JP2015072825A - プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法 - Google Patents

プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法 Download PDF

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茂 白米
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Abstract

【課題】プラズマ処理室の内壁を覆う絶縁性被膜から発生する異物の量を低減することのできるプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】真空処理室101内に配置され、被処理基板109を載置する載置電極111と、載置電極111に高周波電圧を印加する高周波電源110と、被処理基板109と載置電極111との間に配置される外側および内側静電吸着電極113,114と、外側および内側静電吸着電極113,114に直流電圧を印加する直流電源115と、を備える。さらに、真空処理室101の内壁を被覆する絶縁性の溶射膜117と、真空処理室101の内壁の電位を溶射膜117を介して検出するプローブ119と、直流電源115を制御する直流電源制御部121と、を備え、外側および内側静電吸着電極113,114に印加される直流電圧を制御して、プローブ119により検出される電位を設定電位とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法に関する。
本技術分野の背景技術として、特開2008−182081号公報(特許文献1)がある。この公報には、真空処理室に接地された環状導体を直流アースとして設置し、環状導体からアースへ流れる電流を0A付近になるように電流モニタの値に基づき直流バイアス電源を制御系で制御することにより、プラズマの空間電位が上昇することによって起こる放電不安定を抑える技術が記載されている。
また、本技術分野の背景技術として、特開2006−210726号公報(特許文献2)がある。この公報には、静電吸着方式を用いたプラズマ処理装置に、静電吸着電圧を高周波バイアス電力のピークトゥーピーク電圧の4分の1から2分の1の電位分負側に移行する制御手段を備えることにより、プラズマ電位の上昇を抑制することのできる技術が記載されている。
特開2008−182081号公報 特開2006−210726号公報
プラズマ処理装置では、異常放電の形跡がないにも関わらず、プラズマ処理室の内壁を覆う絶縁性被膜から多量の異物が発生し、被処理基板に付着する場合ある。そこで、本発明では、絶縁性被膜から発生する異物の量を低減することのできるプラズマ処理装置を提供する。
上記課題を解決するために、本発明では、プラズマ処理装置は、プラズマ処理室内に配置され、被処理基板を載置する載置電極と、載置電極に高周波電圧を印加する高周波電源と、被処理基板と載置電極との間に配置された静電吸着電極と、静電吸着電極に直流電圧を印加する直流電源と、を備える。さらに、プラズマ処理装置は、プラズマ処理室の内壁を被覆する絶縁膜と、プラズマ処理室の内壁の電位を絶縁膜を介して検出する電位検出部と、直流電源を制御する直流電源制御部と、を備え、静電吸着電極に印加される直流電圧を制御して、電位検出部により検出される電位を設定電位とする。
本発明によれば、プラズマ処理室の内壁を覆う絶縁性被膜から発生する異物の量を低減することのできるプラズマ処理装置を提供することができる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
実施例1によるプラズマエッチング装置を示す要部断面図である。 実施例1による直流電源の制御フローの一例を示すフロー図である。 実施例1によるプラズマ処理時におけるマイクロ波パワー、基板バイアスパワー、および壁電位モニタ値の一例を示す概略図である。 実施例1による被処理基板に付着した異物数とプラズマ放電の消失前の壁電位との関係を示すグラフ図である。 実施例2によるプラズマエッチング装置を示す要部断面図である。
以下の実施の形態において、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
また、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
また、「Aからなる」、「Aよりなる」、「Aを有する」、「Aを含む」と言うときは、特にその要素のみである旨明示した場合等を除き、それ以外の要素を排除するものでないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
また、以下の実施の形態で用いる図面においては、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。また、以下の実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。以下、本実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
プラズマエッチング装置には、被処理基板を載置して高周波を印加するバイアス電極がある。被処理基板とバイアス電極との間には誘電体膜が設けられており、その誘電体膜に、静電気力によって被処理基板を吸着するための直流電圧を印加する静電吸着電極が埋め込まれている。ダイポール方式では、静電吸着電極は2個設けられ、それぞれに正電圧または負電圧が印加される(例えば特許文献2参照)。または、モノポール方式では、静電吸着電極は1個設けられ、被処理基板との電圧差が所定の電位になるように静電吸着電極に直流電圧が印加される。
被処理基板と静電吸着電極との間にリーク電流が流れる吸着方式は、ジョンセン―ラーベック(Johnsen-Rahbek;J−R)効果による吸着方式と呼ばれ、このリーク電流がプラズマ電位にチャージアップを起こす(例えば特許文献2参照)。プラズマ電位のチャージアップは、絶縁破壊、プラズマ不安定、または異物の発生を引き起こす。例えばプラズマ電位が正にチャージアップすると、プラズマ処理室の内壁を覆う絶縁性被膜が絶縁破壊などに至る。
そこで、プラズマ電位のチャージアップを防ぐために、被処理基板の自己バイアスに合わせて静電吸着電極の電位を負側にシフトさせて設定する技術(例えば特許文献2参照)、リーク電流をモニタして静電吸着電極の電位を適切に制御する技術(例えば特許文献1参照)、またはプラズマ処理室の内壁に導電体を設置する技術が報告されている。
しかしながら、エッチング中の自己バイアスに合せて静電吸着電極の電位を設定し、異常放電の形跡がないにも関わらず、プラズマ処理室の内壁を覆う絶縁性被膜の材質を含む異物が被処理基板に多く付着する場合があった。
図1を用いて、実施例1によるプラズマエッチング装置を説明する。図1は、実施例1によるプラズマエッチング装置を示す要部断面図である。
プラズマエッチング装置は、ダイポール方式の静電吸着電極を備えている。ダイボール方式は、いわゆるJ−R効果による吸着方式であり、被処理基板と静電吸着電極との間に流れるリーク電流によって生じる電位差により吸着力を発生させて被処理基板を保持する吸着方式である。そのため、静電吸着電極の表面には、アルミナなどの絶縁膜の代わりに、より比抵抗の低い半導電性膜、例えばチタニアとアルミナとの混合物からなる溶射膜が形成されており、被処理基板と静電吸着電極との間には必要な吸着力を得るために適切な電流が流れるようになっている。
真空処理室101の上部にプラズマ生成用のマイクロ波発生部102が配置されている。マイクロ波がマイクロ波発生部102から放射され、石英製天板103を透過して真空処理室101内に導入される。また、エッチング処理に必要なガスが真空処理室101内に導入され(図示は省略)、真空ポンプ(図示は省略)と圧力調整機構(図示は省略)により、真空処理室101内は所定の圧力に保たれる。
コイル104に電流を流して磁場を発生させ、ヨーク105により適切な磁場分布を真空処理室101内に形成する。プラズマ106が発生しやすいように、電子がマイクロ波によりサイクロトロン共鳴(Cyclotron Resonance;ECR)を起こすように磁場強度が設定されている。真空処理室101内の上方はマイクロ波が強く、かつECRによりプラズマ106が強い。そこで、金属製の筐体が直接プラズマ106に接しない様に、真空処理室101の上部の内壁は絶縁体である石英板107および石英内筒108で覆われている。
真空処理室101内の下方には、被処理基板109が載置される載置電極(バイアス電極)111が配置されている。載置電極111には、プラズマ106中のイオンを被処理基板109に引き込みエッチングを行うため、高周波電源110が繋がっている。
載置電極111は絶縁性物質(例えば絶縁性の被膜または部品)112で覆われており、被処理基板109と載置電極111との間の絶縁性物質112には、被処理基板109を吸着するために、内側静電吸着電極114および外側静電吸着電極113が埋め込まれている。内側静電吸着電極114および外側静電吸着電極113にはそれぞれ直流電源115が繋がっており、内側静電吸着電極114および外側静電吸着電極113に電圧を印加することにより、被処理基板109は吸着される。実施例1では、内側静電吸着電極114と外側静電吸着電極113との電位差は1,000Vであり、一方の静電吸着電極が被処理基板109の電位より高く、他方の静電吸着電極が被処理基板109の電位より低く設定されており、極性は選択することができる。
載置電極111に高周波電圧を印加して、プラズマ106中のイオンを被処理基板109に引き込む際、プラズマ電位と載置電極111の高周波電位との電位差を保つためにプラズマ106を高周波的にアースする必要がある。このため、プラズマ106に接するように金属製のアース116を設けている。さらに、アース116の金属成分がプラズマ106により削られて被処理基板109を汚染しないように、かつ高周波的アースとしての機能を保つために、アース116の表面には、耐プラズマ性を有する絶縁性の溶射膜117が施されている。溶射膜117は、例えば酸化イットリウムを含む膜であり、その厚さは、例えば200μmである。真空処理室101内の底面にも、耐腐食性のために、絶縁性の溶射膜付アルミ合金部品118が取り付けてあり、真空処理室101のプラズマ106が到達する内壁のほぼ全面が絶縁物で覆われている。
実施例1の特徴は、真空処理室101の内壁に電位を測定するプローブ(電位検出部)119を設けたことにある。このプローブ119を用いて、真空処理室101の内壁の電位が零ボルトになるように、直流電源115を制御する。実施例1では、電源制御のハンチングを防止するため、ノイズ的なふらつきも考慮して、真空処理室101の内壁の電位が±10V以下になるよう、直流電源115を制御する。
プローブ119は、アース116を被覆する溶射膜117の表面に設置される。さらに、プローブ119は、プラズマ106に近く、特に溶射膜117から被処理基板109を広く見ることのできる被処理基板109より高い位置に設置される。プローブ119は、被処理基板109を汚染しない材料、例えばシリコンからなる。
また、内側静電吸着電極114および外側静電吸着電極113からプラズマ106を介してプローブ119に定常的に電流が流れることを防止するため、プローブ119は第1抵抗120を介してグランドと電気的に接続されている。第1抵抗120の抵抗値は、被処理基板109と内側静電吸着電極114との間の抵抗値および被処理基板109と外側静電吸着電極113との間の抵抗値よりも5倍以上高く、例えば第1抵抗120に100MΩの抵抗を用いる。また、プラズマ106からプローブ119に高電圧の高周波がかかる場合を想定し、降圧するため、第1抵抗120とグランドとの間に第2抵抗122を設け、電圧計123を用いてグランドに近い第2抵抗122の前後の電位差を計測している。
プローブ119は板状または膜状である。また、プローブ119とアース116との間には溶射膜117があり、プローブ119は溶射膜117に密着させている。こうすることにより、プローブ119とアース116との間の単位面積当たりの静電容量が、プローブ119と同じ高さの他の部分の溶射膜117とアース116との間の単位面積当たりの静電容量とほぼ同じになるようにしている。その理由は、エッチング中に載置電極111に高周波電圧を印加した時に、他の溶射膜117の表面電位の変動と同様の表面電位の変動がプローブ119にも起こるようにするためである。
プローブ119で計測された真空処理室101の内壁の電位(以下、壁電位と記す)に基づいて、直流電源制御部121により直流電源115を制御する。
次に、図2および前述の図1を用いて、直流電源の制御方法の一例を説明する。図2は、実施例1による直流電源の制御フローの一例を示すフロー図である。
まず、工程S201では、プローブ119により壁電位(Vw)を測定する。計測される壁電位(Vw)は、数ボルトから十数ボルト程度の幅で1msより速い周期での電位変動がある。
工程S202では、この壁電位(Vw)を適度な応答速度の回路により、ノイズが平均化された平均壁電位(Vwa)に変換する。例えばノイズの平均化のために応答速度が5ms程度の回路を用いる。
工程S203では、平均壁電位(Vwa)が10Vより大きいか否かを判断する。
工程S203において、平均壁電位(Vwa)が10Vより大きい場合には、工程S204に移り、各直流電源115の電位を現時点の設定より負側に−|Vwa|シフトさせる。
工程S203において、平均壁電位(Vwa)が10Vより小さい場合には、工程S205に移り、平均壁電位(Vwa)が−10Vより小さいか否かを判断する。
工程S205において、平均壁電位(Vwa)が−10Vより小さい場合には、工程S206に移り、各直流電源115の電位を現時点の設定より正側に+|Vwa|シフトさせる。
各直流電源115の電位のシフトのさせ方は、各静電吸着電極の相対的な電位関係を保ったまま全ての直流電源115の電位を同時にシフトさせる。次に説明するように、特にプラズマの条件が変わる過渡時には、この制御フローを10msより速い周期で繰り返す必要がある。
次に、図3を用いて、実施例1によるマイクロ波パワーの印加開始から印加停止までのシーケンス、基板バイアスパワーの印加開始から印加停止までのシーケンス、および壁電位モニタ値の一例について説明する。図3は、プラズマ処理時におけるマイクロ波パワー、基板バイアスパワー、および壁電位モニタ値の一例を示す概略図である。なお、図3には、壁電位を制御していないときの壁電位モニタ値を示している。
実施例1による直流電源の制御は、マイクロ波パワーおよび基板バイアスパワーの印加開始(プラズマ放電の着火)301の過度時、ならびにマイクロ波パワーおよび基板バイアスパワーの印加停止(プラズマ放電の消失)302の過渡時にも行う。プラズマオンおよびオフでは、通常1s程度、またはそれより速いタイミングによって各電源が変化する。このため、上記過渡時は、1s以下の速い時間間隔で壁電位モニタ値303が変化しており、その変化に追従して直流電源の電位を制御することが、異物の量を低減するためには重要となる。
壁電位モニタ値303はプラズマ放電の消失後、プローブの静電容量および抵抗値によって素早く零ボルトに減衰する。しかし、実際は、真空処理室の内壁にはプラズマ放電の消失前の電位の影響が残る。このため、特にプラズマ放電の消失直前に、壁電位を零ボルトに抑えることは、プラズマオフ後に発生する異物の量を低減することに効果がある。
次に、図4を用いて、プラズマ放電の消失直前に、壁電位を零ボルトに抑える効果について説明する。図4は、被処理基板に付着した異物数とプラズマ放電の消失前の壁電位との関係を示すグラフ図である。縦軸の異物数は、リファレンス条件に対する相対値で示してある。異物の粒径は90nm以上である。なお、プラズマ放電中の影響を省いて評価するために、プラズマ放電中は壁電位は制御せず、プラズマ放電の消失直前の過渡時にのみ壁電位を制御している。
前述の図3に示したように、壁電位を制御しない場合は、基板バイアスパワーの印加停止後で、かつマイクロ波パワーの印加停止前に、壁電位はマイナスの値となる。これは、プラズマ電位が正にチャージアップしている時に異常放電が起こる状況(例えば特許文献2参照)とは異なっている。従って、過度時における異物の発生原因は異常放電ではないと考えられる。
図4に示すように、壁電位が零ボルトに近づくに従い異物数は減少するが、壁電位が±10Vを超えると異物数は増加傾向となり、壁電位の制御は±10V以下が好適であることが分かる。また、粒径が90nm未満の異物に対しても同様の傾向が得られた。従って、プラズマ放電の消失時の壁電位を±10V以下に抑えるために、過渡時の壁電位の変化に応じて、100ms以下の時間間隔で静電吸着電極の電位を制御する必要がある。
図4に結果を示した試験では、前述の図1に示すプラズマエッチング装置に備わる内側静電吸着電極114および外側静電吸着電極113の極性の違いによって、異なる結果が得られた。内側静電吸着電極114を正極、外側静電吸着電極113を負極とした場合は、基板バイアスパワーの印加停止後で、かつマイクロ波パワーの印加停止前に、直流電源115を制御して、内側静電吸着電極114および外側静電吸着電極113の電位をともに+200V以上シフトさせることで、壁電位は±10V以下となった。これに対して、内側静電吸着電極114を負極、外側静電吸着電極113を正極とした場合は、基板バイアスパワーの印加停止後で、かつマイクロ波パワーの印加停止前に、直流電源115を制御して、内側静電吸着電極114および外側静電吸着電極113の電位をともに+50Vシフトすることで、壁電位は±10V以下となった。
このプラズマ放電の消失時の静電吸着電極の電位制御パターンを記憶しておけば、同様のプラズマ処理の場合に、記憶した電位制御パターンを用いた直流電源115の制御を行えば、プローブ119がなくても異物の量を低減することが可能である。
また、異物の成分は、溶射膜117の材質と同じ成分であることから、異物はアース116の表面に施された溶射膜117から発生したものである。
真空処理室101の内壁の絶縁性の被膜または部品の電位は、プラズマ106からの距離、プラズマ密度、および高周波バイアスの抜けやすさなどにより異なるが、プラズマ106の生成領域に近い溶射膜117の表面電位を零ボルトにすることが、最も異物の量の低減効果が大きい。これは、被処理基板109に近い位置であり、プラズマ106による溶射膜117の損傷により微粒子が発生し易いことなどが考えられる。仮に、被処理基板109より下方で、かつプラズマ106より遠い場所で壁電位をモニタした場合には、その場所と異物発生リスクが高い部分とでは壁電位が異なるため、異物発生リスクが高い部分の異物の発生を効果的に抑制することができない。従って、壁電位をモニタする位置は、被処理基板109よりも上方で、かつプラズマ106にさらされる場所とすることが好適である。
次に、異物低減のメカニズムについて説明する。
絶縁性被膜の表面電位がプラズマ放電中に零ボルトから離れると、その絶縁性被膜の表面には、正または負の電荷が過剰に存在することになる。そのような状況で確率的に絶縁性被膜の表面の微粒子が過剰の電荷をもつと、反発してプラズマ放電中に剥離する傾向が高まると推定される。また、プラズマ放電の消失後に絶縁性被膜の表面に残った過剰電荷も同様な理由により、プラズマ放電の消失後に剥離する傾向を高めると推定される。このことから、真空処理室の内壁の電位は零ボルトにすることが最適である。
また、静電吸着電極のリーク電流のばらつきまたは経時変化などにより、当初設定された静電吸着電極の電位では壁電位の絶対値が高くなり、異物が発生する場合がある。このような場合でも、壁電位をモニタすることによって、静電吸着電極のリーク電流のばらつきまたは経時変化などに対しても、異物の発生が少ない壁電位に制御することができる。また、ガス、時間、パワー、または磁場など、種々のプラズマ条件が異なるプロセスでも同様に、異物の発生が少ない壁電位に制御することができる。
次に、プラズマ条件について説明する。
プラズマとグランド電位とが、被処理基板と静電吸着電極との間の抵抗より高い抵抗によって絶縁されていれば、静電吸着電極の電位によりプラズマ電位および絶縁性被膜の表面電位を制御することができる。しかし、そうでない場合には、プラズマとグランド電位とが導通する部分によってプラズマ電位が支配され、絶縁性被膜の表面電位もそれによって決まるため、静電吸着電極の電位の制御だけでは、絶縁性被膜の表面電位を下げることはできない。
また、プラズマがグランド電位と導通している場合であっても、その導通部分のプラズマの電子温度などのプラズマ状態と、異物の寄与の大きい場所における絶縁性被膜の表面のプラズマの電子温度などのプラズマ状態との違いによって、絶縁性被膜の表面電位は零ボルトにはならないため、絶縁性被膜の表面からの異物の発生を最小限に抑制できない。
また、被処理基板の吸着方式として、J−R効果によるモノポール方式の他に、クーロン方式と呼ばれ、被処理基板と静電吸着電極との間にリーク電流が流れない方式の吸着方式がある。しかし、実施例1では、静電吸着電極からのリーク電流の電荷が真空処理室の内壁を覆う絶縁性被膜の表面に溜まることによって、壁電位を制御するため、クーロン方式の場合は実施例1の方法は使用できない。
また、モノポール方式の場合は、被処理基板と静電吸着電極との間に常に一方向のリーク電流が流れるため、内壁が絶縁性被膜に覆われて、プラズマとグランド電位とが導通していない真空処理室では、常に壁電位が一方向に変化してしまう。このため、壁電位を零ボルト付近(例えば±10V以下)に保つことができない上、零ボルトになるように壁電位を制御すると吸着力が得られずに被処理基板がはがれてしまう危険がある。これに対して、ダイポール電極の場合または3個以上の静電吸着電極を設けた場合は、被処理基板との電位関係により、一の静電吸着電極から被処理基板に流れるリーク電流は、他の静電吸着電極に流れることができるので、壁電位を実施例1のように零ボルト付近(例えば±10V以下)に保つことができる。
実施例1では、真空処理室の内壁を絶縁性の溶射膜で被覆したが、プラズマが接触する内壁を被覆する絶縁性被膜には、酸化イットリウムまたは酸化アルミなどの溶射膜の他に、CASP法(衝撃焼結被覆法)により形成されたセラミック膜、または陽極酸化膜を用いてもよく、この様な絶縁性被膜からの異物剥離であっても抑制することが可能である。
図5を用いて、実施例2によるプラズマエッチング装置を説明する。図5は、実施例2によるプラズマエッチング装置を示す要部断面図である。前述の実施例1と説明が重複する部分は、記号を前述の図1と一致させ、その説明を省略する。
実施例2によるプラズマエッチング装置では、上部電極501にブロッキングコンデンサ503などからなる整合器504を介して第2高周波電源502から高周波電圧が印加され、下部電極509に第1高周波電源516から高周波電圧が印加されてプラズマ106が生成する。上部電極501には、ガス供給系505からガスが供給され、多数のガス導入穴506から真空処理容器507内にエッチングガスが供給される。
上部電極501のプラズマ側の面は導電体のシリコン材質であるが、ブロッキングコンデンサ503があることにより、プラズマ106とグランド電位との上部電極501を介しての導通は無い。真空処理容器507は金属製であり、接地されているが、プラズマ106が接触する内壁には、耐プラズマ性のある絶縁性の溶射膜508が施されている。リング状の遮蔽板515により、プラズマ106が真空処理容器507の下部に拡散するのが抑えられており、プラズマ106の存在しない下部においては溶射膜508は施されていない。この真空処理容器507のプラズマ106に接触する内壁がプラズマ106の高周波的なアースになっている。また、遮蔽板515の表面は絶縁被覆が施されている。
下部電極509の上面には被処理基板109を吸着するための静電吸着電極が内側静電吸着電極510、中間静電吸着電極511、および外側静電吸着電極512と3つの領域に分かれて設置されている。中間静電吸着電極511には−500V、内側静電吸着電極510および外側静電吸着電極512には+500Vというように、極性が交互に逆となるように電圧が設定され、それぞれに直流電源115によって電圧が印加されている。内側静電吸着電極510、中間静電吸着電極511、および外側静電吸着電極512と被処理基板109との間の誘電体にはリーク電流が流れ、J−R効果によって被処理基板109が吸着されている。また、下部電極509の周りは第1石英製絶縁性部品513および第2石英製絶縁性部品514により覆われている。
真空処理容器507の内壁を被覆する溶射膜508の表面であって、被処理基板109より高い位置でプラズマ106に面した場所に、壁電位を測定するプローブ119が設置されている。このプローブ119で検出される壁電位が零ボルトになるように、直流電源115により、内側静電吸着電極510、中間静電吸着電極511、および外側静電吸着電極512の電位を、相対的な電位関係を保ったまま正側または負側にシフトさせる。詳細な制御方法は前述の実施例1と同一である。これらの制御によって実施例2においても異物の量を低減することが可能である。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
101 真空処理室
102 マイクロ波発生部
103 石英製天板
104 コイル
105 ヨーク
106 プラズマ
107 石英版
108 石英内筒
109 被処理基板
110 高周波電源
111 載置電極(バイアス電極)
112 絶縁性物質(絶縁性の被膜または部品)
113 外側静電吸着電極
114 内側静電吸着電極
115 直流電源
116 アース
117 溶射膜
118 溶射膜付アルミ合金部品
119 プローブ(電位検出部)
120 第1抵抗
121 直流電源制御部
122 第2抵抗
123 電圧計
301 マイクロ波パワーおよび基板バイアスパワーの印加開始(プラズマ放電の着火)
302 マイクロ波パワーおよび基板バイアスパワーの印加停止(プラズマ放電の消失)
303 壁電位モニタ値
501 上部電極
502 第2高周波電源
503 ブロッキングコンデンサ
504 整合器
505 ガス供給系
506 ガス導入穴
507 真空処理容器
508 溶射膜
509 下部電極
510 内側静電吸着電極
511 中間静電吸着電極
512 外側静電吸着電極
513 第1石英製絶縁性部品
514 第2石英製絶縁性部品
515 遮蔽板
516 第1高周波電源

Claims (6)

  1. (a)プラズマ処理室、
    (b)前記プラズマ処理室内にプラズマを生成するプラズマ生成部、
    (c)前記プラズマ処理室内に配置され、被処理基板を載置する載置電極、
    (d)前記載置電極に高周波電圧を印加する第1高周波電源、
    (e)前記被処理基板と前記載置電極との間に配置される静電吸着電極、
    (f)前記静電吸着電極に直流電圧を印加する直流電源、
    (g)前記直流電源を制御する直流電源制御部、
    (h)前記プラズマ処理室の内壁を被覆する絶縁膜、
    (i)前記プラズマ処理室の内壁の電位を前記絶縁膜を介して検出する電位検出部、
    を備え、
    前記静電吸着電極に印加される前記直流電圧を制御して、前記電位検出部により検出される電位を設定電位とする、プラズマ処理装置。
  2. 請求項1記載のプラズマ処理装置において、
    前記プラズマ生成部は、前記プラズマを生成するための高周波電圧を印加する第2高周波電源を備え、
    プラズマ処理を終了する工程では、前記第1高周波電源の出力を停止した後、前記第2高周波電源の出力を停止し、
    前記第1高周波電源の出力の停止時から前記第2高周波電源の出力の停止時までの期間において、前記静電吸着電極に印加される前記直流電圧を制御して、前記電位検出部により検出される電位を前記設定電位とする、プラズマ処理装置。
  3. 請求項2記載のプラズマ処理装置において、
    前記設定電位は、±10V以下である、プラズマ処理装置。
  4. (a)プラズマ処理室、
    (b)前記プラズマ処理室内にプラズマを生成するプラズマ生成部、
    (c)前記プラズマ処理室内に配置され、被処理基板を載置する載置電極、
    (d)前記載置電極に高周波電圧を印加する高周波電源、
    (e)前記被処理基板と前記載置電極との間に配置される静電吸着電極、
    (f)前記静電吸着電極に直流電圧を印加する直流電源、
    (g)前記プラズマ処理室の内壁を被覆する絶縁膜、
    (h)前記プラズマ処理室の内壁の電位を前記絶縁膜を介して検出する電位検出部、
    を備えるプラズマ処理装置を用いて、前記被処理基板をプラズマ処理するプラズマ処理方法であって、
    前記静電吸着電極に印加される前記直流電圧を制御して、前記電位検出部により検出される電位を設定電位とする、プラズマ処理方法。
  5. 請求項4に記載のプラズマ処理方法において、
    前記電位検出部により検出される電位は、プラズマ放電の着火の過度時、プラズマ放電の消失の過度時、またはプラズマ放電の着火の過度時およびプラズマ放電の消失の過度時に検出される、プラズマ処理方法。
  6. 請求項5に記載のプラズマ処理方法において、
    前記設定電位は、±10V以下である、プラズマ処理方法。
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