JP2015069969A - リチウム二次電池用正極およびリチウム二次電池 - Google Patents

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豊隆 湯浅
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Abstract

【課題】高容量及び高レート特性を有するリチウム二次電池の提供。
【解決手段】リチウム二次電池の正極10は集電体100と正極合剤101とを備え、正極合剤101は、第1の正極活物質と炭素よりなる導電性被覆が形成された第2の正極活物質とを含み、第2の正極活物質に占める導電性被覆の割合は、2質量%以上であり、第2の正極活物質の比表面積が1m/g〜100m/gであり、正極合剤における炭素成分の量は、3質量%未満である。
【選択図】図2

Description

本発明は、リチウム二次電池用正極、および、そのリチウム二次電池用正極を用いたリチウム二次電池に関する。
EVやスマートフォンへの搭載を念頭にリチウム二次電池に対する高容量化の要求は年々高まっている。電池の高容量化には容量の大きい活物質の使用が必要であり、高Ni系層状化合物(LiMO:MはNiを50%以上含む遷移金属)や層状固溶体(Li1+xMO)などが提案されている。しかしこれらの化合物は充電時における熱安定性が低いという課題を持つ。
一方、熱安定性に優れた活物質として酸素がポリアニオンとして存在するポリアニオン系活物質が提案されている。中でもLiFePOを初めとするオリビン型化合物はひろく研究されており、工具用電池などで一部実用化されている。
上述のようなオリビン型の正極活物質は、電子伝導性とイオン伝導性に劣るといった欠点を有するため、放電容量を十分に取り出すことができないといった課題がある。そのため、特許文献1では、炭素材量を活物質表面に付着させて、活物質の電子伝導性を向上させている。
特開2007−317539号公報
ところで、リチウム二次電池の電極(電極合剤)は活物質以外に直接容量に寄与しない導電剤や結着剤を含んでいる。上述したように活物質表面に炭素材料を付着させるとともに、電極合剤に導電剤を添加する必要があるため、これらが電池容量が十分に上がらない原因となっている。また、導電剤は電極の導電性を高めるが、高すぎる導電性は短絡時の安全性を損ねるおそれがある。
本発明に係るリチウム二次電池用正極は、集電体と正極合剤とを備えるリチウム二次電池用正極であって、正極合剤は、第1の正極活物質と、炭素よりなる導電性被覆が形成された第2の正極活物質とを含み、第2の正極活物質に占める導電性被覆の割合は、2質量%以上であり、第2の正極活物質の比表面積が1m/g〜100m/gであり、正極合剤における炭素成分の量は、3質量%未満である。
さらに好ましい実施形態では、リチウム二次電池用正極は、第2の正極活物質の比表面積が6m/g〜36m/gである。
さらに好ましい実施形態では、第2の正極活物質の比表面積が6.8m/g以上で、第2の正極活物質の比表面積と第1の正極活物質の比表面積との比が9.7以上である。
さらに好ましい実施形態では、第2の正極活物質に占める導電性被覆の割合は3質量%以上である。
さらに好ましい実施形態では、第1の正極活物質は、層状構造を有する活物質または層状固溶体化合物よりなる活物質、第2の正極活物質はオリビン型構造を有する活物質である。
さらに好ましい実施形態では、正極合剤における第1の正極活物質の割合は70質量%以上、第2の正極活物質の割合は8質量%以上、導電剤の割合が3質量%未満である。
本発明に係るリチウム二次電池は、上記リチウム二次電池用正極と、負極と、電解質とを備える。
本発明によれば、高容量及び高レート特性を有するリチウム二次電池を提供することが可能となる。
本発明によるリチウム二次電池の一例を示す図である。 負極6,セパレータ7および正極10の部分の模式図である。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
<1. リチウム二次電池用正極用活物質>
本発明のリチウム二次電池用正極における正極合剤は、第1の正極活物質と導電性被覆が形成された第2の正極活物質とを含み、正極合剤における炭素成分の割合が3質量%未満とされる。炭素被覆よりなる導電性被覆が形成された第2の正極活物質は、本来の活物質として機能するとともに、その導電性被覆が導電剤としても機能する。第2の正極活物質における導電性被覆の割合は、2質量%以上である。さらに、導電性被覆を備える第2の正極活物質が導電剤のように機能することによって、正極合剤に添加される導電剤(例えば、炭素材)の添加量を抑えることができ、正極合剤に含まれる正極活物質の量を増加させることが可能となる。その結果、高容量化を図ることができる。
なお、第1の正極活物質は1種類とは限らず、2種類以上含まれていても良い。第2の活物質についても同様である。また、後述する説明では、第1の正極活物質として高容量の活物質を用い、第2の正極活物質としてオリビン型構造を有する活物質を用いる例をあげているが、必ずしもそのような組み合わせでなくても構わない。なぜならば、本発明は、導電性被覆が形成された第2の正極活物質を導電剤として使用することが特徴であり、第2の正極活物質の導電性被覆が導電剤として機能するメカニズムは活物質の種類には影響されないと考えられるためである。
このように、本発明における導電性被覆が形成された第2の正極活物質は、本来の活物質としての機能と、従来の導電剤としての機能を備えており、以下、本明細書では、導電性被覆が形成された第2の正極活物質のことを導電性活物質と表記する。この導電性活物質の導電性被覆が導電剤として機能するメカニズムを用いて、本発明ではリチウム二次電池用正極の合剤に含まれる炭素成分量を規定した。炭素成分としては導電剤及び導電性活物質の導電性被覆由来があり、導電剤量の低減及び導電性活物質の使用により導電性の向上及び電極特性の向上(体積抵抗の低減、体積エネルギー密度の向上、安全性の向上)を目指したものである。
また、導電性活物質以外の活物質は大きな容量を持っていることが望ましく、以下、本明細書では高容量活物質と表記する。もちろん、上記第1の正極活物質は、必ずしも高容量活物質である必要はない。第1の正極活物質として上述したような高Ni系層状化合物や層状固溶体等のように充電時の熱安定性が低い活物質を用いた場合には、導電性活物質に用いられる活物質(すなわち、第2の正極活物質)には、熱安定性に優れたオリビン構造を有する活物質(例えば、LiFePO)を用いるのが好ましい。
高容量活物質としては電池として要求される容量を達成できれば特に制限はされない。例として、層状構造を持った高ニッケル層状化合物LiNi(x≧0.5,x+y=1,Mは任意の金属)や層状固溶体Li1+x1−x(0<x<1、MはNi,Mn,Coのうちひとつ以上が含まれる1種もしくは複数の元素)が挙げられる。
導電性活物質の体積抵抗は1000Ωcm以下が望ましい。より望ましくは100Ωcm以下である。体積抵抗が高すぎると電極に十分な導電性を付与できない。
なお、電極の抵抗は導電性材料が導電ネットワークを形成するかに大きく左右される。ネットワークの形成は主に導電性材料の体積分率に依存し、ある体積分率を境界に急激に増減する。その境界はパーコレーション閾値と呼ばれる。閾値よりも少ない導電性材料の時、電極の抵抗は活物質の導電性に近い値となり、閾値を超えると急激に減少し導電性材料の値に近い値となる。
すなわち、黒鉛など非常に抵抗が低い導電剤を用いたときでも一定の体積分率を添加しなければ電極に導電性を付与することはできない。導電剤を添加すればその分に応じ電極の容量は低下する。
一方、本発明のように活物質表面に導電性物質を被覆した導電性活物質の場合、導電性活物質自体が充放電容量を持つため、導電剤として機能する導電性活物質を多量に添加することが可能で、導電ネットワークの形成に有利である。また、被覆の種類や厚さを変えることにより導電性の調整が容易である。
このような導電性活物質が導電剤として十分機能するためには、第1の正極活物質との十分な接触を実現し、導電ネットワークが形成される必要がある。接触確率を上げるためには、導電性活物質の比表面積は他の活物質より大きいことが望ましい。また、電極内でネットワークを形成しやすくするためにも比表面積は大きいことが望ましい。導電性活物質の比表面積が1〜100m/gであれば、電解液との接触が十分であって、表面は炭素で被覆されているため導電性が向上する。なお、導電性活物質を100m/gよりも大きい比表面積とすると、正極活物質が嵩高くなり、電極の密度が低下するため好ましくない。導電性活物質表面に形成される導電性被覆の材料としては、コストと性能の両面から炭素が好適であり、金属、導電性ポリマー、導電性セラミックなど電気抵抗の低い物質を適宜追加可能である。
また、導電性活物質は、高容量活物質と高容量活物質との隙間に入るような形態で存在できる程度に粒子径が小さく、比表面積が大きいものが好ましく、それにより導電性活物質の充填率も向上する。従って、導電性活物質(第二の正極活物質)は、高容量活物質(第一の正極活物質)よりも粒子径が小さく、比表面積が大きいほど第一の正極活物質と十分な接触を確保することが容易であり、導電性ネットワークの形成に有利であり、導電性活物質としての効果が高い。そのためには、導電性活物質の比表面積は5m/g以上が好ましい。より望ましくは、6m/g〜36m/g、特に6.8m/g以上である。また、高容量活物質の比表面積と導電性活物質の比表面積との比は、9.7以上が望ましい。なお、後述する実施例では、導電性活物質の比表面積は6m/g〜36m/gで高い効果が得られた。
炭素の被覆方法としては、炭素をボールミルなどを用いて機械的に被覆する方法、有機物を混合粉砕し不活性雰囲気で焼成し分解物を被覆する方法、焼成時に炭化水素を炉内に導入し分解物を被覆する方法などが用いられる。少ない被覆量で電気抵抗を下げるには均一に被覆することが望ましく、炭化水素の分解による被覆が有用である。また、これらの被覆方法を組み合わせて行うことも可能である。
導電性活物質の母材(すなわち、上記第2の正極活物質)としては、比較的高い容量を持ちつつも熱安定性に優れたものが望ましい。熱安定性が高ければ、高容量活物質が発熱した際に発熱が連鎖するのを食い止めることができ、安全性が向上する。また、炭素を焼成工程を用いて被覆する場合、還元雰囲気となるため耐還元性に優れた活物質であることが必要となる。例えば、酸素が安定化しているポリアニオン系活物質(LiMPO,LiMBO,LiMSiPO:Mは任意の元素)が挙げられる。特に、オリビン型化合物LiMPOは高容量、高レート特性を発現させる技術が開発されており、熱安定性も十分なため有望である。
<2. リチウム二次電池用正極>
上述したように、本発明は活物質を導電剤として使用することが特徴であるが、所望により黒鉛、非晶質炭素材などの従前より使用されている導電剤粒子を含んでも良い。しかし、前述したように導電剤粒子を多量に添加すると容量の低下を招くので、このような導電剤粒子の添加量は3質量%未満が良い。導電剤としては、例えば、アセチレンブラック及び黒鉛粉末のような炭素系導電剤を挙げることができる。正極全体に亘って導電ネットワークを形成するために、導電剤は比表面積が大きい材料が好ましく、例えば、アセチレンブラックが好ましい。
本発明の正極に使用される集電体は、当該技術分野で通常使用される任意の集電体であればよい。集電体の材質としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン及びニッケル等を挙げることができる。
本発明の正極に含まれる正極合剤層は、通常、本発明の正極活物質に加えて、結着剤(バインダ)を含む。バインダは、当該技術分野で慣用される任意のバインダであれば良い。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアクリロニトリル、スチレン-ブタジエンゴム及びカルボキシメチルセルロース、並びにこれらの混合物を挙げることができる。このようなバインダを用いることにより、正極合剤の密着性を向上させることができる。本発明の正極において、上述した正極合剤層は集電体の表面に配置される。例えば、正極合剤層が集電体の表面に接着されていることが好ましい。
本発明の正極は、当該技術分野で公知の方法によって作製することができる。本発明の正極活物質は、通常、粒子状又は塊状である。そのため、正極活物質とバインダと所望により導電剤とを混合して正極合剤を調製し、正極合剤中で正極活物質及びバインダの粉末同士を結合させる。この際、所望により、正極合剤に増粘剤を加えてもよい。次いで、正極合剤を集電体へ付着させて、集電体の表面に正極合剤層を接着させればよい。例えば、正極活物質とバインダと所望により導電剤とを溶媒中で混合して、正極合剤の分散液又はスラリーを調製する。混合及び分散処理は、当該技術分野で公知の混練機又は分散機を用いて実施することができる。正極合剤の分散液又はスラリーを調製するための溶媒は、使用されるバインダに基づき適宜選択すればよい。例えば、バインダがPVDFの場合、1-メチル-2-ピロリドンを用いることが好ましく、バインダがスチレン-ブタジエンゴムの場合、水を用いることが好ましい。
正極合剤の分散液又はスラリーを、ドクターブレード法、ディッピング法又はスプレー法等によって集電体へ付着させる(付着工程)。その後、正極合剤の分散液又はスラリーを付着させた集電体を乾燥させることによって、溶媒を蒸発除去させる(乾燥工程)。次いで、ロールプレス等によって集電体及び正極合剤層を加圧成形することにより、正極を作製することができる(成形工程)。前記の方法において、付着工程から乾燥工程までを複数回繰り返すことにより、多層形態の正極合剤層を集電体の表面に配置することもできる。
<3. リチウム二次電池>
本発明の正極は、リチウム二次電池の正極として好適に使用し得る。それ故、本発明はまた、前記の正極と、負極と、電解質とを備えるリチウム二次電池に関する。図1に、本発明によるリチウム二次電池用正極を適用したリチウム二次電池の一例を示す。図1では、円筒型のリチウム二次電池を例示している。本リチウム二次電池は、正極(本発明によるリチウム二次電池用正極)10、負極6、セパレータ7、正極リード3、負極リード9、電池蓋1、ガスケット2、絶縁板4、絶縁板8、及び電池缶5を備える。正極10と負極6は、セパレータ7を間に介して捲回されている。セパレータ7には、電解質を溶媒に溶かした電解質溶液が含浸されている。
正極は、前記で説明した本発明のリチウム二次電池用正極である。負極は、集電体と、該集電体の表面に配置された、負極活物質を含む負極合剤層とを有する。前記負極合剤は、通常、負極活物質に加えて、結着剤(バインダ)及び所望により導電剤及び増粘剤を含む。
負極活物質は、当該技術分野で通常使用される、リチウムイオンの吸蔵及び放出ができる材料であれば、特に限定されず使用することができる。負極活物質としては、例えば、人造黒鉛、天然黒鉛、非晶質炭素、難黒鉛化炭素類、活性炭、コークス、熱分解炭素、金属酸化物、金属窒化物、リチウム金属及びリチウム金属合金等、並びにこれらの混合物を挙げることができる。これらの材料のうち、非晶質炭素が好ましい。非晶質炭素は、リチウムイオンを吸蔵及び放出するときの体積変化率が少ない材料である。このため、非晶質炭素を負極活物質として用いることにより、充放電のサイクル特性を向上させることができる。
集電体及びバインダとしては、上述した正極と同様の材料を使用することができる。導電剤としては、上述した正極と同様の材料だけでなく、導電性高分子材料(例えば、ポリアセン、ポリパラフェニレン、ポリアニリン又はポリアセチレン等)を使用することができる。
本発明のリチウム二次電池に使用される負極は、上述した正極の作製方法と同様の方法によって作製すればよい。セパレータは、電池の充放電時にリチウムイオンを透過させる必要があるため、例えば、細孔径が0.01〜10μm、気孔率が20〜90%の多孔体であることが好ましい。セパレータの材料としては、例えば、ポリエチレン若しくはポリプロピレンを主成分として含有するポリオレフィン系高分子シート、又はポリオレフィン系高分子及び四フッ化ポリエチレンを代表とするフッ素系高分子シートを溶着させた多層構造のシート、さらにはセルロース繊維又はポリアクリルニトリルの合成繊維からなる不織布を挙げることができる。電池温度が高くなったときにセパレータが収縮しないように、セパレータの表面にセラミックス及びバインダの混合物を薄層状に形成させても良い。
電解質は、電解質を有機溶媒に溶解させた電解液の形態で用いることができる。この場合、電解質及び有機溶媒の種類並びに/又は混合比に制限されることなく、当該技術分野で通常使用される任意の電解液を使用することができる。電解液に使用される有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、1,2-ジメトキシエタン、γ-ブチロラクトン、N-メチルピロリジン、アセトニトリル、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、3-メチル-2-オキサゾリジノン、テトラヒドロフラン、クロロエチレンカーボネート及びクロロプロピレンカーボネート等、並びにこれらの混合物から選択される非水溶媒を挙げることができる。本発明のリチウム二次電池に使用される正極又は負極上で分解しない有機溶媒であれば、前記以外の有機溶媒を用いても良い。
また、電解液に使用される電解質としては、例えば、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(SOCF)、LiN(SOF)、LiClO、LiCFCO、LiAsF及びLiSbF等から選択されるリチウム塩を挙げることができる。リチウム塩は、単独で用いてもよく、複数のリチウム塩の混合物として用いてもよい。本発明のリチウム二次電池に使用される正極又は負極上で分解しない電解質であれば、前記以外の電解質を用いてもよい。
あるいは、前記電解質として、ポリマーゲル電解質又は固体電解質を用いることもできる。固体高分子電解質(ポリマー電解質)を用いる場合、エチレンオキシド、アクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、メタクリル酸メチル、又はヘキサフルオロプロピレンのポリエチレンオキサイド等のイオン導電性ポリマーが好ましい。固体高分子電解質を用いることにより、セパレータを省略することができる。
電池容器の材質は、アルミニウム、ステンレス鋼又はニッケルメッキ鋼等の、非水電解質に対し耐食性のある材料から適宜選択すればよい。また、電池容器を正極集電タブ又は負極集電タブに電気的に接続する場合、非水電解質と接触している部分において、電池容器の腐食及び/又はリチウムイオンとの合金化による材料の変質が起こらないように、集電タブの材料を選定することが好ましい。
次に、図1を参照しながら、本発明のリチウム二次電池の構成をさらに説明する。正極10及び負極6の間にセパレータ7を挿入して、正極10及び負極6の短絡を防止する。セパレータ7は、複数の正極10、負極6及びセパレータ7からなる電極群の末端に配置されている電極と電池容器との間にも挿入して、電池容器を通じての正極と負極との間の短絡を防止する。図2は、負極6,セパレータ7および正極10の部分の模式図である。負極6は銅箔等で形成される集電体60と、集電体60の両面に形成された負極合剤61とを含む。同様に、正極10はアルミ箔等で形成される集電体100と、集電体100の両面に形成された正極合剤101とを含む。
正極10、負極6及びセパレータ7からなる積層体は、集電タブを介して外部端子に電気的に接続されている。正極は、正極リード3を介して電池蓋1に接続されている。負極6は、正極リード3を介して電池缶5に接続されている。正極リード3及び正極リード3は、ワイヤ状(例えばリード線)、箔状又は板状等の任意の形状を採ることができる。電流を流したときにオーム損失を小さくすることのできる構造であり、且つ電解液と反応しない材質であれば、その形状、本数、並びに/又は材質は、電池容器の構造に応じて任意に選択することができる。
複数の正極10、負極6及びセパレータ7からなる電極群の形状は、捲回形状であってもよく、扁平状などの任意の形状に捲回した形状であってもよく、短冊状の形状であってもよい。種々の形状を採ることができる。また、電池容器(電池缶5)の形状は、電極群の形状に合わせ、円筒型、偏平長円形状又は角型等の任意の形状を選択することができる。この場合、電池容器は、図1に示した電池缶5の如く底面の部材と一体となった構成としてもよく、電池容器の底面に電池蓋を取り付け、電池蓋に負極を接続する構成としてもよい。本発明の効果に何ら影響を与えることなく、前記電極群の形状及び/又は端子の取り付け方法に応じて任意の形状及び構成の電池容器を用いることができる。電池缶5への電池蓋1の取り付けは、かしめ、溶接又は接着等の方法によって行うことができる。電極群を挿入した電池缶5の内部に電解質を注入して、正極10、負極6及びセパレータ7の表面及び細孔内部に電解質を保持させる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
<導電性活物質の製造>
ここでは、導電性活物質として炭素被覆したLiFePOおよびLiMn0.8Fe0.2POを合成した。この場合、金属源として、シュウ酸鉄二水和物(FeC・2HO)とシュウ酸マンガン二水和物(MnC・2HO)を用い、所望のモル比となるように秤量した。次に、リン酸二水素リチウム(LiHPO)を金属イオンの合計と等モル加えた。すなわち仕込み組成は、Li:M(金属イオン):PO=1:1:1(モル比)とした。秤量した原料は湿式ボールミルを用いて混合した。混合後、乾燥して原料混合粉を得た。
原料混合粉は箱型電気炉を用いて仮焼成した。仮焼成雰囲気は空気とし、仮焼成温度は440℃で、仮焼成時間は10時間とし仮焼成体を得た。
炭素被覆方法として、有機物を混合粉砕し不活性雰囲気で焼成し分解物を被覆する手法を用いる場合は、仮焼成体に対しスクロースを添加した。
次に、仮焼成体を湿式ボールミルを用いて2時間粉砕、混合した。次に、雰囲気制御可能な管状炉を用いて、本焼成を行った。焼成雰囲気はAr雰囲気とした。ただし、炭化水素の分解物を用いて炭素被覆する場合は10vol%プロパンを添加したAr雰囲気とした。焼成温度は700℃で、焼成時間は10時間とした。以上の工程により、LiMPOを得た。
[体積抵抗測定]
導電性活物質の体積抵抗は1gのサンプルを用い、三菱化学アナリテック社製PD-51を用いて4端子法で測定した。圧力を50MPaとした時の値を体積抵抗とした。
[比表面積測定]
比表面積はBEL社製、BELSORP miniを用いてBET法により測定した。
また、導電性活物質の炭素被覆層に含有される炭素量は、高周波燃焼−赤外線吸収装置(:LECO:CSLS600)を用い測定した。
<高容量活物質の製造>
高容量活物質としてLiNi0.8Co0.1Mn0.1、Li1.2Ni0.13Co0.13Mn0.53、LiNi1/3Co1/3Mn1/3を合成した。この場合、金属源として酢酸ニッケル・四水和物(Ni(CHCOO)・4HO)、酢酸マンガン・四水和物(Mn(CHCOO)・4HO)、酢酸コバルト・四水和物(Co(CHCOO)・4HO)を用い所定のモル比となるように秤量した。秤量した原料は湿式ボールミルを用いて混合した。混合後、乾燥して原料混合粉を得た。原料混合粉は箱型電気炉を用いて仮焼成した。仮焼成雰囲気は空気とし、仮焼成温度は500℃で、仮焼成時間は12時間とし仮焼成体を得た。仮焼成体を湿式ボールミルで再び混合し、乾燥させたものを酸素中1000℃で12時間焼成し活物質を得た。
[実施例1]
高容量活物質としてLiNi0.8Co0.1Mn0.1を用い、導電性活物質としてLiFePOを用いた。LiFePOはスクロース、プロパン両方を用いて炭素被覆を行った。スクロースの添加量は仮焼成体に対し14質量%とした。導電剤は、アセチレンブラックを、バインダとしては、変性ポリアクリロニトリルを、溶媒としては、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)を、それぞれ用いた。なお、バインダは、NMPに溶解させた溶液の形態で用いた。電極材料は、高容量活物質、導電性活物質、導電剤、バインダが83:10:2:5の重量比となるように加えた。
得られた正極合剤スラリーを、ドクターブレード法を用いて、厚さ20μmの正極集電体(アルミニウム箔)の片面に、塗工量が8〜10 mg/cm2になるように塗布した。正極合剤スラリーが塗布された正極集電体を80℃で1時間乾燥して、該正極集電体の表面に正極合剤層(厚さ38〜42μm)を形成させた。次に、この正極合剤層を、打ち抜き金具を用いて直径15 mmの円盤状に打ち抜いた。打ち抜かれた正極合剤層を、ハンドプレスを用いて圧縮成形して、リチウム二次電池用正極を得た。
[実施例2]
高容量活物質としてLiNi1/3Co1/3Mn1/3を用いた以外は実施例1と同様に実施し、リチウム二次電池用正極を得た。
[実施例3]
高容量活物質としてLi1.2Ni0.13Co0.13Mn0.53を用いた以外は実施例1と同様に実施し、リチウム二次電池用正極を得た。
[実施例4]
導電性活物質としてLiMn0.8Fe0.2POを用いた以外は実施例1と同様に実施し、リチウム二次電池用正極を得た。
[実施例5]
実施例5は、電極作製時に導電剤を添加しない場合の例である。この場合、高容量活物質、導電性活物質、バインダが80:15: 5の重量比となるように加えた以外は実施例1と同様に行い、リチウム二次電池用正極を得た。
[実施例6]
実施例6は、導電性活物質の比表面積が小さい場合の例である。実施例1では導電性活物質の製造における仮焼成温度を440℃としたが、実施例6では、それよりも高い600℃とした。それ以外は実施例1と同様に行い、リチウム二次電池用正極を得た。ここでは、仮焼成温度を高くすることで、導電性活物質の比表面積が小さくなるようにした。
[実施例7]
実施例7は、導電性活物質の炭素被覆量の小さい場合の例である。実施例1では、スクロースとプロパンの両方を用いて炭素被覆を形成したが、実施例7では、プロパンは用いず、スクロースのみを用いてアルゴン雰囲気で焼成した。それ以外は、実施例1と同様に実施し、リチウム二次電池用正極を得た。
[実施例8]
実施例8は、本焼成時の導電性活物質の炭素被覆形成をプロパンのみで行った場合の例である。導電性活物質の製造においては、仮焼成体にスクロースを添加せずに粉砕混合した。そして、本焼成時の焼成雰囲気は、プロパンを添加したAr雰囲気とした。それ以外は実施例1と同様に実施し、リチウム二次電池用正極を得た。
[比較例1]
比較例1は、導電性活物質を用いない場合の例である。ここでは、実施例1の場合と同様に高容量活物質としてLiNi0.8Co0.1Mn0.1を用い、高容量活物質、導電剤、バインダが90:5:5の重量比となるようにした。電極組成以外は実施例1と同様に実施し、リチウム二次電池用正極を得た。
[比較例2]
比較例2は、導電性活物質を用いない場合の他の例である。ここでは、実施例2の場合と同様に高容量活物質としてLiNi1/3Co1/3Mn1/3を用い、高容量活物質、導電剤、バインダが90:5:5の重量比となるようにした。電極組成以外は実施例2と同様に実施し、リチウム二次電池用正極を得た。
[比較例3]
比較例3は、導電性活物質を用いない場合の他の例である。ここでは、実施例3の場合と同様に高容量活物質としてLi1.2Ni0.13Co0.13Mn0.53を用い、高容量活物質、導電剤、バインダが90:5:5の重量比となるようにした。電極組成以外は実施例3と同様に実施し、リチウム二次電池用正極を得た。
[比較例4]
比較例4は、活物質として高容量活物質を用いず、導電性活物質のみを用いた場合の例である。導電性活物質としてはLiFePOを用い、導電性活物質、導電剤、バインダが90:5:5の重量比となるように加えた。電極組成以外は実施例1と同様に実施し、リチウム二次電池用正極を得た。
[比較例5]
比較例5は、実施例1と比べて導電剤を多くした場合の例である。ここでは、電極作製の際に高容量活物質、導電性活物質、導電剤、バインダが80:10:5:5の重量比となるように加えた。それ以外は実施例1と同様に実施し、リチウム二次電池用正極を得た。
[比較例6]
比較例6は、導電性活物質の炭素被覆量を減らして体積抵抗を実施例1の場合よりも高くした場合の例である。ここでは、導電性活物質の製造において、スクロースの添加量を5質量%(実施例1は14質量%)と減らし、本焼成時にプロパンは用いず、アルゴン雰囲気で焼成した。それ以外は実施例1と同様に実施し、リチウム二次電池用正極を得た。
[比較例7]
比較例7は、導電性活物質の比表面積を極端に小さくした場合(実施例6より小さい)の例である。導電性活物質の製造において、仮焼成温度を600℃(実施例1では440℃)、本焼成温度を800℃(実施例1では700℃)とすることにより、活物質粒子の粗大化が促進されるようにし、比表面積の低下を促した。それ以外は実施例1と同様に実施し、リチウム二次電池用正極を得た。
ここでは、実施例1〜8及び比較例1〜7の正極活物質を用いて作製された正極を、実施例1〜8及び比較例1〜7の正極と記載する。実施例1〜8及び比較例1〜7の正極は、いずれも前記の塗工量及び厚さの範囲内となるよう作製することで、各試料の電極構造を一定に保った。そして、得られた電極を120℃で乾燥した。なお、水分の影響を排除するため、前記の工程は全てドライルーム内で実施した。
<リチウム二次電池の製造>
実施例1〜8及び比較例1〜7の正極を用いて、リチウム二次電池を簡易的に再現した三極式モデルセルを作製した。前記の手順で作製した実施例1〜8及び比較例1〜7の正極(直径15 mm)、アルミニウム集電体、対極用金属リチウム及び参照極用金属リチウムを、電解液を含侵させたセパレータを介して積層させた。その積層体を、2枚のSUS製端板を用いて挟み込み、ボルトで締め付けた。エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを1:2の容量比となるように混合して、混合溶媒を調製した。この混合溶媒に、LiPF6を溶解させて1 Mの溶液とした。得られた溶液に、ビニレンカーボネート(VC)を総質量に対して0.8質量%となるように添加して、電解液を調製した。これをガラスセル中に入れ、三極式モデルセルを作製した。
<リチウム二次電池の性能評価>
[充放電試験(エネルギー密度試験)]
実施例1〜8及び比較例1〜5の三極式モデルセルを用いて、以下の手順で充放電試験を実施して、各モデルセルの初期容量を評価した。本試験は、Ar雰囲気下のグローブボックス内において、室温(25℃)で行った。電流値を0.1 mAとして、カットオフ電圧まで定電流充電を行い、カットオフ電圧に達した後は、電流値が0.03 mAに減衰するまで定電圧充電を行った。その後、2.5 Vまで0.1 mAの定電流で放電した。このときの放電エネルギー密度を、試験対象のモデルセルのエネルギー密度とした。
カットオフ電圧は、それぞれの高容量活物質が一般的に使われる電圧、すなわち容量と安全性のバランスを考慮した電圧とした。具体的にはLiNi0.8Mn0.1Co0.1およびLiNi1/3Co1/3Mn1/3を用いた場合は4.3V、Li1.2Ni0.13Co0.13Mn0.53を用いた場合は4.6V、高容量活物質を用いなかった比較例4では4Vとした。
[発熱速度測定(DSC測定)]
充放電試験の項記載の方法で定電流/定電圧で充電後、電極をモデルセルから取り出し、ジメチルカーボネート(DMC)で洗浄後、直径3.5mmの円板状に打ち抜き、サンプルパンに入れ、電解液を1μL(マイクロリットル)加え、密封した。この試料を室温から400℃まで5℃/minで昇温させた時の発熱挙動を調べた。観測された最も大きい熱流速(W/kg)を発熱速度とした。
表1は、実施例1〜8及び比較例1〜5の各々に関する、電極組成、使用した活物質の比表面積、導電性活物質の体積抵抗等を示す表である。表2は、実施例1〜8及び比較例1〜5の各々の、正極のエネルギー密度、発熱速度を示す表である。
Figure 2015069969
Figure 2015069969
比較例1は、従来と同様に一種類の活物質LiNi0.8Mn0.1Co0.1を用いて正極を構成している。一方、実施例1は、比較例1の活物質LiNi0.8Mn0.1Co0.1の一部を導電性活物質に置き換え、導電剤の量を5質量%から2質量%に減少させたものである。実施例1は、比較例1と比較してエネルギー密度および安全性が向上していることが分かる。
エネルギー密度の増加は、導電剤の量を低減する代わりに導電性活物質を添加したことにより、電極内において容量発現に関与する活物質の割合が増えたことによる。電極に占める炭素成分の量は、導電性活物質由来のもの、導電剤由来のものを合計して、実施例では、0.72〜2.48質量%、比較例では4.97〜9.32質量%である。実施例1では、炭素被覆量は4.8質量%なので、電極組成における活物質(導電性活物質に含まれる活物質と高容量活物質との和)の重量比は約92.5%となる。また、嵩高い(すなわち、同一重量に対する体積が比較的大きい)導電剤の代わりに、導電性活物質を加えたことにより、電極密度が上昇するので、このこともエネルギー密度増加に寄与している。従って、正極合剤に必要な炭素成分の量は、3質量%未満である。
また、比較例1に対して実施例1は発熱速度が低下しているが、これは、導電性活物質により発熱の連鎖が食い止められたことによる。そのために充分な導電性活物質の添加量として、8質量%以上とすることが好ましい。また、導電性活物質は、高容量活物質の粒子間の空隙を充填するために10質量%以上とすることが好ましい。
実施例2および比較例2は、実施例1および比較例1における活物質LiNi0.8Mn0.1Co0.1を、同様に高容量な活物質LiNi1/3Co1/3Mn1/3に置き換えたものであるが、実施例1と比較例1との対比の場合と同様の効果が生じている。
同様に、実施例3および比較例3は、実施例1および比較例1における活物質LiNi0.8Mn0.1Co0.1を、同様に高容量な活物質Li1.2Ni0.13Co0.13Mn0.53に置き換えたものであるが、実施例1と比較例1との対比の場合と同様の効果が生じている。すなわち、導電性活物質に含まれる活物質の種類に依らず、導電性活物質を用いることによるエネルギー密度増加、熱安定性向上が得られている。
また、実施例4は、導電性活物質に含まれる活物質としてLiMn0.8Fe0.2POを用いた場合であるが、十分なエネルギー密度が得られており、導電性活物質の母材は容量を発現さえすれば限定はされない。
また、実施例5から、導電剤が含まれなくても、導電性活物質のみでリチウム二次電池として高い特性が得られることが分かる。これは、導電剤が無くても、導電性活物質の導電性被覆によって導電ネットワークが形成され、十分な導電性が得られていることを示す。また、比較例5では導電剤量が多く、比較例1に比してエネルギー密度、発熱速度とも向上するものの、エネルギー密度向上の効果が小さい。正極合剤中の炭素成分は5質量%未満、特に3質量%未満とすることが好ましい。
比較例7は導電性活物質の比表面積が低い場合の例である。比表面積が6.8m/gである実施例6では、十分なエネルギー密度が得られているのに対し、0.9m/gとより小さい比較例7ではエネルギー密度が低下している。これは、実施例6では導電性活物質と高容量粒子との接触が十分に得られているが、比較例7では比面積が低下したために接触が十分でないと推測される。すなわち、導電性活物質の導電性被覆が導電剤として機能する指標とすることができ、十分なエネルギー密度が得られるためには、導電性活物質の比表面積は1〜100m/gが必要であり、特に6m/g以上であることが好ましい。また、36m/g以下とすることで、より発熱速度が抑制され好ましい。
また、十分なエネルギー密度が得られるためには、第2の活物質の粒径が第1の活物質の粒径に対し充分に小さいことが好ましい。粒径が大きくなると、Liの拡散長が増大し、充放電特性が低下する傾向がある。この場合、導電性被覆と接触する高容量活物質の比表面積とも関係する。実施例6における導電性活物質の比表面積と高容量活物質の比表面積との比は約9.7、比較例7では約1.2、実施例1や7では30以上である。よって、この比は、9.7以上とされるのが好ましい。
また、実施例1、実施例7,実施例8および比較例6は、導電性活物質として用いたLiFePOの炭素被覆方法を変えることで、体積抵抗の値を変化させたものといえる。体積抵抗が1000Ωcm以下である実施例1、実施例7、実施例8は十分なエネルギー密度が得られるが1000Ωcm以上である比較例6では大きく低下した。原因として電極内の電気伝導度が大幅に低下したため、これまで律速であったLi拡散に代わり電子伝導が律速となりエネルギー密度を押し下げたと推測される。導電性活物質の体積抵抗は1000Ωcm以下とするよう、炭素被覆量等を調整することが好ましい。導電性活物質の炭素被覆量は、2質量%以上、特に3質量%以上であることが好ましい。
活物質に導電性活物質のみを用いた比較例4では、発熱速度は低く良好であるものの、エネルギー密度が十分でない。そのため、導電性活物質の活物質に、オリビン型構造を有する活物質のように比較的低容量な活物質を用いる場合、高いエネルギー密度の電池を得るためには高容量活物質との組み合わせが好ましい。望ましい容量を達成するため、高容量活物質は電極組成のうち70質量%以上とすることが好ましい。また、導電性活物質は、高容量活物質の粒子間空隙を充填するとともに、導電性を達成するため、8質量%以上とすることが好ましい。
なお、本発明は、前記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除及び/又は置換をすることが可能である。
1:電池蓋、2:ガスケット、3:正極リード、4,8:絶縁板、5:電池缶、6:負極、7:セパレータ、9:負極リード、10:正極

Claims (10)

  1. 集電体と正極合剤とを備えるリチウム二次電池用正極であって、
    前記正極合剤は、第1の正極活物質と、炭素よりなる導電性被覆が形成された第2の正極活物質とを含み、
    前記第2の正極活物質に占める導電性被覆の割合は、2質量%以上であり、
    前記第2の正極活物質の比表面積が1m/g〜100m/gであり、
    前記正極合剤における炭素成分の量は、3質量%未満であることを特徴とするリチウム二次電池用正極。
  2. 請求項1に記載のリチウム二次電池用正極において、
    前記第2の正極活物質の比表面積が6m/g〜36m/gであることを特徴とするリチウム二次電池用正極。
  3. 請求項1に記載のリチウム二次電池用正極において、
    前記第2の正極活物質の比表面積が6.8m/g以上で、前記第2の正極活物質の比表面積と前記第1の正極活物質の比表面積との比が9.7以上であることを特徴とするリチウム二次電池用正極。
  4. 請求項1に記載のリチウム二次電池用正極において、
    前記第2の正極活物質に占める導電性被覆の割合は3質量%以上であることを特徴とするリチウム二次電池用正極。
  5. 請求項4に記載のリチウム二次電池用正極において、
    前記第2の正極活物質はオリビン型構造を有する活物質であることを特徴とするリチウム二次電池用正極。
  6. 請求項1に記載のリチウム二次電池用正極において、
    前記第1の正極活物質は、層状構造を有する活物質または層状固溶体化合物よりなる活物質であることを特徴とするリチウム二次電池用正極。
  7. 請求項6に記載のリチウム二次電池用正極において、
    前記第2の正極活物質は、前記導電性被覆として炭素被覆が形成されたオリビン構造を有する活物質であることを特徴とするリチウム二次電池用正極。
  8. 請求項1に記載のリチウム二次電池用正極において、
    前記正極合剤における前記第1の正極活物質の割合は70質量%以上、前記第2の正極活物質の割合は8質量%以上であることを特徴とするリチウム二次電池用正極。
  9. 請求項1に記載のリチウム二次電池用正極において、
    前記炭素成分は導電剤由来及び炭素被覆層由来のものよりなり、
    前記正極合剤における導電剤の割合が3質量%未満であることを特徴とするリチウム二次電池用正極。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極と、負極と、電解質とを備えるリチウム二次電池。
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