JP2015077803A - 容器の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 成形品取出処理の自動化を容易に実現するとともに、一次成形品等の成形品を傷付けることなく、成形品取出処理の的確化及び迅速化を可能にし、さらに、製造設備全体のコストダウン、更にはサイズダウンを図る。【解決手段】 熱硬化性樹脂を用いた成形材料Rfを一対の型2u,2dを有する金型2で圧縮成形することにより内面と外面を有する一次成形品Mfを成形し、この一次成形品Mfにより容器を製造するに際し、金型2の一方の型2dにおける成形品キャビティ3d側のパーティング面4dに、成形品取出時に吸盤8…により吸着可能な被吸着面部Bv,BvをバリBにより成形可能な凹部による被吸着面形成部6d,6dを形成し、圧縮成形時に、金型2に成形材料Rfを収容し、圧縮成形により一次成形品Mfを成形するとともに、被吸着面形成部6d…を用いてバリBにより被吸着面部Bv…を成形する。【選択図】 図1

Description

本発明は、食器等の容器を製造する際に用いて好適な容器の製造方法に関する。
従来、熱硬化性樹脂を用いた成形材料を金型で圧縮成形することにより内面と外面を有する一次成形品を成形し、この後、内面と外面の両面にコーティング材料をコーティング処理することにより食器等の両面コート成形品を製造する両面コート成形品の製造方法としては、特許文献1に開示される熱硬化性樹脂成形品の製造方法,特許文献2に開示される熱硬化性樹脂による成形品の両面絵付け成形法,特許文献3に開示される両面加飾熱硬化性樹脂成形品の製造方法が知られている。
特許文献1に開示される熱硬化性樹脂成形品の製造方法は、成形品の凹型の表面にグレーズコーティング成形を行う工程と、この工程で得られた成形品をその上下を反転して凸金型に供給する工程と、成形品の凸型の表面にグレーズコーティング成形を行う工程とを備えたものであり、また、特許文献2に開示される熱硬化性樹脂による成形品の両面絵付け成形法は、コア型とキャビティ割型との型閉により熱可塑性樹脂の成形品の内体を圧縮形成するとともに、型開により内体をキャビティ割型内に抱持してコア型から離型し、この後、コア型と内体との間に絵付きフォイルを入れて型閉により内体内面に絵付けするとともに、内体をキャビティ割型内に抱持してコア型から離型し、この後、内体とコア型との間にコーティング材を入れて内体をコア型に保持したのち、キャビティ割型を単体のキャビティ型と交換するとともに、キャビティ型とコア型との型閉により内体上の材料樹脂を圧縮して外体を成形し、外体と内体とによる内外二層の成形品の成形体を成形することにより、成形体とキャビティ割型との間に絵付きフォイルを入れて型閉により成形の外面に絵付けするようにしたものであり、さらに、特許文献3に開示される両面加飾熱硬化性樹脂成形品の製造方法は、一つの凸金型及び二つの凹金型又は二つの凸金型及び一つの凹金型からなる1組の金型を用いて異なる色の成形材料を用いて内側と外側の色が異なる成形品であって、その両面に給付又は/及びコーティングを施した熱硬化性樹脂成形品を、先ず成形品の内側もしくは外側を成形し、次に第二の凸又は凹金型をスライド又は回転移動させて成形品の外側もしくは内側を成形して、一連の成形工程で連続的に製造するようにしたものである。
特開2001−038753号公報 特開2007−160924号公報 特開2009−178861号公報
しかし、上述した従来における一次成形品の製造を含む両面コート成形品の製造方法は、次のような問題点があった。
第一に、いずれの場合も金型を構成する型の数量が多くなり、構成が複雑になる傾向があるとともに、金型の反転や移動など、金型に付随する周辺構造も複雑化する傾向がある。したがって、製造方法に用いる製造設備のコストアップ及びサイズアップ(配設スペースの拡大)を招くなど、製造設備のコストダウン及びサイズダウンを図る観点からは更なる改善の余地があった。
第二に、製造時間を短縮して量産性を高め、かつ電力消費の低減により省エネルギ性を高める観点からも必ずしも十分とは言えない。即ち、いずれの場合も基礎成形品に対してフォイルの付着とコーティングを両面に施す場合、基礎成形品の成形,2回のフォイル付着処理及び2回のコーティング処理とが必要になるため、金型の開閉(圧縮成形)の回数は、最低限5回は必要になる。したがって、一個の両面コート成形品を製造する場合、5回の金型の開閉に伴う製造時間が必要になるとともに、5回の圧縮成形に伴う電力消費を要する。
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した容器の製造方法の提供を目的とするものである。
本発明に係る容器の製造方法は、熱硬化性樹脂を用いた成形材料Rfを一対の型2u,2dを有する金型2で圧縮成形することにより内面と外面を有する一次成形品Mfを成形し、この一次成形品Mfにより容器を製造するに際し、金型2の一方の型2dにおける成形品キャビティ3d側のパーティング面4dに、成形品取出時に吸盤8…により吸着可能な被吸着面部Bv,BvをバリBにより成形可能な凹部による被吸着面形成部6d,6dを形成し、圧縮成形時に、金型2に成形材料Rfを収容し、圧縮成形により一次成形品Mfを成形するとともに、被吸着面形成部6d,6dを用いてバリBにより被吸着面部Bv,Bvを成形することを特徴とする。
この場合、好適な実施の態様により、金型2の一方の型2dにおける成形品キャビティ3d側のパーティング面4dには、位置決め部BcをバリBにより成形可能な凹部による位置決め形成部5dを形成し、圧縮成形時に、位置決め形成部5dを用いてバリBにより位置決め部Bcを成形することができるとともに、金型2の一方の型2dにおける成形品キャビティ3d側のパーティング面4dには、バリBを保持可能な一又は複数の溝部7d…を形成することができる。一方、一次成形品Mfを金型2から取出した後、金型2に、コーティング材料Rcを収容するとともに、一次成形品Mfを再収容し、圧縮成形によりコーティング処理を行うことができる。さらに、一次成形品Mfは、金型2に成形材料Rfを収容し、圧縮成形により基礎成形品Msを成形するとともに、この基礎成形品Msを金型2から取出した後、基礎成形品Msの内面と外面の一方又は双方に柄付フォイルFi,Foを付着させた状態で基礎成形品Msを金型2に再収容し、圧縮成形によりフォイル付着処理を行うことにより得ることができる。なお、容器には、食器Mdを含ませることが望ましい。
このような手法を有する本発明に係る容器の製造方法によれば、次のような顕著な効果を奏する。
(1) 金型2の一方の型2dにおける成形品キャビティ3d側のパーティング面4dには、成形品取出時に吸盤8…により吸着可能な被吸着面部Bv,BvをバリBにより成形可能な凹部による被吸着面形成部6d,6dを形成し、圧縮成形時に、被吸着面形成部6d,6dを用いてバリBにより被吸着面部Bv,Bvを成形するようにしたため、成形品取出処理の自動化を容易に実現できるとともに、一次成形品Mf等の成形品を傷付けることなく、成形品取出処理をより的確かつ迅速に行うことができる。
(2) 基本的に、金型2の構成は一対の型2u,2dの組合わせで足りるとともに、一つの型2uの開閉動作で足りる金型2の動作も実現可能となるため、金型2を構成する型2u,2dの数量は最小数で済むとともに、金型2に付随する周辺構造もより簡素化できる。しかも、金型2の動作も最小の単純動作で済むため、製造設備全体のコストダウン、更にはサイズダウンを図ることができる。したがって、特に、食器Mdを含む容器に適用することにより、本願発明の作用効果を享受できる観点から最も望ましいパフォーマンスを得ることができる。
(3) 好適な態様により、金型2の一方の型2dにおける成形品キャビティ3d側のパーティング面4dに、位置決め部BcをバリBにより成形可能な凹部による位置決め形成部5dを形成し、圧縮成形時に、位置決め形成部5dを用いてバリBにより位置決め部Bcを成形するようにすれば、基礎成形品Msに凹凸等による文字や模様などを付し、かつ基礎成形品Msを一旦金型2から取出した後、再収容する場合であっても、金型2に対する基礎成形品Msの位置決めを行うことができるため、フォイル付着処理における柄付フォイルFi,Fo等との位置合わせを確実かつ容易に行うことができる。
(4) 好適な態様により、金型2の一方の型2dにおける成形品キャビティ3d側のパーティング面4dに、バリBを保持可能な一又は複数の溝部7d…を形成するようにすれば、型開時に、一次成形品Mf等の成形品を一方の型2dに確実に保持できるため、成形品取出処理において取出しエラーを生じることなく、確実かつ能率的に行うことができる。
(5) 好適な態様により、一次成形品Mfを金型2から取出した後、金型2に、コーティング材料Rcを収容するとともに、一次成形品Mfを再収容し、圧縮成形によりコーティング処理を行うようにすれば、コーティング処理を両面に施す場合であっても、2回の型開閉(圧縮成形)で足りるため、製造時間の短縮による量産性向上を図れるとともに、電力消費の低減による省エネルギ性向上に寄与できる。
(6) 好適な態様により、一次成形品Mfを得るに際し、金型2に成形材料Rfを収容し、圧縮成形により基礎成形品Msを成形するとともに、この基礎成形品Msを金型2から取出した後、基礎成形品Msの内面と外面の一方又は双方に柄付フォイルFi,Foを付着させた状態で基礎成形品Msを金型2に再収容し、圧縮成形によりフォイル付着処理を行うことにより得るようにすれば、フォイル付着処理とコーティング処理を両面に施す場合であっても、3回の型開閉(圧縮成形)で足りるため、製造時間の短縮率の向上及び電力消費の低減率の向上を図ることができる。
本発明の好適実施形態に容器(食器)の製造方法に用いる一方の型の断面正面図、 同製造方法に用いる一方の型の平面図、 同製造方法に用いる柄付フォイルの斜視図、 同製造方法により製造された食器(両面コート成形品)の一部抽出拡大断面図を含む断面正面図、 同製造方法の処理手順を説明するためのフローチャート(工程図)、 同製造方法における基礎成形工程の説明図、 同製造方法におけるフォイル付着処理工程の説明図、 同製造方法におけるコーティング処理工程の説明図、
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
まず、本実施形態に係る食器Md(容器)の製造方法に用いる金型2の構成について、図1〜図4(図6〜図8)を参照して説明する。
金型2は、図6に示すように、一対の型2u,2d、即ち、上型(固定型)2uと下型(可動型)2dからなり、この金型2により、内面と外面を有する両面コート成形品Mを成形することができる。例示の両面コート成形品Mは、茶碗状の食器Md(図4及び図8参照)である。
この場合、下型2dは、図1及び図2に示すように、上面に、食器Mdの外面を成形する凹側の成形品キャビティ3d及びこの成形品キャビティ3dを囲むパーティング面4dを有する。また、パーティング面4dには、例えば、直方体形の凹部による位置決め形成部5dを形成する。位置決め形成部5dを設ける位置は、特に限定されるものではないが、できるだけ成形品キャビティ3dから離れた位置に設けることが望ましい。このような位置決め形成部5dを設けることにより、圧縮成形時に、加熱流動化した樹脂がバリBの位置決め形成部5dに進入かつ充填されることにより、バリBに一体の位置決め部Bcが成形される。この位置決め部Bcにより、一旦、金型2から取出した後述する基礎成形品Msを、下型2dに再収容する際における当該下型2dと基礎成形品Ms間の位置決めを行うことができる。したがって、基礎成形品Msに凹凸等による文字や模様などを付し、かつ基礎成形品Msを一旦金型2から取出した後、再収容する場合であっても、基礎成形品Msとフォイル付着処理における柄付フォイルFi,Fo等との位置合わせを確実かつ容易に行うことができる。
さらに、パーティング面4dには、例えば、円盤形の凹部による被吸着面形成部6d,6dを形成する。この被吸着面形成部6d,6dは、成形品キャビティ3dの両側に180゜の位置関係で一対設けることが望ましい。このような被吸着面形成部6d,6dを設けることにより、圧縮成形時に、可塑化したバリBが被吸着面形成部6d,6dに進入かつ充填されることにより、バリBに一体の被吸着面部Bv,Bvが成形される。これにより、吸盤8,8により吸着可能な被吸着面部Bv,Bvが形成され、成形品取出時には、吸盤8,8により被吸着面部Bv,Bvを吸着し、基礎成形品Ms等の成形品を自動で取出すことができる。したがって、成形品取出処理の自動化を容易に実現できるとともに、一次成形品Mf等の成形品を傷付けることなく、成形品取出処理をより的確かつ迅速に行うことができる。
その他、図2に示すように、パーティング面4d上には、型開き時に、バリBを下型2dに保持可能な複数の線状の溝部7d…を形成することが望ましい。この溝部7d…を設けることにより、バリBを保持可能となり、型開時には、一次成形品Mf等の成形品を一方の型2dに確実に保持し、基礎成形品Ms等の成形品が上型2uに付着する不具合を回避でき、成形品取出処理において取出しエラーを生じることなく、確実かつ能率的に行うことができる。
他方、金型2の他方の型となる上型2uは、図6に示すように、下面に、食器Mdの内面を成形する凸側の成形品キャビティ(コア部)3u及びこの成形品キャビティ3uを囲むパーティング面4uを有する。例示の金型2は、図示を省略した型締装置により下型2dが昇降し、下降により型開を行うことができるとともに、上昇により型閉、更には型締による圧縮成形を行うことができる。
次に、このような金型2を用いた本実施形態に係る食器Mdの製造方法について、図6〜図8(図1〜図4)を参照しつつ図5に示すフローチャート(工程図)に従って説明する。
最初に、一次成形工程により一次成形品Mfの成形を行う(ステップSf)。一次成形工程は、金型2に成形材料Rfを収容し、圧縮成形により一次成形品Mfを成形するものであり、前段の基礎成形工程(ステップSs)と後段のフォイル付着処理工程(ステップSm)を備える。この場合、基礎成形工程は、金型2に成形材料Rfを収容し、圧縮成形により基礎成形品Msを成形する工程となり、また、フォイル付着処理工程は、基礎成形工程で得られた基礎成形品Msの内面と外面に柄付フォイルFi,Foを付着させた状態で当該基礎成形品Msを金型2に再収容し、圧縮成形によりフォイル付着処理を行うことにより一次成形品Mfを得る工程となる。
まず、基礎成形工程では、予め成形材料Rfを準備する(ステップS1)。成形材料Rfの原料には、各種の熱硬化性樹脂を使用することができ、例示の実施形態ではメラミン樹脂を用いた。この際、原料は粉末又は顆粒状のため、一旦、計量した原料を型枠に入れ、正規の成形温度よりも低い温度に予備加熱し、タブレット状に成形したものを成形材料Rfとして用いる。なお、型形状によっては、粉末又は顆粒状のまま使用することも可能である。
そして、成形材料Rfは、図6(a)に示すように、型開位置にある下型2dに収容する(ステップS2)。次いで、図6(b)に示すように、下型2dを上昇させて型閉を行うとともに、設定温度に加熱された金型2を、所定の加圧条件(速度条件,圧力条件,時間条件を含む)において型締めし、圧縮成形を行う(ステップS3)。圧縮成形では、成形材料Rfが高温の下型2dと上型2uにより押し潰されて軟化し、成形品キャビティ3d,3u内に充満し、基礎成形品Msが成形されるとともに、さらに、パーティング面4d,4u上にバリBとなって漏出する。この際、バリBの先端は、通常、パーティング面4d,4uの外縁付近まで達するため、被吸着面形成部6d…及び位置決め形成部5dにも加熱流動化した樹脂が充填される。これにより、被吸着面部Bv…及び位置決め部Bcも同時に成形される。
圧縮成形が終了したなら、図6(c)に示すように、下型2dを下降させ、型開きを行うことにより成形された基礎成形品Msを取出す(ステップS4)。この際、下型2dのパーティング面4dには、バリBを保持可能な複数の溝部7d…を有するため、バリB、さらには基礎成形品Msも下型2dに保持される。即ち、型開時に、基礎成形品Msが上型2uに付着する不具合が回避される。また、基礎成形品Msの取出は、この基礎成形品MsにバリBを介して一体に成形された被吸着面部Bv,Bvを用いて行うことができる。この場合、図1に仮想線で示す吸盤8…は真空吸引されるため、この吸盤8…により被吸着面部Bv…を吸着し、垂直方向に引き上げた後、水平方向へ取出すことができる。以上が、前段の基礎成形工程(ステップSs)となる。
次に、後段のフォイル付着処理工程(ステップSm)を行う。フォイル付着処理工程では、まず、図7(d)に示すように、型開位置にある下型2dに、外面用の柄付フォイルFoを収容する(ステップS5)。図3に、外面用の柄付フォイルFo及び内面用の柄付フォイルFiを示す。各柄付フォイルFo,Fiは、予め、表面に柄(模様,絵,文字等を含む)を印刷した紙素材シートに、含浸材としてメラミン樹脂を含浸させたものであり、外面用の柄付フォイルFoは、成形品キャビティ3dの内面(基礎成形品Msの外面)に重なるように筒状に形成し、内面用の柄付フォイルFiは、成形品キャビティ(コア部)3uの外面(基礎成形品Msの内面)に重なるように筒状に形成する。
また、柄付フォイルFoを収容した下型2dに対して、図7(d)に示すように、基礎成形品Msを収容(再収容)する(ステップS6)。この際、基礎成形品MsのバリBには位置決め部Bcが一体成形されているため、この位置決め部Bcをパーティング面4dに設けた位置決め形成部5dに嵌合することにより位置決めを行う(ステップS7)。本実施形態に係る製造方法では、基礎成形品Msを、一旦、下型2dから取出すため、再収容時には、柄付フォイルFo,Fiと基礎成形品Msを位置合わせする必要がある。即ち、基礎成形品Msの底面には、通常、文字や記号を刻印する場合が多く、また、基礎成形品Msの外面には、デザイン上の緩やかな凹凸模様を付す場合があるとともに、これらが柄付フォイルFo,Fiに対して位置関係が設定されている場合も少なくない。この場合、基礎成形品Msを、下型2d、更には柄付フォイルFo,Fiに対して位置合わせする必要があり、位置決め部Bcと位置決め形成部5dを設けることにより、位置合わせする際における位置決めを確実かつ容易に行うことができる。
さらに、柄付フォイルFo及び基礎成形品Msを収容した下型2dに対して、図7(d)に示すように、内面用の柄付フォイルFiを収容する(ステップS8)。これにより、金型2の型開位置において、柄付フォイルFo,基礎成形品Ms及び柄付フォイルFiの順に下型2dに収容することができる。
次いで、図7(e)に示すように、下型2dを上昇させて型閉を行うとともに、金型2を所定の加圧条件において型締めし、圧縮成形(付着処理)を行う(ステップS9)。これにより、各柄付フォイルFi,Foは含浸させたメラミン樹脂の熱硬化反応により、基礎成形品Msの内面及び外面にそれぞれ付着する。圧縮成形が終了したなら、図7(f)に示すように、下型2dを下降させ、型開きを行うとともに、フォイル付着処理の行われた一次成形品Mfを取出す(ステップS10)。この際の取出は、上述した基礎成形品Msの取出と同様に行うことができる。以上がフォイル付着処理工程(ステップSm)となり、一次成形工程(ステップSf)が終了する。
次に、一次成形品Mfに対するコーティング処理工程を行う(ステップSc)。コーティング処理を行うには、まず、コーティング材料Rci,Rcoを用意する。コーティング材料Rci,Rcoの原料には、透明なメラミン樹脂を用いた。コーティング処理に際しては、図8(g)に示すように、型開位置にある下型2dに対して、外面用のコーティング材料Rciを収容する(ステップ11)。また、外面用のコーティング材料Rcを収容した下型2dに対して、図8(g)に示すように、一次成形品Mfを収容(再収容)する(ステップS12)。さらに、一次成形品Mfの内部には、図8(g)に示すように、内面用のコーティング材料Rciを収容する(ステップS13)。
次いで、図8(h)に示すように、下型2dを上昇させて型閉を行うとともに、金型2を所定の加圧条件において型締めし、圧縮成形(コーティング処理)を行う(ステップS14)。これにより、各コーティング材料Rco,Rciが溶融流動化され、一次成形品Mfの内面及び外面にコーティングされる。また、圧縮成形では、コーティング材料Rco,Rciが溶融流動化され、成形品キャビティ3d,3uに充填されるとともに、更に、パーティング面4d,4uにバリBとなって漏出し、成形材料Rfの場合と同様に、被吸着面形成部6d…及び位置決め形成部5dに進入かつ充填される。そして、圧縮成形が終了したなら、図8(i)に示すように、下型2dを下降させ、型開きを行い、コーティングされた最終成形品Meを取出す(ステップS15)。この際の取出は、前述した基礎成形品Msの取出と同様に行うことができる。この後、最終成形品Meに対して、不要部分となるバリBのカッティングを行うとともに、必要な、仕上げ処理及び検査処理等を行う(ステップS16)。これにより、目的の食器Md(両面コート成形品M)を得ることができる。即ち、図4に示すように、基礎成形品Msの両面に柄Pi,Poが付され、さらに両面にコーティング層Ci,Coが設けられた食器Mdを得ることができる。
よって、このような本実施形態に係る製造方法によれば、金型2の一方の型2dにおける成形品キャビティ3d側のパーティング面4dには、成形品取出時に吸盤8…により吸着可能な被吸着面部Bv,BvをバリBにより成形可能な凹部による被吸着面形成部6d,6dを形成し、圧縮成形時に、被吸着面形成部6d,6dを用いてバリBにより被吸着面部Bv,Bvを成形するようにしたため、成形品取出処理の自動化を容易に実現できるとともに、一次成形品Mf等の成形品を傷付けることなく、成形品取出処理をより的確かつ迅速に行うことができる。
また、基本的に、金型2の構成は一対の型2u,2dの組合わせで足りるとともに、一つの型2uの開閉動作で足りる金型2の動作も実現可能となるため、金型2を構成する型2u,2dの数量は最小数で済むとともに、金型2に付随する周辺構造もより簡素化できる。しかも、金型2の動作も最小の単純動作で済むため、製造設備全体のコストダウン、更にはサイズダウンを図ることができる。したがって、特に、食器Mdを含む容器に適用することにより、本願発明の作用効果を享受できる観点から最も望ましいパフォーマンスを得ることができる。
一方、本実施形態に係る製造方法によれば、少なくとも、金型2に成形材料Rfを収容し、圧縮成形により一次成形品Mfを成形する一次成形工程と、一次成形品Mfを金型2から取出した後、金型2にコーティング材料Rcを収容し、次いで、このコーティング材料Rcの上に一次成形品Mfを再収容し、次いで、この一次成形品Mfの上にコーティング材料Rcを収容し、圧縮成形によりコーティング処理を行うことにより両面コート成形品Mを得るコーティング処理工程と、を含むとともに、さらに、一次成形工程に、金型2に成形材料Rfを収容し、圧縮成形により基礎成形品Msを成形する基礎成形工程と、基礎成形品Msを金型2から取出した後、この基礎成形品Msの内面と外面の一方又は双方に柄付フォイルFi,Foを付着させた状態で当該基礎成形品Msを金型2に再収容し、圧縮成形によりフォイル付着処理を行うことにより一次成形品Mfを得るフォイル付着処理工程とを含むため、基礎成形品Msにフォイル付着処理とコーティング処理を両面に施す場合であっても、従来の方法では、5回の型開閉(圧縮成形)が必要になるのに対して、本発明方法を用いることにより、3回の型開閉(圧縮成形)で足り、製造時間の短縮による量産性向上を図れるとともに、電力消費の低減による省エネルギ性向上にも寄与することができる。
以上、好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,手法等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
例えば、例示した製造方法では、フォイル付着処理工程(ステップSm)を設けなくても実施可能である。したがって、この場合には、ステップS5〜S10、図7(d)〜(f)の工程を省くことができる。これにより、基礎成形品Msの両面に直接コーティング処理を施すことになるが、この場合であっても、従来の方法では、少なくとも、3回の型開閉(圧縮成形)が必要になるのに対して、本実施形態では2回の型開閉(圧縮成形)で足りるため、製造時間の短縮による量産性向上を図れるとともに、電力消費の低減による省エネルギ性向上に寄与できるという基本的な効果を得ることができる。また、位置決め形成部5dの数量は、一つであってもよいし、二つ以上であってもよい。さらに、被吸着面形成部6d,6dも設ける場合には、この被吸着面形成部6d,6dを位置決め形成部5dに兼用させてもよい。一方、成形材料Rf,含浸材及びコーティング材料Rco,Rciとしてメラミン樹脂を用いた場合を例示したが、その他、フェノール樹脂,ユリア樹脂等の各種熱硬化性樹脂を利用できるとともに、成形材料Rf,含浸材及びコーティング材料Rco,Rciは、必ずしも同一素材であることを要しない。一方、上型2u,下型2dは、便宜上のものであり、上型2uと下型2dを入れ替えた形態でもよいし、上型2uを固定し、下型2dを昇降させる形態であってもよい。
本発明に係る容器の製造方法は、例示した食器をはじめ、各種の容器を製造する際に利用できる。
2:金型,2u:型(上型),2d:型(下型),3d:成形品キャビティ,4d:パーティング面,5d:位置決め形成部,6d:被吸着面形成部,7d…:溝部,8…:吸盤,Rf:成形材料,Rc:コーティング材料,Mf:一次成形品,Ms:基礎成形品,Md:食器(容器),B:バリ,Bv:被吸着面部,Bc:位置決め部,Fi:柄付フォイル,Fo:柄付フォイル

Claims (6)

  1. 熱硬化性樹脂を用いた成形材料を一対の型を有する金型で圧縮成形することにより内面と外面を有する一次成形品を成形し、この一次成形品により容器を製造する容器の製造方法であって、前記金型の一方の型における成形品キャビティ側のパーティング面に、成形品取出時に吸盤により吸着可能な被吸着面部をバリにより成形可能な凹部による被吸着面形成部を形成し、圧縮成形時に、前記金型に成形材料を収容し、圧縮成形により前記一次成形品を成形するとともに、前記被吸着面形成部を用いてバリにより前記被吸着面部を成形することを特徴とする容器の製造方法。
  2. 前記金型の一方の型における成形品キャビティ側のパーティング面に、位置決め部をバリにより成形可能な凹部による位置決め形成部を形成し、圧縮成形時に、前記位置決め形成部を用いてバリにより前記位置決め部を成形することを特徴とする請求項1記載の容器の製造方法。
  3. 前記金型の一方の型における成形品キャビティ側のパーティング面に、バリを保持可能な一又は複数の溝部を形成してなることを特徴とする請求項1又は2記載の容器の製造方法。
  4. 前記一次成形品を前記金型から取出した後、前記金型に、コーティング材料を収容するとともに、前記一次成形品を再収容し、圧縮成形によりコーティング処理を行うことを特徴とする請求項1記載の容器の製造方法。
  5. 前記一次成形品は、前記金型に成形材料を収容し、圧縮成形により基礎成形品を成形するとともに、この基礎成形品を前記金型から取出した後、基礎成形品の内面と外面の一方又は双方に柄付フォイルを付着させた状態で前記基礎成形品を前記金型に再収容し、圧縮成形によりフォイル付着処理を行うことにより得ることを特徴とする請求項1又は4記載の容器の製造方法。
  6. 前記容器には、食器を含むことを特徴とする請求項1記載の容器の製造方法。
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