JP2015068375A - 無終端巻き掛け伝動機の軸受け構造 - Google Patents
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Abstract
Description
この振動は、チェーンのような無終端伝動条体からプーリなど回転体の回転軸、および、これら回転軸と軸承孔との間における軸受けを経て、無終端巻き掛け伝動機のハウジングに達する。
かかる振動を途中で遮断して車体に伝達され難くするために従来、例えば特許文献1に記載のごとき振動遮断軸受け(アイソレーション軸受け)を上記軸受けとして用いることが考えられる。
かかるアイソレーション軸受けを用いてプーリ回転軸を、ハウジングに形成した対応する軸承孔に回転自在に支持する場合、チェーンからの振動がプーリ回転軸から軸受けを経てハウジングに向かう途中、軸受け本体の外周における低剛性リングが当該振動を吸収して遮断し、ハウジングに達し難くする用をなし、結果として上記の振動が前記のマウントを経て車体に伝達されるのを緩和し、乗員への不快感を和らげるのに有益である。
ところで、入力側プーリ回転軸の入力端には、エンジン回転をそのまま入力したり、逆転下に減速させて入力するためのプラネタリギヤ式前後進切り替え機構が設けられており、また出力側プーリ回転軸の出力端には終減速機や、必要に応じ副変速機が設けられており、上記した大きなプーリ回転軸の相互接近(傾斜)はこれら前後進切り替え機構、終減速機および副変速機の噛み合い不良を惹起し、これらの耐久性を低下させると共にこれらから騒音を発生させるという問題を生ずる。
もって、無終端巻き掛け伝動機の荷重よりも大きな無終端伝動条体の張力による回転軸の相互接近時は、僅かな相互接近で軸受け外周面が軸承孔内周面に接して、それ以上は回転軸が相互接近し得ないようにすることで、
マウント剛性の大きい方向(無終端巻き掛け伝動機の荷重方向)における振動の遮断効果と、無終端伝動条体の張力による回転軸相互接近量の低下(耐久性の悪化防止および騒音防止の効果)とを両立させ得るようにした無終端巻き掛け伝動機の軸受け構造を提案することを目的とする。
先ず、本発明の前提となる無終端巻き掛け伝動機を説明するに、これは、
無終端伝動条体を少なくとも一対の回転体間に張力下に巻き掛けして成る無終端巻き掛け伝動機であって、実用に際しては、前記回転体の回転軸線と交差する回転軸線交差面内における方向であって無終端巻き掛け伝動機の荷重方向における剛性が、前記無終端伝動条体の張力作用方向における剛性よりも大きなマウントを介し取り付けるようにした無終端巻き掛け伝動機である。
該低剛性材は、前記マウント剛性が大きい方向においてのみ前記回転軸から前記軸承孔への振動遮断を行うよう構成した点に特徴づけられる。
軸受け外周面の低剛性材がマウント剛性の大きい方向(無終端巻き掛け伝動機の荷重方向)における振動のみを遮断し、それ以外の方向における振動はマウントで遮断することになる。
そして低剛性材がマウント剛性の大きい方向(無終端巻き掛け伝動機の荷重方向)における振動のみを遮断するだけでよいため、無終端伝動条体に作用する大きな張力の方向における振動を考慮する必要がなく、その分だけ低剛性材の径方向突出量(軸承孔の内径)を従来よりも小さくし得る。
従って、本発明の軸受け構造によれば、マウント剛性の大きい方向(無終端巻き掛け伝動機の荷重方向)における振動の遮断効果と、無終端伝動条体の張力による回転軸相互接近量の低下(回転軸の傾斜低減による耐久性の悪化防止および騒音防止の効果)とを両立させることができる。
<第1実施例の構成>
図1は、本発明の第1実施例になる軸受け構造を具えたチェーン式無段変速機(無終端巻き掛け伝動機)1を車両搭載状態で示す模式図である。
チェーン式無段変速機1はエンジン2にタンデム結合し、これらにより構成されたパワーユニットを、車体3の前部エンジンルーム4内に横置きに搭載する。
プライマリプーリ11は、これと共に回転するプーリ軸(回転軸)14の両端をそれぞれ、軸外周面と軸承孔15との間に介在させた軸受け16で変速機ハウジング17に回転自在に支持する。
プライマリプーリ軸14の入力端は、前後進切り換え機構18およびトルクコンバータ19を順次介してエンジ2のクランクシャフト2aに結合する。
前後進切り換え機構18は更に、ダブルピニオン遊星歯車組18aのキャリアをプライマリプーリ11(プーリ軸14の入力端)に結合する。
ダブルピニオン遊星歯車組18aは、そのサンギヤおよびキャリア間を直結する前進クラッチ18b、およびダブルピニオン遊星歯車組18aのリングギヤを固定する後進ブレーキ18cをそれぞれ具える。
この状態から、前進クラッチ18bを締結する時、エンジン2からトルクコンバータ19を経由したエンジン回転をそのまま前進回転としてプライマリプーリ11(プーリ軸14)2に伝達することができ、
後進ブレーキ18cを締結する時、エンジン2からトルクコンバータ19を経由したエンジン回転を逆転減速下に後進回転としてプライマリプーリ11(プーリ軸14)へ伝達することができる。
セカンダリプーリ軸21の出力端は、終減速機24およびディファレンシャルギヤ装置25を経て図示せざる左右駆動車輪(左右前輪)に結合する。
これにより、チェーン13を構成するリンクプレート間を相互に連節したリンクピンの両端を対向シーブ11a,11b間および12a,12b間に挟圧して、プライマリプーリ11およびセカンダリプーリ12間での前記動力伝達を可能にする。
無終端チェーン13は、プライマリプーリ11に対する巻き掛け径を増大されると共に、セカンダリプーリ12に対する巻き掛け径を小さくされ、無段変速機1は図2に示す最ロー変速比選択状態から、図示せざる最ハイ変速比選択状態に向け無段変速下にアップシフト可能である。
無終端チェーン13は、プライマリプーリ11に対する巻き掛け径を小さくされると共に、セカンダリプーリ12に対する巻き掛け径を増大され、無段変速機1はハイ側変速比選択状態から図2に示す最ロー変速比選択状態に向け無段変速下にダウンシフト可能である。
上記した図2のチェーン式無段変速機1およびエンジン2から成るパワーユニットは、図1のごとく横置きにして(パワーユニット回転軸線が車幅方向へ延在するよう配置して)、複数個(通常エンジン2側に2個、無段変速機1側に1個の、合計3個)のエンジンマウント(マウント)31により車体3へ搭載する。
チェーン13が多数枚のリンクプレートを相互にリンクピンで無終端形状に連節して構成され、これらリンクピンの両端とプーリ対向シーブ11a,11bおよび12a,12bとの接点において動力伝達を行うため、無段変速機1の無終端チェーン13が振動を発生し易い。
かように変速機ハウジング17に達した振動はその後、上記のエンジンマウント31を経て車体9へ伝達され、乗員を不快にするという懸念がある。
従って本実施例では、低剛性突起(低剛性材)32を嵌合する軸承孔15,22の内径が、前記した従来の低剛性リングが嵌合する軸承孔よりも大幅に小さくなる。
上記した本実施例の軸受け構造によれば、軸受け外周面の低剛性突起(低剛性材)32がマウント剛性の大きいZ方向(チェーン式無段変速機1の荷重方向)におけるチェーン振動のみを遮断し、それ以外のX,Y方向におけるチェーン振動はエンジンマウント31で遮断することになる。
そして低剛性突起(低剛性材)32がマウント剛性の大きいZ方向(チェーン式無段変速機1の荷重方向)におけるチェーン振動のみを遮断するだけでよいため、チェーン13に作用する大きな張力Fbの方向におけるチェーン振動を考慮する必要がなく、その分だけ低剛性突起(低剛性材)32の径方向突出量(軸承孔15,22の内径)を従来よりも小さくし得る。
従って、本実施例の軸受け構造によれば、マウント剛性の大きいZ方向(チェーン式無段変速機1の荷重方向)におけるチェーン振動遮断効果と、チェーン張力Fbによるプーリ軸14,21の相互接近量の低下(プーリ軸14,21の傾斜低減による耐久性の悪化防止および騒音防止の効果)とを両立させることができる。
図4は、本発明の第2実施例になる軸受け構造を示し、本実施例においてもチェーン式無段変速機1およびエンジン2、並びにこれらから成るパワーユニットのマウント構造は図1,2につき前述したと同様なものとする。
本実施例においては、アイソレーション軸受け16,23の外周における低剛性材32が、変速機ハウジング17に達した振動のうち、マウント剛性が大きいZ方向におけるチェーン振動のみを遮断するよう構成するに際し、この低剛性材32を、マウント剛性が大きいZ方向における直径方向対向箇所から、マウント剛性が小さいX方向における直径方向対向箇所に向けて、軸受け外周面からの突出量が漸減するような構成とし、低剛性材32を連続的なまたは不連続な(図4では連続的な)リング状のものとする。
本実施例でも、軸受け16,23の外周における低剛性材32が、変速機ハウジング17に達した振動のうち、マウント剛性が大きいZ方向におけるチェーン振動のみを遮断する構成であるため、前記した第1実施例と同様な効果を奏することができる。
図5は、本発明の第3実施例になる軸受け構造を示し、本実施例においてもチェーン式無段変速機1およびエンジン2、並びにこれらから成るパワーユニットのマウント構造は図1,2につき前述したと同様なものとする。
本実施例においては、アイソレーション軸受け16,23の外周における低剛性材32を、軸受け外周面からの突出量が全周に亘って略同じリング状とするが、このリング状低剛性材32の軸受け外周面からの突出量を、マウント剛性が大きいZ方向の振動を遮断するのに必要な突出量に合わせて決定する。
そのため、リング状低剛性材32の軸受け外周面からの突出量を、前記マウント剛性が大きいZ方向の振動を遮断するのに必要な最低限の突出量に合わせて設定するのがよい。
本実施例でも、軸受け16,23の外周におけるリング状低剛性材32が、変速機ハウジング17に達した振動のうち、マウント剛性が大きいZ方向におけるチェーン振動のみを遮断する構成であるため、前記した第1実施例と同様な効果を奏することができる。
加えて本実施例では、低剛性材32を、軸受け外周面からの突出量が全周に亘って同じリング状に構成したため、この低剛性材32を介して軸受け16,23を軸承孔15,22に嵌合するに際し、円周方向における嵌合位置に何らの留意も必要でなくなり、組み立て作業性を向上させることができる。
図6は、プーリ軸14,21の回転軸線を含む面αが水平面に対しθだけ傾斜しているチェーン式無段変速機に適用する場合の本発明の第4実施例になる軸受け構造を示す。
本実施例においても、チェーン式無段変速機のプーリ軸線を含む面αが上記のごとく傾斜している以外、チェーン式無段変速機1およびエンジン2、並びにこれらから成るパワーユニットのマウント構造は図1,2につき前述したと同様なものとする。
つまりアイソレーション軸受け16,23の外周面に低剛性突起(低剛性材)32を設け、これら低剛性突起(低剛性材)32をマウント剛性が大きいZ方向における直径方向対向箇所のみに配置し、それ以外の円周方向箇所には低剛性突起(低剛性材)32が存在しないよう構成して、アイソレーション軸受け16,23が、マウント剛性の大きいZ方向においてのみプーリ軸14,21から軸承孔15,22への振動を遮断するものとする。
従って本実施例でも、低剛性突起(低剛性材)32を嵌合する軸承孔15,22の内径が、前記した従来の低剛性リングが嵌合する軸承孔よりも大幅に小さくなる。
上記した本実施例の軸受け構造によれば、軸受け外周面の低剛性突起(低剛性材)32がマウント剛性の大きいZ方向(チェーン式無段変速機1の荷重方向)におけるチェーン振動のみを遮断し、それ以外のX,Y方向におけるチェーン振動はエンジンマウント31で遮断することになる。
そして低剛性突起(低剛性材)32がマウント剛性の大きいZ方向(チェーン式無段変速機1の荷重方向)におけるチェーン振動のみを遮断するだけでよいため、チェーン13に作用する大きな張力Fbの方向におけるチェーン振動を考慮する必要がなく、その分だけ低剛性突起(低剛性材)32の径方向突出量(軸承孔15,22の内径)を小さくし得る。
従って、本実施例の軸受け構造によれば、マウント剛性の大きいZ方向(チェーン式無段変速機1の荷重方向)におけるチェーン振動遮断効果と、チェーン張力Fbによるプーリ軸14,21の相互接近量の低下(プーリ軸14,21の傾斜低減による耐久性の悪化防止および騒音防止の効果)とを両立させることができる。
なお図示の実施例ではいずれも、無終端紙掛け伝動機がチェーン式無段変速機1である場合について本発明の説明を展開したが、本発明は、チェーン式無段変速機1に限られず、固定変速比の非変速式である場合や車両用以外である場合も含め、あらゆる型式の無終端紙掛け伝動機に適用可能で、この場合も同様な作用・効果を奏し得ること勿論である。
2 エンジン
3 車体
4 エンジンルーム
11 プライマリプーリ(回転体)
12 セカンダリプーリ(回転体)
13 無終端チェーン(無終端伝動条体)
14 プライマリプーリ軸(回転軸)
15 軸承孔
16 アイソレーション軸受け(軸受け)
17 変速機ハウジング
18 前後進切り換え機構
19 トルクコンバータ
21 セカンダリプーリ軸(回転軸)
22 軸承孔
23 アイソレーション軸受け(軸受け)
24 終減速機
25 ディファレンシャルギヤ装置
31 エンジンマウント(マウント)
32 低剛性材
Claims (6)
- 無終端伝動条体を少なくとも一対の回転体間に張力下に巻き掛けして成る無終端巻き掛け伝動機であって、実用に際しては、前記回転体の回転軸線と交差する回転軸線交差面内における方向であって無終端巻き掛け伝動機の荷重方向における剛性が、前記無終端伝動条体の張力作用方向における剛性よりも大きなマウントを介し取り付けるようにした無終端巻き掛け伝動機において、
前記回転体の回転軸をそれぞれ、これら回転軸と、対応する軸承孔との間に介在させた軸受けにより回転自在に支持し、該軸受けは外周面に設けた低剛性材を介し前記対応する軸承孔に嵌合して前記回転軸から前記軸承孔への振動を遮断するが、
該低剛性材は、前記マウント剛性が大きい方向においてのみ前記回転軸から前記軸承孔への振動遮断を行うよう構成したことを特徴とする無終端巻き掛け伝動機の軸受け構造。 - 請求項1に記載された、無終端巻き掛け伝動機の軸受け構造において、
前記低剛性材は、前記マウント剛性が大きい方向における直径方向対向箇所においてのみ、前記軸受け外周面から突出するよう設けた突起状の低剛性材であることを特徴とする無終端巻き掛け伝動機の軸受け構造。 - 請求項1に記載された、無終端巻き掛け伝動機の軸受け構造において、
前記低剛性材は、前記マウント剛性が大きい方向における直径方向対向箇所から、前記マウント剛性が小さい方向における直径方向対向箇所に向けて、前記軸受け外周面からの突出量が漸減する、連続的なまたは不連続なリング状の低剛性材であることを特徴とする無終端巻き掛け伝動機の軸受け構造。 - 請求項1に記載された、無終端巻き掛け伝動機の軸受け構造において、
前記低剛性材は、前記軸受け外周面からの突出量が全周に亘って略同じリング状の低剛性材であり、該リング状低剛性材の軸受け外周面からの突出量を、前記マウント剛性が大きい方向の振動を遮断するのに必要な突出量に合わせて決定したことを特徴とする無終端巻き掛け伝動機の軸受け構造。 - 請求項4に記載された、無終端巻き掛け伝動機の軸受け構造において、
前記リング状低剛性材の軸受け外周面からの突出量を、前記マウント剛性が大きい方向の振動を遮断するのに必要な最低限の突出量に合わせて決定したことを特徴とする無終端巻き掛け伝動機の軸受け構造。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載された、無終端巻き掛け伝動機の軸受け構造において、
前記無終端巻き掛け伝動機は、前記無終端伝動条体としてチェーンを、また前記回転体として一対のプーリを具え、チェーンを一対のプーリ間に巻き掛けすると共に、これらプーリの軸線方向対向シーブ間に挟圧してチェーンを引っ張り状態となすよう構成した車両用チェーン式無段変速機であり、
該チェーン式無段変速機を、車体上下方向の剛性が前記チェーンの張力作用方向における剛性よりも大きなマウントを介して車載し、
前記プーリの回転軸を対応する軸承孔内に回転自在に支持する軸受けの外周面から突出して前記対応する軸承孔の内周面に至る前記低剛性材は、前記マウント剛性が大きい車体上下方向方向においてのみ前記回転軸から前記軸承孔への振動遮断を行うよう構成したものであることを特徴とする無終端巻き掛け伝動機の軸受け構造。
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JP2005282695A (ja) * | 2004-03-29 | 2005-10-13 | Toyota Motor Corp | 無段変速機の取付構造 |
JP2005291235A (ja) * | 2004-03-31 | 2005-10-20 | Koyo Seiko Co Ltd | チェーン式無段変速機 |
JP2007255579A (ja) * | 2006-03-23 | 2007-10-04 | Nsk Ltd | 分割型転がり軸受 |
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