JP2015070857A - 発泡性飲料の製造方法 - Google Patents

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Seiichi Takishita
誠一 瀧下
哲平 黒川
Teppei Kurokawa
哲平 黒川
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Abstract

【課題】酵母による発酵工程を有さず、アルコールの含有量の低い発泡性飲料を製造する方法であって、容器の開栓時の噴きの発生が抑制された発泡性飲料を製造する方法、及び該製造方法により製造した発泡性飲料の提供。
【解決手段】(a)穀物粉砕物及び水を含む混合物を糖化した後、煮沸して穀物煮汁を調製する工程と、(b)工程(a)により調製された穀物煮汁の濁度を低減させる工程と、(c)工程(b)の後、得られた穀物煮汁を濾過し、得られた濾過液に炭酸ガスを加える、又は、工程(b)の後、得られた穀物煮汁に炭酸ガスを加えた後に濾過し、濾過液を回収する工程と、を有し、前記工程(b)における穀物煮汁の濁度の低減を、穀物煮汁を静置した後に沈殿物を除去することにより行い、酵母による発酵工程を有していないことを特徴とする発泡性飲料の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、発泡性飲料を充填した容器を開栓する際に起こる噴き(gushing)が抑制された発泡性飲料の製造方法、及び該製造方法により製造した発泡性飲料に関する。
近年においては、アルコール含量を1容量%未満とすることで、酒税法上の酒類に属しない、ビールテイストを有する清涼飲料、例えば所謂ノンアルコールビール又はローアルコールビールが消費者に求められている。このような低アルコール含量の清涼飲料は、ビールテイストを楽しむために多量に摂取した場合であっても、摂取する総アルコール量が低いため、水分補給に適し、かつ、近年の健康指向にも沿った製品である。
このようなビールテイストを有する清涼飲料は、例えば、製造工程におけるアルコール発酵を抑制し、発酵により生成されるアルコール含量を低減することにより、アルコール含量を低く抑えている。しかしながら、アルコール発酵が不十分な為に、その発酵原料である麦汁に含まれる不快な臭い、所謂、麦汁臭が製品中に残存する等により、製品のテクスチャー(のどごし)や風味・味覚が望ましくないものとなる傾向にある。そこで、ビールテイストを有する清涼飲料の麦汁臭を抑制し、嗜好性を改善する方法が幾つか開示されている。例えば、(1)麦汁の発酵を、麦汁1mlあたり1×10〜100×10個の酵母を添加し、麦汁3000リットルあたり10〜55リットル/分の割合で炭酸ガスをバブリングしながら、5℃以下で、5〜30時間行う工程、及び(2)発酵体を濾過して、酵母及びタンパクを除去し、ビールテイストを有する清涼飲料を得る工程を含む、アルコール含量が1容量%未満の、ビールテイストを有する清涼飲料の製造法が開示されている(例えば特許文献1参照。)。当該製造方法により、低アルコール含量でありつつも、麦汁臭が有意に抑制されたビールテイストを有する清涼飲料を製造することができる。
特開2005−13142号公報
一方、ノンアルコールビール等に対する需要の高まりから、アルコールの含有量をより十分に低減させつつ、十分なビールテイストを有する飲料の開発が求められている。例えば、麦汁を発酵させず、そのまま濾過した後に炭酸ガスを加えることにより、よりビールに近いテクスチャーや風味・味覚等を有するアルコール含量の低い発泡飲料を得ることができる。
しかしながら、このようなビールテイストを有する発泡飲料では、容器を開栓する際に泡が勢いよく吹き出す「噴き」という現象が起こり易く、品質上問題がある。
本発明は、酵母による発酵工程を有さず、アルコールの含有量の低い発泡性飲料を製造する方法であって、容器の開栓時の噴きの発生が抑制された発泡性飲料を製造する方法、及び該製造方法により製造した発泡性飲料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、麦汁等の穀物煮汁を濾過した後に炭酸ガスを加える(バブリングする)ことにより、アルコールの含有量を十分に低減させることができ、さらに、濾過前に予め穀物煮汁の濁度を低減させることによって、得られた発泡性飲料を容器に充填した場合に、当該容器を開栓する際の噴きの発生を抑制し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
(1) (a)穀物粉砕物及び水を含む混合物を糖化した後、煮沸して穀物煮汁を調製する工程と、(b)工程(a)により調製された穀物煮汁の濁度を低減させる工程と、(c)工程(b)の後、得られた穀物煮汁を濾過し、得られた濾過液に炭酸ガスを加える、又は、工程(b)の後、得られた穀物煮汁に炭酸ガスを加えた後に濾過し、濾過液を回収する工程と、を有し、
前記工程(b)における穀物煮汁の濁度の低減を、穀物煮汁を静置した後に沈殿物を除去することにより行い、
酵母による発酵工程を有していないことを特徴とする発泡性飲料の製造方法。
(2) 前記工程(b)が、700nmの波長の光に対する穀物煮汁の吸光度を、低減処理前の吸光度の1/2以下とすることを特徴とする前記(1)記載の発泡性飲料の製造方法、
(3) 前記工程(b)が、700nmの波長の光に対する穀物煮汁の吸光度を0.2以下とすることを特徴とする前記(1)記載の発泡性飲料の製造方法、
(4) 前記工程(b)の後、前記工程(c)の前に、得られた穀物煮汁を攪拌し均一化することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか記載の発泡性飲料の製造方法、
(5) 前記攪拌が、穀物煮汁にガスをバブリングすることにより行うことを特徴とする前記(4)記載の発泡性飲料の製造方法、
(6) 前記バブリングを、穀物煮汁3000リットル当たり2〜55リットル/分の割合で行うことを特徴とする前記(5)記載の発泡性飲料の製造方法、
(7) 前記バブリングを、5℃以下で、5〜30時間行うことを特徴とする前記(5)又は(6)記載の発泡性飲料の製造方法、
(8) 前記ガスが、炭酸ガス又は窒素ガスであることを特徴とする前記(5)〜(7)のいずれか記載の発泡性飲料の製造方法、
(9) 前記穀物粉砕物が麦芽粉砕物であることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれか記載の発泡性飲料の製造方法、
(10) 前記工程(a)において調製された穀物煮汁が、ホップを含むことを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれか記載の発泡性飲料の製造方法、
(11) 前記工程(a)において調製された穀物煮汁のpHが4以下であることを特徴とする前記(1)〜(10)のいずれか記載の発泡性飲料の製造方法、
(12) 製造される発泡性飲料のアルコール含有量が0.005容量%未満であることを特徴とする前記(1)〜(11)のいずれか記載の発泡性飲料の製造方法、
を提供するものである。
本発明により、容器を開栓する際に起こる噴きが抑制された、アルコールの含有量の低い発泡性飲料を製造することができる。また、前記バブリングを実施することにより、麦汁臭が抑えられ、よりビールに近いテクスチャーや風味・味感等を有するアルコール含量の低い発泡性飲料を得ることができる。よって、本発明に係る製造方法により製造された発泡性飲料は、視覚的・味覚的品質に優れた発泡性飲料である。
実施例において、発泡性飲料の製造に用いた製造装置の概略図である。
本発明における発泡性飲料とは、炭酸ガスによる発泡性を有する飲料を意味する。
本発明の発泡性飲料の製造方法(以下、「本発明の製造方法」と略記することがある。)により製造される発泡性飲料(以下、「本発明の発泡性飲料」と略記することがある。)は、酵母を用いた発酵工程を有さずに製造される飲料であり、アルコールの含有量が十分に低く、酒税法上の酒類に属さない飲料である。本発明の発泡性飲料としては、アルコール含有量が0.005容量%未満であることが好ましく、0.002容量%未満であることがより好ましい。
本発明の製造方法においては、原料として、穀物類を粉砕処理して得られる穀物粉砕物を用いる。本発明において用いられる穀物としては、例えば、大麦や小麦等の麦類、米、トウモロコシ、大豆等の豆類、イモ類等が挙げられる。穀物類の粉砕処理は、常法により行うことができる。また、穀物粉砕物としては、麦芽粉砕物、コーンスターチ、コーングリッツ等のように、粉砕処理の前後において通常なされる処理を施したものであってもよい。
本発明の製造方法において用いられる穀物粉砕物としては、麦芽粉砕物であることが好ましい。麦芽粉砕物を用いることにより、ビールテイストを有する発泡性飲料、つまり、ビールと同等の又はそれと似た風味・味覚及びテクスチャーを有し、爽快感、清涼感を有する発泡性飲料を製造することができる。麦芽粉砕物は、大麦、例えば二条大麦を、常法により発芽させ、これを乾燥後、所定の粒度に粉砕したものであればよい。
また、本発明の製造方法において用いられる穀物粉砕物としては、1種類の穀物の粉砕物であってもよく、複数種類の穀物粉砕物を混合したものであってもよい。例えば、主原料として麦芽粉砕物を、副原料として米やトウモロコシの粉砕物を用いてもよい。
本発明の製造方法は、具体的には、下記工程(a)〜(c)を有することを特徴とする。
(a)穀物粉砕物及び水を含む混合物を糖化した後、煮沸して穀物煮汁を調製する工程と、
(b)工程(a)により調製された穀物煮汁の濁度を低減させる工程と、
(c)工程(b)の後、得られた穀物煮汁を濾過し、得られた濾過液に炭酸ガスを加える、又は、工程(b)の後、得られた穀物煮汁に炭酸ガスを加えた後に濾過し、濾過液を回収する工程。
以下、工程ごとに説明する。
まず、工程(a)として、穀物粉砕物及び水を含む混合物を糖化した後、煮沸して穀物煮汁を調製する。当該工程は、例えば、ビール等の製造に用いる麦汁を調製する際に通常用いられている方法により行うことができる。具体的には、麦芽粉砕物等の穀物粉砕物に温水を加えて混合・加温し、主に麦芽等の穀物由来の酵素を利用して、澱粉質を糖化させる。当該混合物には、穀物粉砕物と水以外の副原料を加えてもよい。当該副原料としては、例えば、糖類、穀物シロップ、穀物エキス、食物繊維、果汁、苦味料、着色料、香草、香味料等が挙げられる。
糖化処理に供される混合物中における各種穀物粉砕物及び水の割合は、得られる発泡性飲料に求められる風味・味覚等を考慮して適宜決定することができる。例えば、ビールテイストを有する発泡性飲料を製造する場合には、総穀物粉砕物量に対して、麦芽粉砕物を30〜50質量%、米、コーンスターチ、コーングリッツ等の麦芽以外の穀物粉砕物を50〜70質量%使用し、水は総穀物粉砕物量に対して6〜12倍を使用することができる。
糖化処理後に得られた糖化液を、煮沸することにより穀物煮汁を調製することができる。糖化液は、煮沸処理前に濾過し、得られた濾過液を煮沸処理することが好ましい。煮沸方法及びその条件は、適宜決定することができる。
煮沸処理前又は煮沸処理中に、香草等を適宜添加することにより、所望の香味を有する発泡性飲料を製造することができる。ビールテイストを有する発泡性飲料を製造する場合には、煮沸処理前又は煮沸処理中に、ホップを添加することが好ましい。ホップの存在下で煮沸処理することにより、ホップの風味・香気を煮出することができる。ホップの添加量、添加態様(例えば数回に分けて添加するなど)及び煮沸条件は、適宜決定することができる。また、煮沸後、沈殿により生じたタンパク質等の粕を除去することが好ましい。
工程(b)の前に、煮沸した穀物煮汁を冷却しておくことが好ましい。この冷却は、穀物煮汁が凍らない程度の極力低い温度、通常、−1〜5℃まで冷却することが好ましい。
次いで、工程(b)として、得られた穀物煮汁の濁度を低減させる。濁度を低減させる方法としては、特に限定されるものではなく、溶液中の不溶物の含有量を低減させる公知の方法の中から適宜選択して用いることができる。例えば、穀物煮汁を静置した後に沈殿物を除去することにより、穀物煮汁の濁度を低減させることができる。また、遠心分離処理やフィルター濾過処理等を行ってもよい。
ビールテイストを有する発泡性飲料を製造する場合であって、濁度の低減処理を、穀物煮汁を静置した後に沈殿物を除去することにより行う場合には、例えば、穀物煮汁を1〜14日間、好ましくは1〜7日間、さらに好ましくは1〜3日間静置した後に沈殿物を除去することが好ましい。本発明の製造方法においては、酵母による発酵工程がないため、通常ビール等を製造する場合よりも静置期間を短くすることができる。
穀物煮汁の濁度の指標としては、濁度の低減処理の前後における穀物煮汁の濁度を比較し得る指標であれば特に限定されるものではなく、溶液の濁度の指標として用いられている公知の指標の中から、適宜選択して用いることができる。例えば、吸光度を指標とすることにより、穀物煮汁の濁度を簡便に測定することができる。具体的には、例えば、700nmの波長の光に対する吸光度を、穀物煮汁の濁度の指標とすることができる。
工程(b)において穀物煮汁の濁度を低減する程度は、最終的に得られる発泡性飲料を容器に充填した後、開栓時に起こる噴きを抑制し得る程度であればよく、得られる発泡性飲料の炭酸ガス混入量、充填される容器の種類や容量等を考慮して適宜決定することができる。例えば、発泡性飲料の種類によっては、低減処理後の700nmの波長の光に対する穀物煮汁の吸光度を、低減処理前の吸光度の1/2以下とすることにより、噴きを十分に抑制し得る。また、ビールテイストを有する発泡性飲料を製造する場合には、低減処理後の700nmの波長の光に対する穀物煮汁の吸光度を0.2以下とすることが好ましく、0.15以下とすることがより好ましい。
また、工程(b)の後、工程(c)の前に、濁度を低減させた穀物煮汁を攪拌し均一化しておくことが好ましい。攪拌方法は特に限定されるものではなく、公知の攪拌方法の中から適宜選択して用いることができる。例えば、穀物煮汁にガスをバブリングしてもよく、攪拌翼等を用いて攪拌してもよい。
本発明の製造方法においては、簡便であり、かつ効率よく攪拌することができるため、さらには、麦芽粉砕物を用いた場合に、麦汁臭を抑制し、よりビールに近いテクスチャーや風味・味感等を実現することができるため、バブリング法により攪拌することが好ましい。バブリングに用いるガスとしては、例えば、炭酸ガスや窒素ガス等が挙げられる。
バブリングの条件は、バブリングを行う容器の容量や大きさ、内部に含む穀物煮汁の量等を考慮して適宜決定することができるが、流量が所定の時間で均一となる条件で行うことが好ましい。また、過度にバブリングして穀物煮汁が起泡しないような条件で行うことも好ましい。具体的には、例えば、穀物煮汁3000リットル当たり2〜55リットル/分の割合、好ましくは2〜20リットル/分の割合で行うことができる。
後記実施例で示すように、静置した後に容器の下部から回収した穀物煮汁と、当該容器の上部から回収した穀物煮汁とでは、下部から回収した穀物煮汁を用いて製造した発泡性飲料のほうが、噴きが発生し易いことが判明した。これは、穀物煮汁中には噴きを促進する何らかの成分(以下、噴き促進成分)が存在しており、この噴き促進成分が静置後には、容器の比較的下方に多く含まれるためと推察される。
すなわち、穀物煮汁の濁度が低ければ低いほど、噴き発生の抑制効果が高くなるといえる。しかしながら、過剰に濁度を低減することは、製造コストが高くなり、工業生産上好ましくない。本発明においては、穀物煮汁を工程(c)の濾過処理前に予め均一化しておくことにより、多量の噴き促進成分が穀物煮汁内で局在することを防止し、過度に穀物煮汁の濁度を低減させることなく、効率よく噴きを抑制することができる。
また、工程(a)において調製された穀物煮汁のpHは4以下であることが好ましい。例えば、穀物煮汁に有機酸を適量添加することにより、穀物煮汁のpHを4以下に調整することができる。
その後、工程(c)として、得られた穀物煮汁を濾過し、得られた濾過液に炭酸ガスを加えることにより、本発明の発泡性飲料を製造することができる。また、得られた穀物煮汁に炭酸ガスを加えた後に濾過し、濾過液を回収することによっても、本発明の発泡性飲料を製造することができる。なお、工程(c)における濾過方法や炭酸ガスの添加方法は、常法により行うことができる。また、炭酸ガス以外にも、糖類、穀物シロップ、穀物エキス、食物繊維、果汁、苦味料、着色料、香草、香味料等を添加することもできる。
このようにして得られた本発明の発泡性飲料は、容器に充填した場合に、開栓時の噴きの発生が抑制されているという、優れた効果を有する。
また、穀物粉砕物として麦芽粉砕物を用いた場合に、濁度を低減させた後に、さらに炭酸ガスを用いてバブリングを行うことにより、麦汁臭が抑制された良好な発泡性飲料を得ることができる。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[製造例1]
穀物粉砕物として麦芽粉砕物を用いた場合の本発明の発泡性飲料を、以下の方法により製造した。この製造に用いた装置の概略を図1に示す。
<麦汁の調製>
麦芽粉砕物60kg及びデンプン質副原料(コーンスターチ)240kgを、仕込釜1に入れた。これに、温水900リットルを加えて、これらの原料を混合して液化を行い、マイシェを作った。具体的には、この操作は、開始時の液温を55℃とし、徐々に昇温して65〜70℃とした後、該温度で10分間保持し、さらに段階的に昇温して90〜100℃まで液温を高め、この温度で30分保持した。一方、仕込槽2では、別の麦芽粉砕物150kgに温水380リットルを加えて混合し、35〜50℃で20〜90分間保持することによりマイシェを作った。その後、仕込槽2中のマイシェに、仕込釜1で製造したマイシェ1200リットルを加えた。次いで、このマイシェ混合物を、仕込槽2中において、68〜75℃で10〜30分間保持することにより糖化を行った。糖化工程終了後、これを麦汁濾過槽3において濾過して、その濾過液として透明な麦汁3100リットルを得た(糖度12.7%)。
得られた麦汁を煮沸釜4に移し、これにホップ2.5kgを加えて、100℃で90分間煮沸した。煮沸後の麦汁2700リットル(糖度14.5%)に温水200リットルを加えて糖度13.5%に調整した後、ワールプール槽5に入れて、沈殿により生じたタンパク質等の粕を除去した。次いで、これをプレートクーラー6により、3℃にまで冷却して、冷却した麦汁2800リットルを得た。
<濁度の低減処理>
上述のようにして得られた麦汁2800リットルを、タンク7に移した。この時点における700nmの波長の光に対する麦汁の吸光度は0.48であった。タンク7中の麦汁を2℃にて60時間静置した後、タンク底部から、沈降した物質を含む液を70リットル取り除いた。その後、タンク7に残った麦汁をタンク8に移し替え、2700リットルの麦汁を得た。この時点における700nmの波長の光に対する麦汁の吸光度は0.09であった。
<炭酸ガスバブリング>
次いで、タンク8中の麦汁2700リットルに対して、炭酸ガス10リットル/分の割合で24時間炭酸ガスバブリングを2℃の条件下で実施し、液の均一化を図った。
<濾過及び炭酸ガス添加>
次いで、タンク8中の麦汁を珪藻土濾過機により濾過し、脱気水を加えて糖度5.5%に希釈した。その後、所定の炭酸ガス濃度となるよう、炭酸ガスを添加した。こうして得られた発泡性飲料を発泡性飲料(1)とした。この発泡性飲料(1)のアルコール含有量を測定したところ、0.002容量%未満であった。
[製造例2]
製造例1に記載の方法から炭酸ガスバブリングを省略した方法により、本発明の発泡性飲料を製造した。
具体的には、製造例1と同様にして麦汁の調製し、濁度の低減処理を行い、沈降した物質を含むタンク底部の液を取り除いた麦汁を、タンク8に移し替えた。次いで、タンク8中の麦汁を、24時間2℃の条件下で静置した後、製造例1と同様にして、珪藻土濾過機により濾過し、脱気水を加えて糖度5.5%に希釈し、さらに所定の炭酸ガス濃度となるよう、炭酸ガスを添加した。こうして得られた発泡性飲料を発泡性飲料(2)とした。この発泡性飲料(2)のアルコール含有量を測定したところ、0.002容量%未満であった。
[製造例3]
製造例1に記載の方法から、濁度の低減処理及び炭酸ガスバブリングを省略した方法により、発泡性飲料を製造した。
具体的には、製造例1と同様にして調製した麦汁を用いて、下記の工程を行った。
<タンク7における静置>
製造例1と同様にして得られた麦汁2800リットルを、タンク7に移した。この時点における700nmの波長の光に対する麦汁の吸光度は0.48であった。タンク7中の麦汁を2℃にて60時間静置した後、タンク8に移し替え、麦汁2700リットルの麦汁を得た。この時点における700nmの波長の光に対する麦汁の吸光度は0.45であった。
<タンク8における静置>
次いで、タンク8中の麦汁2700リットルを、製造例2と同様に、24時間2℃の条件下で静置した。
<濾過及び炭酸ガス添加>
次いで、タンク8の底部にある1400リットルの麦汁を珪藻土濾過機により濾過し、得られた濾過液に脱気水を加えて糖度5.5%に希釈した後、所定の炭酸ガス濃度となるよう、炭酸ガスを添加した。こうして得られた発泡性飲料を発泡性飲料(3)−1とした。この発泡性飲料(3)−1のアルコール含有量を測定したところ、0.002容量%未満であった。
一方、タンク8の上部にある1300リットルの麦汁を珪藻土濾過機により濾過し、得られた濾過液に脱気水を加えて糖度5.5%に希釈した後、所定の炭酸ガス濃度となるよう、炭酸ガスを添加した。こうして得られた発泡性飲料を発泡性飲料(3)−2とした。この発泡性飲料(3)−2のアルコール含有量を測定したところ、0.002容量%未満であった。
[試験例1]
製造例1〜3において得られた発泡性飲料の噴きを測定した。なお、発泡性飲料の噴きの測定は、Amahaらの方法(Amaha. M., Horiuchi. G. and Yabuuchi. S. :Master Brew. Assos. Am. Tech. Quart., vol.15(1), p15〜21(1978))に準じて行った。
具体的には、633ミリリットルの瓶に詰めた発泡性飲料を、25℃で24時間回転振とうした後、25℃で10分間正立させた。その後、瓶を10秒間に3回転させ30秒正立させた後に開栓し、溢れた液量を集めて噴き量とした。
測定された結果を表1に示す。タンク7にて濁度を低減させて製造された発泡性飲料(発泡性飲料(1)及び(2))、並びにタンク7にて濁度を低減させなかったものの、タンク8にてタンク底部半量を除去した発泡性飲料(発泡性飲料(3)−2)においては、噴きは認められなかった。これに対して、タンク7にて濁度を低減させず、かつタンク8の底部半量から製造された発泡性飲料(発泡性飲料(3)−1)においては有意に噴き性が認められた。これらの結果から、麦汁等の穀物煮汁の濁度を低減させることにより、最終的に得られた発泡性飲料の噴きを顕著に抑制し得ることが明らかである。
Figure 2015070857
[試験例2]
本発明の製造方法である製造例1及び2により得られた発泡性飲料の官能評価を行った。官能評価は、ビール醸造技術者5名のパネリストで行い、味感や風味について評価した。官能検査結果(N=5)を表2に記す。この結果、発泡性飲料(2)では麦汁臭がしたが、発泡性飲料(1)では麦汁臭が感じられない上に軽快でキレも良く、非常に好ましいビールテイストを有していることが分かった。
Figure 2015070857
本発明の発泡性飲料の製造方法は、アルコール含有量が非常に低く、容器の開栓時の噴きの発生が抑制された発泡性飲料を提供することができるため、発泡性飲料の製造分野で利用が可能である。
1…仕込釜、2…仕込槽、3…麦汁濾過槽、4…煮沸釜、5…ワールプール槽、6…プレートクーラー、7…タンク、8…タンク。

Claims (12)

  1. (a)穀物粉砕物及び水を含む混合物を糖化した後、煮沸して穀物煮汁を調製する工程と、
    (b)工程(a)により調製された穀物煮汁の濁度を低減させる工程と、
    (c)工程(b)の後、得られた穀物煮汁を濾過し、得られた濾過液に炭酸ガスを加える、又は、工程(b)の後、得られた穀物煮汁に炭酸ガスを加えた後に濾過し、濾過液を回収する工程と、
    を有し、
    前記工程(b)における穀物煮汁の濁度の低減を、穀物煮汁を静置した後に沈殿物を除去することにより行い、
    酵母による発酵工程を有していないことを特徴とする発泡性飲料の製造方法。
  2. 前記工程(b)が、700nmの波長の光に対する穀物煮汁の吸光度を、低減処理前の吸光度の1/2以下とすることを特徴とする請求項1記載の発泡性飲料の製造方法。
  3. 前記工程(b)が、700nmの波長の光に対する穀物煮汁の吸光度を0.2以下とすることを特徴とする請求項1記載の発泡性飲料の製造方法。
  4. 前記工程(b)の後、前記工程(c)の前に、得られた穀物煮汁を攪拌し均一化することを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の発泡性飲料の製造方法。
  5. 前記攪拌が、穀物煮汁にガスをバブリングすることにより行うことを特徴とする請求項4記載の発泡性飲料の製造方法。
  6. 前記バブリングを、穀物煮汁3000リットル当たり2〜55リットル/分の割合で行うことを特徴とする請求項5記載の発泡性飲料の製造方法。
  7. 前記バブリングを、5℃以下で、5〜30時間行うことを特徴とする請求項5又は6記載の発泡性飲料の製造方法。
  8. 前記ガスが、炭酸ガス又は窒素ガスであることを特徴とする請求項5〜7のいずれか記載の発泡性飲料の製造方法。
  9. 前記穀物粉砕物が麦芽粉砕物であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか記載の発泡性飲料の製造方法。
  10. 前記工程(a)において調製された穀物煮汁が、ホップを含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか記載の発泡性飲料の製造方法。
  11. 前記工程(a)において調製された穀物煮汁のpHが4以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか記載の発泡性飲料の製造方法。
  12. 製造される発泡性飲料のアルコール含有量が0.005容量%未満であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか記載の発泡性飲料の製造方法。
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