以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
図1は、一実施形態に係るハーベスタ装置を備えた林業機械の側面図である。
図1に示す林業機械の下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載されている。上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端に、アーム5が取り付けられ、アーム5の先端にハーベスタリンク6が取り付けられている。ブーム4,アーム5及びハーベスタリンク6は、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びはハーベスタリンクシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。ハーベスタリンク6の先端には、ハーベスタ装置100が取り付けられている。上部旋回体3には、キャビン10が設けられ、且つエンジン11等の動力源が搭載される。キャビン10には運転席が設けられており、運転者は運転席に着座しながら林業機械を操作する。
図2は、図1に示す林業機械に備えられるハーベスタ装置100の側面図である。ハーベスタ装置100の本体102は、略長方形の形状をしている。該本体102は、以下に説明する造材作業を行う各部(把持部、送材部、枝打ち部、切断部等)を駆動する油圧装置、制御装置等が収納されている。また、これらの油圧装置、制御装置等を保護するため、本体102にはカバー103が取り付けられている。また、本体102には、リンク部104が取り付けられている。本体102は、リンク部104に対して、軸104Aを中心として回動可能となっている。リンク部104は、上記ハーベスタリンク6の先端に連結されて固定される。
ハーベスタ装置100は、原木を掴んで、把持する把持部、原木の送材を行う(原木を長さ方向に送る)送材部、原木の送材に併せて枝打ちを行う枝打ち部、原木を任意の長さに切断する切断部を含む。また、ハーベスタ装置100は、本体102の姿勢(水平面に対する角度)を変化させるチルト部を含む。なお、「原木」とは造材作業により木材として生成されるまでの状態を表し、「木材」とは、造材作業により木材として生成された状態を意味する。
把持部は、ナイフ112、リアグリップ116、ローラ118等を含む。
ナイフ112は、本体102の長手方向の一端側に固定され、本体102から支持されると共に、把持する原木の太さ方向に開閉可能に設けられる。これにより、ナイフ112による原木の把持が可能とされている。ナイフ112の開閉動作は、本体102内に設けられるナイフ用シリンダ113により駆動される。また、ナイフ112は、一対のナイフ112A、112Bを含む。一対のナイフ112A、112Bは、共に原木の形状に沿うことが可能に構成されている。また、ナイフ112A、112Bは、原木の長さ方向にわずかに位置をずらして配置されている。その結果、ナイフ112Aとナイフ112Bを閉じた際には、互いに先端部分が当接することがないため、細い原木であっても把持することが可能とされている。なお、ナイフ112は、後述するとおり、枝打ち部にも含まれ、原木の枝を取り払う機能も有する。
リアグリップ116は、ナイフ112に対して、本体102の長手方向の他端側に固定され、ナイフ112と同様、本体102から支持されると共に、把持する原木の太さ方向に開閉可能に設けられる。これにより、リアグリップ116による原木の把持が可能とされている。リアグリップ116の開閉動作は、本体102内に設けられるリアグリップ用シリンダ117により駆動される。リアグリップ116は、一対のリアグリップ116A、116Bを含む。一対のリアグリップ116A、116Bは、一対のナイフ112A、112Bと同様、共に原木の形状に沿うことが可能に構成されている。また、リアグリップ116A、116Bは、ナイフ112A、112Bと同様、原木の長さ方向にわずかに位置をずらして配置されている。その結果、リアグリップ116Aとリアグリップ116Bを閉じた際には、互いに先端部分が当接することがないため、細い原木であっても把持することが可能とされている。
ローラ118は、本体102の長手方向の中央部に固定される。ローラ118は、一対のローラ118A、118Bを含み、本体102に支持されると共に、把持する原木の太さ方向に開閉可能に設けられる。これにより、ローラ面が原木に当接し、ローラ118による原木の把持が可能とされている。ローラ118の開閉動作は、本体102内に設けられるローラ用シリンダ119Cにより駆動される。なお、ローラ118は、後述するとおり、送材部にも含まれ、原木を長さ方向に送材する機能も有する。
このように、ナイフ112、リアグリップ116、及びローラ118を開放し、原木を掴み、その後、閉じることにより原木を把持することができる。
送材部は、ローラ118を含む。
ローラ118は、図中上下方向を軸として回転可能に設けられており、ローラ118が回転することにより原木を長さ方向に送材することが可能とされている。ローラ118に含まれる一対のローラ118A、118Bは、ローラ用モータ119により駆動され、それぞれ、原木が図中右から左に送られるように回転する。なお、本実施形態において、送材は、ローラ118により行われるが、別の手段により送材が行われてもよい。例えば、リアグリップ116(及びチェーンソー120)が本体102の長手方向(原木の長さ方向)に伸縮スライド可能に設けられ、リアグリップ116が原木を把持した状態で図中左に伸長スライドすることで送材を行ってもよい。
枝打ち部は、ナイフ112を含む。
ナイフ112に含まれる一対のナイフ112A、112Bには、それぞれ、鋭利部112a、112bが設けられる。一対のナイフ112A、112Bが原木を把持した状態で、上述したとおり、原木がローラ118により図中右から左に送材されることにより、枝が鋭利部112a、112bにより取り払われる。このようにして原木の枝打ちを行うことができる。
切断部は、チェーンソー120を含む。
チェーンソー120は、リアグリップ116に隣接して設けられる。チェーンソー120は、本体102内のチェーンソー用モータ122により駆動され、原木を任意の長さに切断することが可能とされている。チェーンソー120は、通常時、把持する原木の邪魔にならないようにチェーンソー用カバー124内に収容されており、原木を切断する際に支点121を中心として回動(スイング)することが可能とされている。該回動は、チェーンソー用シリンダ123を動力源として行われる。なお、図示しないが、該チェーンソー120に隣接して、把持した原木の径(太さ)を計測可能なセンサが設けられている。
チルト部は、チルト用シリンダ108等を含む。
チルト用シリンダ108は、リンク部104に対する本体102の姿勢を制御する。チルト用シリンダ108は、一端が支点108Aに固定され、他端が支点108Bに固定される。チルト用シリンダ108内のピストンが供給される作動油により伸縮することで、本体102は、軸104Aを中心として回動する。これにより、原木を把持する本体102の姿勢を変化させることができ、地面に生えている木を切断し、そのまま、造材作業を行うことも可能である。また、密集した森林等、狭い場所での作業を効率的に行うことも可能となる。
また、ハーベスタ装置100は、エンコーダ114、ケーブル170等を含む。
エンコーダ114は、原木の長さを計測する測長装置である。エンコーダ114は、上下に揺動可能に設けられ、把持部により原木が把持されると、原木に当接し、送材部により原木が図中右から左に送られる際に、軸114Aを中心に回転することで、原木の送り量を計測することができる。これにより、計測された長さを参照しながら、例えば、略同じ長さの木材を生成することができる。また、エンコーダ114は、原木に当接する際に原木を図中下向きに抑える機能を発揮することができるため、これにより、把持した原木のガタツキを防止することができる。
ケーブル170は、ハーベスタ装置100を操作する際に必要なケーブルである。具体的には、林業機械の、例えば、上部旋回体3、キャビン10等に設けられるハーベスタコントローラ130とハーベスタ装置100の本体102内に設けられるアタッチメントコントローラ140とを接続する制御ラインである。なお、ハーベスタコントローラ130、アタッチメントコントローラ140については、後述する。
以上のような構成のハーベスタ装置100を備えた林業機械において、玉切り作業におけるチェーンソー120による原木の切断を行う際に、チェーンソー120の駆動速度が遅い場合、原木の自重により一部折れて落下してしまう場合がある。例えば、図3は、林業機械による玉切り作業の一例を示す図であるが、このように、チェーンソー120による切断が完了する前に、原木が自重により折れて落下し、切断面の一部にバリが発生してしまい、木材の品質が低下する。
そこで、本実施形態では、玉切り作業におけるチェーンソー120による原木の切断を行う際に、チェーンソー120の駆動速度を高めることができるようにする。具体的には、操作者によりチェーンソー(の駆動)が選択されたときに、コントローラ30が該選択を検知し、該選択に応じて、コントローラ30がエンジン11の回転数、及び/又は、メインポンプ14からの作動油の吐出流量を制御可能に構成するとよい。図4は、本実施形態に係る林業機械による玉切り作業の一例を示す図であるが、このように、原木の切断が完了する前に、原木が自重により一部折れて落下することを抑制し、綺麗な切断面を有する品質の高い木材を生成することが可能となる。
なお、チェーンソー120の駆動速度は、主に、チェーンソー用モータ122によるチェーンソー120のチェーン部分の速度を意味する。但し、チェーンソー120の駆動速度には、チェーンソー用シリンダ123によるチェーンソー120のスイング(回動)速度が含まれてもよい。
ここで、図5は、本実施形態に係る林業機械の構成を示すブロック図である。
林業機械の駆動系は、主に、エンジン11、メインポンプ14、パイロットポンプ15、コントロールバルブ17、操作装置26、コントローラ30、及びエンジン制御装置(ECU)74等を含む。
エンジン11は、林業機械の駆動源であり、例えば、所定の回転数を維持するように動作するディーゼルエンジンである。エンジン11の出力軸はメインポンプ14及びパイロットポンプ15の入力軸に接続される。
メインポンプ14は、高圧油圧ライン16を介して作動油をコントロールバルブ17に供給する油圧ポンプであり、例えば、斜板式可変容量型油圧ポンプである。メインポンプ14は、斜板の角度(傾転角)を変更することでピストンのストローク長を調整し、吐出流量、すなわち、ポンプ出力を変化させることができる。メインポンプ14の斜板は、レギュレータ14aにより制御される。レギュレータ14aは、電磁比例弁(不図示)に対する制御電流の変化に対応して、斜板の傾転角を変化させる。例えば、制御電流を増加させることにより、レギュレータ14aは、斜板の傾転角を大きくして、メインポンプ14の吐出流量を多くする。また、制御電流を減少させることにより、レギュレータ14aは、斜板の傾転角を小さくして、メインポンプ14の吐出流量を少なくする。
パイロットポンプ15は、パイロットライン25を介して各種油圧制御機器に作動油を供給するための油圧ポンプであり、例えば、固定容量型油圧ポンプである。
コントロールバルブ17は、林業機械における油圧システムを制御する油圧制御バルブである。コントロールバルブ17は、後述するレバー又はペダル26A〜26Cの操作方向及び操作量に応じた圧力変化に応じて、例えば、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、ハーベスタリンクシリンダ9、走行用油圧モータ1A(右用)、走行用油圧モータ1B(左用)、及び旋回用油圧モータ2Aのうちの一又は複数のものに対し、メインポンプ14から高圧油圧ライン16を通じて供給された作動油を選択的に供給する。なお、以下の説明では、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、ハーベスタリンクシリンダ9、走行用油圧モータ1A(右用)、走行用油圧モータ1B(左用)、及び旋回用油圧モータ2Aを集合的に「油圧アクチュエータ」と称する。
操作装置26は、操作者が油圧アクチュエータの操作のために用いる装置である。操作装置26は、パイロットライン25を介してパイロットポンプ15から供給された作動油をパイロットライン25aを通じて、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する流量制御弁のパイロットポートに供給する。なお、パイロットポートのそれぞれに供給される作動油の圧力は、油圧アクチュエータのそれぞれに対応するレバー又はペダル26A〜26Cの操作方向及び操作量に応じた圧力とされる。
コントローラ30は、林業機械を制御するための制御装置であり、例えば、CPU、RAM、ROM等を備えたコンピュータで構成される。コントローラ30のCPUは、ショベルの動作や機能に対応するプログラムをROMから読み出してRAMにロードしながらプログラムを実行することで、それらプログラムのそれぞれに対応する処理を実行させる。
コントローラ30は、メインポンプ14の吐出流量の制御を行う。例えば、ネガコン弁(不図示)のネガコン圧に応じて上記制御電流を変化させ、レギュレータ14aを介してメインポンプ14の吐出流量を制御する。また、本実施形態では、後述するハーベスタ入力部126において、操作者が選択した作業又は駆動部等に応じて上記制御電流を変化させ、レギュレータ14aを介してメインポンプ14の吐出流量を制御する。詳細は、後述する。
エンジン制御装置(ECU)74は、エンジン11を制御する装置である。例えば、コントローラ30からの指令に基づき、後述するエンジン回転数調整ダイヤル75により操作者が設定したエンジン回転数(モード)に応じて、エンジン11の回転数を制御するための燃料噴射量等をエンジン11に出力する。また、本実施形態では、後述するハーベスタ入力部126において、操作者が選択したハーベスタ作業に応じたコントローラ30からの指令に基づき、エンジン回転数の制御を行う。詳細は、後述する。
エンジン回転数調整ダイヤル75は、キャビン10内に設けられるエンジンの回転数を調整するためのダイヤルであり、本実施形態ではエンジン回転数を5段階で切り換えできるようにする。即ち、エンジン回転数調整ダイヤル75により、Rmax、R4、R3、R2及びR1の5段階でエンジン回転数を切り換えることができるようにする。なお、図5は、エンジン回転数調整ダイヤル75でR4が選択された状態を示す。
Rmaxは、エンジン11の最高回転数であり、作業量を優先したい場合に選択される。R4は、二番目に高いエンジン回転数であり、作業量と燃費を両立させたい場合に選択される。R3及びR2は、三番目及び四番目に高いエンジン回転数であり、燃費を優先させながら低騒音でショベルを稼働させたい場合に選択される。R1は、最も低いエンジン回転数(アイドリング回転数)であり、エンジン11をアイドリング状態にしたい場合に選択されるアイドリングモードにおけるエンジン回転数である。例えば、Rmax(最高回転数)を2000rpm、R1(アイドリング回転数)を1000rpmとし、その間を250rpm毎に、R4(1750rpm)、R3(1500rpm)、R2(1250rpm)と多段階に設定してよい。そして、エンジン11は、エンジン回転数調整ダイヤル75で設定されたエンジン回転数で一定に回転数制御される。なお、ここでは、エンジン回転数調整ダイヤル75による5段階でのエンジン回転数調整の事例を示したが、5段階には限られず何段階であってもよい。
また、林業機械には、運転者による運転を補助するために画像表示装置40をキャビン10の運転席の近傍に配置する。運転者は画像表示装置40の入力部42を利用して情報や指令を林業機械のコントローラ30に入力できる。また、林業機械の運転状況や制御情報を画像表示装置の画像表示部41に表示させることで、運転者に情報を提供できる。
画像表示装置40は、画像表示部41及び入力部42を含む。画像表示装置40は、運転席内のコンソールに固定される。なお、一般的に、運転席に着座した運転者からみて右側にブーム4が配置されており、運転者はブーム4の先端に取り付けられたアーム5、ハーベスタリンク6、ハーベスタ装置100を視認しながら林業機械を運転することが多い。キャビン10の右側前方のフレームは運転者の視界の妨げとなる部分であるが、本実施形態では、この部分を利用して画像表示装置40を設けている。これにより、もともと視界の妨げとなっていた部分に画像表示装置40が配置されるので、画像表示装置40自体が運転者の視界を大きく妨げることは無い。フレームの幅にもよるが、画像表示装置40全体がフレームの幅に入るように、画像表示装置40は、画像表示部41が縦長となるように構成されてもよい。また、後述するハーベスタ用表示部150はキャビン10内の床に固定されたブラケットに支持されている。
本実施形態では、画像表示装置40は、Controller Area Network(CAN)、Local Interconnect Network(LIN)等の通信ネットワークを介してコントローラ30に接続される。なお、画像表示装置40は、専用線を介してコントローラ30に接続されてもよい。
また、画像表示装置40は、画像表示部41上に表示する画像を生成する変換処理部40aを含む。本実施形態では、変換処理部40aは、撮像装置80の出力に基づいて画像表示部41上に表示するカメラ画像を生成する。そのため、撮像装置80は、例えば専用線を介して画像表示装置40に接続される。また、変換処理部40aは、コントローラ30の出力に基づいて画像表示部41上に表示する画像を生成する。
なお、変換処理部40aは、画像表示装置40が有する機能としてではなく、コントローラ30が有する機能として実現されてもよい。この場合、撮像装置80は、画像表示装置40ではなく、コントローラ30に接続される。
また、画像表示装置40は、入力部42としてのスイッチパネルを含む。スイッチパネルは、各種ハードウェアスイッチを含むパネルである。本実施形態では、スイッチパネルは、ハードウェアボタンとしてのライトスイッチ42a、ワイパースイッチ42b、及びウインドウォッシャスイッチ42cを含む。ライトスイッチ42aは、キャビン10の外部に取り付けられるライトの点灯・消灯を切り換えるためのスイッチである。ワイパースイッチ42bは、ワイパーの作動・停止を切り換えるためのスイッチである。また、ウインドウォッシャスイッチ42cは、ウインドウォッシャ液を噴射するためのスイッチである。
また、画像表示装置40は、蓄電池70から電力の供給を受けて動作する。なお、蓄電池70はエンジン11のオルタネータ11a(発電機)で発電した電力で充電される。蓄電池70の電力は、コントローラ30及び画像表示装置40以外のショベルの電装品72等にも供給される。また、エンジン11のスタータ11bは、蓄電池70からの電力で駆動され、エンジン11を始動する。
エンジン11は、上述のとおり、エンジン制御装置(ECU)74により制御される。ECU74からは、エンジン11の状態を示す各種データ(例えば、水温センサ11cで検出される冷却水温(物理量)を示すデータ)がコントローラ30に常時送信される。したがって、コントローラ30は一時記憶部(メモリ)30aにこのデータを蓄積しておき、必要なときに画像表示装置40に送信することができる。
また、コントローラ30には以下のように各種のデータが供給され、コントローラ30の一時記憶部30aに格納される。
まず、可変容量式油圧ポンプであるメインポンプ14のレギュレータ14aから斜板の傾転角を示すデータがコントローラ30に供給される。また、メインポンプ14の吐出圧力を示すデータが、吐出圧力センサ14bからコントローラ30に送られる。これらのデータ(物理量を表すデータ)は一時記憶部30aに格納される。また、メインポンプ14が吸入する作動油が貯蔵されたタンクとメインポンプ14との間の管路には、油温センサ14cが設けられており、その管路を流れる作動油の温度を表すデータが、油温センサ14cからコントローラ30に供給される。
また、レバー又はペダル26A〜26Cを操作した際に、パイロットライン25aを通じてコントロールバルブ17に送られるパイロット圧が、油圧センサ15a、15bで検出され、検出したパイロット圧を示すデータがコントローラ30に供給される。
また、エンジン回転数調整ダイヤル75からは、エンジン回転数の設定状態を示すデータがコントローラ30に常時送信される。
また、林業機械は、ハーベスタ装置100の駆動系として、ハーベスタ用コントロールバルブ125を含む。また、林業機械は、ハーベスタ装置100の制御系として、ハーベスタ入力部126、ハーベスタコントローラ130、アタッチメントコントローラ140、エンコーダ114、ハーベスタ用表示部150等を含む。
ハーベスタ用コントロールバルブ125は、ハーベスタ装置100の本体102内に設けられ、ハーベスタ装置100における油圧システムを制御する油圧制御バルブである。例えば、各ハーベスタ用油圧アクチュエータのうち一又は複数のものに対し、メインポンプ14からコントロールバルブ17を介して供給される作動油を選択的に供給する。なお、ハーベスタ用油圧アクチュエータには、チルト用シリンダ108、ナイフ用シリンダ113、リアグリップ用シリンダ117、ローラ用モータ119、ローラ用シリンダ119C、チェーンソー用モータ122、チェーンソー用シリンダ123が含まれる。
ハーベスタ入力部126は、操作者がハーベスタ装置100に実行させる作業又はハーベスタ装置100の各駆動部(チルト部、ナイフ112、リアグリップ116、ローラ118、及びチェーンソー120)の動作等を選択し、設定入力するために設けられる。ハーベスタ入力部126には、例えば、上述したハーベスタ装置100における作業である、「原木掴み」、「送材(送り)」、「送材(戻し)」、「玉切り」、「チルト」等に対応した選択スイッチ等が設けられてよい。また、ハーベスタ入力部126には、ハーベスタ装置100の各駆動部の動作、即ち、「ナイフ(掴み)」、「ローラ(送り)」、「ローラ(戻し)」「ローラ(掴み)」、「リアグリップ(掴み)」、「チェーンソー(切断)」「チルト」等に対応した選択スイッチ等が設けられてよい。また、「チルト」を選択するスイッチについては、例えば、モーメンタリスイッチ等を用いて、スイッチを押している間で、チルト角度の変更がなされるようにしてよい。
ハーベスタ入力部126における設定入力に対応する信号(設定入力信号)は、ハーベスタコントローラ130に出力される。また、ハーベスタ入力部126における設定入力のうち、チェーンソー120を駆動させるための設定入力がされた場合、例えば、上記「玉切り」や「チェーンソー」が選択された場合、該設定入力に対応する信号(チェーンソー選択信号)は、制御ライン131を通じてコントローラ30に出力される。これにより、コントローラ30は、チェーンソー120を駆動させるための設定入力がされたこと、即ち、チェーンソー120が駆動されることを検知することができる。なお、制御ライン131には、遮断スイッチ132が設けられており、ハーベスタ入力部126からコントローラ30へのチェーンソー選択信号の出力を遮断することが可能とされている。該遮断スイッチ132は、林業機械の操作者の操作により遮断することができる。
ハーベスタコントローラ130は、ハーベスタ装置100を制御する制御装置であり、ハーベスタ装置100の外部、例えば、林業機械の上部旋回体3、キャビン10等に設けられる。
ハーベスタコントローラ130は、ハーベスタ入力部126から入力される上記設定入力信号に対応して電磁切替弁133に連通信号を出力し、パイロットポンプ15からコントロールバルブ17に接続されるパイロットライン25bを連通させる。これにより、パイロットライン25bからのパイロット圧がコントロールバルブ17に供給され、該パイロット圧に対応してコントロールバルブ17からハーベスタ用コントロールバルブ125へメインポンプ14からの作動油が供給される。なお、図5における電磁切替弁133は、ハーベスタコントローラ130から連通信号が入力されていない状態(ハーベスタ装置100が駆動されていない状態)を示す。また、パイロットライン25aの電磁切替弁133とコントロールバルブ17との間の油圧を検出する圧力センサ134が設けられ、該圧力センサ134は、圧力信号をコントローラ30に出力する。これにより、コントローラ30は、入力された圧力信号により電磁切替弁133が連通しているか否か、即ち、ハーベスタ装置100による作業が行われているか否かを検知することができる。
また、ハーベスタコントローラ130は、後述するアタッチメントコントローラ140とCAN等の通信ネットワークを介して接続される。ハーベスタコントローラ130は、ハーベスタ入力部126からの設定入力信号をアタッチメントコントローラ140に出力する。
また、ハーベスタコントローラ130は、ハーベスタ入力部126からの上記設定入力信号に対応して、設定された作業や各駆動部の動作等を後述するハーベスタ用表示部150に出力する。
アタッチメントコントローラ140は、ハーベスタ装置100の本体102内に設けられ、ハーベスタ用コントロールバルブ125を介して、ハーベスタ装置100の駆動制御を行う制御装置である。アタッチメントコントローラ140は、ハーベスタコントローラ130から入力されたハーベスタ入力部126からの設定入力信号に対応して、各ハーベスタ用油圧アクチュエータの駆動状態を制御する方向制御弁(不図示)に指令を送信し、駆動制御を行う。
エンコーダ114は、上述したとおり、原木の長さを計測する測長装置であり、計測した長さに対応する信号(測長信号)をアタッチメントコントローラ140に出力する。
ハーベスタ用表示部150は、ハーベスタ装置100の駆動に関する操作者の操作の補助を行うために設けられる。例えば、エンコーダ114から出力される上記測長信号は、アタッチメントコントローラ140からハーベスタコントローラ130を介して、ハーベスタ用表示部150に入力される。ハーベスタ用表示部150は、入力された測長信号に応じて、計測された原木の長さを表示することができる。これにより、操作者は、ハーベスタ用表示部150に表示される原木の長さを確認しながら作業を行うことができ、所定の長さの木材を精度良く生成することが可能となる。また、ハーベスタ入力部126から出力される上記設定入力信号は、ハーベスタコントローラ130を介して、ハーベスタ用表示部150に入力される。ハーベスタ用表示部150は、入力された設定入力信号に応じて、現在選択されている作業や駆動部等を表示する。これにより、現在、選択されている作業を確認しながらハーベスタ装置100を用いた造材作業等を行うことができる。
上述したとおり、コントローラ30は、圧力センサ134から入力される圧力信号によりハーベスタ装置100による作業が行われているか否かを検知することができる。また、コントローラ30は、制御ライン131を介してハーベスタ入力部126から入力されるチェーンソー選択信号によりチェーンソーが選択されたこと(チェーンソー120が駆動されること)を検知することができる。よって、コントローラ30は、ハーベスタ装置100による作業又は各駆動部の動作のうち、チェーンソーの駆動(上記「玉切り」、「チェーンソー(切断)」等)が選択されたことを検知して、エンジン11及び/又はメインポンプ14の制御を行い、チェーンソーの駆動速度を制御することができる。なお、チェーンソー120の駆動以外のハーベスタ装置100による作業が行われていることも検出することができる。ハーベスタ入力部126に設けられたスイッチは、作業内容毎に設けられてもよい。この場合、一つのスイッチを押すことでその作業に対応した複数の駆動部が駆動されることになる。また、各駆動部に対応してスイッチを設けてもよい。また、それらの組み合わせでもよい。
ここで、本実施形態に係る林業機械(コントローラ30)によるエンジン11及び/又はメインポンプ14の制御について説明をする。
まず、コントローラ30による制御の一例について説明をする。
図6は、本実施形態に係る林業機械による造材作業における各工程とエンジン回転数との関係の一例を示す図である。図6(a)は、造材作業における各工程と時間経過の関係を示す図である。また、図6(b)は、図6(a)に対応したエンジン回転数の時間変化を示す図である。なお、本例において、操作者は、エンジン回転数調整ダイヤル75にてR4を選択している。
図6(a)を参照するに、時刻0から時刻t1まで、操作者がチルト用シリンダ108、ナイフ用シリンダ113、リアグリップ用シリンダ117に対応する各スイッチを操作することで、地面上の原木を掴んで造材を行う位置まで動かす作業(以下、原木掴みと呼ぶ)が行われる。次に、時刻t1から造材作業が開始され、時刻t1から時刻t2まで、操作者が前進スイッチ、又は後進スイッチを操作することで、ナイフ用シリンダ113、ローラ用モータ119、ローラ用シリンダ119Cが駆動し、送材が行われる。なお、上述したとおり、送材の際には、併せて枝打ちが同時に行われる。次に、時刻t2から時刻t3では、操作者が玉切りスイッチを操作することでチェーンソー用モータ122、チェーンソー用シリンダ123が連動して玉切り作業が行われ、所定の長さの木材が生成される。以降、一本の原木の造材作業においては、送材と玉切りが交互に繰り返し行われる。図中では、時刻t3から時刻t4まで送材が行われ、また、時刻t4から時刻t5まで玉切りが行われ、更に、時刻t5から時刻t6まで送材が行われる。なお、一本の原木についての造材作業が終了すると、再度、原木掴み作業を行い、その後、送材と玉切りとを交互に繰り返す。また、ここでの原木掴みの操作では、駆動部のそれぞれに対応したスイッチを操作することで原木掴みが実施されるが、原木掴み用スイッチを設け、1つのスイッチの操作でチルト用シリンダ108、ナイフ用シリンダ113、リアグリップ用シリンダ117を連動させるようにしてもよい。また、送材の操作においても、駆動部のそれぞれに対応したスイッチを操作するようにしてもよい。さらに、送材の操作においては、原木を送るためのローラ用のスイッチと、枝打ちの調整のためのナイフ用スイッチを分けて配置してもよい。
図6(a)に対応して、図6(b)を参照するに、原木掴みに対応する時刻0から時刻t1までの間は、エンジン回転数調整ダイヤル75にて選択されたエンジン回転数R4で制御されている。また、送材に対応する時刻t1から時刻t2、時刻t3から時刻t4、時刻t5から時刻t6の間では、同様に、エンジン回転数調整ダイヤル75にて選択されたエンジン回転数R4で制御されている。これに対して、玉切りに対応する時刻t2から時刻t3、時刻t4からt5の間では、最高回転数であるエンジン回転数Rmaxに高められる。
ここで、メインポンプ14は、ポンプ吸収馬力がエンジン11の出力馬力以下となるように制御される。よって、エンジン回転数が高まり、エンジン11の出力馬力が高くなることにより、メインポンプ14の吸収馬力の最大値、すなわち、メインポンプ14の最大吐出流量も多くなる。
本例において、ハーベスタ装置100が駆動されると、電磁切替弁133が連通し、パイロットライン25aからのパイロット圧により、コントロールバルブ17内のハーベスタ用コントロールバルブ125に作動油を供給する制御弁が全開になる。そして、メインポンプ14からの作動油がハーベスタ用コントロールバルブ125に供給されることで、ネガコン弁の圧力は下がり、メインポンプ14は(設定された制御電流における)最大吐出流量で作動油を供給する。よって、チェーンソー120の駆動が選択された場合に、コントローラ30が(ECU74を介して)エンジン回転数を高めることによりメインポンプ14からの吐出流量が多くなり、チェーンソー用モータ122の出力を高めることができる。これにより、チェーンソー120の駆動速度を高めることができるため、玉切りの際等に、原木が自重により一部折れて落下することがなく、品質の高い木材を生成することができる。
次に、コントローラ30による制御の他の例について説明をする。図6の例では、コントローラ30がエンジン回転数を制御することでチェーンソーの駆動速度を制御しているが、メインポンプ14からの作動油の吐出流量を直接制御することで該駆動速度を制御してもよい。
図7は、本実施形態に係る林業機械による造材作業における各工程とエンジン回転数及びメインポンプ馬力との関係の一例を示す図である。図7(a)は、造材作業における各工程と時間経過の関係を示す図である。また、図7(b)は、図7(a)に対応したエンジン回転数の時間変化を示す図である。なお、本例において、図6の例と同様、操作者は、エンジン回転数調整ダイヤル75にてR4を選択している。また、図7(c)は、図7(a)、(b)に対応したメインポンプ馬力の時間変化を示す図である。なお、メインポンプ馬力(メインポンプ14の吐出流量)は、上述したとおり電磁比例弁に対する制御電流を変化させることにより行われ、コントローラ30により制御電流(の最大値)は、3段階(電流が小さい方から段階1、段階2、段階3)で切り替えられる。また、通常、制御電流(の最大値)は段階2で設定されているものとする。なお、ここでは、制御電流の切り替えを3段階で行う例を示すが、3段階に限られず2段階でもよいし、4段階以上であってもよい。
図7(a)については、図6(a)と同様であるので、説明を省略する。
図7(a)に対応して、図7(b)を参照するに、原木掴みから送材と玉切りとが交互に繰り返される造材作業の全体(時刻0から時刻t6の間)において、エンジン回転数調整ダイヤル75にて選択されたエンジン回転数R4で制御されている。
また、図7(a)に対応して、図7(c)を参照するに、原木掴みに対応する時刻0から時刻t1では、段階2の制御電流に対応するメインポンプ馬力で制御される。これに対して、送材に対応する時刻t1から時刻t2、時刻t3から時刻t4、時刻t5から時刻t6の間では、段階1の制御電流に対応する最も小さいメインポンプ馬力で制御される。逆に、玉切りに対応する時刻t2からt3、時刻t4からt5の間では、段階3の制御電流に対応する最も大きいメインポンプ馬力で制御される。
本例において、エンジン回転数R4におけるエンジン11の出力馬力は、段階2の制御電流(の最大値)に対応するメインポンプ14の吸収馬力よりも大きい。よって、コントローラ30が制御電流(の最大値)を段階3に高めて、メインポンプ14の斜板を制御して吐出流量を多くする(メインポンプ馬力を高める)ことができる。
このように、チェーンソーの駆動が選択された場合に、コントローラ30がメインポンプ14の斜板を制御して吐出流量を多くする(メインポンプ馬力を高める)ことによりチェーンソー用モータ122の出力を高めることができる。これにより、チェーンソーの駆動速度を高めることができるため、玉切りの際等に、原木が自重により一部折れて落下することがなく、品質の高い木材を生成することができる。
また、送材作業において、ハーベスタ用油圧アクチュエータ(ナイフ用シリンダ113、リアグリップ用シリンダ117、ローラ用モータ119、ローラ用シリンダ119C)を駆動するために大きな出力が必要とされない場合もある。よって、送材が選択された場合に、コントローラ30が制御電流(の最大値)を段階1に低めてメインポンプ14の斜板を制御してメインポンプ14の吐出流量を少なくする(メインポンプ馬力を低める)とよい。これにより、メインポンプ14におけるエネルギーの消費を抑制することができ、林業機械の燃費を向上させることができる。なお、送材が選択された場合には、ハーベスタ入力部126にて、ハーベスタ装置100の作業としての「送材」が選択された場合が含まれる。また、送材が選択された場合には、ハーベスタ装置100の各駆動部の動作として送材に関する「ナイフ(掴み)」、「ローラ(送り)」、「ローラ(戻し)」「ローラ(掴み)」、「リアグリップ(掴み)」が選択された場合が含まれる。
また、送材作業と同様に、図7(c)には記載がないがチルト(チルト用シリンダ108を駆動して本体102の姿勢を変化させること)についても駆動するために大きな出力は必要ない。よって、チルトが選択された場合にも、コントローラ30が制御電流を段階1に低めて、メインポンプ14の斜板を制御して吐出流量を少なく(メインポンプ馬力を低く)してよい。即ち、チェーンソー120の駆動以外のハーベスタ装置100による作業又は各駆動部の動作が選択された場合、コントローラ30は、メインポンプ14の斜板を制御してメインポンプ14の吐出流量を少なく(メインポンプ馬力を低く)するとよい。これにより、メインポンプ14におけるエネルギーの消費を抑制でき、林業機械の燃費を向上させることができる。なお、上述したとおり、コントローラ30は、チェーンソー120の駆動以外のハーベスタ装置100による作業が行われていることを検知することができる。
また、原木掴み作業では、ハーベスタ装置100による原木を掴む等の作業(チェーンソー120の駆動以外のハーベスタ装置100による作業)が行われるが、同時に旋回機構2、ブーム4、アーム5等も駆動されている。よって、原木掴み作業では、ある程度のメインポンプ14の出力が必要であるため、設定された段階2の制御電流に対応するメインポンプ馬力(メインポンプ14の吐出流量)で制御される。上述したとおり、操作装置26を操作した際にコントロールバルブ17に送られるパイロット圧がコントローラ30に供給され、コントローラ30は、旋回機構2、ブーム4、アーム5の駆動を検知することができる。よって、チェーンソー120の駆動以外のハーベスタ装置100による作業又は各駆動部の動作が選択された場合であっても、旋回機構2、ブーム4、アーム5等が駆動される場合には、コントローラ30は、制御電流を段階1まで下げないようにするとよい。
次に、コントローラ30による制御の更に他の例について説明をする。コントローラ30は、図6の例では、エンジン回転数を制御し、図7の例では、メインポンプ14の吐出流量を制御し、チェーンソー120の駆動速度を制御しているが、エンジン回転数の制御とメインポンプ14の吐出流量の制御の両方を行ってもよい。
図8は、本実施形態に係る林業機械による造材作業における各工程とエンジン回転数及びメインポンプ馬力との関係の他の例を示す図である。図8(a)は、造材作業における各工程と時間経過の関係を示す図である。また、図8(b)は、図8(a)に対応したエンジン回転数の時間変化を示す図である。なお、本例において、図6、図7の例と同様、操作者は、エンジン回転数調整ダイヤル75にてR4を選択している。また、図8(c)は、図8(a)、(b)に対応したメインポンプ馬力の時間変化を示す図である。なお、図7の例と同様に、コントローラ30により制御電流は、3段階(電流が小さい方から段階1、段階2、段階3)で切り替えられるものとする。また、通常、制御電流は段階2で設定されているものとする。なお、ここでは、制御電流の切り替えを3段階で行う例を示すが、3段階に限られず2段階でもよいし、4段階以上であってもよい。
図8(a)は、図6(a)、図7(a)と同様であり、図8(b)は、図6(b)と同様であり、図8(c)は、図7(c)と同様であるため、説明を省略する。
本例のコントローラ30による制御では、図6の例によるエンジン回転数の制御及び図7の例によるメインポンプ14の吐出流量の制御の双方の作用、効果を奏する。
特に、チェーンソー120の駆動が選択された場合、コントローラ30は、エンジン回転数を高めることにより、メインポンプ馬力(メインポンプ14の吐出流量)を高めることができる。加えて、コントローラ30は、メインポンプ14の制御電流を大きくすることで、直接、メインポンプ14の吐出流量を多くすることができる。そのため、玉切りの際等に、原木が自重により一部折れて落下することが更に抑制され、より品質の高い木材を生成することができる。
次に、コントローラ30による制御の更に他の例について説明をする。
エンジン回転数調整ダイヤル75により設定されたエンジン回転数が玉切り作業において木材の切断面にバリが発生しないために十分なエンジン回転数である場合もある。例えば、エンジン回転数調整ダイヤル75により設定されたエンジン回転数がRmaxのときには、逆に、チェーンソー120の駆動以外のハーベスタ装置100の作業又は各駆動部の動作が選択された場合に、エンジン回転数を下げてもよい。
図9は、本実施形態に係る林業機械による造材作業における各工程とエンジン回転数及びメインポンプ馬力との関係の更に他の例を示す図である。図9(a)は、造材作業における各工程と時間経過の関係を示す図である。また、図9(b)は、図9(a)に対応したエンジン回転数の時間変化を示す図である。なお、本例において、操作者は、エンジン回転数調整ダイヤル75にてRmaxを選択している。また、図9(c)は、図9(a)、(b)に対応したメインポンプ馬力の時間変化を示す図である。なお、図7、8の例と同様に、コントローラ30により制御電流は、3段階(電流が小さい方から段階1、段階2、段階3)で切り替えられるものとする。また、通常、制御電流は段階2で設定されているものとする。なお、ここでは、制御電流の切り替えを3段階で行う例を示すが、3段階に限られず2段階でもよいし、4段階以上であってもよい。
図9(a)は、図6(a)、図7(a)、図8(a)と同様であり、図9(c)は、図7(c)、図8(c)と同様であるため、説明を省略する。
図9(b)を参照するに、原木掴みに対応する時刻0から時刻t1までの間は、エンジン回転数調整ダイヤル75にて選択されたエンジン回転数Rmaxで制御されている。これに対して、送材に対応する時刻t1から時刻t2、時刻t3から時刻t4、時刻t5から時刻t6の間では、エンジン回転数R4に下げられる。その後、玉切りに対応する時刻t2から時刻t3、時刻t4からt5の間では、エンジン回転数調整ダイヤル75にて選択された(最も高い回転数である)エンジン回転数Rmaxに高められる。
このように、送材が選択された場合に、コントローラ30が(ECU74を介して)エンジン回転数Rmaxからエンジン回転数を低くすることにより、林業機械の燃費を向上させることができる。
また、図7の例でも述べたとおり、送材作業と同様に、図9(c)には記載がないがチルトについても駆動するために大きな出力は必要ない。よって、チルトが選択された場合にも、コントローラ30がエンジン回転数Rmaxからエンジン回転数を下げてよい。即ち、チェーンソー120の駆動以外のハーベスタ装置100による作業又は各駆動部の動作が選択された場合、コントローラ30は、エンジン回転数を低くするとよい。これにより、林業機械の燃費を向上させることができる。
なお、エンジン回転数調整ダイヤル75にてR1(アイドリングモード)が選択されている場合には、上述した図6〜図9の例におけるエンジン回転数及び/又はメインポンプ14の吐出流量についての制御は行わない。アイドリングモードにおけるエンジン回転数R1は、最も低い回転数を利用するものであるため、急峻なエンジン回転数の上昇等を抑制する観点からである。
また、上述した図6〜図9の例におけるエンジン回転数及び/又はメインポンプ14の吐出流量についての制御は、操作者による選択により行わないようにすることを選択することができる。具体的には、操作者は、上述した遮断スイッチ132をOFFにすることにより上述した例における制御を行わないことを選択する。これにより、コントローラ30は、チェーンソー選択信号を受信することができず、チェーンソー120の駆動が選択されたことを検知することができない。また、同時に、チェーンソー120の駆動以外のハーベスタ装置100の作業又は各駆動部の動作が選択されたことを検知することができない。そのため、上述した例における制御が中止されることになる。
以上の構成により、林業機械は、チェーンソー120の駆動が選択された場合に、エンジン回転数を高めてよい。これにより、メインポンプ14の吐出流量を増大させ、チェーンソー120の駆動速度を速くすることができ、玉切り等の際に、原木が自重により折れて落下して切断面にバリが発生することがなくなり、品質の高い木材を生成することができる。
また、林業機械は、チェーンソー120の駆動が選択された場合に、メインポンプ14の斜板を制御して、メインポンプ14の吐出流量を多くしてもよい。これにより、同様に、チェーンソー120の駆動速度を速くすることができ、玉切り等の際に、原木が自重により折れて落下して切断面にバリが発生することがなくなり、品質の高い木材を生成することができる。
また、林業機械は、チェーンソー120の駆動以外のハーベスタ装置100の作業又は各駆動部の動作が選択された場合、エンジン回転数調整ダイヤル75により設定されたエンジン回転数でエンジン11を制御してよい。特に、エンジン回転数調整ダイヤル75にて、最も高いエンジン回転数よりも低いエンジン回転数が設定されている場合において行われるとよい。これにより、チェーンソー120の駆動のようにエンジン11の高出力を必要としない場合に、エンジン回転数を低く維持するため、林業機械の燃費を向上させることができる。
また、林業機械は、チェーンソー120の駆動以外のハーベスタ装置100の作業又は各駆動部の動作が選択された場合、エンジン回転数を低くしてよい。特に、エンジン回転数調整ダイヤル75にて、最も高いエンジン回転数が設定されている場合において行われるとよい。これにより、チェーンソー120の駆動のようにエンジン11の高出力を必要としない場合に、エンジン回転数を低くするため、林業機械の燃費を向上させることができる。
また、林業機械は、チェーンソー120の駆動以外のハーベスタ装置100の作業又は各駆動部の動作が選択された場合、メインポンプ14の斜板を制御して、メインポンプ14の吐出流量を低くしてよい。特に、メインポンプ14の吐出流量が最も低い吐出流量よりも高く設定されている場合において行われるとよい。これにより、チェーンソー120の駆動のようにメインポンプ14の高出力を必要としない場合に、メインポンプ14の吐出流量を低くするため、エネルギー消費を抑制し、林業機械の燃費を向上させることができる。
なお、チェーンソー120の駆動以外のハーベスタ装置100の作業には、上述した「原木掴み」、「送材(送り)」、「送材(戻し)」、「チルト」等が含まれてよい。また、チェーンソー120の駆動以外のハーベスタ装置100の駆動部の動作には、上述した「ナイフ(掴み)」、「ローラ(送り)」、「ローラ(戻し)」「ローラ(掴み)」、「リアグリップ(掴み)」、「チルト」等が含まれてよい。
以上、本発明を実施するための形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。