以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。以下の説明においては、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、開口13が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8が定義され、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9が定義される。
[複合機10の全体構造]
図1に示されるように、複合機10(本発明の画像記録装置の一例)は、薄型の直方体に概ね形成されており、下部にプリンタ部11が設けられている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。複合機10は、プリント機能として、インクジェット方式で記録用紙12(図2参照)の両面に画像を記録する機能を有している。なお、複合機10は、インクジェット方式以外、例えば電子写真方式で画像を記録するものであってもよい。また、複合機10は、後述するメディアトレイ110(本発明のトレイの一例、図1(B)及び図2参照)に支持されたCD−ROMやDVD−ROMなどの記録メディア(本発明の被記録媒体の一例)の盤面上に画像を記録する機能を有する。この機能については後述される。
[給送トレイ20]
図1に示されるように、プリンタ部11は、前面75に開口13が形成された筐体14を有している。筐体14の正面には、開口13を通じて後方へ凹んだ凹部80が形成されている。給送トレイ20は、前後方向8に移動することによって、凹部80の下部へ挿入可能であり凹部80の下部から脱抜可能である。給送トレイ20は、上側が開放された箱形状の部材である。図2に示されるように、給送トレイ20の底板22には、記録用紙12が支持される。給送トレイ20の前側且つ上側には、排出トレイ21が支持されている。排出トレイ21は、給送トレイ20と一体に前後方向8に移動する。排出トレイ21の上面には、後述する記録部24によって画像を記録されて凹部80へ排出された記録用紙12が支持される。
[給送部16]
図2に示されるように、給送部16は、凹部80に挿入された状態の給送トレイ20の底板22の上方に設けられている。給送部16は、給送ローラ25、給送アーム26、及び駆動伝達機構27を備えている。給送ローラ25は、給送アーム26の先端部で軸支されている。給送アーム26は、基端部に設けられた支軸28を中心として、矢印29の方向に回動可能である。これにより、給送ローラ25は、給送トレイ20の底板22または当該給送トレイ20に支持された記録用紙12に対して、当接及び離間が可能である。
給送ローラ25は、複数のギヤが噛合されてなる駆動伝達機構27によって、搬送用モータ(不図示)の駆動力が伝達されて回転する。これにより、給送トレイ20の底板22に載置された記録用紙12のうち、給送ローラ25と当接している最も上側の記録用紙12が、後述する搬送路65へ給送される。なお、給送ローラ25は、搬送用モータとは別に設けられたモータから駆動力を付与されて回転してもよい。
[搬送路65]
図2に示されるように、筐体14内部において、給送トレイ20の後端部から搬送路65が延出されている。搬送路65は、湾曲部33と直線部34(本発明の主搬送路の一例)とを備える。湾曲部33は、給送トレイ20の後端部から上方へ向かって湾曲しつつ延びており、後述する搬送ローラ対59よりも後側において直線部34と接続されている。直線部34は、プリンタ部11の背面に設けられた開口134から後述する反転ローラ対45まで前後方向8に延びている。
湾曲部33は、所定間隔を隔てて互いに対向する外側ガイド部材18と内側ガイド部材19とによって形成されている。直線部34は、記録部24が配置されている位置において、所定間隔を隔てて互いに対向する記録部24とプラテン42とによって形成されている。また、直線部34は、記録部24より後方において、第1上側ガイド部材17と外側ガイド部材18とによって形成されている。また、直線部34は、記録部24より前方において、第2上側ガイド部材35と第1下側ガイド部材36とによって形成されている。
給送トレイ20に支持された記録用紙12は、給送ローラ25によって湾曲部33へ給送され、湾曲部33から直線部34に亘って図2に一点鎖線の矢印で示される搬送向き15に沿って搬送される。メディアトレイ110は、開口13から直線部34へ挿入され、直線部34に沿って前後方向8に搬送される。
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、直線部34の上側に設けられている。記録部24の下側且つ記録部24と対向する位置には、プラテン42が設けられている。プラテン42は、前後方向8及び左右方向9の長さが上下方向7の長さよりも長い平板形状の部材である。
記録部24は、キャリッジ40と記録ヘッド38とを備えている。キャリッジ40は、前後方向8に間隔を空けて配置された2つのガイドレール56、57によって左右方向9へ往復移動可能に支持されている。記録ヘッド38は、キャリッジ40に搭載されている。記録ヘッド38には、インクカートリッジ(不図示)からインクが供給される。記録ヘッド38の下面には、ノズル39が形成されている。キャリッジ40が左右方向9に移動しているときに、記録ヘッド38は、ノズル39からインク滴をプラテン42に向けて吐出する。これにより、搬送向き15に搬送されてプラテン42に支持された記録用紙12またはメディアトレイ110に支持された記録メディアに画像が記録される。
[搬送ローラ対59、排出ローラ対44、及び反転ローラ対45]
図2に示されるように、直線部34における記録部24及びプラテン42よりも搬送向き15の上流側には、搬送ローラ対59が配置されている。直線部34における記録部24よりも搬送向き15の下流側には、排出ローラ対44が配置されている。直線部34における排出ローラ対44よりも搬送向き15の下流側には、反転ローラ対45(本発明のローラ対の一例)が配置されている。
図2及び図4に示されるように、搬送ローラ対59は、直線部34の上側に配置された搬送ローラ60と、直線部34の下側に搬送ローラ60と対向して配置されたピンチローラ61とを備えている。搬送ローラ60は、左右方向9に延びた円柱状の部材である。ピンチローラ61は、左右方向9に間隔を空けて複数設けられている。各ピンチローラ61は、後述する移動機構50を構成する部材の一つであって各ピンチローラ61に対応して設けられた支持部材55によって回転可能に支持されている。各支持部材55は、弾性部材66によって搬送ローラ60側に付勢されている。これにより、各ピンチローラ61は、弾性部材66に搬送ローラ60側へ付勢されることによって搬送ローラ60を押圧している。なお、本実施形態では、ピンチローラ61は2個で1組となったものが4個、つまり8個設けられているが、ピンチローラ61の数は8個に限らない。
図2に示されるように、排出ローラ対44は、直線部34の下側に配置された排出ローラ62と、直線部34の上側に排出ローラ62と対向して配置された拍車63とを備えている。図4に示されるように、排出ローラ62は、左右方向9に延びた軸64と、左右方向9に間隔を空けて軸64に取り付けられたローラ部58とを備えている。拍車63は、左右方向9に間隔を空けて複数設けられている。各拍車63は、ローラ部58と対向する位置に設けられている。排出ローラ62は、弾性部材(不図示)によって拍車63側へ付勢されている。
図2に示されるように、反転ローラ対45は、直線部34の下側に配置された反転ローラ67(本発明の第1ローラの一例)と、直線部34の上側に反転ローラ67と対向して配置された拍車68(本発明の第2ローラの一例)とを備えている。反転ローラ67は、左右方向9に延びた軸69と、左右方向9に間隔を空けて軸69を覆うように取り付けられたローラ部70とを備えている。拍車68は、左右方向9に間隔を空けて複数設けられている。各拍車63は、ローラ部70と対向する位置に設けられている。反転ローラ67は、弾性部材(不図示)によって拍車68側へ付勢されている。
搬送ローラ対59及び排出ローラ対44は、後述するように記録用紙12またはメディアトレイ110を挟持可能である。一方、反転ローラ対45は、後述するように記録用紙12を挟持可能であるがメディアトレイ110を挟持しない。また、搬送ローラ60、排出ローラ62、及び反転ローラ67は、搬送用モータ(不図示)から正転の駆動力が伝達されて正転し、逆転の駆動力が伝達されて逆転する。
搬送ローラ対59に記録用紙12またはメディアトレイ110が挟持されている状態において、搬送ローラ60が正転すると、当該記録用紙12またはメディアトレイ110は、搬送ローラ対59によって直線部34を、搬送向き15、つまり前向きに搬送され、搬送ローラ60が逆転すると、当該記録用紙12またはメディアトレイ110は、搬送ローラ対59によって直線部34を、搬送向き15と逆向き、つまり後向きに搬送される。
また、排出ローラ対44に記録用紙12またはメディアトレイ110が挟持されている状態において、排出ローラ62が正転すると、当該記録用紙12またはメディアトレイ110は、排出ローラ対44によって直線部34を、搬送向き15、つまり前向きに搬送されて、排出ローラ62が逆転すると、当該記録用紙12またはメディアトレイ110は、排出ローラ対44によって直線部34を、搬送向き15と逆向き、つまり後向きに搬送される。
また、反転ローラ対45に記録用紙12が挟持されている状態において、反転ローラ67が正転すると、当該記録用紙12は、反転ローラ対45によって直線部34を、搬送向き15、つまり前向き(本発明の排出向きの一例)に搬送されて直線部34から排出トレイ21に排出され、反転ローラ67が逆転すると、当該記録用紙12は、反転ローラ対45によって直線部34を、搬送向き15と逆向き、つまり後向きに搬送される。
[経路切換部41]
図2に示されるように、経路切換部41は、直線部34において、排出ローラ対44と反転ローラ対45との間に設けられている。経路切換部41は、補助ローラ47、48、フラップ49、及び軸87を備えている。経路切換部41は、第2上側ガイド部材35に取り付けられている。
フラップ49は、軸87から概ね搬送向き15に延出されており、軸87に回動可能に支持されている。拍車状の補助ローラ47、48が、フラップ49に回転可能に支持されている。フラップ49は、回動することによって、記録用紙12を記録部24から排出ローラ対44を経て反転ローラ対45へ案内可能な排出状態(図2に破線で示される状態)と、先端が排出状態よりも下方に位置しており、搬送向き15と逆向き、つまり後向きに搬送される記録用紙12を後述する分岐搬送路71へ案内可能な案内状態(図2に実線で示される状態)とに変化する。
フラップ49は、待機状態においては自重によって案内状態である。フラップ49は、記録部24によって表面に画像を記録されて直線部34を搬送される記録用紙12の先端と当接して持ち上げられると排出状態に回動する。正転される反転ローラ67によって搬送される記録用紙12の後端が補助ローラ47を通過すると、フラップ49は、自重によって排出状態から案内状態に回動する。これにより、搬送される記録用紙12の後端が、下側に移動する。その結果、搬送される記録用紙12の後端は、後述する分岐搬送路71へ向く。
この状態において、反転ローラ67の正転が継続されると、反転ローラ対45は、記録用紙12を搬送向き15(前向き)に搬送させて排出トレイ21に排出させる。一方、反転ローラ67が正転から逆転に切り替えられると、反転ローラ対45は、記録用紙12を、搬送向き15と逆向きに搬送させて分岐搬送路71に導く。なお、フラップ49は、上述した方法以外によって回動してもよい。例えば、フラップ49は、不図示のフラップ回動用モータから駆動力を付与されることによって回動してもよい。
[分岐搬送路71]
図2に示されるように、分岐搬送路71は、直線部34の下側且つ給送ローラ25の上側を通る経路である。分岐搬送路71は、排出ローラ対44よりも搬送向き15の下流側且つ反転ローラ対45よりも搬送向き15の上流側の第1接続位置101において直線部34から分岐され、搬送ローラ対59よりも搬送向き15の上流側の第2接続位置102において湾曲部33と合流する経路である。つまり、分岐搬送路71は、第1接続位置101及び第2接続位置102において搬送路65と接続されている。分岐搬送路71は、所定間隔を隔てて互いに対向する第3上側ガイド部材103と第2下側ガイド部材104とによって区画されている。
反転ローラ対45は、反転ローラ67が逆転することによって、記録用紙12を、分岐搬送路71において第1接続位置101から第2接続位置102の向きである搬送向き106(図2に二点鎖線で示される向き)に搬送する。
記録部24によって表面に画像を記録された記録用紙12は、上述したように、反転ローラ対45及び経路切換部41によって、分岐搬送路71へ導かれる。分岐搬送路71を搬送向き106に搬送された記録用紙12は、第2接続位置102を経て再び湾曲部33を搬送向き15に搬送される。その後、記録用紙12は、記録部24の下方へ到達する。このとき、記録用紙12の裏面が、記録部24と対向している。記録部24は、記録用紙12の裏面に画像記録を行う。その後、両面に画像記録された記録用紙12は、排出ローラ対44及び反転ローラ対45によって搬送向き15に搬送されて、凹部80に排出され、排出トレイ21に支持される。
[搬送ローラ対59、排出ローラ対44、及びプラテン42の状態変化]
図4及び図5に示されるように、プリンタ部11には、移動機構50が設けられている。移動機構50は、上述した支持部材55と、支持部材55の左右両端部から下方へ突出しており孔53が形成された凸部52と、左右方向9に延びており孔53に挿通されたシャフト54と、後述するレバー部90とを備えている。シャフト54の左右両端部は、レバー部90に設けられた開口91(図3参照)に挿通されている。
凸部52は、複数のピンチローラ61のうち左右両端側に設けられたピンチローラ61Aの軸51Aに設けられた凸部52Aと、左右方向9における中央側に設けられたピンチローラ61Bの軸51Bに設けられた凸部52Bとで構成されている。
ここで、ピンチローラ61Aは、左右方向9において、複合機10に挿入された状態のメディアトレイ110の中央部に設けられた記録メディアが支持される支持領域(不図示)の両側、つまり支持領域よりも右側及び左側に対応する位置に設けられている。一方、ピンチローラ61Bは、左右方向9において、支持領域に対応する位置に設けられている。
また、凸部52Aに設けられた孔53Aを構成する内周面の上端は、凸部52Bに設けられた孔53Bを構成する内周面の上端と同じ高さである。一方、孔53Aを構成する内周面の下端は、孔53Bを構成する内周面の下端よりも低い位置である。つまり、孔53Aは、孔53Bよりも大きい。
排出ローラ62の軸64の左右両端部は、レバー部90に設けられた開口92(図3参照)に挿通されている。また、反転ローラ67の軸69の左右両端部は、レバー部90に設けられた開口89(図3参照)に挿通されている。
後述するように、搬送ローラ対59は、シャフト54が上下動することによって、ピンチローラ61が搬送ローラ60と当接しており記録用紙12を挟持して直線部34を搬送させる第1状態(図5(A)参照)、及びピンチローラ61が搬送ローラ60から離間しておりメディアトレイ110を挟持して直線部34を搬送させる第2状態(図5(C)参照)に状態変化する。
また、排出ローラ対44は、排出ローラ62の軸64が上下動することによって、拍車63が排出ローラ62と当接しており記録用紙12を挟持して直線部34を搬送させる第1状態(図2に実線で示される状態)、及び排出ローラ62が拍車63から離間しておりメディアトレイ110を挟持して直線部34を搬送させる第2状態(図2に破線で示される状態)に状態変化する。
また、反転ローラ対45は、反転ローラ67の軸69が上下動することによって、拍車68が反転ローラ67と当接しており記録用紙12を挟持して直線部34を搬送させる第1状態(図2に実線で示される状態)、及び排出ローラ62が拍車68から離間しており且つメディアトレイ110の下面よりも下方に退避した第2状態(図2に破線で示される状態)に状態変化する。
なお、後述するように、シャフト54、軸64、及び軸69の上下動は、レバー部90が前後方向8に移動することによって実行される。
また、図3に示されるように、プラテン42の左右両側面には、外側に向けて突出した突起43が設けられている。突起43は、レバー部90に設けられた開口130に挿通されている。後述するように、プラテン42は、突起43が上下動することによって、記録部24との間に間隔D1を有した第1状態(図3(A)参照)、及び記録部24との間に間隔D1よりも大きな間隔D2を有した第2状態(図3(B)参照)に状態変化する。
記録用紙12が直線部34を搬送される際、プラテン42は第1状態に状態変化されて記録用紙12を支持する。一方、メディアトレイ110が直線部34を搬送される際、プラテン42は第2状態に状態変化される。これにより、プラテン42は、搬送されるメディアトレイ110よりも下方に位置する。その結果、搬送されるメディアトレイ110は、プラテン42と接触しない。
以上より、搬送ローラ対59、排出ローラ対44、反転ローラ対45、及びプラテン42は、記録用紙12に画像記録される際に第1状態に状態変化され、メディアトレイ110に支持された記録メディアに画像記録される際に第2状態に状態変化される。この状態変化は、ユーザが後述するレバー部90を移動させることによって行われる。
[メディアトレイ110]
上述したように、複合機10は、記録メディアの盤面上に画像を記録する機能を有する。記録メディアに画像が記録される場合、記録メディアは、メディアトレイ110に支持される。メディアトレイ110は、薄板形状の樹脂板であり、上面の左右方向9の中央部に上述した支持領域を有する。支持領域は、上面から下方に凹んだ円形の凹みである。支持領域の大きさ及び形状は、載置される記録メディアと略同一である。支持領域には、記録メディアが支持される。
図1(B)及び図2に示されるように、メディアトレイ110は、開口13から搬送向き15と逆向き、つまり矢印73の向き(本発明の進入向きの一例)である後向きに挿入されて、直線部34へ進入する。直線部34へ挿入されたメディアトレイ110は、第2状態の搬送ローラ対59及び排出ローラ対44に挟持されて、直線部34を前後方向8に搬送される。記録部24は、記録用紙12の場合と同様にして、直下を通過するメディアトレイ110に載置された記録メディアにインク滴を吐出する。これにより、記録メディアに画像が記録される。
[トレイガイド111]
図1、図7、及び図8に示されるトレイガイド111は、プリンタ部11に固定されており、メディアトレイ110を直線部34へ進入可能に支持するものである。
図1に示されるように、トレイガイド111は、凹部80の上側を形成する天面77(図1(B)参照)に取り付けられている。つまり、トレイガイド111は、凹部80の下部に挿入された給送トレイ20に支持された排出トレイ21の上方に設けられている。
また、トレイガイド111は、凹部80の2箇所(凹部80の右側及び左側)に取り付けられている。右側に取り付けられた凹部80と、左側に取り付けられた凹部80とは、左右方向9(本発明の幅方向の一例)において対向して配置されている。つまり、トレイガイド111は、矢印73の向きと直交する左右方向9に間隔を空けて一対に配置されている。
図2に示されるように、一対のトレイガイド111は、反転ローラ対45よりも前側に配置されている。
図7及び図8に示されるように、一対のトレイガイド111の各々は、凹部80の手前側に配置された前側ガイド112と、凹部80の奥側に配置された後側ガイド113とを備えている。
前側ガイド112は、上下方向7及び前後方向8に拡がった薄板形状の第1側部材114と、第1側部材114の上部から左右方向9の内側(対向するトレイガイド111側)へ延びた第1上部材115と、第1側部材114の下部から左右方向9の内側(対向するトレイガイド111側)へ延びた第1下部材116とを備えている。第1上部材115は、天面77(図1(B)参照)に取り付けられている。
後側ガイド113は、上下方向7及び前後方向8に拡がった薄板形状の第2側部材117と、第2側部材117の上部から左右方向9の内側(対向するトレイガイド111側)へ延びた第2上部材118と、第2側部材117の下部から左右方向9の内側(対向するトレイガイド111側)へ延びた第2下部材119とを備えている。第2上部材118は、天面77(図1(B)参照)に取り付けられている。
第1側部材114及び第2側部材117と、凹部80の左右両端を構成する内側壁81との間には、隙間が設けられている。この隙間には、後述するレバー部90が配置される。
第1下部材116及び第2下部材119の上面の上下方向7における位置は、第2状態のピンチローラ61及び排出ローラ62の上端の上下方向7における位置と略同一である。また、第1上部材115及び第2上部材118の下端の上下方向7における位置は、搬送ローラ60及び拍車63、68の下端の上下方向7における位置と略同一または当該位置よりも上方である。
また、第1上部材115と第1下部材116との間の上下方向7の間隔、及び第2上部材118と第2下部材119との間の上下方向7の間隔は、メディアトレイ110の厚み(メディアトレイ110が直線部34へ挿入される際の上下方向7の長さ)と略同一または当該厚みよりも大きい。以上より、メディアトレイ110は、第1上部材115と第1下部材116との間から後向きに挿入されて、直線部34へ進入可能である。
メディアトレイ110は、第1上部材115と第1下部材116との間から、第1下部材116の上面に支持されつつ、後向きに挿入される。ここで、第1上部材115の前側には、後方斜め下方に傾斜した傾斜面120が設けられているため、上記挿入を円滑に実行できる。メディアトレイ110が更に後向きに挿入されると、メディアトレイ110は、第2上部材118と第2下部材119との間に挿入される。これにより、メディアトレイ110は、第1下部材116の上面に加えて、第2下部材119の上面にも支持される。つまり、一対のトレイガイド111は、第1下部材116及び第2下部材119によって、メディアトレイ110の左右方向9の両端側を支持する。
その後、メディアトレイ110が更に後向きに挿入されると、メディアトレイ110は、第2状態の反転ローラ対45に挟持されることなく、直線部34へ進入する。つまり、一対のトレイガイド111は、メディアトレイ110を、反転ローラ対45の前側から直線部34に進入可能に支持するものである。
一対のトレイガイド111において、右側のトレイガイド111の左端と左側のトレイガイド111の右端との左右方向9の間隔は、予め設定された設定サイズ以上のサイズの記録用紙12と当接し、且つ当該設定サイズ未満のサイズの記録用紙12と当接しない長さである。例えば、本実施形態における複合機10は、レターサイズ、レターサイズよりも大きいB5サイズ、B5サイズよりも大きいA4サイズの3種類のサイズの記録用紙12に対して画像記録可能に構成されているが、一対のトレイガイド111の左右方向9の間隔は、B5サイズ、A4サイズの記録用紙12と当接し、且つレターサイズの記録用紙12と当接しない長さである。つまり、この場合の上述した設定サイズとは、B5サイズである。
これにより、B5サイズやA4サイズの記録用紙12よりも厚みがあることが多いレターサイズの記録用紙12は、排出される際に、トレイガイド111と当接しない。これにより、厚みのあるレターサイズの記録用紙12がトレイガイド111と当接して押し下げられることを防止できる。その結果、レターサイズの記録用紙12が押し下げられた状態で搬送されることによる搬送精度の低下を防止することができる。一方でB5サイズやA4サイズの記録用紙12は、トレイガイド111と当接したとしても、これらの記録用紙12は薄いため、上述したような搬送精度の低下は殆ど発生しない。
なお、設定サイズは、B5サイズに限らず、A4サイズであってもよい。この場合、一対のトレイガイド111は、A4サイズの記録用紙12と当接し、レターサイズ、B5サイズの記録用紙12と当接しない。また、複合機10は、上記3種類のサイズ以外の記録用紙12に対して画像記録可能に構成されていてもよい。例えば、複合機10は、レターサイズ、B5サイズ、A4サイズに加えて、A4サイズよりも大きいA3サイズの記録用紙12に対して画像記録可能に構成されていてもよい。この場合において、設定サイズがA4サイズであるとすると、一対のトレイガイド111は、A4サイズ、A3サイズの記録用紙12と当接し、レターサイズ、B5サイズの記録用紙12と当接しない。また、複合機10は、B5サイズ及びA4サイズの記録用紙12のみに対して画像記録可能に構成されていてもよい。この場合において、設定サイズがA4サイズであるとすると、一対のトレイガイド111は、A4サイズの記録用紙12と当接し、B5サイズの記録用紙12と当接しない。
図7に示されるように、トレイガイド111の後側ガイド113の第2側部材117の下面は、後端から前方斜め下方に傾斜しつつ前端まで延びた傾斜面121(本発明の傾斜部の一例)である。つまり、トレイガイド111の後端部には、前方斜め下方に傾斜した傾斜面121が設けられている。なお、本実施形態では、トレイガイド111は傾斜面121を備えているが、トレイガイド111は傾斜面121を備えていなくてもよい。
[レバー部90]
プリンタ部11には、図3に示されるレバー部90が前後方向8に移動可能に配置されている。レバー部90は、図3(A)に示される位置である第1位置と、第1位置よりも前側の位置であって図3(B)に示される位置である第2位置との間で移動可能である。
図6、図7、及び図8に示されるように、レバー部90は、ユーザによって把持される把持部93と、把持部93の左右両端部から後方へ延びており把持部93及び後述する案内部95を連結する一対の接続部94と、接続部94の後端部と連結された一対の案内部95とを備えている。
把持部93は、左右方向9に延びた部材である。把持部93の左右方向9の中央部には、開口96が設けられている。ユーザは、開口96に指を入れることによって把持部93を把持することができる。把持部93の左右方向9の中央部、つまり開口96が設けられている部分は、左右方向9において、一対のトレイガイド111の間に配置されている。本実施形態では、把持部93の左右方向9の中央部は、複合機10の左右方向9における中間に位置している。
接続部94は前後方向8に長い平板形状の部材である。一対の接続部94の一方は、凹部80の右端近傍且つ上端近傍を前後方向8に延びている。一対の接続部94の他方は、凹部80の左端近傍且つ上端近傍を前後方向8に延びている。接続部94は、左右方向9において、第1側部材114及び第2側部材117と、凹部80の内側壁81との間に配置されている。
接続部94と把持部93とは、前後方向8における前側ガイド112と後側ガイド113との間の隙間において接続されている。また、当該隙間は、レバー部90の第1位置と第2位置との間の移動距離よりも長い。これにより、レバー部90の移動によって、把持部93が前側ガイド112または後側ガイド113と接触することが防止される。
右側の接続部94の右側面及び左側の接続部94の左側面の各々には、左右方向9の外側へ突出した2つの突起が設けられている。当該突起は、接続部94の前側に設けられた前側突起122と、接続部94の後側に設けられた後側突起123である。
一方、図7に示されるように、凹部80の左右両端を構成する内側壁81における前側突起122と対向する位置には、前側長孔124が設けられており、内側壁81における後側突起123と対向する位置には、後側長孔125が設けられている。前側長孔124には、前側突起122が挿通されており、後側長孔125には、後側突起123が挿通されている。これにより、接続部94は、内側壁81によって支持される。
後側長孔125に挿通された後側突起123は、後述する案内部95の前端部に設けられたガイド溝138(図6参照)に挿入される。
前側長孔124は、接続部94が後側突起123を軸として回動する場合における前側突起122の回動経路に沿って概ね上下方向7に延びた第1長孔126と、第1長孔126の上端部から後方へ延びた第2長孔127とが連続して形成されている。後側長孔125は、後方から前方にかけて概ね斜め下向きに延びている。後側長孔125の前端部は、第1長孔126の下端部よりも高く、第1長孔126の上端部よりも低い位置である。また、第2長孔127と、後側長孔125の後端部とは、上下方向7において同位置である。
これにより、接続部94は、前側突起122が第2長孔127に沿って移動し、後側突起123が後側長孔125に沿って移動することによって、前後方向8に移動可能である。また、接続部94は、前側突起122が第1長孔126に沿って移動し、後側突起123が後側長孔125に沿って移動することによって、上下方向7に移動可能である。以上より、接続部94は、内側壁81によって、前後方向8及び上下方向7に移動可能に支持されている。
図3及び図6に示されるように、案内部95は、前後方向8において反転ローラ対45の前方から搬送ローラ対59の後方まで延びている。また、案内部95は、直線部34の右端よりも右側及び直線部34の左端よりも左側に、一対に配置されている。案内部95は、プリンタ部11のフレーム(不図示)に支持されている。
図6に示されるように、案内部95の前端部には、上下方向7に延びたガイド溝138が形成されている。ガイド溝138には、後側長孔125を貫通された後側突起123が挿入されている。これにより、接続部94が前後方向8に沿って移動するとき、後側突起123がガイド溝138の側面を押すことによって、案内部95も接続部94と一体に前後方向8に沿って移動する。また、後側突起123がガイド溝138に沿って移動することによって、接続部94が上下方向7に沿って移動するとき、案内部95は移動しない。つまり、接続部94は、前後方向8には案内部95と一体に移動するが、上下方向7には案内部95から独立して移動する。
図3に示されるように、案内部95には、開口91、92、89と、2つの開口130が設けられている。開口91は、前側が後側よりも高位置である傾斜面97と、傾斜面97の前端と繋がっており前後方向8に延びた水平面98Aと、傾斜面97の後端と繋がっており前後方向8に延びた水平面98Bとを備えている。
また、開口92は、前側が後側よりも高位置である傾斜面99と、傾斜面99の前端と繋がっており前後方向8に延びた水平面100Aと、傾斜面99の後端と繋がっており前後方向8に延びた水平面100Bとを備えている。
また、開口89は、前側が後側よりも高位置である傾斜面85と、傾斜面85の前端と繋がっており前後方向8に延びた水平面86Aと、傾斜面85の後端と繋がっており前後方向8に延びた水平面86Bとを備えている。ここで、水平面86Bは、水平面100Bより下方に位置している。
また、開口130は、前側が後側よりも高位置である傾斜面131と、傾斜面131の前端と繋がっており前後方向8に延びた水平面132Aと、傾斜面131の後端と繋がっており前後方向8に延びた水平面132Bとを備えている。
[レバー部90の移動]
以下、レバー部90の移動に伴う搬送ローラ対59の状態変化について説明する。図3(A)及び図5(A)に示されるように、レバー部90が第1位置に位置しているとき、シャフト54は、開口91における水平面98Aの下方に位置している。このとき、ピンチローラ61は、弾性部材66(図4参照)の付勢力によって搬送ローラ60に当接されている。つまり、搬送ローラ対59は第1状態である。
ユーザが、把持部93を把持して、レバー部90を前向きに引っ張ると、レバー部90は、第1位置から前方に移動する。これにより、シャフト54は傾斜面97と当接する。レバー部90が更に前方に移動すると、シャフト54は、傾斜面97に対して摺動しながら相対移動する。これにより、シャフト54は、傾斜面97に案内されて下方に移動する。
すると、シャフト54は、凸部52Bの孔53Bを構成する内周面の下端と当接し、当該下端を押す。これにより、凸部52Bと一体形成された支持部材55、及び当該支持部材55に支持されたピンチローラ61Bは、下方に移動する。その結果、ピンチローラ61Bは、搬送ローラ60から離間する。一方、この時点では、凸部52Aと一体形成された支持部材55、及び当該支持部材55に支持されたピンチローラ61Aは、移動しない。
ピンチローラ61Bが搬送ローラ60から離間した状態で、レバー部90が更に前方に移動すると、シャフト54は更に下方に移動する。そして、図5(B)に示されるように、シャフト54は、凸部52Aの孔53Aを構成する内周面の下端と当接し、当該下端を押す。これにより、凸部52Aと一体形成された支持部材55、及び当該支持部材55に支持されたピンチローラ61Aは、下方に移動する。その結果、図5(C)に示されるように、ピンチローラ61Aは、搬送ローラ60から離間する。つまり、搬送ローラ対59は第2状態となる。
その後、レバー部90が更に前方に移動すると、図3(B)に示されるように、シャフト54は、弾性部材66の付勢力によって水平面98Bと当接した状態となる。このとき、レバー部90は第2位置に到達している。すなわち、レバー部90が第2位置のとき、搬送ローラ対59は第2状態である。
図5(C)では、ピンチローラ61Bと搬送ローラ60との距離D3は、ピンチローラ61Aと搬送ローラ60との距離D4よりも大きい。これは、ピンチローラ61Bがピンチローラ61Aよりも先に下方への移動を開始したからである。つまり、移動機構50は、複数のピンチローラ61の一部であるピンチローラ61Aを、搬送ローラ60から離間する向きである下方に距離D4移動させ、複数のピンチローラ61のうちのピンチローラ61A以外のピンチローラ61Bを、下方に距離D3移動させることによって、搬送ローラ対59を第1状態から第2状態へ状態変化させる。
ここで、距離D3は、メディアトレイ110の厚み(複合機10に挿入された状態における上下方向7の長さ)よりも大きい。一方、距離D4は、メディアトレイ110の厚みよりも小さい。これにより、複合機10に挿入されたメディアトレイ110は、搬送ローラ60とピンチローラ61Aとによって挟持されるが、搬送ローラ60とピンチローラ61Bとによって挟持されない。
以下、レバー部90の移動に伴う排出ローラ対44の状態変化について説明する。図3(A)に示されるように、レバー部90が第1位置に位置しているとき、排出ローラ62の軸64は、開口92における水平面100Aの下方に位置している。このとき、排出ローラ62は、弾性部材(不図示)の付勢力によって拍車63に当接されている。つまり、排出ローラ対44は第1状態である。
ユーザが、把持部93を把持して、レバー部90を前向きに引っ張ると、レバー部90は、第1位置から前方に移動する。これにより、軸64は傾斜面99と当接する。レバー部90が更に前方に移動すると、軸64は、傾斜面99に対して摺動しながら相対移動する。これにより、軸64は、下方に移動する。つまり、排出ローラ62は、下方に移動する。その結果、排出ローラ62は、傾斜面99に案内されて下方に移動し、拍車63から離間する。つまり、排出ローラ対44は第2状態となる。
その後、レバー部90が更に前方に移動すると、図3(B)に示されるように、軸64は、弾性部材の付勢力によって水平面100Bと当接した状態となる。このとき、レバー部90は第2位置に到達している。すなわち、レバー部90が第2位置のとき、排出ローラ対44は第2状態である。
以下、レバー部90の移動に伴う反転ローラ対45の状態変化について説明する。図3(A)に示されるように、レバー部90が第1位置に位置しているとき、反転ローラ67の軸69は、開口89における水平面86Aの下方に位置している。このとき、反転ローラ67は、弾性部材(不図示)の付勢力によって拍車68に当接されている。つまり、反転ローラ対45は第1状態である。
ユーザが、把持部93を把持して、レバー部90を前向きに引っ張ると、レバー部90は、第1位置から前方に移動する。これにより、軸69は傾斜面85と当接する。レバー部90が更に前方に移動すると、軸69は、傾斜面85に対して摺動しながら相対移動する。これにより、軸69は、下方に移動する。つまり、反転ローラ67は、下方に移動する。その結果、反転ローラ67は、傾斜面85に案内されて下方に移動し、拍車68から離間する。つまり、反転ローラ対45は第2状態となる。
その後、レバー部90が更に前方に移動すると、図3(B)に示されるように、軸69は、弾性部材の付勢力によって水平面86Bと当接した状態となる。このとき、レバー部90は第2位置に到達している。すなわち、レバー部90が第2位置のとき、反転ローラ対45は第2状態である。なお、上述したように、水平面86Bは、水平面100Bよりも下方に位置するため、反転ローラ対45が第2状態のときの反転ローラ67は、排出ローラ62よりも下方に位置する。
以下、レバー部90の移動に伴うプラテン42の状態変化について説明する。図3(A)に示されるように、レバー部90が第1位置に位置しているとき、プラテン42の突起43は、開口130における水平面132Aの下方に位置している。このとき、プラテン42は、第1状態である。
ユーザが、把持部93を把持して、レバー部90を前向きに引っ張ると、レバー部90は、第1位置から前方に移動する。これにより、突起43は傾斜面131と当接する。レバー部90が更に前方に移動すると、突起43は、傾斜面131に対して摺動しながら相対移動する。これにより、突起43は、下方に移動する。つまり、プラテン42は、下方に移動し第2状態となる。
その後、レバー部90が更に前方に移動すると、図3(B)に示されるように、突起43は、弾性部材の付勢力によって水平面132Bと当接した状態となる。このとき、レバー部90は第2位置に到達している。すなわち、レバー部90が第2位置のとき、プラテン42は第2状態である。
レバー部90が第2位置から第1位置に移動するとき、上述と逆の動作が実行される。つまり、シャフト54が水平面98Bから離間して傾斜面97に対して摺動することによって、ピンチローラ61が上方へ移動して搬送ローラ60と当接する。また、軸64が水平面100Bから離間して傾斜面99に対して摺動することによって、排出ローラ62が上方へ移動して拍車63と当接する。また、軸69が水平面86Bから離間して傾斜面85に対して摺動することによって、反転ローラ67が上方へ移動して拍車68と当接する。また、突起43が水平面132Bから離間して傾斜面131に対して摺動することによって、プラテン42が上方へ移動する。
以上より、レバー部90は、搬送ローラ対59、排出ローラ対44、反転ローラ対45、及びプラテン42を第1状態とする第1位置、並びに搬送ローラ対59、排出ローラ対44、反転ローラ対45、及びプラテン42を第2状態とする第2位置の間で移動可能である。
次に、レバー部90の移動に伴う接続部94の状態変化について説明する。図7及び図9(A)に示されるように、レバー部90が第1位置に位置しているとき、接続部94の前側突起122は、第2長孔127の後端部に位置し、接続部94の後側突起123は、後側長孔125の後端部に位置している。また、このとき、各ローラ対59、44、45及びプラテン42は第1状態である。
また、レバー部90が第1位置に位置しているとき、把持部93は、左右方向9において一対のトレイガイド111の間に位置している。また、把持部93は、上下方向7において第1上部材115と第1下部材116との間に位置している。また、把持部93の前端は、複合機10から前方に突出している。つまり、把持部93の前端は、前側ガイド112よりも前方に位置している。また、把持部93の後端は、前側ガイド112よりも後方且つ後側ガイド113よりも前方に位置している。つまり、把持部93は、レバー部90が第1位置のときに、反転ローラ対45よりもトレイガイド111側、つまり前側であり且つメディアトレイ110がトレイガイド111に支持されたときにメディアトレイ110が存在する領域に位置している。
なお、把持部93の位置は、反転ローラ対45よりも前方であり且つ上記領域に位置するのであれば、上述した位置に限らない。例えば、把持部93は、複合機10から前方に突出していなくてもよいし、後側ガイド113よりも後方に設けられていてもよい。また、レバー部90は、必ずしも上記領域の全域に位置する必要はなく、上記領域の少なくとも一部に位置すればよい。
ユーザが、把持部93を把持して、レバー部90を前向きに引っ張ると、前側突起122が第2長孔127の後端部から前端部へ移動し、後側突起123が後側長孔125の後端部から前端部へ移動する。これにより、レバー部90は第1位置から図9(B)に示される第3位置へ移動する。なお、接続部94及び把持部93は一体に移動し、案内部95は接続部94に引っ張られることによって移動する。また、後側突起123は、後側長孔125の後端部から前端部へ移動する際に、ガイド溝138に沿って下方へ移動することによって案内部95に対して下方へ摺動する。
図9(B)に示される状態、つまりレバー部90が第3位置の状態では、接続部94の後側は、後側突起123が後側長孔125に沿って前方斜め下へ移動することによって、レバー部90が第1位置のときよりも下方に位置しているが、接続部94の前側は、前側突起122が第2長孔127に沿って前向きに移動しているが下向きに移動していないため、レバー部90が第1位置のときと同じ高さを維持している。よって、接続部94の前側に取り付けられている把持部93は、レバー部90が第1位置のときと同じ高さを維持している。したがって、把持部93は、レバー部90が第3位置のときに、メディアトレイ110がトレイガイド111に支持されたときにメディアトレイ110が存在する領域に位置している。
一方、レバー部90が第3位置の状態では、接続部94は、後側突起123が後側長孔125に沿って前方へ移動し、前側突起122が第2長孔127に沿って前方へ移動することによって、レバー部90が第1位置のときよりも前方に位置している。よって、接続部94に引っ張られて移動する案内部95も、レバー部90が第1位置のときよりも前方に位置している。したがって、各ローラ対59、44、45及びプラテン42は、レバー部90が第1位置から第3位置に移動することによって、第1状態から第2状態に状態変化する。
図9(B)に示される状態において、ユーザが把持部93を把持して下方へ移動させると、前側突起122が第1長孔126の上端部(第2長孔127の前端部)から下端部へ移動する。一方、後側突起123は移動しない。つまり、接続部94は後側突起123を中心として下方へ回動する。これにより、レバー部90は、第3位置から図10に示される第2位置へ移動する。つまり、レバー部90は、第1位置から第2位置へ移動する過程において、第3位置に位置する。
図10に示される状態、つまりレバー部90が第2位置の状態では、接続部94の後側は、後側突起123が移動していないため、レバー部90が第2位置のときと同じ高さを維持している。つまり、接続部94の後側は、レバー部90が第3位置のときと同様に、レバー部90が第1位置よりも下方に位置している。一方、レバー部90が第2位置の状態では、接続部94の前側は、前側突起122が第1長孔126に沿って下方へ移動することによって、レバー部90が第1位置及び第2位置のときよりも下方に位置している。よって、接続部94の前側に取り付けられている把持部93は、レバー部90が第1位置及び第2位置のときよりも下方に位置している。
つまり、把持部93は、レバー部90が第2位置のときに、メディアトレイ110がトレイガイド111に支持されたときにメディアトレイ110が存在する領域から下方に退避している。これにより、レバー部90が第2位置のとき、トレイガイド111はメディアトレイ110を支持することができる。
なお、レバー部は第2位置から第3位置へ移動する過程において前後方向8へ移動していないため、各ローラ対59、44、45及びプラテン42は第2状態を維持している。
第3位置のレバー部90は、トレイガイド111に支持されたメディアトレイ110と当接しない。つまり、第3位置のレバー部90は、メディアトレイ110を支持するものとしては機能しない。なお、メディアトレイ110を支持するものはあくまでもトレイガイド111であるという前提の上で、第3位置のレバー部90は、トレイガイド111に支持されたメディアトレイ110と当接してもよい。
また、以上説明したレバー部90の構成は、実施形態の一例である。つまり、レバー部90は、移動することによって、各ローラ対59、44、45及びプラテン42の状態を変化でき、且つ第1位置において上記領域に位置し第2位置において上記領域から退避可能であるならば、上述した構成に限らない。例えば、レバー部90に設けられた開口91、92、130の代わりに、案内部95から左右方向9に突出され、当該開口91、92、130と同方向に延び、且つ軸64、69やシャフト54や突起43を支持可能なリブを備えていてもよい。
[メディアトレイ110の動作]
以下、複合機10にメディアトレイ110が挿入され、メディアトレイ110に載置された記録メディアに画像が記録される手順が説明される。
通常、レバー部90は、複合機10が記録用紙12に対して画像を記録可能な状態を維持するために、第1位置に位置している。レバー部90が第1位置のとき、各ローラ対59、44、45、及びプラテン42は第1状態であるため、各ローラ対59、44、45は記録用紙12を搬送可能であり、プラテン42は、支持された記録用紙12が記録部24によって適切に画像記録されるための距離を維持している。
ユーザの操作によってレバー部90が第1位置から第3位置へ移動すると、各ローラ対59、44、45及びプラテン42が第1状態から第2状態へ状態変化する。つまり、各ローラ対59、44、45及びプラテン42は、図2に実線で示される位置から破線で示される位置へ移動する。これにより、搬送ローラ対59及び排出ローラ対44は、メディアトレイ110を挟持して直線部34に沿って搬送可能な状態となる。また、プラテン42及び反転ローラ67は下方へ移動して、直線部34を搬送されるメディアトレイ110と接触しない位置へ退避する。
一方、レバー部90が第3位置へ移動しても、把持部93は、メディアトレイ110がトレイガイド111に支持されたときにメディアトレイ110が存在する領域に存在しているため、トレイガイド111はメディアトレイ110を支持することはできない。
次に、ユーザの操作によってレバー部90が第3位置から第2位置へ移動すると、把持部93は上記領域から下方へ退避する。これにより、トレイガイド111はメディアトレイ110を支持することができる。
次に、ユーザは、記録メディアが載置されたメディアトレイ110をトレイガイド111に支持させつつ、直線部34へ向けて、後向きへ挿入する。メディアトレイ110は、少なくとも先端部(後端部)が排出ローラ対44に挟持される位置まで挿入される。なお、メディアトレイ110は、更に奥まで、例えば先端部が搬送ローラ対59に挟持される位置まで挿入されてもよい。
次に、ユーザは、複合機10の正面上部に設けられた操作パネル133(図1参照)を操作して、画像を記録する機能を選択する。これにより、搬送用モータから搬送ローラ60及び排出ローラ62へ逆転の駆動力が伝達される。すると、メディアトレイ110は、排出ローラ対44によって、直線部34を後向きへ搬送される。
メディアトレイ110は、支持された記録メディアが記録部24よりも後方となる位置まで搬送される。このとき、メディアトレイ110の先端部は、プリンタ部11の背面に設けられた開口134から突出している。なお、メディアトレイ110がプリンタ部11の背面から突出していなくてもよい。これは、プリンタ部11の記録部24よりも後方における前後方向8の長さを本実施形態よりも長く構成することによって実現することができる。
この状態において、搬送用モータから搬送ローラ60及び排出ローラ62へ伝達される駆動力が、逆転から正転へ切り換えられる。これにより、メディアトレイ110が前方に搬送され、メディアトレイ110に載置された記録メディアが記録部24の下方を通る。このとき、搬送される記録メディアに対して、記録ヘッド38からインク滴が吐出される。これにより、記録メディアの盤面上に画像が記録される。その後、メディアトレイ110は開口13から複合機10の外部に排出される。
なお、本実施形態では、記録部24は、メディアトレイ110が前方に搬送されている過程において記録メディアに画像を記録したが、メディアトレイ110が後方に搬送されている過程において記録メディアに画像を記録してもよい。
[実施形態の効果]
本実施形態によれば、反転ローラ対45が記録用紙12を搬送可能な第1状態であるときには、レバー部90は第1位置である。そして、第1位置のレバー部90は、メディアトレイ110がトレイガイド111に支持されたときにメディアトレイ110が存在する領域に位置している。よって、レバー部90が第1位置のとき、メディアトレイ110をトレイガイド111に支持することができない。したがって、反転ローラ対45が第1状態であるときに、つまり反転ローラ対45がメディアトレイ110を搬送可能な第2状態でないときに、メディアトレイ110が直線部34へ進入してしまうことを防止することができる。メディアトレイ110や反転ローラ対45に傷がつくことやメディアトレイ110と記録用紙12との衝突を防止することができる。
また、本実施形態によれば、レバー部90が一対のトレイガイド111の間に配置されているため、レバー部90がユーザに把持されて操作される際に、トレイガイド111が邪魔になることはない。
また、本実施形態によれば、レバー部90が一対のトレイガイド111の中間に配置されているため、レバー部90は左右方向9の中央において操作されることができる。よって、レバー部90の操作が容易となる。
また、本実施形態によれば、設定サイズ(B5サイズ)未満のサイズ(レターサイズ)の記録用紙12は、一対のトレイガイド111と当接しない。これにより、当該記録用紙12が一対のトレイガイド111との当接によって押し下げられることを防止できる。その結果、設定サイズ未満のサイズの記録用紙12について、押し下げられた状態のまま搬送されることによる搬送精度の低下を防止できる。
また、直線部34から排出される途中の記録用紙12がトレイガイド111と当接すると、記録用紙12はトレイガイド111によって押し下げられる。押し下げられた状態の記録用紙12が、反転ローラ対45の反転によって、分岐搬送路71へ搬送されると、搬送精度が悪化するおそれある。本実施形態では、設定サイズ未満の記録用紙12は一対のトレイガイド111と当接しないため、設定サイズ未満のサイズの記録用紙12について、上述したような搬送精度の悪化を防止することができる。
また、本実施形態によれば、レバー部90は第2位置において上記領域から下方に退避するため、排出トレイ21に積載される記録用紙12が存在する領域と、トレイガイド111が第2位置において存在する領域とを共有することができる。その結果、複合機10を小型化することができる。
また、本実施形態によれば、レバー部90が第1位置、第3位置、第2位置の順序で移動されることによって、反転ローラ対45を確実に第2状態としてから、トレイガイド111の状態をメディアトレイ110を支持可能な状態とすることができる。
また、本実施形態によれば、直線部34から排出された記録用紙12を、傾斜面121によって下方へ導くことができる。これにより、直線部34から排出された記録用紙12がトレイガイド111に引っかかることを防止することができる。
[変形例1]
上述の実施形態では、レバー部90は、第1位置から第2位置へ移動する過程において、第3位置を経由していたが、第3位置を経由せずに第1位置から第2位置へ移動してもよい。
[変形例2]
上述の実施形態では、レバー部90は、第2位置において、メディアトレイ110がトレイガイド111に支持されたときにメディアトレイ110が存在する領域から下方に退避した。しかし、レバー部90の退避は、下方に限らない。
例えば、レバー部90は、第2位置において、上記領域から上方に退避してもよい。詳述すると、図11及び図12に示されるように、凹部80の左右両端を構成する内側壁81における突起122、123と対向する位置には、長孔128、129が設けられている。長孔128、129は、後側が水平に延びており、前側が後側よりも上方において水平に延びており、後側と前側との間が傾斜している。
図12(A)に示されるように、レバー部90が第1位置のとき、前側突起122は長孔128の後端部に位置しており、後側突起123は長孔129の後端部に位置している。レバー部90が第1位置から第2位置へ移動する際、前側突起122は長孔128の後端部から前端部へ移動し、後側突起123は長孔129の後端部から前端部へ移動する(図12(B)参照)。ここで、長孔128、129の前端部は後端部よりも高位置であるため、第2位置のレバー部90は、第1位置のレバー部90よりも高位置となる。以上より、レバー部90が第2位置において上記領域から上方に退避する構成を実現することができる。
変形例2によれば、本構成によれば、レバー部90が第2位置に移動された状態においてトレイガイド111の上方に退避されるため、レバー部90をトレイガイド111の下方に退避させる必要がない。そのため、レバー部90の下方に空間を設けることができる。そして、直線部34に詰まった記録用紙12を、当該空間を介して容易に取り出すことができる。
[変形例3]
トレイガイド111は、後端部に設けられた軸を中心として回動可能に構成されていてもよい。例えば、図9(A)に示されるように、トレイガイド111の後側ガイド113は、後端部に設けられた軸135を中心として、図9(A)に実線で示された第4位置、及び図9(A)に破線で示されており、当該第4位置よりも前端部が上方である第5位置の間で回動可能であってもよい。
この場合、後側ガイド113は、待機状態において自重によって第4位置を維持している。なお、第4位置の後側ガイド113は、不図示のストッパによって、第4位置よりも下方への回動を規制されている。後側ガイド113は、直線部34から凹部80へ排出される記録用紙12に当接すると、当該記録用紙12に押されることによって上側へ、つまり第4位置から第5位置へ回動する。
変形例3によれば、直線部34から排出される記録用紙12と当接したトレイガイド111は第4位置から第5位置に回動するため、当該記録用紙12のトレイガイド111との当接による押し下げ量を小さくすることができる。その結果、記録用紙12が押し下げられた状態のまま搬送されることによる搬送精度の低下を低減できる。
[変形例4]
変形例3において、トレイガイド111(後側ガイド113)は、自重によって第4位置を維持していたが、トレイガイド111(後側ガイド113)は、コイルばねなどの付勢部材136によって下方(第4位置側)へ付勢されることによって、第4位置を維持してもよい。付勢部材136は、例えば、一端を後側ガイド113の上面と接続され、他端をプリンタ部11のフレーム137と接続されている。
変形例4によれば、後側ガイド113を下方へ付勢する付勢部材136によって、記録用紙12のサイズや剛性などの違いによる後側ガイド113の回動のばらつきを低減することができる。これにより、記録用紙12の押し下げ量のばらつきを低減することができる。その結果、記録用紙12が押し下げられた状態のまま搬送されることによる搬送精度の低下のばらつきを低減できる。
[変形例5]
上述の実施形態では、反転ローラ対45は、第2状態において、メディアトレイ110を挟持しなかったが、反転ローラ対45も、搬送ローラ対59及び排出ローラ対44と同様に第2状態においてメディアトレイ110を挟持してもよい。この場合、メディアトレイ110をトレイガイド111に支持させつつ、直線部34へ向けて、後向きへ挿入する際、メディアトレイ110は、少なくとも先端部(後端部)が反転ローラ対45に挟持される位置まで挿入されればよい。
[変形例6]
上述の実施形態では、搬送ローラ対59において、搬送ローラ60が上側でピンチローラ61が下側に設けられているが、ピンチローラ61が上側で搬送ローラ60が下側に設けられていてもよい。この場合、上側のピンチローラ61が移動することによって、搬送ローラ対59が状態変化する。また、本実施形態では、排出ローラ対44及び反転ローラ対45において、下側の排出ローラ62及び反転ローラ67が移動することによって、排出ローラ対44及び反転ローラ対45が状態変化するが、上側の拍車63、68が移動することによって、排出ローラ対44及び反転ローラ対45が状態変化してもよい。
[変形例7]
上述の実施形態では、複合機10は、記録用紙12(図2参照)の両面に画像を記録する機能を有していたが、複合機10は、記録用紙12の片面にのみ画像を記録するものであってもよい。この場合、複合機10は反転ローラ対45を有さないため、排出ローラ対44が本発明のローラ対の一例となり、排出ローラ62が本発明の第1ローラの一例となり、拍車63が本発明の第2ローラの一例となる。