JP2015063410A - ガラス材の製造方法及びガラス材の製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】無容器浮遊法により、優れた均質性を有するガラス材を製造し得る方法を提供する。
【解決手段】成形型10の成形面10aに開口するガス噴出孔10bからガスを噴出させることにより、成形面10aの上方にガラス原料塊12を浮遊させて保持した状態で、ガラス原料塊12を加熱融解させて溶融ガラスを得た後に、溶融ガラスを冷却することによりガラス材を得る。ガス噴出孔10bに、予熱されたガスを供給する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガラス材の製造方法及びガラス材の製造装置に関する。
近年、ガラス材の製造方法として、無容器浮遊法に関する研究がなされている。例えば、特許文献1には、ガス浮遊炉で浮遊させたバリウムチタン系強誘電体の試料にレーザービームを照射して加熱溶融した後に、冷却することにより、バリウムチタン系強誘電体の試料をガラス化させる方法が記載されている。このように、無容器浮遊法では、容器の壁面との接触に起因する結晶化の進行を抑制できるため、従来の容器を用いた製造方法ではガラス化させることができなかった材料であってもガラス化し得る場合がある。従って、無容器浮遊法は、新規な組成を有するガラス材を製造し得る方法として注目に値すべき方法である。
特開2006−248801号公報
無容器浮遊法により製造されるガラス材の均質性を向上したいという要望がある。
本発明の主な目的は、無容器浮遊法により、優れた均質性を有するガラス材を製造し得る方法を提供することにある。
本発明に係るガラス材の製造方法では、成形型の成形面に開口するガス噴出孔からガスを噴出させることにより、成形面の上方にガラス原料塊を浮遊させて保持した状態で、ガラス原料塊を加熱融解させて溶融ガラスを得た後に、溶融ガラスを冷却することによりガラス材を得る。ガス噴出孔に、予熱されたガスを供給する。
本発明に係るガラス材の製造方法では、成形型の温度をガス噴出孔に供給するガスの温度よりも低くすることが好ましい。
本発明に係るガラス材の製造方法では、成形型を冷却しながらガラス材の製造を行うことが好ましい。
本発明に係るガラス材の製造方法では、ガス噴出孔に供給するガスの温度を100℃以上とすることが好ましい。
本発明に係るガラス材の製造装置は、成形型の成形面に開口するガス噴出孔からガスを噴出させることにより、成形面の上方にガラス原料塊を浮遊させて保持した状態で、ガラス原料塊を加熱融解させて溶融ガラスを得た後に、溶融ガラスを冷却することによりガラス材を製造する装置である。本発明に係るガラス材の製造装置は、ガス噴出孔に供給されるガスを加熱する加熱機構を備える。
本発明によれば、無容器浮遊法により、優れた均質性を有するガラス材を製造し得る方法を提供することができる。
第1の実施形態に係るガラス材の製造装置の模式的断面図である。 第1の実施形態における成形面の一部分の略図的平面図である。 第2の実施形態に係るガラス材の製造装置の模式的断面図である。
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、下記の実施形態は、単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。
また、実施形態等において参照する各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照することとする。また、実施形態等において参照する図面は、模式的に記載されたものである。図面に描画された物体の寸法の比率などは、現実の物体の寸法の比率などとは異なる場合がある。図面相互間においても、物体の寸法比率等が異なる場合がある。具体的な物体の寸法比率等は、以下の説明を参酌して判断されるべきである。
(第1の実施形態)
本実施形態では、通常のガラス材をはじめ、例えば、網目形成酸化物を含まないような、容器を用いた溶融法によってはガラス化しない組成を有するガラス材であっても好適に製造し得る方法について説明する。本実施形態の方法によれば、具体的には、例えば、チタン酸バリウム系ガラス材、ランタン−ニオブ複合酸化物系ガラス材、ランタン−ニオブ−アルミニウム複合酸化物系ガラス材、ランタン−ニオブ−タンタル複合酸化物系ガラス材、ランタン−タングステン複合酸化物系ガラス材等を好適に製造し得る。
図1は、第1の実施形態に係るガラス材の製造装置1の模式的断面図である。図1に示されるように、ガラス材の製造装置1は、成形型10を有する。成形型10は、成形面10aを有する。成形面10aは、曲面である。具体的には、成形面10aは、球面状である。
成形型10は、成形面10aに開口しているガス噴出孔10bを有する。図2に示されるように、本実施形態では、ガス噴出孔10bが複数設けられている。具体的には、複数のガス噴出孔10bは、成形面10aの中心から放射状に配列されている。
なお、成形型10は、連続気泡を有する多孔質体により構成されていてもよい。その場合、ガス噴出孔10bは、連続気泡により構成される。
ガス噴出孔10bは、ガスボンベなどのガス供給機構11に接続されている。このガス供給機構11からガス噴出孔10bを経由して、成形面10aにガスが供給される。
ガスの種類は、特に限定されない。ガスは、例えば、空気や酸素であってもよいし、窒素ガスやアルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスであってもよい。
製造装置1を用いて、ガラス材を製造するに際しては、まず、ガラス原料塊12を成形面10a上に配置する。ガラス原料塊12は、例えば、ガラス材の原料粉末をプレス成形等により一体化したものであってもよい。ガラス原料塊12は、例えば、ガラス材の原料粉末をプレス成形等により一体化した後に焼結させた焼結体であってもよい。また、ガラス原料塊12は、例えば、目標ガラス組成と同等の組成を有する結晶の集合体であってもよい。
ガラス原料塊12の形状は、特に限定されない。ガラス原料塊12は、例えば、レンズ状、球状、円柱状、多角柱状、直方体状、楕球状等であってもよい。
次に、ガス噴出孔10bからガスを噴出させることにより、ガラス原料塊12を成形面10a上で浮遊させる。すなわち、ガラス原料塊12が成形面10aに接触していない状態で、ガラス原料塊12を保持する。その状態で、レーザー照射装置13からレーザー光をガラス原料塊12に照射する。これによりガラス原料塊12を加熱溶融してガラス化させ、溶融ガラスを得る。その後、溶融ガラスを冷却することにより、ガラス材を得ることができる。ガラス原料塊12を加熱溶融する工程と、溶融ガラス、さらにはガラス材の温度が少なくとも軟化点以下となるまで冷却する工程とにおいては、少なくともガスの噴出を継続し、ガラス原料塊12、溶融ガラスまたはガラス材と成形面10aとが接触することを抑制することが好ましい。
なお、本実施形態では、ガラス原料塊12にレーザー光を照射することによりガラス原料塊12を加熱する例について説明する。但し、本発明において、ガラス原料塊12の加熱方法は、レーザー光を照射する方法に特に限定されない。例えば、ガラス原料塊12を輻射加熱してもよい。
ところで、網目形成酸化物を含まないような、容器を用いた溶融法によってはガラス化しない組成を有するガラス材を製造するためには、溶融ガラスを急冷する必要がある。このため、通常は、ガラス原料塊等を浮遊させるためのガスの温度は低い方が好ましいと考えられる。しかしながら、本発明者等は、鋭意研究の結果、ガスの温度が低すぎると得られるガラス材の均質性が低くなることを見出した。
そこで、本実施形態では、加熱機構14がガス供給機構11とガス噴出孔10bとの間に設けられている。このため、ガス噴出孔10bには、予熱されたガスが供給される。従って、優れた均質性を有するガラス材を製造することができる。
ガス噴出孔10bに供給されるガスを予熱することにより、得られるガラス材の均質性が向上する理由としては、以下の理由が考えられる。ガス噴出孔10bに供給されるガスを予熱することにより、溶融ガラスに接触するガスの温度が高くなる。このため、溶融ガラスの外側部分の冷却が抑制され、溶融ガラスにおける温度むらが小さくなる。よって、溶融ガラスの中央部分と外側部分との温度差に起因して、異質相等が発生することを抑制できる。従って、優れた均質性を有するガラス材が得られるものと考えられる。
より優れた均質性を有するガラス材を得る観点からは、ガス噴出孔10bに供給するガスの温度を100℃以上とすることが好ましく、200℃以上とすることがより好ましく、400℃以上とすることがさらに好ましい。但し、ガス噴出孔10bに供給するガスの温度が高すぎると、成形型10の温度が高くなりすぎる場合がある。従って、ガス噴出孔10bに供給するガスの温度を1000℃以下とすることが好ましく、900℃以下とすることがより好ましい。
ところで、本実施形態のように、ガス噴出孔10bに供給されるガスを予熱した場合、成形型10の温度が高くなりやすい。成形型10の温度が高くなると、溶融ガラスが成形面10aに融着して、ガラス材中に結晶が生じる場合がある。従って、成形型10を冷却することにより、成形型10の温度をガス噴出孔10bに供給されるガスの温度よりも低くすることが好ましい。そうすることにより、優れた均質性と、ガラス材中における結晶の生成の抑制との両立を図ることができる。成形型10の冷却は、例えば成形型10の内部または外部に設置された冷却パイプに、冷却液体や冷却ガスなどのクーラントを流すことにより行うことができる。
ガラス材中に結晶が生じることをより効果的に抑制する観点からは、成形型10の温度をガス噴出孔10bに供給されるガスの温度よりも100℃以上低くすることがより好ましく、200℃以上低くすることがさらに好ましい。但し、成形型10の温度を低くしすぎると、成形型10を通過する際にガスが過剰に冷却されてしまう場合がある。従って、成形型10の温度と、ガス噴出孔10bに供給されるガスの温度との差は、500℃以下であることが好ましく、400℃以下であることがより好ましい。具体的には、成形型10の温度は、100℃〜800℃であることが好ましく、200℃〜700℃であることがより好ましい。
成形型10の冷却方法は、特に限定されない。例えば、成形型10を水冷により冷却してもよいし、ペルチェ素子などを用いて成形型10を冷却してもよい。また、成形型10の外周面に冷却フィンを設けて成形型10の冷却性を向上してもよい。
以下、本発明の好ましい実施形態の他の例について説明する。以下の説明において、上記第1の実施形態と実質的に共通の機能を有する部材を共通の符号で参照し、説明を省略する。
(第2の実施形態)
図3は、第2の実施形態に係るガラス材の製造装置2の模式的断面図である。
第1の実施形態では、複数のガス噴出孔10bが成形面10aに開口している例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。例えば、図3に示されるガラス材の製造装置2のように、成形面10aの中央に開口しているひとつのガス噴出孔10bが設けられていてもよい。この場合であっても、第1の実施形態と同様に、ガス噴出孔10bに予熱されたガスを供給することにより、優れた均質性を有するガラス材を安定して製造し得る。
1,2:ガラス材の製造装置
10:成形型
10a:成形面
10b:ガス噴出孔
11:ガス供給機構
12:ガラス原料塊
13:レーザー照射装置
14:加熱機構

Claims (5)

  1. 成形型の成形面に開口するガス噴出孔からガスを噴出させることにより、前記成形面の上方にガラス原料塊を浮遊させて保持した状態で、前記ガラス原料塊を加熱融解させて溶融ガラスを得た後に、前記溶融ガラスを冷却することによりガラス材を得る工程を備え、
    前記ガス噴出孔に、予熱されたガスを供給する、ガラス材の製造方法。
  2. 前記成形型の温度を前記ガス噴出孔に供給するガスの温度よりも低くする、請求項1に記載のガラス材の製造方法。
  3. 前記成形型を冷却しながら前記ガラス材の製造を行う、請求項1または2に記載のガラス材の製造方法。
  4. 前記ガス噴出孔に供給するガスの温度を100℃以上とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のガラス材の製造方法。
  5. 成形型の成形面に開口するガス噴出孔からガスを噴出させることにより、前記成形面の上方にガラス原料塊を浮遊させて保持した状態で、前記ガラス原料塊を加熱融解させて溶融ガラスを得た後に、前記溶融ガラスを冷却することによりガラス材を製造する装置であって、
    前記ガス噴出孔に供給されるガスを加熱する加熱機構を備える、ガラス材の製造装置。
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