JP2015065016A - 燃料電池用電極触媒の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】燃料電池用電極触媒の製造方法は、比表面積が200m2/g以上かつ300m2/g以下の炭素系粉末を準備する工程と、炭素系粉末を、700℃以上かつ900℃以下のアンモニアガス雰囲気下で熱処理することにより、炭素系粉末の表面に対して、炭素系粉末の1.0重量%以上かつ3.0重量%以下の窒素を結合させ、窒素含有炭素材料を作製する工程と、窒素含有炭素材料に対して、平均粒子径が4.0nm以下となるような貴金属と卑金属の合金を担持させる工程と、を備える。
【選択図】図1
Description
A−1.燃料電池用電極触媒の概略構成:
本実施形態における燃料電池用電極触媒は、窒素含有炭素材料に、貴金属と卑金属の合金が担持された構成を有する。窒素含有炭素材料は、異種元素としての窒素(N)を含有したカーボンであり、導電性を有し、触媒を担持する触媒担持担体として機能する。以降、窒素含有炭素材料のことを「N修飾カーボン」とも呼ぶ。本実施形態において、窒素含有炭素材料に含まれるカーボンの比表面積は200m2/g以上かつ600m2/g以下である。窒素は、カーボンに対して、カーボンの1.0重量%以上かつ3.0重量%以下の割合で結合されている。貴金属と卑金属の合金は、貴金属としての白金(Pt)と、卑金属としてのコバルト(Co)の合金(PtCo)であり、触媒として機能する。本実施形態において、窒素含有炭素材料に担持されているPtCo合金の平均粒子径は、4.0nm以下である。なお、原料のカーボンの比表面積は200m2/g以上かつ300m2/g以下である。
本実施形態の燃料電池用電極触媒は、触媒担持担体としてのN修飾カーボンを製造し、N修飾カーボンに対して、触媒として機能するPtCo合金を担持させることで製造される。
図1は、本発明の一実施形態としてのN修飾カーボンの製造の手順を示すフローチャートである。ステップS10において、管状の熱処理炉である管状炉内に粉末状のカーボン材料を準備する。本実施形態では、カーボン粉末に使用されるカーボン材料として、比表面積が約250m2/gのバルカン(Vulcan)ブラックを用いる。バルカンブラックとは、Calbot社のカーボンブラックの商品名である。なお、カーボンに対して多くの窒素を結合させるために、カーボン材料の比表面積は200m2/g以上かつ300m2/g以下であることが好ましい。また、カーボン材料としては、カーボンブラックのほか、例えば、グラファイトカーボン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、高結晶カーボン、アセチレンブラック等を使用してもよい。
図2は、本発明の一実施形態としてのPtCo担持方法の手順を示すフローチャートである。ステップS50において、N修飾カーボンの分散液を作製する。具体的には、0.7gのN修飾カーボンに対して、100gの0.1N硝酸水溶液を加えて十分に撹拌し、水溶液中にN修飾カーボンを分散させる。
図1で説明したN修飾カーボンの製造では、アンモニアガス供給下での加熱処理工程(図1、ステップS22およびS24)におけるアンモニアガス供給量(流量)と、加熱温度とが、図1、2の処理を経て生成される燃料電池用電極触媒のカーボンに結合される窒素の量に影響を与える。以降、燃料電池用電極触媒のカーボンに結合される窒素の量を単に「N量」とも呼ぶ。また、図1、2の処理を経て生成される燃料電池用電極触媒を「本発明による燃料電池用電極触媒」とも呼ぶ。
図3は、異なる条件下で生成されたN修飾カーボンを用いた燃料電池用電極触媒におけるN量と重量損失とを表す表である。図3を得るために、まず、N修飾カーボンの製造(図1)のステップS22において管状炉内に供給するアンモニアガスの流量と、ステップS24の「所定の温度」とをそれぞれ変化させて、8つのN修飾カーボンのサンプルを作製した。サンプル#1〜#3、#5については、炉芯管径が92mmの管状炉を使用した。サンプル#4、#6〜#8については、炉芯管径が50mmの管状炉を使用した。その他の条件は図1で説明した条件と同じである。
サンプル#1〜#8の燃料電池用電極触媒(試料)のN量を、住化分析センター製のスミグラフNCH−22Fを使用してそれぞれ測定する。具体的には、試料を酸素(O2)雰囲気下、850度で燃焼させ、燃料電池用電極触媒に含有される窒素(N)を窒素酸化物(NOX)へ変換後、還元して窒素ガス(N2)にして、N量を測定する。
本発明による燃料電池用電極触媒の構造を解析した。本発明による燃料電池用電極触媒と、原料であるバルカンブラックと、のそれぞれについて、アルバックファイ製のPHI−5700を使用したX線光電子分光法(XPS、X-ray Photoelectron Spectroscopy)によって、カーボンに結合される窒素の種類(以降、単に「N種」とも呼ぶ。)および量を分析した。PHI−5700では、X線源をAIK α 350Wとし、中和銃の設定をONとした。
本発明による燃料電池用電極触媒のサンプル#10と、比較のための複数の燃料電池用電極触媒のサンプル#11〜#13と、を作製し、性能評価を行った。各サンプルの詳細を以下に示す。
・サンプル#11:触媒担持担体はバルカンブラック、触媒は白金(Pt)
・サンプル#12:触媒担持担体は図1の方法に従い、図3のサンプル#4と同様の条件により作製されたN修飾カーボン(N量は約2.0重量%)、触媒は白金(Pt)
・サンプル#13:触媒担持担体はバルカンブラック、触媒は図2の方法により担持されたPtCo合金
(a2)1470Eのディスク電極上に、手順1により作製された分散液20μLをマイクロシリンジを用いて滴下し、滴下後のディスク電極を室温で乾燥させる。
(a3)乾燥後のディスク電極に対してナフィオン溶液を5μL滴下し、滴下後のディスク電極を室温で乾燥させる。
(a4)サンプル#11〜#13に対しても、上記手順a1〜a3を繰り返し、4つの作用極を作製する。
(b2)1470Eを起動した後、温度調整とクリーニング処理とを行う。
(b3)サイクリックボルタンメトリー(CV)測定を行う。CV測定では、0.05V〜0.4Vの通電量により白金電気化学表面積(ECSA:m2/g−Pt)を測定する。CV測定における使用ガスは窒素ガス(N2)、温度は27℃、電位走査範囲は0.05V〜1.2V、電位掃引速度は50mV/sec、サイクル数は5とする。
(b4)リニアスイープボルタンメトリー(LSV)測定を行う。LSV測定では、酸素還元反応(ORR)に対する性能評価である。LSV測定における使用ガスは酸素ガス(O2)、温度は27℃、電極回転数は200rpm,400rpm,800rpm,1200rpm,1600rpmと変化させることとし、電位走査範囲は0.05V〜1.1V、電位掃引速度は10mV/sec、サイクル数は1とする。
1/i=1/ik+1/iL ・・・(式1)
(b6)電位走査範囲を0.4V〜1.2V、電位掃引速度を200mV/secとして、電位変動サイクル5000回を実施し、上記手順b3と手順b4とで耐久後活性を求める。
(b7)手順b5で求めた耐久前活性と、手順b6で求めた耐久後活性とを用いて、活性維持率を求める。
活性維持率(%)=(耐久後活性/耐久前活性)×100 ・・・(式2)
上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
20…ピリジン型N
30…グラファイト型N
#1〜#8…N修飾カーボンのサンプル
#10〜#13…燃料電池用電極触媒のサンプル
Claims (1)
- 燃料電池用電極触媒の製造方法であって、
比表面積が200m2/g以上かつ300m2/g以下の炭素系粉末を準備する工程と、
前記炭素系粉末を、700℃以上かつ900℃以下のアンモニアガス雰囲気下で熱処理することにより、前記炭素系粉末の表面に対して、前記炭素系粉末の1.0重量%以上かつ3.0重量%以下の窒素を結合させ、窒素含有炭素材料を作製する工程と、
前記窒素含有炭素材料に対して、平均粒子径が4.0nm以下となるような貴金属と卑金属の合金を担持させる工程と、を備える、製造方法。
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