JP2015074563A - 無機物粒子材料含有組成物及びその製造方法 - Google Patents

無機物粒子材料含有組成物及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】含有させる有機溶媒の量を減らすことも可能である無機物粒子材料含有組成物の製造方法を提供すること。
【解決手段】無機物粒子材料と有機溶媒との混合物に対し、ナノメートルサイズのシリカ粒子材料を混合することにより、得られる混合物の粘度を大幅に低下させることができ、その状態で分級を行うことにより精密な分級が実現できることを見出した。本発明は上記知見に基づき完成したものである。本発明の無機物粒子材料含有組成物の製造方法は、無機物粒子材料と、1nm以上100nm以下で且つ前記無機物粒子材料の体積平均粒径よりも小さい体積平均粒径をもつシリカ粒子材料と、有機溶媒とを混合して混合物にする混合工程と、前記混合物を分級する分級工程とを有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、無機物粒子材料含有組成物及びその製造方法に関する。
従来、熱硬化性樹脂などの樹脂中にシリカやアルミナなどからなる無機物粒子材料をフィラーとして分散させた樹脂組成物及びその硬化物が知られている。樹脂中に無機物粒子材料を含有させることにより硬化物の耐熱性を向上したり、物理的強度を向上したりできる。(特許文献1など参照)。ここで、樹脂中にフィラーを混合する目的で有機溶媒中にフィラーを分散させた組成物がある。
特開2011−256243号公報
ところで樹脂組成物中に分散させるフィラーの粒径を精密に制御する必要がある用途が存在する。例えば粒径の制御の1つとして粗大な粒子の含有量を制限することが望まれる場合がある。粒径の制御は一般的に分級操作として実現される。分級操作としては乾式、湿式などの種類があるが、精密に分級を行うためには湿式にて行うことが望ましい。乾式では粒子が凝集して分級が困難であると共に、分級することも可能であっても、微小な粒子においては、その後に樹脂組成物を調製するまでの間に凝集などが進行して大きな粒子が再生されるおそれがあるためである。
分級操作としては所定の目開きが設定され原理的にそれ以上の大きさの粒子が通過できず粗粒の制限が原理的に精密に実行できる篩分けが望ましい。但し、湿式での篩分けは篩分けの対象物の粘度の大小により分級のし易さが大きく変化する。具体的には粘度が小さい方が分級を行いやすい。
無機物粒子材料を湿式にて分級するために添加する有機溶媒は、最終的な用途(例えば樹脂組成物)において必須の成分であれば問題ないが、必須の成分で無いならば、分級した後に除去乃至減少させる必要がある。ここで、いったん含有させた溶媒を除去することは非常に困難である。例えば、含有する溶媒を減圧や加熱により蒸発・除去すると、除去の際に加えられる熱などの影響によって、分散されている無機物粒子材料が凝集して粒径が大きな粒子(粗粒)が生成することがある。また、含有する溶媒をすべて除去するのでは無く、制御された一定の割合の溶媒が残るように除去することを再現性良く行うことは困難である。従って、最初から含有させる溶媒の量を低下させることが望ましい。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、含有させる有機溶媒の量を減らすことも可能である無機物粒子材料含有組成物及びその製造方法を提供することを解決すべき課題とする。
(a)本発明者らは鋭意検討を行った結果、無機物粒子材料と有機溶媒との混合物に対し、ナノメートルサイズのシリカ粒子材料を混合することにより、得られる混合物の粘度を大幅に低下させることができ、その状態で篩分けを行うことにより精密な分級が実現できることを見出した。本発明は上記知見に基づき完成したものである。
本発明の無機物粒子材料含有組成物の製造方法は、無機物粒子材料と、1nm以上100nm以下で且つ前記無機物粒子材料の体積平均粒径よりも小さい体積平均粒径をもつシリカ粒子材料と、有機溶媒とを混合して混合物にする混合工程と、
前記混合物を分級する分級工程と、
を有する。
上述の(a)の発明には以下の(b)〜(e)、(i)のうちの少なくとも1つを加えることができる。(d)の構成を採用する場合には(f)〜(h)のうちの少なくとも1つを加えることができる。(i)の構成を採用する場合には(j)及び(k)のうちの少なくとも一方を加えることができる。
(b)前記混合物における前記有機溶媒の含有量は、前記無機物粒子材料と前記有機溶媒とを前記シリカ粒子材料を除き先に混合したものが前記分級工程で行う分級にて分級可能になる量よりも少ない量である。本構成を採用することにより有機溶媒の添加量を最小限に出来る。
(c)前記分級工程にて行う分級は篩分けである。分級工程で採用しうる分級操作としては篩分け、粒子の沈降速度の差(粒径が大きいほど速く沈降する)を利用して行うもの(沈降は重力により進行させても良いし、遠心力により促進しても良い)が例示できるが、特に目開きの大きさを制御することで分級を高精度で行うことが可能である篩分けによる方法を採用することが望ましい。ここで、篩分けとは一定の目開きをもつ篩を通過するか否かにより分級を行う手段であり、篩としては目開きの大きさが制御されたものであれば充分であり、網、布、不織布、多孔質体、パンチングメタル、粒径を制御した粉粒体を充填したカラムなどが例示できる。
(d)前記混合物は樹脂材料を含有する。樹脂組成物の添加により無機物粒子材料の濃度が低下し粘度が低下するため分級が容易になる。添加した樹脂材料はそのまま樹脂にできる。
(e)前記シリカ粒子材料は、式(1):−OSiXで表される官能基及び式(2):−OSiYで表される官能基と、両官能基が表面に結合するシリカ粒子とからなる。シリカ粒子材料に対して適正な表面処理を行うことにより樹脂材料との親和性が向上できる。結果、シリカ粒子材料を含有させる効果として粘度の低下以外に樹脂組成物の性能向上にも寄与することになる。
(上記式(1)、(2)中;Xはフェニル基、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、イソシアネート基、又はアクリル基であり;X、Xは−OSiR及び−OSiYよりそれぞれ独立して選択され;YはRであり;Y、YはR及び−OSiYよりそれぞれ独立して選択される。YはRであり;Y及びYは、R及び−OSiRからそれぞれ独立して選択され;Rは炭素数1〜3のアルキル基から独立して選択される。なお、X、X、Y、Y、Y、及びYの何れかは、近接する官能基のX、X、Y、Y、Y、及びYの何れかと−O−にて結合しても良い。)
(f)前記式(1)で表される官能基と前記式(2)で表される官能基との存在数比が1:12〜1:60である。
(g)前記Xは前記シリカ粒子材料の単位表面積(nm)あたり0.5〜2.5個である。
(h)前記Rは前記シリカ粒子材料の単位表面積(nm)あたり1〜10個である。
これら(f)〜(h)の構成要素を採用することによりシリカ粒子材料に対して樹脂材料との更に高い親和性を適正に付与することが可能になる。
(i)前記シリカ材料は、水を含む液状媒体中でシランカップリング剤及びオルガノシラザンによってシリカ粒子を表面処理する表面処理工程をもつ表面処理方法により処理され、
前記シランカップリング剤は、3つのアルコキシ基と、フェニル基、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、イソシアネート基、又はアクリル基と、を持ち、
前記シランカップリング剤と前記オルガノシラザンとのモル比は、前記シランカップリング剤:前記オルガノシラザン=1:2〜1:10である。
シリカ粒子材料の表面に適正な官能基を導入することにより樹脂材料との親和性が向上できる。結果、シリカ粒子材料を含有させる効果として粘度の低下以外に樹脂組成物の性能向上にも寄与することになる。
(j)前記表面処理工程は、
前記シリカ粒子を前記シランカップリング剤で処理する第1の処理工程と、
前記シリカ粒子を前記オルガノシラザンで処理する第2の処理工程と、を持ち、
前記第2の処理工程は、前記第1の処理工程後に行う。
(k)前記第2の処理工程において、3つのアルコキシ基と炭素数1〜3のアルキル基とを持つ第2のシランカップリング剤で前記オルガノシラザンの一部を置き換え、
前記第2の処理工程後に、さらに前記シリカ粒子を前記オルガノシラザンで処理する第3の処理工程を持つ。
(l)上記課題を解決する本発明の無機物粒子材料含有組成物は、上述の製造方法にて製造されうる無機物粒子材料含有組成物であって、
前記有機溶媒の含有量は、前記無機物粒子材料と前記有機溶媒とを前記シリカ粒子材料を除き先に混合した混合物に加えたときに、所定の大きさの目開きをもつ篩にて分級可能になる量よりも少ない量であり、
所定粒径以上の粒子である粗粒を実質的に含有しない。
(m)上記課題を解決する無機物粒子材料含有組成物は、無機物粒子材料と、
1nm以上100nm以下で且つ前記無機物粒子材料の体積平均粒径よりも小さい体積平均粒径をもつシリカ粒子材料と、
前記シリカ粒子材料を含有させずに前記無機物粒子材料に加えたときに、所定の大きさの目開きをもつ篩にて分級可能になる量よりも少ない量の有機溶媒と、
を含有し、
前記所定の大きさ以上の粒子である粗粒を実質的に含有しない。
上述の(l)、(m)に開示の本発明の無機物粒子材料含有組成物はシリカ粒子材料無しでは除去できない大きさの粗粒(所定粒径以上の粒子)が実質的に存在しないものである。ここで、有機溶媒を篩分けできる程度に含有させた後に有機溶媒を除去する工程を採用することにより有機溶媒の量を低下させることは可能ではあるものの、有機溶媒を除去する工程により含有する無機物粒子材料の凝集が引き起こされて粗粒の存在量が増加することになり、有機溶媒の含有量を制限した状態で粗粒を実質的に含有しない無機物粒子材料含有組成物を得ることは困難である。
本発明無機物粒子材料含有組成物及びその製造方法は含有させる溶媒の量を減らすことも可能である。
本発明の無機物粒子材料含有組成物について実施形態に基づき以下詳細に説明を行う。本実施形態の無機物粒子材料含有組成物は含有する無機物粒子材料の粒径が適正に制御された状態で安定的に存在することができる。この無機物粒子材料含有組成物は樹脂材料などに混合することにより用いることが出来る。樹脂材料と混合して樹脂組成物にすると、半導体デバイスにおける半導体素子を封止する封止材や、半導体素子と基板との間に充填されるアンダーフィル材などに用いることが出来る。
〔無機物粒子材料含有組成物の製造方法〕
本実施形態の無機物粒子材料含有組成物の製造方法は(A)混合工程と(B)分級工程とその他必要な工程とを有する。混合工程で得られた混合物を分級工程にて分級し含有される粗粒の量を制御する。
(A)混合工程
混合工程では無機物粒子材料とシリカ粒子材料と有機溶媒とを必要な比率になるように混合する。シリカ粒子材料を混合することにより混合物の粘度は低下できるため、混合物において同程度の粘度を実現するためにはシリカ粒子材料を添加したことにより有機溶媒の量を相対的に減らすことが出来る。
無機物粒子材料と有機溶媒とシリカ粒子材料との混合の方法は特に限定しない。例えば、公知の撹拌機・混練機などにより混合分散することができる。また、混合の順序も特に限定されない。
無機物粒子材料と有機溶媒とシリカ粒子材料との混合量は特に限定しない。有機溶媒はできるだけ少ない方が望ましい。例えば無機物粒子材料は、無機物粒子材料と有機溶媒とシリカ粒子材料との混合物の総和を基準として65%以上、更には70%以上や75%以上にすることができる。有機溶媒の量は無機物粒子材料と混合したときに後述する分級工程で分級が出来ないような量にすることが出来る。ここで、分級工程において分級できないとは、分級工程として篩分けを採用する場合にはその採用された篩を通過できない場合、沈降速度の差により分級を行う場合には現実的な時間内(例えば24時間以内)にて1回の分級操作が出来ない場合が例示できる。また、分級できない場合として、粘度が120mPa・s以上の場合を採用することも出来る。好ましい粘度の下限としては、150mPa・s、175mPa・s、200mPa・s、225mPa・s、250mPa・s、275mPa・s、300mPa・s、325mPa・sが例示できる。
ここで、本明細書において提示される粘度は、25℃にした試料に対して振動式粘度計 (ビスコメイトVM-1G、山一電機社製)にて測定した値である。
シリカ粒子材料は混合物の粘度が低下する程度の量を添加することで充分である。ある程度以上の量のシリカ粒子材料を添加してもそれ以上の粘度の低下が認められなくなることが普通であるため、粘度の低下が飽和する程度の量がシリカ粒子材料の添加量の上限として好ましい。例えば、無機物粒子材料と有機溶媒とシリカ粒子材料との混合物の質量の総和を基準として、シリカ粒子材料の添加量は0.01%〜20%程度を採用することが出来る。シリカ粒子材料の添加量の下限としては0.05%、0.10%、0.15%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1.0%を例示でき、上限としては4.5%、4.0%、3.5%、3.0%、2.5%、2.0%が例示できる。
・無機物粒子材料
無機物粒子材料は特に限定しない。例えばシリカ、アルミナ(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)、ゼオライト、酸化チタン(TiO)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(Si)、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸カルシウム(CaTiO)、ほう酸アルミニウム、ボロンナイト、炭酸カルシウム、酸化鉛、酸化すず、酸化セリウム、酸化カルシウム、四酸化三マンガン、酸化マグネシウム、これらの酸化物の複合酸化物、セリウムジルコネイト、カルシウムシリケート、ジルコニウムシリケート、ITO、チタンシリケート、金属を単独又は組み合わせて採用することができる。特に無機物粒子材料は真球度が高いもの(例えば真球度が0.8以上、0.9以上、0.95以上のもの)を採用することが混合物の粘度低下の観点からは望ましい。真球度の測定は、SEMで写真を撮り、その観察される粒子の面積と周囲長から、(真球度)={4π×(面積)÷(周囲長)}で算出される値として算出する。1に近づくほど真球に近い。具体的には画像処理装置(シスメックス株式会社:FPIA−3000)を用い、無作為に抽出した100個の粒子について測定した平均値を採用する。
粘度が低下すれば更にたくさんの無機物粒子材料を含有させることが出来る。無機物粒子材料の粒径は特に限定しないが体積平均粒径が0.1μm〜30μm程度にすることができる。更に望ましい粒径としては上限が20μm、15μm、10μm、5μm、3μm、2μmが例示でき、下限としては0.2μm、0.3μm、0.4μm、0.5μm、0.6μm、0.7μm、0.8μm、1.0μmが挙げられる。更に、混合工程に供する前に分級を行い粗粒をできるだけ除去しておくことが望ましい。
無機物粒子材料は何らかの表面処理が為されていても良い。表面処理を行うことにより後に樹脂材料に混合する際における樹脂材料との親和性を調節したり有機溶媒への分散性を調節したりである。表面処理としては、例えばシランカップリング剤、オルガノシラザンにより表面処理されていることができる。シランカップリング剤やオルガノシラザンは炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、ビニル基、フェニル基など)、OH基、アミノ基、有機酸基(カルボキシ基など)、エポキシ基、グリシドキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、スチリル基、アルコキシ基、ウレイド基、イソシアネート基、スルフィド基、メルカプト基などの官能基を有することが出来る。更に、後述するシリカ粒子材料において列挙するシランカップリング剤やオルガノシラザンを採用することも出来る。
・有機溶媒
有機溶媒としては特に限定しない。メチルエチルケトン、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノールなど)、アセトン、アセトニトリル、ヘキサン、キシレン、トルエン、エーテル(ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなど)、有機酸(酢酸、ギ酸など)、カーボネート、酢酸アルキル(酢酸メチル、酢酸エチルなど)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
・シリカ粒子材料
シリカ粒子材料としては以下の「第1形態」又は「第2形態」の構成をもつ。なお、第1形態及び第2形態とでは、無機物粒子材料よりも小さな粒径をもつシリカ粒子材料を添加しているとの発明の思想自体としては差異が無い。
(第1形態)
シリカ粒子材料は体積平均粒径が1nm〜100nmのシリカからなる粒子である原料シリカに対して、表面処理を行った材料である。原料シリカの粒径としては望ましくは2nm以上であり、特に望ましくは5nm以上であり、10nm以上が更に望ましい。また、100nm以下が望ましく、50nm以下が更に望ましい。
(第2形態)
シリカ粒子材料は粒径が100nm以下である。この場合にシリカ粒子材料の混合割合は、前記無機物粒子材料及び前記シリカ粒子材料の全体の質量を基準として、0.1%超50%未満である。粒径で規定しているのは無機物粒子材料としてシリカからなるものを採用したときに区別ができにくいため、単純に粒径のみで峻別できるようにするためである。好ましいシリカ粒子材料の含有量の下限としては、1.0%、1.5%、2.0%、3.0%、4.0%、5.0%、6.0%、7.0%、8.0%、9.0%、10.0%、12.5%、15.0%が例示できる。
(第1形態及び第2形態2の共通の特徴)
シリカ粒子材料の表面はシランカップリング剤とオルガノシラザンとで処理されている。
シリカ粒子材料は真球度が高い方が流動性が向上するため望ましい。真球度としては0.8以上にすることが望ましく、0.9以上にすることが更に望ましい。
シリカ粒子材料はイソプロパノール、PMG、MEK、酢酸エチル、及びトルエンからなる群より選択される1種又は2種以上の分散媒に全体の質量を基準として10質量%分散させた分散液100mLに対して超音波を5分間照射した後、JISP3801規格の5種Cのろ紙で吸引ろ過したときに95%以上が通過するものである。この試験により、分散液中での分散性が評価できる。5種Cのろ紙は微細沈殿用のろ紙であり、高度な分散が為されないと透過しない。
シリカ粒子材料に対してこのような分散性をもたせる方法としてはシランカップリング剤とオルガノシラザンとの併用を行うこと以外は特に限定しないが、例えば、その1、その2に後述する方法(併用しても良い)が挙げられる。
(その1)
シリカ粒子材料は、式(1):−OSiXで表される官能基と、式(2):−OSiYで表される官能基とが表面に結合したシリカ粒子材料である。以下、式(1)で表される官能基を第1の官能基と呼び、式(2)で表される官能基を第2の官能基と呼ぶ。これらの官能基のうちの少なくとも一部が前述した屈折率が1.46以上であるか1.42以下のシランカップリング剤由来の官能基である。これらの官能基としてフェニル基やフェニル基に他の官能基を導入したものなどの芳香族系の官能基をもつものを導入すれば屈折率が大きくなり、アルキル基、ビニル基、フッ化炭素基などのバルキーな官能基を導入すると屈折率が小さくなる。
第1の官能基におけるXは、フェニル基、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、イソシアネート基、又はアクリル基である。X、Xは、それぞれ、−OSiR又は−OSiYである。YはRである。Y、Yは、それぞれ、R又は−OSiRである。
第2の官能基におけるYはRである。Y、Yは、それぞれ、−OSiR又は−OSiYである。
第1の官能基及び第2の官能基に含まれる−OSiRが多い程、シリカ粒子材料の表面にRを多く持つ。第1の官能基及び第2の官能基に含まれるR(炭素数1〜3のアルキル基)が多い程、シリカ粒子材料は凝集し難い。
第1の官能基に関していえば、X、Xがそれぞれ−OSiRである場合に、Rの数が最小となる。また、X及びXがそれぞれ−OSiYであり、かつ、Y、Yがそれぞれ−OSiRである場合に、Rの数が最大となる。
第2の官能基に関していえば、Y、Yがそれぞれ−OSiRである場合に、Rの数が最小となる。また、Y及びYがそれぞれ−OSiYであり、かつ、Y、Yがそれぞれ−OSiRである場合に、Rの数が最大となる。
第1の官能基に含まれるXの数、第1の官能基に含まれるRの数、第2の官能基に含まれるRの数は、RとXとの存在数比や、シリカ粒子材料の粒径や用途に応じて適宜設定すれば良い。
なお、X、X、Y、Y、Y、及びYの何れかは、隣接する官能基のX、X、Y、Y、Y、及びYの何れかと−O−にて結合しても良い。例えば、第1の官能基のX、X、Y、及びYの何れかが、この第1の官能基に隣接する第1の官能基のX、X、Y、及びYの何れかと−O−にて結合していても良い。同様に、第2の官能基のY、Y、Y、及びYの何れかが、この第2の官能基に隣接する第2の官能基のY、Y、Y、及びYの何れかと−O−にて結合していても良い。さらには、第1の官能基のX、X、Y、及びYの何れかが、この第1の官能基に隣接する第2の官能基のY、Y、Y、及びYの何れかと−O−にて結合していても良い。
第1の官能基と第2の官能基との存在数比が1:12〜1:60であれば、シリカ粒子材料の表面にXとRとがバランス良く存在する。このため、第1の官能基と第2の官能基との存在数比が1:12〜1:60であるシリカ粒子材料は、樹脂に対する親和性及び凝集抑制効果に特に優れる。また、Xがシリカ粒子材料の単位表面積(nm)あたり0.5〜2.5個であれば、シリカ粒子材料の表面に充分な数の第1の官能基が結合し、第1の官能基及び第2の官能基に由来するRもまた充分な数存在する。従ってこの場合にも、樹脂に対する親和性及びシリカ粒子材料の凝集抑制効果が充分に発揮される。
何れの場合にも、シリカ粒子材料の単位表面積(nm)あたりのRは、1個〜10個であるのが好ましい。この場合には、シリカ粒子材料の表面に存在するXの数とRの数とのバランスが良くなり、樹脂に対する親和性及びシリカ粒子材料の凝集抑制効果との両方がバランス良く発揮される。
シリカ粒子の表面に存在していた水酸基の全部が第1の官能基又は第2の官能基で置換されていることが好ましい。第1の官能基と第2の官能基との和が、シリカ粒子材料の単位表面積(nm)あたり2.0個以上であれば、シリカ粒子材料において、シリカ粒子の表面に存在していた水酸基のほぼ全部が第1の官能基又は第2の官能基で置換されているといえる。
シリカ粒子材料は、表面にRを持つ。これは、赤外線吸収スペクトルによって確認できる。詳しくは、シリカ粒子材料の赤外線吸収スペクトルを固体拡散反射法で測定すると、2962±2cm−1にC−H伸縮振動の極大吸収がある。このため、本実施形態の無機粉体混合物がもつシリカ粒子材料であるか否かは、赤外線吸収スペクトルによって確認できる。
また、上述したように本発明の無機粉体混合物がもつシリカ粒子材料は凝集し難い。従って、シリカ粒子材料としては粒径の小さなものに採用できる。例えば、シリカ粒子材料は、平均粒径3nm〜5000nm程度にできる。平均粒径3〜200nmのシリカ粒子材料に適用するのが好ましい。
なお、シリカ粒子材料は、例え僅かに凝集した場合にも、超音波処理することによって再度分散可能である。詳しくは、シリカ粒子材料をメチルエチルケトンに分散させたものに、発振周波数39kHz、出力500Wの超音波を照射することで、シリカ粒子材料を実質的に一次粒子にまで分散できる。このときの超音波照射時間は10分間以下で良い。シリカ粒子材料が一次粒子にまで分散したか否かは、粒度分布を測定することで確認できる。詳しくは、このシリカ粒子材料のメチルエチルケトン分散材料をマイクロトラック装置等の粒度分布測定装置で測定し、シリカ粒子材料の粒度分布があれば、シリカ粒子材料が一次粒子にまで分散したといえる。
このシリカ粒子材料は、凝集し難いため、水やアルコール等の液状媒体に分散されていないシリカ粒子材料として提供できる。また、シリカ粒子材料は凝集し難いために、水で容易に洗浄できる。
(その2)
その1に示すシリカ粒子材料に代えて、以下に示す表面処理を行ったシリカ粒子材料を採用することもできる。なお、以下の方法によりシリカ粒子材料(その1)を得ることもできるため、その1とその2とは排他的なものではない。
シリカ粒子材料の表面処理方法は、水を含む液状媒体中で、シランカップリング剤及びオルガノシラザンによってシリカ粒子を表面処理する工程(表面処理工程)を持つ。シランカップリング剤は、3つのアルコキシ基と、フェニル基、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、イソシアネート基、又はアクリル基(すなわち上記のX)とを持つ。
シランカップリング剤で表面処理することで、シリカ粒子の表面に存在する水酸基がシランカップリング剤に由来する官能基で置換される。表面処理を行うシランカップリング剤の量は特に限定しないが、処理前のシリカ粒子材料の表面にあるシラノール基について80%以上反応できる量とすることができる。特に反応前のシリカ粒子材料の表面にシラノール基が2.5個/nm程度存在するときには80%以上反応させることで残存するシラノール基が0.5個/nm以下にすることができ脱水反応による水分発生量を充分に抑制できる。シランカップリング剤に由来する官能基は式(3);−OSiXで表される。式(3)で表される官能基を第3の官能基と呼ぶ。第3の官能基におけるXは式(1)で表される官能基におけるXと同じである。X、Xは、それぞれ、アルキコキシ基である。オルガノシラザンで表面処理することで、第3の官能基のX、Xがオルガノシラザンに由来する−OSiY(式(2)で表される官能基、第2の官能基)で置換される。シリカ粒子の表面に存在する水酸基の全てが第3の官能基で置換されていない場合には、シリカ粒子の表面に残存する水酸基が第2の官能基で置換される。このため、表面処理されたシリカ粒子材料の表面には、式(1):−OSiXで表される官能基(すなわち第1の官能基)と、式(2):−OSiYで表される官能基と(すなわち第2の官能基)が結合する。なお、シランカップリング剤とオルガノシラザンとのモル比は、シランカップリング剤:オルガノシラザン=1:2〜1:10であるため、得られたシリカ粒子材料における第1の官能基と第2の官能基との存在数比は理論上1:12〜1:60となる。
表面処理工程においては、シリカ粒子をシランカップリング剤及びオルガノシラザンで同時に表面処理しても良い。又は、先ずシリカ粒子をシランカップリング剤で表面処理し、次いでオルガノシラザンで表面処理しても良い。又は、先ずシリカ粒子をオルガノシラザンで表面処理し、次いでシランカップリング剤で表面処理し、さらにその後にオルガノシラザンで表面処理しても良い。何れの場合にも、シリカ粒子の表面に存在する水酸基全てが第2の官能基で置換されないように、オルガノシラザンの量を調整すれば良い。なお、シリカ粒子の表面に存在する水酸基は、全てが第3の官能基で置換されても良いし、一部のみが第3の官能基で置換され、他の部分が第2の官能基で置換されても良い。第3の官能基に含まれるX、Xは、全て第2の官能基で置換されるのが良い。
なお、オルガノシラザンの一部を、第2のシランカップリング剤で置き換えても良い。第2のシランカップリング剤としては、3つのアルコキシ基と、1つのアルキル基とを持つものを用いることができる。この場合には、第3の官能基に含まれるX、Xが、第2のシランカップリング剤に由来する第4の官能基で置換される。第4の官能基は式(4);−OSiYで表される。Yは第2の官能基におけるYと同じRであり、X、Xはそれぞれアルコキシ基又は水酸基である。第4の官能基に含まれるX、Xは、オルガノシラザンに由来する第2の官能基で置換されるか、又は、別の第4の官能基で置換される。この場合には、シリカ粒子材料の表面に存在するRの量をさらに多くする事ができる。なお、オルガノシラザンの一部を、第2のシランカップリング剤に置き換える場合、第2のシランカップリング剤で表面処理した後に、再度オルガノシラザンで表面処理する必要がある。第4の官能基に含まれるX、Xを、最終的にはオルガノシラザンに由来する第2の官能基で置換するためである。
オルガノシラザンの一部を第2のシランカップリング剤で置き換える場合、上述した第1の官能基に含まれるX、Xは、オルガノシラザンに由来する第2の官能基で置換されるか、第2のシランカップリング剤に由来する第4の官能基で置換される。X、Xが第4の官能基で置換された場合、第4の官能基に含まれるX、Xは、第2の官能基で置換されるか、別の第4の官能基によって置換される。第4の官能基に含まれるX、Xが別の第4の官能基によって置換された場合、第4の官能基に含まれるX、Xは、第2の官能基で置換される。このため第2のシランカップリング剤は、第1のカップリング剤及びオルガノシラザンのみで表面処理する場合(オルガノシラザンを第2のシランカップリング剤で置き換えなかった場合)に設定されるオルガノシラザンの量(a)molに対して、最大限5a/3mol置き換えることができる。この場合に必要になるオルガノシラザンの量は、8a/3molである。
シランカップリング剤及び第2のシランカップリング剤のアルコキシ基は特に限定しないが、比較的炭素数の小さなものが好ましく、炭素数1〜12であることが好ましい。アルコキシ基の加水分解性を考慮すると、アルコキシ基はメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基の何れかであることがより好ましい。
シランカップリング剤として、具体的には、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられ、その中でも前述の屈折率の範囲に入るシランカップリング剤を1種は採用する。
オルガノシラザンとしては、シリカ粒子の表面に存在する水酸基及びシランカップリング剤に由来するアルコキシ基を、上述した第2の官能基で置換できるものであれば良いが、分子量の小さなものを用いるのが好ましい。具体的には、テトラメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン、ペンタメチルジシラザン等が挙げられる。
第2のシランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
なお、表面処理工程において、シランカップリング剤の重合や第2のシランカップリング剤の重合を抑制するため、重合禁止剤を加えても良い。重合禁止剤としては、3,5−ジブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、p−メトキシフェノール(メトキノン)等の一般的なものを用いることができる。
シリカ粒子材料を得るための表面処理について説明する。本表面処理方法は、表面処理工程後に固形化工程を備えても良い。固形化工程は、表面処理後のシリカ粒子材料を鉱酸で沈殿させ、沈殿物を水で洗浄・乾燥して、シリカ粒子材料の固形物を得る工程である。上述したように、一般的なシリカ粒子材料は非常に凝集し易いため、一旦固形化したシリカ粒子材料を再度分散するのは非常に困難である。しかし、シリカ粒子材料は凝集し難いため、固形化しても凝集し難く、また、例え凝集しても再分散し易い。なお、上述したように、シリカ粒子材料を水で洗浄することで、電子部品等の用途に用いられるシリカ粒子材料を容易に製造できる。なお、洗浄工程においては、シリカ粒子材料の抽出水(詳しくは、シリカ粒子材料を121℃で24時間浸漬した水)の電気伝導度が50 μS/cm以下となるまで、洗浄を繰り返すのが好ましい。
固形化工程で用いる鉱酸としては塩酸、硝酸、硫酸、リン酸などが例示でき、特に塩酸が望ましい。鉱酸はそのまま用いても良いが、鉱酸水溶液として用いるのが好ましい。鉱酸水溶液における鉱酸の濃度は0.1質量%以上が望ましく、0.5質量%以上が更に望ましい。鉱酸水溶液の量は、洗浄対象であるシリカ粒子材料の質量を基準として6〜12倍程度にすることができる。
鉱酸水溶液による洗浄は複数回数行うことも可能である。鉱酸水溶液による洗浄はシリカ粒子材料を鉱酸水溶液に浸漬後、撹拌することが望ましい。また、浸漬した状態で1時間から24時間、更には72時間程度放置することができる。放置する際には撹拌を継続することもできるし、撹拌しないこともできる。鉱酸含有液中にて洗浄する際には常温以上に加熱することもできる。
その後、洗浄して懸濁させたシリカ粒子材料をろ取した後、水にて洗浄する。使用する水はアルカリ金属などのイオンを含まない(例えば質量基準で1ppm以下)ことが望ましい。例えば、イオン交換水、蒸留水、純水などである。水による洗浄は鉱酸水溶液による洗浄と同じく、シリカ粒子材料を分散、懸濁させた後、ろ過することもできるし、ろ取したシリカ粒子材料に対して水を継続的に通過させることによっても可能である。水による洗浄の終了時期は、上述した抽出水の電気伝導度で判断しても良いし、シリカ粒子材料を洗浄した後の排水中のアルカリ金属濃度が1ppm以下になった時点としても良いし、抽出水のアルカリ金属濃度が5ppm以下になった時点としても良い。なお、水で洗浄する際には常温以上に加熱することもできる。
シリカ粒子材料の乾燥は、常法により行うことができる。例えば、加熱や、減圧(真空)下に放置する等である。
・その他
混合物には樹脂材料を含有させることができる。樹脂材料の添加により、溶媒とシリカとの比率を維持したまま混合物の粘度を低下させることができる。なお、樹脂材料の添加が増えるに従って粘度がいったん下がった後(粘度の極小値をもった後)、粘度が増加する傾向を示すことが多い。そのため樹脂材料の添加量としては粘度の極小値近傍になるようにすることが望ましい。
樹脂材料としては前述の有機溶媒に溶解乃至混合できるものであれば良い。つまり、混合物を形成したときに流動性をもつものであればよい。例えば、最初から液状の樹脂材料や溶解により流動性をもつようになる材料が採用できる。具体的には熱可塑性樹脂や、後に行われる硬化反応により硬化する前の材料であっても良い。
具体的には高分子材料及び/又は高分子材料の前駆体とを有する。高分子材料前駆体は高分子又は低分子の材料であり、更に反応が進行することにより分子量が増大したり、架橋が進行したりして硬化物を形成できる材料である。高分子材料、並びに、高分子材料前駆体により形成される硬化物は熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などの一般的な樹脂材料が例示できる。高分子材料前駆体は、エポキシ基、オキセタン基、水酸基、ブロックされたイソシアネート基、アミノ基、ハーフエステル基、アミック基、カルボキシ基、及び炭素-炭素二重結合基を化学構造中に有することが望ましい。これらの官能基は好適な反応条件を設定することで互いに結合可能な官能基(重合性官能基)であり、混合材料の分子量を向上できる。好適な反応条件としては単純に加熱や光照射を行ったり、熱や光照射によりラジカルやイオン(アニオン、カチオン)などの反応性種を生成したり、それらの官能基間を結合する反応開始剤(重合開始剤)を添加して加熱や光照射を行うことなどである。重合反応に際して必要な化合物を硬化剤として添加したり、その反応に対する触媒を添加することもできる。
高分子材料前駆体としては重合により高分子材料を形成する単量体や、上述したような重合性官能基により修飾した高分子材料が好ましいものとして挙げられる。例えば、硬化前の、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などのプレポリマーが好適である。
シリカ粒子材料や無機物粒子材料の表面処理を行うシランカップリング剤やオルガノシラザンとしては樹脂材料として選択した材料に応じて選択されることが望ましい。例えば、その樹脂材料に親和性をもつ官能基をシリカ粒子材料の表面に付与することができる。
実際に実験により効果を確認した組み合わせについて以下に説明する。すなわち、混合することにより粘度が低下する樹脂材料と有機溶媒との組み合わせとしては、(1)有機溶媒としてのトルエンと樹脂材料としてのシリコーン樹脂(液状)、(2)有機溶媒としてのメチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)、及びメチルイソブチルケトン(MIBK)のうちの少なくとも1つと、樹脂材料としてのアクリル樹脂(液状)及び/又はメタクリル樹脂(液状)、(3)有機溶媒としてのN-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)のうちの少なくとも1つと、樹脂材料としてのポリイミド(液状)、(4)有機溶媒としてのMIBK及び/又はPGMと、樹脂材料としてのエポキシ樹脂(固形)、の組み合わせが例示できる。この組み合わせの樹脂材料を添加することにより無機物粒子材料と有機溶媒との混合物よりも粘度が低下する。
このような結果から、有機溶媒と樹脂材料との組み合わせのうち、樹脂材料が有機溶媒に溶解可能であるものであれば、本発明に使用できるものと考えられる。ここで、無機物粒子材料の表面について、採用した有機溶媒及び/又は樹脂材料の種類に応じて表面処理を行う(つまり親和性が向上するように、同種及び/又は反応する官能基を導入したり、同じような疎水性/親水性が実現できるような官能基を導入する)ことが望ましい。
(B)分級工程
分級工程は混合工程で得られた混合物を分級する工程で有り、分級操作については特に限定しない。分級操作としては篩分け、沈降速度の違いを利用する方法などが挙げられる。篩分けを採用した場合には混合物を篩に通過させる工程になる。篩としては除去したい粒径をもつ粒子(粗粒)が除去できるように目開きが設定される。例えば5μm以上の粒径をもつ粒子を粗粒とすると粗粒が通過できない目開き(篩の種類や精度により異なる)をもつ篩を用いる。篩を通過させる回数は任意である。また、目開きの大きい篩を通過させた後、それよりも目開きの小さい篩を用いて通過させることにより、より確実に粗粒を除去することが出来る。篩の形態としては網目状のもの、板に孔を形成したもの、繊維を集積した不織布のようなものが例示できる。
沈降速度の違いを利用する方法としては混合物を調製後、静置して重力により沈降させる方法、回転させて遠心力により沈降速度を向上する方法などがある。粒径が大きな粒子ほど速く沈降するため、目的の粒径以上の粒子(粗粒)が一定以上沈降するまで沈降を行ってその後、粗粒が含まれなくなった領域を分取することにより分級を行う。
これらの分級操作を何回か繰り返すことにより、より精密な分級が実現できる。
〔無機物粒子材料含有組成物〕
・その1
本実施形態の無機物粒子材料含有組成物は、上述した無機物粒子材料含有組成物の製造方法にて製造されうる無機物粒子材料含有組成物である。そして、有機溶媒の含有量は、無機物粒子材料と有機溶媒とをシリカ粒子材料を除き先に混合した混合物に加えたときに、所定の大きさの目開きをもつ篩にて分級可能になる量よりも少ない量である。更に、所定粒径以上の粒子である粗粒を実質的に含有しない。
有機溶媒の量を上述の範囲(シリカ粒子材料を混合しない場合に所定の粒径以上の目開きをもつ篩を用いた分級が出来る量よりも少ない量)を超える量にした状態で分級を行い、その分級後に有機溶媒を除去する方法を採用している場合には分級により除去された粗粒が再生されてしまう。そのため、有機溶媒の量について上述の範囲に制限した状態で粗粒を実質的に含まない組成物は今まで存在しないものであった。ここで粗粒を実質的に含まないとは無機物粒子材料の質量を基準として5ppm以下、望ましくは3ppm以下、更には1ppm以下、特に望ましくは検出限界以下であることを意味する(以下同じ)。
本実施形態の無機物粒子材料含有組成物が含む無機物粒子材料、有機物、シリカ粒子材料の形態、種類、含有量については上述した製造方法において説明したものがそのまま採用可能であるため更なる説明は省略する。樹脂材料を含有しても良い。
・その2
本実施形態の無機物粒子材料含有組成物は無機物粒子材料とシリカ粒子材料と有機溶媒とを含有する。無機物粒子材料、シリカ粒子材料、有機溶媒の種類や形態については上述の製造方法にて説明したものがそのまま採用可能であるため更なる説明は省略する。樹脂材料を含有しても良い。
有機溶媒の量は、シリカ粒子材料を含有させずに無機物粒子材料と有機溶媒とを混合したときに、所定の大きさの目開きをもつ篩にて分級可能になる有機溶媒の量よりも少ない量にする。その上で、その所定の大きさ以上の粒子である粗粒を実質的に含有しない。
その1においても説明したが、有機溶媒の量を上述の範囲(シリカ粒子材料を混合しない場合に所定の粒径以上の目開きをもつ篩を用いた分級が出来る量よりも少ない量)を超える量にした状態で分級を行い、その分級後に有機溶媒を除去する方法を採用している場合には分級により除去された粗粒が再生されてしまう。そのため、有機溶媒の量について上述の範囲に制限した状態で粗粒を実質的に含まない組成物は今まで存在しえないものであった。
以下、本発明の無機物粒子材料含有組成物について実施例に基づき詳細に説明する。シリカ粒子材料としては後述の試験例1のシリカ粒子材料を用いた。
・試験例A
無機物粒子材料としての球状シリカ(アドマファインSO−C2、粒径0.5μm)、有機溶媒としてのメチルエチルケトン、試験例1のシリカ粒子材料を混合して混合物を得た(混合工程)。混合割合としては、無機物粒子材料とシリカ粒子材料との和が全体の質量を基準として80%になるようにした(つまり有機溶媒が20%)。
無機物粒子材料とシリカ粒子材料との比は試験例A−1が100:0、試験例A−2が97:3、試験例A−3が95:5、試験例A−4が90:10、試験例A−5が85:15とした。その後、分級工程として目開きが5μmの篩を通過させることを想定した。今回の篩の目開きにおいては速やかに篩が通過できる混合物の粘度としては120mPa・s以下であることが望ましいことを本発明者らは知見として得ている。
そこで各試験例の混合物について分級工程を行う前に粘度を測定した。結果、試験例A−1が300mPa・s、試験例A−2が64mPa・s、試験例A−3が90mPa・s、試験例A−4が460mPa・s、試験例A−5が1400mPa・sであった。
従って、分級工程に供するのに望ましいのは試験例A−2及びA−3であることが分かった。また、粘度が120mPa・sを下回ると思われるのは無機物粒子材料:シリカ粒子材料が98:2〜93:7の範囲であることが分かった。ここで、シリカ粒子材料として体積平均粒径が50nmであること以外は後述の試験例1と同様の方法にて調製したものを用いた場合、シリカ粒子材料の添加量が、無機物粒子材料及びシリカ粒子材料の総量を基準として20%以下の範囲(無機物粒子材料:シリカ粒子材料が80:20までの範囲)まで粘度が120mPa・s以下になることを確認している。
更に試験例A−1〜5について篩分けを行ったところ、試験例A−2、A−3のみが満足のいく篩分けが実現でき、他の試験例の試料については過大な時間が篩分けに必要であった。篩分けが完了できた試験例A−2、A−3の試料については粗粒の存在が1ppm以下であった。有機溶媒を大量に添加することで粘度を低下させた試料については有機溶媒の除去により無機物粒子材料の凝集が進行して粗粒が再生した。
・試験例1:シリカ粒子材料の調製
原料シリカとして、水ガラスから合成したナノサイズのコロイダルシリカ(体積平均粒径10nm、水中に分散されており固形分濃度20%)を準備した。
アルコールとして、イソプロパノールを準備した。
シランカップリング剤として、メタクリルシランを準備した。
オルガノシラザンとして、ヘキサメチルジシラザン(HMDS、信越化学工業株式会社製、HDMS−1)を準備した。
(表面処理工程)
(1)準備工程
シリカ粒子が20質量%の濃度で水に分散したスラリー100質量部にイソプロパノール60質量部を加え、室温(約25℃)で混合することで、原料シリカが液状媒体に分散されてなる分散液を得た。
(2)第1工程
この分散液にビニルシラン2.0質量部を加え、40℃で72時間混合した。この工程により、原料シリカの表面に存在する水酸基をシランカップリング剤で表面処理した。なお、このときビニルシランは、必要な量の水酸基(一部)が表面処理されず残存するように計算して加えた。
(3)第2工程
次いで、この混合物に、ヘキサメチルジシラザン4.3質量部を加え、40℃で72時間放置した。この工程によって、シリカ粒子が表面処理され、シリカ粒子材料が得られた。表面処理の進行に伴い、疎水性になったシリカ粒子が水及びイソプロパノールの中で安定に存在できなくなり、凝集・沈殿した。なお、ビニルシランとヘキサメチルジシラザンとのモル比は1:2であった。
(固形化工程)
表面処理工程で得られた混合物全量に35%塩酸水溶液を5質量部を加え、シリカ粒子材料を沈殿させた。沈殿物をろ紙(アドバンテック社製 5A)で濾過した。濾過残渣(固形分)を純水で洗浄した後に200℃で2時間真空乾燥して、シリカ粒子材料の固形物(シリカ粒子材料)を得た。シリカ粒子材料の表面には処理前には2.5個/nmのシラノール基が存在し、そのシラノール基の約70%がこれらの処理によって消費された。
・フィラー
一次粒子の体積平均粒径0.25μm、二次粒子の体積平均粒径1μmの酸化チタンをフィラーとして用いた。
・沈降試験用試料の調製
液状組成物としてメチルエチルケトン(MEK)を用いた。全体の質量に対して酸化チタンを5%になるように分散させ、更に前述のシリカ粒子材料をフィラー(酸化チタン)の質量を基準として、0%(試験例1:フィラーとシリカ粒子材料とを合わせた全体の質量を基準として0%)、15%(試験例2:フィラーとシリカ粒子材料とを合わせた全体の質量を基準として約13%)、30%(試験例3:フィラーとシリカ粒子材料とを合わせた全体の質量を基準として約23.1%)、50%(試験例4:フィラーとシリカ粒子材料とを合わせた全体の質量を基準として約33.3%)とし、均一に撹拌した。これらの試験試料を4日間放置した結果、試験試料1及び2については二層に分離しており、フィラーの沈殿が認められたのに対して試験試料3及び4では均一な状態の1層のままであり沈殿防止効果が認められた。
試験試料1〜4についてそれぞれ粘度を測定した(回転式粘度計)。結果を試験試料1(濃度0%)を1としたときの相対値で示す。試験試料2は1.1、試験試料3は1.1、試験試料4は1.7であった。
・参考試験
(参考試験例1)
(材料)
シリカ粒子として、コロイダルシリカの一種であるスノーテックスOS(日産化学工業株式会社製、平均粒径10nm、水中に分散されており固形分濃度20%)を準備した。
アルコールとして、イソプロパノールを準備した。
シランカップリング剤として、フェニルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM−103)を準備した。
オルガノシラザンとして、ヘキサメチルジシラザン(HMDS、信越化学工業株式会社製、HDMS−1)を準備した。
(表面処理工程)
(1)準備工程
シリカ粒子が20質量%の濃度で水に分散したスラリー100質量部にイソプロパノール60質量部を加え、室温(約25℃)で混合することで、シリカ粒子が液状媒体に分散されてなる分散液を得た。
(2)第1工程
この分散液にフェニルトリメトキシシラン1.8質量部を加え、40℃で72時間混合した。この工程により、シリカ粒子の表面に存在する水酸基をシランカップリング剤で表面処理した。なお、このときフェニルトリメトキシシランは、必要な量の水酸基(一部)が表面処理されず残存するように計算して加えた。
(3)第2工程
次いで、この混合物に、ヘキサメチルジシラザン3.7質量部を加え、40℃で72時間放置した。この工程によって、シリカ粒子が表面処理され、シリカ粒子材料が得られた。表面処理の進行に伴い、疎水性になったシリカ粒子が水及びイソプロパノールの中で安定に存在できなくなり、凝集・沈殿した。なお、フェニルトリメトキシシランとヘキサメチルジシラザンとのモル比は2:5であった。
(固形化工程)
表面処理工程で得られた混合物全量に35%塩酸水溶液を5質量部を加え、シリカ粒子材料を沈殿させた。沈殿物をろ紙(アドバンテック社製 5A)で濾過した。濾過残渣(固形分)を純水で洗浄した後に100℃で真空乾燥して、シリカ粒子材料の固形物を得た。
(参考試験例2)
参考試験例2のシリカ粒子の表面処理方法は、フェニルトリメトキシシランにかえてビニルトリメトキシシランを用い、ビニルトリメトキシシランとヘキサメチルジシラザンとのモル比が2:5であったこと以外は、試験例5のシリカ粒子の表面処理方法と同じである。第1工程においては、ビニルトリメトキシシラン1.36質量部を加え、第2工程においてはヘキサメチルジシラザン3.7質量部を加えた。
なおビニルトリメトキシシランとしては、信越化学工業株式会社製 KBM−1003を用いた。
(参考試験例3)
参考試験例3のシリカ粒子の表面処理方法は、フェニルトリメトキシシランにかえてビニルトリメトキシシランを用い、ビニルトリメトキシシランとヘキサメチルジシラザンとのモル比が1:5であったこと以外は、参考試験例1のシリカ粒子の表面処理方法と同じである。第1工程においては、ビニルトリメトキシシラン1.36質量部を加え、第2工程においてはヘキサメチルジシラザン7.41質量部を加えた。
(参考試験例4)
参考試験例4のシリカ粒子の表面処理方法においては、シリカ粒子として、コロイダルシリカの一種であるスノーテックスOL(日産化学工業株式会社製、平均粒径50nm、水中に分散されており固形分濃度20%)を用いた。また、第1工程においてシランカップリング剤として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM−503)0.48質量部を加えた。さらに、このシランカップリング剤に加えて重合禁止剤(3,5−ジブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、関東化学株式会社製)を0.01質量部加えた。また、第2工程において、ヘキサメチルジシラザン0.78質量部を加えた。さらに、固形化工程においては、表面処理工程で得られた混合物全量に35%塩酸水溶液2.6質量部を加えてシリカ粒子材料を沈殿させた。これ以外は、試験例8のシリカ粒子の表面処理方法は、参考試験例1のシリカ粒子の表面処理方法と同じであった。なお、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとヘキサメチルジシラザンとのモル比は2:5であった。
(参考試験例5)
参考試験例5のシリカ粒子の表面処理方法は、フェニルトリメトキシシランとヘキサメチルジシラザンとのモル比が1:1であったこと以外は、参考試験例1のシリカ粒子の表面処理方法と同じである。第1工程においては、フェニルトリメトキシシラン4.5質量部を加え、第2工程においてはヘキサメチルジシラザン3.7質量部を加えた。
(参考試験例6)
参考試験例6のシリカ粒子の表面処理方法は、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとヘキサメチルジシラザンとのモル比が2:1であったこと以外は、参考試験例4のシリカ粒子の表面処理方法と同じである。第1工程においては、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.48質量部を加え、第2工程においてはヘキサメチルジシラザン0.16質量部を加えた。
(参考試験例7)
参考試験例7のシリカ粒子の表面処理方法は、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとヘキサメチルジシラザンとのモル比が1:1であったこと以外は、参考試験例4のシリカ粒子の表面処理方法と同じである。第1工程においては、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.48質量部を加え、第2工程においてはヘキサメチルジシラザン0.31質量部を加えた。
(凝集性評価試験)
参考試験例1〜7のシリカ粒子材料について、液状媒体中における凝集性を測定した。
詳しくは、参考試験例1〜3及び参考試験例5については、シリカ粒子材料10gとメチルエチルケトン40gとの混合物を攪拌し、シリカ粒子材料の分散試料を得た。
参考試験例4、6、7については、シリカ粒子材料10gとメチルエチルケトン10gとの混合物を攪拌し、シリカ粒子材料の分散試料を得た。得られた各分散試料に含まれるシリカ粒子材料の粒度分布を、粒祖分布測定装置(日機装株式会社製、マイクロトラック)により測定した。
その結果、参考試験例1〜4のシリカ粒子材料は、凝集のない一次粒子の状態で分散していることが分かった。これは、参考試験例1〜4のそれぞれのシリカ粒子材料の粒度分布(ピーク)が、粒子径10nm〜50nm程度の位置に一つのみ現れていることから裏付けられる。シリカ粒子材料が二次粒子であれば(すなわち、少しでも凝集があれば)、粒子径100nm以上の位置に少なくとも一つのピークが現れる。このため、試験例5〜8のシリカ粒子材料は、一旦固形化したにもかかわらず、その殆どが一次粒子であり、殆ど凝集していないことがわかる。これに対して、試験例9〜11のシリカ粒子材料は、攪拌するだけでは分散せず、攪拌後に発振周波数39kHz、出力500Wで1時間以上超音波照射しても、肉眼で凝集が確認でき、一次粒子にまで分散しなかった。この結果から、シランカップリング剤とオルガノシラザンとのモル比を1:2〜1:10の範囲にすることで、固形化しても凝集し難いシリカ粒子材料を製造できることがわかる。なお、試験例5のシリカ粒子材料の平均粒径は10nm、試験例6のシリカ粒子材料の平均粒径は10nm、試験例7のシリカ粒子材料の平均粒径は10nm、試験例8のシリカ粒子材料の平均粒径は50nmであった。この結果から、凝集抑制のためには、シランカップリング剤とオルガノシラザンとのモル比を1:5〜2:5の範囲にするのが好ましいことがわかる。
(極大吸収測定試験)
参考試験例1〜7のシリカ粒子材料を準備し、この試料の赤外線吸収スペクトルを、サーモニコレット社製 FT−IR Avatorを用いた粉体拡散反射法で測定した。このときの測定条件は、分解能4、スキャン回数64であった。結果、試験例5〜11のシリカ粒子材料の赤外吸収スペクトルは、何れも、2962cm−1にC-H伸縮振動の極大吸収(ピーク)を持つ。このため、これらのシリカ粒子材料は、アルキル基を持つこと(すなわち、アルキル基を持つオルガノシラザンで表面処理されていること)がわかる。なお、参考試験例5〜7のシリカ粒子材料のピーク高さは、参考試験例1〜4のシリカ粒子材料のピーク高さに比べて低かった。この結果は、参考試験例5〜7のシリカ粒子材料においては、充分な量のアルキル基を持たないことを示唆している。詳しくは、試験例5〜8のシリカ粒子材料の赤外線吸収スペクトルにおいては、シランカップリング剤に由来する各官能基固有のC−Hのピーク高さに対してオルガノシラザンに由来するメチル基(2962cm−1)のピーク高さが3倍以上であった。参考試験例5〜7のシリカ粒子材料の赤外線吸収スペクトルにおいては、シランカップリング剤に由来する各官能基固有のC−Hのピーク高さに対してオルガノシラザンに由来するメチル基(2962cm−1)のピーク高さが2倍以下であった。上述したように、参考試験例1〜4のシリカ粒子材料は凝集し難く、参考試験例5〜7のシリカ粒子材料は凝集し易かった。これらの結果から、シランカップリング剤に由来する各官能基固有のC−Hのピーク高さに対してオルガノシラザンに由来するメチル基(2962cm−1)のピーク高さが3倍以上であるシリカ粒子材料は凝集し難いといえる。
(炭素量測定試験)
参考試験例1〜7のシリカ粒子材料について、シリカ粒子材料の質量あたりに存在する炭素の量(質量%)を測定した。測定には、有機炭素測定装置(HORIBA社製、EMIA−320V)を用いた。
その結果、参考試験例1のシリカ粒子材料の炭素量は3.5質量%であり、参考試験例2のシリカ粒子材料の炭素量は2.6質量%であり、参考試験例3のシリカ粒子材料の炭素量は2.8質量%であり、参考試験例4のシリカ粒子材料の炭素量は0.96質量%であった。参考試験例5のシリカ粒子材料の炭素量は4.0質量%であり、参考試験例6のシリカ粒子材料の炭素量は1.8質量%であり、参考試験例7のシリカ粒子材料の炭素量は1.0質量%であった。
(X数測定試験)
参考試験例1〜7のシリカ粒子材料について、シリカ粒子材料の単位表面積(nm)あたりのXの存在数を測定した。参考試験例1及び参考試験例5のシリカ粒子材料におけるXはフェニル基であり、参考試験例2、3のシリカ粒子材料におけるXはビニル基であり、参考試験例4、6、7のシリカ粒子材料におけるXはメタクリロキシ基であった。シリカ粒子材料の表面積(比表面積)は窒素を用いたBET法で測定した。Xの存在数はシリカ粒子材料の炭素量を基に算出した。詳しくは、第1工程後のシリカ粒子を、水で洗浄し遠心分離した後に乾燥して、シランカップリング剤処理後のシリカ粒子試料を得た。この試料の炭素量を、有機炭素測定装置を用いて測定し、測定値を基にX数を算出した。
その結果、参考試験例1のシリカ粒子材料におけるX数は、約1.2個/nmであった。参考試験例2のシリカ粒子材料におけるX数は、約1.1個/nmであった。参考試験例3のシリカ粒子材料におけるX数は、約1.1個/nmであった。参考試験例4のシリカ粒子材料におけるX数は、約2.0個/nmであった。参考試験例5のシリカ粒子材料におけるX数は、約1.7個/nmであった。参考試験例6のシリカ粒子材料におけるX数は、約2.0個/nmであった。参考試験例7のシリカ粒子材料におけるX数は、約2.0個/nmであった。参考までに、シランカップリング剤処理後のシリカ粒子試料の炭素量は、参考試験例1のシリカ粒子材料では3.6質量%、参考試験例2のシリカ粒子材料では1.1質量%、参考試験例3のシリカ粒子材料では1.1質量%、参考試験例4のシリカ粒子材料では1.5質量%であった。また、参考試験例5のシリカ粒子材料では5.0質量%、参考試験例6のシリカ粒子材料では1.5質量%、参考試験例7のシリカ粒子材料では1.5質量%であった。
上述したように、シリカ粒子材料の樹脂材料に対する親和性はXの数及び種類によって異なり、参考試験例1のシリカ粒子材料及び参考試験例4のシリカ粒子材料は、樹脂材料に対する親和性に優れていた。この結果から、樹脂材料に対して優れた親和性を発揮するためには、シリカ粒子材料の単位表面積(nm)あたりのXは0.5個〜2.5個であるのが好ましく、1.0個〜2.0個であるのがより好ましいといえる。

Claims (13)

  1. 無機物粒子材料と、1nm以上100nm以下で且つ前記無機物粒子材料の体積平均粒径よりも小さい体積平均粒径をもつシリカ粒子材料と、有機溶媒とを混合して混合物にする混合工程と、
    前記混合物を分級する分級工程と、
    を有する無機物粒子材料含有組成物の製造方法。
  2. 前記混合物における前記有機溶媒の含有量は、前記無機物粒子材料と前記有機溶媒とを前記シリカ粒子材料を除き先に混合したものが前記分級工程で行う分級にて分級可能になる量よりも少ない量である請求項1に記載の無機物粒子材料含有組成物の製造方法。
  3. 前記分級工程にて行う分級は篩分けである請求項1又は2に記載の無機物粒子材料含有組成物の製造方法。
  4. 前記混合物は樹脂材料を含有する請求項1〜3のうちの何れか1項に記載の無機物粒子材料含有組成物の製造方法。
  5. 前記シリカ粒子材料は、式(1):−OSiXで表される官能基及び式(2):−OSiYで表される官能基と、両官能基が表面に結合するシリカ粒子とからなる請求項1〜4のうちの何れか1項に記載の無機物粒子材料含有組成物の製造方法。
    (上記式(1)、(2)中;Xはフェニル基、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、イソシアネート基、又はアクリル基であり;X、Xは−OSiR及び−OSiYよりそれぞれ独立して選択され;YはRであり;Y、YはR及び−OSiYよりそれぞれ独立して選択される。YはRであり;Y及びYは、R及び−OSiRからそれぞれ独立して選択され;Rは炭素数1〜3のアルキル基から独立して選択される。なお、X、X、Y、Y、Y、及びYの何れかは、近接する官能基のX、X、Y、Y、Y、及びYの何れかと−O−にて結合しても良い。)
  6. 前記式(1)で表される官能基と前記式(2)で表される官能基との存在数比が1:12〜1:60である請求項5に記載の無機物粒子材料含有組成物の製造方法。
  7. 前記Xは前記シリカ粒子材料の単位表面積(nm)あたり0.5〜2.5個である請求項5又は6に記載の無機物粒子材料含有組成物の製造方法。
  8. 前記Rは前記シリカ粒子材料の単位表面積(nm)あたり1〜10個である請求項5〜7の何れか1項に記載の無機物粒子材料含有組成物の製造方法。
  9. 前記シリカ材料は、水を含む液状媒体中でシランカップリング剤及びオルガノシラザンによってシリカ粒子を表面処理する表面処理工程をもつ表面処理方法により処理され、
    前記シランカップリング剤は、3つのアルコキシ基と、フェニル基、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、イソシアネート基、又はアクリル基と、を持ち、
    前記シランカップリング剤と前記オルガノシラザンとのモル比は、前記シランカップリング剤:前記オルガノシラザン=1:2〜1:10である請求項1〜8の何れか1項に記載の無機物粒子材料含有組成物の製造方法。
  10. 前記表面処理工程は、
    前記シリカ粒子を前記シランカップリング剤で処理する第1の処理工程と、
    前記シリカ粒子を前記オルガノシラザンで処理する第2の処理工程と、を持ち、
    前記第2の処理工程は、前記第1の処理工程後に行う請求項9に記載の無機物粒子材料含有組成物の製造方法。
  11. 前記第2の処理工程において、3つのアルコキシ基と炭素数1〜3のアルキル基とを持つ第2のシランカップリング剤で前記オルガノシラザンの一部を置き換え、
    前記第2の処理工程後に、さらに前記シリカ粒子を前記オルガノシラザンで処理する第3の処理工程を持つ請求項9又は10に記載の無機物粒子材料含有組成物の製造方法。
  12. 請求項1〜11のうちの何れか1項に記載の無機物粒子材料含有組成物の製造方法にて製造されうる無機物粒子材料含有組成物であって、
    前記有機溶媒の含有量は、前記無機物粒子材料と前記有機溶媒とを前記シリカ粒子材料を除き先に混合した混合物に加えたときに、所定の大きさの目開きをもつ篩にて分級可能になる量よりも少ない量であり、
    所定粒径以上の粒子である粗粒を実質的に含有しない無機物粒子材料含有組成物。
  13. 無機物粒子材料と、
    1nm以上100nm以下で且つ前記無機物粒子材料の体積平均粒径よりも小さい体積平均粒径をもつシリカ粒子材料と、
    前記シリカ粒子材料を含有させずに前記無機物粒子材料に加えたときに、所定の大きさの目開きをもつ篩にて分級可能になる量よりも少ない量の有機溶媒と、
    を含有し、
    前記所定の大きさ以上の粒子である粗粒を実質的に含有しない無機物粒子材料含有組成物。
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