以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。以下の説明においては、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、開口13が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8が定義され、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9が定義される。
[複合機10の全体構造]
図1に示されるように、複合機10(本発明の画像記録装置の一例)は、薄型の直方体に概ね形成されており、上部にフラットベッドスキャナであるスキャナ部6が設けられており、下部にプリンタ部11が設けられている。複合機10は、プリント機能、ファクシミリ機能、及びコピー機能などの各種の機能を有している。複合機10は、プリント機能として、インクジェット方式で記録用紙12(本発明のシートの一例、図2参照)の両面に画像を記録する機能を有している。なお、複合機10は、インクジェット方式以外の方式、例えば電子写真方式で記録用紙12に画像を記録するものであってもよい。
また、複合機10は、メディアトレイ110(図2,12参照、本発明の搬送媒体、ディスクトレイの一例)に支持されたCD−ROMやDVD−ROMなどの記録メディア(不図示、本発明のディスクメディアの一例)の盤面上に画像を記録する機能を有する。メディアトレイ110は、記録用紙12より厚く且つ剛性が高い。
図1に示されるように、プリンタ部11は、前面75に開口13が形成された筐体14を有している。筐体14は、その内部に、後述する第1搬送路65及び第2搬送路71(図2参照)を有している。筐体14は、例えば、プリンタ部11の各構成要素を、その内部空間に収容する外装カバーである。
プリンタ部11は、搬送装置を備えている。搬送装置は、筐体14と、フラップ49と、第2上側ガイド部材35と、コイルばね86と、可動部材90と、ローラ対59、44、45、30と、メディアトレイ110と、当接部材169とを備えている。
[給送トレイ20]
図1に示されるように、給送トレイ20が、開口13の下側を通じて筐体14に挿入可能であり且つ筐体14から脱抜可能である。図2に示されるように、給送トレイ20には、記録用紙12が支持される。給送トレイ20の上側には、排出トレイ21が支持されている。排出トレイ21の上面には、後述する記録部24によって画像が記録された記録用紙12が支持される。
[給送部16]
図2に示されるように、給送部16は、筐体14に挿入された状態の給送トレイ20の上方に設けられている。給送部16は、給送ローラ25、給送アーム26、駆動伝達機構27、及び支軸28を備えている。給送ローラ25は、給送アーム26の先端部で軸支されている。給送アーム26は、基端部に設けられた支軸28を中心として、矢印29の方向に回動可能である。これにより、給送ローラ25は、給送トレイ20に支持された記録用紙12に対して、当接及び離間が可能である。
給送ローラ25は、複数のギヤが噛合されてなる駆動伝達機構27によって、搬送モータ(不図示)の駆動力が伝達されて回転する。これにより、給送トレイ20に支持された記録用紙12のうち、給送ローラ25と当接している最も上側の記録用紙12が、第1搬送路65へ給送される。なお、給送ローラ25は、搬送モータとは別に設けられたモータから駆動力を付与されて回転してもよい。
[第1搬送路65]
図2に示されるように、筐体14内部において、給送トレイ20の後端部から第1搬送路65が延出されている。第1搬送路65は、湾曲部33と直線部34とを備える。湾曲部33は、給送トレイ20の後端部から上方へ向かって湾曲しつつ延びており、後述する搬送ローラ対59よりも後方において直線部34と接続されている。直線部34は、プリンタ部11の背面に設けられた開口134から後述する反転ローラ対45まで前後方向8に延びている。なお、開口134の有無は任意である。開口134が設けられていない場合、直線部34は、湾曲部33の上端から反転ローラ対45まで前後方向8に延びている。
湾曲部33は、所定間隔を隔てて互いに対向する外側ガイド部材18と内側ガイド部材19とによって画定されている。直線部34は、記録部24の配置位置において、所定間隔を隔てて互いに対向する記録部24とプラテン42とによって画定されている。また、直線部34は、記録部24より後方において、所定間隔を隔てて互いに対向する第1上側ガイド部材17と外側ガイド部材18、及び互いに対向する搬送ローラ60とピンチローラ61によって画定されている。また、直線部34は、記録部24より前方において、所定間隔を隔てて互いに対向する第2上側ガイド部材35とプラテン42、互いに対向する排出ローラ62と拍車ローラ63、互いに対向する第2上側ガイド部材35とフラップ49、及び互いに対向する反転ローラ67と拍車ローラ68によって画定されている。以上述べた互いに対向する2部材の各々は、第1搬送路65の一部を構成している。
給送トレイ20に支持された記録用紙12は、給送ローラ25によって湾曲部33へ給送され、湾曲部33から直線部34に亘って図2に一点鎖線の矢印で示される搬送向き15に沿って搬送される。メディアトレイ110は、後述するフラップ49より搬送向き15の下流側である開口13から、搬送向き15と逆向きに直線部34へ挿入される。メディアトレイ110は、直線部34に沿って前後方向8(搬送向き15及び当該搬送向き15と逆向きの逆搬送向き105)に搬送される。
[記録部24]
図2,3に示されるように、記録部24は、直線部34の上側に設けられている。直線部34の下側且つ記録部24と対向する位置には、第1搬送路65上の記録用紙12を支持するプラテン42が設けられている。
プラテン42は、前後方向8及び左右方向9の長さが上下方向7の長さよりも長い平板形状の部材である。図5〜7に示されるように、プラテン42は、その上面に、搬送向き15と直交する左右方向9に間隔を空けて複数配置され且つ搬送向き15に延設された支持リブ120を備える。複数の支持リブ120は、直線部34を搬送される記録用紙12を支持する。なお、プラテン42は、平板形状でなくてもよい。
記録部24は、キャリッジ40と記録ヘッド38とを備えている。図7に示されるように、キャリッジ40は、前後方向8に間隔を空けて配置された2つのガイドレール56,57によって左右方向9へ往復移動可能に支持されている。ガイドレール56,57は、左右両端部を一対のサイドフレーム53によって支持されている。一対のサイドフレーム53は、直線部34の右方及び左方に配置されており、底板54と当該底板54の外側から上方へ立設された側板55とで構成されている。
図2,3に示されるように、記録ヘッド38は、キャリッジ40に搭載されている。記録ヘッド38には、インクカートリッジ(不図示)からインクが供給される。記録ヘッド38の下面には、ノズル39が形成されている。キャリッジ40が左右方向9に移動しているときに、記録ヘッド38は、ノズル39からインク滴をプラテン42に向けて吐出する。これにより、プラテン42に支持された記録用紙12またはメディアトレイ110に支持された記録メディアに画像が記録される。
プラテン42は、前側及び後側において、サイドフレーム53に支持されている。図8に示されるように、プラテン42は、その前端部から左右方向9に間隔を空けて前方へ突出した複数の上側突出部31及び下側突出部32を有している。上側突出部31及び下側突出部32に挟まれるようにして、後述する排出ローラ62が配置される。プラテン42は、後述するように、上側突出部31または下側突出部32が軸62Aと当接することによって、排出ローラ62に支持されている。また、排出ローラ62は、後述するようにサイドフレーム53に支持されている。つまり、プラテン42の前側は、排出ローラ62を介してサイドフレーム53によって支持されている。プラテン42の後側の左右両端部の下面にはコイルばね72を介して当接片73が取り付けられている。当接片73は後述する可動部材90に支持されており、可動部材90はサイドフレーム53に支持されている。つまり、プラテン42の後端部は、可動部材90を介してサイドフレーム53によって支持されている。
[搬送ローラ対59、排出ローラ対44、及び反転ローラ対45]
図2,3に示されるように、直線部34における記録部24よりも搬送向き15の上流側には、搬送ローラ対59が配置されている。直線部34における記録部24よりも搬送向き15の下流側には、排出ローラ対44が配置されている。直線部34における排出ローラ対44よりも搬送向き15の下流側には、反転ローラ対45が配置されている。搬送ローラ対59、排出ローラ対44、及び反転ローラ対45は、何れも本発明のローラ対の一例である。
搬送ローラ対59は、直線部34の上側に配置された搬送ローラ60と、直線部34の下側に搬送ローラ60と対向して配置されたピンチローラ61とを備えている。排出ローラ対44は、直線部34の下側に配置された排出ローラ62と、直線部34の上側に排出ローラ62と対向して配置された拍車ローラ63とを備えている。反転ローラ対45は、直線部34の下側に配置された反転ローラ67と、直線部34の上側に反転ローラ67と対向して配置された拍車ローラ68とを備えている。
ピンチローラ61は、第3コイルばね66によって搬送ローラ60側に付勢されており、排出ローラ62は、第2コイルばね94によって拍車ローラ63側へ付勢されており、反転ローラ67は、第1コイルばね92によって拍車ローラ68側へ付勢されている。これにより、後述するように、各ローラ対59,44は、第1搬送路65上の記録用紙12またはメディアトレイ110を挟持可能であり、反転ローラ対45は、第1搬送路65上の記録用紙12を挟持可能である。
図3,4に示されるように、搬送ローラ対59において下側に配置されたピンチローラ61は、ローラホルダ64によって回転可能に支持されている。ローラホルダ64は、第3コイルばね66を介して後述する第3上側ガイド部材103に支持されている。第3上側ガイド部材103の上面には、傾斜面(不図示)によって繋がっている2段階の高さの面(不図示)が形成されている。そして、後述するように、第3上側ガイド部材103が前後方向8に移動することによって、ローラホルダ64を支持する面の高低が切り替わる。これにより、ローラホルダ64及びピンチローラ61は上下動する。
各ローラ対44,45において下側に配置された排出ローラ62及び反転ローラ67は、サイドフレーム53に形成された長孔(不図示)に挿入されることによって、サイドフレーム53によって上下動可能に支持されている。
ピンチローラ61、排出ローラ62、及び反転ローラ67が上下動することによって、各ローラ対59,44,45は、各ローラ対59,44,45を構成する対向するローラ同士が当接した当接状態と、対向するローラ同士が離間した離間状態とに状態変化する。各ローラ対59,44,45は、当接状態において、記録用紙12を挟持して搬送可能である。各ローラ対59,44は、離間状態において、メディアトレイ110を挟持して搬送可能である。一方、反転ローラ対45は、離間状態において、メディアトレイ110を挟持しない。これは、反転ローラ67が、当接状態から離間状態への状態変化の際に、ピンチローラ61及び排出ローラ62よりも多く下方へ移動するためである。なお、反転ローラ対45は、離間状態において、メディアトレイ110を挟持して搬送可能に構成されていてもよい。
搬送ローラ60、排出ローラ62、及び反転ローラ67は、搬送モータ(不図示)の正転駆動力が伝達されて正回転し、逆転駆動力が伝達されて逆回転する。搬送ローラ60、排出ローラ62、及び反転ローラ67は、本発明の第1ローラの一例である。ピンチローラ61は、搬送ローラ60の回転に伴って連れ回る。拍車ローラ63は、排出ローラ62の回転に伴って連れ回る。拍車ローラ68は、反転ローラ67の回転に伴って連れ回る。ピンチローラ61、拍車ローラ63、及び拍車ローラ68は、本発明の第2ローラの一例である。
記録用紙12またはメディアトレイ110が各ローラ対59,44,45に挟持された状態において、各ローラ60,62,67が正回転すると、挟持された記録用紙12またはメディアトレイ110は搬送向き15に搬送される。一方、各ローラ60,62,67が逆回転すると、挟持された記録用紙12またはメディアトレイ110は搬送向き15と逆向きの逆搬送向き105に搬送される。
[第2搬送路71]
図2に示されるように、第2搬送路71は、直線部34の下側且つ給送ローラ25の上側を通る経路である。第2搬送路71は、排出ローラ対44よりも搬送向き15の下流側且つ反転ローラ対45よりも搬送向き15の上流側の分岐位置101(本発明の接続位置の一例)において直線部34から分岐し、搬送ローラ対59よりも搬送向き15の上流側の合流位置102において湾曲部33と合流する経路である。第2搬送路71は、所定間隔を隔てて互いに対向する第3上側ガイド部材103と下側ガイド部材104とによって画定されている。
[再搬送ローラ対30]
図2に示されるように、再搬送ローラ対30は、第2搬送路71に配置されている。再搬送ローラ対30は、第2搬送路71の下側に配置された再搬送ローラ22と、第2搬送路71の上側に再搬送ローラ22と対向して配置された従動ローラ23を備えている。再搬送ローラ22は、再搬送アーム100の先端に回動可能に支持されており、搬送モータによって駆動される。従動ローラ23は、再搬送ローラ22の回転に伴って連れ回る。再搬送ローラ22は、搬送モータの正回転及び逆回転の何れの駆動力が伝達された場合であっても正回転する。記録用紙12が再搬送ローラ対30に挟持された状態において、再搬送ローラ22が正回転すると、挟持された記録用紙12は、第2搬送路71において分岐位置101から合流位置102へ向かう向きである反転搬送向き106(図2に二点鎖線で示される向き)に搬送される。
[フラップ49]
図2に示されるように、フラップ49は、直線部34における排出ローラ対44と反転ローラ対45との間に設けられている。より詳細には、フラップ49は、分岐位置101に設けられている。また、フラップ49は、上下方向7において第2上側ガイド部材35に対向して配置されている。
フラップ49は、第1状態、第2状態、及び第3状態の間を回動可能に構成されている。第1状態(図2に実線で示され且つ図3(A)に示される状態)は、第2上側ガイド部材35と当接して第1搬送路65を閉塞させた状態である。第2状態(図2に破線で示され且つ図3(B)に示される状態)は、第1状態よりも下方に位置しており、直線部34を搬送向き15に搬送される記録用紙12を通過させる状態である。第3状態(図2に一点鎖線で示され且つ図4に示される状態)は、第2状態よりも下方に位置しており、直線部34を搬送向き15及び逆搬送向き105に搬送されるメディアトレイ110を通過させる状態である。第3状態のフラップ49の回動先端は、第2状態のフラップ49の回動先端に対して第1状態のフラップ49の回動先端の反対側に位置している。第2状態及び第3状態のフラップ49は、第2上側ガイド部材35から離間した状態である。
図8に示されるように、フラップ49は、左右方向9の長さが上下方向7及び前後方向8の長さよりも短く、左右方向9に空間を隔てて配置された複数の板状部材46と、各板状部材46を接続する接続部材47と、左右方向9の両端の板状部材46から外側に突出した第1突出部48及び第2突出部50とを備えている。
フラップ49は、プラテン42に回動可能に支持されている。詳述すると、図8に示されるように、プラテン42に設けられた複数の下側突出部32のうち右端及び左端の下側突出部32は、フラップ49を挟むように配置されている。そして、当該右端及び左端の下側突出部32の内側には、凹部41が設けられている。この凹部41にフラップ49の第1突出部48が挿入される。これにより、フラップ49は、第1突出部48を中心として回動可能にプラテン42によって支持される。
図2に示されるように、フラップ49は、コイルばね86(本発明の付勢部材の一例)によって上方へ付勢されている。コイルばね86の一端はフラップ49に接続されている。コイルばね86の他端はプラテン42に接続されている。フラップ49がコイルばね86に付勢されることにより、板状部材46の前端部37(本発明のガイド部の一例)は、フラップ49の第1状態において、第2上側ガイド部材35に当接している。つまり、コイルばね86は、フラップ49を第1状態に向けて付勢している。
フラップ49は、プリンタ部11の他の構成要素から力を付与されていない状態においてはコイルばね86に付勢されることによって第1状態である(図3(A)参照)。記録部24によって表面に画像が記録されて、排出ローラ対44によって直線部34を搬送向き15に搬送される記録用紙12がフラップ49の板状部材46の上面51と当接すると、フラップ49の前端部37は、コイルばね86の付勢力に抗って押し下げられる。これにより、フラップ49は、第2状態に回動する(図3(B)参照)。ここで、板状部材46の上面51を結ぶ仮想面(本発明のガイド面の一例)は、当接した記録用紙12を案内する。つまり、上面51は、フラップ49が第2状態において、第1搬送路65の下側を画定している。なお、記録用紙12が搬送向き15に搬送される際、各ローラ60,62,67,22は正回転している。
その後、正回転する反転ローラ67によって搬送向き15に搬送される記録用紙12の後端がフラップ49を通過すると、フラップ49は、コイルばね86に付勢されることによって第2状態から第1状態に回動する。
この状態において、反転ローラ67の正回転が継続されると、反転ローラ対45は、記録用紙12を搬送向き15に搬送させて排出トレイ21に排出させる。一方、反転ローラ67が正回転から逆回転に切り替えられると、反転ローラ対45は、記録用紙12を、逆搬送向き105に搬送させる。このとき、第1状態のフラップ49は第1搬送路65を閉塞しているため、記録用紙12は、フラップ49の板状部材46の下面52に沿って第2搬送路71に案内される。すなわち、第1状態のフラップ49は、逆回転する反転ローラ対45によって逆搬送向き105に搬送された記録用紙12を第2搬送路71に案内する。記録用紙12は、搬送向き15における後端を先頭として、第2搬送路71に進入する。その結果、後述するように記録用紙12が第2搬送路71から再び第1搬送路65へ進入することにより、記録用紙12の表裏を反転させることができる。なお、反転ローラ67が正回転から逆回転に切り替えられると、搬送ローラ60及び排出ローラ62も正回転から逆回転に切り替えられるが、再搬送ローラ22は正回転を維持される。
第2搬送路71に案内された記録用紙12は、再搬送ローラ対30によって更に反転搬送向き106に搬送される。第2搬送路71を反転搬送向き106に搬送された記録用紙12は、合流位置102を経て再び湾曲部33を搬送向き15に搬送される。その後、記録用紙12は、搬送ローラ対59に到達する。ここで、各ローラ60,62,67が逆回転から正回転に切り替えられると(再搬送ローラ22は正回転を維持される。)、記録用紙12は、搬送ローラ対59によって搬送向き15に搬送されて、記録部24の下方へ到達する。このとき、記録用紙12の裏面が、記録部24と対向している。記録部24は、記録用紙12の裏面に画像記録を行う。その後、両面に画像記録された記録用紙12は、排出ローラ対44及び反転ローラ対45によって搬送向き15に搬送されて排出トレイ21に排出される。以上より、第2搬送路71は、第1搬送路65上の記録用紙12の表裏を反転させるために、当該記録用紙12が反転搬送向き106に搬送されて再び第1搬送路65に導かれる経路である。
フラップ49は、後述する可動部材90によって第3状態へ回動される。フラップ49の板状部材46の上面51は、第3状態において、逆搬送向き105に向かって第2上側ガイド部材35に近づく向きに傾斜している。換言すれば、フラップ49の上面51は、第1搬送路65の上下方向7の隙間が逆搬送向き105に向かって徐々に狭まるように、傾斜している。これにより、仮に、逆搬送向き105に搬送されるメディアトレイ110が上面51に当接しても、メディアトレイ110は上面51によって案内される。つまり、上面51は、フラップ49が第3状態において、第1搬送路65の下側の一部を画定している。
[第2上側ガイド部材35]
図2,3に示されるように、第2上側ガイド部材35(本発明の第1経路部材の一例)は、搬送向き15における記録ヘッド38及び反転ローラ対45の間に設けられている。第2上側ガイド部材35は、上下方向7において、プラテン42、排出ローラ62、及びフラップ49と対向して配置されている。第2上側ガイド部材35は、第1搬送路65の上側の一部を画定している。第2上側ガイド部材35は、拍車ローラ63を回転可能に支持している。プラテン42、排出ローラ62、及びフラップ49は、第1搬送路65の下側を画定している。
図9に示されるように、第2上側ガイド部材35は、前後方向8及び左右方向9の長さが上下方向7の長さよりも長い概ね板形状の基部121と、基部121の下面に設けられた複数のリブ122と、基部121の下面に設けられた当接部123とを備えている。
基部121は、ガイドレール57の下面58に取り付けられている。基部121のガイドレール57への取付方法は、嵌合やビス締めなどの公知の方法が採用され得る。
複数のリブ122は、搬送向き15と交差(本実施形態では直交)する左右方向9(本発明の幅方向の一例)において互いに間隔を空けて配置されている。各リブ122は、下方に向かって、つまり上下方向7におけるプラテン42側に突出している。また、各リブ122は、前後方向8に沿って、つまり搬送向き15に沿って延設されている。第1搬送路65を搬送される記録用紙12の上面は、複数のリブ122と当接することによってリブ122によって案内される。
複数のリブ122の左右方向9における位置は、フラップ49を構成する複数の板状部材46の間である。
当接部123は、基部121の下面から下方へ突出している。当接部123は、隣接する一対のリブ122の間に設けられている。
当接部123は、フラップ49の板状部材46の前端部37の上方に前端部37と対向して設けられている。これにより、フラップ49が第1状態のとき、板状部材46の前端部37が下方から当接部123と当接する。つまり、第1状態のフラップ49は、当接部123と当接する。ここで、当接部123は、リブ122の突出端122Aよりも上方に設けられている。よって、フラップ49が第1状態のとき、前端部37の各々は、左右方向9において隣接する一対のリブ122の間に進入する。
[可動部材90]
プリンタ部11は、図5,6に示されるように、搬送向き15に沿って前後方向8に移動可能な一対の可動部材90(本発明の作動部の一例)を備える。一対の可動部材90は、搬送向き15と交差する左右方向9に間隔を空けて配置されている。一対の可動部材90は、第1搬送路65よりも外側に配置されている。つまり、一対の可動部材90は、第1搬送路65に配置されているフラップ49を挟むように配置されている。各可動部材90は、一対のサイドフレーム53の底板54に支持されている。
可動部材90は、図3,5に示される第1位置と、図4,6に示される第2位置との間で移動可能である。第1位置と第2位置とは、前後方向8において異なる位置である。より詳細には、第1位置は第2位置より後方側の位置であり、第2位置は第1位置より前方側の位置である。
図10に示されるように、可動部材90は、概ね前後方向8に長い長板形状の部材である。なお、図10には、一対の可動部材90のうち、第1搬送路65の右方に配置された可動部材90が示されている。
可動部材90の前端部には、把持部91が形成されている。把持部91は、開口13を通じて複合機10の外部に露出されており、ユーザによって把持される。ユーザに把持された可動部材90が前後方向8にスライドされることによって、可動部材90は第1位置及び第2位置の間で移動する。なお、可動部材90の移動方向は前後方向8に限らず、例えば前後方向8に対して傾斜した方向に移動してもよい。
可動部材90は、第1コイルばね92、第1当接片93、第2コイルばね94、及び第2当接片95を備えている。また、可動部材90には、第1傾斜面96、第1水平面97、第2傾斜面98、第2水平面99、第3傾斜面76、第3水平面77、第4傾斜面78、前側水平面79、後側水平面80、及び凹部81が形成されている。各傾斜面96,98,76,78は、搬送向き15の下流側が上流側よりも上方となるように、搬送向き15に対して傾斜している。
第1当接片93は、可動部材90における把持部91よりも後方の上面に、第1コイルばね92を介して取り付けられている。第1傾斜面96は、第1当接片93の後方に第1当接片93の上面と連続して形成されている。第1水平面97は、第1傾斜面96の後方に第1傾斜面96と連続して形成されている。
第2当接片95は、可動部材90における第1水平面97の後方の上面に、第2コイルばね94を介して取り付けられている。第2傾斜面98は、第2当接片95の上面の後方に第2当接片95と連続して形成されている。第2水平面99は、第2傾斜面98の後方に第2傾斜面98と連続して形成されている。
第3傾斜面76及び第3水平面77は、可動部材90における第1水平面97及び第2当接片95の間に形成された凸部83に形成されている。詳細には、凸部83は、後ろ向きに屈曲しており、第3傾斜面76及び第3水平面77は、凸部83の屈曲した部分の下面に形成されている。第3水平面77は、第3傾斜面76の後方に第3傾斜面76と連続して形成されている。
前側水平面79は、第2水平面99の後方に形成されている。第4傾斜面78は、前側水平面79の後方に前側水平面79と連続して形成されている。後側水平面80は、第4傾斜面78の後方に第4傾斜面78と連続して形成されている。
凹部81は、後側水平面80の後方であって可動部材90の後端部に形成されている。凹部81には、第3上側ガイド部材103が連結されている。詳細には、第3上側ガイド部材103の左右両側面から外側に突出する突起(不図示)が、凹部81に挿入されている。
[可動部材90の移動]
以下、可動部材90の移動に伴う各ローラ61,62,67と、プラテン42と、フラップ49との状態変化について説明する。最初に、可動部材90が第1位置のとき(図3,5参照)の各ローラ61,62,67と、プラテン42と、フラップ49との状態を説明する。
図5に示されるように、可動部材90が第1位置のとき、第1当接片93が反転ローラ67の軸67Aを支持しており、第2当接片95が排出ローラ62の軸62Aを支持している。このとき、反転ローラ67は、第1コイルばね92によって上方へ付勢されている。また、排出ローラ62は、第2コイルばね94によって上方へ付勢されている。そして、付勢された各ローラ67,62の軸67A,62Aは、サイドフレーム53に形成された長孔の上端に押しつけられている。これにより、各ローラ67,62は、位置決めされている。また、このとき、図3に示されるように、各ローラ67,62は、拍車ローラ68,63と当接している。
また、可動部材90が第1位置のとき、ローラホルダ64は、第3上側ガイド部材103の下面に形成された2段階の高さの面のうち高い方の面に下方から当接されている。詳細には、第3上側ガイド部材103には、開口(不図示)が形成されている。そして、ローラホルダ64に形成されており下方に突出した突出部(不図示)が、当該開口に挿入されて2段階の高さの面に下方から当接されている。これにより、ローラホルダ64に支持されたピンチローラ61は、第3コイルばね66によって上方に付勢されて、搬送ローラ60と当接している。なお、第3上側ガイド部材103の下面には、下方に突出され且つ反転搬送向き106に沿って延出された複数のリブ(不図示)が形成されている。そして、当該リブは、ローラホルダ64に形成された突出部よりも下方まで突出されている。これにより、第2搬送路71を搬送される記録用紙12がローラホルダ64と当接することが防止される。
また、図5に示されるように、可動部材90が第1位置のとき、プラテン42の前側は、コイルばね72に付勢された下側突出部32が位置決めされた排出ローラ62に下方から当接することにより位置決めされる。また、可動部材90が第1位置のとき、前側水平面79がプラテン42の当接片73を支持している。このとき、プラテン42において、コイルばね72の後方に設けられた突起74(図8参照)が、圧縮された状態のコイルばね72に付勢されることによって、一対のサイドフレーム53の一方から他方へ向けて突出した突起82に押し当てられている(図7参照)。これにより、プラテン42の後側が位置決めされている。
また、可動部材90が第1位置のとき、フラップ49は第1状態である。第1状態のフラップ49は、上述したように、第2上側ガイド部材35の当接部123に当接している。図5に示されるように、第1状態のフラップ49の第2突出部50は、可動部材90の切り欠き部84に挿入されている。ここで、切り欠き部84は、図10に示されるように、可動部材90の上面と凸部83の屈曲部分とによって画定された空間である。このとき、第2突出部50は、切り欠き部84を画定している面(例えば第3傾斜面76や第3水平面77)と非当接状態である。つまり、第2突出部50を含むフラップ49は、第1状態において、可動部材90と非当接状態である。
次に、可動部材90が第1位置から第2位置へ移動するときの各ローラ61,62,67と、プラテン42と、フラップ49との動作が、図3〜6,10を参照しつつ説明される。
可動部材90が第1位置から第2位置へ向けて移動すると、第1当接片93は、反転ローラ67の軸67Aから離間する。これにより、第1コイルばね92による反転ローラ67の付勢が解除される。その後、第1傾斜面96が軸67Aと当接し、次いで第1水平面97が軸67Aと当接する。この過程において、軸67Aは、第1傾斜面96に沿って案内され、下方へ移動する。そして、可動部材90が第2位置に到達したとき、軸67Aは、第1水平面97に支持された状態となる。このとき、反転ローラ67は、拍車ローラ68から離間している。
また、可動部材90が第1位置から第2位置へ向けて移動すると、第2当接片95は、排出ローラ62の軸62Aから離間する。これにより、第2コイルばね94による排出ローラ62の付勢が解除される。その後、第2傾斜面98が軸62Aと当接し、次いで第2水平面99が軸62Aと当接する。この過程において、軸62Aは、第2傾斜面98に沿って案内され、下方へ移動する。そして、可動部材90が第2位置に到達したとき、軸62Aは、第2水平面99に支持された状態となる。このとき、排出ローラ62は、拍車ローラ63から離間している。
また、可動部材90が第1位置から第2位置へ向けて移動すると、可動部材90と連結された第3上側ガイド部材103も可動部材90と同様に前方へ向けて移動する。これにより、ローラホルダ64の状態が、第3上側ガイド部材103の下面に形成された2段階の高さの面のうち高い方の面に当接された状態から、低い方の面に当接された状態へ変化する。その結果、ピンチローラ61は下方へ移動する。そして、可動部材90が第2位置に到達したとき、ピンチローラ61は、搬送ローラ60から離間した状態となる。
また、可動部材90が第1位置から第2位置へ向けて移動することにより排出ローラ62が下方へ移動すると、プラテン42の下側突出部32が、排出ローラ62によって下方へ押される。これにより、プラテン42の前側が下方へ移動する。また、前側水平面79は、プラテン42の当接片73から離間する。その後、第4傾斜面78が当接片73と当接し、次いで後側水平面80が当接片73と当接する。この過程において、プラテン42の後側が下方へ移動し、コイルばね72が圧縮された状態から自然長へと戻る。これにより、プラテン42の突起74がサイドフレーム53の突起82から離間する。そして、可動部材90が第2位置に到達したとき、プラテン42と記録部24との上下方向7の距離は、可動部材90が第1位置のときよりも大きくなっている。なお、可動部材90が第2位置のとき、コイルばね72が自然長であるため、プラテン42は、上側突出部31が軸62Aに上方から当接することによって、排出ローラ62に支持されている。また、プラテン42は、当接片73が後側水平面80と当接することによって、可動部材90に支持されている。
また、可動部材90が第1位置から第2位置へ向けて移動することによりプラテン42が下方へ移動すると、凹部41に挿入された第1突出部48が凹部41の上側を画定する面によって下方へ押される。これにより、フラップ49は下方へ移動する。また、可動部材90が第1位置から第2位置へ向けて移動すると、第3傾斜面76がフラップ49の第2突出部50と当接し、次いで第3水平面77が第2突出部50と当接する。この過程において、第2突出部50は、第3傾斜面76に沿って案内され、下方へ移動する。これにより、フラップ49が、第1突出部48を軸として矢印85の向き(図2参照)に回動する。以上より、フラップ49は、可動部材90が第2位置へ向けて移動すると、下方へ移動すると共に矢印85の向きに回動する。これにより、フラップ49は、第1状態から第3状態に変化する。
つまり、第2突出部50は、第1位置から第2位置に移動する可動部材90と当接することによってフラップ49を第3状態に回動させる。換言すると、第3傾斜面76は、可動部材90が第1位置から第2位置に移動する過程で第2突出部50と当接してフラップ49を第3状態に回動させる。可動部材90が第2位置であるとき、第1突出部48は、凹部41の上側を画定する面に上方から当接されることによって保持される。また、可動部材90が第2位置であるとき、第2突出部50は、第3水平面77に上方から当接されることによって保持される。以上より、可動部材90が第2位置であるとき、フラップ49は、第3状態に保持されている。
以上より、可動部材90は、フラップ49を第3状態へ変化させるとともに各ローラ対59、44、45を当接状態から離間状態に変化させる。
可動部材90が第2位置から第1位置に移動するとき、上述と逆の動作が実行される。つまり、反転ローラ67は、軸67Aが第1傾斜面96に沿って案内されることで上方へ移動して、拍車ローラ68と当接する。また、排出ローラ62は、軸62Aが第2傾斜面98に沿って案内されることで上方へ移動して、拍車ローラ63と当接する。また、ローラホルダ64は、第3上側ガイド部材103が後方へ向けて移動することで、低い方の面によって支持された状態から高い方の面によって支持された状態へ変化する。これにより、ローラホルダ64に支持されたピンチローラ61は、上方へ移動して搬送ローラ60と当接する。
また、プラテン42は、排出ローラ62が上方へ移動し且つ当接片73が第4傾斜面78に沿って案内されることで上方へ移動する。これにより、プラテン42と記録部24との上下方向7の距離が短くなる。また、フラップ49は、プラテン42と共に上方へ移動すると共に、第2突出部50が第3傾斜面76に沿って案内されることで矢印85と逆向きに回動する。これにより、フラップ49は、第3状態から第1状態へ変化する。
[コルゲート機構]
プリンタ部11には、コルゲート機構が設けられている。コルゲート機構は、当接部材169(図2,3,7参照、本発明の当接部の一例)と支持リブ120(図5〜7参照)とを備えている。
当接部材169は、第1搬送路65の一方側(本実施形態では上側)に設けられており、第1搬送路65を搬送される記録用紙12に上方から当接する部材である。図7に示されるように、当接部材169は、左右方向9において、間隔を空けて複数配置されている。なお、当接部材169は1つでもよい。また、当接部材169は、左右方向9において、フラップ49の板状部材46と異なる位置に設けられている。
当接部材169は、基端部172と、基端部172から下方且つ前方に湾曲しつつ延びた延設部174とを備えている。
基端部172は、搬送ローラ対59の後方に位置しており、ガイドレール56の下面に取り付けられている。基端部172のガイドレール56への取付方法は、嵌合やビス締めなどの公知の方法が採用され得る。
延設部174は、搬送向き15において、ノズル39と搬送ローラ対59の挟持位置との間まで延設されている。また、延設部174は、搬送向き15において、支持リブ120の搬送向き15の上流端よりも下流側まで延びている。
図11に示されるように、延設部174の下面には、前後方向8に延びたリブ176が形成されている。リブ176は、直線部34を搬送される記録用紙12の上面と当接する。
支持リブ120は、左右方向9において、隣り合う当接部材169の間に配置されている。
図11に示されるように、記録用紙12は、上方からリブ176に当接され且つ下方から支持リブ120に当接されることによって、左右方向9に連続する波形状にされる。以上より、当接部材169及び支持リブ120は、互いに協同して第1搬送路65を搬送される記録用紙12に波形状を付与する。
[メディアトレイ110]
上述したように、複合機10は、記録メディアの盤面上に画像を記録する機能を有する。記録メディアに画像が記録される場合、記録メディアは、メディアトレイ110に支持される。図2に示されるように、メディアトレイ110は、開口13から矢印173の向きである後向き(本発明の挿入向きの一例)に、複合機10の内部における第1搬送路65の直線部34へ挿入される。つまり、メディアトレイ110は、フラップ49よりも搬送向き15の下流側から搬送向き15と逆向きに挿入される。直線部34へ挿入されたメディアトレイ110は、離間状態の搬送ローラ対59及び排出ローラ対44に挟持されて、直線部34を前後方向8に搬送される。記録部24は、記録用紙12の場合と同様にして、直下を通過するメディアトレイ110に載置された記録メディアにインク滴を吐出する。これにより、記録メディアに画像が記録される。
図12に示されるように、メディアトレイ110は、薄板形状の樹脂板である。メディアトレイ110は、上面116に設けられた支持部118と、下面117に設けられた第1傾斜面115(本発明の第1傾斜部の一例)と、上面116に設けられた第2傾斜面114(本発明の第2傾斜部の一例)とを備えている。
支持部118は、円形状の凹みである。当該凹みに記録メディアが支持される。当該凹みの大きさ及び形状は、載置される記録メディアと略同一である。
第1傾斜面115は、左右方向9においてフラップ49の板状部材46と対応する位置に設けられている。第1傾斜面115は、下面117における矢印173の向きの下流端部に設けられている。第1傾斜面115は、矢印173の向きとは逆向き(搬送向き15)に向かって、第1搬送路65におけるフラップ49が設けられている側である下方に傾斜する面である。
第2傾斜面114は、左右方向9において当接部材169と対応する位置に設けられている。つまり、第2傾斜面114は、左右方向9において第1傾斜面115と異なる位置に設けられている。第2傾斜面114は、下面117における矢印173の向きの下流端部に設けられている。但し、第2傾斜面114の先端114Aは、第1傾斜面115の先端115Aより矢印173の向きの上流側に設けられている。第2傾斜面114は、矢印173の向きとは逆向き(搬送向き15)に向かって、第1搬送路65における当接部材169が設けられている側である上方に傾斜する面である。
[メディアトレイ110の動作]
以下、複合機10にメディアトレイ110が挿入され、メディアトレイ110に載置された記録メディアに画像が記録される手順が説明される。ユーザの操作によって可動部材90が第1位置から第2位置へ移動すると、搬送ローラ対59、排出ローラ対44、反転ローラ対45が当接状態から離間状態へ状態変化する。これにより、搬送ローラ対59及び排出ローラ対44は、メディアトレイ110を挟持して直線部34に沿って搬送可能な状態となる。また、プラテン42は、下方へ移動して、直線部34を搬送されるメディアトレイ110と接触しない位置へ退避する。また、フラップ49は、第1状態から第3状態へ状態変化する。
次に、ユーザは、記録メディアが載置されたメディアトレイ110を、第1傾斜面115及び第2傾斜面114が設けられている側を先端として、開口13を通じてプリンタ部11内部の直線部34へ向けて、後向きへ挿入する。この際、メディアトレイ110は、少なくとも先端が排出ローラ対44に挟持される位置まで挿入される。
次に、ユーザは、複合機10の正面上部に設けられた操作パネル133(図1参照)を操作して、画像を記録する機能を選択する。これにより、搬送モータから搬送ローラ60及び排出ローラ62へ逆転の駆動力が伝達される。すると、メディアトレイ110は、排出ローラ対44によって、直線部34を後向きへ搬送される。
通常、図13(A)に示されるように、後向きへ搬送されるメディアトレイ110は、フラップ49よりも上方を通過するため、フラップ49と当接しない。
しかし、フラップ49の寸法公差及び取付誤差や、メディアトレイ110の挿入向きのずれ(前後方向8に挿入されるべきところを前後方向8に対して傾斜する向きに挿入された場合)などによって、メディアトレイ110がフラップ49と当接するおそれがある。
仮に、メディアトレイ110がフラップ49と当接する場合、図13(B)に示されるように、メディアトレイ110はフラップ49の板状部材46の上面51と当接する。ここで、上述したように、フラップ49が第3状態のときの上面51は、逆搬送向き105(矢印173の向き)に向かって第2上側ガイド部材35に近づく向きに傾斜している。よって、仮に、メディアトレイ110が上面51と当接しても、メディアトレイ110は上面51に沿って円滑に案内される。
また、本実施形態では、仮に、メディアトレイ110がフラップ49と当接する場合、第1傾斜面115がフラップ49の板状部材46の上面51と当接する。ここで、上述したように、第1傾斜面115は、メディアトレイ110の挿入向きに向かって上方に傾斜している。これにより、メディアトレイ110は、第1傾斜面115が形成されていない場合よりも、上面51によってより円滑に案内される。
その結果、図13(C)に示されるように、メディアトレイ110は、フラップ49に乗り上げて、フラップ49よりも矢印173の向きの下流側へ搬送可能な状態となる。よって、その後、第2傾斜面114がフラップ49の位置に到達しても、第2傾斜面114がフラップ49と当接して引っかかる可能性は低い。
メディアトレイ110が図13(C)の状態から更に矢印173の向きの下流側へ搬送されると、第1傾斜面115が当接部材169の配置位置へ到達するが、当接部材169と左右方向9に異なる位置にある第1傾斜面115は、延設部174を通過する。
その後、第2傾斜面114が当接部材169と当接する(図13(D)参照)。この状態において、メディアトレイ110が更に矢印173の向きに搬送されると、当接部材169は、第2傾斜面114に案内されることによって、上方へ撓む。つまり、第2傾斜面114は、当接部材169と当接して当接部材169を移動させる。これにより、当接部材169は、メディアトレイ110に乗り上げる。その結果、メディアトレイ110は、当接部材169よりも矢印173の向きの下流側へ搬送可能な状態となる(図13(E)参照)。
最終的に、メディアトレイ110は、図13(E)に示される状態から、記録メディアが記録部24よりも後方となる位置まで搬送される。なお、当該位置において、メディアトレイ110の先端は、装置背面に設けられた開口134(図2参照)から突出している。
この状態において、搬送モータから搬送ローラ60及び排出ローラ62へ伝達される駆動力が、逆転から正転へ切り換えられる。これにより、メディアトレイ110が前方に搬送され、メディアトレイ110に載置された記録メディアが記録部24の下方を通る。このとき、搬送される記録メディアに対して、記録ヘッド38からインク滴が吐出される。これにより、記録メディアの盤面上に画像が記録される。その後、メディアトレイ110は開口13から複合機10の外部に排出される。
[実施形態の効果]
本実施形態によれば、仮に、フラップ49より搬送向き15の下流側から挿入されたメディアトレイ110がフラップ49と当接する場合、メディアトレイ110は搬送向き15の下流側からフラップ49の上面51に当接する。ここで、上面51は、搬送向き15と逆向きに向かって第1搬送路65を狭める向きに傾斜している。よって、上面51に当接したメディアトレイ110は上面51に沿って案内される。そのため、メディアトレイ110がフラップ49に引っかかる可能性を低くすることができる。
また、本実施形態によれば、フラップ49が第1状態のときに、フラップ49の前端部37が一対のリブ122の間に進入しているため、第1搬送路65が完全に閉塞されている。このため、第2搬送路71へ搬送されるべき記録用紙12がフラップ49を乗り越えてしまい第1搬送路65に進入することを有効に抑制できる。しかし、本実施形態によれば、フラップ49の前端部37が空間を隔てて複数に分かれているため、フラップ49の前端部37の強度が弱くなってしまう。そのため、仮に、メディアトレイ110がフラップ49に引っかかった場合、フラップ49が破損するおそれがある。しかし、フラップ49は第3状態において傾斜した上面51を有しているため、メディアトレイ110がフラップ49に引っかかる可能性は低い。そのため、上述したようなフラップ49の破損の可能性を低く抑えることができる。
また、本実施形態によれば、フラップ49がコイルばね86によって第1状態に向けて付勢されているため、第2搬送路71に搬送されるべき記録用紙12がフラップ49を乗り越えてしまい第2搬送路71でなく第1搬送路65に進入することを有効に抑制できる。
また、本実施形態によれば、可動部材90がローラ対59、44、45を離間状態に変化させることによって、第1搬送路65の状態をメディアトレイ110が搬送し易い状態にすることができる。
また、本実施形態によれば、第1傾斜面115が上面51に当接することによって、メディアトレイ110は上面51に沿って更に案内されやすくなる。そのため、メディアトレイ110がフラップ49に引っかかる可能性を低くすることができる。
また、仮に、第2傾斜面114が第1傾斜面115より矢印173の向きの下流側に設けられていると、第2傾斜面114がフラップ49と当接する可能性が高くなる。ここで、本実施形態のように、第2傾斜面114の傾斜向きが第1傾斜面115の傾斜向きと逆向きである場合、メディアトレイ110がフラップ49に引っかかる可能性が高くなる。そこで、本実施形態では、第2傾斜面114が第1傾斜面115より矢印173の向きの上流側に設けられている。これにより、第1傾斜面115が第2傾斜面114より先にフラップ49と当接して上面51に沿って案内されるため、メディアトレイ110がフラップ49に引っかかる可能性を低くすることができる。
[変形例]
上述の実施形態では、本発明の当接部に相当するものとして、当接部材169が挙げられていたが、本発明の当接部は、第1搬送路65を搬送されるメディアトレイ110と当接するおそれがある部材であれば、当接部材169に限らない。例えば、排出ローラ対44の拍車ローラ63が本発明の当接部であってもよい。
上述の実施形態では、ローラ対59、44、45、プラテン42、及びフラップ49の状態変化は、可動部材90の移動によって実行されていたが、可動部材90の移動以外によって実行されてもよい。例えば、ローラ対59、44、45、プラテン42、及びフラップ49の各々は、ギヤなどで構成された駆動力伝達機構によってモータ(不図示)と連結されており、当該モータ(不図示)からの駆動力の付与によって状態変化されてもよい。この場合、上記モータ及び駆動力伝達機構は、本発明の作動部の一例である。
上述の実施形態では、図2に一点鎖線で示されるように、フラップ49が第3状態において、フラップ49の上面51の全体が、矢印173の向きに向かって第2上側ガイド部材35に近づく向きに傾斜していた。しかし、フラップ49が第3状態において、フラップ49の上面51の一部が、矢印173の向きに向かって第2上側ガイド部材35に近づく向きに傾斜していてもよい。例えば、フラップ49が第3状態において、フラップ49の上面51は、フラップ49の先端側において傾斜した第1面と、フラップ49の基端側において第1搬送路65の直線部34と平行な第2面とで構成されていてもよい。
フラップ49は、プラテン42以外、例えばサイドフレーム53によって回動及び上下動可能に支持されていてもよい。この場合、フラップ49は、下方へ移動するプラテン42や排出ローラ62などに押されることによって下方へ移動可能または回動可能に構成されればよい。
フラップ49を上方へ付勢する部材は、コイルばね86に限らない。例えば、フラップ49において第1突出部48よりも後側を前側よりも重くすることによって、フラップ49の第1突出部48よりも前側を上方に付勢してもよい。
第2搬送路71は、記録部24と対向する記録用紙12の面を表裏逆とすることを目的とする経路である。そのため、当該目的が達成されるのであれば、第2搬送路71は、上述の実施形態で説明された構成、具体的には図2に示された構成に限らない。
例えば、第2搬送路71は、直線部34の下側ではなく直線部34の上側を通ってもよい。この場合、フラップ49の構成は上述の実施形態と上下対称となる。つまり、フラップ49は、第1搬送路65の上側に設けられ、第1状態において第1搬送路65の下側を画定する部材と当接し、上方へ回動することによって第1状態から第2状態や第3状態へ変化する。
また、可動部材90の移動によって、第1搬送路65を画定する一対の経路部材のうち、上側を画定する経路部材が上下動してもよいし、第1搬送路65の下側を画定する経路部材及び上側を画定する経路部材の双方が上下動してもよい。
また、上述の実施形態では、分岐位置101が記録部24よりも搬送向き15の下流側で、合流位置102が記録部24よりも搬送向き15の上流側であったが、分岐位置101及び合流位置102の位置は、上述のような位置に限らない。
例えば、図14に示されるような構成であってもよい。図14の構成では、分岐位置101及び合流位置102共に、第1搬送路65における記録部24よりも搬送向き15の上流側に位置している。また、合流位置102が第1搬送路65における分岐位置101よりも搬送向き15の上流側に位置している。また、分岐位置101においてフラップ49がガイド部材43によって回動可能に支持されている。また、第1搬送路65におけるフラップ49と記録部24との間に、第1ローラ対107が配置されている。また、第1搬送路65におけるフラップ49より搬送向き15の上流側に、第2ローラ対108が配置されている。また、第2搬送路71に、第3ローラ対109が配置されている。第2ローラ対108は、中間ローラ111と第1従動ローラ112とで構成されている。第3ローラ対109は、第2ローラ対108を構成するものと共通の中間ローラ111と第2従動ローラ113とで構成されている。
上述の実施形態において、搬送装置は、プリンタ部11に設けられていたが、搬送装置を備える装置はプリンタ部11に限らない。例えば、搬送装置は、スキャナ部6に設けられていてもよい。この場合、搬送装置は、スキャナ部6によって画像を読み取られる原稿用紙をスキャナ部6内部へ搬送するものである。