JP2015072371A - カプセルトナー及びカプセルトナーの製造方法 - Google Patents

カプセルトナー及びカプセルトナーの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 低温定着条件における定着強度を向上させたカプセルトナーを提供する。
【解決手段】 本発明のカプセルトナーは、少なくとも結着樹脂と離型剤を含むコア粒子と、コア粒子を被覆するシェル層を有するカプセルトナーであって、離型剤は、ペンタエリストールと直鎖飽和モノカルボン酸がエステル結合をしたペンタエリスリトール脂肪酸エステルを含み、シェル層は、少なくとも炭素数4以上12以下のアルコキシ基を有するアクリル系モノマーを重合させて得られるアクリル系樹脂を含むことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成装置に使用されるカプセルトナーに関する。
電子写真方式を利用した画像形成装置では、一般に、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、定着工程、及びクリーニング工程を含む画像形成プロセスを実行して、所望の画像を被記録媒体に形成する。先ず、帯電工程では、回転駆動される感光体の表面を均一に帯電させ、露光工程では、帯電した感光体表面に原稿像の信号光を投射して静電潜像を形成する。次に、現像工程では、感光体表面の静電潜像に電子写真用トナー(以下「トナー」と称することもある。)を供給してトナー像を形成し、転写工程では、感光体表面のトナー像を被記録媒体に転写する。次に、定着工程では、加熱、加圧などによってトナー像を被記録媒体上に定着させ、クリーニング工程では、トナー像転写後の感光体表面に残留するトナーなどをクリーニングブレードによって除去する。
近年、画像形成装置における画像形成プロセスでは、省エネルギー化の要求の高まりに伴い、定着工程におけるトナーの定着温度を低温化させる取り組みがなされている。その一つとして、軟化点の低い結着樹脂を含むトナーを用いて、定着温度を下げることが提案されている。
しかし、軟化点の低い結着樹脂を含むトナーは、熱により融着しやすく、保管時や輸送時などの静置状態下でトナー同士が凝集するブロッキングが発生する。
上記のような課題に対し、軟化点の低い結着樹脂を含むコア粒子の表面に、コア粒子よりも軟化点が高く耐熱性の高い樹脂からなるシェル層で被覆する表面改質処理を行ったコア・シェル構造を有するカプセルトナーにすることで、トナーの低温定着性を損なわずに、耐ブロッキング性を向上させる方法がある(例えば、特許文献1、2参照。)。
特開平2−208661号公報 特開2001−235894号公報
しかしながら、特許文献1又は2記載のカプセルトナーでは、一般的に、耐高温オフセット性の改善を目的として、コア粒子にパラフィンワックスや低分子量ポリプロピレンなどといった離型剤を含ませるため、シェル層が十分に軟化しない低温の定着条件において、カプセルトナー粒子同士が接着する前に、離型剤がカプセルトナー粒子表面に滲み出すといった問題があった。シェル層が十分に軟化しない低温で定着させる場合、従来の離型剤を含むカプセルトナーでは、離型剤がカプセルトナー粒子同士の接着前にカプセルトナー表面に滲み出し、カプセルトナー粒子同士の接着を妨げるため、定着強度が低下してしまう。カプセルトナーの定着強度の低下は、被記録媒体に定着されたトナー像である印刷画像に割れ又は剥がれなどが発生する原因になる。
本発明は、上記課題に鑑み、低温定着条件における定着強度を向上させたカプセルトナー及びそのカプセルトナーの製造方法を提供することを目的とする。
本発明のカプセルトナーは、少なくとも結着樹脂と離型剤を含むコア粒子と、コア粒子を被覆するシェル層を有するカプセルトナーであって、離型剤は、ペンタエリストールと直鎖飽和モノカルボン酸がエステル結合をしたペンタエリスリトール脂肪酸エステルを含み、シェル層は、少なくとも炭素数4以上12以下のアルコキシ基を有するアクリル系モノマーを重合させて得られるアクリル系樹脂を含むことを特徴とする。
また、本発明のカプセルトナーは、直鎖飽和モノカルボン酸がバルミチン酸、ベヘン酸及びステアリン酸からなる一群から選ばれる少なくとも1種以上の化合物であることを特徴とする。
また、本発明のカプセルトナーは、アクリル系樹脂が、少なくとも炭素数4以上12以下のアルコキシ基を有するアクリル系モノマーと、スチレン系モノマーを重合させて得られることを特徴とする。
また、本発明のカプセルトナーは、結着樹脂がスチレンアクリル系樹脂を含むことを特徴とする。
また、本発明のカプセルトナーの製造方法は、少なくとも結着樹脂と、ペンタエリスリトールと直鎖飽和モノカルボン酸がエステル結合したペンタエリスリトール脂肪酸エステルとを含むコア粒子と、コア粒子を被覆するシェル層と、を備えたカプセルトナーの製造方法であって、コア粒子に、少なくとも炭素数4〜12のアルコキシ基を有するアクリル系モノマーを重合して得られるアクリル系樹脂微粒子を混合し、コア粒子表面にアクリル系樹脂微粒子を付着させた複合粒子を得る複合粒子形成工程と、複合粒子形成工程で得た複合粒子に機械的衝撃力を与え、カプセルトナー粒子を得るカプセルトナー粒子形成工程と、を含むことを特徴とする。
本発明のカプセルトナーによれば、低温定着条件における定着強度を向上させたカプセルトナー及びそのカプセルトナーの製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係るカプセルトナーの概略断面構成を示す概念図である。 本発明の実施形態に係るカプセルトナーの製造方法の工程を示す概略工程図である。
本発明に係るカプセルトナー及びカプセルトナーの製造方法の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施形態は本発明が具現化された一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態が適宜変更され得ることは勿論である。
1、カプセルトナー
図1は、本発明の一実施形態であるカプセルトナー1の断面構成を示す概念図である。本実施形態のカプセルトナー1は、少なくとも結着樹脂と離型剤を含むコア粒子2と、コア粒子2を被覆するシェル層3により構成される。
以下、本発明のカプセルトナー1の構成について詳細に述べる。
(コア粒子)
コア粒子2は、少なくとも結着樹脂と離型剤を含み、必要に応じて、その他添加剤を含む。
本発明に用いられる結着樹脂としては、従来トナーに使用される公知の樹脂が利用でき、例えば、スチレンアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂が挙げられる。中でも、本発明のシェル層3と親和性を向上させる観点から、スチレンアクリル系樹脂であることが好ましい。
スチレンアクリル系樹脂は、以下に示すモノマーを1種又は2種以上を公知の重合反応により重合させ得られた樹脂であることが特に好ましい。スチレンアクリル系樹脂を構成するモノマーとしては、例えば、スチレン、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレンなどのスチレン誘導体や、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエステルなどのアクリル酸誘導体及びメタクリル酸誘導体が挙げられ。上記のスチレンアクリル系樹脂を構成するモノマーであれば、一部が変性されていてもよい。
また、結着樹脂に用いるスチレンアクリル系樹脂を構成するモノマーには、耐高温オフセット性の改善を目的として、本発明の効果を損なわない範囲で、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸モノフエニルエステル、マレイン酸モノアリルエステル、ジビニルベンゼンなどのビニルモノマーを含ませることがさらに好ましい。
結着樹脂のガラス転移点は、特に限定されないが、低温定着性の向上の観点から、30℃以上50℃以下が好ましい。結着樹脂のガラス転移点が30℃未満であると、画像形成装置内部において、カプセルトナー粒子同士が熱凝集するブロッキングが発生しやすくなり、保存安定性が低下する恐れがある。結着樹脂のガラス転移点が50℃を超えると、低温定着性が損なわれる恐れがある。
本発明に用いられる離型剤としては、アルコール成分であるペンタエリストールと酸成分である直鎖飽和モノカルボン酸が、公知の方法により縮重合、エステル化反応又はエステル交換反応により、エステル結合をしたペンタエリスリトール脂肪酸エステルを含む離型剤を用いる。
直鎖飽和モノカルボン酸としては、具体的に、パルミチン酸、ベヘン酸、ステアリン酸、アラキン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、ミリスチン酸、メリシン酸などが挙げられる。中でも、バルミチン酸、ベヘン酸及びステアリン酸は、離型剤の結晶性を高めることができ、トナー像の定着強度をより高める効果が期待できるため、特に好ましい。
本発明に離型剤として用いられるペンタエリスリトール脂肪酸エステルを得る方法の一例について、以下に説明する。
ペンタエリスリトール脂肪酸エステルを得るには、例えば、まず、ペンタエリスリトールに対して、直鎖飽和モノカルボン酸の量を過剰に用いてエステル化反応を行う。このエステル化反応は、触媒の存在下又は不存在下で、通常120℃〜240℃の温度で行われる。このようなエステル化反応により、エステル化粗生成物が得られる。
次いで、上記のエステル化反応により得られたエステル化粗生成物中に含まれる過剰な直鎖飽和モノカルボン酸成分を、アルカリ水溶液を用いた脱酸により除去する。脱酸時に用いるアルカリ水溶液として、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属塩、炭酸アンモニウムなどのアンモニウム塩などの水溶液が挙げられる。アルカリ水溶液の量は、得られたエステル化粗生成物の酸価に対し1〜2倍当量が好ましい。
エステル化粗生成物の具体的な脱酸方法は、エステル化粗生成物、アルカリ水溶液、炭化水素溶剤、及び分離用アルコールを混合し、エステル化粗生成物中に含まれる過剰な直鎖飽和モノカルボン酸をアルカリ水溶液により中和することにより行われる。脱酸は、エステル化粗生成物の融解温度よりも高い温度を保持して行われ、通常、50℃〜100℃であり、好ましくは70℃〜90℃である。50℃未満の温度では、分層不良や乳化を起こす恐れがあり、100℃を超えるとエステル化粗生成物が加水分解する恐れがある。
脱酸により本発明に離型剤として用いるペンタエリスリトール脂肪酸を含むエステル層とアルカリ水層と分離するので、このアルカリ水層を除去する。次に、エステル層を50℃〜100℃の熱水で水洗する。水洗は、水洗廃水が中性となるまで繰り返し行う。炭化水素溶剤又は分離用アルコールなどの溶剤は、水洗を繰り返し行うことにより、エステル層から除去することができる。さらに水洗後にエステル中に残存する溶剤を、減圧条件下にて完全に除去することができる。このようにして本発明に離型剤として用いるペンタエリスリトール脂肪酸エステルが得られる。
ペンタエリスリトール脂肪酸エステルを得るために用いられる炭化水素溶剤は、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、及びノルマルヘプタンなどが挙げられる。炭化水素溶剤の添加量は、エステル化粗生成物100重量部に対して、5〜100重量部であることが好ましい。5重量部未満では、分層不良あるいは乳化状態になる恐れがある。100重量部を超えた場合では、添加量に見合った効果の向上はなく、かえって、溶媒の除去に時間が長期化し、生産性が低下する場合がある。
ペンタエリスリトール脂肪酸エステルを得るために用いられる分離用アルコールは、炭素数1〜3の低級アルコールが好ましく、具体的には、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノールなどが挙げられる。分離用アルコールの添加量は、分層状態を良好にするため、エステル化粗生成物100重量部に対して、3〜30重量部であることが好ましい。
離型剤の融点は、特に限定されず、広い範囲から適宜選択できるが、好ましくは30℃〜120℃、特に好ましくは30℃〜100℃である。離型剤の融点が、30℃未満であれば得られるカプセルトナーの保存性を損なう恐れがあり、120℃を超えると定着性が改善されない恐れがある。
コア粒子に含まれる離型剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは結着樹脂100重量部に対して2重量部以上20重量部以下である。離型剤の使用量が、結着樹脂100重量部に対して0.2重量部未満であると離型剤としての機能を充分に発揮できない恐れがあり、20重量部を超えると、本発明のカプセルトナーを適用する画像形成装置内部で、本発明のカプセルトナーが感光体上に付着するフィルミングが起こりやすくなる。
また、コア粒子2には、必要に応じて、着色剤又は電荷制御剤などの添加剤を含ませてもよい。
着色剤としては、例えば、電子写真分野で常用される着色剤が使用でき、ブラックトナー用着色剤、イエロートナー用着色剤、マゼンタトナー用着色剤、及びシアントナー用着色剤などが使用できる。以下では、カラーインデックス(Color Index)を「C.I.」と略記する。
ブラックトナー用着色剤としては、例えば、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライト及びマグネタイトなどが使用できる。
イエロートナー用着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185などが使用できる。
マゼンタトナー用着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222などが使用できる。
シアントナー用着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60などが使用できる。
これらの着色剤以外にも、コア粒子2に含まれる着色剤として、紅色顔料、緑色顔料などが使用できる。また、上記の着色剤は1種単独で使用でき、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
着色剤の使用量は、特に限定されないが、好ましくは結着樹脂100重量部に対して5重量部以上10重量部以下である。着色剤の使用量を上記範囲にすることで、充分な画像濃度を有し、発色性が高く画像品位に優れる良好な画像を形成することができる。
また、着色剤は、結着樹脂中に均一に分散させるために、マスターバッチ化して用いてもよい。
コア粒子2には、帯電性を付与する目的で、必要に応じて電荷制御剤を含ませてもよい。電荷制御剤としては電子写真分野で常用される正電荷制御用及び負電荷制御用の電荷制御剤を使用できる。
正電荷制御用の電荷制御剤としては、例えば、四級アンモニウム塩、ピリミジン化合物、トリフェニルメタン誘導体、グアニジン塩、アミジン塩などが使用できる。また、負電荷制御用の電荷制御剤としては、含金属アゾ化合物、アゾ錯体染料、サリチル酸及びその誘導体の金属錯体及び金属塩(金属はクロム、亜鉛、ジルコニウムなど)、有機ベントナイト化合物、ホウ素化合物などが使用できる。
電荷制御剤の使用量は、特に限定されず、広い範囲から適宜選択できるが、好ましくは結着樹脂100重量部に対して0.5重量部以上5重量部以下である。
コア粒子2の体積平均粒径は、4μm以上8μm以下が好ましい。コア粒子2の体積平均粒径が4μm以上8μm以下であると、高微細な画像を長期にわたって安定して形成することができる。また、上記範囲まで小粒化することによって、少ない付着量でも高い画像濃度を得られ、トナーの消費量を削減できる効果も生じる。一方で、コア粒子2の体積平均粒径が4μm未満であると、コア粒子2の粒径が小さくなり過ぎ、高帯電化及び低流動化が発生する恐れがある。この高帯電化及び低流動化が発生すると、感光体にトナーを安定して供給することができなくなり、地肌かぶり及び画像濃度の低下などが発生する恐れがある。コア粒子2の体積粒径が8μmを超えると、コア粒子2の粒径が大きく、形成画像層厚が高くなり、著しく粒状性を感じる画像が形成され、高精細な画像を得ることができないので好ましくない。また、コア粒子2の粒径が大きくなることによって比表面積が減少し、トナーの帯電量が小さくなる。トナーの帯電量が小さくなると、トナーが感光体に安定して供給されず、トナー飛散による画像形成装置内汚染が発生する恐れがある。
(シェル層)
シェル層3は、コア粒子2を被覆している。シェル層3を形成する樹脂には、少なくとも炭素数4以上12以下のアルコキシ基を有するアクリル系モノマー1種又は2種以上を公知の方法により重合して得られるアクリル系樹脂を含む樹脂を用いる。
炭素数4以上12以下のアルコキシ基を有するアクリル系モノマーとして、具体的には、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−ラウリルなどのアクリル酸誘導体、あるいはメタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル及びメタクリル酸n−ラウリルなどのメタクリル酸誘導体が挙げられる。これらの炭素数4以上12以下のアルコキシ基を有するアクリル系モノマーであれば、一部が変性されていてもよい。
また、シェル層3に含まれるアクリル系樹脂は、アクリル系樹脂の架橋性を向上させるために、少なくとも炭素数4以上12以下のアルコキシ基を有するアクリル系モノマー1種又は2種以上と、スチレン系モノマー1種又は2種以上を共重合して得られるスチレンアクリル系樹脂であることが好ましい。スチレン系モノマーとして、具体的には、スチレン、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレンなどのスチレン誘導体などが挙げられる。これらのスチレン系モノマーは、一部が変性されていてもよい。
以下に本発明のカプセルトナー1の効果について説明する。
炭素数4以上12以下のアルコキシ基を有するアクリル系モノマーを重合して得られるアクリル系樹脂と、本発明に離型剤として用いられるペンタエリスリトール脂肪酸エステルと相溶性がよい。そのため、本発明のカプセルトナー1は、従来のカプセルトナーと比較して、離型剤とシェル層3の接着強度が高く、離型剤であるペンタエリスリトール脂肪酸エステルがシェル層3の表面に滲みだす速度が遅い。
したがって、本発明のカプセルトナー1は、シェル層3が十分に軟化しない低温の定着条件でも、離型剤によるカプセルトナー1同士の接着の妨害を緩和することができるので、定着強度が向上する。
ここで、シェル層3を形成するアクリル系樹脂に含まれるアクリル系モノマーのアルコキシ基の炭素数が4未満のときは、シェル層3と離型剤であるペンタエリスリトール脂肪酸エステルの相溶性が十分に改善されず、本発明のカプセルトナー1の効果を発揮できない。一方で、シェル層3を形成するアクリル系樹脂に含まれるアクリル系モノマーのアルコキシ基の炭素数が12を超えるときは、炭素数に見合った効果の向上がなく、シェル層3のガラス転移点が高くなるので、低温定着性を劣化させる恐れがある。
なお、本発明において、シェル層3は、すべて本発明に使用するアクリル系樹脂からなることが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲で、従来トナーに用いられる公知の樹脂を含んでいてもよい。
2、カプセルトナーの製造方法
次に、本発明に係るカプセルトナー1の製造方法の一実施形態について詳細に説明する。図2は、本発明の実施形態に係るカプセルトナー1の製造方法の工程を示す概略工程図である。
本発明の実施形態に係るカプセルトナー1の製造方法は、図2に示すように、少なくとも結着樹脂とペンタエリスリトール脂肪酸エステル含むコア粒子に、少なくとも炭素数4〜12のアルコキシ基を有するアクリル系モノマーを重合して得られるアクリル系樹脂微粒子を混合し、コア粒子表面にアクリル系樹脂微粒子を付着させた複合粒子を得る複合粒子形成工程S3と、複合粒子形成工程S3で得た複合粒子に機械的衝撃力を与え、カプセルトナー粒子を得るカプセルトナー粒子形成工程S4を含む。以下、それぞれの工程について詳細に説明する。
(1)コア粒子作製工程S1
コア粒子作製工程S1では、本発明のカプセルトナー1におけるコア粒子2を作製する。コア粒子2の作製方法としては、特に限定されることなく、従来公知の方法によって作製することができる。コア粒子2の作製方法は、例えば、混練粉砕法などの乾式法、ならびに懸濁重合法、乳化凝集法、分散重合法、溶解懸濁法及び溶融乳化法などの湿式法が挙げられる。以下、混練粉砕法によってコア粒子2を作製する方法を記載する。
混練粉砕法によるコア粒子2の作製では、結着樹脂、着色剤、離型剤及びその他の添加剤を含むコア粒子2の原料を、混合機で乾式混合した後、混練機によって溶融混練する。溶融混練によって得られた溶融混練物を冷却固化し、冷却固化した固化物を粉砕機によって粉砕する。粉砕機によって粉砕された微粉砕物を必要に応じて分級などの粒度調整を行い、コア粒子2を得る。
混合機としては、公知のものを使用でき、例えば、ヘンシェルミキサ(三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサ(株式会社カワタ製)、メカノミル(岡田精工株式会社製)などのヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(ホソカワミクロン株式会社製)などが挙げられる。
混練機としては、公知のものを使用でき、例えば、二軸押出し機、三本ロール、ラボブラストミルなどの混練機を使用できる。さらに具体的には、例えば、TEM−100B(商品名、東芝機械株式会社製)、PCM−65/87、PCM−30(いずれも商品名、株式会社池貝製)などの1軸又は2軸のエクストルーダ、ニーデックス(いずれも商品名、三井鉱山株式会社製)などのオープンロール方式の混練機が挙げられる。これらの中でも、オープンロール方式の混練機が特に好ましい。
粉砕機としては、公知のものが使用でき、例えば、超音速ジェット気流を利用して粉砕するジェット式粉砕機、及び高速で回転する回転子(ロータ)と固定子(ライナ)との間に形成される空間に固形物を導入して粉砕する衝撃式粉砕機が挙げられる。
分級には、遠心力による分級及び風力による分級によって過粉砕コア粒子を除去できる公知の分級機を使用することができ、例えば、旋回式風力分級機(ロータリー式風力分級機)などを使用することができる。
(2)アクリル系樹脂微粒子調整工程S2
アクリル系樹脂微粒子調製工程S2では、シェル層3を形成するアクリル系樹脂微粒子を調整する。アクリル系樹脂微粒子は、例えば、本発明のカプセルトナー1のシェル層3に含まれるアクリル系樹脂を構成するアクリル系モノマー及びスチレン系モノマーを乳化重合反応あるいはソープフリー乳化重合反応などの従来公知の重合反応で重合させることによって得られる。また、本発明に使用するアクリル系樹脂をホモジナイザーなどで乳化分散させて細粒化することによっても得られる。
アクリル系樹脂微粒子の体積平均粒子径は、0.05μm〜1.0μm以下が好ましい。アクリル系樹脂微粒子の体積平均粒径が0.05μm〜1.0μmであれば、シェル層3の厚みが適切なカプセルトナー1を得ることができる。
また、アクリル系樹脂微粒子は、次の複合粒子形成工程S3で用いられる前に、熱風乾燥あるいは自然乾燥などの従来公知の方法で、乾燥されていることが好ましい。
(3)複合粒子形成工程S3
複合粒子形成工程S3は、コア粒子作製工程S1で得たコア粒子2と、アクリル系樹脂微粒子調整工程S2で得たアクリル系樹脂微粒子を混合機で混合して、コア粒子2表面にアクリル系樹脂微粒子を付着させた複合粒子を得る。
混合機としては、コア粒子作製工程S1で使用するものと同様に、公知のものを使用でき、例えば、ヘンシェルミキサ(三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサ(株式会社カワタ製)、メカノミル(岡田精工株式会社製)などが挙げられる。
混合機に投入するコア粒子2とアクリル系樹脂微粒子の混合比は、コア粒子2表面をアクリル系樹脂微粒子で完全にかつ薄く被覆する程度の混合比が好ましく、具体的には、100重量部のコア粒子2に対してアクリル系樹脂微粒子2〜5重量部となる混合比が好ましい。
(4)カプセルトナー粒子形成工程S4
カプセルトナー粒子形成工程S4は、複合粒子形成工程S3で得た複合粒子に機械的衝撃力を与えることにより、アクリル系樹脂微粒子をコア粒子2表面で膜化させてシェル層3が形成したカプセルトナー粒子を得る工程である。
機械的衝撃力を与える装置としては、複数の攪拌羽根を有する回転攪拌手段を備えた装置がよく、例えば、ハイブリダイゼーションシステム(株式会社奈良機械製作所製)などが挙げられる。
カプセルトナー粒子形成工程S4におけるシェル層3の形成は、以下のようにして行われる。
まず、機械的衝撃力を与える装置に複合粒子を投入し、回転攪拌手段によって、複合粒子を回転攪拌させる。回転攪拌手段の回転羽根の周速度は、特に限定されないが、70m/秒以上120m/秒以下であることが好ましい。
ここで、複合粒子のコア粒子2とアクリル系樹脂微粒子は、回転攪拌による熱的エネルギーが加えられることによって、その表面が膨潤軟化し、濡れ性が向上する。さらに、攪拌羽根によって複合粒子に機械的衝撃力が与えられることで、アクリル系樹脂微粒子がコア粒子2表面に固着するとともに、一部のアクリル系樹脂微粒子が、コア粒子2及び隣り合うアクリル系樹脂微粒子の少なくとも一方と融着する。その結果、コア粒子2の表面全面にアクリル系樹脂を含むシェル層3が形成される。
なお、以上の本発明に係るカプセルトナー1の製造方法には、必要に応じて、得られるカプセルトナー1の流動性、耐熱性、摩擦帯電性など向上を目的に、カプセルトナー粒子形成工程S4の後に、カプセルトナー粒子形成工程S4で得られたカプセルトナー粒子の表面に外添剤を付着させる外添工程S5を加えてもよい。
(8)外添工程S5
外添工程S5では、カプセルトナー粒子形成工程S4で得たカプセルトナー粒子と外添剤を混合機に入れて混合する。混合機としては、コア粒子作製工程S1、複合粒子形成工程S3で使用するものと同様に、公知のものを使用でき、例えばヘンシェルミキサ(三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサ(株式会社カワタ製)などが挙げられる。
外添剤としては、電子写真の分野で常用される無機微粉末が使用できる。無機微粉末としては、例えば、シリカ微粉末、酸化チタン及びアルミナ微粉末が挙げられる。これらの無機微粉末は、疎水化、帯電性コントロールなどの目的でシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤及びその他の有機ケイ素化合物などの処理剤で処理されていることが好ましく、1種を単独で使用でき、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
外添剤の添加量としては、得られるカプセルトナー1に必要な帯電量、外添剤を添加することによる感光体への摩耗に対する影響、あるいはカプセルトナー1の環境特性などを考慮して、カプセルトナー粒子100重量部に対し1重量部以上10重量部以下であることが好ましく、1重量部以上5重量部以下であることがさらに好ましい。また、外添剤は、一次粒子の個数平均粒子径が10nm以上500nm以下であることが好ましい。
以上の本発明に係るカプセルトナー1の製造方法において、製造された本発明のカプセルトナー1は、そのまま一成分現像剤として使用することができ、またキャリアと混合して二成分現像剤として使用することができる。
以下に製造例、実施例及び比較例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において、各物性値を以下に示す方法により測定した。
[測定方法]
[結着樹脂/アクリル系樹脂微粒子のガラス転移点]
示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用いて、日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じ、試料1gを昇温速度毎分10℃で加熱してDSC曲線を測定した。得られたDSC曲線のガラス転移に相当する吸熱ピークの高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ピークの立ち上がり部分から頂点までの曲線に対して勾配が最大になるような点で引いた接線との交点からガラス転移点(Tg)を求めた。
[結着樹脂/アクリル系樹脂微粒子の軟化点]
流動特性評価装置(商品名:フローテスターCFT−100C、株式会社島津製作所製)を用い試料1gを昇温速度毎分6℃で加熱し、荷重20kgf/cm(9.8×10Pa)を与えてダイ(ノズル口径1mm、長さ1mm)から試料を流出させた。試料の流出が開始された温度を軟化点とした。
[離型剤の融点]
示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用いて、試料1gを温度20℃から昇温速度毎分10℃で200℃まで加熱し、次いで200℃から20℃に急冷させる操作を2回繰返し、DSC曲線を測定した。2回目の操作で測定したDSC曲線の融解に相当する吸熱ピークの温度を離型剤の融点とした。
[コア粒子/カプセルトナー粒子の体積平均粒径及び変動係数]
電解液(商品名:ISOTON−II、ベックマン・コールター株式会社製)50mlに、試料20mg及びアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム1mlを加え、超音波分散器(商品名:卓上型2周波超音波洗浄器VS−D100、アズワン株式会社製)を用い周波数20kHzで3分間分散処理し、測定用試料とした。この測定用試料について、粒度分布測定装置(商品名:Multisizer3、ベックマン・コールター株式会社製)を用い、アパーチャ径:100μm、測定粒子数:50000カウントの条件下に測定を行い、試料粒子の体積粒度分布から体積平均粒径及び変動係数を求めた。
[アクリル系樹脂微粒子の体積平均粒径]
レーザ回折・散乱法粒度分布測定装置(商品名:マイクロトラックMT3000、日機装株式会社製)を用いて測定を行った。試料の凝集を防ぐため、ファミリーフレッシュ(花王株式会社製)の水溶液中に測定試料が分散した分散液を投入・撹拌後、装置に注入し、2回測定を行い、平均を求めた。測定条件は、測定時間:30秒、粒子屈折率:1.4、粒子形状:非球形、溶媒:水、溶媒屈折率:1.33とした。測定試料の体積粒度分布を測定し、測定結果から累積体積分布における小粒径側からの累積体積が50%になる粒径を試料の体積平均粒径(μm)として算出した。
[エステル化粗組成物/ペンタエリスリトール脂肪酸エステルの酸価]
ペンタエリスリトール脂肪酸エステルの合成の際に、生成したエステル化粗組成物の酸価は、中和滴定法によって測定した。テトラヒドロフラン(THF)50mlに、試料5gを溶解させ、指示薬としてフェノールフタレインのエタノール溶液を数滴加えた後、0.1mol/Lの水酸化カリウム水溶液で滴定を行った。試料溶液の色が無色から紫色に変化した点を終点とし、終点に達するまでに要した水酸化カリウム水溶液の量と滴低に供した試料の重量とから、酸価(mgKOH/g)を算出した。
<実施例1>
(ペンタエリスリトール脂肪酸エステルの合成)
本発明の実施例1に用いる離型剤であるペンタエリスリトール脂肪酸エステルW1を以下のように合成した。温度計、窒素導入管、攪拌機及び冷却管を取り付けた4つロフラスコに、アルコール成分としてペンタエリスリトール100重量部と酸成分としてパルミチン酸809重量部を加え、窒素気流下、220℃で反応水を留去しつつ、15時間常圧で反応させ、酸価が10mgKOH/gのエステル化粗生成物845重量部を得た。エステル化粗生成物100重量部にトルエン20重量部及びエタノール6重量部を加え、エステル化粗生成物の酸価の1.5倍当量に相当する量の水酸化カリウムを含む10%水酸化カリウム水溶液を加え、70℃で30分間攪拌した。30分間静置して水層部を除去して脱酸工程を終了した。ついで、エステル化粗生成物100重量部に対して、20重量部のイオン交換水を入れて、70℃で30分間攪拌した後、30分間静置して水層部を分離・除去した。廃水のpHが中性になるまで水洗を4回繰り返した。残ったエステル層を180℃、1kPaの減圧条件下で溶媒を留去し、ろ過を行い、融点71.6℃、酸価0.2mgKOH/gのペンタエリスリトール脂肪酸エステルW1を得た。
(1)コア粒子作製工程S1
・スチレンアクリル系樹脂(商品名:XPA7836、三井化学社製、ガラス転移点45℃、軟化点89℃) 100重量部
・カーボンブラック(商品名:MA−100、三菱化学社製) 5重量部
・離型剤(ペンタエリスリトール脂肪酸エステルワックスW1) 6重量部
上記に示すトナー原料を、ヘンシェルミキサ(商品名:FM20C、三井鉱山株式会社製)に投入し、撹拌羽根の先端部の周速が40m/秒の速度で、5分間撹拌混合した後、2軸押出機(商品名:PCM−30、株式会社池貝製)により溶融混練して溶融混練物を得た。この溶融混練物を冷却ベルトにて冷却後、2mmのスクリーンを有するスピードミルで粗粉砕し、粉砕機(商品名:カウンタージェットミルAFG、ホソカワミクロン社製)とロータリー式分級機(商品名:TSPセパレータ、ホソカワミクロン社製)を用いて、微粉砕及び分級することによって、体積平均粒径が6.7μmであり、変動係数が22%のコア粒子C1を得た。
(2)アクリル系樹脂微粒子調製工程S2
攪拌加熱装置、温度計、窒素導入管、及び冷却管を備えた反応容器に、脱イオン水168重量部を仕込み、摂氏80度に昇温する。これに脱イオン水252重量部、スチレン75重量部及びn−ブチルアクリレート25重量部からなるモノマー混合液と、ペルオキソ二硫酸アンモニウム1重量部、n-ドデシルメルカプタン0.2重量部及び脱イオン水62重量部からなる開始剤水溶液56重量部とを同時に110分かけて滴下し、更に60分間撹拌した後、反応を終了させた。得られたラテックスをスプレードライヤー(商品名:マイクロミストドライヤ−MDL−050型、藤崎電機株式会社製)を用いて熱風乾燥し粉砕することによって、ガラス転移点が60℃、軟化点95℃、粒子径が0.15μmのほぼ単分散のアクリル系樹脂微粒子A1を得た。このラテックスを重合率は99.996以上、アクリル酸含有率は仕入着に相当する量であった。
(3)複合粒子工程S3
ヘンシェルミキサ(商品名:FM20C、三井鉱山株式会社製)の中に、コア粒子C1を100重量部と、アクリル系微粒子A1を3重量部投入し、撹拌羽根先端部の最外周における周速度を25m/秒に設定し、5分間撹拌混合することによって、コア粒子C1表面にアクリル系微粒子A1を均一に付着させた複合粒子CA1を得た。
(4)カプセルトナー粒子形成工程S4
ハイブリダイゼーションシステム(商品名:NHS−3型、株式会社奈良機械製作所製)の中に、複合粒子CA1を投入し、回転撹拌手段の最外周における周速度を100m/秒に設定し、15分間撹拌混合することによって、コア粒子C1表面にアクリル系樹脂微粒子A1を膜化させ、カプセルトナー粒子P1を得た。
(5)外添工程S5
カプセルトナー粒子P1を100重量部と、外添剤として1次粒子の平均粒径が7nmの疎水性シリカ微粒子(商品名:フェームドシリカR976、日本アエロジル社製)を2重量部、ヘンシェルミキサ(商品名:FM20C、三井鉱山株式会社製)に投入し、を用いて回転部材の周速度を40m/秒として1分間撹拌混合し、実施例1のカプセルトナーT1を得た。
<実施例2〜実施例15、比較例1〜12>
(ペンタエリスリトール脂肪酸エステルの合成)
実施例1のペンタエリスリトール脂肪酸エステルの合成において、パルミチン酸の代わりベヘン酸を用いて、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルW2を得た。また、実施例1のペンタエリスリトール脂肪酸エステルの合成において、パルミチン酸の代わりステアリン酸を用いて、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルW3を得た。
(1)コア粒子作製工程S1
実施例1のコア粒子作製工程において、離型剤をペンタエリルリトール脂肪酸エステルW1からペンタエリスリトール脂肪酸エステルW2、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルW3、市販のカルナバワックス(商品名:カルナバワックス、東亜化成株式会社製)、又は市販のパラフィンワックス(商品名:HNP−10、日本精蝋株式会社製)に代えてコア粒子C2〜C5を得た。コア粒子C1〜C5に使用した離型剤のアルコール成分と酸成分の組み合わせ及び融点を表1に示す。
(2)アクリル系樹脂微粒子調製工程S2
実施例1のアクリル系樹脂微粒子調整工程S2において、モノマーと配合比をそれぞれ表2に示す通りに変更し、アクリル系樹脂微粒子A2〜A7を得た。アクリル系樹脂微粒子A1〜A2におけるモノマー及び配合比、アクリル系モノマーが有するアルコキシ基の炭素数、ガラス転移点、軟化点、粒子径を表2に示す。
(3)複合粒子形成工程S3〜外添工程S5
実施例1の複合粒子形成工程S3〜外添工程S5において、コア粒子C1とアクリル系樹脂微粒子A1の組み合わせに代えて、表3に示す組み合わせに変更し、実施例2〜実施例15及び比較例1〜比較例12のカプセルトナーT2〜T27を作製した。表3に実施例1〜実施例15及び比較例1〜12のカプセルトナーT1〜T27におけるコア粒子とアクリル系樹脂微粒子の組み合わせを表3に示す。
<評価方法>
実施例1〜15及び比較例1〜12のカプセルトナーT1〜T27を用いて、以下の評価を行った。
[耐ブロッキング性]
試料となる実施例1〜15及び比較例1〜12のカプセルトナーT1〜T27からそれぞれ10gを採取し、評価する試料10gを内径3cm高さ10cmのステンレス製の円筒容器に入れ、50℃に設定した恒温槽で24時間放置した後、円筒容器内の試料を目開き0.045μmのステンレス金網メッシュでふるいをかけ、トナー凝集物の発生を確認した。
耐ブロッキング性の評価基準は以下の通りである。
○:良好。ステンレス金網メッシュ上にトナー凝集物が残らない。
△:実用上問題なし。ステンレス金網メッシュ上にトナー凝集物は確認されるが、トナー凝集物は容易に解れる。
×:不良。ステンレス金網メッシュ上にトナー凝集物は確認され、トナー凝集物を解すことができない。
[定着強度]
実施例1〜15及び比較例1〜12のカプセルトナーT1〜T27を用いて、二成分現像剤を作製した。二成分現像剤の作製は、体積平均粒子径50μmのフェライトキャリアと各カプセルトナーT1〜T27とを、トナー濃度7%になるよう混合し作製した。
上記二成分現像剤をそれぞれ試料として、二成分現像装置を有する市販複写機(商品名:MX−5111FN、シャープ株式会社製)の現像ユニットに充填し、記録媒体(商品名:PPC用紙SF−4AM3、シャープ株式会社製)上に、縦20mm、横50mmの長方形のベタ画像を形成し、定着画像サンプルを作製した。この際、ベタ画像部のトナーの付着量を0.5mg/cm、定着プロセス速度を124mm/秒、定着ローラの温度を150℃にそれぞれ設定した。
得られた定着画像サンプルを、長方形の中心を通る線に沿って谷折にして、折り曲げた状態で折り曲げ線の上を、重さ200gの円柱形(直径10cm高さ10cm)の錘を5往復転がした後、定着画像サンプルを元の状態に戻して、トナーの剥離幅を測定し、低温定着条件下における定着強度の評価項目として採用した。
定着強度の評価基準は、以下のとおりである。
○:良好。折り曲げ線においてトナーの剥離がない。
△:実用上問題なし。折り曲げ線において、トナーの剥離幅が0.5mm未満である。
×:不良。折り曲げ線において、トナーの剥離幅が0.5mm以上である。
実施例1〜15及び比較例1〜12のカプセルトナー1〜27の耐ブロッキング性及び低温定着条件下での定着強度の評価結果を表3に示す。
実施例1〜15のカプセルトナーT1〜T15は耐ブロッキング性の評価において、良好な結果を得て、且つ、実施例1〜15のカプセルトナーT1〜T15を含む二成分現像剤は、低温定着条件下における定着条件においても、実施上問題のない結果を得た。
実施例1〜15のカプセルトナーT1〜T15は、ペンタエリスリトールと直鎖飽和モノカルボン酸がエステル結合をした離型剤を含むコア粒子C1〜C3を、アルコキシ基の炭素数が4のn−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、アルコキシ基の炭素数が8の2−エチルヘキシルメタクリレート、あるいはアルコキシ基の炭素数が12のラウリルアクリルレートとスチレンを重合して得られたアクリル系樹脂A1〜A5からなるシェル層で被覆したカプセルトナーである。
実施例1〜15のカプセルトナーT1〜15は、コア粒子C1〜C3が、コア粒子C1〜C3よりも軟化点の高い樹脂からなるシェル層を有することで、従来からの耐ブロッキング性を有することができた。さらに、実施例1〜15のカプセルトナーT1〜15に使用されたコア粒子C1〜C3に含まれる、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルと直鎖飽和モノカルボン酸がエステル結合をした離型剤が、炭素数4〜12のアルコキシ基を有するアクリル系モノマーを重合し得られたアクリル系樹脂からなるシェル層と相溶性がよく、シェル層が十分に軟化しない低温定着条件下において、比較例1〜12のカプセルトナーT16〜T27に比べ、カプセルトナー表面に滲み出る速度が遅延され、定着強度が向上したと考えられる。
一方で、比較例1〜比較例6のカプセルトナーT16〜T21は、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルと直鎖飽和モノカルボン酸をエステル化して得た離型剤を含むコア粒子C1〜C3を有するが、シェル層を形成するアクリル系樹脂が、炭素数1のアルコキシ基を有するメチルアクリレート又は炭素数2のエチルメタクリレートを重合して得られたアクリル系樹脂であったので、シェル層と離型剤の相溶性が十分に改善されず、低温定着条件下で、実用上問題のない定着強度を得ることができなかった。
また、比較例7〜比較例10のカプセルトナーT22〜T25は、本発明の離型剤と異なる市販の離型剤を含むコア粒子C4又はC5を有していたため、炭素数4のアルコキシ基を有するアクリル系樹脂A1又はアクリル系樹脂A4からなるシェル層を有しても低温定着条件下で、実用上問題のない定着強度を得ることはできなかった。
また、比較例11及び比較例12のカプセルトナーT26及びT27は、本発明の離型剤と異なる市販の離型剤を含むコア粒子C4又はC5と、炭素数1又は2のアルコキシ基を有するアクリル系モノマーを重合して得られたアクリル系樹脂A6からなるシェル層の組み合わせのカプセルトナーであったので、低温定着条件下で、実用上問題のない定着強度を得ることができなかった。
1 カプセルトナー
2 コア粒子
3 シェル層

Claims (5)

  1. 少なくとも結着樹脂と離型剤を含むコア粒子と、
    前記コア粒子を被覆するシェル層を有するカプセルトナーであって、
    前記離型剤は、ペンタエリストールと直鎖飽和モノカルボン酸がエステル結合をしたペンタエリスリトール脂肪酸エステルを含み、
    前記シェル層は、少なくとも炭素数4以上12以下のアルコキシ基を有するアクリル系モノマーを重合させて得られるアクリル系樹脂を含むことを特徴とするカプセルトナー。
  2. 前記直鎖飽和モノカルボン酸がバルミチン酸、ベヘン酸及びステアリン酸からなる一群から選ばれる少なくとも1種以上の化合物であることを特徴とする請求項1記載のカプセルトナー。
  3. 前記アクリル系樹脂が、少なくとも炭素数4以上12以下のアルコキシ基を有するアクリル系モノマーと、スチレン系モノマーを重合させて得られることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のカプセルトナー。
  4. 前記結着樹脂がスチレンアクリル系樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカプセルトナー。
  5. 少なくとも結着樹脂と、ペンタエリスリトールと直鎖飽和モノカルボン酸がエステル結合したペンタエリスリトール脂肪酸エステルとを含むコア粒子と、
    前記コア粒子を被覆するシェル層と、を備えたカプセルトナーの製造方法であって、
    前記コア粒子に、少なくとも炭素数4〜12のアルコキシ基を有するアクリル系モノマーを重合して得られるアクリル系樹脂微粒子を混合し、前記コア粒子表面に前記アクリル系樹脂微粒子を付着させた複合粒子を得る複合粒子形成工程と、
    前記複合粒子形成工程で得た前記複合粒子に機械的衝撃力を与え、カプセルトナー粒子を得るカプセルトナー粒子形成工程と、を含むことを特徴とするカプセルトナーの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018045094A (ja) * 2016-09-14 2018-03-22 シャープ株式会社 トナー、ならびにそれを用いた二成分現像剤、現像装置及び画像形成装置

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