以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施形態に係る電子機器1の分解斜視図である。図2は電子機器1の平面図である。以下の説明では、図1に示すX1及びX2をそれぞれ右方向及び左方向とし、Y1及びY2をそれぞれ前方及び後方とし、Z1及びZ2をそれぞれ上方及び下方とする。以下の説明で言及する方向は各部材及び部分の相対的な位置関係を示すものであり、絶対的な方向を示すものではない。
図1に示すように、電子機器1はハウジング2と、ハウジング2に収容されている回路基板3とを有している。回路基板3には、演算装置や、記憶装置、画像処理装置、無線通信モジュールなどとして機能する1又は複数の集積回路が実装されている(図1においては例として1つの集積回路32が示されている)。
電子機器1は、例えばゲーム装置として機能する機器である。ここで説明する例の電子機器1には、テレビジョンなどの表示装置とユーザが操作する操作デバイスとが、有線や無線で接続される。電子機器1はメモリーカードなどの可搬型の記録メディアや、ネットワークを介して受信したプログラムを実行し、ユーザの操作に応じた画像信号を表示装置に出力する。電子機器1はゲーム装置に限られない。例えば、電子機器1は、携帯電話や、タブレット端末、カメラ、携帯型パーソナルコンピュータなどでもよい。
回路基板3には集積回路の他にも種々の部品が実装されている、回路基板3には外部装置と電子機器1とを繋ぐケーブルを接続するためのコネクタが実装されている。ここで説明する例の回路基板3には、図3に示すように、複数のコネクタ31A,31B,31C,31Dが実装されている。例えば、コネクタ31AはEthernet(登録商標)ケーブルを接続するためのコネクタである。コネクタ31Bは、例えばHDMI(登録商標)ケーブルを接続するためのコネクタであり、テレビジョンなどの表示装置と電子機器1との接続に使用される。コネクタ31CはUSBコネクタであり、コネクタ31Dは電源ケーブル用のコネクタである。なお、コネクタ31A〜31Dの種類はこれに限られず、電子機器1に要求される機能に応じて適宜変更されてよい。また、回路基板3には、メモリーカードを受け入れるためのスロットが実装されている。ここで説明する例の回路基板3には、種類の異なるカードをそれぞれ受け入れるための複数(具体的には2つ)のスロット31E,31Fが実装されている。電子機器1がゲーム機である場合、スロット31E,31Fには、例えばゲームプログラムが格納されたメモリーカードや、ネットワークを通して取得した種々のデータを保持するためのメモリーカードが挿入される。ここで説明する例では、コネクタ31A〜31D及びスロット31Eは回路基板3の前縁に沿って並んでいる。スロット31Fは回路基板3の左縁に設けられている。
図1に示すように、ハウジング2は第1外装部材10と第2外装部材20とを有している。ここで説明する例においては、第1外装部材10はその下側が開いた箱状である。第2外装部材20は略板状である。第2外装部材20は第1外装部材10の下側を閉じるように第1外装部材10に取り付けられ、それにより第1外装部材10とともにハウジング2を構成している。第1外装部材10は回路基板3の上側を覆い、第2外装部材20は回路基板3の下側を覆っている。
[ハウジングの二層構造]
図3は図2に示すIII−III線での断面図である。図4は第1外装部材10の内面を示す図である。図5は図4に示すV−V線での断面図である。図6乃至図8は電子機器1の断面図である。図6は図4のVI−VI線で示す切断面で得られる断面図であり、図7は図4のVII−VII線で示す切断面で得られる断面図であり、図8は図4のVIII−VIII線で示す切断面で得られる断面図である。
第1外装部材10は二層構造を有している。すなわち、図3に示すように、第1外装部材10は、ハウジング2の内面を構成している内層部11と、ハウジング2の外面を構成している外層部12とを有している。ここで説明する例では、内層部11と外層部12は樹脂の二色成形(ダブルモールド)によって形成されている。二色成形では、例えば、一次金型を利用して一方の層部(ここで説明する例では、内層部11)を成形し、その後に、最初に形成した層部を二次金型に配置し、他方の層(ここで説明する例では、外層部12)を一方の層に重なるように成形する。外層部12は必ずしも電子機器1の外面を構成していなくてもよい。すなわち、外層部12の外面にさらに化粧用のパネルやフィルム、シートなどが貼り付けられていてもよい。
第1外装部材10の内面、すなわちハウジング2の内面は、内層部11が形成されていない、或いは内層部11の厚さが他よりも薄い領域を有し、その領域に部品が配置されている。図3及び図4に示すように、第1外装部材10の内面は、内層部11が形成されていない領域A1を有している。外層部12の厚さは、領域A1とその周辺とにおいて均一である。ここで説明する例の第1外装部材10は上述したように下側が開いた箱状であり、上壁部10aと、上壁部10aを取り囲む周壁部(前壁部10b、後壁部10c、左壁部10d及び右壁部10e)とを有している。領域A1は上壁部10aの下面に設けられている。
領域A1に配置される部品は一例では集積回路よりも厚い部品である。より具体的には、領域A1に配置される部品は、回路基板3に取り付けられている部品のなかで、最も厚い部品である。すなわち、領域A1に配置される部品は、回路基板3の厚さ方向(上下方向)での高さが最も大きい部品である。図3に示すように、ここで説明する例では、領域A1にはコネクタ31Aが配置されている。領域A1は、平面視において、コネクタ31Aに対応したサイズを有している(図4参照)。
第1外装部材10のこの構造によれば、電子機器1を小型化できる。具体的には、電子機器1の上下方向での幅を低減できる。また、外層部12の厚さを均一化できるため、成形時の樹脂のひけに起因するハウジング2の外面の凹凸の発生を抑えることができる。さらに、第1外装部材10の厚さを全体的に低減しているのではないため、第1外装部材10の剛性を確保できる。ここで説明する例では、第1外装部材10は、その大部分に内層部11を有している。具体的には、第1外装部材10は、領域A1、後述する領域A2、及び前壁部10b以外の部分に内層部11を有している。
外層部12の材料と内層部11の材料は互いに異なっている。第1外装部材10を、性質の異なる2つの材料によって形成することによって、2つの材料の利点を活かすことが可能となる。例えば、内層部11は外層部12よりも硬度の低い(柔らかい)樹脂で形成される。こうすることにより、第1外装部材10の表面に傷などが形成されることを抑えながら、第1外装部材10に作用する外力(例えば第1外装部材10の上側を押す力)に対する強度を増すことができる。外層部12は例えばABS樹脂であり、内層部11はポリカーボネートである。外層部12と内層部11は同じ材料で形成されてもよい。
図3に示す様に、ここで説明する例では、コネクタ31Aの上面(第1外装部材10側の面)と外層部12との距離CLは内層部11の厚さよりも小さい。言い換えると、コネクタ31Aの上部は、内層部11が形成されないことにより生じた第1外装部材10の凹部に配置されている。これにより、より電子機器1の小型化を図ることができる。領域A1に配置される部品の位置は、必ずしもこれに限られない。例えば領域A1に配置される部品が外層部12との間に比較的大きな距離を必要とする場合には、その部品と外層部12との間の距離は内層部11の厚さよりも大きくてもよい。
領域A1に配置される部品はコネクタでなくてもよい。例えば、電子機器1がバッテリを備え、且つそのバッテリが他の部品よりも厚い場合には、領域A1はバッテリに対応する位置に設けられてもよい。また、領域A1に配置される部品は、必ずしも回路基板3に実装されている部品や回路基板3と電気的に接続されている部品でなくてもよい。
図3に示すように、回路基板3の一方の面(第1外装部材10側の面)には金属の板であるシャーシ39が取り付けられている。シャーシ39は回路基板3に実装されている部品(例えば集積回路)を覆っている。シャーシ39は、コネクタ31Aを避けるように形成されている。すなわち、シャーシ39は、コネクタ31Aの位置に、開口39aを有している。コネクタ31Aの上部はシャーシ39よりも上方に位置し、その上面は外層部12と対向している。シャーシ39のこのような形状により、コネクタ31Aの上面と外層部12との距離を内層部11の厚さよりも小さくできている。
図4及び図5に示すように、ここで説明する例の第1外装部材10の内面、具体的には上壁部10aの下面は、領域A1に加えて、領域A2を有している。領域A2は、領域A1と同様に、内層部11が形成されていない或いは内層部11が他の部分よりも薄い領域である。ここで説明する例の領域A2には内層部11は形成されていない。領域A2にはコネクタ31Cが配置されている。コネクタ31Cは、コネクタ31Aを除く他の2つのコネクタ31B,31D及びスロット31E,31Fよりも厚い。すなわち、コネクタ31Cは、回路基板3の厚さ方向において部品31B,31D,31E,31Fよりも大きな高さを有している。
コネクタ31Cの上面(第1外装部材10側の面)と外層部12との距離は、例えばコネクタ31Aと同様に、内層部11の厚さよりも小さい。これにより、より電子機器1の小型化を図ることができる。ユーザがコネクタ31Cにケーブルを接続する際に、コネクタ31Cに上下方向の力が作用する場合がある。その力が原因でコネクタ31Cが上方に動くことを、外層部12によって抑えることができる。領域A2に配置される部品の位置は、必ずしもこれに限られない。例えば領域A2に配置される部品が外層部12との間に比較的大きな距離を必要とする場合には、その部品と外層部12との間の距離は内層部11の厚さよりも大きくてもよい。
2つの領域A1,A2とにそれぞれ配置される2つの部品の間には、この2つの部品よりも高さの低い別の部品が配置されている。そして、その別の部品に対応する位置には、領域A1,A2とは異なり、内層部11が形成されている。これにより、例えば、領域A1と領域A2とが連続している場合に比して、第1外装部材10の剛性を保ち易くなる。ここで説明する例では、図4に示すように、コネクタ31A,31Cとの間には、それらよりも高さの低いコネクタ31Bが配置されている。コネクタ31A,31Cとの間に配置される部品は必ずしもコネクタでなくてもよい。
上述したように、第1外装部材10は上壁部10aと、上壁部10aの後縁に接続されている後壁部10cとを有している。図3に示すように、上壁部10aと後壁部10cのそれぞれは上述の外層部12と内層部11とを有している。詳細には、上壁部10aの内面(下面)において、領域A1,A2を除く部分は、2つの層部11,12によって構成されている。後壁部10cはその全域に亘って内層部11と外層部12とを有している。すなわち、後壁部10cにおいて、内層部11は後壁部10cの左端部から右端部に亘って形成されている。このように2つの壁部が二層構造を有するので、第1外装部材10の強度を増すことができる。
第1外装部材10は、上述したように、上壁部10aの前縁に接続されている前壁部10bを有している。前壁部10bには、コネクタ31A〜31Dに接続するケーブルを挿入するための開口13a〜13dが形成されている(図1参照)。また、前壁部10bには、スロット31Eを露出させるための開口13eが形成されている。
図3に示すように、前壁部10bは外層部12を有している。前壁部10bの内面(後面)は、コネクタ31Aと対向する部分に、内層部11を有していない。そのため、その部分では外層部12が露出しており、コネクタ31Aの前端と前壁部10bの外層部12は直接的に向き合っている。こうすることにより、コネクタ31Aの位置が開口13aに近くなるので、ユーザがケーブルをコネクタ31Aに接続し易くなる。
ここで説明する例では、図4及び図6に示すように、前壁部10bには、内層部11と一体的に形成されているリブ11dは形成されているものの、前壁部10bの内面に内層部11は形成されていない。そのため、コネクタ31Aだけでなく、コネクタ31B〜31Dも前壁部10bの外層部12と直接的に対向している。したがって、これらのコネクタ31B〜31Dにケーブルが接続し易くなる。同様に、スロット31Eも前壁部10bの外層部12と直接的に対向している。したがって、スロット31Eにメモリーカードを挿入し易くなる。
第1外装部材10は、上述したように、上壁部10aの右縁及び左縁にそれぞれ接続されている右壁部10e及び左壁部10dをさらに有している。図4及び図5に示すように、右壁部10e及び左壁部10dのそれぞれは、上述の外層部12と内層部11とを有している。このように右壁部10e及び左壁部10dも二層構造を有するので、第1外装部材10の強度をさらに増すことができる。
ここで説明する例では、左壁部10dの外面(第1外装部材10の側面)は円弧状に湾曲している。図5に示すように、左壁部10dの内層部11の内面11mは略鉛直面となっている。そのため、内層部11を成形する際、金型を上下方向に移動させることにより左壁部10dの内層部11の内面11mを形成することができるので、左壁部10dの成形が容易となる。左壁部10dの内層部11の外側の面(外層部12と接する面)は、左壁部10dの外面(外層部12の外面)に合わせて湾曲している。外層部12は内層部11の外側の面に沿って円弧状に湾曲している。言い換えると、外層部12は円弧状に湾曲し、内層部11は外層部12の内側を埋めるように形成されている。そのため、左壁部10dの外層部12の厚さを均一にできる。これにより、左壁部10dに樹脂のひけが生じることを抑えることができる。
なお、これらのことは、右壁部10eにおいても同様である。すなわち、右壁部10eの内層部11の内面も略鉛直面となっている。そのため、右壁部10eの成形も容易となっている。また、右壁部10eの内層部11の外側の面(外層部12と接する面)は、右壁部10eの外面(外層部12の外面)に合わせて湾曲している。そのため、右壁部10eの外層部12の厚さを均一にできる。
回路基板3は、図1に示す様に、複数の螺子19によって第1外装部材10に取り付けられている。第1外装部材10は、複数の螺子19がそれぞれ取り付けられる円筒状の複数の取付凸部11cを有している。図5及び図6に示すように、取付凸部11cは内層部11と一体的に成形されている。これにより、取付凸部11cに起因して第1外装部材10の外面に樹脂のひけが生じることを、抑えることができる。
また、上述したように、右壁部10eの内層部11の内面は鉛直であり、金型を上下方向に移動させることにより形成できる。そのため、図5に示すように、取付凸部11cを右壁部10eの近くに形成することが可能となっている。すなわち、右壁部10eの内層部11の内面が湾曲している場合、右壁部10eの内層部11の内面を形成するためには、金型を第1外装部材10の内方にスライドさせる必要が生じる。その場合、金型のスライドを許容するためのスペースが取付凸部11cと右壁部10eの内層部11との間に必要となるため、取付凸部11cを右壁部10eの近くに形成することは困難となる。ここで説明する例では、金型を上下方向に移動させることにより右壁部10eの内層部11の内面を形成できるので、そのようなスペースが不要となり、取付凸部11cと右壁部10eの内層部11の内面との距離を低減できる。
[第1外装部材と第2外装部材の組み付け構造]
図9は第2外装部材20の内面(上面)を示す斜視図である。図10は図9に示すX−X線での断面図である。図11は第1外装部材10の拡大斜視図である。
ここで説明する例の第2外装部材20は略板状である。第2外装部材20は、図10に示すように、金属プレート21を有している。第2外装部材20に金属プレート21を用いることにより、第2外装部材20の剛性を確保しながら、第2外装部材20の厚さを低減できる。その結果、電子機器1の小型化を図ることができる。ここで説明する例では、図3に示すように、金属プレート21は、第1外装部材10よりも薄い。詳細には、金属プレート21は第1外装部材10の内層部11よりも薄い。また、金属プレート21は第1外装部材10の外層部12よりも薄い。金属プレート21の表面(下面)には絶縁性のフィルム23が貼り付けられている。フィルム23は必ずしも設けられていなくてもよい。
図10に示す様に、第2外装部材20は金属プレート21の外周部21dに形成されている樹脂部22を有している。後において詳説するように、樹脂部22は、インサート成形によって金属プレート21の外周部21dに形成されている。より具体的には、樹脂部22に金属プレート21の外周部21dが埋まっている。樹脂部22は、螺子などの固定具を要すること無く外周部21dに固定されている。ここで説明する例では、樹脂部22は金属プレート21の外周部21dにだけ形成され、外周部21dの内側の部分(プレート本体21e)は樹脂部22によって覆われていない。これにより、第2外装部材20の厚さを低減できている。樹脂部22の材料は、例えば、第1外装部材10と同様に、ABS樹脂やポリカーボネートである。
第1外装部材10の内面には複数の被係合部14,15が形成されている(図7、及び図11参照)。ここで説明する例の被係合部14,15は内側に突出する突起である。被係合部14は、第1外装部材10の前壁部10bの内面に形成されている。被係合部15は、第1外装部材10の後壁部10c、左壁部10d、及び右壁部10eに形成されている。図9に示すように、第2外装部材20には係合部21a,22aが形成されている。係合部21a,22aは、それぞれ第1外装部材10の被係合部14,15に係合し、第2外装部材20を第1外装部材10に組み付けている。係合部21aは金属プレート21と一体的に形成されている。そのため、係合部21aは金属によって形成されている。係合部22aは樹脂部22と一体的に成形されている。そのため、係合部22aは樹脂によって形成されている。係合部22aは弾性変形可能となっており、第2外装部材20を第1外装部材10に組み付ける過程で、すなわち係合部22aを被係合部15に係合させる過程で、弾性変形する。
このように金属プレート21の外周部21dに樹脂部22を設け、この樹脂部22に係合部22aを形成することにより、第2外装部材20を第1外装部材10に容易に組み付けることが可能となっている。つまり、第2外装部材20を螺子などの固定具を用いることなく第1外装部材10に組み付けようとすると、第2外装部材20に第1外装部材10に係合する係合部が必要となる。係合部を利用して2つの外装部材10,20を組み付ける構造において第2外装部材20を高い剛性を有する金属プレート21だけで構成した場合、金属プレート21に形成された係合部21aは変形しにくいため、第2外装部材20を第1外装部材10に組み付けることが難しくなる。電子機器1では、金属プレート21の外周部21dに樹脂部22を形成し、この樹脂部22に弾性変形可能な係合部22aが一体成形されているので、第2外装部材20を第1外装部材10に容易に組み付けることができる。
図9に示すように、樹脂部22は金属プレート21の外縁を囲むように形成されている。ここで説明する例の樹脂部22は金属プレート21の後縁と左右の縁とに形成されている。金属プレート21の後縁に形成されている部分と、左右の縁に形成されている部分は互いに繋がっている。これにより、樹脂部22は金属プレート21に強固に固定されている。樹脂部22は金属プレート21の前縁21bには設けられておらず、前縁21bは露出している。樹脂部22の形状はこれに限られない。例えば、樹脂部22は、係合部22aが必要となる位置にだけ形成されてもよい。すなわち、樹脂部22は金属プレート21の後縁の一部や、左右の縁の一部にだけ形成されてもよい。また、樹脂部22は金属プレート21の前縁21bにも形成されてもよい。
上述したように、前壁部10bには、コネクタ31A〜31D及びスロット31Eを露出させるための開口13a〜13eが形成されている。そのため、ユーザがケーブルを接続する際やメモリーカードを挿入する際などに前壁部10bに外力が作用し易い。図3に示すように、第2外装部材20は第1外装部材10の周壁部(前壁部10b、後壁部10c、左壁部10d、及び右壁部10e)の内側に嵌められている。金属プレート21の前縁21bは第1外装部材10の前壁部10bの内側に当接している。このように外力が作用し易い前壁部10bの内側に金属プレート21が当接しているので、外力に対する前壁部10bの強度を向上できている。
金属プレート21の前縁21bは、図9に示すように上方に折り曲げられている。こうすることにより、金属プレート21の剛性をさらに向上でき、また、前壁部10bに作用する負荷を前縁21bで受け易くなっている。前縁21bには複数(この例では2つ)の突起21cが形成されている。突起21cは前縁21bからさらに上方に突出し、第1外装部材10の前壁部10bに沿って配置される。突起21cは、コネクタ31Cの位置に対応して配置されている(図1参照)。これにより、コネクタ31Cにケーブルを接続する際に、コネクタ31Cに大きな負荷が作用することを抑えることができる。
樹脂部22は、第1外装部材10と第2外装部材20の組み付け方向に対して直交する方向において、金属プレート21の係合部21aとは反対側に位置する係合部22aを有している。ここで説明する例の第1外装部材10と第2外装部材20は上下方向に組み付けられている。樹脂部22は係合部21aと前後方向において反対側に位置する係合部22aを有している。具体的には、図9に示すように、係合部21aは金属プレート21の前縁に設けられ、樹脂部22は第2外装部材20の後縁に位置する係合部22aを有している。したがって、第1外装部材10を第2外装部材20に組み付ける際には、まず第2外装部材20を第1外装部材10に対して傾斜させた状態で係合部21aを第1外装部材10の被係合部14に係合させ、その後に係合部22aを被係合部15に係合させる。その際、係合部22aは一時的に弾性変形して、被係合部15に係合する。
係合部22aは第2外装部材20の右縁及び左縁にも形成されている。つまり、金属プレート21の係合部21aは、第2外装部材20の4つの縁(前縁、後縁、右縁、及び左縁)のうち1つにだけ設けられ、残りの3つに樹脂部22と一体の係合部22aが形成されている。これにより、第2外装部材20と第1外装部材10との組み付けの困難性を招くこと無く、係合部の数を増やすことができている。
ここで説明する例では、第1外装部材10の被係合部14,15は、第1外装部材10の内側に突出する突起である。第2外装部材20の係合部21a,22aには穴が形成され(図9参照)、この穴に被係合部14,15が嵌まっている(図7及び図8参照)。第1外装部材10の後壁部10c,左壁部10d及び右壁部10eに形成されている被係合部15には、斜面15aが形成されている(図8及び図11参照)。第1外装部材10を第2外装部材20に組み付ける際、第2外装部材20の係合部22aが斜面15aに押されて内側に傾斜するので、組み付け作業を容易化できる。被係合部14,15及び係合部21a,22aの構造はこれに限られない。例えば、係合部22aはフック状であってもよい。
第2外装部材20は第1外装部材10の周壁部(前壁部10b、後壁部10c、左壁部10d及び右壁部10e)の内側に嵌められている。周壁部の内面には、第2外装部材20を支持するための、すなわち第2外装部材20の沈み込みを防止するための支持部が形成されている。ここで説明する例では、第1外装部材10が備える内層部11と一体的に支持部が成形されている。例えば後壁部10cにおいては、図11に示すように、内層部11と一体的に複数の支持リブ11aが形成されている。支持リブ11aの下端は外層部12の下端よりも高い位置に位置している。支持リブ11aの下端によって第2外装部材20の後縁が支持される。すなわち、第2外装部材20の沈み込みが抑えられる。同様に、前壁部10b、左壁部10d、及び右壁部10eにおいては、図5及び図6に示すように、内層部11と一体的に複数の支持リブ11aが成形されている。支持リブ11aの下端は外層部12の下端よりも高い位置に位置している。支持リブ11aの下端によって第2外装部材20の前縁、左縁、右縁がそれぞれ支持される。
図9に示すように、第2外装部材20の後縁(樹脂部22の後縁)には、左右方向に延びているリブ22bが形成されている。図11に示すように、第1外装部材10の後壁部10cには、凸部11bが形成されている。凸部11bと第1外装部材10の後壁部10cとの間に第2外装部材20のリブ22bが配置される。これにより、第2外装部材20の後縁と第1外装部材10の後壁部10cとの間に隙間が生じることを抑えることができる。ここで説明する例では、凸部11bは内層部11と一体的に成形されている。第2外装部材20のリブ22bは内層部11の凸部11bと外層部12とに挟まれる。このように凸部11bを内層部11に形成することにより、凸部11bに起因して第1外装部材10の外面に微妙な凹凸(樹脂のひけ)が生じることを、抑えることができる。
ここで説明する例では、第2外装部材20を第1外装部材10に組み付ける際、第2外装部材20を傾けた状態で、金属プレート21の前縁の係合部21aを第1外装部材10の被係合部14に係合させ、その後に、樹脂部22の係合部22aを第1外装部材10の被係合部15に係合させる。そのため、第1外装部材10の前壁部10bには、後壁部10cの凸部11bに相当する部位は形成されていない。すなわち、前壁部10bに凸部11bに相当する部位が形成された場合には、金属プレート21の係合部21aが前壁部10bの凸部11bと干渉し、第2外装部材20と第1外装部材10との組み付け作業が円滑に行われない恐れがある。そこで、ここで説明する例では、第1外装部材10の前壁部10bには、後壁部10cの凸部11bに相当する部位は形成されていない。
図6に示すように、第1外装部材10の前壁部10bにおいては、内層部11は、第2外装部材20を支持する支持リブ11aから取付凸部11cに向かって延びるリブ11dを有している。取付凸部11cに回路基板3が取り付けられ、取付凸部11cがリブ11d,11aを透して前壁部10bの外層部12と繋がっている。そのため、前壁部10bが前方に広がること、すなわち前壁部10bと第2外装部材20の前縁との間に隙間が生じることを抑えることができる。なお、図6に示す取付凸部11cは、コネクタ31C(ここで説明する例ではUSBコネクタ)とコネクタ31B(ここで説明する例ではHDMI(登録商標)ケーブル用のコネクタ)との間に位置している。これにより、コネクタ31C,31Bの近くで回路基板3が撓むことを抑えることができる。その結果、コネクタ31C,31Bと回路基板3との電気的な接続安定性を向上できる。
図1に示すように、回路基板3の下面にはシールド4が設けられている。シールド4は金属プレートであり、電磁輻射対策及び/又は放熱用の部材として機能している。第2外装部材20の金属プレート21は、このシールド4に電気的に接続されている。例えば、シールド4には板バネが形成され、この板バネを通して金属プレート21とシールド4は電気的に接続されてる。
図10に示すように、樹脂部22は金属プレート21の縁を挟むように形成されている。言い換えると、樹脂部22は金属プレート21の外周部21dの表側と裏側とを覆っている。金属プレート21は、外周部21dと、外周部21dの内側の部分であるプレート本体21eとを有している。外周部21dとプレート本体21eとの間には段差21fが形成されている。外周部21dと段差21fは樹脂部22の内部に位置している。このように外周部21dに加えて段差21fも樹脂部22の内部に位置しているので、樹脂部22と金属プレート21との固定が、より強固なものとなっている。樹脂部22の構造はこれに限られない。例えば、樹脂部22は金属プレート21の外周部21dの表側又は裏側のうち一方だけを覆うように形成されてもよい。
図12は電子機器1の製造方法、より具体的には第2外装部材20の製造方法を説明するための概略図である。図12(a)に示すように、板金加工が施された金属プレート21を準備する。具体的には、上述の段差21f及び外周部21dを切断加工や曲げ加工により形成する。そして、図12(b)に示すように、金属プレート21を金型B1、B2内に配置し、溶融樹脂を金型B1、B2内に射出・注入する(インサート成形)。それにより、図12(c)に示すように、金属プレート21の外周部21dに樹脂部22が成形される。このとき、上述の係合部22a(図12において不図示)も成形され、第2外装部材20が得られる。上述した金属プレート21の係合部21aや上方に折り曲げられた前縁21bは、インサート成形の前に曲げ加工等により形成されていてもよいし、インサート成形の後に形成されてもよい。第2外装部材20の形成後、回路基板3が固定された第1外装部材10に第2外装部材20を組み付ける。具体的には、まず第2外装部材20を傾斜させた状態で金属プレート21の係合部21aを第1外装部材10の被係合部14と係合させる。その後、樹脂部22の係合部22aを第1外装部材10の被係合部15と係合させる。その係合過程で、係合部22aは一時的に弾性変形する。
[ボタン部材の構造]
図1に示すように、電子機器1はボタン部材40を有している。ボタン部材40は、例えば電子機器1の電源ボタンとして使用される。ボタン部材40の使用形態はこれに限られず、適宜変更されてよい。
図13はボタン部材40の斜視図である。図14は図4のXIVで示す領域の拡大図である。図15は図14に示すXV−XV線での電子機器1の断面図である。図15においてボタン部材40は、その側面を示している。
図13に示すように、ボタン部材40は、ユーザが押すための被押圧部41と、弾性アーム部42と、ベース部43とを有している。これらは樹脂によって一体的に形成されている。
ここで説明する例では、ハウジング2の前面(第1外装部材10の前壁部10b)に開口が形成されている。ボタン部材40はハウジング2に収容され、被押圧部41の前面は、図1に示すように、ハウジング2の開口を通して露出している。図15に示すように、被押圧部41の後方には、回路基板3に実装されているスイッチ33が配置されている。ユーザが被押圧部41を後方に押すことにより、スイッチ33はオン状態となり,或いはオフ状態となる。
図13に示すように、ここで説明する例のボタン部材40は2つの弾性アーム部42を有している。被押圧部41は2つの弾性アーム部42の間に配置されている。弾性アーム部42の一方の端部は被押圧部41に接続されている。弾性アーム部42はユーザが被押圧部41を押す方向に対して交差する方向に延びている(以下において被押圧部41が押される方向を「ボタン押し方向」と称する)。ここで説明する例では、ボタン押し方向は後方であり、弾性アーム部42は被押圧部41から上方に延びている。弾性アーム部42は、ユーザによって被押圧部41が押されたときに、それに対する反力を生じる。ユーザによる押圧が解除されたとき、被押圧部41は初期位置に復帰する。すなわち、被押圧部41の外周に形成されているフランジ部41aが、図15に示すように、ハウジング2の前壁部10bに形成された縁に当たる位置まで被押圧部41は戻る。
図13に示すように、ベース部43は、弾性アーム部42の他方の端部(ここで説明する例では上端)に形成されている。ベース部43は弾性アーム部42からボタン押し方向に延びている。すなわち、ベース部43は後方に延びている。図14及び図15に示すように、ハウジング2の内側には支持部16が設けられている。支持部16はベース部43に対して後方(ボタン押し方向)に位置し、被押圧部41が押されたときにそれとは反対方向にベース部43を支持する。このようなボタン部材40及び取付構造によると、部品数を低減でき、また、ボタン部材40の取付作業も簡素化できる。
ここで説明する例では、被押圧部41を露出させる開口はハウジング2の前壁部10bに形成されている。ハウジング2は前壁部10bと交差する別の壁部を有している。支持部16はその別の壁部に形成されている。具体的には、支持部16は、図15に示すように、上壁部10aの内面に形成されている。このように、互いに交差する2つの壁部のうち一方に被押圧部41を露出させるための開口が形成され、他方の壁部に支持部16が形成されている。この構造によれば、支持部16として専用の部品を設ける必要がなくなるため、部品数を低減でき、また、ボタン部材40の取付作業も簡素化できる。
上壁部10aには凹部が形成され、ベース部43はこの凹部に配置されている。これにより、弾性アーム部42の長さが確保し易くなる。その結果、ユーザが被押圧部41を押すのに要する力の調整が容易となり、また、弾性アーム部42が弾性変形し易くなる。ここで説明する例の第1外装部材10は上述したように、内層部11と外層部12とを有している。図15に示すように、ベース部43が配置される領域には、上述の領域A1,A2と同様に、内層部11は形成されていない。すなわち、内層部11が形成されていないことによって、上壁部10aの内面には凹部が形成されている。ベース部43が配置される領域においては、第1外装部材10は必ずしも二層構造を有していなくてもよい。この場合、一層で形成される上壁部10aに凹部が形成され、その凹部にベース部43が配置されてもよい。
図14に示すように、支持部16は、上壁部10aから突出し、且つベース部43の後部を囲んでいる。より具体的には、支持部16は、ベース部43が間に配置される2つの左部16a及び右部16bを有している。また、支持部16は、ベース部43の後側に位置する後部16cを有している。後部16cは、被押圧部41がボタン押し方向に押されたときにそれとは反対方向にベース部43を支持する。この構造によれば、ボタン部材40のベース部43の位置を安定させることができる。図15に示すように、支持部16は内層部11と一体的に成形されている。これにより、支持部16に起因してハウジング2の外面(第1外装部材10の外面)に樹脂のひけが生じることを抑えることができる。
ハウジング2内には、ベース部43を挟んで上壁部10aと向き合う部材が配置されている。図15に示す例では、回路基板3を覆うシャーシ39がベース部43を挟んで上壁部10aと上下方向において向き合っている。これにより、ベース部43が上壁部10aから離れることをより確実に抑えることができる。図15に示す例では、シャーシ39は、スイッチ33を覆うスイッチカバー部39cを有している。スイッチカバー部39cの縁にはベース部43に向かって延びる凸部39bが形成されている。この凸部39aによってベース部43が上壁部10aから離れることをより確実に抑えることができる。凸部39bとベース部43との距離L1は、ベース部43のうち支持部16の後部16cと重なっている部分の幅L2よりも小さい。
なお、弾性アーム部42は、初期状態(被押圧部41がユーザによって押されていない状態)においても、被押圧部41を前方に付勢している。また、ハウジング2の前壁部10bに形成されている開口のサイズは被押圧部41のサイズに対応している。そのため、弾性アーム部42の付勢力によっても、ボタン部材40の位置ずれは規制されている。
図13に示すように、弾性アーム部42と被押圧部41との接続部分(弾性アーム部42の端部)は、被押圧部41の中心より下方に位置している。すなわち、図15に示すように、ベース部43から弾性アーム部42と被押圧部41との接続部分までの距離L3は、ベース部43から被押圧部41までの距離L4よりも大きい。これにより、弾性アーム部42の長さを確保でき、弾性アーム部42が弾性変形し易くなっている。また、スイッチ33の位置は、被押圧部41の中心に対してベース部43から離れる方向、具体的には下方にずれている。被押圧部41の後面(スイッチ33側の面)にはスイッチ33を押すための凸部41bが形成されている。
ボタン部材40は2つの弾性アーム部42を有している。2つの弾性アーム部42の間に被押圧部41が配置されている。弾性アーム部42は被押圧部41の外周部に接続されている。2つの弾性アーム部42は、上方に延びるとともに湾曲しながら互いに接近し、共通のベース部43の先端に接続されている。ベース部43は2つの弾性アーム部42の接続部分から後方に延びている。このように2つの弾性アーム部42を1つのベース部43に接続することにより、上壁部10aにおけるベース部43の配置領域を低減できる。ここで説明する例では、ベース部43は上壁部10aの凹部に配置さされているので、このように2つの弾性アーム部42を1つのベース部43に接続することにより、凹部の領域(内層部11が形成されていない領域)を狭めることができる。
図15に示すように、ベース部43の太さW1は弾性アーム部42の太さW2よりも大きい。これにより、支持部16の左部16a及び右部16bによる支持安定性を増すことができる。すなわち、支持部16の右方向及び左方向への位置ずれを抑えやすくなる。なお、支持部16の後部16cは左部16a,16bよりも低い。
ここで説明する例のベース部43は比較的長く形成されている。具体的には、ベース部43のボタン押し方向での長さL5は弾性アーム42の延伸方向での幅W1よりも大きい。これにより、ボタン部材40のハウジング2への取り付け作業が円滑に行い得る。ここで説明する例では、長さL5はベース部43から弾性アーム部42と被押圧部41との接続部分までの距離L3よりも大きい。図16はボタン部材40の取付工程を示す図である。同図(a)はベース部43を短く設定した場合の取付過程を示している。同図(b)はベース部43を長く設定した場合の取付過程を示している。
ボタン部材40をハウジング2に取り付ける際、まず、これらの図に示すように、被押圧部41をハウジング2に形成した開口に嵌め入れる。このとき、開口のサイズは被押圧部41のサイズに概ね一致しているため、被押圧部41は開口に対してまっすぐに配置される。すなわち、被押圧部41は開口が形成されている壁部(以上の説明では前壁部10b)と概ね平行に配置される。一方、ベース部43の後端は、支持部16の内側に嵌まっておらず、支持部16上に位置している。そのため、ベース部43と弾性アーム部42は傾斜している。図16(a)に示すように、ベース部43が短く設定される場合には、被押圧部41に対する弾性アーム部42の角度α1は大きくなり、弾性アーム部42に対するベース部43の角度α2は小さくなる。すなわち、ボタン部材40に大きな負荷が作用している。これに対して、図16(b)に示すように、ベース部43が長く設定される場合には、被押圧部41に対する弾性アーム部42の角度α3は角度α1よりも小さくなり、弾性アーム部42に対するベース部43の角度α4は角度α2よりも大きくなる。すなわち、ボタン部材40に作用する負荷が小さくなる。そのため、ボタン部材40のハウジング2への取り付け作業が円滑に行い得る。
[光漏れ防止構造]
図17は図4のXVIIで示す領域の拡大図である。図18は図17に示すXVIII−XVIII線での電子機器1の断面図である。図19は図17に示すXIX−XIX線での電子機器1の断面図である。図17においては、後述する遮光部材35には網掛けが施されている。
図19に示すように、回路基板3にはLED34が実装されている。LED34は例えば電子機器1の動作状態に応じて点灯する。上述したように、第1外装部材10は二層構造を有している。内層部11は光を通す材料で形成されている。例えば、内層部11の材料は、上述したようにポリカーボネートである。後壁部10cの内層部11は、第1外装部材10の内方に突出し、LED34と上下方向において対向する受光部11hを有している。LED34の光は受光部11hに入射する。また、後壁部10cの外層部12には穴が形成され、この穴の内側には内層部11の発光部11iが形成されている。発光部11iは受光部11hが形成された位置から後方に延びている。受光部11hにはLED34から入射した光を発光部11iに向けて反射する斜面11kが形成されている。これにより、LED34が点灯すると、その光は発光部11iから外部に出る。
図17及び図18に示すように受光部11hはゴムなどの弾性材料で形成された遮光部材35の内側に配置されている。詳細には、遮光部材35にはスリット35aが形成されており、そのスリット35aに受光部11hは配置されている。スリット35aはLED34に向けて、及び後壁部10cに向けて開いている。この遮光部材35によって、LED34の光が、内層部11における受光部11h以外の部分に入射することを抑えることができる。その結果、例えば外層部12が比較的光を透しやすい材料や色で形成されている場合であっても、発光部11i以外の部分から光が漏れることを、抑えることができる。
図18に示すように、遮光部材35は、LED34から左壁部10dに向かう光を遮る部分35bを有している。ここで説明する例の遮光部材35は弾性材料で形成されている。また、左壁部10dは湾曲している。そのため、遮光部材35もその湾曲に合わせて、撓んでいる。これにより、LED34と左壁部10dとの間に部分35bが形成されている。
図19に示すように、回路基板3にはシート36が取り付けられている.シート36の後部36aは折り曲げられ、後壁部10cに沿って配置されている。後部36aは回路基板3の後縁と遮光部材35との間の隙間を閉じている。この後部36aによりLED34から後壁部10cに向かって後方に出る光が遮蔽される。図18に示すように、シート36の左部36bも折り曲げられ、左壁部10dに沿って配置されている。遮光部材35の位置ずれ等が原因で遮光部材35の部分35bと回路基板3との間に隙間が形成された場合であっても、その隙間から左壁部10dに向かって出る光を左部36bによって遮ることができる。
以上説明した電子機器1によれば、次のような効果が得られる。
電子機器1の第1外装部材10は、その内面を構成している内層部11と、外面を構成している外層部12とを有し、内層部11と外層部12とが二色成形で形成されている。また、第1外装部材10の内面には、内層部11が形成されていない又は内層部11が薄い領域A1,A2が設けられ、この領域に部品(具体的にはコネクタ31A,31C)が配置されている。これにより、電子機器1の上下方向での幅を低減できる。また、外層部12の厚さを均一化できるため、成形時の樹脂のひけに起因する外面の凹凸の発生を抑えることができる。さらに、第1外装部材10の厚さを全体的に低減しているのではないため、第1外装部材10の剛性を確保できる。
回路基板3を第1外装部材10に固定する螺子19が取り付けられる取付凸部11は内層部11と一体的に成形されている。これにより、取付凸部11によって第1外装部材10の外面に樹脂のひけが生じることを、抑えることができる。
また、第1外装部材10は上壁部10aと、上壁部10aの縁に接続されている後壁部10c、左壁部10d、及び右壁部10eを有している。これらの壁部は内層部11と外層部12とを有している。これにより、第1外装部材10の強度をさらに増すことができる。
第1外装部材10は、コネクタ31A〜31Dに接続するケーブルを挿入するための開口13a〜13dが形成されている前壁部10bを有している。前壁部10bは外層部12を有し、前壁部10bの内面はコネクタ31A〜31Dが対向する部分に内層部11を有していない。これによれば、コネクタ31A〜31Dと開口13a〜13dとの距離が小さくなるので、ユーザがケーブルを接続し易くなる。
また、内層部11は外層部12に比して硬度の低い材料で形成されている。これにより、外力に対して高い強度を有する第1外装部材10を実現できる。
第2外装部材20は金属プレート21と、金属プレート21の外周の少なくとも一部に設けられている樹脂部22とを有している。また、第2外装部材20は、樹脂部22と一体的に成形され、弾性変形可能となっている係合部22aを有している。これによると、金属プレート21を用いるので、第2外装部材20の剛性を確保できる。また、樹脂部22に弾性変形可能な係合部22aを形成するので、取付構造の露出を抑えながら、第1外装部材10と第2外装部材20とを容易に組み付けることができる。
第2外装部材20の係合部21aは金属プレート21に形成され、樹脂部22は、2つの外装部材10,20の組み付け方向に対して直交する方向において係合部21aとは反対側に位置する係合部22aを有している。これによれば、第2外装部材20を第1外装部材10に対して傾斜させた状態で係合部21aを第1外装部材10の被係合部14に係合させ、その後に係合部22aを被係合部15に係合させることができるので、2つの外装部材10,20の組み付け作業を容易化できる。
金属プレート21は第1外装部材10の内側に当接する前縁21bを有している。これによれば、第1外装部材10の強度を金属プレート21によって増すことができる。
第2外装部材20の金属プレート21と樹脂部22はインサート成型によって形成されている。これによれば、第2外装部材20の全体の厚さを増すこと無く、金属プレート21と樹脂部22とを強固に固定できる。
ボタン部材40は、ユーザが押すための被押圧部41と、被押圧部41からボタン押し方向に対して交差する方向に延びている弾性アーム部42と、弾性アーム部42の端部に形成され、ボタン押し方向に延びているベース部43とを有している。ハウジング2の内部には、ベース部43に対してボタン押し方向に位置し、被押圧部41が押されたときにベース部43をボタン押し方向とは反対方向に支持する支持部16が設けられている。これによれば、熱溶着によりボタン部材40を取り付ける従来の構造に比べて、ボタン部材の取り付け作業を簡素化できる。
被押圧部41を露出させる開口は前壁部10bに形成され、支持部16は上壁部10aの内面に形成されている。これによれば、支持部16として機能する専用の部材が不要となるので、部品数の低減を図ることができ、また構造を簡素化できる。
上壁部10aの内面には凹部が形成され、ベース部43はこの凹部に配置されてる。これによれば、弾性アーム部42の長さを確保しやすくなり、ユーザが被押圧部41を押すのに要する力の調整が容易となる。
ハウジング2の内側には上壁部10aとベース部43を挟んで向き合うシャーシ39が配置され、このシャーシ39によってベース部43が上壁部10aの内面から離れることが抑えられている。これよれば、ボタン部材40が上壁部10aから離れることをより確実に抑えることができる。
ボタン部材40は2つの弾性アーム部42を有し、2つの弾性アーム部42の端部は共通のベース部43に接続されている。これによれば、ベース部43の配置に要する領域を小さくできる。
なお、本発明は以上説明した電子機器に限られず、種々の変更がなされてよい。例えば、本発明は、ディスプレイや、操作部材を有する電子機器に適用されてもよい。