JP2015076151A - アルカリ乾電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐漏液特性と保存後の放電性能に優れたアルカリ乾電池を提供する。【解決手段】ニッケルメッキ鋼板からなる正極ケース1と、この正極ケースの内部に配置された中空円筒状の正極2と、前記正極の中空部にセパレーター4を介して配置された負極3と、を備えたアルカリ乾電池であって、前記正極ケースの内面のニッケルメッキ層上にニッケル−コバルト合金メッキ層を有し、さらに、このニッケル−コバルト合金メッキ層上に炭素材層10を有し、前記ニッケル−コバルト合金メッキ層の厚さが、0.05〜0.4μmの範囲とし、前記ニッケル−コバルト合金メッキ層のニッケルとコバルトとの合計に対するコバルトの質量比率が、10〜36%の範囲とする。【選択図】図1

Description

本発明はアルカリ乾電池に関し、さらに詳しくは、その正極ケースに関する。
アルカリ乾電池は、さまざまな機器の電源として広く用いられている。昨今の異常気象に対する不安や防災意識の高まりから、非常時の電源として用いられる。そのため、電池を購入してから長期間、未使用のまま保存しておいても液漏れを起こさないように、また、自己消耗を起こさないように、耐漏液特性と保存特性(保存後の放電性能)の向上が求められている。
アルカリ乾電池の発電要素は、正極ケースに収納されている。このアルカリ乾電池の正極ケースは、ニッケルメッキ鋼板から製缶される。その表面には、母材である鉄の腐食を防止するためにニッケルメッキが施されている。しかし、ニッケルメッキは保存中に正極活物質による酸化作用を受け、表面にニッケル酸化物からなる酸化被膜が生成する。この酸化被膜は電気抵抗が大きいため、正極ケースと正極との電気的接触が悪化しアルカリ乾電池の保存後の放電性能が低下してしまう。
特許文献1では、正極ケースとして、予め両面にニッケルメッキ層を形成させた冷間圧延鋼板材の一方の面にニッケル−コバルト合金メッキ層を形成し、その面が内面となるようにプレス絞りしごき加工をすることが提案されている。硬質なニッケル−コバルト合金メッキ層の製缶時のメッキ面のひび割れを形成させ、正極合剤との接触面積が大きくなり、電池内部抵抗を低減させ、保存後の重負荷特性の低下を防止できると述べられている。
特許文献2では、正極ケースの内面にニッケルメッキ層と、その表層にニッケル−コバルト合金層を形成する。前記ニッケル−コバルト合金層は厚さが0.15μm以上、0.25μm以下であるとともに、該当合金中のコバルトの比率が40%以上60%以下とすることが提案されている。そして、正極ケースの内面の粗さが、Ra値で1.0〜1.5μmの範囲が好ましいことが記載されている。こうした構成によって、正極ケースの内面に炭素材層を設けなくても、正極合剤との接触抵抗が増加せず従来と同様の放電性能を維持できると述べられている。
また、特許文献2の0027〜0030段落には、ニッケル−コバルト合金層から溶出したコバルトが負極の亜鉛に析出して、亜鉛の腐食によるガスの発生で漏液の原因となることが開示されている。そして、正極ケースに用いる基材の状態でアルカリ電解液に浸漬した実験によって、ニッケル−コバルト合金層からコバルトが溶出しない範囲(60%以下)が導出されている。
特開2003−17010号公報 特開2012−48958号公報
特許文献1においては、製缶時にメッキ面のひび割れを形成することで、正極との電気的接触が良好となり、保存後の放電性能に優れている。しかしながら、ニッケル−コバルト合金メッキ層のひび割れによる表面積の増大が、コバルトの溶出を助長することとなり、耐漏液特性が悪化してしまうという問題がある。
特許文献2にあっては、ニッケル−コバルト合金メッキ層からコバルトが溶出しない範囲の導出を鑑みると、以下の2点から、耐漏液特性の悪化が予測される。
1点目は、製缶前の基材の表面状態と製缶後の表面状態は、通常異なっていることが考慮されていない点である。製缶加工により、少なからずメッキ面にひび割れが発生することは避けられず、硬質なニッケル−コバルト合金メッキ層であれば、いっそう基材とは異なり、メッキ面のひび割れが発生してしまう。
2点目は、単に基材をアルカリ電解液に浸漬する場合と、電池に構成されて正極の電位が印加された場合とでは、コバルトの溶出状態が大きく異なる点である。当然、後者の方がコバルトは溶出しやすい。
また、特許文献2にあっては、正極ケース内面を覆う炭素材層を具備していない。このため、電池に構成した場合に、コバルトの溶出を十分に防止することができず、優れた耐漏液特性が期待できない。
本発明は上記の課題を鑑み、耐漏液特性と保存後の放電性能に優れたアルカリ乾電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、ニッケルメッキ鋼板からなる正極ケースと、
この正極ケースの内部に配置された中空円筒状の正極と、前記正極の中空部にセパレーターを介して配置された負極と、を備えたアルカリ乾電池であって、前記正極ケースの内面のニッケルメッキ層上にニッケル−コバルト合金メッキ層を有し、さらに、このニッケル−コバルト合金メッキ層上に炭素材層を有し、前記ニッケル−コバルト合金メッキ層の厚さが、0.05〜0.4μmの範囲にあり、前記ニッケル−コバルト合金メッキ層のニッケルとコバルトとの合計に対するコバルトの質量比率が、10〜36%の範囲にあることを特徴とする。
本発明は、製缶時に生じるニッケル−コバルト合金メッキ層のひび割れを抑えて、表面積の増大を防ぐ。さらに、炭素材層によって内表面を被覆することでコバルトの溶出を抑制する。そして、ニッケル−コバルト合金メッキ層によって、正極ケースと正極との電気的接触を良好に保つことができる。これにより、耐漏液性と保存後の放電性能に優れるという効果を奏するものである。
本発明の一実施の形態としてのアルカリ乾電池の一部切欠き断面図である。 図1の正極ケースの拡大模式図である。 ニッケル−コバルト合金メッキ層の厚み、およびニッケルとコバルトとの合計に対するコバルトの質量比率に対する保存後のガス発生量のプロット図である。
本発明によれば、ニッケルメッキ鋼板からなる正極ケースと、この正極ケースの内部に配置された中空円筒状の正極と、前記正極の中空部にセパレーターを介して配置された負極と、を備えたアルカリ乾電池において、前記正極ケースの内面のニッケルメッキ層上にニッケル−コバルト合金メッキ層を設け、さらに、このニッケル−コバルト合金メッキ層上に炭素材層を設け、前記ニッケル−コバルト合金メッキ層の厚さを、0.05〜0.4μmの範囲とし、前記ニッケル−コバルト合金メッキ層のニッケルとコバルトとの合計に対するコバルトの質量比率を、10〜36%の範囲にすることによって、耐漏液性と保存後の放電性能に優れるという効果を奏するものである。
前記ニッケル−コバルト合金メッキ層の厚さを0.4μm以下、前記ニッケル−コバルト合金メッキ層のニッケルとコバルトとの合計に対するコバルトの質量比率を36%以下とすることで製缶時に生じるメッキ面のひび割れを抑制する。これは、製缶時の物理的なダメージを緩和するため、ニッケル−コバルト合金メッキ層を薄く設定するとともに、コバルトの質量比率を低く設定することによりニッケル−コバルト合金メッキ層の硬質化を抑えることができる。
さらに、炭素材層によってメッキ面を被覆することで、前記ニッケル−コバルト合金メッキ層の露出を抑制する。これによりコバルトの溶出が減少し、水素ガス発生を抑制することができる。
前記ニッケル−コバルト合金メッキ層の厚さを、0.05μm以上、前記ニッケル−コバルト合金メッキ層のニッケルとコバルトとの合計に対するコバルトの質量比率を10%以上とすることで、ニッケル−コバルト複合酸化物からなる導電性が高い酸化被膜が生成する。これにより、正極ケースと正極との電気的接触を良好に保つことができる。したがって、本発明のアルカリ乾電池は、耐漏液性と保存後の放電性能に優れる。
前記ニッケル−コバルト合金メッキ層は、意図的にメッキを硬質化させて製缶時のひび割れを促進するような元素を含まないことが好ましい。これらの元素として、銀、クロム、ホウ素が例示できる。
本発明のニッケル−コバルト合金メッキ層は、例えば、ニッケルメッキ鋼板の片面に硫酸ニッケルと硫酸コバルトの混合溶液中で電解メッキを施すことで得られる。その後、不活性雰囲気または還元雰囲気で焼鈍処理を行ってもよい。このニッケルメッキ鋼板をプレス加工により、ニッケル−コバルト合金メッキ層が内側となるように製缶すればよい。
本発明の炭素材層は、例えば黒鉛、カーボンブラックおよび接着剤を溶剤中で混合し、この混合物を正極ケースの内表面に塗布した後、溶剤を蒸発させることで形成するとよい。
ここで、前記ニッケル−コバルト合金メッキ層において、厚さをT(μm)とし、前記ニッケル−コバルト合金メッキ層のニッケルとコバルトとの合計に対するコバルトの質量比率をC(%)とするとき、T≦−0.01C+0.5の関係式を満たすことで、さらに水素ガス発生を抑制することができるため、より好ましい。
ニッケル−コバルト合金メッキ層のニッケルとコバルトとの合計に対するコバルトの質量比率は、例えば、以下の手順で求めることができる。正極ケースを1cm切り取り、蒸留水で正極と炭素材層を洗浄した後、ビーカーに移し、混酸とを混合して、ホットプレートを用いて200℃で10分間混合物を加熱して溶解を行う。なお、ここで用いた混酸は塩酸、硝酸、および蒸留水を1:1:2の質量比で混合した液体である。その後、不溶分を濾別した後、サーモフィッシャー社製のiCAP6300を用いてICP発光分光分析を行い、溶液中のニッケルとコバルトを定量すればよい。ニッケルの定量値をA(g)、コバルトの定量値を(B)gとし、B/(A+B)×100を算出すればよい。
このとき、加熱溶解を行った後の正極ケースを、リガク社製のEDXL300を用いて蛍光X線分析を行い、コバルトが残っていることを確認する必要がある。ニッケル−コバルト合金メッキ層が全て溶解して、下地のニッケル層までも溶解していないかを確認するためである。コバルトが残っていない場合は、前述した混酸への溶解時間を短縮させればよい。
ニッケル−コバルト合金メッキ層の厚さ(μm)は、例えば、以下の手順で求めることができる。正極ケース1を1cm切り取り、蒸留水で正極と炭素材層を洗浄した後、ビーカーに移し、前記混酸とを混合して、ホットプレートを用いて200℃で1時間混合物を加熱し、加熱溶解を行う。その後、不溶分を濾別した後、サーモフィッシャー社製のiCAP6300を用いてICP発光分光分析を行い、溶液中のコバルトを定量すればよい。前記ニッケル−コバルト合金メッキ層のニッケルとコバルトとの合計に対するコバルトの質量比率をD(%)とし、前述したコバルトの定量値をE(g)とし、およびニッケル−コバルト合金メッキ層の密度を8.6g/cmとして、E×(100/D)/8.6×10000を算出すればよい。
このとき、加熱溶解を行った後の正極ケースを、リガク社製のEDXL300を用いて蛍光X線分析を行い、コバルトが残っていないことを確認する必要がある。ニッケル−コバルト合金メッキ層が全て溶解していることを確認するためである。コバルトが残っている場合は、前述した混酸への溶解時間を長くさせればよい。
本発明の一態様において、正極は二酸化チタンを含むことができる。このように構成すると、二酸化チタンが正極缶の内表面のニッケルおよびコバルトと反応し、ニッケル−コバルト−チタンの複合酸化物を形成するため、コバルトの溶出をさらに抑制でき、耐漏液特性を向上させることができる。
具体的構成として、正極に対して二酸化チタンを、1.5質量%以下の範囲で含むとよい。ニッケル−コバルト−チタンの複合酸化物の被膜は、導電性に優れるため、正極ケースと正極との電気的接触を良好に保つことが可能となって、保存後の放電性能もさらに向上させることができる。
アルカリ乾電池から正極中に含有された二酸化チタンを定量する場合は、例えば、以下の手順で定量することができる。正極を取り出し、蒸留水を用い電解液を洗浄し、乾燥させる。これを1.0000g精秤し、前記混酸と混合して、ホットプレートを用いて200℃で1時間混合物を加熱し、加熱溶解を行う。その後、不溶分を濾別した後、サーモフィッシャー社製のiCAP6300を用いてICP発光分光分析を行い、溶液中のチタンを定量すればよい。取り出した正極中に含まれるチタンの比率をF(質量%)とし、チタンおよび二酸化チタンの式量(47.9および79.9)に基き、F×(79.9/47.9)を算出すればよい。
以下に、本発明の一実施形態を、図面を用いてさらに詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形態としてのアルカリ乾電池の一部を断面とした正面図である。図2は、同電池の正極ケースの断面を拡大した説明図である。
後掲する表1に示す条件で、以下の手順1〜6により、図1に示す構造と同様の単3形のアルカリ乾電池(実施例1〜4、比較例1〜2)の作製と評価を行った。
<手順1>正極ケースの作製及び、その内面における炭素材層の形成
母材13にニッケルメッキ層12を形成させたニッケルメッキ鋼板の片面に、任意の硫酸ニッケルと硫酸コバルトの混合溶液中で電解メッキを施し、ニッケル−コバルト合金メッキ層11を形成させた。ついで、前記鋼板をニッケル−コバルト合金メッキ層が内側となるように、有底の円筒形にプレス絞りしごき加工して、正極ケース1を製缶した。このとき、ニッケル−コバルト合金メッキ層11のニッケルとコバルトとの合計に対するコバルトの質量比率を表1に示す値となるように、前記混合溶液中の硫酸ニッケルと硫酸コバルトの濃度を調整した。さらに、ニッケル−コバルト合金メッキ層11の厚さを0.2μmとなるように、前記電解メッキの目付け量を調整した。
黒鉛、カーボンブラック、接着剤であるPVB(ポリビニルブチラール)、および溶剤であるメチルエチルケトンを混合し、炭素材層用混合物を得た。なお、黒鉛、カーボンブラック、接着剤、および溶剤の混合質量比は、18:8:4:70とした。
正極ケース1を回転させながら、この炭素材層用混合物を正極ケース1の内表面に塗布した後、200℃で30秒間乾燥し、溶剤を蒸発させて正極ケース1の内表面に炭素材層10を形成した。このときの塗布量は0.35mg/cmとした。
<手順2>正極の作製
正極活物質である二酸化マンガン、黒鉛、およびアルカリ電解液を質量比94:6:1.5の割合で混合し、フレーク状に圧縮成形した。ついでフレーク状の正極の混合物を粉砕して顆粒状とし、これを篩によって分級し、10〜100メッシュのものを中空円筒状に加圧成形して正極2を得た。アルカリ電解液は、34.5質量%の水酸化カリウムおよび2.0質量%の酸化亜鉛を含む水溶液を用いた。
<手順3>アルカリ乾電池の組み立て
上記で得られた正極ケース1内に、上記で得られた正極2を4個挿入し、加圧治具により正極2を再成形して正極ケース1の内表面の炭素材層10に密着させた。そして、正極ケース1の内部に配置された正極2の中央に有底円筒形のセパレータ4を配置し、セパレータ4内へ、上記アルカリ電解液を所定量注入した。所定時間経過した後、負極3をセパレータ4内へ充填した。
なお、負極3には、ゲル化剤であるポリアクリル酸ナトリウム、アルカリ電解液、および負極活物質である亜鉛合金粉末を、質量比1:35:64の割合で混合したものを用いた。
アルカリ電解液は、34.5質量%の水酸化カリウムおよび2.0質量%の酸化亜鉛を含む水溶液を用いた。
上記亜鉛合金粉末は、Al、Bi、およびInをそれぞれ30、100、および200ppm含むものを用いた。
セパレータ4には、ポリビニルアルコール繊維とレーヨン繊維を主体として混抄した不織布を用いた。
続いて、負極集電子6を負極3の中央に挿入した。なお、負極集電子6には、66ナイロンからなるガスケット5および負極端子を兼ねる底板7を一体化させ、封口ユニット9とした。そして、正極ケース1内の開口端部を、ガスケット5の端部を介して、底板7の周縁部にかしめつけ、正極ケース1の開口部を封口した。最後に、外装ラベル8で正極ケース1の外表面を被覆して、アルカリ乾電池を得た。
<手順4>アルカリ乾電池の耐漏液特性の評価
作製したアルカリ乾電池100個を、80℃の環境下で3ヶ月間保存し、保存後に漏液していた電池の個数を数えた。
<手順5>アルカリ乾電池のガス発生量の評価
作製したアルカリ乾電池100個を、80℃の環境下で2週間保存し、ガス発生量の評価用の電池とした。上記の条件で保存したアルカリ乾電池を、水中で分解し電池内部のガスを水上置換法によりメスシリンダに捕集して測定した。なお、ガス発生量の測定は20±2℃の環境で行った。保存後のガス捕集量をE(ml)、保存前のガス捕集量をF(ml)とし、E−Fによりガス発生量を算出した。なお、0.1ml未満のガス発生量は、測定限界以下である。
<手順6>アルカリ乾電池の保存後の放電性能の評価
作製したアルカリ乾電池を、60℃の環境下で5週間保存し、放電性能の評価用の電池とした。なお、前記の保存条件は常温で10年間の保存に相当すると考えられる。
上記の条件で保存したアルカリ乾電池を、1000mAで連続放電し、閉回路電圧が0.9Vに達するまでの放電持続時間を測定した。なお、放電は20±2℃の環境で行った。
以上による実施例1〜4および比較例1〜2との電池の作製および評価結果を表1に示す。
Figure 2015076151
ニッケル−コバルト合金メッキ層のニッケルとコバルトとの合計に対するコバルトの質量比率が36質量%以下のとき(実施例1〜4)、耐漏液特性に優れていることが判明した。さらに、コバルトの質量比率が30質量%以下では、ガス発生量を見る限り、コバルトの溶出による影響が殆ど見られなかった。
これは、コバルトの質量比率が36質量%以下では、ニッケル−コバルト合金メッキ層のコバルトによる硬質化が進まず、製缶時に生じるメッキ面のひび割れを抑え、さらに炭素材層がメッキ面を被覆することで、コバルトの溶出を抑制できたためと考えられる。
また、コバルトの質量比率が10%以上のとき60℃の環境下で5週間保存後において、放電性能が優れていた。これは、正極缶の内表面にニッケル−コバルト複合酸化物からなる導電性が高い酸化被膜が生成すため、正極ケースと正極との電気的接触を良好に保つことができるためと考えられる。
一方、比較例1の結果より、コバルトの質量比率が50%を越えるとガス発生量が著しく増加し、耐漏液特性が悪化してしまった。これは、コバルトの質量比率が高まればメッキ面が硬くなり、製缶時にメッキ面のひび割れを生じやすい。このような正極缶は表面積が大きくなることや、ひび割れを起こしている部分は酸化被膜に覆われていないため、酸化力の高い正極活物質に酸化されコバルトが溶出しやすい。コバルトが溶出すれば負極で還元析出し、亜鉛の腐食を促進し水素ガスが発生することから、電池内圧が上昇し、漏液を引き起こしたものと考えられる。
また、比較例2の結果より、コバルトの質量比率が5%である場合は、保存後の放電性能が低下してしまった。これは、正極缶の内表面に導電性の低い酸化被膜が生成するため、正極ケースと正極との電気的接触が悪化し、好ましくない。
次に、ニッケル−コバルト合金メッキ層の厚さについて、検討を行った。実施例5〜8、比較例3および4では、ニッケル−コバルト合金メッキ層のニッケルとコバルトとの合計に対するコバルトの質量比率を30%とし、ニッケル−コバルト合金メッキ層の厚さを表2に示すように変化させた以外は、前述の実施例2と同様の方法によりアルカリ乾電池を作製し、電池の評価を行った。その結果を表2に示す。
Figure 2015076151
表2の結果より、ニッケル−コバルト合金メッキ層の厚さが0.4μm以下のとき(実施例2および実施例5〜8)、耐漏液特性に優れることが判明した。これは、ニッケル−コバルト合金メッキ層の厚さを薄く設定することで、製缶時の物理的ダメージを直接的に受けにくくすることができ、製缶時に生じるメッキ面のひび割れを抑えることができると考えられる。
また、比較例4の結果より、ニッケル−コバルト合金メッキ層の厚さが0.5μm越えるとガス発生量が著しく増加し、耐漏液特性が悪化してしまった。これはニッケル−コバルト合金メッキ層の厚みが高まれば、ニッケルメッキ鋼板との加工追従性が悪化して製缶時の物理的ダメージを直接的に受けてしまい、製缶時にメッキ面のひび割れを生じやすくなったためと考えられる。
表2の結果より、ニッケル−コバルト合金メッキ層の厚さが0.05μm以上のとき、60℃の環境下で5週間保存後において、放電性能が優れていた。これは、正極缶の内表面に、ニッケル−コバルト複合酸化物からなる導電性が高い酸化被膜が生成するため、正極ケースと正極との電気的接触を良好に保つことができるためと考えられる。
また、比較例3の結果よりニッケル−コバルト合金メッキ層の厚さが0.02μmの場合は、保存後の放電性能が低下してしまった。これは、正極缶の内表面にニッケル−コバルト複合酸化物からなる導電性が高い酸化被膜が、ニッケルメッキ層を十分に覆うように生成されないため、正極ケースと正極との電気的接触が悪化し、好ましくない。
表1および表2に示した例では、ニッケル−コバルト合金メッキ層の厚さと、ニッケルとコバルトとの合計に対するコバルトの質量比率とを、別々に検討してきた。そこで、次に、この両者を組合わせて、さらに検討を行った。
実施例9〜20では、ニッケル−コバルト合金メッキ層の厚さと、ニッケルとコバルトとの合計に対するコバルトの質量比率を表3に示すように変化させた以外は、前記の実施例と同様の方法によりアルカリ乾電池を作製し、電池の評価を行った。その結果を表3に示す。
Figure 2015076151
表3の結果より、ニッケル−コバルト合金メッキ層の厚さが、0.05〜0.4μmの範囲にあり、前記ニッケル−コバルト合金メッキ層のニッケルとコバルトと合計に対するコバルトの質量比率が、10〜36%の範囲にあるとき、耐漏液特性と保存後の放電性能に優れていることが判明した。
また、さらに、ガス発生量に着目してみると、漏液に至らないまでも、ガス発生量に差異が認められた。そこで、比較例1〜4および実施例1〜20の80℃で2週間保存後のガス発生量について、以下の条件で、縦軸にニッケル−コバルト合金メッキ層の厚さT(μm)を、横軸にニッケルとコバルトとの合計に対するコバルトの質量比率C(%)をとってプロットした結果を図3に示した。
<プロットの条件>
80℃で2週間保存後のガス発生量が測定限界以下の場合:○印
漏液に至らないが有意なガス発生があった場合:△印
漏液が発生した場合:×印
図3より、80℃で2週間保存後のガス発生量が測定限界以下(○印)の、コバルトの溶出による影響をほとんど受けない領域が存在し、その領域は、ニッケル−コバルト合金メッキ層の厚さT(μm)とそのコバルトの質量比率C(%)に相関性があることが判明した。
そして、○印と△印の境界に着目し、(C,T)が(10,0.4)、(20,0.3)および(30,0.2)の3点を直線で結び、T=−0.01C+0.5で表される直線の式を得た。
すなわち、T≦−0.01C+0.5の関係式を満たすとき、水素ガスの発生を著しく抑えることができ、より優れた耐漏液特性を得ることができる。
次に、本発明の改変例に関して説明する。さらに保存後のガス発生量を低減させるため、正極に二酸化チタンを添加することを検討した。二酸化チタンとしてアナターゼ型の二酸化チタンを用い、正極2に対する添加比率(質量%)を表4に示すように変化させた以外は、前述した実施例18と同様の方法によりアルカリ乾電池を作製し、電池の評価を行った。その結果を表4に示す。
Figure 2015076151
実施例21〜25の結果より、正極に二酸化チタンを添加することにより、保存後のガス発生量を低減させることができることが判明した。これは、二酸化チタンが正極缶の内表面のニッケルおよびコバルトと反応し、ニッケル−コバルト−チタンの複合酸化物を形成するため、コバルトの溶出をさらに抑制できると考えられる。
また、この複合酸化物の被膜は、導電性に優れるため、正極ケースと正極との電気的接触を良好に保つことが可能となって、保存後の放電性能もさらに向上させることができた。
しかしながら、正極への二酸化チタンの過度の添加は、正極活物質の相対的な減少による放電性能の低下につながるため、正極に対する二酸化チタンの添加比率は、1.5質量%以下に抑えることが好ましい。
以上のように、本発明のアルカリ乾電池は耐漏液特性と保存後の放電性能に優れており、自然災害等に備える非常用電源として好適に用いることができる。
1 正極ケース
2 正極
3 負極
4 セパレータ
5 ガスケット
6 負極集電子
7 底板
8 外装ラベル
9 封口ユニット
10 炭素材層
11 ニッケル−コバルト合金メッキ層
12 ニッケルメッキ層
13 母材

Claims (4)

  1. ニッケルメッキ鋼板からなる正極ケースと、
    この正極ケースの内部に配置された中空円筒状の正極と、
    前記正極の中空部にセパレーターを介して配置された負極と、
    を備えたアルカリ乾電池であって、
    前記正極ケースの内面のニッケルメッキ層上にニッケル−コバルト合金メッキ層を有し、
    さらに、このニッケル−コバルト合金メッキ層上に炭素材層を有し、
    前記ニッケル−コバルト合金メッキ層の厚さが、0.05〜0.4μmの範囲にあり、
    前記ニッケル−コバルト合金メッキ層のニッケルとコバルトとの合計に対するコバルトの質量比率が、10〜36%の範囲にあることを特徴とするアルカリ乾電池。
  2. 前記ニッケル−コバルト合金メッキ層の厚さをT(μm)とし、
    前記ニッケル−コバルト合金メッキ層のニッケルとコバルトの合計に対するコバルトの質量比率をC(%)とするとき、
    T≦−0.01C+0.5の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載のアルカリ乾電池。
  3. 前記正極が、さらに、二酸化チタンを含むことを特徴とする請求項1に記載のアルカリ乾電池。
  4. 前記正極に対して前記二酸化チタンを1.5質量%以下の範囲で含むことを特徴とする請求項3に記載のアルカリ乾電池。
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