JP2005167283A - プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
高速の半導体回路を高歩留まりで加工できるプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】
排気装置と、原料ガス供給装置と、被加工試料基板(ウエハ)の設置電極装置と、ウエハへの高周波電力の印加装置を有する真空容器を有し、真空容器内で原料ガスをプラズマ化し、ウエハ表面をプラズマ処理するプラズマ処理装置において、ウエハを設置する電極とウエハとの間に絶縁膜を設け、絶縁膜はその一部に導電性材料を有し、導電性材料がインピーダンス調整回路を介して電気的に接地あるいは電極に接続されている。
【選択図】図3
高速の半導体回路を高歩留まりで加工できるプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】
排気装置と、原料ガス供給装置と、被加工試料基板(ウエハ)の設置電極装置と、ウエハへの高周波電力の印加装置を有する真空容器を有し、真空容器内で原料ガスをプラズマ化し、ウエハ表面をプラズマ処理するプラズマ処理装置において、ウエハを設置する電極とウエハとの間に絶縁膜を設け、絶縁膜はその一部に導電性材料を有し、導電性材料がインピーダンス調整回路を介して電気的に接地あるいは電極に接続されている。
【選択図】図3
Description
本発明は半導体集積回路等のドライエッチング加工に用いられるプラズマエッチング装置のようなプラズマ処理装置及びプラズマ処理方法に関する。
半導体集積回路は高機能,高速化のためますます微細化,複雑化している。こうした半導体集積回路を加工するプラズマ処理装置において、従来の技術では、ウエハ外周部に電気電導性を有するリングを設置し静電的ダメージを防止していた。例えば、特開平2−
65131号公報が挙げられる。
65131号公報が挙げられる。
上記従来技術では、より薄膜化するゲート酸化膜や12インチ以上の大口径化するウエハでの静電的なダメージを防止するには十分でなく、また、大きく異なるプロセス条件に伴って変化する静電的なダメージを全て低減することは困難であった。
さらに、従来の半導体集積回路の加工に用いられるプラズマ処理技術では、プロセスパラメータによってダメージがなく、かつ、形状加工性がよいという両立条件を見つけ出し、ドライエッチング処理を行っていた。
上記従来技術では微細化,高アスペクト比化するデバイス、並びに、大口径化する被処理ウエハに対しては、形状加工性の良いプロセスウインドウが小さく、ダメージのないプロセスウインドウとをトレードオフなく両立させることは困難であった。
Barnes et al U.S. Patent 5,535,507明細書は、ワークピースと載置電極との間の静電引力によりワークピースを支持する静電チャック装置を設け、ワークピースのエッチング不均一を補償する技術を開示している。しかし、ワークピースのチャージングダメージによる不良部分を防止することを企図も示唆もしていない。
特開平8−316212号公報は、ウエハ載置部の電極面を電気的に絶縁された複数の領域に分割し、その各々の領域のインピーダンスを制御するように、各々の領域にインピーダンス整合用素子を接続したり、又はウエハ載置部の電極面に凹部を設け電極中央部と外周部とで、ウエハと電極間のインピーダンスが異なるように構成し、ウエハに入射するイオンのエネルギーをウエハ面内で均一にして、プラズマ処理を均一にすることを開示している。しかし、本発明で意図するワークピースのチャージングダメージ補償法には言及していない。
また、特開平8−181107号公報は、下部電極の周辺にセラミック等からなる周辺リングを設置して、ウエハを周辺リング上に設置してウエハと下部電極との間に空間を設けて静電容量を持たせ、プラズマ中で発生する直流電圧を該空間とブロッキングコンデンサとウエハに分散させて、ウエハへのチャージングダメージの発生を防止することを開示している。しかし、本発明で意図するワークピースのチャージングダメージ補償法には言及していない。
本発明の目的は、チャージアップによるダメージに敏感な高速デバイスを、大口径のウエハで高歩留まりで加工することができるプラズマ処理装置及びプラズマ処理方法を提供することである。
本発明の他の目的は、高速の半導体回路を高歩留まりで加工できるプラズマ処理装置とその処理方法に用いるウエハのような被処理基板を載置する電極構造体及び回路の組合わせを提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明の1つの態様においては、処理ウエハ裏面に対向する電極表面全体に亘る絶縁材の一部を他の部分より厚くし、その絶縁材内部に別途電極を設ける。その電極にはバイパスされたバイアス電流を給電し、そのバイアス電流量を調整する。
即ち、本発明の一態様は被処理基板にバイアス電力を印加可能に構成されたプラズマ処理装置であって、被処理基板内の複数の位置に対するバイアス電力の給電インピーダンス差が可変できるよう構成したプラズマ処理装置を提供する。
本発明の他の態様は、被処理基板を設置する電極と被処理基板間に絶縁性の膜を設け、該絶縁性の膜が2種以上の厚みを持ち、そのうちの一種以上の絶縁膜中に導電性材料を有し、該導電性材料は電極と絶縁されたバイアス電力の給電線が接続されているプラズマ処理装置を提供する。
本発明のさらに他の態様は、被処理基板を設置する電極を有し、該電極と被処理基板間に絶縁性の膜を設け、該絶縁性の膜が2種以上の材料からなり、そのうちの一種以上の絶縁膜中に導電性の材料を有し、該導電性材料には電極と絶縁されたバイアス電力の給電線が接続されているプラズマ処理装置を提供する。
さらに本発明の別の態様は、前記バイアス電力の給電線のインピーダンスを可変とした、あるいは、前記バイアス電力の給電線に静電吸着用の電源回路を接続した前記プラズマ処理装置を提供する。
本発明の別の態様に従えば、排気手段と、原料ガス供給手段と、ウエハのような被加工試料基板の設置手段と、被加工試料基板への高周波電力の印加手段を有する真空容器と、該真空容器内で原料ガスをプラズマ化し、被加工試料基板表面をプラズマ処理するプラズマ処理装置において、被加工試料基板を設置する電極と被加工試料基板との間に絶縁膜を設け、該絶縁膜はその一部に導電性材料を有し、該導電性材料が電気的に接地されるように構成したプラズマ処理装置のバイアス回路を含む電極構造体が提供される。
本発明の別の態様では上記基板と上記電極との間に設けた絶縁膜中の導電性材料は、インピーダンス可変回路を介して電気的に接地されている上記プラズマ処理装置の電極構造体が提供される。
本発明の別の態様では、前記絶縁膜中の導電性材料は、インピーダンス可変装置を介して被加工試料基板を設置する電極と電気的に接続されている上記のプラズマ処理装置が提供される。
本発明の別の態様に従えば、上記インピーダンス可変装置の設定値を、ウエハ基板に発生する絶縁破壊パターンに応じて調節することにより前記基板をプラズマ処理するプラズマ処理方法が提供される。
本発明によれば、チャージアップによるダメージに敏感な高速デバイスを、大口径のウエハで高歩留まりで加工できる。
本発明の実施例を説明する前に、本発明の理解を容易にするため図を用いて従来の技術を詳細に説明する。
高速デバイスは、ゲート酸化膜が非常に薄いため、それに伴なって図1に示すようにゲート耐電圧が低くなっており、荷電粒子を用いてプラズマ処理を行うドライエッチング等では、荷電粒子の精密なバランスをとりながら処理を進めて行かないと、ゲート酸化膜間に生じた電位差で静電的なダメージが発生する。
これはウエハ母材(シリコン)の電位が、ウエハ上のプラズマから流入する電荷量の平均値に支配されるのに対し、ゲート酸化膜上の電位は、その直上の局部のプラズマからの電荷の流入量に支配されるため、ウエハ全面にわたっての電荷の流入量の僅かな差が、ゲート酸化膜上とゲート酸化膜下(つまり母材シリコン)の電位差となって現れるからである。この現象はチャージアップによるダメージと呼ばれている。
これに対し、従来は、ウエハ外周部に導電性のリングを用いてチャージアップによるダメージを防止する方法がとられていた。
しかし、この方法は外周部のプラズマ密度を局所的に変える方法であるため、今日の
12インチ以上の大口径ウエハを処理するには制御範囲が狭く、特に、ますます薄膜化するゲート酸化膜に対しては、ダメージを十分に抑制できない。
12インチ以上の大口径ウエハを処理するには制御範囲が狭く、特に、ますます薄膜化するゲート酸化膜に対しては、ダメージを十分に抑制できない。
本発明者らは、ゲート酸化膜の薄膜化および処理ウエハの大口径化にも対応可能で、制御範囲が大きく、かつ、制御性能の高い方法を見出し、本発明に到達した。以下実施例に基づき本発明を説明する。
〔実施例1〕
図2は、本実施例のマイクロ波ドライエッチング装置(プラズマ処理装置)の模式断面図である。
図2は、本実施例のマイクロ波ドライエッチング装置(プラズマ処理装置)の模式断面図である。
気密に設けられ真空処理室1内に、マイクロ波を導入する石英窓2と、該石英窓2に対向して半導体集積回路を有するウエハ9を設置するウエハ設置電極3が配置され、そしてウエハ設置電極3にバイアス電圧を生じさせるための高周波電源4と直流電源5が設けられ、石英窓2にマイクロ波を導くための導波管6が連結され、真空処理室1内に磁場を形成するソレノイドコイル7が設けられている
。
。
ガス導入口8は、エッチングレシピに基づき、混合ガスを真空処理室1に導入するものである。
図2に示すエッチング装置において、従来の電極を用いた場合は、ウエハ外周部はアース電極に近く、一方、ウエハ中心部はアース電極から遠いためウエハ外周部の方がバイアス電流が流れ易い構造となっている。即ち、インピーダンスが低い。
このためウエハ外周部ではバイアスによる荷電粒子の引き込み量が多く、特に、電子電流が多く引き込まれるためにウエハ母材の電位は負方向にシフトし、ウエハ中央部のゲート酸化膜に正の電位差を生じて、ダメージ発生の原因となっていた。また、この電位差はプラズマの状態および磁場条件によっても大きく異なる。
このダメージを抑制するためには、上記バイアス電流の流れ易さの不均一を相殺させる必要があり、その上、さまざまなプロセス条件に対応させるためには、その相殺量を調整できる手段が必要である。
そこで本発明においては、図3に示す構造のウエハ設置電極を前記図2の装置に組み込んで実験を行った。
図3に示すウエハ設置電極は、母材がアルミニウムで、その表面にアルミナ膜が溶射によりコーティングされている。このアルミナ膜のコーティング厚さは、電極径の2/3から最外周までのリング状部分が、内周部に比べて約3倍の厚さになっている。
またこのリング状部分の表面から約1/3の深さ位置にタングステン材料で構成した電極11が埋め込んであり、ウエハ設置電極の母材と絶縁された給電線12が接続されている。
この給電線12は、可変容量コンデンサ13とそれに並列に接続されたフィルタコイル14とを介して、電極母材と共にバイアス高周波電源17によるバイアス電源回路に接続されている。
可変容量コンデンサ13は、短絡または開放にすることができ、かつ、無限大から0までの範囲で容量を変化させることができる。なお、可変容量コンデンサ13と並列に接続されたフィルタコイル14は、直流電流を通せるようにするためのもので、ウエハを静電吸着させて処理する場合にも、電極の外周側アルミナ表面に対し、タングステンの電極11を介し直流電源15から直流電荷を供給することにより、従来の電極と同様にウエハを静電吸着させることができる。なお、符号16は直流パスフィルタである。
従来電極の場合、ウエハ面内の各位置に対してバイアス電流は均一に供給されている。そのため上記のウエハ面内の各位置からアースまでのインピーダンスの差で、チャージアップしダメージが発生していた。
これに対し、本発明の電極を用いた場合は、ウエハの外周部に対するバイアス電源から見たインピーダンスを、ウエハ中心部のそれに比べてある範囲で大きく設定することができる。このことによりバイアス電流の一部が、ウエハ中心部からウエハのバルク抵抗中を通ってウエハ外周部へ供給されることになり、分岐電流量を可変容量コンデンサ13の値を調整することによって、ウエハからアースまでのインピーダンスと相殺させることができる。
ダメージをテストするウエハを、高速エッチングができるプロセス条件のプラズマに曝すテストを行った。この時、従来電極では図4に示すようにテストウエハ中心部にチャージアップによるダメージが発生した。
これを本発明による電極を用い、可変容量コンデンサ13の値を500pFとし、同様にテストウエハによる実験を行うと、図5に示すようにダメージ発生率を0%に低減することができた。
しかしながら、可変コンデンサの容量を500pFとし、低速エッチング条件でダメージテストウエハで実験を行うと、図6に示すように、再び中心部にダメージが発生するようになった。
これはウエハからプラズマを介してアースまでのインピーダンス差に比較して、バイアス電源からウエハまでのインピーダンス差が、大きくなりすぎたことによるものである。この場合は、可変容量コンデンサ13の容量を2000pFとすると、インピーダンス差が相殺され、ダメージ発生率を0%にすることができた。
本実施例においては、外周部のアルミナ膜の厚さを変えたが、外周部の絶縁膜をアルミナよりも誘電率の低い樹脂等の材料に変えた場合でも、上記と同様の効果が得られた。
また、本実施例では電極外周部に設けた電極11によってインピーダンスの調整を行ったが、ウエハ設置電極でインピーダンス調整を行うようにしても良い。この場合は、電極11の上部の絶縁膜厚さを電極中央部の絶縁膜の厚さより厚くし、さらに電極11の下部の絶縁膜厚さを上部の絶縁膜厚さより厚くして、電極11を高周波電源17に接続し、ウエハ設置電極に可変容量コンデンサ13とフィルタコイル14とから成るインピーダンス調整器を介して高周波電源17に接続して構成する。このように構成された回路では、ウエハ周囲に対応する電極11部のインピーダンスを予め大きくしておき、ウエハ中央部に対応するインピーダンスを調整して、ウエハ面内のインピーダンスを適切に調整することができる。
〔実施例2〕
図7に示す3つの電極を持つプラズマエッチング装置(プラズマ処理装置)について説明する。ここで21は上部電極でプラズマ発生用の電源22に接続されており、高周波電力を印加することによって上部電極21と下部電極23の間にプラズマを発生する。発生したプラズマはチャンバ側壁に設けられたアース25によって中心電位をアース電位に保っている。
図7に示す3つの電極を持つプラズマエッチング装置(プラズマ処理装置)について説明する。ここで21は上部電極でプラズマ発生用の電源22に接続されており、高周波電力を印加することによって上部電極21と下部電極23の間にプラズマを発生する。発生したプラズマはチャンバ側壁に設けられたアース25によって中心電位をアース電位に保っている。
下部電極23に接続されたバイアス電源24はウエハ26に対して高周波電圧を発生させプラズマ中のイオンを加速し、ウエハ26に対して処理を行っている。
加工形状が、ウエハ面内で均一になるようプロセス条件出しを行ったところ、プラズマの密度分布は必ずしも均一ではなく、ウエハ中心部上の空間で、他より密度の低い分布となっていた。この時、ゲート酸化膜の特性を測定したところ、図8に示すようにダメージによる不良が発生していた。
そこで実施例1と同様に、図3の構造の電極を用い可変容量コンデンサ13の容量を調整して、同じプロセス条件下でエッチングを行ったところ、不良率を0%に抑制することができた。
〔実施例3〕
次に、図9は、高密度プラズマエッチング装置、すなわち、プラズマ処理装置を用いてウエハのエッチングを行った例を示す。
次に、図9は、高密度プラズマエッチング装置、すなわち、プラズマ処理装置を用いてウエハのエッチングを行った例を示す。
31は導入窓でその上にはコイル33が設置してあり、コイル33に高周波電源32から電力を供給することにより、導入窓31とウエハ設置電極34の間にプラズマを発生させる。
ウエハ設置電極34に接続されたウエハ37にバイアス電源35によって電圧を印加することにより、実施例2と同様、プラズマからイオンを加速してウエハ37に照射することによりエッチング加工を行う。なお、アース36はプラズマ電位を固定しバイアスを印加できるようにしたものである。
ここで従来の電極を用いてこのエッチング装置で所望の加工形状が得られるようにプロセス条件を調整し、エッチングを行った後で、ゲート酸化膜の特性を測定したところ、図10に示すように不良の発生が見られた。
これはウエハの各点からアースまでの距離が異なることによって生ずるインピーダンス差が影響したと考えられる。そこで実施例2と同様に図3の構造の電極を用い可変コンデンサの容量を調整して、同じプロセス条件下でエッチングを行ったところ、不良率を0%に抑制することができた。
〔実施例4〕
図11は、バイアスCVD装置としてのプラズマ処理装置の模式断面図である。本実施例はこれを用いて行った。
図11は、バイアスCVD装置としてのプラズマ処理装置の模式断面図である。本実施例はこれを用いて行った。
バイアスCVD装置は、石英チャンバ42上に設置されたコイル41に高周波電源43から電力を供給し、成膜ガス雰囲気下でプラズマを発生させ、ウエハ47が設置された電極45にバイアス電源46から電圧を供給することにより、プラズマ中のイオンを加速して膜の被覆性を高めながらウエハ47上に形成された配線上に絶縁膜を付けて行くものである。アース44でプラズマ電位を固定し、バイアスを印加できるようにしたものである。
成膜開始時には、配線が直接プラズマに曝されているため、この配線に接続されているゲート酸化膜は、チャージアップダメージを受ける可能性を持つ。
従来の電極を用いて均質、かつ、被覆性よく成膜が行えるようにプロセス条件を調整して成膜を行った後、ゲート酸化膜の電気特性を測定したところ、図12に示すようにウエハ内で不良が発生した。
そこで実施例3と同様に、図3の構造の電極を用い可変コンデンサの容量を調整して、同じプロセス条件下でエッチングを行ったところ、不良率を0%に抑制することができた。
本発明者の検討によると、チャージングダメージは、特にウエハバイアスを印加した場合、ウエハ面内位置からアースまでのインピーダンス差で、印加バイアス電圧に僅かな差を生じ、荷電粒子の引き込み量が異なることによって起こることが多い。
これに対して、従来はプロセス条件として静電的なダメージが発生しない条件を探し出し行っていたが、最近のウエハの大口径化,ゲート酸化膜の薄膜化により、インピーダンス差をさらに小さくする必要が生じ、その上、微細加工性能に対する要求からプロセスウインドウが益々狭くなり、例えば、レートなどの性能とのトレードオフなしには成立しなくなってきた。
このためインピーダンス差を電極で補償し、かつ、その補償量を可変することで膜種や加工形状に応じた最適なプロセス条件を変更することなく、チャージングダメージを抑制することを検討した。
図16は、従来の装置に用いられていた静電吸着機能を有する電極膜の模式断面図と高周波バイアス,静電吸着用直流電源の接続方法を示したものである。
図16において、81は絶縁膜、82は電極母材、83はバイアス高周波電源、84は直流パスフィルタ、85は直流電源を表す。
従来の電極では、ウエハへのバイアス高周波電源のインピーダンスが面内で均一であるため、プラズマ中で発生したウエハ面内のインピーダンス差が、そのまま全体としてのインピーダンス差となって、チャージングダメージが発生していた。
これに対抗する解決法を実施例5〜7によって示す。
〔実施例5〕
図13は本実施例の電極の模式断面図と電気接続の一例を示す。
図13は本実施例の電極の模式断面図と電気接続の一例を示す。
電極は、電極母材54上に第1層絶縁膜(アルミナ)51を300μm形成し、次に電極の中心部および外周部2ケ所に分けてタングステンから成る中間電極52を30μm形成した後、さらに300μmの第2層絶縁膜(アルミナ)53を形成している。
中心部および外周部の中間電極52に対しては、それぞれバイアス高周波電源57および静電吸着用の直流電源59が直流パスフィルタ58を介して接続され、さらに外周の中間電極52には給電線55を介して接地された補償量調整回路56が接続されている。補償量調整回路56は基本的にコンデンサと可変コイルを用いた並列共振回路で構成することができる。
外周部の中間電極52を接地することによって、バイアス高周波電流の一部は中間電極52に流れずアースに流れるため、ウエハに流れるバイアス電流が減る。
これは、実効的にはウエハ外周部に対するインピーダンスを、中心に比べて高くしたことに相当し、プラズマ中に発生したインピーダンス差を補償できる(インピーダンス可変装置に相当)。
高アスペクトの酸化膜穴加工において、加工形状が最適化されたプロセス条件で通常電極を用いた場合は、ウエハ上の全チップのうち23%に耐電圧不良が見られたのに対し、本第1の実施形態の電極を適用し、外周部中間電極に接続された補償量調整回路の値を調整することにより、プロセス条件、並びに、加工結果になんら影響を与えることなく、耐電圧不良を0%に抑制することができた。
次に、通常電極では15%の耐電圧不良が発生したSAC(Self AlignedContact)穴加工プロセスに対しては、調整回路を高アスペクト穴加工の場合に対して、アースに流れる電流を減らす定数値に設定することにより、耐電圧不良を0%にすることができた。
なお、ウエハの静電吸着に必要な直流電流は、高周波フィルタ回路を通して中心部および外周部の中間電極を通じて、均等にウエハに供給されるので、従来の電極と同様の吸着性能を得ることができる。
また、ウエハに入ってきた熱は、表面の第1層絶縁膜51,中間電極52,下層の第2層絶縁膜53を通って電極に流れて行くが、熱抵抗に対して支配的な絶縁膜は、その厚さがウエハ面方向で均一であるので熱抵抗も均一で、従って、ウエハ面内の温度も均一である。
〔実施例6〕
図4は本実施例の電極の模式断面図および電気接続を示す。
図4は本実施例の電極の模式断面図および電気接続を示す。
電極は前記実施例5と同様で、電極母材64上に第1層絶縁膜(アルミナ)61を300μm形成し、次に、電極の中心部および外周部2ケ所に分けてタングステンの中間電極
62を30μm形成後、さらに300μmの絶縁膜(アルミナ)を形成している。
62を30μm形成後、さらに300μmの絶縁膜(アルミナ)を形成している。
中心部の中間電極62に対しては、バイアス高周波電源67および静電吸着用の直流電源69が接続され、外周の中間電極には補償量調整回路66を経てバイアス高周波電源
67および静電吸着用の直流電源69が接続されている。同図において63は第2層絶縁膜、64は電極母材、65は給電線、68は直流パスフィルタを表す。
67および静電吸着用の直流電源69が接続されている。同図において63は第2層絶縁膜、64は電極母材、65は給電線、68は直流パスフィルタを表す。
この補償量調整回路66は、中間電極62に対してインダクタンス(コイル)成分を与え、外周部中間電極の第1層絶縁膜61によるキャパシタンス(コンデンサ)成分と並列共振回路を構成し、外周部中間電極に供給される高周波バイアス電流の一部を閉じ込めることによりウエハへの電流を減らし、実効的にインピーダンスを高くする。これにより実施例5と同様にプラズマ中に発生したインピーダンス差を補償できる。
実施例5と同じ高アスペクトの酸化膜穴加工およびSAC穴加工条件にて、実施例6の電極を適用し、外周部中間電極に接続された調整回路の値をそれぞれに対して調整することにより、プロセス条件、並びに、加工結果その他になんら影響を与えることなく、耐電圧不良を0%に抑制できた。
また、本電極の膜構造においても実施例5の電極同様、静電吸着性能およびウエハ温度の面内均一性は、通常電極に対しても同様である。
〔実施例7〕
次に、図15は本実施例7の電極の模式断面図および電気接続を示す。
次に、図15は本実施例7の電極の模式断面図および電気接続を示す。
電極は実施例5及び実施例6とは同様な構造であるが、中間電極72は中心部のみに形成し、その中間電極72に対し、補償量調整回路76を経てバイアス高周波電源77および静電吸着用の直流電源79が接続されている。補償量調整回路76は基本的に可変容量コンデンサを用いることにより構成することができる。図15において、71は第1層絶縁膜、73は第2層絶縁膜、74は電極母材、75は給電線、76は補償量調整回路、78は直流パスフィルタを表す。
この中心部の中間電極72は、第1層を通過してきた高周波バイアス電流に加えて、バイパスしてきた電流を加算する働きをする。これにより中間電極が無く、電流が加算されない外周部に対して、中心部のインピーダンスを実効的に低くすることができる。これによって実施例5と実施例6と同様にプラズマ中に発生したインピーダンス差を補償できる。
実施例5と同様の高アスペクトの酸化膜穴加工およびSAC穴加工条件にて、本実施例7の電極を適用し、外周部中間電極に接続された調整回路の値をそれぞれに対して調整することにより、プロセス条件、並びに、加工結果その他になんら影響を与えることなく、耐電圧不良を0%に抑制できた。
また本電極の膜構造においても実施例5の電極同様、静電吸着性能およびウエハ温度の面内均一性は通常電極に対して同様である。
1…真空処理室、2…石英窓、3,34…ウエハ設置電極、4,32,43…高周波電源、5,15,59,69,79,85…直流電源、6…導波管、7…ソレノイドコイル、8…ガス導入口、11,45…電極、12,55,65,75…給電線、13…可変容量コンデンサ、14…フィルタコイル、21…上部電極、22…電源、23…下部電極、24,35,46…バイアス電源、25,36,44…アース、26,37,47…ウエハ、31…導入窓、33,41…コイル、42…石英チャンバ、51,61,71…第1層絶縁膜、52,62,72…中間電極、53,63,73…第2層絶縁膜、54,64,74,82…電極母材、56,66,76…補償量調整回路、57,67,77,83…バイアス高周波電源、58,68,78,84…直流パスフィルタ。
Claims (6)
- 減圧可能な処理室内に配置された電極であってその周囲のこの処理室内に接地された部材が配置された電極の上面に、被処理対象であるシリコンウエハに酸化膜が形成された基板を載置し、前記処理室内にガスを供給しつつこの処理室内に電界を導入して、この電極に高周波電源からのバイアス電力を供給しつつ前記処理室内に形成したプラズマを用いて前記基板を処理するプラズマ処理方法であって、
前記電極はその表面上でこれを覆って配置されその上に前記基板が配置される絶縁性の膜部材とこの内側であって前記電極の上側の一部を覆って配置され前記高周波電源と接続された導電性の膜部材とを有して、
この導電性の膜部材に供給される電力を前記基板の面上で生じる電位差が所定の値よりも小さくなるように調節するプラズマ処理方法。 - 請求項1に記載のプラズマ処理方法であって、前記導電性の膜部材は前記電極の上方の異なる箇所に複数配置され、これらの導電性の膜部材に供給される電力を調節するプラズマ処理方法。
- 請求項1または2に記載のプラズマ処理方法であって、前記導電性の膜部材と電極との間のインピーダンス差をバイアス電力による前記基板の面上で生じる電位差が前記酸化膜の耐電圧よりも小さくなるように調節するプラズマ処理方法。
- 請求項3に記載のプラズマ処理方法であって、前記インピーダンス差の調節は、前記高周波電源と前記電極または導電性の膜部材との間で電力を供給する供給線のインピーダンスを可変に調節するプラズマ処理方法。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載のプラズマ処理方法であって、前記導電性の膜部材が少なくとも前記電極上であってその外周側に配置され、この導電性の膜部材に供給される電力を調節するプラズマ処理方法。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載のプラズマ処理方法であって、前記導電性の膜部材が少なくとも前記電極上であってその中央側に配置され、この導電性の膜部材に供給される電力を調節するプラズマ処理方法。
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