JP2018040444A - 車両用自動変速装置 - Google Patents

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宗幸 岡本
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Abstract

【課題】CVTを用いた車両用自動変速装置において、R/Cの拡大を図りつつ装置全体の大型化を抑制可能な車両用自動変速装置を提供する。
【解決手段】車両の駆動源2と、入力軸10が駆動源2に連結されたベルト−プーリ式無段変速機8と、ベルト−プーリ式無段変速機8の出力軸30と同軸に配置された最終減速機構37、差動機構48及び駆動軸50,52と、遊星歯車機構で構成されて複数の変速段を達成する有段変速機36とを備え、駆動源2の回転動力が、ベルト−プーリ式無段変速機8、有段変速機36、最終減速機構37、差動機構48、駆動軸50,52の順に伝動される車両用自動変速装置において、有段変速機36をベルト−プーリ式無段変速機8の入力軸10に同軸且つ相対回転可能に配設した。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両に搭載されるベルト式無段変速機を用いた自動変速装置に関するものである。
従来より、ベルト−プーリ式無段変速機(以下、CVTとも言う)の小型化のため、最終減速機構、差動機構及び駆動輪に連結される駆動軸を、CVTの出力プーリ(セカンダリプーリとも言う)と同軸に配置する構成が公知である。(特許文献1)
特開昭60−26843号公報
車両の走行性能や燃費性能を向上させる手段の一つとして、変速機における低変速比−高変速比間の変速比幅(レシオカバレッジとも言う。以下、R/Cとも言う。)を大きくすることが知られているが、特許文献1に開示された構成のCVTにおいてR/Cを拡大しようとすると、プーリ径を拡大するしかなく、装置が高さ方向に大きくなってしまい、装置を小型化しようとする目的に逆行することになる。
一方、プーリ径を拡大することなくR/Cを拡大する手段として、CVTと有段変速機とを組み合わせる思想も公知である。
この場合、CVTのベルト、プーリ本体の強度増加やプーリ駆動機構の駆動力の増加を回避するため、トルク増幅機能を有する有段変速機はCVTの出力プーリに駆動連結することが必須であり、特許文献1に開示されたCVTにおいて、R/C拡大のため、有段変速機を出力プーリの軸上に配置すると、そこには最終減速機構や差動機構も存在するような場合、出力プーリ側の全長(装置の幅方向)が増加して、装置の小型化を阻害し、駆動源との干渉が生じてしまうという課題がある。
本発明は、上記のような課題を解決するために創案されたもので、CVTを用いた車両用自動変速装置において、R/Cの拡大を図りつつ装置全体の大型化を抑制可能な車両用自動変速装置を提供することを目的としている。
(1)上記の目的を達成するため、本発明の車両用自動変速装置は、車両の駆動源と、入力軸が前記駆動源に連結されたベルト−プーリ式無段変速機と、前記ベルト−プーリ式無段変速機の出力軸と同軸に配置された最終減速機構、差動機構及び駆動軸と、遊星歯車機構で構成されて複数の変速段を達成する有段変速機とを備え、前記駆動源の回転動力が、前記ベルト−プーリ式無段変速機、有段変速機、最終減速機構、差動機構、駆動軸の順に伝動される車両用自動変速装置において、前記有段変速機を前記ベルト−プーリ式無段変速機の入力軸に同軸且つ相対回転可能に配設したことを特徴としている。
(2)前記最終減速機構及び前記差動機構を前記ベルト−プーリ式無段変速機の出力プーリに対して軸線方向の前記駆動源側に配置し、前記有段変速機を前記ベルト−プーリ式無段変速機の入力プーリに対して軸線方向の前記駆動源側に配置し、前記最終減速機構と前記有段変速機とを前記入力軸の半径方向に対して重複配置し、前記出力プーリの軸線方向の前記駆動源側に出力ギヤを設け、前記有段変速機の軸線方向の前記駆動源側に入力ギヤを設けると共に、前記出力ギヤと前記入力ギヤとを駆動連結し、前記ベルト−プーリ式無段変速機からの回転動力を前記入力軸と同軸上の前記有段変速機に伝達することが好ましい。
さらに、前記入力軸が前記有段変速機のサンギヤを貫通して配設され、前記有段変速機の入力部材が前記出力軸に設けられた出力ギヤに駆動連結されていることが好ましい。
前記有段変速機が、歯数の少ない第1サンギヤと、歯数の多い第2サンギヤと、前記第1サンギヤに噛合するショートピニオンギヤと、前記第2サンギヤと前記ショートピニオンギヤとに噛合するロングピニオンギヤと、前記ショートピニオンギヤ及びロングピニオンギヤを共通して支持するキャリアと、前記ロングピニオンギヤに噛合するリングギヤとから成るラビニヨ式遊星歯車機構および第1のクラッチ機構で構成され、前記第1サンギヤが前記出力ギヤに駆動連結され、前記リングギヤが前記最終減速機構に駆動連結されていることが好ましい。
前記出力ギヤに噛合する中間ギヤが前記入力軸に相対回転可能に軸支され、前記中間ギヤと前記第1サンギヤとが駆動連結されていることが好ましい。
前記中間ギヤと前記第1及び第2サンギヤとが夫々第2のクラッチ機構を介して駆動連結されていることが好ましい。
本発明によれば、動力伝動経路においてベルト−プーリ式無段変速機の下流側に配置される遊星歯車機構から成る有段変速機を、ベルト−プーリ式無段変速機の入力軸に同軸且つ相対回転可能に配設したので、自動変速装置の変速比幅(R/C)を拡大しつつ装置全体の大型化を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る車両用自動変速装置の構成を模式的に示すスケルトン図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。以下の実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができるとともに、必要に応じて取捨選択することや適宜組み合わせることが可能である。
エンジン、電動モータ等からなる車両の駆動源2は、ダンパー4、摩擦係合式のクラッチ6を介してベルト−プーリ式無段変速機(CVT)8の入力軸10に連結されている。CVT8は、入力プーリ(プライマリプーリとも言う)12と、出力プーリ(セカンダリプーリとも言う)20と、両プーリ12,20に巻き掛けられて両プーリ12,20間の動力伝達を担う金属製のV型ベルトまたはチェーン(以下、ベルトと言う)22とを有している。
入力軸10は、入力プーリ12を構成するシーブのうち、ベルト22に対して駆動源2側(図中右側、以下、軸線方向一方側とも言う)に設けられた固定シーブ14に連結されている。入力プーリ12を構成するシーブのうち、ベルト22に対して駆動源2とは反対側(図中左側、以下、軸線方向他方側ともいう)に設けられた可動シーブ16には、可動シーブ16を軸方向に摺動させて入力プーリ12の溝幅を変更する変速機構18が設けられており、この変速機構18には従来公知の油圧駆動のピストン−シリンダ機構や機械式カム機構等で構成されるアクチュエータ(図示略)が設けられている。
出力プーリ20を構成するシーブのうち、可動シーブ24はベルト22に対して軸線方向一方側(図中右側)に配置される。この可動シーブ24には、入力プーリ12からベルト22を介して伝達される動力(ベルト張力)に応じて、可動シーブ24の摺動(出力プーリ20の溝幅の変更)を許容しつつベルト22の挟持力を調整する推力機構26が設けられており、この推力機構26にも前記変速機構18のアクチュエータと略同様の機構からなるアクチュエータ(図示略)が設けられている。また、出力プーリ20の固定シーブ28には出力軸30が連結されている。
上記構成において、変速機構18で可動シーブ16を摺動させて両プーリ12,20に対するベルト22の巻き掛け半径を変更することにより、入出力軸10,30間の変速が達成される。
出力軸30には出力ギヤ32が固設されており、この出力ギヤ32は入力軸10に相対回転可能に軸支された中間ギヤ(入力ギヤ)34に噛合している。
入力軸10には、入力プーリ12の軸線方向一方側であって、クラッチ6と中間ギヤ34との間に、ラビニヨ式遊星歯車機構で構成された、前進2段、後進1段の有段変速機36が、入力軸10に対して相対回転可能に配設されている。なお、入力軸10は、後述する第1サンギヤ361の回転軸360の中心を貫通するように配設され、第1サンギヤ361を相対回転可能に軸支することにより有段変速機36に対して相対回転可能に配設された構成となる。
有段変速機36の歯数の少ない第1サンギヤ361(入力部材)はショートピニオンギヤ362に噛合し、歯数の多い第2サンギヤ363は、第1サンギヤ361の回転軸360の外周に相対回転可能に支持され且つロングピニオンギヤ364に噛合している。ロングピニオンギヤ364はショートピニオンギヤ362の外方(径方向外方)に配設されて同ショートピニオンギヤ362に噛合しており、さらにロングピニオンギヤ364にはリングギヤ365の内歯が噛合している。また、ショートピニオンギヤ362及びロングピニオンギヤ364は共通のキャリア366により支持されている。さらに、リングギヤ365の外周に形成された外歯が、後述する最終減速機構37に連結されるアイドラギヤ39に噛合されている。
キャリア366とリングギヤ365及び変速機のケーシング38との間には、第1の機械式クラッチ機構40が介装されている。この第1の機械式クラッチ機構40は、従来公知の平行軸常時噛合い式歯車変速機に用いられる変速用クラッチ機構と略同様の構成であり、キャリア366に駆動連結され且つ軸方向に摺動可能な第1クラッチハブ401と、リングギヤ365に連結されると共に第1クラッチハブ401の一側に配設されて第1クラッチハブ401に噛合い係合可能なハイクラッチギヤ402と、ケーシング38に連結されると共に第1クラッチハブ401の他側に配設されて第1クラッチハブ401に噛合い係合可能なロークラッチギヤ403とから構成されている。
なお、キャリア366とケーシング38との間には、ロークラッチギヤ403と並行にワンウェイクラッチ(以下、OWCと称する。)42が介装されている。このOWC42は、車両の前進走行時のキャリア366の回転方向を正転とした場合、キャリア366の逆転を防止する機能を備えるように配設されている。
また、通常、この種の機械式クラッチ機構に付帯される回転同期機構(シンクロ機構)は、第1クラッチハブ401の切り替え時に、駆動源2等により回転同期制御が実施可能であれば、省略可能である。(本実施形態では省略している。)
そして、第1クラッチハブ401を、ハイクラッチギヤ402に係合させることにより高速走行用の高速変速比が、ロークラッチギヤ403に係合させることにより低速走行用の低速変速比が形成され、有段変速機36として複数(2段)の変速段が達成される。
一方、中間ギヤ34と第1サンギヤ361及び第2サンギヤ363との間には、第1の機械式クラッチ機構40と同構成の第2の機械式クラッチ機構44が介装されており、この第2の機械式クラッチ機構44は、中間ギヤ34に駆動連結された第2クラッチハブ441と、第1サンギヤ361に連結された前進クラッチ442と、第2サンギヤ363に連結された後進クラッチ443とを備えている。
そして、第2クラッチハブ441を、前進クラッチ442に係合させることにより前進走行が可能となり、後進クラッチ443に係合させることにより後進走行が可能となって、これにより前後進切換が達成される。なお、後進走行を達成する際、キャリア366が逆転方向に付勢されるが、OWC42の機能により逆転は阻止されるので、第1クラッチハブ401をロークラッチギヤ403に係合させる必要はない。
CVT8に対し軸線方向一方側には、最終減速機構37及び差動機構48が配置されており、リングギヤ365の外歯に噛合されたアイドラギヤ39は、単純遊星歯車機構から成る最終減速機構37のサンギヤ371に連結されており、キャリア372がベベルギヤから成る従来公知の差動機構48に連結され、リングギヤ373は反力要素としてケーシング38に連結されている。
また、差動機構48の図中左方へ延設された駆動軸50は、最終減速機構37、アイドラギヤ39、CVT8の出力軸30及び出力プーリ20の中心を貫通するように且つ各機構と相対回転可能に構成され、図示しない外端に駆動輪が装着されている。換言すれば、最終減速機構37、差動機構48、駆動軸50が、CVT8の出力軸30と同軸に配置された構成となっている。なお、差動機構48の図中右方へ延設された駆動軸52の端部には図示しない駆動輪が装着されている。
本発明の一実施形態に係る車両用自動変速装置は、上述のように構成されるので、以下のような作用及び効果を得ることができる。
最終減速機構37、差動機構48、駆動軸50が、CVT8の出力軸30と同軸に配置された構成の車両用自動変速装置において、R/Cの拡大を図るための有段変速機構36をCVT8の入力軸10上に同軸に配設したので、装置の高さ方向の寸法増大を抑制しつつ、R/Cを拡大し且つ全長の増加(装置の幅方向の寸法増加)を抑制した車両用自動変速装置を提供することができる。
特に、最終減速機構37及び差動機構48を出力プーリ20に対し軸線方向一方側に配置し、有段変速機36も入力プーリ12の軸線方向一方側に配置し、且つ、最終減速機構37と有段変速機36とを回転軸の半径方向に対して重複配置(オーバラップ配置)し、軸線方向一方側に配置され互いに噛合する出力ギヤ32及び中間ギヤ34を介して回転動力を入力軸10上の有段変速機36に伝達するようにしたので、装置の幅方向の寸法を抑制でき、駆動源2との干渉を回避することができる。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態を本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して適用することが可能である。
例えば、上記実施形態では、有段変速機構36に前後進切換機能を具備した構成としたが、この前後進切換機能を有段変速機構36とは別体の歯車機構で構成しても良い。この場合、第2サンギヤ363を別のクラッチ装置(又はブレーキ装置)を介してケーシング38に連結可能な構成とすれば、前進3段の変速段を有する有段変速機構とすることができる。
2 駆動源
8 ベルト−プーリ式無段変速機(CVT)
10 入力軸
30 出力軸
32 出力ギヤ
34 中間ギヤ(入力ギヤ)
36 有段変速機
37 最終減速機構
48 差動機構
50,52 駆動軸

Claims (2)

  1. 車両の駆動源と、
    入力軸が前記駆動源に連結されたベルト−プーリ式無段変速機と、
    前記ベルト−プーリ式無段変速機の出力軸と同軸に配置された最終減速機構、差動機構及び駆動軸と、
    遊星歯車機構で構成されて複数の変速段を達成する有段変速機とを備え、
    前記駆動源の回転動力が、前記ベルト−プーリ式無段変速機、前記有段変速機、前記最終減速機構、前記差動機構、前記駆動軸の順に伝動される車両用自動変速装置において、
    前記有段変速機を前記ベルト−プーリ式無段変速機の入力軸に同軸且つ相対回転可能に配設した
    ことを特徴とする車両用自動変速装置。
  2. 前記最終減速機構及び前記差動機構を前記ベルト−プーリ式無段変速機の出力プーリに対して軸線方向の前記駆動源側に配置し、前記有段変速機を前記ベルト−プーリ式無段変速機の入力プーリに対して軸線方向の前記駆動源側に配置し、前記最終減速機構と前記有段変速機とを前記入力軸の半径方向に対して重複配置し、
    前記出力プーリの軸線方向の前記駆動源側に出力ギヤを設け、前記有段変速機の軸線方向の前記駆動源側に入力ギヤを設けると共に、前記出力ギヤと前記入力ギヤとを駆動連結し、前記ベルト−プーリ式無段変速機からの回転動力を前記入力軸と同軸上の前記有段変速機に伝達する
    ことを特徴とする請求項1記載の車両用自動変速装置。
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