以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係るシート処理装置を備えた画像形成装置の一例である白黒/カラー複写機の構成を示す図である。図1において、110は白黒/カラー複写機、100は白黒/カラー複写機本体(以下、複写機本体という)、120は複写機本体100の上部に設けられた原稿読み取り部(イメージリーダ)、121は複数の原稿を自動的に読み取るための原稿搬送装置である。
複写機本体100は、画像形成するための通常のシートPを積載する給紙カセット101a,101b、電子写真プロセスを用いてシート上にトナー画像を形成する画像形成部100A、シートに形成されたトナー画像を定着させる定着部103等を備えている。また、複写機本体100の上面にはユーザが複写機本体100に対して各種入力/設定を行うため操作部601が、また複写機本体100の側方には、シート処理装置であるフィニッシャ500が接続されている。なお、630は複写機本体100及びフィニッシャ500の制御を司る制御部であるCPU回路部である。
そして、このような白黒/カラー複写機110において、不図示の原稿の画像をシートに形成する際には、まず原稿搬送装置121により搬送された原稿の画像を、原稿読み取り部120に設けられたイメージセンサ120aにより読み取る。この後、読み取られたデジタルデータを露光手段107に入力し、露光手段107は、このデジタルデータに応じた光を画像形成部100Aに設けられた感光体ドラム102(102a〜102d)に照射する。このように光が照射されると、感光体ドラム表面に静電潜像が形成され、この静電潜像を現像することにより、感光体ドラム表面にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色トナー画像が形成される。
次に、この4色のトナー画像を給紙カセット101a,101bから給送されたシート上に転写し、この後、シート上に転写されたトナー像を、定着部103により永久定着する。なお、このようにトナー画像を定着した後、シートの片面に画像を形成するモードであれば、そのまま、シートを排出ローラ対104から、複写機本体100の側部に接続されたフィニッシャ500に排出する。
また、シートの両面に画像を形成するモードであれば、シートを定着部103から反転ローラ105に受け渡しし、この後、所定のタイミングで反転ローラ105を反転させ、シートを両面搬送ローラ106a〜106fの方向へ搬送する。そして、この後、再度、シートを画像形成部100Aに搬送し、裏面にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー像を転写する。なお、このように裏面に4色のトナー像が転写されたシートは、再度定着部103に搬送されてトナー画像が定着され、この後、排出ローラ対104から排出され、フィニッシャ500に搬送される。
フィニッシャ500は、複写機本体100から排出されたシートを順に取り込み、取り込んだ複数のシートを整合して1つの束に束ねる処理、取り込んだシートの後端付近に孔をあけるパンチ処理を行うようになっている。また、フィニッシャ500は、シート束の後端側をステイプルするステイプル処理(綴じ処理)等の処理を行うようになっている。そして、フィニッシャ500は、シートをステイプルする綴じ手段であるステイプル部400を備えている。
フィニッシャ500は、図2に示すように、シートを装置内部に取り込むための入口ローラ対501を備えており、複写機本体100から排紙されたシートは、入口ローラ対501に受け渡される。この後、入口ローラ対501により搬送されたシートは搬送パスR1を通過しながら、シフトローラ対502,503によりシート搬送方向と直交する幅方向のズレが補正される。
次に、幅方向のズレが補正されたシートは搬送ローラ504により搬送され、バッファローラ対505に達する。この後、上トレイ515に排紙される場合は、上パス切換部材506が不図示のソレノイド等の駆動手段により、時計回りに回動する。これにより、シートは上パス搬送路R2に導かれ、上排出ローラ507により上トレイ515に排出される。上トレイ515に排出されない場合は、バッファローラ対505により搬送されたシートは、実線に示す状態の上パス切換部材506により束搬送パスR3に導かれる。この後、搬送ローラ508、束搬送ローラ対509により順次搬送パス内を通過し、排出パスR4に搬送されている。
次に、排出パスR4に搬送されたシートは、この後、シート搬送部である下排出ローラ対513により、整合積載されたシート束に対して処理を施すためのシート積載手段である中間処理トレイ409に順次搬送される。そして、搬送されたシートは、後述する図5に示す引き込みパドル414やベルトローラ416等の戻し手段により、中間処理トレイ上(シート積載手段上)で所定枚数整合処理される。
中間処理トレイ上で先行シート束の整合処理、綴じ処理が行われている場合は、後続シート束を構成するシートのうちの最初の所定枚数がバッファローラ対505の正逆転により重ね合わされる。この後、最初の所定枚数のシートは先行シート束が排出された後の中間処理トレイ409に搬送される。後続シート束を構成するシートのうちの最初の所定枚数重ね合わせるのは、中間処理トレイ上での先行シート束の処理時間を確保するためのバッファ処理である。後続シート束を構成するそれ以降のシートは、一枚ずつ中間処理トレイ409に順次搬送される。
次に、このように中間処理トレイ上で整合処理されたシート束は、必要に応じて綴じ部を構成するステイプラ300により綴じ処理が施され、この後、束排出ローラ対514により下方の積載トレイ516に排紙される。なお、このステイプラ300は、シート搬送方向と直交する幅方向(以下、奥行き方向という)に移動自在であり、シート束の後端部の複数箇所を綴じ処理することができる。
図3は、白黒/カラー複写機110の制御ブロック図である。CPU回路部630は、CPU629、制御プログラム等を格納したROM631、制御データを一時的に保持するための領域や、制御に伴う演算の作業領域として用いられるRAM650を有している。また、図3において、637は白黒/カラー複写機110と外部PC(コンピュータ)620との外部インターフェイスである。この外部インターフェイス637は外部PC620からのプリントデータを受信すると、このデータをビットマップ画像に展開し、画像データとして画像信号制御部634へ出力する。
そして、この画像信号制御部634は、このデータをプリンタ制御部635へ出力し、プリンタ制御部635は、画像信号制御部634からのデータを不図示の露光制御部へ出力する。なお、イメージリーダ制御部633から画像信号制御部634へは、イメージセンサ120a(図1参照)で読み取った原稿の画像が出力され、画像信号制御部634は、この画像をプリンタ制御部635へ出力する。
また、操作部601は、画像形成に関する各種機能を設定するための複数のキー及び設定状態を表示するための表示部等を有している。そして、ユーザによる各キーの操作に対応するキー信号をCPU回路部630に出力すると共に、CPU回路部630からの信号に基づき対応する情報を表示部に表示する。
CPU回路部630は、ROM631に格納された制御プログラム及び操作部601の設定に従い、画像信号制御部634を制御すると共に、原稿搬送装置121(図1参照)を制御する。また、イメージリーダ制御部633を介して原稿読み取り部120(図1参照)を、プリンタ制御部635を介して画像形成部100A(図1参照)を、フィニッシャ制御部636を介してフィニッシャ500をそれぞれ制御する。
なお、本実施の形態において、制御手段であるフィニッシャ制御部636はフィニッシャ500に搭載され、CPU回路部630と情報のやり取りを行うことによってフィニッシャ500の駆動制御を行う。また、フィニッシャ制御部636をCPU回路部630と一体的に複写機本体側に配設し、複写機本体側から直接、フィニッシャ500を制御するようにしてもよい。
図4は本実施の形態に係るフィニッシャ500の制御ブロック図である。フィニッシャ制御部636は、CPU(マイコン)701、RAM702、ROM703、入出力部(I/O)705、通信インターフェイス706、ネットワークインターフェイス704等で構成されている。また入出力部(I/O)705には、処理部制御部707や、不図示の搬送制御部、綴じ制御部等が接続されている。ここで、処理部制御部707には、上部開閉ガイド開閉モータM1、後端落とし駆動モータM2、束排出モータM3、コシ付け部材付勢ソレノイド445、後端落としHPセンサS1、上部開閉ガイドHPセンサS2、下排紙センサS3が接続されている。そして、処理部制御部707は、各センサS1〜S3の検知結果に基づいて各モータM1〜M3、コシ付け部材付勢ソレノイド445を制御する。
次に、中間処理トレイ409を備えたステイプル部400の構成について説明する。中間処理トレイ409は、図5に示すようにシート束の排出方向に対して下流側(図5の左側)を上方に、上流側(図5の右側)を下方に傾斜して配設されている。なお、中間処理トレイ409は、水平であってもよい。
中間処理トレイ409の中間部には中間処理トレイ409に対して幅方向に沿って独立して移動し、中間処理トレイ409上に積載されたシートの両側端に当接してシートを整合する一対の整合板440が設けられている。また、図5に示すように中間処理トレイ409の排出方向下流端部である上方端部には引き込みパドル414と、後端落とし412と、上部開閉ガイド401が配置されている。また、中間処理トレイ409の排出方向上流側には回転体であるベルトローラ416と、シートの排出方向上流側端と当接する規制手段である後端ストッパ417を備えている。
そして、中間処理トレイ上へ搬送されたシートPがシート搬送手段としての下排出ローラ対513のニップをシート後端が抜けると、後端落とし412が下方に移動して、中間処理トレイ409側へと付勢される。この後、シートPは、引き込みパドル414及びベルトローラ416の反時計方向の回転により、後端ストッパ417に排出方向上流端(搬送方向上流端)が突き当てられ、シートPの排出方向の後端の位置が整合(規制)される。
ここで、引き込みパドル414は、中間処理トレイ409の上方に配設されると共に、パドル駆動軸413を中心に回転するように構成されている。また、後端落とし412は、図6に示すように、後端落としホルダー421に回転自在に支持されている後端落とし回転軸412aに複数設けられている。なお、後端落としホルダー421には、後端落とし駆動モータM2により回転するカム軸411が取り付けられている。なお、カム軸411の一端にはプーリ419が取り付けられており、このプーリ419にタイミングベルト415を介して後端落とし駆動モータM2の駆動が伝達されることにより、カム軸411が回転する。このカム軸411には後端落とし412の一端部を押圧して後端落とし412を下降させるためのカム410と、後端落としHPフラグ420が取り付けられている。
そして、この後端落としHPフラグ420の位置を後端落としホルダー421に設けられた後端落としHPセンサS1が検知することにより、フィニッシャ制御部636は後端落とし412の位置を制御する。なお、カム410は後端落とし412に対応して設けられると共に、全て同様の位相となっており、これにより後端落とし駆動モータM2によってカム410が回転することにより、後端落とし412を同時に下降させることができる。
なお、後端落とし412は、図6の(b)に示す位置、即ち、上方に上がった状態がHP(ホームポジション)となっており、シートPを受け入れる際はHPに位置している。フィニッシャ制御部636は、図5に示す下排紙センサS3からの検知信号に基づき、後端落とし駆動モータM2を駆動し、後端落とし412を図6の(a)に示すシート上面押さえ位置へと移動させる。
また、図5に示すように、中間処理トレイ409の排出方向下流側には第1回転体である下部束排出ローラ514aと、第2回転体である上部束排出ローラ514bとを備えた回転体対である束排出ローラ対514が設けられている。ここで、この上部束排出ローラ514bは、支持軸401aを中心に上下方向に回動可能に支持された上部開閉ガイド401により、回転自在に、かつ下部束排出ローラ514aに対して接離自在に保持されている。なお、この上部開閉ガイド401の下面は、中間処理トレイ409に対向した上側の搬送ガイドとして作用する。
そして、このように上部束排出ローラ514bが上部開閉ガイド401により支持されることにより、上部開閉ガイド401を上方回動させると、上部束排出ローラ514bを下部束排出ローラ514aから離間させることができる。なお、通常、シート束を形成する最初の1枚目のシートが中間処理トレイ409上に搬送されるとき、上部開閉ガイド401を上方回動させる。これにより、上部束排出ローラ514bが、束排出ローラ対514の他方のローラである下部束排出ローラ514aから離れた状態となる。
上部開閉ガイド401が上方回動すると、下排出ローラ対513から搬送されたシートは、中間処理トレイ409の傾斜及び引き込みパドル414により、中間処理トレイ409の積載面上、又は中間処理トレイ409に積載されたシート上を滑降する。このように滑降したシートは、この後、ベルトローラ416の反時計方向の回転によって搬送(移送)され、後端(排出方向上流端)が後端ストッパ417に突き当てられて停止する。
この後、中間処理トレイ409上でシートの幅方向の整合処理が行われる。この動作が、中間処理トレイ409上にシートが搬送される度に、シート束を形成するまで行われ、この後、複数のシートにより形成されたシート束に対して綴じ等の処理が行われる。そして、中間処理トレイ409上でのシート束の処理が終了すると、上部開閉ガイド401を下方回動させる。これにより、上部束排出ローラ514bが下降し、下部束排出ローラ514aと共にシート束を挟持するようになり、この後、束排出ローラ対514が駆動されるとシート束は下方の積載トレイ516(図2参照)に排出される。
次に、上部開閉ガイド401を開閉するための構成と、束排出ローラ対514を駆動するための構成について図5及び図7を用いて説明する。図5及び図7に示すように、上部開閉ガイド401には開閉ガイド開閉板402が取り付けられ、開閉ガイド開閉板402には開閉軸403がカシメられており、この開閉軸403に開閉リンク404が取り付けられている。この開閉リンク404にはガイド溝404aが形成されており、このガイド溝404aにはリンク回転板406に設けられた回転軸405が挿入されている。そして、リンク回転板406が回転すると、この回転に伴って回転軸405がガイド溝404a内を移動し、これに伴い後述する図9に示すように、開閉リンク404が上方に持ち上げられ、上部開閉ガイド401が上方回動する。
なお、図7に示すように、開閉リンク404、リンク回転板406は手前側と奥側にそれぞれ設けられており、前、奥の2箇所で上部開閉ガイド401の開閉動作が行われる。2つのリンク回転板406は開閉駆動軸423に固定されており、開閉駆動軸423の一端にはプーリ436が取り付けられている。そして、このプーリ436には、上部開閉ガイド開閉モータM1の駆動が、図5に示すモータプーリ408、タイミングベルト407を介して伝達され、これにより開閉駆動軸423が回転し、リンク回転板406が回転する。
なお、本実施の形態において、この開閉リンク404、リンク回転板406、上部開閉ガイド401、上部開閉ガイド開閉モータM1等により上部束排出ローラ514bを移動させる移動手段400Aが構成される。そして、この移動手段400Aにより、上部束排出ローラ514bは、中間処理トレイ409にシートを積載する際は下部束排出ローラ514aから離間する離間位置に移動する。また、処理されたシート束を排出する際には下部束排出ローラ514aと共にシート束を挟持する挟持位置に移動する。このように移動手段400Aは、束排出ローラ対514の状態を変更する変更手段として機能する。
開閉駆動軸423の軸上には、図7に示すように上部開閉ガイドHPセンサフラグ424が設けられている。そして、上部開閉ガイドHPセンサフラグ424の位置を、不図示の処理部ステーに取り付けられたセンサ支板422に設けられた上部開閉ガイドHPセンサS2によって検知することにより、フィニッシャ制御部636は上部開閉ガイド401の位置を制御する。
次に、束排出ローラ対514の駆動について説明する。図7の(b)に示すように、束排出ローラ対514の下部束排出ローラ514aのローラ軸514a1の一端部にはプーリ426が取り付けられている。そして、このプーリ426に、不図示の処理部側板に取り付けられた正逆転可能な駆動手段である束排出モータM3の駆動がタイミングベルト425によって伝達されることにより、下部束排出ローラ514aが回転する。
また、下部束排出ローラ514aのローラ軸514a1の他端部には駆動ギア427が設けられており、この駆動ギア427はアイドラ軸429に取り付けられたアイドラギア428の一方のギアと噛み合っている。なお、このアイドラギア428は段ギアとなっており、駆動ギア427と噛み合っていない、他方のギアとアイドラ軸432に取り付けられたアイドラプーリ431との間にはタイミングベルト430が掛けられている。
また、アイドラプーリ431の同軸上にはアイドラプーリ433が設けられており、このアイドラプーリ433と上部束排出ローラ514bのローラ軸514b1の一端に取り付けられた駆動プーリ435との間にはタイミングベルト437が掛けられている。これにより、束排出モータM3の駆動が下部束排出ローラ514a、上部束排出ローラ514bの両方に伝達される。なお、本実施の形態では、駆動ギア427、アイドラギア428、タイミングベルト430,437、駆動プーリ435等により、下部束排出ローラ514aの駆動を上部束排出ローラ514bに伝達する駆動伝達手段である駆動伝達部400Bが構成される。
また、本実施の形態においては、束排出モータM3の正転により束排出ローラ対514がシート排出方向に回転し、中間処理トレイ409からシート束を排出する。また、束排出モータM3の逆転により束排出ローラ対514が逆転し、下排出ローラ対513から搬送されたシートを後端ストッパ417へと搬送する。
ところで、本実施の形態において、図8の(a)に示すように、下部束排出ローラ514aの近傍に、中間処理トレイ409に積載されたシートPに対してコシ付けを行うコシ付け部材441(441a〜441d)が設けられている。このコシ付け部材441は、コシ付け部材取付板442に取り付けられ、このコシ付け部材取付板442は、図8の(b)に示す離間駆動手段であるコシ付け部材付勢ソレノイド445により回動する。なお、コシ付け部材付勢ソレノイド445は、フレーム447に設けられたソレノイド支持板446に取り付けられている。
このコシ付け部材付勢ソレノイド445には、コシ付け部材取付板442を押圧するソレノイドリンク443と、ソレノイドリンク443を移動させるリンク回動軸444が取り付けられている。そして、コシ付け部材付勢ソレノイド445がONすると、リンク回動軸444が引かれ、これに伴いソレノイドリンク443が回動してコシ付け部材取付板442を押圧する。これにより、コシ付け部材取付板442は図9の(a)に示す位置から図9の(b)に示す位置に移動する。このようなコシ付け部材取付板442の移動により、コシ付け部材441は、図9の(b)に示すように下部束排出ローラ514aから上方に突出してシート束に対してコシ付けを行う。
ここで、本実施の形態において、コシ付け部材441は、シート束に対して綴じ処理を行った後、突出するようになっている。そして、コシ付け部材441が突出した後、上部開閉ガイド401を下方回動させ、上部束排出ローラ514bをシート束に当接させると、シートPが上部束排出ローラ514b側へと付勢される。これにより、突出しているコシ付け部材441にシート束が押し付けられ、シート束のコシ付けが行われる。
つまり、本実施の形態においては、コシ付け部材441を突出させるのは、上部開閉ガイド401が上方回動し、上部束排出ローラ514bが離間している状態のときである。そして、この状態でコシ付け部材441を突出させると、コシ付け部材441によりシート束が押し上げられ、下部束排出ローラ514aからシート束が離れるようになる。これにより、後述するように束排出ローラ対514を、シート束を排出する前に駆動した場合でも、下部束排出ローラ514aがシート束の下側のシートと擦れるのを防ぐことができる。この結果、シート束の下側のシートに下部束排出ローラ514aによる擦れ痕が付いて成果物の品位を低下させるのを防止することができる。
次に、本実施の形態に係るステイプル部の綴じジョブにおける動作について図10、図11及び図12に示すフローチャートを用いて説明する。ユーザが操作部601で綴じ処理を選択して綴じジョブがスタートすると、複写機本体100により1枚目のシートの搬送が開始され(S801)、このシートP1は下排出ローラ対513、束排出ローラ対514へと搬送される。この時、束排出ローラ対514は第2方向である図10の(a)に示す矢印の方向(シート排出方向)に回転している。
そして、このシートP1を下排紙センサS3が検知してONすると(S802のY)、この後、この検知に基づき、フィニッシャ制御部636は、後端落とし駆動モータM2を起動し、図10の(b)に示すように後端落とし412を落下させる。これにより、シート後端部が後端落とし412により、ベルトローラ416による引き込み可能位置へと付勢されながら落下する。そして、このように後端落とし412を落下させた後、束排出モータM3を停止し(S803)、束排出ローラ対514を停止する。
次に、図10の(c)に示すように、フィニッシャ制御部636は、束排出モータM3を逆転させ(S804)、束排出ローラ対514を第1方向である矢印方向(シート排出方向と反対方向)に回転させ、ベルトローラ416へとシートP1を搬送する。この後、ベルトローラ416へとシートP1が搬送されると、上部開閉ガイド開閉モータM1を起動し、シートP1の後端が後端ストッパ417に突き当たる前に、上部開閉ガイド401を上方回動させる(S805)。これにより、上部束排出ローラ514bと下部束排出ローラ514aとが離間し、シートP1を非挟持状態で後端ストッパ417に突き当て整合することができる。次に、シートP1の後端の整合が終了すると、整合板440を退避位置から整合位置へ動作させ、幅方向の整合を行う。
なお、ここでは中間処理トレイ上に処理中の先行シート束がない場合の動作について説明しているが、中間処理トレイ上で先行シート束の処理が行われている場合は、後続シート束を構成するシートのうちの最初の所定枚数が重ね合わされた状態で搬送される。この場合も最初の1枚が中間処理トレイ上に搬送された場合と同様の動作、制御が行われる。
次に、2枚目のシートP2が下排出ローラ対513から中間処理トレイ409に搬送される。この時、図11の(a)に示すように、上部開閉ガイド401は既に上昇位置にあり、上部束排出ローラ514bと下部束排出ローラ514aを離間させた状態となっている。そして、シートP2の後端が下排出ローラ対513のニップを抜けると、フィニッシャ制御部636は、図11の(b)に示すように後端落とし412を落下させ、シートP2を中間処理トレイ409上に落下させる。次に、引き込みパドル414を反時計回りに回転させる戻し処理を行い、シートP2の後端を後端ストッパ417に向けて搬送する。この後、中間処理トレイ409上に搬送されたシートP2は、後端ストッパ417に突き当たり、シートの搬送方向の整合が行われる。
次に、シートP2の後端の整合が終了すると、フィニッシャ制御部636は、1枚目同様、整合板440によって幅方向の整合処理を行う。この後、このような2枚目以降のシートの中間処理トレイ409への積載を行う(S806)。そして、中間処理トレイに搬送されたシートが最終シートとなると(S807のY)、最終シートに対する整合処理を行ってシート束PAを形成し、この後、シート束PAに対し、ステイプラ300によって綴じ処理を行う(S808)。
次に、綴じ処理が終了すると、フィニッシャ制御部636は、コシ付け部材付勢ソレノイド445をONし(S809)、図11の(c)に示すように、コシ付け部材441を下部束排出ローラ514aから突出させる。これにより、綴じられたシート束PAの排出方向下流端部は、上部束排出ローラ514b側へと持ち上げられ、下部束排出ローラ514aから離れる。この状態で、束排出モータM3を所定クロック正転させ(S810)、下部束排出ローラ514aを矢印方向(排出方向)に所定量回転させる。
ここで、1枚目のシートP1をベルトローラ416へと搬送する際、束排出モータM3は下部束排出ローラ514aを、既述した図10の(c)の矢印で示すシート排出方向と反対方向に回転させた後、停止している。このため、下部束排出ローラ514aを図11の(c)の矢印方向に回転させると、既述した図7の(b)に示す駆動伝達部400Bを構成するギアの噛み合いのガタ取りを行うことができる。
次に、フィニッシャ制御部636は、ガタ取りをした状態で束排出モータM3を一旦停止し(S811)、この後、上部開閉ガイド401を下方回動させる(S812)。これにより、図11の(d)に示すように上部束排出ローラ514bがシート束PAに当接する。なお、このときコシ付け部材441が下部束排出ローラ514aの上方に突出しているので、シート束PAがコシ付けされる。この後、束排出モータM3を再び起動して正転させ(S813)、シート束PAを束排出ローラ対514により搬送して、シート束PAを積載トレイ516に排出する。ガタ取りは束排出ローラ対514によりシート束PAを挟持する前に完了していればよく、上部開閉ガイド401が下方回動している間にガタ取り、一旦停止させ、上部束排出ローラ514bをシート束PAに当接させるようにしても良い。
ところで、既述したように、本実施の形態においては、上部開閉ガイド401を下方回動させる前に、コシ付け部材441を下部束排出ローラ514aから突出させ、この後、駆動伝達部400Bのガタ取りを行うようにしている。ここで、このように下部束排出ローラ514aよりも上方に突出可能に設けられ、下部束排出ローラ514aからシート束を離間させる離間手段であるコシ付け部材441を突出させることにより、シート束PAを持ち上げることができる。
そして、このようにシート束PAを持ち上げることにより、下部束排出ローラ514aが所定量回転する際、下部束排出ローラ514aがシート束PAの下側のシートに接触するのを防ぐことができる。これにより、駆動伝達部400Bのガタ取りを行う際、シート束PAの下側のシートに下部束排出ローラ514aのこすれ痕が生じるのを防ぐことができる。
以上説明したように、本実施の形態においては、上部開閉ガイド401を下方回動する前に、言い換えれば束排出ローラ対514が離間状態の際、駆動伝達部400Bのガタ取りを行うようにしている。そして、このように駆動伝達部400Bのガタ取りを行うことより、シート束を排出する際、下部束排出ローラ514aに対して上部束排出ローラ514bへの駆動伝達の遅れが発生するのを防止することができる。
つまり、本実施の形態においては、シート束PAを排出する前に駆動伝達部400Bのガタ取りを行い、駆動伝達部400Bのガタを解消した状態で束排出ローラ対514を第2方向に回転させるようにしている。これにより、シート束の綴じ部にシワが発生するのを防止することができ、駆動伝達部400Bのガタによる成果物の品位の低下を防ぐことができる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図13は、本発明の第2の実施の形態に係るシート処理装置に設けられたステイプル部の構成を説明する図である。なお、図13において、既述した図5と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
図13において、450はステイプラ300で綴じられたシート束を排出する際に、シート束の排出方向上流端に当接しながら排出方向に移動してシート束を押し出す押し出し手段である後端押し出し部材である。この後端押し出し部材450は後端ストッパ417よりもシート排出方向と逆方向であるシート突き当て方向の下流側に位置しており、後端ストッパ417にシートを突き当てる際にはシートが当たらないように構成されている。
なお、図13において、M4は中間処理トレイ409の下部に配置される後端押し出しモータである。また、S4は後端押し出し部材450の、後端ストッパ417にシートを突き当てる際にシートが当たらないホームポジションを検知する押し出し部材HPセンサであり、この押し出し部材HPセンサS4はフレーム462に取り付けられている。そして、既述したフィニッシャ制御部636は、押し出し部材HPセンサS4からの信号に基づいて後端押し出しモータM4を駆動し、後端押し出し部材450の位置を制御する。
次に、後端押し出し部材450について図14を用いて説明する。図14において、459は後端押し出し部材450を移動させる駆動ベルトであり、460は後端押し出し部材450と共に駆動ベルト459を挟み込む押し出しスライドである。この押し出しスライド460は、フレーム462に固定されたスライド軸461にスライド可能に取り付けられている。
フレーム462には駆動軸463,457が取り付けられており、この駆動軸463,457の中央部分には駆動ベルト459が巻き付けられたプーリ464,458がそれぞれ取り付けられている。なお、一方の駆動軸457には駆動ギア456が取り付けられており、この駆動ギア456は、押し出しモータM4により回転する駆動連結軸454の一端に設けられたギア455と噛合している。これにより、押し出しモータM4の駆動は、ギア455、駆動ギア456及びプーリ458を介して駆動ベルト459に伝えられ、駆動ベルト459が回転する。そして、この駆動ベルト459の回転に伴い、後端押し出し部材450は押し出しスライド460と共にスライド軸461上を移動し、シート束を押し出す。
なお、押し出しスライド460には押し出し部材HPセンサS4のON/OFFを切り替えるためのフラグ部460aが設けられている。そして、フィニッシャ制御部636は、押し出し部材HPセンサS4のON/OFFにより後端押し出し部材450の位置を制御する。なお、図15の(a)は、後端押し出し部材450がホームポジションに位置しているときの状態を示している。そして、中間処理トレイ409にシートを積載している間、後端押し出し部材450は、このホームポジションで待機している。
次に、本実施の形態に係るステイプル部の綴じジョブにおける動作について図15及び図16に示すフローチャートを用いて説明する。なお、図16において、S901〜S908に示すシートを順次、中間処理トレイ409に積載してシート束を形成し、この後、シート束PAに対して綴じ処理を行うまでの処理は、既述した図12のS801〜S808に示す処理と同じなので説明は省略する。
図15の(a)は、シート束PAに対し、ステイプラ300によって綴じ処理を施したときの状態を示している。ここで、本実施の形態において、シート束PAに対して綴じ処理を行うと、フィニッシャ制御部636は、後端押し出しモータM4を起動し(S909)、図15の(b)に示すように後端押し出し部材450を移動させ、綴じられたシート束PAの後端を押す。また、この後端押し出し部材450の移動に同期して束排出モータM3を起動して正転させ(S910)、矢印方向(排出方向)に束排出ローラ対514を回転させて束排出ローラ対514の駆動伝達部のガタ取りを行う。
次に、ガタ取りをした状態で束排出モータM3を一度停止し(S911)、この後、上部開閉ガイド401を下方回動させる(S912)。これにより、図15の(c)に示すように上部束排出ローラ514bがシート束PAに当接する。この後、束排出モータM3を再び起動して正転させ(S913)、シート束PAを束排出ローラ対514により、積載トレイ516に排出する。
ところで、既述したように、本実施の形態においては、上部開閉ガイド401を下方回動する前に、後端押し出し部材450を移動させると共に、後端押し出し部材450の移動と同期させて束排出ローラ対514を回転させるようにしている。また、本実施の形態において、後端押し出し部材450の移動速度(シート押し出し速度)を、下部束排出ローラ514aによるシート搬送速度と同じになるように設定している。これにより、下部束排出ローラ514aが回転する際、シート束PAの下側のシートに下部束排出ローラ514aのこすれ痕が生じるのを防ぐことができる。
以上説明したように、本実施の形態においては、上部開閉ガイド401を閉じる前に、後端押し出し部材450を移動させると共に、後端押し出し部材450の移動に同期して束排出ローラ対514の駆動伝達部400Bのガタ取りを行うようにしている。そして、このように駆動伝達部400Bのガタ取りを行うことより、シート束を排出する際、下部束排出ローラ514aに対して上部束排出ローラ514bへの駆動伝達の遅れが発生するのを防止することができる。これにより、シート束の綴じ部にシワが発生するのを防止することができ、駆動伝達部400Bのガタによる成果物の品位の低下を防ぐことができる。