JP2015076452A - コンデンサ素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】マザーブロックの分断に押し切りを採用した場合にも、高い加工精度での切断が実現でき、これにより生産性を低下させることなく歩留まりの向上が図られるコンデンサ素子の製造方法を提供する。【解決手段】本発明に基づくコンデンサ素子の製造方法は、積層シート体を圧着することでマザーブロック30を製作する工程と、圧着によってマザーブロック30の主表面32に生じた溝部32aを埋め込みつつ当該主表面32に固着してこれを覆うとともに、露出表面51が平坦に成形された樹脂材料を主成分とする固着層50を形成する工程と、マザーブロック30を固着層50を介してテーブル80上に載置して固定する工程と、溝部32aが位置する部分に対応した位置においてマザーブロック30に対して押切刃90を固着層50に達するように進入させることにより、マザーブロック30を切断する工程とを備える。【選択図】図8
Description
本発明は、コンデンサ素子の製造方法に関し、より特定的には、所定の方向に沿って交互に積層された誘電体層および内部電極層からなる素体部を含むコンデンサ素子を製造するためのコンデンサ素子の製造方法に関する。
近年、電子機器のコンパクト化の要請に伴い、コンデンサ素子の小型化が進んでいる。たとえば、コンデンサ素子の一種である積層セラミックコンデンサにおいては、その小型化が飛躍的に進んでおり、高さ方向、幅方向および奥行き方向における外形寸法のいずれもが0.6[mm]を下回る積層セラミックコンデンサが実用化されるに至っている。
このようなコンデンサ素子を製造する手法として、製造過程の途中段階まで一括して加工処理を行なうことでコンデンサ素子の中核となる部品材料(マザーブロック)を一つの塊りとして製作し、その後にこれを分断して個片化し、個片化後の複数の部品材料(積層体チップ)のそれぞれにさらに加工処理を施すことによって完成品を得る手法がある。
たとえば、上述した積層セラミックコンデンサは、まず、誘電体層となるセラミックグリーンシートおよび内部電極層となる導電パターンが交互に積層された積層体からなるマザーブロックを製作し、次に、このマザーブロックを分断することによってマザーブロックを複数の積層体チップに個片化し、その後、個片化後の複数の積層体チップのそれぞれに各種の加工処理が施されることによって製造されることが一般的である。
ここで、マザーブロックを分断する方法の一つとして、押し切りがある。押し切りを利用してマザーブロックを分断することとした場合には、短時間のうちにマザーブロックを分断することが可能になるため、生産性が大幅に向上するメリットが得られる。なお、当該押し切りを利用したマザーブロックの分断方法が具体的に開示された文献としては、たとえば特開2002−134356号公報(特許文献1)がある。
上記特許文献1に開示のマザーブロックの分断方法においては、マザーブロックと吸着テーブルとの間に通気性を有する下敷きシートが介在され、当該下敷きシートを介してマザーブロックを吸着テーブルにて吸着保持した状態とし、当該状態において押切刃をマザーブロックに進入させることにより、マザーブロックの分断が行なわれる。
なお、上記特許文献1においては、マザーブロックの分断の際に、マザーブロックを確実に切断することを目的として、押切刃の先端が下敷きシートに達するように押切刃をマザーブロックに進入させることが記載されている。
また、上記特許文献1に開示された通気性の下敷きシートに代えて、マザーブロックに粘着性を有する下敷きシートを予め貼り付けておき、当該粘着シートを介してマザーブロックを吸着テーブルにて吸着保持させてマザーブロックを分断する分断方法も一般に採用されている。
しかしながら、上述した押し切りを採用してマザーブロックを分断した場合には、高い加工精度での切断が困難になる問題が発生する。これは、主として、押切刃の進入に伴い、押切刃を挟んで位置する部分のマザーブロックに応力が発生してしまうことに起因する。
すなわち、押切刃の進入によって発生する上記応力は、マザーブロックとこれを保持する部材との間において剪断力として作用してしまい、分断中においてマザーブロックに位置ずれが発生してしまう原因となる。また、上記応力は、押切刃が進入した部分を中心としてマザーブロックに撓み変形を生じさせる力としても作用してしまい、分断中において未だ押切刃が進入していない部分において先行して亀裂が発生してしまう原因ともなる。
また、切断が進行することによって押切刃が下死点に近づくにつれてマザーブロックの未だ切断されていない部分が減少することにより、上述した応力が発生することを抑制するマザーブロックの剛性も大幅に低下してしまうことから、マザーブロックの切断終了間際において上述した位置ずれや亀裂が発生し易くなる傾向にある。
さらに、マザーブロックは、誘電体層となる誘電体シートと内部電極層となる導電パターンとを積層することで形成された積層シート体を静水圧プレス法等を用いて積層方向に沿って圧着することで製作されることが一般的である。そのため、導電パターンが多数積層されている部分と、導電パターンが位置していないかあるいは導電パターンが少数しか積層されていない部分とでは、マザーブロックの厚みに差が生じることになり、これがマザーブロックの表面において溝部となって現れる。
通常、マザーブロックの分断に際しては、上述した溝部に沿って押切刃が進入されることでその分断が行なわれる。このため、上述した圧着工程を経ることにより、当該溝部が起点となって上述した撓み変形がマザーブロックに発生し易くなり、これに伴って上述した剪断力も発生し易くなり、上述した位置ずれや亀裂が顕著に発生してしまう傾向にもある。
これら分断中における位置ずれや亀裂の発生は、いずれも分断後の積層体チップの形状や寸法が意図したものとならない要因となるため、結果として分断工程における歩留まりの低下を招いてしまう。特に、分断後の積層体チップが小型であればあるほど上述した位置ずれや亀裂の発生が顕著となるため、何ら対策を施していない場合には、その歩留まりの低下は非常に大きなものとなってしまう。
なお、上述した応力の発生に伴う影響を可能な限り抑制するためには、分断に際して押切刃の移動速度をより速めることが考えられるが、下死点に近づくにつれて自ずと押切刃の移動速度が低下してしまうことに鑑み、下死点近傍において押切刃を高速に移動させることは、現実的には非常に困難である。
また、仮に押切刃の下死点近傍での移動速度を速めることができたとしても、押切刃が吸着テーブルに接触してしまうことを回避するための工夫が別途必要になる。その工夫の一つとして、上述した通気性を有する下敷きシートや粘着性を有する下敷きシートの厚みを増加させることが考えられるが、そのようにした場合には、これら下敷きシートがマザーブロックに比較して柔軟な部材であるため、厚みを増加させた分だけマザーブロックの固定が不安定になってしまい、上述した応力の発生に伴う影響が逆に増幅されてしまうおそれが高い。
したがって、本発明は、上述した問題を解決すべくなされたものであり、マザーブロックの分断に押し切りを採用した場合にも、高い加工精度での切断が実現でき、これにより生産性を低下させることなく歩留まりの向上が図られるコンデンサ素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記問題が発生する原因がマザーブロックを固定する固定力の不足にあることに着想し、本発明を完成させるに至った。すなわち、マザーブロックをテーブル上において高い固定力をもって強固にかつ安定的に保持することにより、押切刃の進入によってマザーブロックに発生する上記応力の大きさを低減することができ、これにより位置ずれや亀裂の発生が効果的に防止でき、結果として大幅な歩留まりの向上が図られることになる。
本発明の第1の局面に基づくコンデンサ素子の製造方法は、所定の方向に沿って交互に積層された誘電体層および内部電極層からなる素体部を含むコンデンサ素子を製造するためのものであって、上記誘電体層となる複数の誘電体シートおよび上記内部電極層となる複数の導電パターンが積層されてなる積層シート体を積層方向に沿って圧着することでマザーブロックを製作する工程と、圧着によって上記マザーブロックの一方の主表面に生じた溝部を埋め込みつつ上記マザーブロックの上記一方の主表面に固着してこれを覆うとともに、上記マザーブロックが位置する側とは反対側に位置する露出表面が平坦に成形された樹脂材料を主成分とする固着層を形成する工程と、上記固着層の上記露出表面がテーブルに接触した状態となるように、上記マザーブロックを上記固着層を介して上記テーブル上に載置して固定する工程と、上記テーブル上に載置されて固定された上記マザーブロックの上記溝部が位置する部分に対応した位置において上記マザーブロックの他方の主表面側から上記マザーブロックに対して押切刃を上記固着層に達するように進入させることにより、上記マザーブロックを切断し、これにより上記マザーブロックを上記素体部となる積層体チップに個片化する工程とを備えている。
本発明の第2の局面に基づくコンデンサ素子の製造方法は、所定の方向に沿って交互に積層された誘電体層および内部電極層からなる素体部を含むコンデンサ素子を製造するためのものであって、上記誘電体層となる複数の誘電体シートおよび上記内部電極層となる複数の導電パターンが積層されてなる積層シート体を積層方向に沿って圧着することでマザーブロックを製作する工程と、圧着によって上記マザーブロックの一方の主表面に生じた溝部を埋め込みつつ上記マザーブロックの上記一方の主表面に固着してこれを覆うとともに、上記マザーブロックが位置する側とは反対側に位置する露出表面が平坦に成形された樹脂材料を主成分とする固着層を形成する工程と、上記固着層を粘着保持する粘着シートを上記固着層の上記露出表面に貼り付ける工程と、上記粘着シートの上記固着層が位置する側とは反対側に位置する露出表面がテーブルに接触した状態となるように、上記マザーブロックを上記固着層および上記粘着シートを介して上記テーブル上に載置して固定する工程と、上記テーブル上に載置されて固定された上記マザーブロックの上記溝部が位置する部分に対応した位置において上記マザーブロックの他方の主表面側から上記マザーブロックに対して押切刃を少なくとも上記固着層に達するように進入させることにより、上記マザーブロックを切断し、これにより上記マザーブロックを上記素体部となる積層体チップに個片化する工程とを備えている。
上記本発明の第2の局面に基づくコンデンサ素子の製造方法にあっては、上記マザーブロックを個片化する工程において、上記押切刃を上記固着層を越えて上記粘着シートにまで達するように進入させることにより、上記マザーブロックを切断することが好ましい。
本発明の第3の局面に基づくコンデンサ素子の製造方法は、所定の方向に沿って交互に積層された誘電体層および内部電極層からなる素体部を含むコンデンサ素子を製造するためのものであって、上記誘電体層となる複数の誘電体シートおよび上記内部電極層となる複数の導電パターンが積層されてなる積層シート体を積層方向に沿って圧着することでマザーブロックを製作する工程と、圧着によって上記マザーブロックの一方の主表面に生じた溝部を埋め込みつつ上記マザーブロックの上記一方の主表面に固着してこれを覆うとともに、上記マザーブロックが位置する側とは反対側に位置する露出表面が平坦に成形された樹脂材料を主成分とする固着層を形成する工程と、上記固着層の上記露出表面が吸着テーブル側に位置した状態となるように、上記固着層と上記吸着テーブルとの間に通気性シートを介在させつつ上記マザーブロックを上記固着層および上記通気性シートを介して上記吸着テーブル上に載置して吸着固定する工程と、上記吸着テーブル上に載置されて吸着固定された上記マザーブロックの上記溝部が位置する部分に対応した位置において上記マザーブロックの他方の主表面側から上記マザーブロックに対して押切刃を少なくとも上記固着層に達するように進入させることにより、上記マザーブロックを切断し、これにより上記マザーブロックを上記素体部となる積層体チップに個片化する工程とを備えている。
上記本発明の第3の局面に基づくコンデンサ素子の製造方法にあっては、上記マザーブロックを個片化する工程において、上記押切刃を上記固着層を越えて上記通気性シートにまで達するように進入させることにより、上記マザーブロックを切断することが好ましい。
上記本発明の第1ないし第3の局面に基づくコンデンサ素子の製造方法にあっては、上記固着層を形成する工程が、上記マザーブロックの上記一方の主表面に樹脂材料を主成分とするペーストを塗布し、塗布した上記ペーストを乾燥させることで上記固着層を形成するものであることが好ましい。
上記本発明の第1ないし第3の局面に基づくコンデンサ素子の製造方法にあっては、上記誘電体シートが、セラミックグリーンシートであってもよく、その場合には、上記固着層が、無機材料の粉末を含有していることが好ましい。
上記本発明の第1ないし第3の局面に基づくコンデンサ素子の製造方法にあっては、上記無機材料の粉末が、上記セラミックグリーンシートを構成する材料よりも高い融点を有していることが好ましい。
上記本発明の第1ないし第3の局面に基づくコンデンサ素子の製造方法にあっては、上記無機材料の粉末が、酸化ジルコニウム粉末、酸化アルミニウム粉末および酸化マグネシウム粉末からなる群から選択される少なくとも一の粉末を含んでいることが好ましい。
上記本発明の第1ないし第3の局面に基づくコンデンサ素子の製造方法は、個片化後の上記積層体チップを焼成することにより、上記樹脂材料を消失させる工程をさらに備えていることが好ましい。
上記本発明の第1ないし第3の局面に基づくコンデンサ素子の製造方法にあっては、上記マザーブロックを個片化する工程が、製造すべき上記コンデンサ素子の体格が長さ0.6[mm]、幅0.3[mm]、厚さ0.3[mm]以下の直方体に収まることとなるように(たとえば、体格が長さ0.6[mm]、幅0.3[mm]、厚さ0.3[mm]のコンデンサ素子や、体格が長さ0.4[mm]、幅0.2[mm]、厚さ0.2[mm]のコンデンサ素子、体格が長さ0.2[mm]、幅0.1[mm]、厚さ0.1[mm]のコンデンサ素子等がこれに含まれる)、個片化後の上記積層体チップを上記体格に対応した大きさにするものであってもよい。
本発明によれば、マザーブロックの分断に押し切りを採用した場合にも、高い加工精度での切断が実現でき、これにより生産性を低下させることなく歩留まりの向上が図られるコンデンサ素子の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態は、コンデンサ素子である積層セラミックコンデンサの製造フローに本発明を適用した場合を例示するものである。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1に係るコンデンサ素子の製造方法が適用された積層セラミックコンデンサの製造フローを説明するに先立って、当該製造フローに従って製造された積層セラミックコンデンサについて説明する。
まず、本発明の実施の形態1に係るコンデンサ素子の製造方法が適用された積層セラミックコンデンサの製造フローを説明するに先立って、当該製造フローに従って製造された積層セラミックコンデンサについて説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係るコンデンサ素子の製造方法が適用された積層セラミックコンデンサの製造フローに従って製造された積層セラミックコンデンサの概略斜視図である。また、図2は、図1に示す積層セラミックコンデンサの図1中に示すII−II線に沿った模式断面図であり、図3は、図1に示す積層セラミックコンデンサの図1中に示すIII−III線に沿った模式断面図である。
図1ないし図3に示すように、積層セラミックコンデンサ10は、全体として略直方体形状を有する電子部品であり、素体部11と一対の外部電極14とを有している。
図2および図3に示すように、素体部11は、所定の方向に沿って交互に積層された誘電体層12と導電体層としての内部電極層13とによって構成されている。誘電体層12は、たとえばチタン酸バリウムを主成分とするセラミックス材料にて形成されている。また、誘電体層12は、後述するセラミックグリーンシートの原料となるセラミックス粉末の副成分としてのMn化合物、Mg化合物、Si化合物、Co化合物、Ni化合物、希土類化合物等を含んでいてもよい。一方、内部電極層13は、たとえばNi、Cu、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Au等に代表される金属材料にて形成されている。
素体部11は、誘電体層12となる誘電体シートとしてのセラミックグリーンシートの表面に内部電極層13となる導電パターンが印刷された素材シートを複数準備し、これら複数の素材シートを積層して圧着することでマザーブロック30(図6等参照)を製作し、当該マザーブロック30を分断することによって複数の積層体チップ41(図10参照)に個片化された後にこれらが焼成されることによって製作される。
なお、誘電体層12の材質は、上述したチタン酸バリウムを主成分とするセラミックス材料に限られず、他の高誘電率のセラミックス材料(たとえば、CaTiO3、SrTiO3、CaZrO3等を主成分とするもの)を誘電体層12の材質として選択してもよい。また、内部電極層13の材質も、上述した金属材料に限られず、他の導電材料を内部電極層13の材質として選択してもよい。
図1および図2に示すように、一対の外部電極14は、素体部11の所定方向の両端部の表面を覆うように互いに離間して設けられている。一対の外部電極14は、それぞれ導電膜にて構成されている。
一対の外部電極14は、たとえば焼結金属層とめっき層の積層膜にて構成される。焼結金属層は、たとえばCu、Ni、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Au等の導電ペーストあるいはこれら材料からなる金属粉末を含む導電性樹脂ペーストを焼き付けることで形成される。めっき層は、たとえばNiめっき層とこれを覆うSnめっき層とによって構成される。めっき層は、これに代えてCuめっき層やAuめっき層であってもよい。また、一対の外部電極14は、めっき層のみによって構成されていてもよい。
図2に示すように、積層方向に沿って誘電体層12を挟んで隣り合う一対の内部電極層13のうちの一方は、積層セラミックコンデンサ10の内部において一対の外部電極14のうちの一方に電気的に接続されており、積層方向に沿って誘電体層12を挟んで隣り合う一対の内部電極層13のうちの他方は、積層セラミックコンデンサ10の内部において一対の外部電極14のうちの他方に電気的に接続されている。これにより、一対の外部電極14間は、複数のコンデンサ要素が電気的に並列に接続された構造となっている。
ここで、図1ないし図3に示すように、一対の外部電極14が並ぶ方向を積層セラミックコンデンサ10の長さ方向Lとして定義し、素体部11における誘電体層12と内部電極層13との積層方向を厚み方向Tとして定義し、これら長さ方向Lおよび厚み方向Tのいずれにも直交する方向を幅方向Wとして定義すると、図示する積層セラミックコンデンサ10は、長さ方向Lに沿った外形寸法が最も長くなるように構成された細長の略直方体形状を有している。
なお、積層セラミックコンデンサ10の長さ方向Lの外形寸法および幅方向Wの外形寸法(通常、厚み方向Tの外形寸法は、幅方向Wの外形寸法と同等とされる)の代表値としては、たとえば0.6[mm]×0.3[mm]、0.4[mm]×0.2[mm]、0.2[mm]×0.1[mm]等が挙げられる。
図4は、本実施の形態に係るコンデンサ素子の製造方法が適用された積層セラミックコンデンサの製造フローを示す図である。図5は、図4に示す積層シート体の圧着工程を示す概略図であり、図6は、図4に示す積層シート体の圧着工程を経ることで製作されたマザーブロックの模式断面図である。図7は、図4に示す固着層を形成する工程を経た後のマザーブロックおよび固着層の模式断面図である。図8は、図4に示すマザーブロックの分断工程の第1分断工程を示す模式断面図であり、図9は、図8の要部拡大断面図である。また、図10は、図4に示すマザーブロックの分断工程の第2分断工程を示す模式断面図である。次に、これら図4ないし図10を参照して、本実施の形態に係るコンデンサ素子の製造方法が適用された積層セラミックコンデンサの製造フローについて説明する。
なお、図5ないし図7においては、ワークである積層シート体、マザーブロック、および、マザーブロックに固着層が形成されてなるものの異なる方向における断面をそれぞれ(A),(B)にて示している。ここで、図中に示すX軸、Y軸およびZ軸は、図1ないし図3において示した長さ方向L、厚み方向Tおよび幅方向Wにそれぞれ対応している。
本実施の形態に係るコンデンサ素子の製造方法が適用された積層セラミックコンデンサの製造フローは、製造過程の途中段階まで一括して加工処理を行なうことで積層セラミックコンデンサの中核となる部品材料(マザーブロック)を一つの塊として製作し、その後にこれを分断して個片化し、個片化後の複数の部品材料(積層体チップ)にさらに加工処理を施すことによって複数の積層セラミックコンデンサを同時に大量に生産するものである。
図4に示すように、本実施の形態に係るコンデンサ素子の製造方法が適用された積層セラミックコンデンサの製造フローは、順に、積層シート体が形成される工程(工程S1)と、積層シート体が圧着される工程(工程S2)と、固着層が形成される工程(工程S3)と、マザーブロックが分断される工程(工程S4)と、焼成が実施される工程(工程S5)と、外部電極が形成される工程(工程S6)とを主として備えている。
図4に示す積層シート体が製作される工程(工程S1)においては、まず、セラミックス粉末、バインダおよび溶剤を含むセラミックスラリーが準備され、このセラミックスラリーがキャリアフィルム上においてダイコータ、グラビアコータ、マイクログラビアコータ等を用いてシート状に成形されることで誘電体シートとしてのセラミックグリーンシートが製作される。
続いて、このセラミックグリーンシートに導電ペーストが所定のパターンを有するようにスクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷等によって印刷されることにより、導電パターンが形成される。
これにより、誘電体層12となるセラミックグリーンシート21の表面に内部電極層13となる導電パターン22が印刷された複数の素材シートが準備される(図5参照)。
続いて、複数の素材シートが所定のルールに従って積層される(図5参照)。これにより、隣り合うセラミックグリーンシート21間に所定の形状を有する導電パターン22が挟み込まれた状態の積層シート体20が形成されることになる。ここで、積層方向(図5中に示すY軸方向)と交差する方向(図5中に示すX軸方向およびZ軸方向)において隣り合う導電パターン22間には、導電パターン22が位置しないことによって生ずる空隙部23が位置している。
図4に示す積層シート体が圧着される工程(工程S2)においては、図5に示すように、たとえば静水圧プレス法等を用いて積層シート体20がその積層方向に沿って加圧されることで圧着される。これにより、図6に示すように、複数の導電パターン22が積層されることで構成された複数の導電体部34が、複数のセラミックグリーンシート21が加圧流動することで一体化された誘電体部33によって封止されてなるマザーブロック30が製作される。なお、上述した圧着により、マザーブロック30は、その厚み方向(図6中に示すY軸方向)において相対して位置する第1主表面31および第2主表面32を有する扁平な略直方体形状に成形される。
ここで、上述した積層シート体20の内部に位置していた空隙部23は、圧着の際にその周囲に位置するセラミックグリーンシート21が流動することによって埋め込まれる。そのため、マザーブロック30は、その厚み方向(図6中に示すY軸方向)において、導電体部34が多数積層されている部分と、導電体部34が位置していないかあるいは導電体部34が少数しか積層されていない部分とを有することになり、これに伴ってマザーブロック30の第1主表面31および第2主表面32には、所定方向に沿って延びる溝部31a,32aが形成されることになる。なお、当該溝部31a,32aは、平面視した場合に格子状の形状を有することになる。
図4に示す固着層が形成される工程(工程S3)においては、図7に示すように、マザーブロック30の第2主表面32に固着するように当該第2主表面32上に樹脂材料を主成分とする固着層50が形成される。ここで、固着層50は、マザーブロック30の第2主表面32に位置する溝部32aを埋め込み部52によって埋め込むとともに、マザーブロック30の第2主表面32の全体を覆うように形成される。また、固着層50のマザーブロック30が位置する側とは反対側に位置する露出表面51は、平坦に成形される。
固着層50の主成分となる樹脂材料としては、各種のものが利用できるが、特に、マザーブロック30を強固にかつ安定的に固着層50によって保持する観点から、形成後の固着層50の硬さがマザーブロック30の誘電体部33の硬さよりも硬くなる材料を選択することが好ましい。
固着層50は、その埋め込み部52が形成されていない部分の厚みt1(すなわち、マザーブロック30の第2主表面32のうちの溝部32aが位置していない部分に固着する部分の厚みt1(図9参照))が20μm以上となるように形成されることが好ましい。
また、固着層50は、上記厚みt1がマザーブロック30の第2主表面32に位置する溝部32aの深さ(すなわち、埋め込み部52の厚みt2(図9参照))よりも大きくなるように形成されることが好ましい。
さらに、固着層50は、上記厚みt1がマザーブロック30の第2主表面32のうちの溝部32aが位置していない部分とこれに最も近い位置に配置された導電体部34との間の厚みt3(図9参照)の1/2以上の大きさとなるように形成されることが好ましい。
これら条件のうちの少なくともいずれかを満たすことにより、固着層50が比較的分厚く形成されることになり、マザーブロック30を強固にかつ安定的に固着層50によって保持することが可能になる。
上述した固着層50は、たとえばマザーブロック30の第2主表面32上にペースト状の樹脂材料をコータ等を用いて塗布するかあるいはスクリーン印刷等によって塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。
また、固着層50は、上述した樹脂材料に加え、無機材料の粉末を含有していてもよい。ここで、無機材料の粉末としては、誘電体部33となるセラミックグリーンシート21を構成する材料よりも高い融点を有しているものが好適に用いられ、たとえば酸化ジルコニウム粉末や酸化アルミニウム粉末、酸化マグネシウム粉末あるいはこれらの組み合わせが特に好適に用いされる。
なお、当該無機材料の粉末は、マザーブロック30を分断することによって得られた積層体チップを焼成する際に、当該積層体チップが他の部材(たとえば他の積層体チップや焼成用の治具等)に付着してしまうことを防止するためのものであり、上述したペースト状の樹脂材料に予め分散させること等によって含有させておくことが好ましい。
図4に示すマザーブロックが分断される工程(工程S4)においては、図8ないし図10に示すように、マザーブロック30が行列状に押し切りによって分断されることにより、複数の積層体チップ41に分断される。
より詳細には、まず、図8に示すように、固着層50が形成されてなるマザーブロック30が、吸着テーブル80上に載置された状態で固定される。ここで、マザーブロック30は、その第2主表面32を覆うように形成された固着層50の露出表面51が吸着テーブル80に接触した状態となるように、固着層50を介して吸着テーブル80上に載置され、当該状態において吸着テーブル80によって固着層50の露出表面51が負圧吸引されることにより固着層50を介して吸着保持される。
続いて、図8および図9に示すように、第1分断工程においては、マザーブロック30が図中に示すX軸方向に沿って延在するように配置された押切刃90によってその位置を変えつつ複数回に亘って切断される。
当該第1分断工程においては、マザーブロック30の溝部31a,32aが位置する部分に対応した位置においてマザーブロック30の第1主表面31側からマザーブロック30に対して押切刃90が図8中に示す矢印A1方向に向けて固着層50に達するように進入させられることにより、マザーブロック30の切断が行なわれる。これにより、マザーブロック30は、行状に分断されることになり、長尺の略直方体形状を有する複数の積層体ブロック40に個片化されることになる。
ここで、本実施の形態においては、上述したように、分断に際してマザーブロック30が比較的分厚い固着層50を介して吸着テーブル80によって吸着固定された状態にあるため、マザーブロック30が強固にかつ安定的に吸着テーブル80によって保持された状態にある。そのため、押切刃90の進入に伴って押切刃90を挟んで位置する部分のマザーブロック30に応力が発生することが効果的に抑制できる。
すなわち、図9に示すように、分断に際して、押切刃90を挟んで位置する部分のマザーブロック30に図中に示す矢印B1,B2方向に沿ったずれ抑制力および図中に示す矢印C1,C2方向に沿った撓み抑制力が働くことになり、押切刃90が進入することによって発生する応力が効果的に抑制され、マザーブロック30に位置ずれや亀裂が発生してしまうことが防止できる。
また、マザーブロック30の第2主表面32に位置する溝部32aが固着層50の埋め込み部52によって埋め込まれた状態にあるため、当該溝部32aが起点となってマザーブロック30に撓み変形が発生することも抑制でき、マザーブロック30に位置ずれや亀裂が発生してしまうことが防止できる。
また、切断が進行することによって押切刃90が下死点に近づくにつれてマザーブロック30の未だ切断されていない部分が減少することにはなるものの、マザーブロック30から見て上記下死点側に未だ切断されていない比較的硬くて分厚い固着層50が位置しているため、マザーブロック30に応力が発生することを抑制する剛性も保たれることになる。そのため、マザーブロック30の切断終了間際においても、上述した位置ずれや亀裂の発生が効果的に防止できる。
さらには、マザーブロック30と吸着テーブル80との間に比較的分厚い固着層50が位置しているため、押切刃90が吸着テーブル80に接触してしまうことを回避しつつ押切刃90の移動速度をより速めることも可能になる。そのため、この点においても、上述した応力の発生に伴う影響を抑制することができ、マザーブロック30に位置ずれや亀裂が発生してしまうことが防止できる。
なお、押切刃90の下死点は、少なくとも上述した固着層50の内部にこれが位置することとなるように調節されることが必要であるが、マザーブロック30の第2主表面32のうちの溝部32aが位置していない部分と当該下死点との図中に示すY軸方向に沿った距離dが、固着層50の上述した厚みt1の半分以上にわたって固着層50内に収まることとなるように調節されることがより好ましい。このように下死点の位置を調節することにより、マザーブロック30を確実に切断することができるとともに、押切刃90の移動速度をより速めることが可能になる。
続いて、図10に示すように、第2分断工程においては、複数の積層体ブロック40が図中に示すZ軸方向に沿って延在するように配置された押切刃90によってその位置を変えつつ複数回に亘って切断される。
当該第2分断工程においては、複数の積層体ブロック40の溝部31a,32aが位置する部分に対応した位置において複数の積層体ブロック40の第1主表面31側から複数の積層体ブロック40に対して押切刃90が図中に示す矢印A2方向に向けて固着層50に達するように進入させられることにより、複数の積層体ブロック40の切断が行なわれる。これにより、複数の積層体ブロック40は、列状に分断されることになり、略直方体形状を有する複数の積層体チップ41に個片化されることになる。
ここで、本実施の形態においては、当該第2分断工程においても、上述した第1分断工程と同様の態様にて切断が行なわれる。そのため、分断に際して複数の積層体ブロック40が比較的分厚い固着層50を介して吸着テーブル80によって吸着固定された状態にあるため、複数の積層体ブロック40に応力が発生することが効果的に抑制でき、複数の積層体ブロック40に位置ずれや亀裂が発生してしまうことが防止できる。
図4に示す焼成が実施される工程(工程S5)においては、固着層50が固着した状態にある個片化後の積層体チップ41が所定の温度に加熱され、これにより誘電体部33(すなわちセラミックス材料)の焼結処理が施される。当該処理により、積層体チップ41は、図1ないし図3において示した素体部11となる。
ここで、当該焼成工程においては、固着層50が加熱されることによってその主成分である樹脂材料が消失することになるため、焼成後において素体部11に固着層50が残留することはない。
また、固着層50に上述した無機材料の粉末を含有させた場合にあっては、当該無機材料の粉末のみが焼成工程中において残留して積層体チップ41の表面に付着することになるため、当該積層体チップ41が他の部材(たとえば他の積層体チップや焼成用の治具等)に付着してしまうことが防止できる。なお、焼成を行なうに先立って、固着層50が形成されていない部分の積層体チップ41の表面に上述した無機材料の粉末と同様の粉末を付着等させておけば、上述した積層体チップ41の他の部材への付着をさらに効果的に防止することができる。
図4に示す外部電極が形成される工程(工程S6)においては、まず、素体部11の長さ方向Lに沿った端面に導電ペーストが塗布されることで金属層が形成され、形成された金属層に焼き付け処理が施される。続いて、素体部11に焼き付けられた金属層上にNiめっき、Snめっきが順に施される。これにより、図1ないし図3において示した一対の外部電極14が形成される。
上述した一連の工程を経ることにより、図1ないし図3に示した構造を有する積層セラミックコンデンサ10の製造が完了する。
以上において説明したように、本実施の形態におけるコンデンサ素子の製造方法が適用された積層セラミックコンデンサの製造フローに従って積層セラミックコンデンサを製造することにより、分断工程においてマザーブロック30および積層体ブロック40に位置ずれや亀裂が発生してしまうことが防止できることになり、高い加工精度での分断が可能になる。したがって、分断工程において押し切りを採用した場合にも、生産性を低下させることなく歩留まりの向上が図られることになる。
なお、当該効果は、製造する積層セラミックコンデンサの大きさに依らず、どのような大きさの積層セラミックコンデンサを製造する場合にも得られる効果ではあるが、特に、製造すべき積層セラミックコンデンサの体格が長さ0.6[mm]、幅0.3[mm]、厚さ0.3[mm]以下の直方体に収まるものである場合(たとえば、体格が長さ0.6[mm]、幅0.3[mm]、厚さ0.3[mm]のコンデンサ素子や、体格が長さ0.4[mm]、幅0.2[mm]、厚さ0.2[mm]のコンデンサ素子、体格が長さ0.2[mm]、幅0.1[mm]、厚さ0.1[mm]のコンデンサ素子等である場合)に高い効果を得ることができる。
本発明者は、上述した効果がどの程度得られるかの検証を行なうために、検証実験を行なった。検証実験においては、実施例として、上述した本実施の形態に係るコンデンサ素子の製造方法が適用された積層セラミックコンデンサの製造フローに従って25個の積層セラミックコンデンサを製造し、比較例として、固着層を形成せずに粘着シートによってマザーブロックを保持した状態で分断を行なって同じく25個の積層セラミックコンデンサを製造した。なお、実施例と比較例とで条件が異なる点は、上述した分断工程の態様のみである。
実施例および比較例においては、製造する積層セラミックコンデンサの大きさを長さ0.4[mm]、幅0.2[mm]、厚さ0.2[mm]とした。なお、焼成後の素体部における内部電極層の厚みは、0.4[μm]〜0.8[μm]程度であり、焼成後の素体部における内部電極層間に位置する誘電体層の厚みは、0.8[μm]〜1.2[μm]弱程度であり、素材シートの積層数は、100〜120枚程度とした。
その結果、製造された積層セラミックコンデンサの長さ方向Lに直交する断面における上辺と下辺のずれ量は、実施例において最大9[μm]であり、比較例において最大17[μm]であることが確認された。すなわち、実施例では、比較例に対して上記ずれ量が概ね半減していることになり、本発明を適用することによって高い寸法精度で積層セラミックコンデンサが製造できることが実験的にも確認されたと言える。
(実施の形態2)
図11は、本発明の実施の形態2に係るコンデンサ素子の製造方法が適用された積層セラミックコンデンサの製造フローにおいて、粘着シートを貼り付ける工程を経た後のマザーブロック、固着層および粘着シートの模式断面図である。また、図12は、本実施の形態に係るコンデンサ素子の製造方法が適用された積層セラミックコンデンサの製造フローにおけるマザーブロックの分断工程の第1分断工程を示す模式断面図である。以下、これら図11および図12を参照して、本実施の形態に係るコンデンサ素子の製造方法が適用された積層セラミックコンデンサの製造フローについて説明する。
図11は、本発明の実施の形態2に係るコンデンサ素子の製造方法が適用された積層セラミックコンデンサの製造フローにおいて、粘着シートを貼り付ける工程を経た後のマザーブロック、固着層および粘着シートの模式断面図である。また、図12は、本実施の形態に係るコンデンサ素子の製造方法が適用された積層セラミックコンデンサの製造フローにおけるマザーブロックの分断工程の第1分断工程を示す模式断面図である。以下、これら図11および図12を参照して、本実施の形態に係るコンデンサ素子の製造方法が適用された積層セラミックコンデンサの製造フローについて説明する。
図11および図12に示すように、本実施の形態に係るコンデンサ素子の製造方法が適用された積層セラミックコンデンサの製造フローは、上述した実施の形態1に係るコンデンサ素子の製造方法が適用された積層セラミックコンデンサの製造フローに比較して、固着層が形成される工程の後に粘着シートが貼り付けられる工程が追加されている点において相違しており、これに伴って分断工程における態様にも相違が生じているものである。
具体的には、図11に示すように、粘着シートが貼り付けられる工程においては、マザーブロック30の第2主表面32を覆うように形成された固着層50の露出表面51に粘着シート60の粘着面である貼付面61側が貼り付けられる。ここで、使用される粘着シート60としては、粘着性を有するものであれば各種のものが利用できるが、たとえば加熱により粘着性が低下する発泡剥離シートが好適に利用できる。
なお、粘着シート60の貼付面61が位置する側とは反対側に位置する露出表面62は、非粘着面であることが好ましい。また、粘着シート60の厚みは、より薄いことが好ましい。さらには、粘着シート60の固着層50に対する粘着力は、固着層50のマザーブロック30に対する固着力よりも小さいことが好ましい。
図12に示すように、マザーブロックが分断される工程においては、固着層50が形成されるとともに粘着シート60が貼り付けられてなるマザーブロック30が、吸着テーブル80上に載置された状態で固定される。ここで、マザーブロック30は、その第2主表面32を覆うように形成された固着層50の露出表面51に貼り付けられた粘着シート60の露出表面62が吸着テーブル80に接触した状態となるように、固着層50および粘着シート60を介して吸着テーブル80上に載置され、当該状態において吸着テーブル80によって粘着シート60の露出表面62が負圧吸引されることにより固着層50および粘着シート60を介して吸着保持される。
続いて、第1分断工程においては、上述した実施の形態1の場合と概ね同様の態様にて切断が行なわれる。ここで、より好ましくは、マザーブロック30の第1主表面31側からマザーブロック30に対して押切刃90が図中に示す矢印A1方向に向けて固着層50を超えて粘着シート60に達するように進入させられることが好ましい。
続いて、第2分断工程においても、その図示は省略するが、上述した第1分断工程と同様の態様にて切断が行なわれる。
以上において説明した本実施の形態におけるコンデンサ素子の製造方法が適用された積層セラミックコンデンサの製造フローにおいても、分断に際してマザーブロック30が比較的分厚い固着層50および比較的薄い粘着シート60を介して吸着テーブル80によって吸着固定された状態にあるため、マザーブロック30が強固にかつ安定的に吸着テーブル80によって保持された状態にある。したがって、上述した実施の形態1の場合と同様に、分断工程においてマザーブロック30および積層体ブロック40に位置ずれや亀裂が発生してしまうことが防止できることになり、高い加工精度での分断が可能になる。したがって、分断工程において押し切りを採用した場合にも、生産性を低下させることなく歩留まりの向上が図られることになる。
(実施の形態3)
図13は、本発明の実施の形態3に係るコンデンサ素子の製造方法が適用された積層セラミックコンデンサの製造フローにおけるマザーブロックの分断工程の第1分断工程を示す模式断面図である。以下、この図13を参照して、本実施の形態に係るコンデンサ素子の製造方法が適用された積層セラミックコンデンサの製造フローについて説明する。
図13は、本発明の実施の形態3に係るコンデンサ素子の製造方法が適用された積層セラミックコンデンサの製造フローにおけるマザーブロックの分断工程の第1分断工程を示す模式断面図である。以下、この図13を参照して、本実施の形態に係るコンデンサ素子の製造方法が適用された積層セラミックコンデンサの製造フローについて説明する。
図13に示すように、本実施の形態に係るコンデンサ素子の製造方法が適用された積層セラミックコンデンサの製造フローは、上述した実施の形態1に係るコンデンサ素子の製造方法が適用された積層セラミックコンデンサの製造フローに比較して、分断工程における態様が異なっているものである。
具体的には、図13に示すように、マザーブロックが分断される工程においては、固着層50が形成されてなるマザーブロック30が、吸着テーブル80上に通気性シート70を介して載置された状態で固定される。ここで、マザーブロック30は、その第2主表面32を覆うように形成された固着層50の露出表面51が吸着テーブル80側に位置した状態となるように、固着層50および通気性シート70を介して吸着テーブル80上に載置され、当該状態において吸着テーブル80によって通気性シート70を介して固着層50の露出表面51が負圧吸引されることにより固着層50を介して吸着保持される。
続いて、第1分断工程においては、上述した実施の形態1の場合と概ね同様の態様にて切断が行なわれる。ここで、より好ましくは、マザーブロック30の第1主表面31側からマザーブロック30に対して押切刃90が図中に示す矢印A1方向に向けて固着層50を超えて通気性シート70に達するように進入させられることが好ましい。
続いて、第2分断工程においても、その図示は省略するが、上述した第1分断工程と同様の態様にて切断が行なわれる。
以上において説明した本実施の形態におけるコンデンサ素子の製造方法が適用された積層セラミックコンデンサの製造フローにおいても、分断に際してマザーブロック30が比較的分厚い固着層50および比較的薄い通気性シート70を介して吸着テーブル80によって吸着固定された状態にあるため、マザーブロック30が強固にかつ安定的に吸着テーブル80によって保持された状態にある。したがって、上述した実施の形態1の場合と同様に、分断工程においてマザーブロック30および積層体ブロック40に位置ずれや亀裂が発生してしまうことが防止できることになり、高い加工精度での分断が可能になる。したがって、分断工程において押し切りを採用した場合にも、生産性を低下させることなく歩留まりの向上が図られることになる。
なお、上述した本発明の実施の形態1ないし3においては、積層セラミックコンデンサの製造フローに本発明を適用した場合を例示したが、その他のコンデンサ素子の製造フローにも、当然に本発明の適用が可能である。
今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
10 積層セラミックコンデンサ、11 素体部、12 誘電体層、13 内部電極層、14 外部電極、20 積層シート体、21 セラミックグリーンシート、22 導電パターン、23 空隙部、30 マザーブロック、31 第1主表面、31a 第1溝部、32 第2主表面、32a 第2溝部、33 誘電体部、34 導電体部、40 積層体ブロック、41 積層体チップ、50 固着層、51 露出表面、52 埋め込み部、60 粘着シート、61 貼付面(粘着面)、62 露出表面(非粘着面)、70 通気性シート、80 テーブル、90 押切刃。
Claims (11)
- 所定の方向に沿って交互に積層された誘電体層および内部電極層からなる素体部を含むコンデンサ素子を製造するためのコンデンサ素子の製造方法であって、
前記誘電体層となる複数の誘電体シートおよび前記内部電極層となる複数の導電パターンが積層されてなる積層シート体を積層方向に沿って圧着することでマザーブロックを製作する工程と、
圧着によって前記マザーブロックの一方の主表面に生じた溝部を埋め込みつつ前記マザーブロックの前記一方の主表面に固着してこれを覆うとともに、前記マザーブロックが位置する側とは反対側に位置する露出表面が平坦に成形された樹脂材料を主成分とする固着層を形成する工程と、
前記固着層の前記露出表面がテーブルに接触した状態となるように、前記マザーブロックを前記固着層を介して前記テーブル上に載置して固定する工程と、
前記テーブル上に載置されて固定された前記マザーブロックの前記溝部が位置する部分に対応した位置において前記マザーブロックの他方の主表面側から前記マザーブロックに対して押切刃を前記固着層に達するように進入させることにより、前記マザーブロックを切断し、これにより前記マザーブロックを前記素体部となる積層体チップに個片化する工程とを備えた、コンデンサ素子の製造方法。 - 所定の方向に沿って交互に積層された誘電体層および内部電極層からなる素体部を含むコンデンサ素子を製造するためのコンデンサ素子の製造方法であって、
前記誘電体層となる複数の誘電体シートおよび前記内部電極層となる複数の導電パターンが積層されてなる積層シート体を積層方向に沿って圧着することでマザーブロックを製作する工程と、
圧着によって前記マザーブロックの一方の主表面に生じた溝部を埋め込みつつ前記マザーブロックの前記一方の主表面に固着してこれを覆うとともに、前記マザーブロックが位置する側とは反対側に位置する露出表面が平坦に成形された樹脂材料を主成分とする固着層を形成する工程と、
前記固着層を粘着保持する粘着シートを前記固着層の前記露出表面に貼り付ける工程と、
前記粘着シートの前記固着層が位置する側とは反対側に位置する露出表面がテーブルに接触した状態となるように、前記マザーブロックを前記固着層および前記粘着シートを介して前記テーブル上に載置して固定する工程と、
前記テーブル上に載置されて固定された前記マザーブロックの前記溝部が位置する部分に対応した位置において前記マザーブロックの他方の主表面側から前記マザーブロックに対して押切刃を少なくとも前記固着層に達するように進入させることにより、前記マザーブロックを切断し、これにより前記マザーブロックを前記素体部となる積層体チップに個片化する工程とを備えた、コンデンサ素子の製造方法。 - 前記マザーブロックを個片化する工程において、前記押切刃を前記固着層を越えて前記粘着シートにまで達するように進入させることにより、前記マザーブロックを切断する、請求項2に記載のコンデンサ素子の製造方法。
- 所定の方向に沿って交互に積層された誘電体層および内部電極層からなる素体部を含むコンデンサ素子を製造するためのコンデンサ素子の製造方法であって、
前記誘電体層となる複数の誘電体シートおよび前記内部電極層となる複数の導電パターンが積層されてなる積層シート体を積層方向に沿って圧着することでマザーブロックを製作する工程と、
圧着によって前記マザーブロックの一方の主表面に生じた溝部を埋め込みつつ前記マザーブロックの前記一方の主表面に固着してこれを覆うとともに、前記マザーブロックが位置する側とは反対側に位置する露出表面が平坦に成形された樹脂材料を主成分とする固着層を形成する工程と、
前記固着層の前記露出表面が吸着テーブル側に位置した状態となるように、前記固着層と前記吸着テーブルとの間に通気性シートを介在させつつ前記マザーブロックを前記固着層および前記通気性シートを介して前記吸着テーブル上に載置して吸着固定する工程と、
前記吸着テーブル上に載置されて吸着固定された前記マザーブロックの前記溝部が位置する部分に対応した位置において前記マザーブロックの他方の主表面側から前記マザーブロックに対して押切刃を少なくとも前記固着層に達するように進入させることにより、前記マザーブロックを切断し、これにより前記マザーブロックを前記素体部となる積層体チップに個片化する工程とを備えた、コンデンサ素子の製造方法。 - 前記マザーブロックを個片化する工程において、前記押切刃を前記固着層を越えて前記通気性シートにまで達するように進入させることにより、前記マザーブロックを切断する、請求項4に記載のコンデンサ素子の製造方法。
- 前記固着層を形成する工程が、前記マザーブロックの前記一方の主表面に樹脂材料を主成分とするペーストを塗布し、塗布した前記ペーストを乾燥させることで前記固着層を形成するものである、請求項1から5のいずれかに記載のコンデンサ素子の製造方法。
- 前記誘電体シートが、セラミックグリーンシートであり、
前記固着層が、無機材料の粉末を含有している、請求項1から6のいずれかに記載のコンデンサ素子の製造方法。 - 前記無機材料の粉末が、前記セラミックグリーンシートを構成する材料よりも高い融点を有している、請求項7に記載のコンデンサ素子の製造方法。
- 前記無機材料の粉末が、酸化ジルコニウム粉末、酸化アルミニウム粉末および酸化マグネシウム粉末からなる群から選択される少なくとも一の粉末を含んでいる、請求項8に記載のコンデンサ素子の製造方法。
- 個片化後の前記積層体チップを焼成することにより、前記樹脂材料を消失させる工程をさらに備えた、請求項1から9のいずれかに記載のコンデンサ素子の製造方法。
- 前記マザーブロックを個片化する工程が、製造すべき前記コンデンサ素子の体格が長さ0.6[mm]、幅0.3[mm]、厚さ0.3[mm]以下の直方体に収まることとなるように、個片化後の前記積層体チップを前記体格に対応した大きさにするものである、請求項1から10のいずれかに記載のコンデンサ素子の製造方法。
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