JP2015072951A - 電気二重層キャパシタ用セパレータおよび電気二重層キャパシタ - Google Patents

電気二重層キャパシタ用セパレータおよび電気二重層キャパシタ Download PDF

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正宏 津田
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Abstract

【課題】十分な引張強度を有すると同時に、抵抗値を低減させることができる電気二重層キャパシタ用セパレータおよび電気二重層キャパシタを提供する。【解決手段】湿式抄造により作製されたガラス繊維不織布と、前記ガラス繊維不織布の繊維間を結着する樹脂バインダーとを備える。前記樹脂バインダーは、ウレタン樹脂、スチレンブタジエンゴム、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、またはポリイミド樹脂である。【選択図】 なし

Description

本発明は、電気二重層キャパシタ用のセパレータおよびそのセパレータを用いた電気二重層キャパシタに関する。
ポータブル電子機器の急速な普及に伴い、コンデンサや蓄電池の適用範囲と需要が拡大している。近年では、長寿命、急速充放電が可能、メンテナンスが不要などの特長から、コンデンサが注目されており、特に、容量が大きい電気二重層キャパシタの需要が増加している。
電気二重層キャパシタは、主に各種電子機器のバックアップ電源に使用されている。電子機器類の小型化、高性能化に伴い、電気二重層キャパシタも小型化、高性能化が要求される。このため、一般的には、電気二重層キャパシタのセパレータには、厚さが薄く、高空隙率であり、電解液保液性が高いことが要求される。
従来、電気二重層キャパシタ用セパレータとして、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。すなわち、特許文献1には、含フッ素ポリマーイオン交換樹脂で結着された無機繊維シートからなり、長期にわたって安定的に作動することを目的とするセパレータが開示されている。
特開平9−293637号公報
上述した特許文献1の技術をはじめとする、樹脂を用いてセパレータを結着するものは、セパレータの空隙率を低下させるという欠点があった。これにより、従来の樹脂を用いたセパレータは、電解液の溶質の移動度を低下させ、その結果抵抗値を高くするという欠点があった。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、十分な引張強度を有すると同時に、抵抗値を低減させることができる電気二重層キャパシタ用セパレータおよび電気二重層キャパシタを提供することを目的とする。
本発明に係る電気二重層キャパシタ用セパレータは、上述した課題を解決するために、湿式抄造により作製されたガラス繊維不織布と、前記ガラス繊維不織布の繊維間を結着する樹脂バインダーとを備え、前記樹脂バインダーは、ウレタン樹脂、スチレンブタジエンゴム、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、またはポリイミド樹脂であることを特徴とする。
また、本発発明に係る電気二重層キャパシタは、前記電気二重層キャパシタ用セパレータを用いたことを特徴とする。
本発明に係る電気二重層キャパシタ用セパレータおよび電気二重層キャパシタにおいては、製造工程で必要とされる引張強度を有すると同時に、抵抗値を低減させることができる。
各樹脂バインダーの付着率に応じた交流抵抗値を示すグラフ。
本発明に係る電気二重層キャパシタ用セパレータおよび電気二重層キャパシタの一実施形態を説明する。
本実施形態における電気二重層キャパシタ用セパレータは、湿式抄造により作製されたガラス繊維不織布と、ガラス繊維不織布の繊維間を結着する樹脂バインダーとを備える。
ガラス繊維不織布は、厚みが20〜100μm、目付量が2〜100g/m、見かけ密度が0.1〜1.0g/cmであるシート材である。厚み、目付量、見かけ密度が各下限値よりも小さいと、十分な絶縁性を確保できずセパレータとしての役割を果たせないためである。
ガラス繊維不織布は、平均直径0.2〜4.0μm、平均長さ30〜300μmであるガラス短繊維を主原料として、一般的には湿式抄造法により作製される。例えば、ガラス短繊維は、水中で解きほぐされ、硫酸でpH2.5に調製された水溶液中で充分に解離、分散され、ガラス繊維スラリーとなる。その後、このスラリーが抄紙機に供給されて抄造されることにより、ガラス繊維不織布が作製される。なお、ガラス繊維不織布の作製方法は乾式であってもよい。
樹脂バインダーは、ウレタン樹脂、スチレンブタジエンゴム、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、またはポリイミド樹脂から選択されたものである。樹脂バインダーは、例えば、ガラス繊維不織布が各樹脂含有溶液に浸漬されることにより、ガラス繊維不織布に浸透する。樹脂バインダーが十分に浸透した後、ガラス繊維不織布は溶液から引き上げられ、例えば120℃で30分乾燥される。樹脂バインダーは上記樹脂から選択されることにより、ガラス繊維同士の交点に好適に存在してガラス繊維同士を結着させることができる。
上記樹脂バインダーのうち、ウレタン樹脂およびエポキシ樹脂の付着率は、セパレータの空隙率に依存する抵抗値およびに引張強度に依存する形状維持性能の観点から、10〜60%であるのが好ましい。また、同様にスチレンブタジエンゴム、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、およびポリイミド樹脂の付着率は、10〜50%であるのが好ましい。付着率が10%より小さいと、ガラス繊維骨格の強度を十分に持たせることが困難となるためである。
付着率は、以下の式から算出するものとする。
[数1]
付着率=(溶液に浸漬・乾燥後のガラス繊維不織布重量−溶液に浸漬前のガラス繊維不織布重量)/溶液に浸漬・乾燥後のガラス繊維不織布重量
また、本実施形態における電気二重層キャパシタは、このように作製されたセパレータを用いて作製されたものである。電気二重層キャパシタは、一対の電極間に上述したセパレータを配置した素子に、電解液を含浸させることにより作製される。
次に、本実施形態における電気二重層キャパシタ用セパレータを、実施例を用いて説明する。なお本発明は以下に示される実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
平均直径0.7μm、平均長さ約100μmのガラス短繊維を水中で解きほぐし、硫酸でpH2.5に調製した水溶液中で充分に解離、分散させることにより、ガラス繊維スラリーを作製した。このスラリーを原料として、湿式抄紙装置を用いてガラス繊維不織布を得た。得られたガラス繊維不織布は、厚みが50μm、目付量は約10g/m、見かけ密度は約0.2g/cmであった。
樹脂バインダーとして、水容液濃度が調整された自己架橋性水系ウレタン樹脂(エムシー工業株式会社、タケラックWS−6021)を用いた。このウレタン樹脂溶液にガラス繊維不織布を浸漬させ、十分に浸透させた。ガラス繊維不織布を溶液から引き上げた後、120℃で30分乾燥させることによりセパレータを作製した。セパレータは、樹脂バインダーの付着率が10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%となるよう制御して作製した。
[実施例2]
樹脂バインダーとして、水容液濃度が調整されたスチレンブタジエンゴム(日本ゼオン株式会社、BM−400B)を用いた点以外は、実施例1と同様にセパレータを作製した。
[実施例3]
樹脂バインダーとして、エポキシ樹脂(大都産業株式会社、主剤DT−256、硬化剤X−7024)を用いた点以外は、実施例1と同様にセパレータを作製した。
[実施例4]
樹脂バインダーとして、溶液濃度が調整されたアクリル樹脂(中部サイデン株式会社、バンスターPX25)を用いた点以外は、実施例1と同様にセパレータを作製した。
[実施例5]
樹脂バインダーとして、溶液濃度が調整されたフェノール樹脂(DIC株式会社、フェノライトIG−1002)を用いた点以外は、実施例1と同様にセパレータを作製した。
[実施例6]
実施例1と同様に、ガラス繊維不織布を作製した。樹脂バインダーは、ポリイミド樹脂としてのポリイミド樹脂前駆体(宇部興産株式会社、U−ワニスS−301)を溶剤としてのN−メチルピロリドンで希釈・濃度調整することにより用意した。このポリイミド樹脂溶液にガラス繊維不織布を浸漬させ、十分に浸透させた。ガラス繊維不織布を溶液から引き上げた後、350℃で30分乾燥させることによりセパレータを作製した。また、実施例1と同様、樹脂バインダーの付着率が10〜70%となるよう制御して作製した。
[比較例1]
樹脂バインダーとして、溶液濃度が調整されたポリビニルアルコール樹脂(日本合成化学工業株式会社、ゴーセファイマーK−210)を用いた点以外は、実施例1と同様にセパレータを作製した。
これら実施例1〜6および比較例1のセパレータを用いて、キャパシタ(コインセル)を作製した。キャパシタは、各セパレータを直径19mmの円形状に形成し、以下の各部材から構成されたキャパシタを作製した。
電解液組成:1mol/L (CNBF(テトラエチルアンモニウム・テトラフルオボレート)/溶媒 PC(プロピレンカーボネート) キシダ化学製
正極材、負極材:活性炭電極 宝泉製
正極径:15mm/セパレータ径:19mm/負極径:16mm
電解液量:160μL
キャパシタ作製時の雰囲気:グローブボックス内 アルゴン雰囲気下
上記形式のキャパシタにつき、交流インピーダンス測定装置(Princeton Applied Research社製、PARSTAT2273)を用いて、室温(25℃)で、周波数1kΩ時の交流抵抗値を測定した。交流測定時の測定結果を表1に示す。また、図1は、各樹脂バインダーの付着率に応じた交流抵抗値を示すグラフである。
比較例1のセパレータにより作製されたキャパシタについて、抵抗値は最低でも2.5Ωであった。これに対し、樹脂バインダーにウレタン樹脂を用いた実施例1、およびエポキシ樹脂を用いた実施例3のセパレータにより作製されたキャパシタは、付着率が60%以下の場合に抵抗値が2.5Ω以下となり、好適な値を示した。また、樹脂バインダーにスチレンブタジエンゴムを用いた実施例2、アクリル樹脂を用いた実施例4、フェノール樹脂を用いた実施例5、およびポリイミド樹脂を用いた実施例6のセパレータにより作製されたキャパシタは、付着率が50%以下の場合に抵抗値が2.5Ω以下となり、好適な値を示した。
以上より、セパレータを結着させる樹脂バインダーに、ウレタン樹脂、スチレンブタジエンゴム、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、またはポリイミド樹脂を用いることにより、ポリビニルアルコール樹脂などの他の樹脂を用いた場合に比べて抵抗値を低減することができる。樹脂バインダーに対しては、ガラス繊維不織布におけるガラス繊維同士の交点に対して好適に付着し、ガラス繊維骨格の強度を十分に持たせることが望まれる。上記実施例1〜6で用いられた各樹脂バインダーは、この交点に好適に付着することができることに起因し、ガラス繊維同士で形成される隙間に必要量以上に付着しないため、空隙率を低下させることがなく好適に抵抗値を低減することができるものと考えられる。特に、付着率を上述の通り制御することで、より抵抗値の低減を図ることができる。
また、実施例1〜6の各セパレータに対して、以下の条件に基づいて破断時の荷重を測定することにより、引張強度の試験を行った。
試験片寸法:幅25mm×長さ100mm
初期チャック間隔50mm
引張速度:10mm/分
以上の試験を行った結果、実施例1〜6の各セパレータは、キャパシタとしての機能に求められる4N/25mm幅以上の引張強度を備えることがわかった。

Claims (4)

  1. 湿式抄造により作製されたガラス繊維不織布と、
    前記ガラス繊維不織布の繊維間を結着する樹脂バインダーとを備え、
    前記樹脂バインダーは、ウレタン樹脂、スチレンブタジエンゴム、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、またはポリイミド樹脂であることを特徴とする電気二重層キャパシタ用セパレータ。
  2. 前記ガラス繊維不織布に対する前記ウレタン樹脂および前記エポキシ樹脂の付着率は、10〜60%である請求項1記載の電気二重層キャパシタ用セパレータ。
  3. 前記ガラス繊維不織布に対する前記スチレンブタジエンゴム、前記エポキシ樹脂、前記アクリル樹脂、前記フェノール樹脂、前記ポリイミド樹脂の付着率は、10〜50%である請求項1記載の電気二重層キャパシタ用セパレータ。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の電気二重層キャパシタ用セパレータを用いたことを特徴とする電気二重層キャパシタ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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