを不要とするとともに、保持器のポケットに円筒ころを容易に配置することができ、保持器から円筒ころを脱落させることなく取り扱うことができる円筒ころ軸受を提供することにある。
請求項1に係わる発明は、内周面に軌道面を有する外輪と、外周面に軌道面を有する内輪と、周方向に間隔を隔ててポケットが複数設けられ前記軌道面間に配置される環状のもみ抜き保持器と、前記ポケット内に収納される円筒ころとを備え、前記外輪または前記内輪の軸方向両端部に、対向する前記軌道面に向け径方向に突出する鍔部が形成され、前記鍔部にて前記保持器が案内される円筒ころ軸受であって、前記保持器は、前記ポケット内側の軸方向両端部に前記ポケットの内方に突出する突起部を有し、前記円筒ころは、前記突起部を収容する突起収容溝を軸方向両端部に有し、前記突起収容溝は、径方向に延びて前記突起部の径より幅が大きい径方向溝部と、前記径方向溝部に径方向内方の端部で連通する第1円弧部および前記第1円弧部より小径の第2円弧部と、前記径方向溝部の径方向外方に開口する開口部とからなり、前記円筒ころは、前記突起部を前記開口部から挿入し、前記突起収容溝に沿って回転することにより前記ポケットに配置されることを特徴とする。
上記のように構成した請求項1の発明によれば、保持器のポケット内側の軸方向両端部の突起部と円筒ころ軸方向両端部の突起収容溝の開口部との位置を合わせ、ポケットに円筒ころを挿入し、円筒ころを突起収容溝に沿って回転させることにより、ポケットに円筒ころを容易に配置することができる。この円筒ころは、突起収容溝が突起部に係止されるので、円筒ころを脱落させることなく、保持器と円筒ころの構成を取り扱うことができる。保持器と円筒ころの構成において、円筒ころを突起収容溝に沿って回転させて、第1円弧部で突起部に係止させることにより、ころ外接円径を保持器の外径より小さくすることができる。これにより、保持器から円筒ころが外輪側へ飛び出ないので、保持器と円筒ころの構成を外輪に挿入する際に、外輪の鍔部と円筒ころとが干渉しない。したがって、保持器と円筒ころの構成と外輪とからなる外輪アッシーの組み立てを容易におこなうことがきる。また、外輪アッシーにおいて、円筒ころを突起収容溝に沿って回転させて、第2円弧部で突起部に係止させることにより、ころ内接円径を小さくすることができる。したがって、外輪アッシーと内輪との組み立ても容易におこなうことがきる。この保持器は、蓋などの別体部材がないので、組み立てを不要とすることができる。
請求項2に係わる発明は、請求項1に記載の円筒ころ軸受であって、前記円筒ころは、前記開口部の幅が前記径方向溝部の幅よりも広く形成されていることを特徴とする。
上記のように構成した請求項2の発明によれば、突起収容溝の開口部の幅が広く形成されているので、円筒ころを挿入する際に、ポケットの突起部と突起収容溝の開口部の位置を正確に合わせなくても、容易に保持器に円筒ころを挿入して、ポケットに円筒ころを配置することができる。
本発明によれば、保持器の組み立てを不要とするとともに、保持器のポケットに円筒ころを容易に配置することができ、保持器から円筒ころを脱落させることなく取り扱うことができる円筒ころ軸受を提供することができる。
本発明の実施形態に係る円筒ころ軸受の断面図である。 図1の円筒ころのA矢視図である。 本発明の実施形態に係る保持器と円筒ころの組み立ての説明図である。 本発明の実施形態に係る外輪アッシー組み立ての説明図である。 本発明の実施形態に係る円筒ころ軸受の組み立て手順である。 本発明の実施形態に係る外輪アッシーと内輪の組み立ての説明図である。 本発明の実施形態に係る円筒ころ軸受の組み立て後の説明図である。 本発明の実施形態に係る円筒ころの変形例1である。 本発明の実施形態に係る円筒ころの変形例2である。 従来の円筒ころ軸受の断面図である。 図10の保持器の分解斜視図である。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
図1に示すように、大形の円筒ころ軸受10は、内周面に軌道面11bを有する外輪11と、外周面に軌道面12bを有する内輪12と、軌道面11bと軌道面12bとの間に複数配置された円筒ころ13とを備えている。
外輪11の軸方向両端部に、対向する内輪12の軌道面12bに向け径方向に突出する鍔部11aが形成され、鍔部11aにて保持器15が案内される。複数のころ13は、外輪11の軌道面11bと内輪12の軌道面12bとの間に配置された環状の保持器15によって、周方向に等間隔を隔てた状態で保持されている。
保持器15は、いわゆるもみ抜き保持器であり、黄銅等からなる円筒形状の部材を削り出すことにより形成されている。また、蓋などの別体部材を有しない一体の構成となっている。この保持器15は、保持器15の一方の側壁となる円環状の環状部15aと、他方の側壁となる円環状の環状部15bと、環状部15aと環状部15bとの間に周方向に等間隔を隔てて複数立設された柱部(図示せず)とを備えている。
環状部15aと環状部15bと柱部とによってポケット16が区画されている。このポケット16内側の軸方向両端部には、ポケット16の内方に突出する突起部16a,16bがそれぞれ形成されている。突起部16aは、半球状に形成され、突起部16aの突出長さは、後述する突起収容溝14の溝深さより短く、突起部16a,16bの径は、後述する径方向溝部14aの径より幅が小さく形成されている。
図2に示すように、円筒ころ13は、突起部16a,16bを収容する突起収容溝14が、軸方向端部にそれぞれ形成されている。突起収容溝14は、径方向に延びて突起部16a,16bの径より幅が大きい径方向溝部14aと、径方向溝部14aに径方向内方の端部で連通する第1円弧部14cおよび第2円弧部14dとからなる。
第1円弧部14cおよび第2円弧部14dは、ころの回転軸中心を中心とした径R1および径R2の溝形状であり、第2円弧部14dの径R2は、第1円弧部14cの径R1より小径となっている。また、径方向溝部14aの径方向外方には、開口部14bが形成されている。
円筒ころ13は、ポケット16に配置された状態において、回転自在であるとともに径方向の内方および外方に移動可能である。また、円筒ころ13は、径方向の内方および外方に移動させると、突起収容溝14の第1円弧部14cおよび第2円弧部14dが、突起部16a,16bに当接することにより移動が制限されるとともに、ポケット16からの脱落を防いでいる。
次に、本実施形態における円筒ころ軸受10の組み立て手順の一例を、図3〜図7に基づいて説明する。ここで、図3、図4、図6、図7は軸方向の一方のみを示しているが、軸方向の他方においても同様である。また、図5では内外輪の軸方向を水平にした状態としているが、実際の円筒ころ軸受10の組み立ては、内外輪の軸方向を垂直にした状態でおこなわれる。なお、内輪12は、あらかじめ回転軸であるシャフト20に焼き嵌めにより組み込まれているものとしている。
始めに、保持器15と円筒ころ13の構成を組み立てる。
図3に示すように、保持器15のポケット16内側の軸方向両端部の突起部16aと円筒ころ13の軸方向両端部の突起収容溝14の開口部14bとの位置を合わせ、保持器15の径方向外方から円筒ころ13をポケット16に挿入する。
この円筒ころ13は、突起収容溝14が突起部16a,16bに係止されるので、組み立てや搬送などにおいて、円筒ころ13を脱落させることなく、保持器15と円筒ころ13の構成を取り扱うことができる。
次に、図5(1)に示すように、保持器15と円筒ころ13の構成を外輪11に挿入して、外輪アッシーを組み立てる。このとき、図4に示すように、保持器15と円筒ころ13の構成において、円筒ころ13を突起収容溝14に沿って回転させて、第1円弧部14cで突起部16a,16bに係止させることにより、ころ外接円径S1を保持器15の外径より小さくしている。これにより、保持器15から円筒ころ13が外輪側へ飛び出ないので、保持器15と円筒ころ13の構成を外輪11に挿入する際に、外輪11の鍔部11aと円筒ころ13とが干渉しない。
次に、図5(2)に示すように、外輪アッシーを内輪12に挿入する準備をする。この準備は、図6に示すように、外輪アッシーにおいて、円筒ころ13を突起収容溝14に沿って回転させて、第2円弧部14dで突起部16a,16bに係止させることにより、円筒ころ13を径方向外方に移動させ、ころ内接円径S2を小さくすることである。
次に、図5(3)に示すように、この外輪アッシーを内輪12に挿入する。このとき、ころ内接円径S2が小さくされているので、組み立ての際に、内輪12と円筒ころ13とは干渉しない。
次に、図5(4)に示すように、外輪アッシーを所定の軸方向位置まで挿入する。円筒ころ13が外輪11の軌道面11bおよび内輪12の軌道面12bに当接し、円筒ころ軸受10の組み立てが完了する。
組み立て後の円筒ころ軸受10は、図7に示すように、円筒ころ13が外輪11の軌道面11bおよび内輪12の軌道面11bに当接した状態において、突起部16aは、円筒ころ13の回転軸中心付近に対向して位置している。したがって、円筒ころ13の転動において、突起部16aと突起収容溝14とが干渉することはなく、軸受機能に影響を与えない。
以上のような円筒ころ軸受10によれば、保持器15の組み立てを不要とするとともに、保持器15のポケット16に円筒ころ13を容易に配置することができ、保持器15から円筒ころを脱落13させることなく取り扱うことができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で適宜変更することが可能である。上記実施形態は、外輪の軸方向両端部に形成された鍔部にて保持器が案内される円筒ころ軸受であるが、内輪の軸方向両端部に形成された鍔部にて保持器が案内される円筒ころ軸受であってもよい。
また、上記実施形態では、大形の円筒ころ軸受に適用しているが、本発明は、大形の円筒ころ軸受に限定されることなく、すべての円筒ころ軸受に適用することができる。
さらに、図8に示すように、突起収容溝14の開口部14bの幅を広く形成してもよい。円筒ころを挿入する際のポケットの突起部と突起収容溝の開口部の位置合わせを容易にすることで、より組み立てを容易にすることができる。
また、図9に示すように、突起収容溝14の第1円弧部14cと第2円弧部14dとの段差をなくして連続した円弧としてもよい。外輪アッシー挿入する際の円筒ころの回転と径方向の移動を滑らかにすることで、より組み立てを容易にすることができる。
10:円筒ころ軸受、 11:外輪、 11a:鍔部、 11b:軌道面、
12:内輪、 12b:軌道面、 13:円筒ころ、 14:突起収容溝、
14a:径方向溝部、 14b:開口部、 14c:第1円弧部、
14d:第2円弧部、 15:保持器、 15a:環状部、 15b:柱部、
16:ポケット、 16a,16b:突起部、20:シャフト(回転軸)、
70:円筒ころ軸受、 71:外輪、 72:内輪、 73:円筒ころ、
75:保持器、 76:本体、 76a:環状部、 76b:柱部、
76c:リベット孔、 76d:インロー凸部、 76e:ポケット、
77:蓋部、 77d:インロー凹部、 78:リベット

Claims (2)

  1. 内周面に軌道面を有する外輪と、外周面に軌道面を有する内輪と、周方向に間隔を隔ててポケットが複数設けられ前記軌道面間に配置される環状のもみ抜き保持器と、前記ポケット内に収納される円筒ころとを備え、前記外輪または前記内輪の軸方向両端部に、対向する前記軌道面に向け径方向に突出する鍔部が形成され、前記鍔部にて前記保持器が案内される円筒ころ軸受であって、
    前記保持器は、前記ポケット内側の軸方向両端部に前記ポケットの内方に突出する突起部を有し、
    前記円筒ころは、前記突起部を収容する突起収容溝を軸方向両端部に有し、前記突起収容溝は、径方向に延びて前記突起部の径より幅が大きい径方向溝部と、前記径方向溝部に径方向内方の端部で連通する第1円弧部および前記第1円弧部より小径の第2円弧部と、前記径方向溝部の径方向外方に開口する開口部とからなり、
    前記円筒ころは、前記突起部を前記開口部から挿入し、前記突起収容溝に沿って回転することにより前記ポケットに配置されることを特徴とする円筒ころ軸受。
  2. 請求項1に記載の円筒ころ軸受であって、前記円筒ころは、前記開口部の幅が前記径方向溝部の幅よりも広く形成されていることを特徴とする円筒ころ軸受。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102017116988A1 (de) * 2017-07-27 2019-01-31 Schaeffler Technologies AG & Co. KG Zylinderrollenkranz eines Zylinderrollenlagers
CN113043028A (zh) * 2021-04-19 2021-06-29 四川兴事发门窗有限责任公司 一种承重导向装置

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