本実施形態における水晶振動子は、図1〜図5に示されているように、基板110と、基板110の上面に実装された水晶素子120及び感温素子160と、水晶素子120を気密封止するための封止蓋体130と、を含んでいる。このような水晶振動子は、電子機器等で使用する基準信号を出力するのに用いられる。
基板110は、矩形状であり、上面で実装された水晶素子120及び感温素子160を実装するための実装部材として機能するものである。基板110には、図3及び図4(a)に示されているように、水晶素子120を実装するための水晶素子実装領域Xと、感温素子160を実装するための感温素子実装領域Yが設けられている。水晶素子実装領域X及び感温素子実装領域Yは、矩形状であり、隣接するようにして形成されている。水晶素子実装領域X内には、基板110の一辺に沿って、水晶素子120を接合するための一対の電極パッド111が隣接するようにして設けられている。一対の電極パッド111は、第一電極パッド111a及び第二電極パッド111bとで構成されている。基板110の下面の四隅には、外部端子112が設けられている。また、四つの外部端子112の内の二つである水晶素子用外部端子112b、112dは、水晶素子120と電気的に接続されて、水晶素子120の入出力端子として用いられる。
水晶素子実装領域Xは、図3及び図4(a)に示されているように、基板110の短辺と、基板の長辺110及び架空線Lによって、囲まれている領域である。また、感温素子実装領域は、基板110の短辺と向かい合う位置にある短辺と、基板の長辺110及び架空線Lによって、囲まれている領域である。感温素子実装領域Y内の中央付近には、感温素子160を接合するための一対の接続パッド115が設けられている。接続パッド115は、第一接続パッド115aと第二接続パッド115bによって構成されている。また、四つの外部端子112の内の残りの二つである感温素子用外部端子112a、112cは、感温素子160と電気的に接続されている。
基板110は、例えばアルミナセラミックス又はガラス−セラミックス等のセラミック材料である絶縁層からなる。基板110は、絶縁層を一層用いたものであっても、絶縁層を複数層積層したものであってもよい。基板110の内層及び下面には、上面に設けられた一対の電極パッド111a、111bと下面の水晶素子用外部端子112b、112dとを電気的に接続するための水晶素子用配線パターン113がそれぞれ設けられている。
基板110の第一電極パッド111a、第二電極パッド111bは、図1〜図4に示すように、水晶素子120を実装するために用いられている。第一電極パッド111a及び第二電極パッド111bは、図3に示すように、水晶素子実装領域内で、基板110の一辺に沿って設けられている。また、電極パッド111は、基板110の内層及び下面に設けられた水晶素子用配線パターン113及びビア導体117と、基板110の角部に設けられた導電部114を介して、外部端子112と電気的に接続されている。外部端子112は、基板110の下面の四隅に、基板110の外周縁に沿って設けられている。
電極パッド111は、図4(a)に示されているように、第一電極パッド111a及び第二電極パッド111bによって構成されている。また、外部端子112は、図5に示されているように第一感温素子用外部端子112a、第一水晶素子用外部端子112b、第二感温素子用外部端子112c及び第二水晶素子用外部端子112dによって構成されている。水晶素子用配線パターン113は、図4(b)に示されているように、第一水晶素子用配線パターン113a、第二水晶素子用配線パターン113bによって構成され、感温素子用配線パターン116は、図4(a)に示されているように、第一感温素子用配線パターン116a及び第二感温素子用配線パターン116bによって構成されている。導電部114は、図4及び図5に示されているように、第一導電部114a、第二導電部114b、第三導電部114c及び第四導電部114dによって構成されている。接続パッド115は、図4(a)に示されているように、第一接続パッド115aと第二接続パッド115bによって構成されている。ビア導体117は、図4に示されているように、第一ビア導体117a及び第二ビア導体117bによって構成されている。
第一電極パッド111aは、図4に示されているように、基板110に設けられている第一ビア導体117aを介して、基板110の内層に設けられている第一水晶素子用配線パターン113aの一端と接続されている。基板110の内層に設けられた第一水晶素子用配線パターン113aの他端は、第二導電部114bを介して、基板110の下面に設けられた第一水晶素子用配線パターン113aの一端と接続されている。基板110の下面に設けられた第一水晶素子用配線パターン113aの他端は、図5に示されているように、第一水晶素子用外部端子112bと電気的に接続されている。よって、第一電極パッド111aは、第一水晶素子用外部端子112bと電気的に接続されている。また、第二電極パッド111bは、図4に示されているように、基板110に設けられている第二ビア導体117bを介して、基板110の内層に設けられている第二水晶素子用配線パターン113bの一端と接続されている。基板110の内層に設けられた第二水晶素子用配線パターン113bの他端は、第四導電部114dを介して、基板110の下面に設けられた第二水晶素子用配線パターン113bの一端と接続されている。基板110の下面に設けられた第二水晶素子用配線パターン113bの他端は、図5に示されているように、第二水晶素子用外部端子112dと電気的に接続されている。よって、第二電極パッド111bは、第二水晶素子用外部端子112dと電気的に接続されている。
外部端子112は、外部の電子機器等を構成する実装基板上に実装するために用いられている。外部端子112は、基板110の下面の四隅に設けられている。外部端子112の内の二つの端子は、基板110の上面に設けられた一対の電極パッド111とそれぞれ電気的に接続されている。また、電極パッド111と電気的に接続されている外部端子112は、基板110の下面の対角に位置するように設けられている。また、第三外部端子112cが、電子機器等の実装基板上の基準電位であるグランド電位と接続されている実装パッドと接続されている。
水晶素子用配線パターン113は、基板110の内層及び下面に一対で設けられ、ビア導体117及び外部端子112から基板110の角部に向けて引き出されている。また、水晶素子用配線パターン113の内の一つである第二水晶素子用配線パターン113bは、平面視して、感温素子用配線パターン116の内の一つである第二感温素子用配線パターン116bと重なる位置に設けられている。このようにすることにより、水晶素子120から伝わる熱が、電極パッド111から第二水晶素子用配線パターン113bに伝わり、基板110を介して、第二感温素子用配線パターン116bに伝わることになる。よって、水晶振動子は、熱伝導経路を短くすることができるので、水晶素子120の温度と感温素子160の温度とが近似することになり、感温素子160から出力された電圧を換算することで得られた温度と、実際の水晶素子120の周囲の温度との差異を低減することが可能となる。
導電部114は、図4に示すように、基板110の角部に設けられた切れ込みの内部に設けられている。導電部114の両端は、配線パターン113と接続されている。このようにすることで、電極パッド111は、配線パターン113及び導電部114を介して外部端子112と電気的に接続されている。また、導電部114は、切り込み内に導体ペーストを印刷するようにして設けられているため、基板110の上面の外周縁と導電部114との境界線箇所の導電部114の厚みが薄くなっている。このような導電部114は、銀パラジウム合金により形成されており、ガラス成分も含有されている。
接続パッド115は、感温素子160を実装するためのものである。また、接続パッド115は、図4に示すように、第一接続パッド115a及び第二接続パッド115bによって構成されている。また、接続パッド115は、基板110の上面及び下面に設けられた感温素子用配線パターン116と、基板110の角部に設けられた導電部114を介して、外部端子112と電気的に接続されている。
第一接続パッド115aは、図4に示されているように、基板110の上面に設けられている第一感温素子用配線パターン116aの一方と接続されている。基板110の上面に設けられた第一感温素子用配線パターン116aの他端は、第一導電部114aを介して、基板110の下面に設けられた第一感温素子用配線パターン116aの一端と接続されている。基板110の下面に設けられた第一感温素子用配線パターン116aの他端は、図5に示されているように、第一感温素子用外部端子112aと電気的に接続されている。よって、第一接続パッド115aは、第一感温素子用外部端子112aと電気的に接続されている。また、第二接続パッド115bは、図4に示されているように、基板110の上面に設けられている第二感温素子用配線パターン116bの一端と接続されている。基板110の上面に設けられた第二感温素子用配線パターン116bの他端は、第三導電部114cを介して、基板110の下面に設けられた第二感温素子用配線パターン116bの一端と接続されている。基板110の下面に設けられた第二感温素子用配線パターン116bの他端は、図5に示されているように、第二感温素子用外部端子112cと電気的に接続されている。よって、第二接続パッド115bは、第二感温素子用外部端子112cと電気的に接続されている。
感温素子用配線パターン116は、基板110の上面及び下面に一対で設けられ、接続パッド115及び外部端子112から基板110の角部に向けて引き出されている。また、感温素子用配線パターン116の内の一つである第二感温素子用配線パターン116bは、平面視して、水晶素子用配線パターン113の内の一つである第二水晶素子用配線パターン113bと重なる位置に設けられている。また、第一感温素子用配線パターン116aは、水晶素子実装領域X内で、基板110の長辺に沿って設けられている。水晶素子が実装されている収容空間K内に第一感温素子用配線パターン116aが設けられていることによって、収容空間K内の熱が、直接第一感温素子用配線パターン116aに伝わることになる。よって、水晶振動子は、熱伝導経路を短くすることができるので、水晶素子120の温度と感温素子160の温度とがさらに近似することになり、感温素子160から出力された電圧を換算することで得られた温度と、実際の水晶素子120の周囲の温度との差異をさらに低減することが可能となる。また、第一感温素子用配線パターン116aが、水晶素子120の自由端側に設けられており、第一感温素子用配線パターン116aの上下方向の厚みが、接合部材150の上下方向の厚みよりも大きくなるように設けられている。このようにすることによって、接合部材150が、平面視して第一感温素子用配線パターン116aの外周縁に沿って設けられた際に、接合部材150が第一感温素子用配線パターン116aの段差により基板110の外周縁に留められるため、水晶素子120の自由端側から水晶素子実装領域Xの中心方向に向かって入り込むことを低減することができる。このように、水晶素子実装領域Xに向かって入り込むことを低減することで、水晶素子120に接合部材150が付着することを少しでも抑えることが可能となる。
ここで、基板110の作製方法について説明する。基板110がアルミナセラミックスから成る場合、まず所定のセラミック材料粉末に適当な有機溶剤等を添加・混合して得た複数のセラミックグリーンシートを準備する。また、セラミックグリーンシートの表面或いはセラミックグリーンシートに打ち抜き等を施して予め穿設しておいた貫通孔内に、従来周知のスクリーン印刷等によって所定の導体ペーストを塗布する。さらに、これらのグリーンシートを積層してプレス成形したものを、高温で焼成する。最後に、導体パターンの所定部位、具体的には、電極パッド111、外部端子112、水晶素子用配線パターン113、導電部114、接続パッド115、感温素子用配線パターン116及びビア導体117となる部位にニッケルメッキ又、金メッキ、銀パラジウム等を施すことにより作製される。また、導体ペーストは、例えばタングステン、モリブデン、銅、銀又は銀パラジウム等の金属粉末の焼結体等から構成されている。
水晶素子120は、図1〜図3に示されているように、導電性接着剤140を介して電極パッド111上に接合されている。水晶素子120は、安定した機械振動と圧電効果により、電子装置等の基準信号を発振する役割を果たしている。
また、水晶素子120は、図1〜図3に示されているように、水晶素板121の上面及び下面のそれぞれに励振用電極122及び引き出し電極123を被着させた構造を有している。励振用電極122は、水晶素板121の上面及び下面のそれぞれに金属を所定のパターンで被着・形成したものである。励振用電極122は、上面に第一励振用電極122aと、下面に第二励振用電極122bを備えている。引き出し電極123は、励振用電極122から水晶素板121の一辺に向かってそれぞれ延出されている。引き出し電極123は、上面に第一引き出し電極123aと、下面に第二引き出し電極123bとを備えている。第一引き出し電極123aは、第一励振用電極122aから引き出されており、水晶素板121の一辺に向かって延出するように設けられている。第二引き出し電極123bは、第二励振用電極122bから引き出されており、水晶素板121の一辺に向かって延出するように設けられている。つまり、引き出し電極123は、水晶素板121の長辺又は短辺に沿った形状で設けられている。また、本実施形態においては、第一電極パッド111a及び第二電極パッド111bと接続されている水晶素子120の一端を基板110の上面と接続した固定端とし、他端を基板110の上面と間を空けた自由端とした片持ち支持構造にて水晶素子120が基板110上に固定されている。
ここで、水晶素子120の動作について説明する。水晶素子120は、外部からの交番電圧が引き出し電極123から励振用電極122を介して水晶素板121に印加されると、水晶素板121が所定の振動モード及び周波数で励振を起こすようになっている。
ここで、水晶素子120の作製方法について説明する。まず、水晶素子120は、人工水晶体から所定のカットアングルで切断し、水晶素板121の外周の厚みを薄くし、水晶素板121の外周部と比べて水晶素板121の中央部が厚くなるように設けるベベル加工を行う。そして、水晶素子120は、水晶素板121の両主面にフォトリソグラフィー技術、蒸着技術又はスパッタリング技術によって、金属膜を被着させることにより、励振用電極122、引き出し電極123を形成することにより作製される。
水晶素子120の基板110への接合方法について説明する。まず、導電性接着剤140は、例えばディスペンサによって第一電極パッド111a及び第二電極パッド111b上に塗布される。水晶素子120は、導電性接着剤140上に搬送され、導電性接着剤140上に載置される。そして導電性接着剤140は、加熱硬化させることによって、硬化収縮される。水晶素子120は、電極パッド111に接合される。つまり、水晶素子120の第一引き出し電極123aは、第二電極パッド111bと接合され、第二引き出し電極123bは、第一電極パッド111aと接合される。これによって、第一水晶素子用外部端子112bと第二水晶素子用外部端子112dが水晶素子120と電気的に接続されることになる。
導電性接着剤140は、シリコーン樹脂等のバインダーの中に導電フィラーとして導電性粉末が含有されているものであり、導電性粉末としては、アルミニウム、モリブデン、タングステン、白金、パラジウム、銀、チタン、ニッケル又はニッケル鉄のうちのいずれか、或いはこれらの組み合わせを含むものが用いられている。また、バインダーとしては、例えばシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂又はビスマレイミド樹脂が用いられる。
感温素子160は、サーミスタ素子、白金測温抵抗体又はダイオード等が用いられている。サーミスタ素子の場合、感温素子160には、直方体形状であり、両端に接続端子161が設けられている。感温素子160は、温度変化によって電気抵抗が顕著な変化を示すものであり、この抵抗値の変化から電圧が変化するため、抵抗値と電圧との関係及び電圧と温度との関係により、出力された電圧から温度情報を得ることができる。感温素子160は、第一感温素子用外部端子112a及び第二感温素子用外部端子112c間の電圧が、第一感温素子用外部端子112a及び第二感温素子用外部端子112cを介して水晶振動子の外へ出力されることにより、例えば、電子機器等のメインIC(図示せず)で出力された電圧を温度に換算することで温度情報を得ることができる。このような感温素子160を水晶振動子の近くに配置して、これによって得られた水晶振動子の温度情報に応じて、メインICにより水晶振動子を駆動する電圧を制御し、いわゆる温度補償をすることができる。
また、白金測温抵抗体が用いられている場合、感温素子160は、直方体形状のセラミック板上の中央に白金を蒸着し、白金電極が設けられている。また、セラミック板の両端には接続端子161が設けられている。白金電極と接続端子とは、セラミック板上面に設けられた引き出し電極により接続されている。白金電極の上面を被覆するようにして絶縁性樹脂が設けられている。
また、ダイオードが用いられている場合、感温素子160は、半導体素子を半導体素子用基板の上面に実装し、その半導体素子及び半導体素子用基板の上面を絶縁性樹脂で被覆された構造である。半導体素子用基板の下面から側面には、アノード端子及びカソード端子となる接続端子161が設けられている。感温素子160は、アノード端子からカソード端子へは電流を流すが、カソード端子からアノード端子へはほとんど電流を流さない順方向特性を有している。感温素子の順方向特性は、温度によって大きく変化する。感温素子に一定電流を流しておいて順方向電圧を測定することによって、電圧情報を得ることができる。その電圧情報から換算することで水晶素子120の温度情報を得ることができる。ダイオードは、電圧と温度との関係が直線を示している。第一感温素子用外部端子112a及び第二感温素子用外部端子112c間の電圧が、第一感温素子用外部端子112a及び第二感温素子用外部端子112cを介して水晶振動子の外へ出力される。また、ダイオードのカソード端子は、基準電位であるグランドとなる第二感温素子用外部端子112cに接続されることになる。
感温素子160は、図2及び図3に示すように、基板110の上面に設けられた接続パッド115に半田等の導電性接合材180を介して実装されている。また、感温素子160の第一接続端子161aは、第一接続パッド115aに接続され、第二接続端子161bは、第二接続パッド115bに接続されている。第二接続パッド115bは、基板110の上面及び下面に設けられた第二感温素子用配線パターン116bを介して第二感温素子用外部端子112cと電気的に接続されている。この第二感温素子用外部端子112cは、電子機器等の実装基板上の基準電位であるグランドと接続されている実装パッドと接続されることにより、グランド端子の役割を果たす。よって、感温素子160の第二接続端子161bは、基準電位であるグランドに接続されることになる。
感温素子160の基板110への接合方法について説明する。まず、導電性接合材180は、例えばディスペンサによって接続パッド115に塗布される。感温素子160は、導電性接合材180上に載置される。そして導電性接合材180は、加熱させることによって溶融接合される。よって、感温素子160は、一対の接続パッド115に接合される。
また、感温素子160がサーミスタ素子の場合には、図1及び図3に示すように、直方体形状の両端にそれぞれ一つずつ接続端子161が設けられている。一方の接続端子161aは、感温素子160の左側面及び上下面に設けられている。他方の接続端子161bは、感温素子160の右側面と上下面に設けられている。感温素子160の長辺の長さは、0.4〜0.6mmであり、短辺の長さは、0.2〜0.3mmとなっている。感温素子160の厚み方向の長さは、0.1〜0.3mmとなっている。
導電性接合材180は、例えば、銀ペースト又は鉛フリー半田により構成されている。また、導電性接合材180には、塗布し易い粘度に調整するための添加した溶剤が含有されている。鉛フリー半田の成分比率は、錫が95〜98%、銀が2〜4%、銅が0〜1.0%のものが使用されている。
封止蓋体130は、矩形状の封止基部130aと、封止基部130aの下面の外周縁に沿って設けられている封止枠部130bとで構成されており、封止基部130aの下面と封止枠部130bの内側側面とで収容空間Kが形成されている。封止枠部130bは、封止基部130aの下面に収容空間Kを形成するためのものである。封止枠部130bは、封止基部130aの下面の外縁に沿って設けられている。
封止基部130a及び封止枠部130bは、例えば、鉄、ニッケル又はコバルトの少なくともいずれかを含む合金からなり、一体的に形成されている。このような封止蓋体130は、真空状態にある収容空間K又は窒素ガスなどが充填された収容空間Kを気密的に封止するためのものである。具体的には、封止蓋体130は、所定雰囲気で、基板110の上面に載置され、基板110の上面と封止枠部130bの下面との間に設けられた接合部材150とが熱が印加されることで、溶融接合される。
接合部材150は、封止蓋体130の下面と基板110の上面の外周縁とを接合するために用いられている。接合部材150は、図2に示すように、封止枠部130bの下面から基板110上の外周縁上にかけて設けられている。また、接合部材150は、平面視して、基板110の水晶素子実装領域X上に設けられた第一感温素子用配線パターン116aの外周縁に沿って設けられている。このようにすることによって、接合部材150が、第二感温素子用配線パターン116bの段差により基板110の外周縁に留められるため、水晶素子120の自由端側から水晶素子実装領域Xの中心方向に向かって入り込むことを低減することができる。このように、水晶素子実装領域Xに向かって入り込むことを低減することで、水晶素子120に接合部材150が付着することを少しでも抑えることが可能となる。
接合部材150は、300℃〜400℃で溶融するガラスである例えばバナジウムを含有した低融点ガラス又は酸化鉛系ガラスから構成されている。ガラスは、バインダーと溶剤とが加えられペースト状であり、溶融された後固化されることで他の部材と接着する。接合部材150は、例えば、ガラスフリットペーストをスクリーン印刷法で封止枠部130bの下面に沿って環状に塗布され乾燥することで設けられる。また、この酸化鉛系ガラスの組成は、酸化鉛、フッ化鉛、二酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ビスマス、酸化ホウ素、酸化亜鉛、酸化第二鉄、酸化銅及び酸化カルシウムとから構成されている。
本実施形態における水晶振動子は、水晶素子実装領域X及び感温素子実装領域Yを上面に有する矩形状の基板110と、水晶素子実装領域Xに設けられた一対の電極パッド111と、感温素子実装領域Yに設けられた一対の接続パッド112と、電極パッド111に実装された水晶素子120と、接続パッド115に実装された感温素子160と、水晶素子実装領域Xの外周縁に沿って設けられた接合部材150と、水晶素子120を気密封止するために、接合部材150を介して基板110の上面に接合された封止蓋体130と、を備えている。このようにすることによって、感温素子160を接合する前に、水晶素子120のみが封止蓋体130で気密封止されることになり、感温素子160を接続パッド115に接合する際に、感温素子160を接合している導電性接合材180からガスが発生しても、水晶素子120にガスが付着することがないため、水晶素子120の厚みすべり振動を阻害することなく、安定して発振周波数を出力することができる。
また、本実施形態における水晶振動子は、感温素子160を接合する前に、水晶素子120のみが封止蓋体130で気密封止されることになるので、水晶素子120の温度特性を確認することができる。よって、水晶素子120の温度特性を確認後に、感温素子160を実装することができるので、感温素子160を無駄に実装することがないので、水晶振動子の生産性が向上させることができる。
また、本実施形態における水晶振動子は、基板110の上面に設けられ、接続パッド115と電気的に接続された一対の感温素子用配線パターン116と、基板110に設けられ、一対の電極パッド111と電気的に接続された一対の水晶素子用配線パターン113と、を備え、一対の感温素子用配線パターン116の内の一つである第二感温素子用配線パターン116bが、平面視して、一対の水晶素子用配線パターン113の内の一つである第二水晶素子用配線パターン113bと重なる位置に設けられている。このようにすることにより、水晶素子120から伝わる熱が、電極パッド111から第二水晶素子用配線パターン113bに伝わり、基板110を介して、第二感温素子用配線パターン116bに伝わることになる。よって、水晶振動子は、熱伝導経路を短くすることができるので、水晶素子120の温度と感温素子160の温度とが近似することになり、感温素子160から出力された電圧を換算することで得られた温度と、実際の水晶素子120の周囲の温度との差異を低減することが可能となる。
(第一変形例)
以下、本実施形態の第一変形例における水晶振動子について説明する。なお、本実施形態の第一変形例における水晶振動子のうち、上述した水晶振動子と同様な部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。本実施形態の第一変形例における水晶振動子は、図6に示されているように、水晶素子120の自由端と対向する位置に第一感温素子用配線パターン116aの一部が配置されているように実装されている点において本実施形態と異なる。
また、水晶素子120は、図6に示されているように、一対の感温素子用配線パターン116の内の一つである第一感温素子用配線パターン116aが、平面視して重なる位置に設けられている。さらに詳しくは、水晶素子120の自由端と対向する位置に第一感温素子用配線パターン116aの一部が配置されているように、水晶素子120が電極パッド111に実装されている。このようにすることによって、水晶素子220の引き出し電極123と、電極パッド111とが接合している箇所を軸として傾いても、水晶素子120の自由端が第一感温素子用配線パターン116a上に接触するので、基板110の上面に水晶素子120の自由端が接触することを抑制することできる。仮に、水晶素子120の自由端が基板110に接触した状態で、落下試験を行うと、水晶素子120の自由端が欠けてしまう虞がある。このようにすることで、水晶素子120の自由端側が欠けてしまうことを抑えつつ、水晶素子220の発振周波数が変動することを低減することができる。また、水晶素子120から伝わる熱が、直接第一感温素子用配線パターン116aに伝わることになる。よって、水晶振動子は、熱伝導経路をさらに短くすることができるので、水晶素子120の温度と感温素子160の温度とがさらに近似することになり、感温素子160から出力された電圧を換算することで得られた温度と、実際の水晶素子120の周囲の温度との差異をさらに低減することが可能となる。
本実施形態の第一変形例における水晶振動子は、一対の感温素子用配線パターン116の内の一つである第一感温素子用配線パターン116aが、平面視して重なる位置に設けられている。このようにすることによって、水晶素子120の引き出し電極123と、電極パッド111とが接合している箇所を軸として傾いても、水晶素子120の自由端が第一感温素子用配線パターン116a上に接触するので、基板110の上面に水晶素子120の自由端が接触することを抑制することできる。仮に、水晶素子120の自由端が基板110に接触した状態で、落下試験を行うと、水晶素子120の自由端が欠けてしまう虞がある。このようにすることで、水晶素子120の自由端側が欠けてしまうことを抑えつつ、水晶素子220の発振周波数が変動することを低減することができる。また、水晶素子120から伝わる熱が、直接第一感温素子用配線パターン116aに伝わることになる。よって、水晶振動子は、熱伝導経路をさらに短くすることができるので、水晶素子120の温度と感温素子160の温度とがさらに近似することになり、感温素子160から出力された電圧を換算することで得られた温度と、実際の水晶素子120の周囲の温度との差異をさらに低減することが可能となる。
(第二変形例)
以下、本実施形態の第二変形例における水晶振動子について説明する。なお、本実施形態の第二変形例における水晶振動子のうち、上述した水晶振動子と同様な部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。本実施形態の第二変形例における水晶振動子は、図7に示されているように、一対の感温素子用配線パターン116を被覆するように設けられた保護部材170を備えている点において本実施形態と異なる。
保護部材170は、金属製の封止蓋体を用いた際に、感温素子配線パターン116が金属製の封止蓋体130と接触して短絡することを低減するために用いられている。また、保護部材170は、図7に示すように、基板110の上面に設けられた感温素子用配線パターン116を被覆するようにして設けられている。保護部材170は、接合部材150よりも融点が高い500〜800℃のものを用いている。また、
保護部材170は、例えば、ガラスフリットペーストをスクリーン印刷法で基板110に設けられた感温素子用配線パターン116の上面に塗布され乾燥することで設けられる。また、保護部材170の上下方向の厚みは、0.01〜0.03mmとなっている。
また、保護部材170は、図7に示されているように、基板110の角部に位置する感温素子用配線パターン116及び水晶素子実装領域X上に設けられた感温素子用配線パターン116に設けられている。このようにすることによって、金属製の封止蓋体130が感温素子用配線パターン116に接触することを抑えることが可能となる。また、保護部材170が、基板110の角に、平面視して円弧状になるように設けられており、導電部114が設けられている切欠き内には、保護部材170が設けられていない。このようにすることにより、基板110が電子機器等を構成する実装基板上に実装される際に、外部端子112に付着した半田が、導電部114に這い上がるようにして形成されるため、半田フィレットが形成される。また、半田が、保護部材170で覆われている基板110の感温素子用配線パターン116上には、這い上がらないため、感温素子用配線パターン116と金属製の封止蓋体130との接触を低減することができる。
本実施形態の第二変形例における水晶振動子は、感温素子用配線パターン116を覆うように保護部材170が設けられている。このように感温素子用配線パターン116の上面を保護部材170で覆うことで、金属製の封止蓋体130と基板110の上面に設けられている感温素子用配線パターン116との接触することを低減することができる。感温素子用配線パターン116に金属製の封止蓋体130が接触することが低減することができるので、感温素子160に封止蓋材130の負荷抵抗が接続されることがなくなる。よって、第一感温素子用外部端子112a及び第二感温素子用外部端子112cから出力される電圧値が変動することを抑えつつ、実際の水晶素子120の周囲の温度との差異を低減することが可能となる。
(第三変形例)
以下、本実施形態の第三変形例における水晶振動子について説明する。なお、本実施形態の第三変形例における水晶振動子のうち、上述した水晶振動子と同様な部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。本実施形態の第三変形例における水晶振動子は、図8〜図10に示されているように、基板210が単層で形成されており、基板210の上面に、水晶素子用配線パターン213及び感温素子用配線パターン216が設けられている点において本実施形態と異なる。
基板210の上面及び下面には、図8及び図9に示されているように、上面に設けられた一対の電極パッド211a、211bと下面の水晶素子用外部端子212b、212dとを電気的に接続するための水晶素子用配線パターン213がそれぞれ設けられている。また、基板210の上面及び下面には、上面に設けられた一対の接続パッド215a、215bと下面の感温素子用外部端子212a、212cとを電気的に接続するための感温素子用配線パターン216がそれぞれ設けられている。
第一電極パッド211a及び第二電極パッド211bは、図9(a)に示すように、水晶素子実装領域X内で、基板210の長辺である一辺に沿って設けられている。また、電極パッド211は、基板210の上面及び下面に設けられた水晶素子用配線パターン213と、基板210の角部に設けられた導電部214を介して、外部端子212と電気的に接続されている。
電極パッド211は、図10(a)に示されているように、第一電極パッド211a及び第二電極パッド211bによって構成されている。また、外部端子212は、図10(b)に示されているように第一感温素子用外部端子212a、第一水晶素子用外部端子212b、第二感温素子用外部端子212c及び第二水晶素子用外部端子212dによって構成されている。水晶素子用配線パターン213は、図10(a)に示されているように、第一水晶素子用配線パターン213a、第二水晶素子用配線パターン213bによって構成され、感温素子用配線パターン216は、図10(a)に示されているように、第一感温素子用配線パターン216a及び第二感温素子用配線パターン216bによって構成されている。導電部214は、図10に示されているように、第一導電部214a、第二導電部214b、第三導電部214c及び第四導電部214dによって構成されている。接続パッド215は、図10(a)に示されているように、第一接続パッド215aと第二接続パッド215bによって構成されている。
第一電極パッド211aは、図8〜図10に示されているように、基板210の上面に設けられている第一水晶素子用配線パターン213aの一端と接続されている。基板110の上面に設けられた第一水晶素子用配線パターン213aの他端は、第二導電部214bを介して、基板210の下面に設けられた第一水晶素子用配線パターン213aの一方と接続されている。基板210の下面に設けられた第一水晶素子用配線パターン213aの他端は、図10(b)に示されているように、第一水晶素子用外部端子212bと電気的に接続されている。よって、第一電極パッド211aは、第一水晶素子用外部端子212bと電気的に接続されている。また、第二電極パッド211bは、図8〜図10に示されているように、基板210の上面に設けられている第二水晶素子用配線パターン213bの一端と接続されている。基板210の上面に設けられた第二水晶素子用配線パターン213bの他端は、第四導電部214dを介して、基板210の下面に設けられた第二水晶素子用配線パターン213bの一端と接続されている。基板210の下面に設けられた第二水晶素子用配線パターン213bの他端は、図10(b)に示されているように、第二水晶素子用外部端子212dと電気的に接続されている。よって、第二電極パッド211bは、第二水晶素子用外部端子212dと電気的に接続されている。
水晶素子用配線パターン213は、図10に示されているように、基板210の上面及び下面に一対で設けられ、電極パッド211及び外部端子212から基板210の角部に向けて引き出されている。第二水晶素子用配線パターン213bは、第二感温素子用配線パターン216bの上面に設けられた保護部材270の上面を跨るようして設けられている。つまり、水晶素子用配線パターン213の内の一つである第二水晶素子用配線パターン213bは、平面視して、感温素子用配線パターン216の内の一つである第二感温素子用配線パターン216bと重なる位置に設けられている。このようにすることにより、水晶素子120から伝わる熱が、第二電極パッド211bから第二水晶素子用配線パターン213bに伝わり、保護部材270を介して、第二感温素子用配線パターン216bに伝わることになる。よって、水晶振動子は、熱伝導経路をさらに短くすることができるので、水晶素子120の温度と感温素子160の温度とがさらに近似することになり、感温素子160から出力された電圧を換算することで得られた温度と、実際の水晶素子120の周囲の温度との差異をさらに低減することが可能となる。
第一接続パッド215aは、図8〜図10に示されているように、基板210の上面に設けられている第一感温素子用配線パターン216aの一端と接続されている。基板210の上面に設けられた第一感温素子用配線パターン216aの他端は、第一導電部214aを介して、基板210の下面に設けられた第一感温素子用配線パターン216aの一端と接続されている。基板210の下面に設けられた第一感温素子用配線パターン216aの他端は、図10(b)に示されているように、第一感温素子用外部端子212aと電気的に接続されている。よって、第一接続パッド215aは、第一感温素子用外部端子212aと電気的に接続されている。また、第二接続パッド215bは、図8〜図10に示されているように、基板220の上面に設けられている第二感温素子用配線パターン216bの一端と接続されている。基板210の上面に設けられた第二水晶素子用配線パターン216bの他端は、第三導電部214cを介して、基板210の下面に設けられた第二感温素子用配線パターン216bの一端と接続されている。基板210の下面に設けられた第二感温素子用配線パターン216bの他端は、図10(b)に示されているように、第二感温素子用外部端子212cと電気的に接続されている。よって、第二接続パッド215bは、第二感温素子用外部端子212cと電気的に接続されている。
感温素子用配線パターン216は、図10に示されているように、基板210の上面及び下面に一対で設けられ、接続パッド215及び外部端子212から基板210の角部に向けて引き出されている。また、第二感温素子用配線パターン216bは、平面視して、第二水晶素子用配線パターン213bと重なる位置に設けられている。また、第一感温素子用配線パターン216aは、水晶素子実装領域X内で、基板210の長辺に沿って設けられている。また、第一感温素子用配線パターン216aが、水晶素子120の自由端側に位置するように基板210上に設けられており、第一感温素子用配線パターン216aの上下方向の厚みが、接合部材150の上下方向の厚みよりも大きくなるように設けられている。このようにすることによって、接合部材150が平面視して第一感温素子用配線パターン216bの外周縁に沿って設けられた際に、接合部材150が第一感温素子用配線パターン216aの段差により基板210の外周縁に留められるため、水晶素子120の自由端側から水晶素子実装領域Xの中心方向に向かって入り込むことを低減することができる。このように、水晶素子実装領域Xに向かって入り込むことを低減することで、水晶素子120に接合部材150が付着することを少しでも抑えることが可能となる
また、保護部材270は、基板210の上面に設けられた第二感温素子用配線パターン216に設けられている。このようにすることによって、第二水晶素子用配線パターン213bが第二感温素子用配線パターン216bに接触することを抑えることが可能となる。このようにすることで、水晶振動子は、安定して水晶素子の発振周波数を出力することができる。保護部材270は、接合部材150よりも融点が高い500〜800℃のものを用いている。また、保護部材270は、例えば、ガラスフリットペーストをスクリーン印刷法で基板210に設けられた感温素子用配線パターン213の上面に塗布され乾燥することで設けられる。また、保護部材270の上下方向の厚みは、0.01〜0.03mmとなっている。
本実施形態の第三変形例における水晶振動子は、第二水晶素子用配線パターン213bが、第二感温素子用配線パターン216bの上面に設けられた保護部材270の上面を跨るようして設けられている。このようにすることにより、水晶素子120から伝わる熱が、第二電極パッド211bから第二水晶素子用配線パターン213bに伝わり、保護部材270を介して、第二感温素子用配線パターン216bに伝わることになる。よって、水晶振動子は、熱伝導経路をさらに短くすることができるので、水晶素子120の温度と感温素子160の温度とがさらに近似することになり、感温素子160から出力された電圧を換算することで得られた温度と、実際の水晶素子120の周囲の温度との差異をさらに低減することが可能となる。
(第四変形例)
以下、本実施形態の第四変形例における水晶振動子について説明する。なお、本実施形態の第四変形例における水晶振動子のうち、上述した水晶振動子と同様な部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。本実施形態の第四変形例における水晶振動子は、図11に示されているように、一対の感温素子用配線パターン216及び一対の水晶素子用配線パターン213を被覆するように設けられた保護部材370を備えている点において本実施形態の第三変形例と異なる。
保護部材370は、図11に示すように、基板210の上面に設けられた第二感温素子用配線パターン216に設けられている。このようにすることによって、第二水晶素子用配線パターン213bが第二感温素子用配線パターン216bに接触することを抑えることが可能となる。保護部材370は、接合部材150よりも融点が高い500〜800℃のものを用いている。また、保護部材370は、例えば、ガラスフリットペーストをスクリーン印刷法で基板110の上面に設けられた水晶素子用配線パターン213及び感温素子用配線パターン216の上面に塗布され乾燥することで設けられる。また、保護部材370の上下方向の厚みは、0.01〜0.03mmとなっている。
また、保護部材370は、基板210の角部に位置する水晶素子用配線パターン213及び感温素子用配線パターン216に設けられている。また、保護部材370は、水晶素子実装領域X上に設けられた感温素子用配線パターン216の上面にも設けられている。このようにすることによって、金属製の封止蓋体130が水晶素子用配線パターン213及び感温素子用配線パターン216に接触することを抑えることが可能となる。また、保護部材370が、基板110の角に、平面視して円弧状になるように設けられており、導電部114が設けられている切欠き内には、保護部材370が設けられていない。このようにすることにより、基板110が電子機器等を構成する実装基板上に実装される際に、外部端子112に付着した半田が、導電部214に這い上がるようにして形成されるため、半田フィレットが形成される。また、半田が、保護部材370で覆われている基板210の水晶素子用配線パターン213及び感温素子用配線パターン216上には、這い上がらないため、水晶素子用配線パターン213及び感温素子用配線パターン216と、金属製の封止蓋体130との接触を低減することができる。
本実施形態の第四変形例における水晶振動子は、一対の感温素子用配線パターン216及び一対の水晶素子用配線パターン213を被覆するように設けられた保護部材370を備えている。このように水晶素子用配線パターン及び感温素子用配線パターン216の上面を保護部材370で覆うことで、金属製の封止蓋体130と基板210の上面に設けられている水晶素子用配線パターン213及び感温素子用配線パターン216との接触することを低減することができる。水晶素子用配線パターン213に金属製の封止蓋体130が接触することが低減することができるので、水晶素子160に浮遊容量が負荷されることを抑えつつ、水晶素子120の発振周波数が変動することを低減することができる。また、感温素子用配線パターン216に金属製の封止蓋体130が接触することが低減することができるので、感温素子160に封止蓋体130の負荷抵抗が接続されることがなくなる。よって、第一感温素子用外部端子212a及び第二感温素子用外部端子212cから出力される電圧値が変動することを抑えつつ、実際の水晶素子120の周囲の温度との差異を低減することが可能となる。
尚、本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。上記の実施形態では、水晶素子は、AT用水晶素子を用いた場合を説明したが、基部と、基部の側面より同一の方向に延びる二本の平板形状の振動腕部とを有する音叉型屈曲水晶素子を用いても構わない。
また、水晶素子120のベベル加工方法について説明する。所定の粒度のメディアと砥粒とを備えた研磨材と、所定の大きさに形成された水晶素板121とを用意する。円筒体に用意した研磨材と水晶素板121とを入れ、円筒体の開口した端部をカバーで塞ぐ。研磨材と水晶素板121とを入れた円筒体を、円筒体の中心軸線を回転軸として回転させる水晶素板121が研磨材で研磨されてベベル加工が行われる。
上記の実施形態では、接合部材150が封止蓋体130の封止枠部130bの下面に設けられた場合を説明したが、接合部材150が基板110上面の外周縁に環状に設けられるようにしても構わない。このような接合部材150は、例えば、ガラスフリットペーストがスクリーン印刷法で基板110の水晶素子実装領域Xの外周縁に沿って塗布され乾燥することで設けられる。