JP2015063511A - リン化合物及びその遷移金属錯体 - Google Patents

リン化合物及びその遷移金属錯体 Download PDF

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Abstract

【課題】錯体触媒による有機合成反応において有用な配位子として使用可能なリン化合物、及び有機合成反応における触媒として有用な遷移金属錯体を提供する。【解決手段】下式(1)で表されるリン化合物及び、これらのリン化合物を配位子とする遷移金属錯体。(式中、R1、R2は各々独立して水素原子、アルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基等を表し、R3〜R7は各々独立して水素原子、置換基を有してもよいアルキル基等を表し、A−B結合は、炭素−炭素単結合又は炭素−炭素二重結合を表し、Yはオキソ基、チオキソ基、モノボラン又は孤立電子対を表し、Zはオキシ基、チオ基、置換基を有してもよいイミノ基、置換基を有してもよいメチレン基等を表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、新規なリン化合物及び該リン化合物を配位子とする遷移金属錯体に関する。
今日、遷移金属種と配位子から構成される種々の遷移金属錯体が有機合成反応の触媒として使用されている。このような触媒の性能あるいは活性を発現させる因子として、錯体における遷移金属種のみならず配位子が重要な役割を果たすことがよく知られている。このため、これまでにもリン化合物をはじめとする数多くの配位性化合物が配位子として開発されている。更に、錯体触媒による有機合成反応においては、適切な遷移金属種と配位子を組み合わせることで、多種多様な基質に対して最適な触媒を構築可能であるため、現在でもその研究開発が盛んに行われている。当然ながら遷移金属種は有限の種類しかないため、触媒的有機合成反応の工業化においては、配位子の多様性が反応の最適化及び効率化に大きく寄与することとなる。しかしながら実際には、これまでに開発されてきた配位子を用いても、反応によっては触媒の活性や反応の選択性が十分ではない場合があるため、現在でもなお、効率的な配位子として使用可能な新規リン化合物の開発が強く望まれている状況である。
本発明は上記要求に鑑みなされたものであり、錯体触媒による有機合成反応において有用な配位子として使用可能なリン化合物、及び有機合成反応における触媒として有用な遷移金属錯体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、下記一般式(1)で表される新規なリン化合物が優れた配位子となることを見出した。更に、このリン化合物を配位子とする遷移金属錯体が、有機合成反応における優れた触媒、例えば結合生成反応等に極めて有用な触媒となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[6]の内容を含むものである。
[1]下記一般式(1)で表されるリン化合物。
(式中、R1及びR2は各々独立して水素原子、アルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基又は置換基を有してもよいアラルキル基を表す。又は、R1及びR2は互いに結合してこれらが結合しているリン原子を含む環を形成してもよい。A−B結合は、炭素−炭素単結合又は炭素−炭素二重結合を表す。A−B結合が炭素−炭素単結合の場合、A及びBはいずれもメタントリイル基を表し、A−B結合が炭素−炭素二重結合の場合、A及びBはいずれも炭素原子を表す。R7は水素原子、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいヘテロアリール基を表す。Zは置換基を有してもよい2価基を表す。R3、R4、R5及びR6は各々独立して水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいアラルキル基を表す。Yはオキソ基、チオキソ基、モノボラン又は孤立電子対を表す。)
[2]Zが、オキシ基、チオ基、置換基を有してもよいイミノ基、置換基を有してもよいメチレン基及び置換基を有してもよいエチレン基からなる群から選ばれる、前記[1]に記載のリン化合物。
[3]光学活性体である前記[1]又は[2]に記載のリン化合物。
[4]Yが孤立電子対である、前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載のリン化合物。
[5]前記[1]〜[4]のいずれか1項に記載のリン化合物を配位子とする遷移金属錯体。
[6]遷移金属が、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金及び金からなる群から選ばれる、前記[5]に記載の遷移金属錯体。
上記一般式(1)で表されるリン化合物(以下、本発明のリン化合物と称す)は、錯体触媒による有機合成反応における配位子のみならずその合成中間体としても有用であり、また本発明のリン化合物を配位子とする遷移金属錯体(以下、本発明の錯体と称す)は有機合成反応における触媒として有用である。例えば、遷移金属の一種であるパラジウムと本発明のリン化合物との錯体は、結合形成反応における触媒として極めて有用であり、これらの反応によって芳香族化合物等を効率的に製造可能である。
以下、本発明のリン化合物について更に詳細に説明する。本発明のリン化合物において、R1及びR2は各々独立して水素原子、アルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基又は置換基を有してもよいアラルキル基を表し、好ましくはアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を表す。アルキル基としては、直鎖状でも分岐状でも又は環状でもよい、例えば炭素数1〜30のアルキル基、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜10のアルキル基が挙げられ、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、2−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、tert−ペンチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、2−メチルブタン−3−イル基、2,2−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、2−メチルペンタン−3−イル基、2−メチルペンタン−4−イル基、3−メチルペンタン−2−イル基、3−メチルペンタン−3−イル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブタン−3−イル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基及び2−アダマンチル基等が挙げられ、好ましくはtert−ブチル基及びシクロヘキシル基等が挙げられる。アルケニル基としては、直鎖状でも分岐状でも又は環状でもよい、例えば炭素数2〜20のアルケニル基、好ましくは炭素数2〜14のアルケニル基が挙げられ、具体的にはビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、アリル基、1−シクロヘキセニル基、1−スチリル基、2−スチリル基及び2,2−ジフェニルビニル基等が挙げられる。アリール基としては、例えば炭素数6〜18のアリール基、好ましくは炭素数6〜14のアリール基が挙げられ、具体的にはフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−ビフェニル基、4−ビフェニル基、9−アンスリル基及び9−フェナンスレニル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基が挙げられる。ヘテロアリール基としては、例えば炭素数1〜12、好ましくは炭素数4〜8のヘテロアリール基が挙げられ、具体的には2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−ベンゾフリル基、3−ベンゾフリル基、2−ベンゾチエニル基及び3−ベンゾチエニル基等が挙げられる。アラルキル基としては、直鎖状でも分岐状でも又は環状でもよい、例えば炭素数7〜24のアラルキル基、好ましくは炭素数7〜16のアラルキル基が挙げられ、具体的にはベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルプロピル基、2−フェニルプロピル基、3−フェニルプロピル基、1−フェニル−2−プロピル基、2−フェニル−2−プロピル基、1,1−ジメチル−2−フェニルエチル基、1−フェニルシクロプロピル基、2−フェニルシクロプロピル基、2,2−ジフェニルシクロプロピル基、1−メチル−2,2−ジフェニルシクロプロピル基、1−インダニル基、2−インダニル基及び9−フルオレニル基等が挙げられる。
A−B結合は、1つの実施態様においては、炭素−炭素単結合を表し、この場合A及びBはいずれもメタントリイル基を表す。また、A−B結合は、別の実施態様においては、炭素−炭素二重結合を表し、この場合A及びBはいずれも炭素原子を表す。
本発明のリン化合物において、R7は水素原子、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいヘテロアリール基を表し、好ましくは水素原子及び置換基を有してもよいアリール基を表す。アリール基としては、例えば炭素数6〜18のアリール基、好ましくは炭素数6〜14のアリール基が挙げられ、具体的にはフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−ビフェニル基、4−ビフェニル基、9−アンスリル基及び9−フェナンスレニル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基が挙げられる。ヘテロアリール基としては、例えば炭素数2〜15、好ましくは炭素数4〜12のヘテロアリール基が挙げられ、ヘテロアリール基の具体例としてはフリル基、チエニル基、ピリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、インダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基及びナフチリジニル基類等が挙げられ、より好ましいヘテロアリール基の具体例としては、2−フリル基、2−チエニル基、1−ピリル基、2−ピリジル基、2−ベンゾフリル基、2−ベンゾチエニル基、1−インドリル基、9−カルバゾリル基、2−キノリル基、1−イソキノリル基及び3−イソキノリル基等が挙げられる。
本発明のリン化合物のR1、R2及びR7における、アルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基及びアラルキル基は各々置換基を有してもよい。好ましい置換基としてはアルキル基、ハロゲノアルキル基、アルコキシ基、アミノ基及びハロゲノ基等が挙げられ、より好ましくはアルコキシ基が挙げられる。アルキル基としては、例えば炭素数1〜10のアルキル基、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基が挙げられ、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、2−ブチル基、イソブチル基及びtert−ブチル基等が挙げられる。ハロゲノアルキル基としては、上記アルキル基の少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子によって置換されたハロゲノアルキル基が挙げられ、具体的にはトリフルオロメチル基及びノナフルオロブチル基等が挙げられる。アルコキシ基としては、例えば炭素数1〜10のアルコキシ基、好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられ、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、1−プロポキシ基、2−プロポキシ基、1−ブトキシ基、2−ブトキシ基及びtert−ブトキシ基等が挙げられ、好ましくはメトキシ基が挙げられる。アミノ基としては、具体的にはN,N−ジメチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基及びN,N−ジフェニルアミノ基等が挙げられる。ハロゲノ基としては、具体的にはフルオロ基、クロロ基、ブロモ基及びヨード基が挙げられ、好ましくはフルオロ基が挙げられる。更に、R1及びR2は互いに結合してこれらが結合しているリン原子を含む環を形成してもよい。リン原子を含む環としては、例えばホスホラン環、ホスホール環及びホスフィナン環等が挙げられる。
本発明のリン化合物において、Zは置換基を有してもよい2価基を表す。好ましい2価基としては、オキシ基(−O−)、チオ基(−S−)、置換基を有してもよいイミノ基(−NH−)、置換基を有してもよいメチレン基(−CH2−)及び置換基を有してもよいエチレン基(−CH2CH2−)が挙げられ、より好ましくはメチレン基が挙げられる。イミノ基が有してもよい置換基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基及びアリールスルホニル基等が挙げられ、好ましくはアルキル基、アリール基及びアラルキル基等が挙げられる。置換基を有してもよいイミノ基としては、例えば無置換のイミノ基、N−アルキルイミノ基、N−アリールイミノ基、N−アラルキルイミノ基、N−アシルイミノ基、N−アルコキシカルボニルイミノ基、N−アリールオキシカルボニルイミノ基、N−アラルキルオキシカルボニルイミノ基、N−アルキルスルホニルイミノ基及びN−アリールスルホニルイミノ基等が挙げられ、好ましくはN−アルキルイミノ基、N−アリールイミノ基及びN−アラルキルイミノ基等が挙げられる。N−アルキルイミノ基としては、具体的にはN−メチルイミノ基、N−エチルイミノ基、N−イソプロピルイミノ基及びN−シクロヘキシルイミノ基等が挙げられる。N−アリールイミノ基としては、具体的にはN−フェニルイミノ基、N−(2,4,6−トリメチルフェニル)イミノ基、N−(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)イミノ基、N−(1−ナフチル)イミノ基、N−(2−ナフチル)イミノ基及びN−(9−アントリル)イミノ基等が挙げられる。N−アラルキルイミノ基としては、具体的にはN−ベンジルイミノ基及びN−(1−フェニルエチル)イミノ基等が挙げられる。メチレン基及びエチレン基が有してもよい置換基としては、アルキル基、ハロゲノアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アシルチオ基、シアノ基及びハロゲノ基等が挙げられる。アルキル基としては、例えば炭素数1〜10のアルキル基、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基が挙げられ、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基及びn−ブチル基等が挙げられる。ハロゲノアルキル基としては、上記アルキル基の少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子によって置換されたハロゲノアルキル基が挙げられ、具体的にはトリフルオロメチル基が挙げられる。アルケニル基としては、例えば炭素数2〜10のアルケニル基、好ましくは炭素数2〜4のアルケニル基が挙げられ、具体的にはビニル基及びアリル基等が挙げられる。アリール基としては、例えば炭素数6〜14のアリール基、好ましくは炭素数6〜10のアリール基が挙げられ、具体的にはフェニル基、1−ナフチル基及び2−ナフチル基が挙げられる。アラルキル基としては、例えば炭素数7〜16のアラルキル基、好ましくは炭素数7〜11のアラルキル基が挙げられ、具体的にはベンジル基及び2−ナフチルメチル基等が挙げられる。アルコキシ基としては、例えば炭素数1〜10のアルコキシ基、好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられ、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、1−プロポキシ基及び1−ブトキシ基等が挙げられる。アシルオキシ基としては、具体的にはアセトキシ基等が挙げられる。アルキルチオ基としては、例えば炭素数1〜10のアルキルチオ基、好ましくは炭素数1〜4のアルキルチオ基が挙げられ、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基及びn−ブチルチオ基等が挙げられる。アシルチオ基としては、具体的にはアセチルチオ基等が挙げられる。ハロゲノ基としては、具体的にはフルオロ基、クロロ基、ブロモ基及びヨード基が挙げられ、好ましくはフルオロ基が挙げられる。Zにおけるメチレン基及びエチレン基が複数の置換基を有していた場合、それらの置換基は互いに結合して環を形成してもよい。
本発明のリン化合物において、R3、R4、R5及びR6は各々独立して水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいアラルキル基を表し、好ましくは水素原子を表す。アルキル基としては、直鎖状でも分岐状でも又は環状でもよい、例えば炭素数1〜30のアルキル基、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、2−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、tert−ペンチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、2−メチルブタン−3−イル基、2,2−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、2−メチルペンタン−3−イル基、2−メチルペンタン−4−イル基、3−メチルペンタン−2−イル基、3−メチルペンタン−3−イル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブタン−3−イル基及びシクロヘキシル基等が挙げられる。アルケニル基としては、直鎖状でも分岐状でもよい、例えば炭素数2〜14のアルケニル基、好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基が挙げられ、具体的にはビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、アリル基、1−スチリル基及び2−スチリル基等が挙げられる。アリール基としては、例えば炭素数6〜18のアリール基、好ましくは炭素数6〜12のアリール基が挙げられ、具体的にはフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−ビフェニル基及び4−ビフェニル基等が挙げられる。アラルキル基としては、直鎖状でも分岐状でもよい、例えば炭素数7〜24のアラルキル基、好ましくは炭素数7〜13のアラルキル基が挙げられ、具体的にはベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基及び2−ナフチルメチル基等が挙げられる。
本発明のリン化合物のR3、R4、R5及びR6における、アルキル基、アルケニル基、アリール基及びアラルキル基は各々置換基を有してもよい。置換基としては、例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、脂肪族複素環基、ヘテロアリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ヘテロアリールチオ基、アシルチオ基、スルフィニル基、スルホニル基、スルホ基、アミノ基、シアノ基及びハロゲノ基等が挙げられ、好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、シアノ基及びハロゲノ基等が挙げられる。好ましい置換基について更に具体的に説明する。アルキル基としては、例えば炭素数1〜10のアルキル基、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基が挙げられ、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、2−ブチル基、イソブチル基及びtert−ブチル基等が挙げられる。アルケニル基としては、例えば炭素数2〜10のアルケニル基、好ましくは炭素数2〜3のアルケニル基が挙げられ、具体的にはビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基及びアリル基等が挙げられる。アルキニル基としては、例えば炭素数2〜10のアルキニル基、好ましくは炭素数2〜4のアルキニル基が挙げられ、具体的にはエチニル基、1−プロピニル基及び1−ブチニル基等が挙げられる。アリール基としては、例えば炭素数6〜18のアリール基、好ましくは炭素数6〜12のアリール基が挙げられ、具体的にはフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−ビフェニル基及び4−ビフェニル基等が挙げられる。アラルキル基としては、例えば炭素数7〜24のアラルキル基、好ましくは炭素数7〜13のアラルキル基が挙げられ、具体的にはベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基及び2−ナフチルメチル基等が挙げられる。アルコキシ基としては、例えば炭素数1〜10のアルコキシ基、好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられ、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、1−プロポキシ基、2−プロポキシ基、1−ブトキシ基、2−ブトキシ基及びtert−ブトキシ基等が挙げられる。アミノ基としては、具体的には無置換のアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基及びN,N−ジフェニルアミノ基等が挙げられる。ハロゲノ基としては、具体的にはフルオロ基、クロロ基、ブロモ基及びヨード基が挙げられる。
本発明のリン化合物において、Yはオキソ基、チオキソ基、モノボラン又は孤立電子対を表し、好ましくは孤立電子対を表す。
本発明のリン化合物は、既知の有機合成反応、例えば脱プロトン化、酸化/スルフィド化/還元反応、保護/脱保護反応、求核/求電子置換反応、水素添加/脱水素反応、ハロゲノ化、エノールエーテル化、ホスフィノ化、Diels−Alder反応及び種々のカップリング反応等の手法を適宜組み合わせることによって容易に製造可能である。本発明は以下の例示によって何ら限定されるものではないが、例えば下記に示す反応式1により、市販のトリメチルシリルアセチレン(2)を原料として、一般式(1)で表されるリン化合物をそれぞれ容易に合成することが出来る。
また本発明のリン化合物の光学活性体は、キラルプール法、不斉反応及び光学分割といった手法を単独で或いは併用することによって製造可能である。このように製造された本発明のリン化合物は、必要に応じて後処理、精製及び単離を行うことができる。後処理の方法としては例えば、反応液の洗浄、生成物の抽出、沈殿物の濾過、溶媒の留去及び溶媒の添加による晶析等が挙げられ、これらの後処理を単独で或いは併用して行ってもよい。精製及び単離の方法としては、例えば、活性炭及びシリカゲル等の吸着剤による脱色、カラムクロマトグラフィー、蒸留、再結晶及び昇華等が挙げられ、これらを単独で或いは併用して行ってもよい。本発明のリン化合物を、触媒的有機合成反応における配位子として用いる際は、反応液をそのまま用いても良く、必要に応じて後処理、精製及び単離した後に用いてもよい。
次に、本発明の錯体について更に詳細に説明する。本発明の錯体は、遷移金属化合物に本発明のリン化合物を配位させることによって得られる。遷移金属化合物としては、例えば鉄、コバルト、ニッケル、銅、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金及び金等の化合物が挙げられ、好ましくはコバルト、ニッケル、銅、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、イリジウム及び金等の化合物が挙げられ、さらに好ましくはパラジウムである。好ましい遷移金属化合物について更に具体的に説明する。鉄化合物としては、例えば0価、2価及び3価の鉄化合物が挙げられ、具体的には、鉄(0)ペンタカルボニル、ノナカルボニル二鉄、酢酸鉄(II)、ヨウ化鉄(II)、臭化鉄(II)、硫酸アンモニウム鉄(II)六水和物、塩化鉄(II)、塩化鉄(II)四水和物、鉄(II)アセチルアセトナート、硫酸鉄(II)水和物、硫酸鉄(II)七水和物、過塩素酸鉄(II)水和物、テトラフルオロホウ酸鉄(II)六水和物、フッ化鉄(II)、硫酸鉄(III)水和物、硝酸鉄(III)九水和物、塩化鉄(III)、塩化鉄(III)六水和物、臭化鉄(III)、鉄(III)アセチルアセトナート、過塩素酸鉄(III)水和物、リン酸鉄(III)水和物、リン酸鉄(III)四水和物、フッ化鉄(III)、フッ化鉄(III)三水和物及び鉄(III)トリフルオロアセチルアセトナート等が挙げられる。コバルト化合物としては、例えば2価及び3価のコバルト化合物が挙げられ、具体的には、ヨウ化コバルト(II)、臭化コバルト(II)、臭化コバルト(II)水和物、塩化コバルト(II)、塩化コバルト(II)水和物、塩化コバルト(II)六水和物、フッ化コバルト(II)、フッ化コバルト(II)四水和物、シアン化コバルト(II)二水和物、酢酸コバルト(II)、酢酸コバルト(II)四水和物、硫酸コバルト(II)水和物、硫酸コバルト(II)七水和物、硝酸コバルト(II)六水和物、過塩素酸コバルト(II)六水和物、テトラフルオロホウ酸コバルト(II)六水和物、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(II)アセチルアセトナート水和物、コバルト(II)ヘキサフルオロアセチルアセトナート水和物、コバルト(III)アセチルアセトナート及びフッ化コバルト(III)等が挙げられる。ニッケル化合物としては、例えば0価及び2価のニッケル化合物が挙げられ、具体的にはビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)ジクロリド、ヨウ化ニッケル(II)、臭化ニッケル(II)、臭化ニッケル(II)水和物、臭化ニッケル(II)三水和物、塩化ニッケル(II)、塩化ニッケル(II)水和物、塩化ニッケル(II)六水和物、フッ化ニッケル(II)酢酸ニッケル(II)四水和物、硫酸ニッケル(II)、硫酸ニッケル(II)六水和物、硫酸ニッケル(II)七水和物、硝酸ニッケル(II)六水和物、ニッケル(II)アセチルアセトナート、過塩素酸ニッケル(II)六水和物、水酸化ニッケル(II)、トリフルオロメタンスルホニルニッケル(II)、ヘキサフルオロアセチルアセトナートニッケル(II)水和物及びシュウ酸ニッケル(II)二水和物等が挙げられる。銅化合物としては、例えば1価及び2価の銅化合物が挙げられ、具体的にはヨウ化銅(I)、臭化銅(I)、塩化銅(I)、酸化銅(I)、酢酸銅(I)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(I)ベンゼン錯体、テトラキスアセトニトリル銅(I)トリフレート、シアン化銅(I)、臭化銅(II)、酸化銅(II)、塩化銅(II)、塩化銅(II)二水和物、フッ化銅(II)、フッ化銅(II)水和物、硝酸銅(II)水和物、硝酸銅(II)三水和物、硫酸銅(II)、硫酸銅(II)五水和物、酢酸銅(II)、酢酸銅(II)一水和物、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)、銅(II)アセチルアセトナート、テトラフルオロホウ酸銅(II)水和物、過塩素酸銅(II)六水和物、ヘキサフルオロアセチルアセトナート銅(II)水和物及びトリフルオロ酢酸銅(II)等が挙げられる。ルテニウム化合物としては、例えば2価及び3価のルテニウム化合物が挙げられ、具体的にはジクロロ(メシチレン)ルテニウム(II)ダイマー、ジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマー、ジヨード(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマー、ジクロロ(ヘキサメチルベンゼン)ルテニウム(II)ダイマー、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)ルテニウム(II)、トリス(アセトニトリル)シクロペンタジエニルルテニウム(II)ヘキサフルオロホスファート、ヨウ化ルテニウム(III)、塩化ルテニウム(III)、塩化ルテニウム(III)三水和物、塩化ルテニウム(III)六水和物、ヨウ化ルテニウム(III)水和物及びルテニウム(III)アセチルアセトナート等が挙げられる。ロジウム化合物としては、例えば1価、2価及び3価のロジウム化合物が挙げられ、具体的にはクロロ(1,5−ヘキサジエン)ロジウム(I)ダイマー、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)トリフルオロメタンスルホナート、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)ヘキサフルオロアンチモナート、ビス(ノルボルナジエン)ロジウム(I)トリフルオロメタンスルホナート、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボラート、クロロ(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)ダイマー、アセチルアセトナトビス(エチレン)ロジウム(I)、(アセチルアセトナト)(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)、ビス(アセトニトリル)(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボラート、クロロビス(シクロオクテン)ロジウム(I)ダイマー、(アセチルアセトナト)(ノルボルナジエン)ロジウム(I)、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)テトラキス[ビス(3,5−トリフルオロメチル)フェニル]ボラート、ヒドリドテトラキス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ジロジウム(I)ジクロリド、(アセチルアセトナト)ジカルボニルロジウム(I)、ビスオクタン酸ロジウム(II)ダイマー、トリフルオロ酢酸ロジウム(II)ダイマー、ロジウム(II)トリフェニルアセタートダイマー、酢酸ロジウム(II)ダイマー、酢酸ロジウム(II)ダイマー二水和物、トリメチル酢酸ロジウム(II)ダイマー、ロジウム(III)アセチルアセトナート、塩化ロジウム(III)、塩化ロジウム(III)水和物及び硝酸ロジウム(III)水和物等が挙げられる。パラジウム化合物としては、例えば0価、1価及び2価のパラジウム化合物が挙げられ、具体的にはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、ヨウ化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、パラジウム(II)ピバラート、パラジウム(II)アセチルアセトナート、ビス(アセトニトリル)パラジウム(II)クロリド、ビス(アセトニトリル)パラジウム(II)ブロミド、ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)クロリド、ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)ブロミド、硫酸パラジウム(II)、硝酸パラジウム(II)水和物、硝酸パラジウム(II)二水和物、トリフルオロ酢酸パラジウム(II)、パラジウム(π−アリル)クロリドダイマー、パラジウム(π−シンナミル)クロリドダイマー、テトラキス(アセトニトリル)パラジウム(II)テトラフルオロボラート、パラジウム(II)ヘキサフルオロアセチルアセトナート、シアン化パラジウム(II)、プロピオン酸パラジウム(II)、(2−メチルアリル)パラジウム(II)クロリドダイマー、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム(II)、テトラクロロパラジウム(II)酸ナトリウム及びテトラクロロパラジウム(II)酸カリウム等が挙げられ、好ましくはパラジウム(π−アリル)クロリドダイマーである。銀化合物としては、例えば1価及び2価の銀化合物が挙げられ、具体的には臭化銀(I)、塩化銀(I)、フッ化銀(I)、硝酸銀(I)、酢酸銀(I)、炭酸銀(I)、テトラフルオロホウ酸銀(I)、硫酸銀(I)、過塩素酸銀(I)、過塩素酸銀(I)一水和物、トリフルオロ酢酸銀(I)、亜硝酸銀(I)、トリフルオロメタンスルホン酸銀(I)、ヘキサフルオロリン酸銀(I)、シアン酸銀(I)、安息香酸銀(I)、銀(アセチルアセトナート)、メタンスルホン酸銀(I)、p−トルエンスルホン酸銀(I)、フッ化銀(II)及びピコリン酸銀(II)等が挙げられる。オスミウム化合物としては、例えば3価のオスミウム化合物が挙げられ、具体的には塩化オスミウム(III)、塩化オスミウム(III)水和物等が挙げられる。イリジウム化合物としては、例えば1価及び3価のイリジウム化合物が挙げられ、具体的には(1,5−シクロオクタジエン)(メトキシ)イリジウム(I)ダイマー、ビス(シクロオクタジエン)イリジウム(I)テトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ボラート、ビス(1,5−シクロオクタジエン)イリジウム(I)テトラフルオロボラート、(1,5−シクロオクタジエン)(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)イリジウム(I)、(アセチルアセトナト)(1,5−シクロオクタジエン)イリジウム(I)、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ジイリジウム(I)ジクロリド、(アセチルアセトナト)ジカルボニルイリジウム(I)、塩化イリジウム(III)、塩化イリジウム(III)水和物及びイリジウム(III)アセチルアセトナート等が挙げられる。白金化合物としては、例えば2価及び4価の白金化合物が挙げられ、具体的にはヨウ化白金(II)、臭化白金(II)、塩化白金(II)、シアン化白金(II)、白金(II)アセチルアセトナート、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)白金(II)、テトラクロロ白金(II)酸カリウム、cis−ビス(アセトニトリル)ジクロロ白金(II)、cis−ビス(ベンゾニトリル)ジクロロ白金(II)、塩化白金(IV)、ヘキサクロロ白金(IV)酸カリウム等が挙げられる。金化合物としては、例えば1価及び3価の金化合物が挙げられ、具体的にはヨウ化金(I)、塩化金(I)、金(I)シアニド、臭化金(III)、塩化金(III)水和物、塩化金(III)三水和物及び塩化金(III)カリウム等が挙げられる。
本発明の錯体の製造においては溶媒を共存させることが望ましいが、遷移金属化合物に対する本発明のリン化合物の配位を阻害しない限り溶媒は特に限定されるものではなく、更に必要に応じて酸及び塩基を共存させてもよい。このようにして得られた本発明の錯体は、必要に応じて後処理、精製及び単離を行うことができる。後処理の方法としては例えば、反応液の洗浄、生成物の抽出、沈殿物の濾過、溶媒の留去及び溶媒の添加による晶析等が挙げられ、これらの後処理を単独で或いは併用して行ってもよい。精製及び単離の方法としては例えば、活性炭及びシリカゲル等の吸着剤による脱色、カラムクロマトグラフィー、再結晶及び昇華等が挙げられ、これらを単独で或いは併用して行ってもよい。本発明の錯体を有機合成反応における触媒として用いる際は、反応液をそのまま触媒溶液として用いても良く、必要に応じて後処理、精製及び単離した後に用いてもよい。
以下に、本発明のリン化合物について実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお実施例中において、物性の測定に用いた装置は次の通りである。
1)1H−NMRスペクトル:Varian Mercury plus 300(バリアン製)
2)31P−NMRスペクトル:Varian Mercury plus 300(バリアン製)
外部標準物質:リン酸
(実施例1)ジシクロヘキシル(3−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ホスフィンオキシド(構造式(6))の合成(反応式2)
第1工程:ジシクロヘキシル(エチニル)ホスフィンオキシド(構造式(3))の合成
500mLの4つ口反応フラスコに三方コック、スターラーバー、滴下漏斗及び温度計を取り付け、内部を窒素置換した。この反応フラスコに、窒素気流下にてトリメチルシリルアセチレン(2)(6.78g、69.0mmol、1.07当量)及びテトラヒドロフラン(THF)(135mL)を順次仕込んで、氷水浴にて5℃に冷却した。滴下漏斗にn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(40.8mL、1.58mol/L、64.5mmol、1.0当量)を仕込み、15分かけてフラスコ内の溶液に滴下した後に、5℃で40分撹拌した。次いでクロロジシクロヘキシルホスフィン(15.0g、64.5mmol、1.0当量)を滴下漏斗に仕込み、15分かけて反応液に滴下した後、氷水浴を取り去って室温まで昇温し、更に1時間撹拌した。この反応液を減圧下で濃縮した後、得られた残渣にトルエン(135mL)を加えて水浴にて15℃に冷却した。次いで10%過酸化水素水(60mL)を滴下漏斗に仕込み、内温が30℃を越えないような速度で反応液に滴下した後、更に室温で90分撹拌した。この反応液から水層を分液し、有機層を水で洗浄した後に減圧下で濃縮した。次いで、得られた残渣にメタノール(135mL)及び炭酸カリウム(19.2g、138.9mmol、2.2当量)を加え、室温にて30分撹拌した。反応液に水(100mL)を加え、メタノールを減圧下で留去した。得られた水層にトルエンを加えて抽出し、有機層を水で洗浄した後に濃縮乾固することで、表題化合物(3)が淡赤色固体として14.6g得られた。単離収率:95.0%。
1H NMR(300MHz、CDCl3):δ 2.95 (d,J=4.0Hz,1H),2.06−1.22 (m, 22H).
31P NMR(121MHz,CDCl3):δ 36.1.
第2工程:(ブロモエチニル)ジシクロヘキシルホスフィンオキシド(構造式(4))の合成
500mLの4つ口反応フラスコに三方コック、スターラーバー及び温度計を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、窒素気流下でジシクロヘキシル(エチニル)ホスフィンオキシド(3)(14.5g、60.8mmol、1.0当量)、アセトン(245mL)、N−ブロモスクシンイミド(12.0g、67.2mmol、1.1当量)及び硝酸銀(0.311g、1.83mmol、3.0mol%)を順次仕込み、室温で4時間撹拌した。この反応液を減圧濃縮し、得られた残渣にトルエン(150mL)を加えた後にセライト545を用いて吸引濾過した。濾液を水で洗浄した後に減圧下で濃縮し、残渣にヘプタン(200mL)を加え、得られた懸濁液から吸引濾過にて粉体を濾過し、更に減圧下で乾燥することで、表題化合物(4)が無色粉末として15.1g得られた。単離収率:78.3%。
1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 2.01−1.60 (m, 12H),1.59−1.16 (m,10H).
31P NMR(121MHz,CDCl3):δ 37.0.
第3工程:(3−ブロモビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ジシクロヘキシルホスフィンオキシド(構造式(5))の合成
100mLのオートクレーブにスターラーバーを取り付け、(ブロモエチニル)ジシクロヘキシルホスフィンオキシド(4)(7.5g、23.6mmol、1.0当量)及びヒドロキノン(0.075g、0.68mmol、2.9mol%)を仕込み、内部を窒素置換した。次いで、窒素気流下にてシクロペンタジエン(7.9mL、94.4mmol、4.0当量)及びトルエン(8mL)を加えた後に装置を加熱し、85℃にて9時間撹拌した。反応液を室温まで放冷した後に、直接シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/メタノール=20/1)により精製することで、表題化合物(5)が無色固体として7.3g得られた。単離収率:80.7%。
1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 6.92−6.84(m,2H),4.20−4.14(m,1H),3.74−3.68(m,1H),2.35−2.28(m,1H),2.18−1.60 (m,13H),1.58−1.10 (m,10H).
31P NMR(121MHz,CDCl3):δ 46.9.
第4工程:ジシクロヘキシル(3−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ホスフィンオキシド(構造式(6))の合成
50mLの4つ口反応フラスコに三方コック、スターラーバー、冷却管及び温度計を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、窒素気流下で(3−ブロモビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ジシクロヘキシルホスフィンオキシド(5)(1.92g、5.0mmol、1.0当量)、1,4−ジオキサン(10mL)、水(10mL)、フェニルボロン酸(0.91g、7.5mmol、1.5当量)、リン酸カリウム(2.12g、10.0mmol、2.0当量)及び酢酸パラジウム(0.0224g、0.1mmol、2.0mol%)を順次仕込んだ後に油浴にて加熱し、80℃にて3時間撹拌した。反応液を室温まで放冷し、トルエンを加えて攪拌した後に水層を分液した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後に減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/メタノール=25/1)により精製することで、表題化合物(6)が無色固体として0.90g得られた。単離収率:47.3%。
1H NMR(300MHz,CD3OD):δ 7.52−7.45(m,2H),7.38−7.25(m,3H),6.98−6.88(m,2H),4.00−3.94(m,1H),3.88−3.83(m,1H),2.30−2.25(m,1H),2.06−1.02 (m,23H).
31P NMR(121MHz,CD3OD):δ 45.0.
(実施例2)ジシクロヘキシル(3−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ホスフィン(構造式(7))の合成(反応式3)
200mLの4つ口反応フラスコに三方コック、スターラーバー、冷却管及び温度計を取り付け、更にジシクロヘキシル(3−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ホスフィンオキシド(6)(1.90g、5.0mmol、1.0当量)、トルエン(50mL)及びN,N−ジメチルアニリン(6.4mL、50.0mmol、10.0当量)を順次仕込み、この溶液を減圧下で脱気した後に窒素置換し、更に氷水浴にて5℃に冷却した。次いでこの溶液に、トリクロロシラン(2.5mL、25.0mmol、5.0当量)を、シリンジにて内温が10℃を越えない速度で滴下した後に、油浴にて100℃まで6時間かけて徐々に昇温した。反応液を氷水浴にて5℃に冷却し、反応フラスコに滴下漏斗を取り付けて水酸化ナトリウム水溶液(62.5mL、2.0mol/L、125.0mmol、25.0当量)を仕込み、内温が30℃を越えない速度で滴下した。反応液を油浴にて加熱して60℃で2時間撹拌し、室温まで放冷した後に水層を分液した。有機層を水及び1規定塩酸で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後に減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン)で精製した後、更にトルエン/メタノールから再結晶することで、表題化合物(7)が無色結晶として0.61g得られた。単離収率:33.5%。
1H NMR(300MHz,CD2Cl2):δ 7.55−7.50 (m,2H),7.34−7.28 (m,2H),7.24−6.97 (m,1H),6.84−6.79 (m,2H),3.96−3.92 (m,1H),3.85−3.81 (m,1H),2.16−2.11 (m,1H),2.02−1.97 (m,1H),1.96−1.58 (m,12H),1.40−0.90 (m,10H).
31P NMR(121MHz,CD2Cl2):δ −23.5.
(実施例3)ジシクロヘキシル(3−(2−メトキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ホスフィンオキシド(構造式(8))の合成(反応式4)
50mLの4つ口反応フラスコに三方コック、スターラーバー、冷却管及び温度計を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、窒素気流下で(3−ブロモビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ジシクロヘキシルホスフィンオキシド(5)(0.77g、2.0mmol、1.0当量)、1,4−ジオキサン(4mL)、水(4mL)、2−メトキシフェニルボロン酸(0.76g、5.0mmol、2.5当量)、リン酸カリウム(1.59g、7.5mmol、3.75当量)及び酢酸パラジウム(0.0135g、0.06mmol、3.0mol%)を順次仕込んだ後に油浴にて加熱し、80℃にて3時間撹拌した。反応液を室温まで放冷し、トルエンを加えて攪拌した後に水層を分液した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後に減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/メタノール=30/1)により精製することで、表題化合物(8)が無色固体として0.69g得られた。単離収率:84.0%。
1H NMR(300MHz,CD3OD):δ 7.37−7.30(m,1H),7.03−6.88(m,5H),4.04−4.00(m,1H),3.82(s,3H),3.73−3.70(m,1H),2.35−2.30(m,1H),2.02−1.98(m,1H),1.92−1.50 (m,12H),1.42−0.95(m,10H).
31P NMR(121MHz,CD3OD):δ 45.8.
(実施例4)ジシクロヘキシル(3−(2−メトキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ホスフィン(構造式(9))の合成(反応式5)
100mLの4つ口反応フラスコに三方コック、スターラーバー、冷却管及び温度計を取り付け、更にジシクロヘキシル(3−(2−メトキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ホスフィンオキシド(8)(0.90g、2.2mmol、1.0当量)、トルエン(22mL)及びN,N−ジメチルアニリン(2.8mL、22.0mmol、10.0当量)を順次仕込み、この溶液を減圧下で脱気した後に窒素置換し、更に氷水浴にて5℃に冷却した。次いでこの溶液に、トリクロロシラン(1.1mL、11.0mmol、5.0当量)を、シリンジにて内温が10℃を越えない速度で滴下した後に、油浴にて100℃まで6時間かけて徐々に昇温し、更に100℃にて16時間攪拌した。反応液を氷水浴にて5℃に冷却し、反応フラスコに滴下漏斗を取り付けて水酸化ナトリウム水溶液(27.5mL、2.0mol/L、55.0mmol、25.0当量)を仕込み、内温が30℃を越えない速度で滴下した。反応液を油浴にて加熱して60℃で2時間撹拌し、室温まで放冷した後に水層を分液した。有機層を水及び1規定塩酸で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後に減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン)で精製した後、更にトルエン/メタノールから再結晶することで、表題化合物(9)が無色結晶として0.34g得られた。単離収率:39.0%。
1H NMR(300MHz,CD2Cl2):δ 7.58−7.54 (m,1H),7.11−7.06 (m,1H),6.98−6.92 (m,1H),6.86−6.82 (m,2H),6.57−6.53(m,1H),3.91−3.88 (m,1H),3.82−3.78 (m,1H),3.30(s,3H),2.34−2.30 (m,1H),2.13−2.10 (m,1H),1.94−1.52 (m,12H),1.43−1.02 (m,10H).
31P NMR(121MHz,CD2Cl2):δ −24.3.
(実施例5)ジシクロヘキシル(3−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−イル)ホスフィンオキシド(構造式(11))の合成(反応式6)
第1工程:(3−ブロモビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−イル)ジシクロヘキシルホスフィンオキシド(構造式(10))の合成
200mLの4つ口反応フラスコに三方コック、スターラーバー及び温度計を取り付け、更に(3−ブロモビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ジシクロヘキシルホスフィンオキシド(5)(3.83g、10.0mmol、1.0当量)及びエタノール(100mL)を順次仕込んで、減圧下で脱気した後に窒素置換した。この溶液に、窒素気流下で5%パラジウム/炭素(0.019g、(5)の重量に対して0.5重量%)を加え、減圧下で脱気した後にゴム風船を用いて水素置換を行った。反応液を30℃、常圧の水素雰囲気下で2時間撹拌した後に、セライト545を用いて吸引濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/メタノール=20/1)で精製することで、表題化合物(10)が無色固体として3.76g得られた。単離収率:97.6%。
1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 3.46−3.42 (m,1H),3.09−3.04 (m,1H),2.26−2.13 (m,2H),2.06−1.12(m,26H).
31P NMR(121MHz,CDCl3):δ 47.2.
第2工程:ジシクロヘキシル(3−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−イル)ホスフィンオキシド(構造式(11)の合成)
50mLの4つ口反応フラスコに三方コック、スターラーバー、冷却管及び温度計を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、窒素気流下で(3−ブロモビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−イル)ジシクロヘキシルホスフィンオキシド(10)(0.963g、2.5mmol、1.0当量)、1,4−ジオキサン(5mL)、水(5mL)、フェニルボロン酸(0.457g、3.75mmol、1.5当量)、リン酸カリウム(1.06g、5.0mmol、2.0当量)及び酢酸パラジウム(0.0112g、0.05mmol、2.0mol%)を順次仕込んだ後に油浴にて加熱し、80℃にて6時間撹拌した。反応液を室温まで放冷し、トルエンを加えて攪拌した後に水層を分液した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後に減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/メタノール=20/1)により精製することで、表題化合物(11)が無色固体として0.86g得られた。単離収率:89.9%。
1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 7.39−7.27(m,5H),3.35−3.30(m,1H),3.21−3.17(m,1H),2.11−2.01(m,1H),1.92−0.84 (m,27H).
31P NMR(121MHz,CDCl3):δ 44.9.
(実施例6)ジシクロヘキシル(3−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−イル)ホスフィン(構造式(12))の合成(反応式7)
100mLの4つ口反応フラスコに三方コック、スターラーバー、冷却管及び温度計を取り付け、更にジシクロヘキシル(3−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−イル)ホスフィンオキシド(0.84g、2.2mmol、1.0当量)(11)、トルエン(22mL)及びN,N−ジメチルアニリン(2.8mL、22.0mmol、10.0当量)を順次仕込み、この溶液を減圧下で脱気した後に窒素置換し、更に氷水浴にて5℃に冷却した。次いでこの溶液に、トリクロロシラン(1.1mL、11.0mmol、5.0当量)を、シリンジにて内温が10℃を越えない速度で滴下した後に、油浴にて100℃まで7時間かけて徐々に昇温し、更に100℃にて17時間攪拌した。反応液を氷水浴にて5℃に冷却し、反応フラスコに滴下漏斗を取り付けて水酸化ナトリウム水溶液(27.5mL、2.0mol/L、55.0mmol、25.0当量)を仕込み、内温が30℃を越えない速度で滴下した。反応液を油浴にて加熱して60℃で2時間撹拌し、室温まで放冷した後に水層を分液した。有機層を水及び1規定塩酸で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後に減圧下で濃縮した。得られた残渣をトルエン/メタノールから再結晶することで、表題化合物(12)が無色結晶として0.34g得られた。単離収率:41.9%。
1H NMR(300MHz,CD2Cl2):δ 7.54−7.48 (m,2H),7.32−7.25 (m,2H),7.24−7.17 (m,1H),3.26−3.22 (m,1H), 3.22−3.18 (m,1H),1.96−1.61 (m,16H),1.38−1.20 (m,12H).
31P NMR(121MHz,CD2Cl2):δ −19.5.
(実施例7)ジシクロヘキシル(3−(2−メトキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−イル)ホスフィンオキシド(構造式(13))の合成(反応式8)
50mLの4つ口反応フラスコに三方コック、スターラーバー、冷却管及び温度計を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、窒素気流下で(3−ブロモビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−イル)ジシクロヘキシルホスフィンオキシド(10)(1.54g、4.0mmol、1.0当量)、1,4−ジオキサン(8mL)、水(8mL)、2−メトキシフェニルボロン酸(1.52g、10.0mmol、2.5当量)、リン酸カリウム(3.18g、15.0mmol、3.75当量)及び酢酸パラジウム(0.0269g、0.12mmol、3.0mol%)を順次仕込んだ後に油浴にて加熱し、80℃にて1時間撹拌した。反応液を室温まで放冷し、トルエンを加えて攪拌した後に水層を分液した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後に減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/メタノール=25/1)により精製することで、表題化合物(13)が無色固体として1.63g得られた。単離収率:98.5%。
1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 7.32−7.28(m,1H),7.02−6.97(m,1H),6.92−6.84(m,2H),3.79(s,3H),3.38−3.35(m,1H),3.08−3.03(m,1H),2.21−1.90(m,1H),1.89−0.91 (m,27H).
31P NMR(121MHz,CDCl3):δ 46.4.
(実施例8)ジシクロヘキシル(3−(2−メトキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−イル)ホスフィン(構造式(14))の合成(反応式9)
200mLの4つ口反応フラスコに三方コック、スターラーバー、冷却管及び温度計を取り付け、更にジシクロヘキシル(3−(2−メトキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−イル)ホスフィンオキシド(13)(1.63g、3.94mmol、1.0当量)、トルエン(40mL)及びN,N−ジメチルアニリン(5.0mL、39.4mmol、10.0当量)を順次仕込み、この溶液を減圧下で脱気した後に窒素置換し、更に氷水浴にて5℃に冷却した。次いでこの溶液に、トリクロロシラン(2.0mL、19.7mmol、5.0当量)を、シリンジにて内温が10℃を越えない速度で滴下した後に、油浴にて100℃まで6時間30分かけて徐々に昇温し、更に100℃にて16時間攪拌した。反応液を氷水浴にて5℃に冷却し、反応フラスコに滴下漏斗を取り付けて水酸化ナトリウム水溶液(50.0mL、2.0mol/L、100.0mmol、25.4当量)を仕込み、内温が30℃を越えない速度で滴下した。反応液を油浴にて加熱して60℃で2時間撹拌し、室温まで放冷した後に水層を分液した。有機層を水及び1規定塩酸で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後に減圧下で濃縮した。得られた残渣をトルエン/メタノールから再結晶することで、表題化合物(14)が無色結晶として0.97g得られた。単離収率:62.1%。
1H NMR(300MHz,CD2Cl2):δ 7.25−7.19 (m,1H),7.06−7.01 (m,1H),6.09−6.82 (m,2H),3.77(s,3H),3.18−3.14(m,1H),3.07−3.03 (m,1H),1.88−1.59 (m,16H),1.40−0.90 (m,12H).
31P NMR(121MHz,CD2Cl2):δ −18.9.
(実施例9)ジシクロヘキシル(3−(2,6−ジメトキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−イル)ホスフィンオキシド(構造式(15))の合成(反応式10)
50mLの4つ口反応フラスコに三方コック、スターラーバー、冷却管及び温度計を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、窒素気流下で(3−ブロモビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−イル)ジシクロヘキシルホスフィンオキシド(10)(1.16g、3.0mmol、1.0当量)、1,4−ジオキサン(12mL)、水(12mL)、2,6−ジメトキシフェニルボロン酸(1.09g、6.0mmol、2.0当量)、炭酸カリウム(1.66g、12.0mmol、4.0当量)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.173g、0.15mmol、5mol%)を順次仕込み、油浴にて加熱しながら80℃にて2時間撹拌した後に、窒素気流下で2,6−ジメトキシフェニルボロン酸(1.09g、6.0mmol、2.0当量)を添加し、80℃で更に15時間攪拌した。反応液を室温まで放冷し、トルエンを加えて攪拌した後に水層を分液した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後に減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/メタノール=20/1)により精製することで、表題化合物(15)が無色固体として0.90g得られた。単離収率:67.8%。
1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 7.22−7.16(m,1H),6.53−6.49(m,2H),3.75(s,3H),3.69(s,3H),3.36−3.30(m,1H),2.91−2.86(m,1H),1.91−0.96 (m,28H).
31P NMR(121MHz,CDCl3):δ 44.8.
(実施例10)ジシクロヘキシル(3−(2,6−ジメトキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−イル)ホスフィン(構造式(16))の合成(反応式11)
100mLの4つ口反応フラスコに三方コック、スターラーバー、冷却管及び温度計を取り付け、更にジシクロヘキシル(3−(2,6−ジメトキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−イル)ホスフィンオキシド(15)(0.885g、2.0mmol、1.0当量)、トルエン(20mL)及びN,N−ジメチルアニリン(2.5mL、20.0mmol、10.0当量)を順次仕込み、この溶液を減圧下で脱気した後に窒素置換し、更に氷水浴にて5℃に冷却した。次いでこの溶液に、トリクロロシラン(1.0mL、10.0mmol、5.0当量)を、シリンジにて内温が10℃を越えない速度で滴下した後に、油浴にて100℃まで6時間かけて徐々に昇温した。反応液を氷水浴にて5℃に冷却し、反応フラスコに滴下漏斗を取り付けて水酸化ナトリウム水溶液(25.0mL、2.0mol/L、50.0mmol、25.0当量)を仕込み、内温が30℃を越えない速度で滴下した。反応液を油浴にて加熱して60℃で2時間撹拌し、室温まで放冷した後に水層を分液した。有機層を水及び1規定塩酸で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後に減圧下で濃縮した。得られた残渣をトルエン/メタノールから再結晶することで、表題化合物(16)が無色結晶として0.35g得られた。単離収率:41.0%。
1H NMR(300MHz,CD2Cl2):δ 7.19−7.13 (m,1H),6.54−6.51 (m,2H),3.73(s,3H),3.65(s,3H),3.16−3.11(m,1H),2.82−2.78 (m,1H),1.88−0.96 (m,28H).
31P NMR(121MHz,CD2Cl2):δ −17.2.
(実施例11)ジ−tert−ブチル(3−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ホスフィンオキシド(構造式(20))の合成(反応式12)
第1工程:ジ−tert−ブチル(エチニル)ホスフィンオキシド(構造式(17))の合成
500mLの4つ口反応フラスコに三方コック、スターラーバー、滴下漏斗及び温度計を取り付け、内部を窒素置換した。この反応フラスコに、窒素気流下にてトリメチルシリルアセチレン(2)(6.19g、63.0mmol、1.05当量)及びTHF(135mL)を順次仕込んで、氷水浴にて5℃に冷却した。滴下漏斗にn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(37.5mL、1.60mol/L、60.0mmol、1.0当量)を仕込み、30分かけてフラスコ内の溶液に滴下した後に、5℃で2時間撹拌した。次いでクロロジ−tert−ブチルホスフィン(11.4mL、60.0mmol、1.0当量)を滴下漏斗に仕込み、15分かけて反応液に滴下した後、氷水浴を取り去って室温まで昇温し、更に30分撹拌した。この反応液を減圧下で濃縮した後、得られた残渣にトルエン(120mL)を加えて水浴にて15℃に冷却した。次いで5%過酸化水素水(120mL)を滴下漏斗に仕込み、内温が30℃を越えないような速度で反応液に滴下した後、更に室温で90分撹拌した。この反応液から水層を分液し、水層をクロロホルムで抽出した。有機層をまとめて水で洗浄した後に減圧下で濃縮乾固することで、表題化合物(17)の粗生成物が淡黄色固体として11.6g得られた。
1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 2.97(d,J=8.1Hz,1H),1.32 (d,J=15.0Hz,18H).
31P NMR(121MHz,CDCl3):δ 50.4.
第2工程:(ブロモエチニル)ジ−tert−ブチルホスフィンオキシド(構造式(18))の合成
500mLの4つ口反応フラスコに三方コック、スターラーバー及び温度計を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、第1工程で得られたジ−tert−ブチル(エチニル)ホスフィンオキシド(17)粗生成物(11.6g)、アセトン(240mL)、N−ブロモスクシンイミド(11.74g、66.0mmol、クロロジ−tert−ブチルホスフィンに対して1.1当量)及び硝酸銀(0.306g、1.80mmol、クロロジ−tert−ブチルホスフィンに対して3.0mol%)を窒素気流下で順次仕込み、室温で2時間撹拌した。この反応液を減圧下で濃縮し、残渣にトルエン(150mL)を加えた後にセライト545を用いて吸引濾過した。この濾液を減圧下で濃縮し、残渣にクロロホルム(120mL)を加え、水で洗浄した後に減圧下で濃縮した。この残渣にヘプタン(100mL)を加え、得られた懸濁液から吸引濾過にて粉体を濾過し、更に減圧下で乾燥することで、表題化合物(18)が無色粉末として9.65g得られた。単離収率:60.7%(クロロジ−tert−ブチルホスフィン基準)。
1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 1.32 (d,J=15.0Hz,18H).
31P NMR(121MHz,CDCl3):δ 50.1.
第3工程:(3−ブロモビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ジ−tert−ブチルホスフィンオキシド(構造式(19))の合成
100mLのオートクレーブにスターラーバーを取り付け、更に(ブロモエチニル)ジ−tert−ブチルホスフィンオキシド(18)(4.98g、18.8mmol、1.0当量)及びヒドロキノン(0.030g、0.27mmol、1.4mol%)を仕込み、内部を窒素置換した。次いで、窒素気流下にてシクロペンタジエン(6.7mL、79.7mmol、4.2当量)及びトルエン(7mL)を加えた後に装置を加熱し、80℃にて23時間撹拌した。反応液を室温まで放冷した後に、直接シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル)により精製することで、表題化合物(19)が淡黄色固体として5.07g得られた。単離収率81.4%。
1H NMR(300MHz,CD3OD):δ 7.00−6.90(m,2H),4.25−4.14(m,1H),3.80−3.68(m,1H),2.40−2.33(m,1H),2.18−2.01 (m,1H)、1.48−1.10 (m,18H).
31P NMR(121MHz,CD3OD):δ 58.5.
第4工程:ジ−tert−ブチル(3−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ホスフィンオキシド(構造式(20))の合成
20mLのシュレンク管に、(3−ブロモビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ジ−tert−ブチルホスフィンオキシド(19)(0.156g、0.47mmol、1.0当量)、フェニルボロン酸(0.067g、0.55mmol、1.2当量)、リン酸カリウム(0.127g、0.60mmol、1.3当量)、及び酢酸パラジウム(0.0011g、0.005mmol、1.1mol%)を順次仕込んだ後にスターラーバー、三方コック及び冷却管を取り付け、内部を窒素置換した。このシュレンク管に、窒素気流下でトルエン(1mL)を加えた後に油浴にて加熱し、100℃にて2時間撹拌した。反応液を室温まで放冷し、クロロホルム及び水を加えて攪拌した後に水層を分液した。有機層を減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル)により精製することで、表題化合物(20)が無色固体として0.066g得られた。単離収率:42.8%。
1H NMR(300MHz,CD3OD):δ 7.30−7.21(m,5H),7.04(dd,J=5.1,3.0Hz,1H),6.96(dd,J=4.5,3.0Hz,1H),4.16−4.12(m,1H),3.71−3.69(m,1H),2.40−2.33(m,1H),2.08−2.03 (m,1H),1.33(d,J=13.5Hz,9H),1.21(d,J=13.8Hz,9H).
31P NMR(121MHz、CD3OD):δ 57.6.
(実施例12)ジフェニル(3−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ホスフィンオキシド(構造式(24))の合成(反応式13)
第1工程:ジフェニル(エチニル)ホスフィンオキシド(構造式(21))の合成
500mLの4つ口反応フラスコに三方コック、スターラーバー、滴下漏斗及び温度計を取り付け、内部を窒素置換した。この反応フラスコに、窒素気流下にてトリメチルシリルアセチレン(2)(6.19g、63.0mmol、1.05当量)及びTHF(120mL)を順次仕込んで、氷水浴にて5℃に冷却した。滴下漏斗にn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(37.5mL、1.60mol/L、60.0mmol、1.0当量)を仕込み、10分かけてフラスコ内の溶液に滴下した後に、5℃で30分撹拌した。次いでクロロジフェニルホスフィン(11.1mL、60.0mmol、1.0当量)及びTHF(11mL)を滴下漏斗に仕込み、5分かけて反応液に滴下した後、氷水浴を取り去って室温まで昇温し、更に90分撹拌した。この反応液を減圧下で濃縮した後、得られた残渣にトルエン(120mL)を加えて水浴にて15℃に冷却した。次いで10%過酸化水素水(60mL)を滴下漏斗に仕込み、内温が30℃を越えないような速度で反応液に滴下した後、更に室温で90分撹拌した。この反応液から水層を分液し、更に水層をトルエンで抽出した。これらの有機層をまとめて水で洗浄した後に減圧下で濃縮することで、表題化合物(21)の粗生成物が褐色非晶質として14.8g得られた。
1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 7.89−7.42(m,10H),3.32(d,J=9.6Hz,1H).
31P NMR(121MHz,CDCl3):δ 9.4.
第2工程:(ブロモエチニル)ジフェニルホスフィンオキシド(構造式(22))の合成
500mLの4つ口反応フラスコに三方コック、スターラーバー及び温度計を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、第1工程で得られたジフェニル(エチニル)ホスフィンオキシド(21)粗生成物(14.8g)のアセトン(240mL)溶液、N−ブロモスクシンイミド(11.74g、66.0mmol、クロロジフェニルホスフィンに対して1.1当量)及び硝酸銀(0.204g、1.2mmol、クロロジフェニルホスフィンに対して2.0mol%)を順次仕込み、室温で2時間撹拌した。この反応液を減圧濃縮し、残渣にトルエン(150mL)を加えた後にセライト545を用いて吸引濾過した。この濾液を減圧下濃縮し、残渣にクロロホルム(120mL)を加え、水で洗浄した後に減圧下で濃縮した。この残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル)により精製することで、表題化合物(22)が褐色非晶質として15.0g得られた。単離収率:81.9%(クロロジフェニルホスフィン基準)。
1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 7.86−7.78 (m,4H),7.59−7.44(m,6H).
31P NMR(121MHz,CDCl3):δ 8.9.
第3工程:(3−ブロモビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ジフェニルホスフィンオキシド(構造式(23))の合成
100mLのオートクレーブにスターラーバーを取り付け、更にヒドロキノン(0.075g、1.5mol%)を仕込み、内部を窒素置換した。次いで、窒素気流下にてシクロペンタジエン(15.5mL、183.6mmol、4.0当量)及び(ブロモエチニル)ジフェニルホスフィンオキシド(22)(14.0g、45.9mmol、1.0当量)のトルエン(15mL)溶液を加えた後に装置を加熱し、90℃にて22時間撹拌した。反応液を室温まで放冷した後に、直接シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル)により精製することで、表題化合物(23)が褐色非晶質として15.0g得られた。単離収率88.0%。
1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 7.69−7.41(m,10H),6.87−6.83(m,1H),6.76(dd,J=5.1,3.0Hz,1H)3.98−3.95(m,1H),3.78−3.73(m,1H),2.44−2.40(m,1H),2.09−2.05 (m,1H).
31P NMR(121MHz,CDCl3):δ 23.7.
第4工程:ジフェニル(3−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ホスフィンオキシド(構造式(24))の合成
50mLの4つ口反応フラスコに三方コック、スターラーバー、冷却管及び温度計を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、(3−ブロモビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ジフェニルホスフィンオキシド(23)(3.71g、10.0mmol、1.0当量)のトルエン(20mL)溶液、フェニルボロン酸(2.44g、20.0mmol、2.0当量)、リン酸カリウム(6.37g、30.0mmol、3.0当量)及び酢酸パラジウム(0.112g、0.5mmol、5.0mol%)を順次仕込んだ後に油浴にて加熱し、100℃にて16時間撹拌した。反応液を室温まで放冷し、トルエン及び水を加えて攪拌した後に水層を分液した。有機層を減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル)により精製することで、表題化合物(24)が褐色非晶質として0.90g得られた。単離収率:24.4%。
1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 7.67−7.58(m,2H),7.50−7.38(m,5H),7.34−7.28(m,3H),7.23−7.15(m,2H),7.08−7.02(m,3H),6.99(dd,J=4.8,3.0Hz,1H),6.71(dd,J=5.1,3.0Hz,1H),3.99−3.97(m,1H),3.66−3.62(m,1H),2.40−2.35(m,1H),2.20−1.98 (m,1H).
31P NMR(121MHz,CDCl3):δ 22.1.
(実施例13)ジフェニル(3−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ホスフィン(構造式(25))の合成(反応式14)
100mLの4つ口反応フラスコに三方コック、スターラーバー、冷却管及び温度計を取り付け、更にジフェニル(3−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ホスフィンオキシド(24)(0.88g、2.4mmol、1.0当量)のトルエン溶液(24mL)及びN,N−ジメチルアニリン(3.1mL、24.0mmol、10.0当量)を順次仕込み、この溶液を減圧下で脱気した後に窒素置換し、更に氷水浴にて5℃に冷却した。次いでこの溶液に、トリクロロシラン(1.2mL、12.0mmol、5.0当量)を、シリンジにて内温が10℃を越えない速度で滴下した後に、油浴にて80℃まで5時間かけて徐々に昇温した。反応液を氷水浴にて5℃に冷却し、反応フラスコに滴下漏斗を取り付けて水酸化ナトリウム水溶液(15.0mL、4.0mol/L、60.0mmol、25.0当量)を仕込み、内温が30℃を越えない速度で滴下した。反応液を油浴にて加熱して60℃で30分間撹拌し、室温まで放冷した後に水層を分液した。有機層を水及び1規定塩酸で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後に減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン)で精製した後、更にトルエン/メタノールから再結晶することで、表題化合物(25)が無色結晶として0.70g得られた。単離収率:82.8%。
1H NMR(300MHz,CD2Cl2):δ 7.55−7.12(m,15H),6.79 (dd,J=5.1,3.0Hz,1H),6.31 (dd,J=4.8,3.0Hz,1H),4.01−3.96 (m, 1H),3.50−3.46 (m,1H),2.37−2.20 (m,1H),1.96−1.92 (m, 1H).
31P NMR(121MHz,CD2Cl2):δ −22.7.
(実施例14)ジシクロヘキシル(3−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ホスフィン(π−アリル)パラジウムクロライド(構造式(26))の合成(反応式15)
20mLのシュレンク管にジシクロヘキシル(3−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ホスフィン(7)(0.2g、0.55mmol、2.2当量)及びπ−アリルパラジウムクロライドダイマー([PdCl(π−allyl)]2)(0.088g、0.25mmol、1.0当量)を仕込み、内部を窒素置換した。次いで、窒素気流下にてTHF(1mL)を加え、室温で1時間撹拌した。その後、反応液にn−ヘプタン(10mL)を加え、氷水浴にて5℃に冷却し、更に2時間撹拌した。得られた懸濁液より、吸引濾過にて結晶を濾取した後に減圧下で乾燥することで、表題化合物(26)が黄色粉末として0.23g得られた。単離収率:84.0%(なお、配位異性体混合物として)。
31P NMR(121MHz,CD2Cl2):δ 13.4,13.2.
(実施例15)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イルジフェニルホスフィン−モノボラン錯体(構造式(28))の合成(反応式16)
第1工程:ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イルジフェニルホスフィン(構造式(27))の合成
100mLの4つ口反応フラスコに三方コック、スターラーバー、滴下漏斗及び温度計を取り付け、更にカリウム−tert−ブトキシド(1.97g、17.6mmol、1.2当量)、THF(32mL)及びノルボルナジエン(3.3mL、32. 0mmol、2.1当量)を仕込み、この溶液を減圧下で脱気した後に内部を窒素置換し、更にドライアイス−アセトン浴にて−60℃に冷却した。滴下漏斗にn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(10.0mL、1.60mol/L、16.0mmol、1.1当量)を仕込み、内温が−55℃を超えない速度でフラスコ内の溶液に滴下した後に、−60℃で30分撹拌した。次いでクロロジフェニルホスフィン(2.8mL、15.0mmol、1.0当量)を滴下漏斗に仕込み、6分かけて反応液に滴下した後に、−60℃で20分撹拌した。次いで滴下漏斗に塩化アンモニウム水溶液(16mL、2.0mol/L、32.0mmol、2.1当量)を仕込み、−60℃にて5分間かけて滴下した後、ドライアイス−アセトン浴を取り去り室温まで放置し、水層を分液し、更に水層をトルエンで抽出した。これらの有機層をまとめて減圧下濃縮し、トルエン(40mL)を加え水で洗浄した。次いで、硫酸ナトリウムで乾燥した後、シリカゲル(2.5g)で脱色し、減圧下濃縮することで表題化合物(27)の粗生成物が褐色非晶質として3.40g得られた。
1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 7.52−7.40(m,4H),7.15−7.00(m,6H),6.68−6.64(m,1H),6.59(dd,J=4.8,3.0Hz,1H),6.48(dd,J=5.1,3.0Hz,1H),3.49−3.46(m,1H),3.36−3.32(m,1H),2.04−2.00(m,1H),1.90−1.86(m,1H).
31P NMR(121MHz,CDCl3):δ −14.9.
第2工程:ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イルジフェニルホスフィン−モノボラン錯体(構造式(28))の合成
100mLの4つ口反応フラスコに三方コック、スターラーバー、滴下漏斗及び温度計を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに第1工程で得られたビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イルジフェニルホスフィン(27)の粗生成物3.40gのTHF(24mL)溶液を仕込み、氷浴にて5℃に冷却した。滴下漏斗にボラン−THF錯体のTHF溶液(13.5mL、1.0mol/L、13.5mmol、クロロジフェニルホスフィンに対して0.9当量)を仕込み20分かけて滴下し、その後5℃にて40分撹拌した後、氷浴を取り去り室温にて30分攪拌した。反応液を5℃に冷却し、メタノール(5mL)をシリンジを用いて滴下し、室温にて撹拌し、発泡が収まった後減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/ヘキサン=2/1)により精製することで表題化合物(28)が無色非晶質として1.85g得られた。単離収率42.5%(クロロジフェニルホスフィン基準)。
1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 7.70−7.56(m,4H),7.05−6.96(m,6H),6.95−6.90(m,1H),6.59(dd,J=5.7,3.0Hz,1H),6.35(dd,J=5.1,3.0Hz,1H),3.68−3.64(m,1H),3.23−3.19(m,1H),2.60−―1.40(m,5H).
31P NMR(121MHz,CDCl3):δ 15.0−13.0.
(実施例16)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イルジシクロヘキシルホスフィン−モノボラン錯体(構造式(30))の合成(反応式17)
300mLの4つ口反応フラスコに三方コック、スターラーバー、滴下漏斗及び温度計を取り付け、更にカリウム−tert−ブトキシド(3.69g、32.9mmol、1.53当量)、2−メチルテトラヒドロフラン(Me−THF)(129mL)及びノルボルナジエン(6.6mL、64.5mmol、3.0当量)を仕込み、この溶液を減圧下で脱気した後に内部を窒素置換し、更にドライアイス−アセトン浴にて−60℃に冷却した。滴下漏斗にn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(20.2mL、1.60mol/L、32.3mmol、1.5当量)を仕込み、内温が−55℃を超えない速度でフラスコ内の溶液に滴下した後に、−60℃で30分撹拌した。次いでクロロジシクロヘキシルホスフィン(5.0g、21.5mmol、1.0当量)のMe−THF(5.0mL)溶液を滴下漏斗に仕込み、15分かけて反応液に滴下した後に、−60℃で20分撹拌した。次いで滴下漏斗に水(40mL)を仕込み、−30℃を超えない速度で滴下した後、ドライアイス−アセトン浴を取り去り室温まで昇温した。水層を分液し、更に有機層を水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥することで、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イルジシクロヘキシルホスフィン(29)の粗生成物のMe−THF/n−ヘキサン溶液を得た。次に、300mLの4つ口反応フラスコに三方コック、スターラーバー、滴下漏斗及び温度計を取り付け、次いで粗ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イルジシクロヘキシルホスフィン(29)のMe−THF/n−ヘキサン溶液を仕込み、この溶液を氷浴にて5℃に冷却した。滴下漏斗にボラン−THF錯体のTHF溶液(30.0mL、1.0mol/L、30.0mmol、1.4当量)を仕込み、25分かけて滴下し、その後5℃にて30分攪拌した。反応液に対し5℃にてメタノール(30mL)をシリンジを用いて滴下した後室温にて撹拌し、発泡が収まった後に減圧下濃縮した。得られた残渣にトルエン(100mL)を加え、水で洗浄した後、硫酸ナトリウムにより乾燥した。有機層を減圧下濃縮し、得られた残渣をトルエン/メタノールから再結晶をすることで表題化合物(30)が白色結晶として3.04g得られた。単離収率47.0%。
1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 7.52−7.47(m,1H),6.78−6.69(m,2H),3.79−3.75(m,1H),3.74−3.70(m,1H),2.06−2.03(m,2H),1.97−1.52(m,12H),1.40−1.00(m,10H),0.90−―0.20(m,3H).
31P NMR(121MHz,CDCl3):δ 19.3−17.2.
(実施例17)ジシクロヘキシル(3−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ホスフィン−モノボラン錯体(構造式(31))の合成(反応式18)
50mLの4つ口反応フラスコに三方コック、スターラーバー及び温度計を取り付け、更にジシクロヘキシル(3−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ホスフィン(7)(0.41g、1.1mmol、1.0当量)、THF(5.6ml)を仕込み、この溶液を減圧下脱気した後に内部を窒素置換し、更に氷浴にて5℃に冷却した。この溶液にボラン−THF錯体のTHF溶液(1.4mL、1.0mol/L、1.4mmol、1.3当量)をシリンジを用いて仕込み、その後5℃にて90分撹拌した。反応液に対し、メタノール(1.4mL)をシリンジを用いて滴下した後室温にて撹拌し、発泡が収まった後に減圧下濃縮した。得られた残渣にトルエン(50mL)を加え、水で洗浄した後、硫酸ナトリウムにより乾燥した。有機層を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=40/1)による精製をすることで表題化合物(31)が白色固体として0.36g得られた。単離収率83.8%。
1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 7.38−7.28(m,3H),7.15−7.11(m,2H),6.94(dd,J=5.1,3.0Hz,1H),6.87(dd,J=5.1,3.0Hz,1H),4.08−4.04(m,1H),3.70−3.66(m,1H),2.22−2.18(m,1H),1.96−―0.20(m,26H).
31P NMR(121MHz,CDCl3):δ 23.1−21.0.
(実施例18)ジシクロヘキシル(3−(2−メトキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ホスフィン−モノボラン錯体(構造式(32))の合成(反応式19)
30mLの2つ口反応フラスコに、三方コック、スターラーバーを取り付け、更にジシクロヘキシル(3−(2−メトキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ホスフィン(9)(0.20g、0.50mmol、1.0当量)、THF(5.0mL)を仕込み、この溶液を減圧下脱気した後に内部を窒素置換し、更に氷浴にて5℃に冷却した。この溶液にボラン−THF錯体のTHF溶液(0.75mL、1.0mol/L、0.75mmol、1.5当量)をシリンジを用いて仕込み、その後5℃にて60分撹拌した。反応液に対し、メタノール(5.0mL)をシリンジを用いて滴下した後室温にて撹拌し、発泡が収まった後に減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/トルエン=1/1)による精製をすることで表題化合物(32)が白色固体として0.12g得られた。単離収率60.8%。
1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 7.32−7.21(m,1H),7.00−6.76(m,5H),4.02−3.98(m,1H),3.76(s,3H),3.65−3.61(m,1H),2.25−2.16(m,1H),1.95−1.90(m,1H),1.88−―0.40(m,25H).
31P NMR(121MHz,CDCl3):δ 23.0−20.2.
以下に、本発明の光学活性体の合成について実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。光学活性体の1H NMRスペクトル及び31P NMRスペクトルは光学分割前のリン化合物と同一の結果を示す。なお実施例中において、物性の測定に用いた装置は次の通りである。
比旋光度:P−1020旋光計(日本分光社製)
(実施例19)(+)−ジシクロヘキシル(3−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−イル)ホスフィン(構造式(+)−(12))の合成(反応式20)
第1工程:(3−ブロモビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ジシクロヘキシルホスフィンオキシド(構造式(5))の光学分割
(3−ブロモビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ジシクロヘキシルホスフィンオキシド(5)(1.0g)を酢酸エチル/2−プロパノール(90/10)溶液(20mL)に溶解し、(3−ブロモビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ジシクロヘキシルホスフィンオキシド溶液を調整した。この溶液を、以下の条件で光学分割高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を行ない、前ピークの(−)−(3−ブロモビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ジシクロヘキシルホスフィンオキシド((−)−(5))及び後ピークの(+)−(3−ブロモビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ジシクロヘキシルホスフィンオキシド((+)−(5))をそれぞれ集め、減圧乾固し、工学的に純粋な(−)−(5)を0.26g、(+)−(5)を0.38gそれぞれ得た。
光学分割HPLC条件
カラム:キラルパックIA(ダイセル化学工業社製)4.6×250mm
カラム温度:10℃
移動相:酢酸エチル/2−プロパノール(90/10)
流速:1.0mL/min
検出:UV254nm
試料注入量:95μL
なお(−)−(5)及び(+)−(5)の光学分割HPLCの溶出時間はそれぞれ7.7分、9.9分であった。
(−)−(5)
比旋光度:[α]D 20=−0.1°(c=0.43、クロロホルム、99%ee)
(+)−(5)
比旋光度:[α]D 20=+0.1°(c=0.31、クロロホルム、99%ee)
第2工程:(+)−ジシクロヘキシル(3−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−イル)ホスフィン(構造式(+)−(12))の合成
50mLの4つ口反応フラスコに三方コック、スターラーバー及び温度計を取り付け、更に(−)−(5)(0.24g、0.65mmol、1.0当量)及びエタノール(6.5mL)を順次仕込んで、減圧下で脱気した後に窒素置換した。この溶液に、窒素気流下で5%パラジウム/炭素(1.2mg、(−)−(5)の重量に対して0.5重量%)を加え、減圧下で脱気した後にゴム風船を用いて水素置換を行った。反応液を30℃、常圧の水素雰囲気下で2時間撹拌した後に、セライト545を用いて吸引濾過し、濾液を減圧下で濃縮することで(3−ブロモビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−イル)ジシクロヘキシルホスフィンオキシド(10)の光学活性体の粗生成物が無色固体として0.23g得られた。次に、30mLの2つ口反応フラスコに三方コック、スターラーバー及び冷却管を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに窒素気流下で、得られた(3−ブロモビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−イル)ジシクロヘキシルホスフィンオキシド(10)の光学活性体の粗生成物(0.22g)、1,4−ジオキサン(1.2mL)、水(1.2mL)、フェニルボロン酸(0.10g、0.86mmol、(−)−(5)に対して1.3当量)、リン酸カリウム(0.24g、1.1mmol、(−)−(5)に対して1.7当量)及び酢酸パラジウム(2.6mg、0.011mmol、(−)−(5)に対して1.7mol%)を順次仕込んだ後に油浴にて加熱し、80℃にて2時間撹拌した。反応液を室温まで放冷し、トルエンを加えて攪拌した後に水層を分液した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後に減圧下で濃縮することでジシクロヘキシル(3−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−イル)ホスフィンオキシド(11)の光学活性体の粗生成物が無色固体として0.25g得られた。次に、50mLの4つ口反応フラスコに三方コック、スターラーバー、冷却管及び温度計を取り付け、更にジシクロヘキシル(3−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−イル)ホスフィンオキシド(11)の光学活性体の粗生成物(0.25g)、トルエン(5.7mL)及びN,N−ジメチルアニリン(0.73mL、5.6mmol、(−)−(5)に対して8.6当量)を順次仕込み、この溶液を減圧下で脱気した後に窒素置換し、更に氷水浴にて5℃に冷却した。次いでこの溶液に、トリクロロシラン(0.29mL、2.9mmol、(−)−(5)に対して4.5当量)を、シリンジにて内温が10℃を越えない速度で滴下した後に、油浴にて80℃まで4時間30分かけて徐々に昇温し、更に80℃にて10分攪拌した。反応液を氷水浴にて5℃に冷却し、反応フラスコに滴下漏斗を取り付けて水酸化ナトリウム水溶液(7.1mL、2.0mol/L、14.2mmol、(−)−(5)に対して21.8当量)を仕込み、内温が30℃を越えない速度で滴下した。反応液を油浴にて加熱して60℃で2時間撹拌し、室温まで放冷した後に水層を分液した。有機層を水及び1規定塩酸で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後に減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン)による精製をすることで表題化合物(+)−(12)が淡黄色固体として0.10g得られた。単離収率:41.5%((−)−(5)基準)。
比旋光度:[α]D 20=+0.7°(c=0.56、クロロホルム)
(実施例20)(−)−ジシクロヘキシル(3−(2,6−ジメトキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−イル)ホスフィン(構造式(−)−(16))の合成(反応式21)
50mLの4つ口反応フラスコに三方コック、スターラーバー及び温度計を取り付け、更に(+)−(5)(0.38g、1.0mmol、1.0当量)及びエタノール(10mL)を順次仕込んで、減圧下で脱気した後に窒素置換した。この溶液に、窒素気流下で5%パラジウム/炭素(1.9mg、(+)−(5)の重量に対して0.5重量%)を加え、減圧下で脱気した後にゴム風船を用いて水素置換を行った。反応液を30℃、常圧の水素雰囲気下で2時間撹拌した後に、セライト545を用いて吸引濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/メタノール=20/1)で精製することで、(3−ブロモビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−イル)ジシクロヘキシルホスフィンオキシド(10)の光学活性体が無色固体として0.24g得られた。次に30mLの2つ口反応フラスコに三方コック、スターラーバー及び冷却管を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、窒素気流下で(3−ブロモビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−イル)ジシクロヘキシルホスフィンオキシド(10)の光学活性体(0.23g、0.60mmol、1.0当量)、1,4−ジオキサン(2.5mL)、水(2.5mL)、2,6−ジメトキシフェニルボロン酸(0.23g、1.2mmol、2.0当量)、炭酸カリウム(0.34g、2.5mmol、4.2当量)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.036g、0.031mmol、5.2mol%)を順次仕込み、油浴にて加熱しながら80℃にて2時間撹拌した後に、窒素気流下で2,6−ジメトキシフェニルボロン酸(0.23g、1.2mmol、2.0当量)を添加し、80℃で更に2時間攪拌した。反応液を室温まで放冷し、トルエンを加えて攪拌した後に水層を分液した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後に減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/メタノール=20/1)により精製することで、ジシクロヘキシル(3−(2,6−ジメトキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−イル)ホスフィンオキシド(15)の光学活性体が無色固体として0.12g得られた。次に、50mLの4つ口反応フラスコに三方コック、スターラーバー、冷却管及び温度計を取り付け、更にジシクロヘキシル(3−(2,6−ジメトキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−イル)ホスフィンオキシド(15)の光学活性体(0.11g、0.25mmol、1.0当量)、トルエン(10mL)及びN,N−ジメチルアニリン(0.32mL、2.5mol、10当量)を順次仕込み、この溶液を減圧下で脱気した後に窒素置換し、更に氷水浴にて5℃に冷却した。次いでこの溶液に、トリクロロシラン(0.13mL、1.3mmol、5.2当量)を、シリンジにて内温が10℃を越えない速度で滴下した後に、油浴にて80℃まで3時間かけて徐々に昇温し、更に80℃にて10分攪拌した。反応液を氷水浴にて5℃に冷却し、反応フラスコに滴下漏斗を取り付けて水酸化ナトリウム水溶液(3.1mL、2.0mol/L、6.2mmol、25当量)を仕込み、内温が30℃を越えない速度で滴下した。反応液を油浴にて加熱して60℃で1時間撹拌し、室温まで放冷した後に水層を分液した。有機層を水及び1規定塩酸で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後に減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン)による精製をすることで表題化合物(−)−(16)が淡黄色固体として0.056g得られた。単離収率:52.3%。
比旋光度:[α]D 20=−0.9°(c=0.43、クロロホルム)
本発明のリン化合物は触媒的有機合成反応における配位子として有用であり、また本発明の錯体は有機合成反応における触媒として有用である。次に、本発明のリン化合物及び本発明の錯体の有用性について、参考例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれらの参考例によって何ら限定されるものではない。なお参考例中において、物性の測定に用いた装置は次の通りである。
ガスクロマトグラフィー(GC):GC−2010Plus型装置(島津製作所製)
カラム:InertCap 1(ジーエルサイエンス社製)、初期温度:100℃、昇温速度:10℃/分、最終温度:250℃、測定時間:30分間。
(参考例1)4−メチルビフェニルの合成(反応式22)
50mLの二つ口反応フラスコに、[PdCl(π−allyl)]2(5.8mg、0.0164mmol、0.025mol%)、実施例2で得られたジシクロヘキシル(3−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ホスフィン(7)(23.9mg、0.0656mmol、0.1mol%)を仕込み、三方コックを取り付けて内部を窒素置換した。次いで窒素気流下でTHF(6.5mL)を加え、室温で1分間振り混ぜることで、ジシクロヘキシル(3−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ホスフィン(7)及びジシクロヘキシル(3−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ホスフィン(π−アリル)パラジウムクロライド(26)の等モル(0.0328mmol)混合物のTHF溶液(触媒溶液)が淡黄色の液体として得られた。その一方で、200mLの四つ口反応フラスコに三方コック、スターラーバー、冷却管及び温度計を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、4−クロロトルエン(7.8mL、65.6mmol、1.0当量)、トルエン(65mL)、フェニルボロン酸(10.0g、82.0mmol、1.25当量)、炭酸カリウム(13.6g、98.4mmol、1.5当量)及び触媒溶液を順次仕込み、油浴にて加熱して80℃で1時間撹拌した。反応液を一部サンプリングしてトルエンに希釈し、更に水洗した溶液をGC分析した結果、目的とする4−メチルビフェニルが得られた。GC転化率:40.1%。GC保持時間:4−クロロトルエン=2.8分、4−メチルビフェニル=8.4分。
(参考例2)
参考例1における本発明のリン化合物(7)を、実施例4で得たジシクロヘキシル(3−(2−メトキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ホスフィン(9)(25.9mg、0.0656mmol、0.1mol%)に変更した以外は、参考例1と同様の操作を行ったところ、目的とする4−メチルビフェニルが得られた。GC転化率:69.9%。
(参考例3)
参考例1における本発明のリン化合物(7)を、実施例6で得たジシクロヘキシル(3−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−イル)ホスフィン(12)(24.0mg、0.0656mmol、0.1mol%)に変更した以外は、参考例1と同様の操作を行ったところ、目的とする4−メチルビフェニルが得られた。GC転化率:49.4%。
(参考例4)
参考例1における本発明のリン化合物(7)を、実施例8で得たジシクロヘキシル(3−(2−メトキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−イル)ホスフィン(14)(26.0mg、0.0656mmol、1.0mol%)に変更した以外は、参考例1と同様の操作を行ったところ、目的とする4−メチルビフェニルが得られた。GC転化率:63.2%。
(参考例5)
参考例1における本発明のリン化合物(7)を、実施例10で得たジシクロヘキシル(3−(2,6−ジメトキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−イル)ホスフィン(16)(28.0mg、0.0656mmol、1.0mol%)に変更した以外は、参考例1と同様の操作を行ったところ、目的とする4−メチルビフェニルが得られた。GC転化率:98.2%。
本発明のリン化合物は重合を行なうことで高分子化することができ、本発明のリン化合物の高分子体の錯体は有機合成反応における触媒として有用である。次に、本発明のリン化合物の高分子化の手法及び高分子体の有用性について参考例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれらの参考例によって何ら限定されるものではない。なお参考例中において、物性の測定に用いた装置は次の通りである。
ガスクロマトグラフィー(GC):GC−2010Plus型装置(島津製作所製)
カラム:InertCap 1(ジーエルサイエンス社製)、初期温度:100℃、昇温速度:10℃/分、最終温度:250℃、測定時間:30分間。
(参考例6)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イルジシクロヘキシルホスフィン(29)と1,4−ジ−(エキソ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)ベンゼン(33)の共重合体(35)の合成(反応式23)
第1工程:ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イルジシクロヘキシルホスフィン−モノボラン錯体(30)と1,4−ジ−(エキソ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)ベンゼン(33)の共重合体(34)の合成
20mLのシュレンク管にスターラーバーを取り付け、更にビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イルジシクロヘキシルホスフィン−モノボラン錯体(30)(0.030g、0.1mmol)、1,4−ジ−(エキソ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)ベンゼン(33)(0.24g、0.9mmol)、THF(5mL)を仕込み、この溶液を減圧下脱気した後に内部を窒素置換した。この溶液に第二世代グラブス触媒(8.5mg、0.01mmol)を加え、30℃にて30分攪拌した後THFを2mL加え、その後4時間30分撹拌した。生成した固体をろ過した後、THF(10mL)で洗浄し、減圧下で乾燥することで表題物質(34)が淡黄色固体として0.26g得られた。
第2工程:ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イルジシクロヘキシルホスフィン(29)と1,4−ジ−(エキソ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)ベンゼン(33)の共重合体(35)の合成
30mLの2つ口反応フラスコに、三方コック、スターラーバー及び冷却管を取り付け、更にビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イルジシクロヘキシルホスフィン−モノボラン錯体(30)と1,4−ジ−(エキソ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)ベンゼン(33)の共重合体(34)(0.26g)、THF(10mL)を仕込み、この懸濁液を減圧下脱気した後に内部を窒素置換した。このフラスコに1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)(0.056g、0.5mmol)を仕込み、還流下5時間加熱した。反応液を室温まで冷却し、不溶性の固体をろ過した後、この固体をTHF(10mL)で洗浄することで表題物質(35)が白色固体として0.23g得られた。
(参考例7)ジシクロヘキシル(3−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ホスフィン(7)と1,4−ジ−(エキソ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)ベンゼン(33)の共重合体(36)の合成(反応式24)
20mLのシュレンク管にスターラーバーを取り付け、ジシクロヘキシル(3−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ホスフィン−モノボラン錯体(31)(0.019g、0.05mmol)、1,4−ジ−(エキソ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)ベンゼン(33)(0.12g、0.45mmol)、THF(1.5mL)を仕込み、この溶液を減圧下脱気した後に内部を窒素置換した。この溶液に第二世代グラブス触媒(4.2mg、0.005mmol)を加え、30℃にて30分攪拌した後THFを1.5mL加え、その後4時間30分撹拌した。生成した固体をろ過した後、THF(10mL)で洗浄した。得られた固体及びTHF(5mL)を三方コック、スターラーバー及び冷却管を取り付けた30mLの2つ口反応フラスコに仕込み、この懸濁液を減圧下脱気した後に内部を窒素置換した。このフラスコにDABCO(0.11g、1.0mmol)を仕込み、還流下1時間加熱した。反応液を室温まで冷却し、不溶性の固体をろ過した後、この固体をTHF(10mL)で洗浄することで表題物質(36)が白色固体として0.12g得られた。
(参考例8)4−メチルビフェニルの合成(反応式25)
30mLの2つ口反応フラスコに、三方コック、スターラーバー及び冷却管を取り付け、更に参考例6で得られたビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イルジシクロヘキシルホスフィンと1,4−ジ−(エキソ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)ベンゼン(33)の共重合体(35)(0.10g)、[PdCl(π−allyl)]2(3.5mg、0.01mmol、0.5mol%)、1,2−ジメトキシエタン(8.0mL)を仕込み、この懸濁液を減圧下脱気した後に内部を窒素置換した。このフラスコに4−クロロトルエン(0.24mL、2.0mmol、1.0当量)、フェニルボロン酸(0.30g、2.5mmol、1.25当量)、水(8.0mL)、炭酸カリウム(0.42g、3.0mmol、1.5当量)を順次仕込み、油浴にて加熱して還流下で7時間撹拌した。反応液を一部サンプリングしてトルエンに希釈し、更に水洗した溶液をGC分析した結果、目的とする4−メチルビフェニルが得られた。GC転化率:93.6%。GC保持時間:4−クロロトルエン=2.8分、4−メチルビフェニル=8.4分。
(参考例9)
参考例1におけるリン化合物の重合体を、参考例7で得たジシクロヘキシル(3−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2−イル)ホスフィン(7)と1,4−ジ−(エキソ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)ベンゼン(33)の共重合体(36)(0.12g)に変更した以外は、参考例1と同様の操作を行ったところ、目的とする4−メチルビフェニルが得られた。GC転化率:91.8%。
本発明のリン化合物は、錯体触媒による有機合成反応における配位子のみならずその合成中間体としても有用であり、また本発明の錯体は有機合成反応における触媒として有用である。例えば、遷移金属の一種であるパラジウムと本発明のリン化合物との錯体は、結合形成反応における触媒としてきわめて有用であり、これらの反応によって芳香族化合物等を効率的に製造可能である。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表されるリン化合物。
    (式中、R1及びR2は各々独立して水素原子、アルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基又は置換基を有してもよいアラルキル基を表す。又は、R1及びR2は互いに結合してこれらが結合しているリン原子を含む環を形成してもよい。A−B結合は、炭素−炭素単結合又は炭素−炭素二重結合を表す。A−B結合が炭素−炭素単結合の場合、A及びBはいずれもメタントリイル基を表し、A−B結合が炭素−炭素二重結合の場合、A及びBはいずれも炭素原子を表す。R7は水素原子、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいヘテロアリール基を表す。Zは置換基を有してもよい2価基を表す。R3、R4、R5及びR6は各々独立して水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいアラルキル基を表す。Yはオキソ基、チオキソ基、モノボラン又は孤立電子対を表す。)
  2. Zが、オキシ基、チオ基、置換基を有してもよいイミノ基、置換基を有してもよいメチレン基及び置換基を有してもよいエチレン基からなる群から選ばれる、請求項1に記載のリン化合物。
  3. 光学活性体である請求項1又は2に記載のリン化合物。
  4. Yが孤立電子対である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリン化合物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のリン化合物を配位子とする遷移金属錯体。
  6. 遷移金属が、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金及び金からなる群から選ばれる、請求項5に記載の遷移金属錯体。
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