JP2015066504A - 電子部品用印刷パターンの形成方法、電子部品の製造方法、及び電子部品 - Google Patents

電子部品用印刷パターンの形成方法、電子部品の製造方法、及び電子部品 Download PDF

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Abstract

【課題】乾燥を抑制するマスクを用いることなく、効果的にコーヒーステイン現象の発生を抑制することができる電子部品用印刷パターンの形成方法、電子部品の製造方法、及び電子部品を提供する。【解決手段】本発明に係る電子部品用印刷パターンの形成方法は、揮発溶剤を含む第1のインクを被印刷物20の実用領域4内に塗布することにより実用塗膜3を形成する。揮発溶剤を含む第2のインクを、実用塗膜3の最外端3aより外側に、又は最外端3aを囲むように塗布することにより外部ダミー塗膜5aを形成する。実用塗膜3及び外部ダミー塗膜5aを同時に乾燥する。【選択図】図3

Description

本発明は、電子部品用印刷パターンの形成方法、電子部品の製造方法、及び電子部品に関し、特に導電性インクの乾燥時にコーヒーステイン現象の発生を抑制することができる電子部品用印刷パターンの形成方法、電子部品の製造方法、及び電子部品に関する。
従来、複数のセラミック層と複数の内部電極層とを積層したセラミック積層体から切り出した複数の積層チップを用いて電子部品を製造する場合、導電性インクを所望のパターンで塗布して乾燥させることにより、内部電極層を形成する。しかし、導電性インクの乾燥時には、パターンの中央部と比較して周縁部(端部)のインクの乾燥が早く進むため、周縁部と中央部とで濃度差が生じ、未乾燥である導電性インクが周縁部側へ移動することにより周縁部が盛り上がる、いわゆるコーヒーステイン現象が発生する。
コーヒーステイン現象が発生した場合、内部電極層の膜厚が均一化されず、周縁部が盛り上がることにより内部電極層の接触不良が発生する等、電子部品の品質低下につながりやすい。したがって、内部電極層の膜厚を均一化するべく多くの工夫がなされている。
例えば特許文献1に開示されている膜形成方法では、液膜の周縁部で溶媒の蒸発量を低減させる枠状のマスク部材を用いている。枠状のマスク部材で液膜の周縁部を覆うことにより、乾燥時に液膜の周縁部が加熱されにくく、溶媒の蒸発量が低減し、コーヒーステイン現象の発生が抑制されるので、膜厚を均一化することができる。
特開2005−161245号公報
しかし、特許文献1に開示されている膜形成方法では、マスク部材(マスク)を適切な高さに設置する必要がある。マスクが印刷領域に近すぎるとマスクからの輻射熱で乾燥が促進され、一方離れすぎるとマスクによる乾燥抑制効果(溶媒の蒸発を抑制する効果)が失われてしまう。また、印刷領域のサイズはそれぞれ相違することが多く、都度、適切なサイズのマスクに交換して適切な高さに設置する必要がある。したがって、実際に用いるには手間がかかりすぎるという問題点があった。
また、印刷された導電性インクの溶剤が揮発することで、マスクの裏面が結露する可能性もある。この場合、結露した溶剤が滴下する、あるいはマスクの裏面の汚れを印刷面に誘導してしまうことにより、印刷品質を低下させるおそれがあるという問題点もあった。さらに、ランプ光以外の乾燥手段を含めて複数の乾燥手段を併用した場合には、乾燥抑制効果は低下する。例えばランプ光による乾燥についてはマスクによる乾燥抑制効果を奏することができるが、ステージの加熱による乾燥についてはマスクでは抑制することができないからである。したがって、ランプ光による乾燥手段のみで乾燥させる必要があり、乾燥時間を短縮することが困難になるという問題点もあった。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、乾燥を抑制するマスクを用いることなく、効果的にコーヒーステイン現象の発生を抑制することができる電子部品用印刷パターンの形成方法、電子部品の製造方法、及び電子部品を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明に係る電子部品用印刷パターンの形成方法は、揮発溶剤を含む第1のインクを被印刷物の実用領域内に塗布することにより実用塗膜を形成する実用塗膜形成工程と、揮発溶剤を含む第2のインクを、前記実用塗膜の最外端より外側に、又は前記最外端を囲むように塗布することにより外部ダミー塗膜を形成する外部ダミー塗膜形成工程と、前記実用塗膜及び前記外部ダミー塗膜を同時に乾燥する乾燥工程とを含むことを特徴とする。
上記構成では、揮発溶剤を含む第1のインクを被印刷物の実用領域内に塗布することにより実用塗膜を形成し、揮発溶剤を含む第2のインクを、実用塗膜の最外端より外側に、又は最外端を囲むように塗布することにより外部ダミー塗膜を形成する。実用塗膜及び外部ダミー塗膜を同時に乾燥する。これにより、実用塗膜の最外端において外部ダミー塗膜を形成したインクの乾燥により揮発溶剤が蒸発し、実用塗膜の最外端においてインクが中央部と比較して速く乾燥することを抑制することができる。したがって、コーヒーステイン現象の発生を抑制することができ、実用塗膜を乾燥させた場合の膜厚、例えば内部電極の膜厚が均一化されるので、高い品質の電子部品を製造することが可能となる。
また、本発明に係る電子部品用印刷パターンの形成方法は、前記実用塗膜形成工程において、前記実用塗膜は、前記実用領域において互いに第1の間隔でマトリックス状に複数形成され、前記外部ダミー塗膜形成工程において、前記外部ダミー塗膜は、前記実用領域の外周側に形成された実用塗膜の最外端から第2の間隔で形成され、前記第1の間隔と前記第2の間隔とが同一であることが好ましい。
上記構成では、実用塗膜は、実用領域において互いに第1の間隔でマトリックス状に複数形成され、外部ダミー塗膜は、実用領域の外周側に形成された実用塗膜の最外端から第2の間隔で形成され、第1の間隔と第2の間隔とが同一である。これにより、最外端におけるコーヒーステイン現象の発生の抑制効果が均一となり、実用塗膜を乾燥させた場合の膜厚、例えば内部電極の膜厚が均一化されるので、高い品質の電子部品を製造することが可能となる。
また、本発明に係る電子部品用印刷パターンの形成方法は、前記実用塗膜形成工程において、前記実用塗膜は、前記実用領域において互いに所定の間隔でマトリックス状に複数形成され、前記実用領域において、前記実用塗膜ごとの端部を囲むように、しかもそれぞれの前記実用塗膜と重なり合わないように前記第2のインクを塗布することにより内部ダミー塗膜を形成する内部ダミー塗膜形成工程をさらに含み、前記乾燥工程において、前記内部ダミー塗膜を乾燥することが好ましい。
上記構成では、実用塗膜は、実用領域において互いに所定の間隔でマトリックス状に複数形成され、実用領域において、実用塗膜ごとの端部を囲むように、しかもそれぞれの実用塗膜と重なり合わないように第2のインクを塗布することにより内部ダミー塗膜を形成し、内部ダミー塗膜を乾燥する。これにより、実用塗膜ごとの端部において内部ダミー塗膜を形成したインクの乾燥により揮発溶剤が蒸発し、実用塗膜ごとの端部においてインクが中央部と比較して速く乾燥することを抑制することができる。したがって、コーヒーステイン現象の発生を抑制することができ、実用塗膜を乾燥させた場合の膜厚、例えば内部電極の膜厚が均一化されるので、高い品質の電子部品を製造することが可能となる。
また、本発明に係る電子部品用印刷パターンの形成方法は、前記内部ダミー塗膜形成工程において、前記内部ダミー塗膜は、前記実用塗膜ごとの端部間で互いに第3の間隔で形成され、前記外部ダミー塗膜形成工程において、前記外部ダミー塗膜は、前記実用領域の外周側に形成された前記実用塗膜の最外端から第4の間隔で形成され、前記第3の間隔と前記第4の間隔とが同一であることが好ましい。
上記構成では、内部ダミー塗膜は、実用塗膜ごとの端部間で互いに第3の間隔で形成され、外部ダミー塗膜は、実用領域の外周側に形成された実用塗膜の最外端から第4の間隔で形成され、第3の間隔と第4の間隔とが同一である。これにより、端部間及び最外端におけるコーヒーステイン現象の発生の抑制効果が均一となり、実用塗膜を乾燥させた場合の膜厚、例えば内部電極の膜厚が均一化されるので、高い品質の電子部品を製造することが可能となる。
また、本発明に係る電子部品用印刷パターンの形成方法は、前記第1のインク及び前記第2のインクは同一の組成であることが好ましい。
上記構成では、第1のインク及び第2のインクは同一の組成であるので、実用塗膜の最外端及び/又は端部において飽和状態に近い状態を容易に形成することができ、実用塗膜の最外端及び/又は端部におけるインクの揮発溶剤の蒸発を抑制することができる。したがって、実用塗膜の最外端及び/又は端部においてコーヒーステイン現象の発生を抑制することができ、実用塗膜を乾燥させた場合の膜厚、例えば内部電極の膜厚が均一化されるので、高い品質の電子部品を製造することが可能となる。
また、本発明に係る電子部品用印刷パターンの形成方法は、前記実用塗膜形成工程及び前記外部ダミー塗膜形成工程は、同時に実行されることが好ましい。さらに、本発明に係る電子部品用印刷パターンの形成方法は、前記実用塗膜形成工程、前記外部ダミー塗膜形成工程及び前記内部ダミー塗膜形成工程が、同時に実行されることが好ましい。上記構成では、インクの乾燥度合いが均一になるからである。
また、本発明に係る電子部品用印刷パターンの形成方法は、前記乾燥工程は、被印刷物に対して前記実用塗膜側に配置されたヒータからの加熱及び/又は被印刷物を搭載するステージからの加熱によって、前記実用塗膜及び前記外部ダミー塗膜を乾燥することが好ましい。
上記構成では、ヒータだけでなく他の乾燥手段を併用する場合であっても、コーヒーステイン現象の発生の抑制効果に影響がないので、ヒータからの加熱に加えて、被印刷物を搭載するステージからの加熱によっても塗布したインクを乾燥させることができ、乾燥時間を短縮することができ、全体の製造コストを低減することが可能となる。
次に、上記目的を達成するために本発明に係る電子部品の製造方法は、上述した電子部品用印刷パターンの形成方法を含む電子部品の製造方法であって、被印刷物はセラミックグリーンシートであり、前記実用塗膜は内部電極用塗膜であることを特徴とする。
上記構成では、上述した電子部品用印刷パターンの形成方法を含む電子部品の製造方法であって、被印刷物はセラミックグリーンシートであり、実用塗膜は内部電極用塗膜であるので、内部電極の膜厚が均一化され、高い品質の電子部品を製造することが可能となる。
次に、上記目的を達成するために本発明に係る電子部品は、上述した電子部品用印刷パターンの形成方法により作製された実用塗膜付きの被印刷物を複数積層した後、焼成することにより形成されることを特徴とする。
上記構成では、上述した電子部品用印刷パターンの形成方法により作製された実用塗膜付きの被印刷物を複数積層した後、焼成するので、内部電極の膜厚が均一化された被印刷物が積層され、積層されたセラミックグリーンシート間での接触不良等の障害が発生する可能性が低くなり、高い品質の電子部品を製造することが可能となる。
上記構成によれば、実用塗膜の最外端において外部ダミー塗膜を形成したインクの乾燥により揮発溶剤が蒸発し、実用塗膜の最外端においてインクが中央部と比較して速く乾燥することを抑制することができる。したがって、コーヒーステイン現象の発生を抑制することができ、実用塗膜を乾燥させた場合の膜厚、例えば内部電極の膜厚が均一化されるので、高い品質の電子部品を製造することが可能となる。
本発明の実施の形態に係る電子部品用印刷パターンの形成方法を示す模式図である。 従来の電子部品用印刷パターンの形成方法における実用塗膜の形成について説明する模式図である。 本発明の実施の形態に係る電子部品用印刷パターンの形成方法における外部ダミー塗膜の形成について説明する模式図である。 本発明の実施の形態に係る電子部品用印刷パターンの形成方法におけるコーヒーステイン現象の抑制効果を示す説明図である。 図4(b)のC−C’断面における部分画像の膜厚分布を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係る電子部品用印刷パターンの形成方法におけるダミー塗膜を形成する位置の例示図である。 本発明の実施の形態に係る電子部品用印刷パターンの形成方法におけるダミー塗膜を形成する位置の例示図である。 本発明の実施の形態に係る電子部品用印刷パターンの形成方法を示す模式図である。 本発明の実施の形態に係る電子部品用印刷パターンの形成方法における乾燥手段の例示図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1及び図8は、本発明の実施の形態に係る電子部品用印刷パターンの形成方法を示す模式図である。本発明の実施の形態に係る電子部品用印刷パターンの形成方法を用いて製造される電子部品は、例えば、積層セラミックコンデンサ、積層セラミックインダクタ、セラミック多層部品、表面波フィルタ、セラミック発振子等である。
本発明の実施の形態に係る電子部品用印刷パターンの形成方法を含む電子部品の製造方法は、揮発溶剤を含む第1のインクを被印刷物20の実用領域4内に塗布することにより実用塗膜3を形成する実用塗膜形成工程と、揮発溶剤を含む第2のインクを、実用塗膜3の最外端3aより外側に、又は最外端3aを囲むように塗布することにより外部ダミー塗膜5aを形成する外部ダミー塗膜形成工程と、実用塗膜3及び外部ダミー塗膜5aを同時に乾燥する乾燥工程とを含んでいる。
ここで、被印刷物20とは、インクが塗布される対象物であり、例えばグリーンシート、セラミック基板、樹脂製キャリアフィルム等である。
また、被印刷物20の実用領域4とは、被印刷物20が電子部品として製品化された場合に、実際に電子部品として使用され得る領域を意味しており、具体的には、図1(c)に示す破線で囲まれた領域である。
さらに、塗膜とは、乾燥前の濡れている状態のインクの膜を意味する。実用塗膜3とは、電子部品の構成要素となり得る塗膜、例えば内部電極用塗膜を意味する。ダミー塗膜5とは、電子部品としての機能を発揮し得ない塗膜を意味する。ダミー塗膜5は、本実施の形態においては、実用塗膜3の膜厚を均一化するために必須であり、外部ダミー塗膜5a及び後述する内部ダミー塗膜5bがある。
実用塗膜形成工程と外部ダミー塗膜形成工程とは、どちらかを先に実行しても良いし、同時に実行しても良い。ただし、塗膜が自然乾燥することを考慮した場合、これらの工程は同時に実行されることが好ましい。
なお、第1のインク及び第2のインクは、例えば導体ペースト、誘電体ペースト、磁性体ペースト、絶縁ペースト等である。第1のインク及び第2のインクの組成は同じであっても良いし、異なっていても良い。
以下、本実施の形態では、被印刷物20としてグリーンシートを用い、第1のインク及び第2のインクとしてペースト状の導電性インクを用いる場合を一例に挙げて説明する。
まず、図1(a)に示すように、まずは長尺の樹脂製のキャリアフィルム1を準備する。そして、図1(b)に示すように、セラミック誘電体の原料粉末をバインダ、揮発溶剤等と混合させてペースト状にしたものを、誘電体シート2としてキャリアフィルム1の一方の面上で薄く延ばし、揮発溶剤を蒸発させることにより乾燥させる。この状態を、グリーンシートと呼び、セラミックグリーンシートの原型となる。以下、名称としてはグリーンシートで統一しているが、電子部品を構成する焼成前の状態の各層をセラミックグリーンシートという。
次に図1(c)に示すように、グリーンシート(被印刷物)20の誘電体シート2側の面に、揮発溶剤を含む導電性インクを塗布して、揮発溶剤を蒸発させることで、実用塗膜3を形成する。実用塗膜3が形成されたグリーンシート20は、例えば一辺のサイズが数10mm〜数100mmの方形に切断され、実用塗膜3として形成された電極パターンの位置合わせをしながら積層される。
本実施の形態に係る電子部品用印刷パターンの形成方法は、実用塗膜3を形成する場合に、実用塗膜3の最外端3aより外側に、又は最外端3aを囲むように外部ダミー塗膜5aが形成される点に特徴を有する。図1(c)の例では、実用塗膜3の一番外側に配置されている実用塗膜3全体の外側方向の端部である最外端3aを囲むように外部ダミー塗膜5aが形成されている。ここで、「ダミー塗膜5が形成される」とは、導電性インクを塗布する必要がない領域に塗布することを意味する。図2は、従来の電子部品用印刷パターンの形成方法における実用塗膜3の形成について説明する模式図であり、図3は、本発明の実施の形態に係る電子部品用印刷パターンの形成方法における外部ダミー塗膜5a(ダミー塗膜5)の形成について説明する模式図である。
図2(a)は、従来の電子部品用印刷パターンの形成方法において、グリーンシート20に、揮発溶剤を含む導電性インクを塗布した状態を示す平面図であり、図2(b)は、従来の電子部品用印刷パターンの形成方法において、グリーンシート20に導電性インクを塗布した状態を示すA−A’断面図である。また、図3(a)は、本発明の実施の形態に係る電子部品用印刷パターンの形成方法において、グリーンシート20に、揮発溶剤を含む導電性インクを塗布した状態を示す平面図であり、図3(b)は、本発明の実施の形態に係る電子部品用印刷パターンの形成方法において、グリーンシート20に導電性インクを塗布した状態を示すB−B’断面図である。
図2(a)に示すように、従来の電子部品用印刷パターンの形成方法では、実用塗膜3を形成する場合、揮発溶剤を含む導電性インク21をグリーンシート20の実用領域4内に塗布する。この場合、実用領域4においては、図2(b)に示すように、乾燥するにつれて端部3aと中央部とで濃度差が生じ、未乾燥の導電性インク21が端部3a側へ移動することにより端部3aが盛り上がる、いわゆるコーヒーステイン現象が発生する。
本実施の形態では、実用塗膜3の最外端3aより外側に、又は最外端3aを囲むように導電性インク21を塗布することにより外部ダミー塗膜5aを形成する。図3(a)に示すように、本実施の形態に係る電子部品用印刷パターンの形成方法では、揮発溶剤を含む導電性インク21を実用領域4内に塗布することにより実用塗膜3を形成するとともに、実用塗膜3の最外端3aより外側に、又は最外端3aを囲むように、少し間隔をおいて環状に導電性インク21を塗布することにより外部ダミー塗膜5aを形成する。外部ダミー塗膜5aを形成するインク(第2のインク)は、実用塗膜3を形成する揮発溶剤を含む導電性インク(第1のインク)21と同じであっても良いし、種類の異なる揮発溶剤を含むインクであっても良い。
外部ダミー塗膜5aを形成した導電性インク21が揮発溶剤を蒸発させることにより乾燥し、実用塗膜3の端部(最外端)3aにおいて蒸発する溶剤分子の数が増え、揮発溶剤の蒸気圧が高くなる。これにより、実用塗膜3の端部における導電性インク21の揮発溶剤の蒸発を抑制することができる。したがって、図3(b)に示すように、端部3a付近に盛り上がりは生じず、実用塗膜3の膜厚は均一化される。
図4は、本発明の実施の形態に係る電子部品用印刷パターンの形成方法におけるコーヒーステイン現象の抑制効果を示す説明図である。図4(a)は、グリーンシート20に導電性インク21を塗布した状態を示す平面図であり、実用塗膜3の最外端3aより外側(長辺側)の一辺のみに近接させてダミー塗膜5を形成している。この状態で乾燥させた場合の膜厚を比較するため、赤外線で撮像した実用領域4の部分画像を図4(b)に示す。図5は、図4(b)のC−C’断面における部分画像の膜厚分布を示すグラフである。
図5に示すように、ダミー塗膜5が形成されていない側(測定位置‘0’側)では、実用塗膜3の端部3aにおいて膜厚が増加しており、いわゆるコーヒーステイン現象が発生していることがわかる。それに対して、ダミー塗膜5が形成されている側(測定位置‘4’側)では、実用塗膜3の端部3aの膜厚が実用塗膜3の中央部の膜厚とほとんど変わらない、すなわち実用塗膜3の端部3aが盛り上がっていない。したがって、ダミー塗膜5を形成することによって、コーヒーステイン現象の発生が抑制されていることは明らかである。
なお、ダミー塗膜5を形成するのは、実用塗膜3の最外端3aより外側、又は最外端3aを囲む位置に限定されるものではない。図6及び図7は、本発明の実施の形態に係る電子部品用印刷パターンの形成方法におけるダミー塗膜5を形成する位置の例示図である。
通常は、図6に示すように、実用塗膜3が、実用領域4において互いに所定の間隔でマトリックス状に複数形成されている。この場合、外部ダミー塗膜5aを形成するとともに、実用塗膜3ごとの端部3aを囲むように、しかも互いに重なり合わないように内部ダミー塗膜5bを形成することが好ましい。実用塗膜3の端部3aにおいて確実にコーヒーステイン現象の発生を抑制することができるからである。
また、内部ダミー塗膜5bは、実用塗膜3ごとの端部3a間で互いに第3の間隔d3で形成されている。外部ダミー塗膜5aは、実用領域4の外周側に形成された実用塗膜3の最外端3aから第4の間隔d4で形成されている。第3の間隔d3と第4の間隔d4とが同一になるように形成することにより、実用塗膜3の端部3aのどの位置においても揮発溶剤の蒸気圧がほぼ等しくなる。これにより、揮発溶剤の蒸発の進行状況をほぼ均一にすることができ、実用塗膜3の膜厚をより確実に均一化することができる。
なお、実用塗膜3同士を近接させた場合、近接させた部分では飽和状態に近い状態が形成され、コーヒーステイン現象の発生を抑制することができる。したがって、これらを組み合わせれば図7に示すように、実用塗膜3同士が近接していない部分、すなわち実用領域4の外周側に形成された実用塗膜3の最外端3aを囲むように外部ダミー塗膜5aを形成することで、同様の効果を得ることができる。
また、図7では、実用塗膜3は、実用領域4において互いに第1の間隔d1でマトリクス状に複数形成されている。外部ダミー塗膜5aは、実用領域4の外周側に形成された実用塗膜3の最外端3aから第2の間隔d2で形成されている。第1の間隔d1と第2の間隔d2とが同一になるよう形成することにより、実用領域4の外周側に形成された実用塗膜3の最外端3aのどの位置においても揮発溶剤の蒸気圧がほぼ等しくなる。これにより、揮発溶剤の蒸発の進行状況をほぼ均一にすることができ、実用塗膜3の膜厚をより確実に均一化することができる。
次に、図8に示すように、実用塗膜(内部電極用塗膜)3が形成されたグリーンシート(セラミックグリーンシート)20を、実用塗膜3として形成された電極パターンの位置合わせをしながら積層する(図8(a))。そして、圧力を加えて圧着・一体化し、電子部品のサイズに合わせて縦横に切断する(図8(b))。この時点で誘電体シート2は未焼成の状態であることから、焼成炉に入れて約1000〜1300℃で焼成してセラミックスチップ(以下、積層チップ)とする(図8(c))。
この段階で、積層チップの側断面には実用塗膜3が電極として露出している。露出している部分に導電性ペーストを塗布し、焼付け処理を行った後、めっき(ニッケル、スズ)処理を施すことで外部電極を形成し、電子部品として完成する。
なお、ダミー塗膜5を形成することにより実用塗膜3の端部3aにおいて飽和状態に近い状態を作り出しているので、従来の技術とは異なり、複数の乾燥手段を併用する場合であってもコーヒーステイン現象の抑制効果には影響しない。したがって、複数の乾燥手段を併用して乾燥時間を短縮することができる。
図9は、本発明の実施の形態に係る電子部品用印刷パターンの形成方法における乾燥手段の例示図である。図9では、分かりやすくするために、積層していない状態のセラミックグリーンシートを図示している。
通常は、図9(a)に示すように、ステージ15に搭載した状態で自然乾燥させる。ダミー塗膜5を形成することにより、実用塗膜3の端部3aにおいては飽和状態に近い状態が形成され、導電性インク21が乾燥しにくくなるのでコーヒーステイン現象の発生が抑制される。
それに対して、図9(b)では、ステージ15に電熱線等の加熱手段を組み込み、ステージ15からの加熱により乾燥を促進することができる。この場合であっても、ダミー塗膜5を形成していることから、実用塗膜3の端部3aにおいて飽和状態に近い状態が形成されることに変わりはなく、コーヒーステイン現象の発生を抑制することができる。
また、図9(c)では、乾燥手段として赤外線ランプ(ヒータ)16等を上方に設けており、赤外線ランプ16からの加熱により乾燥を促進することができる。この場合であっても、ダミー塗膜5を形成していることから、実用塗膜3の端部3aにおいて飽和状態に近い状態が形成されることに変わりはなく、コーヒーステイン現象の発生を抑制することができる。
もちろん、図9(d)に示すように、ステージ15からの加熱と、赤外線ランプ16からの加熱とを併用しても良い。この場合、より短時間で乾燥させることができ、全体の製造コストを低減することが可能となる。
以上のように、本発明の実施の形態に係る電子部品用印刷パターンの形成方法では、グリーンシート(被印刷物)20の実用塗膜3の最外端3aにおいてダミー塗膜5を形成した導電性インク21の乾燥により揮発溶剤が蒸発し、実用塗膜3の最外端3aにおいて導電性インク21が中央部と比較して速く乾燥することを抑制することができる。したがって、コーヒーステイン現象の発生を抑制することができ、実用塗膜3を乾燥させた場合の膜厚、例えば内部電極の膜厚が均一化されるので、高い品質の電子部品を製造することが可能となる。
その他、上述した実施の形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することができることは言うまでもない。上述した実施の形態では、塗布方法については特に限定されるものではなく、インクジェット方式で導電性インク21を塗布しても良いし、ディスペンサ、マイクロピペット等のインクジェット方式以外の非接触型印刷装置、スクリーン印刷、スタンプ装置等の接触型印刷装置等であってもダミー塗膜5を形成することによる効果は期待できる。
1 キャリアフィルム
2 誘電体シート
3 実用塗膜(内部電極用塗膜)
3a 最外端(端部)
4 実用領域
5 ダミー塗膜
5a 外部ダミー塗膜
5b 内部ダミー塗膜
15 ステージ
16 赤外線ランプ(ヒータ)
20 グリーンシート(被印刷物、セラミックグリーンシート)
21 導電性インク(第1のインク、第2のインク)

Claims (10)

  1. 揮発溶剤を含む第1のインクを被印刷物の実用領域内に塗布することにより実用塗膜を形成する実用塗膜形成工程と、
    揮発溶剤を含む第2のインクを、前記実用塗膜の最外端より外側に、又は前記最外端を囲むように塗布することにより外部ダミー塗膜を形成する外部ダミー塗膜形成工程と、
    前記実用塗膜及び前記外部ダミー塗膜を同時に乾燥する乾燥工程と
    を含むことを特徴とする電子部品用印刷パターンの形成方法。
  2. 前記実用塗膜形成工程において、前記実用塗膜は、前記実用領域において互いに第1の間隔でマトリックス状に複数形成され、
    前記外部ダミー塗膜形成工程において、前記外部ダミー塗膜は、前記実用領域の外周側に形成された実用塗膜の最外端から第2の間隔で形成され、
    前記第1の間隔と前記第2の間隔とが同一であることを特徴とする請求項1に記載の電子部品用印刷パターンの形成方法。
  3. 前記実用塗膜形成工程において、前記実用塗膜は、前記実用領域において互いに所定の間隔でマトリックス状に複数形成され、
    前記実用領域において、前記実用塗膜ごとの端部を囲むように、しかもそれぞれの前記実用塗膜と重なり合わないように前記第2のインクを塗布することにより内部ダミー塗膜を形成する内部ダミー塗膜形成工程をさらに含み、
    前記乾燥工程において、前記内部ダミー塗膜を乾燥することを特徴とする請求項1に記載の電子部品用印刷パターンの形成方法。
  4. 前記内部ダミー塗膜形成工程において、前記内部ダミー塗膜は、前記実用塗膜ごとの端部間で互いに第3の間隔で形成され、
    前記外部ダミー塗膜形成工程において、前記外部ダミー塗膜は、前記実用領域の外周側に形成された前記実用塗膜の最外端から第4の間隔で形成され、
    前記第3の間隔と前記第4の間隔とが同一であることを特徴とする請求項3に記載の電子部品用印刷パターンの形成方法。
  5. 前記第1のインク及び前記第2のインクは同一の組成であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子部品用印刷パターンの形成方法。
  6. 前記実用塗膜形成工程及び前記外部ダミー塗膜形成工程は、同時に実行されることを特徴とする請求項1、2又は5のいずれか一項に記載の電子部品用印刷パターンの形成方法。
  7. 前記実用塗膜形成工程、前記外部ダミー塗膜形成工程及び前記内部ダミー塗膜形成工程は、同時に実行されることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載の電子部品用印刷パターンの形成方法。
  8. 前記乾燥工程は、被印刷物に対して前記実用塗膜側に配置されたヒータからの加熱及び/又は被印刷物を搭載するステージからの加熱によって、前記実用塗膜及び前記外部ダミー塗膜を乾燥することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電子部品用印刷パターンの形成方法。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電子部品用印刷パターンの形成方法を含む電子部品の製造方法であって、
    被印刷物はセラミックグリーンシートであり、前記実用塗膜は内部電極用塗膜であることを特徴とする電子部品の製造方法。
  10. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電子部品用印刷パターンの形成方法により作製された実用塗膜付きの被印刷物を複数積層した後、焼成することにより形成されることを特徴とする電子部品。
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