JP2015059882A - 磁界センサ - Google Patents

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康弘 深川
Yasuhiro Fukagawa
康弘 深川
河野 秀一
Shuichi Kono
秀一 河野
梶野 秀忠
Hidetada Kajino
秀忠 梶野
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Soken Inc
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【課題】検出精度を高めることの可能な磁界センサを提供する【解決手段】磁界センサ1は、磁界を検出可能な第1ループコイル11と、第1ループコイル11が検出する磁界とは異なる向きの磁界を検出可能な第2ループコイル12を備える。第2ループコイル12は、第1ループコイル11と同一形状に形成され、第1ループコイル11の径内側に所定の隙間をあけて設けられる。これにより、磁界センサ1は、第1ループコイル11と第2ループコイル12とが交差する箇所において、短絡を防ぐための絶縁体を廃止することが可能である。そのため、第1ループコイル11と第2ループコイル12との間に生じる静電結合を小さくすることができる。【選択図】図1

Description

本発明は、磁界を検出する磁界センサに関する。
従来より、電子機器等から発生する磁界の強度、位相及び方向を、2次元又は3次元で検出する磁界センサが知られている。磁界センサが検出した磁界の計測値に基づき、電子機器における電磁的な相互干渉による誤動作等の原因個所の特定、及び電磁エネルギーの伝搬経路等を特定することが可能である。
特許文献1に記載の磁界センサは、球状の物体の表面に導電性箔からなる2枚のループコイルを設けている。この磁界センサは、一方のループコイルのループ面と、他方のループコイルのループ面とが直交している。そのため、磁界センサは、磁界を2次元で検出することが可能である。
なお、本明細書において「ループ面」とは、ループコイルが所定の仮想平面に沿って形成されている場合、その仮想平面のうちループコイル内側の面をいうものとする。
特開2000−275288号公報
しかしながら、特許文献1に記載の磁界センサは、2枚のループコイルを形成する導電性箔の接触を防ぐため、2枚のループコイルが交差する箇所に絶縁体を挟む構成である。そのため、隣接する2枚の導電性箔と絶縁体によって静電結合が生じ、磁界の検出精度が悪化することが懸念される。
また、この磁界センサは、ループコイルを形成する導電性箔の幅を広くすると、2個のループコイルの間の静電結合が大きくなり、特に高周波帯域での検出精度が低下するおそれがある。
さらに、この磁界センサは、球状の物体の表面に、一方のループコイル、絶縁体、他方のループコイルの順に重ねる構成である。そのため、絶縁体の厚さ分、一方のループコイルの径よりも他方のループコイルの径が大きくなり、2個のループ面の面積が異なることが懸念される。その場合、2個のループコイルの出力特性が異なるものとなり、磁界の検出精度が低下するおそれがある。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、検出精度を高めることが可能な磁界センサを提供することを目的とする。
本発明は、互いに異なる向きの磁界を検出可能な第1ループコイルと第2ループコイルを備えた磁界センサにおいて、第1ループコイルと同一形状の第2ループコイルが、第1ループコイルの径内側に所定の隙間をあけて設けられることを特徴とする。
これにより、第1ループコイルと第2ループコイルとが交差する箇所において、上述した特許文献1の磁界センサが備えた絶縁体を廃止することが可能である。そのため、第1ループコイルと第2ループコイルとの間に生じる静電結合を小さくすることができる。
また、第1ループコイルと第2ループコイルとが同一形状であるので、これらの出力特性が同一となる。したがって、磁界センサは、複数のループコイルによって検出する磁界の検出精度を高めることができる。
本発明の第1実施形態による磁界センサの斜視図である。 図1のII方向の矢視図である。 本発明の第2実施形態による磁界センサの斜視図である。 第2実施形態の磁界センサによる出力試験の構成を示す模式図である。 第1比較例の磁界センサによる出力試験の構成を示す模式図である。 第2実施形態と第1比較例の磁界センサの出力の特性図である。 本発明の第3実施形態による磁界センサの斜視図である。 本発明の第4実施形態による磁界センサの斜視図である。 図8のIX方向の矢視図である。 第4実施形態の磁界センサによる出力試験の構成を示す模式図である。 図10のXI方向の矢視図である。 第2比較例の磁界センサによる出力試験の構成を示す模式図である。 図12のXIII方向の矢視図である。 第4実施形態と第2比較例の磁界センサの出力の特性図である。 本発明の第5実施形態による磁界センサの斜視図である。 図15のXVI方向の矢視図である。 第5実施形態による磁界センサの分解図である。 図17のXVIII部分の拡大図である。 図18のXIX−XIX線の断面図である。 本発明の第6実施形態による磁界センサの斜視図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を図1及び図2に示す。第1実施形態の磁界センサ1は、種々の電子機器等から発生する磁界の強度、位相及び方向を3次元で検出するものである。
磁界センサ1は、第1ループコイル11、第2ループコイル12、第3ループコイル13及び検出部14を備えている。第1−第3ループコイル11,12,13は、例えばセミリジットケーブル又は銅板などの導電体から形成される。検出部14は、第1−第3ループコイル11,12,13に電気的に接続し、それらのループコイルに流れる電流値に基づき、第1−第3ループコイル11,12,13に鎖交する磁界を検出する。
なお、第1−第3ループコイル11,12,13をセミリジットケーブルから形成する場合、中央を信号線とし、その周囲をシールド用の配線としたシールデッドループコイルとすることが可能である。
また、第1−第3ループコイル11,12,13は、銅板などの金属板から形成してもよいし、或いは、後述する第4、第5実施形態のように、基板の配線パターンとして構成してもよい。その場合、金属板又は基板の配線パターンは、各ループコイル11,12,13のループ面に沿った方向に延びるものとする。
第1−第3ループコイル11,12,13は、長手方向と短手方向とを有する楕円形に形成される。第1−第3ループコイル11,12,13は全て同一形状であり、長手方向の内径d1が短手方向の外径d2よりも大きい。そのため、第1ループコイル11の長手方向の内径d1よりも、第2ループコイル12の短手方向の外径d2が小さい。したがって、第1ループコイル11の長手方向の内壁よりも径内側に、第2ループコイル12の短手方向の外壁が位置し、それらの間に所定の隙間が形成される。
これと同様に、第2ループコイル12の長手方向の内壁よりも径内側に、第3ループコイル13の短手方向の外壁が位置する。また、第3ループコイル13の長手方向の内壁よりも径内側に、第1ループコイル11の短手方向の外壁が位置する。
また、第1−第3ループコイル11,12,13は、それらの中心Oが全て同一位置となるように組み合わされる。これにより、第1ループコイル11の長手方向の中心線C1と、第2ループコイル12の短手方向の中心線C1とが重なる。第2ループコイル12の長手方向の中心線C2と、第3ループコイル13の短手方向の中心線C2とが重なる。第3ループコイル13の長手方向の中心線C3と、第1ループコイル11の短手方向の中心線C3とが重なる。
さらに、第1−第3ループコイル11,12,13は、それぞれのループ面が互いに直交するように組み合わされる。これにより、第1ループコイル11の長手方向の中心線C1、第2ループコイル12の長手方向の中心線C2、及び第3ループコイル13の長手方向の中心線C3は、3次元直交座標を形成する。
第1−第3ループコイル11,12,13のそれぞれに磁界が鎖交すると、第1−第3ループコイル11,12,13には、その磁界を打ち消す方向に電流が流れる。検出部14は、第1−第3ループコイル11,12,13両端の電位差などから第1−第3ループコイル11,12,13に流れる電流値を計測する。そして、検出部14は、その電流値に基づき、第1−第3ループコイル11,12,13それぞれに鎖交する磁界を検出する。したがって、磁界センサ1は、中心Oの周囲に存在する磁界を3次元で検出することが可能である。
第1実施形態の磁界センサ1は、次の作用効果を奏する。
(1)第1実施形態では、第1−第3ループコイル11,12,13が同一形状に形成される。そして、一方のループコイルの径内側に所定の隙間をあけて他方のループコイルが設けられる。
これにより、第1−第3ループコイル11,12,13が交差する箇所に絶縁体を設けることなく、これらを組み合わせることが可能である。そのため、第1−第3ループコイル11,12,13の間に生じる静電結合を小さくすることができる。
また、第1−第3ループコイル11,12,13は同一形状であるので、3個のループ面の面積が同一であり、第1−第3ループコイル11,12,13の出力特性が同一となる。したがって、磁界センサ1は、磁界の検出精度を高めることができる。
(2)第1実施形態では、第1−第3ループコイル11,12,13は、長手方向および短手方向を有する楕円形である。そして、一方のループコイルの長手方向の内壁よりも径内側に、他方のループコイルの短手方向の外壁が位置するように組み合わされる。
これにより、第1−第3ループコイル11,12,13を同一形状にすることができる。
(3)第1実施形態では、第1−第3ループコイル11,12,13は、それらの中心Oが同一位置となるように組み合わされる。
これにより、磁界センサ1は、第1−第3ループコイル11,12,13の中心Oを磁界の計測地点と一致させることにより、一つの計測地点において異なる向きの磁界を3次元で検出することができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を図3に示す。以下、複数の実施形態において、上述した第1実施形態と実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
第2実施形態の磁界センサ2は、第1−第3ループコイル21,22,23が、同一の概略長方形に形成される。第1−第3ループコイル21,22,23は、長手方向の内径が短手方向の外径よりも大きい。そのため、一方のループコイルの径内側に所定の隙間をあけて他方のループコイルを設けることが可能である。
第1−第3ループコイル21,22,23は、それらの中心Oが同一位置となるように組み合わされる。また、第1−第3ループコイル21,22,23の長手方向又は短手方向の中心線C1,C2,C3は、3次元直交座標を形成する。これにより、磁界センサ2は、中心Oの周囲に存在する磁界を3次元で検出することが可能である。
次に、第2実施形態の磁界センサ2と第1比較例の磁界センサ100の出力特性を比較した試験結果について、図4から図6を参照して説明する。
第2実施形態の磁界センサ2による出力試験の構成を図4に示す。
この磁界センサ2は、基板91に設けられたマイクロストリップライン92に対し、第1ループコイル21のループ面と第3ループコイル23のループ面とが平行に設置され、第2ループコイル22のループ面が垂直に設置される。なお、マイクロストリップライン92に対し、第1ループコイル21は隣接し、第3ループコイル23は離れている。
この構成で、ネットワークアナライザ93からマイクロストリップライン92に電力を注入し、第1、第2ループコイル21,22の出力をネットワークアナライザ93に入力して、伝送特性を計測した。
これに対する第1比較例の磁界センサ100による出力試験の構成を図5に示す。
第1比較例の磁界センサ100は、立方体の物体の表面に第1−第3ループコイル101,102,103を設けたものである。第1−第3ループコイル101,102,103は、同一の円形であるが、それぞれの中心位置が異なっている。
比較例の磁界センサ100も、マイクロストリップライン92に対し、第1ループコイル101のループ面と第3ループコイル103のループ面とが平行に設置され、第2ループコイル102のループ面が垂直に設置される。第1ループコイル101はマイクロストリップライン92に隣接し、第3ループコイル103は離れている。
この構成で、ネットワークアナライザ93からマイクロストリップライン92に電力を注入し、第1、第2ループコイル101,102の出力をネットワークアナライザ93に入力して、伝送特性を計測した。
第2実施形態の磁界センサ2と第1比較例の磁界センサ100は、いずれもマイクロストリップライン92から発生する磁界B1が、それぞれの第1ループコイル21,101によって計測される。一方、いずれのセンサ2,100も、第2ループコイル22,102が、そのループ面がマイクロストリップライン92に対して垂直であるので、2個のループコイルが互いに干渉することがなければ、原理上、磁界B1を計測しない。したがって、第1ループコイル21,101の出力と第2ループコイル22,102の出力との差が大きい程、その2個のループコイル同士は干渉しにくい構成であるといえる。
第2実施形態の磁界センサ2と第1比較例の磁界センサ100の出力特性の試験結果を図6に示す。
図6は、横軸に周波数を示し、縦軸に第1ループコイル101と第2ループコイルとの出力比を示している。
実線Pに示すように、第1比較例の磁界センサ100は、周波数が高くなるに従い、2個のループコイル101,102の出力比が低くなっている。
この原因として、まず、マイクロストリップライン92から生じた磁界B1が第1ループコイル101に鎖交すると、それを打ち消そうとする電流が第1ループコイル101に流れる。これにより、第1ループコイル101の周りに磁界B2が発生し、その磁界成分が第2ループコイル102に鎖交する。このようにして、第1ループコイル101と第2ループコイル102との間に干渉が生じたため、原理上磁界を計測しない第2ループコイル102が磁界を計測したと考えられる。
これに対し、実線Qに示すように、第2実施形態の磁界センサ2は、計測した周波数の全領域において、2個のループコイル21,22の出力比が高い値となっている。
即ち、第2実施形態の磁界センサ2は、3個のループコイルの中心Oが同じ位置にあり、且つ、2個のループコイル21,22交差する箇所に所定の隙間があるので、2個のループコイル同士の干渉が生じることがない。そのため、第2実施形態の磁界センサ2は、マイクロストリップライン92から生じた磁界B1を、広い周波数領域において正確に計測することができる。
(第3実施形態)
本発明の第3施形態を図7に示す。第3施形態の磁界センサ3は、第1−第3ループコイル31,32,33が、同一の概略長方形又は正方形に形成される。第1−第3ループコイル31,32,33は、他のループコイルと交差する箇所に、矩形内方向に凹む凹部34,35,36を有している。そのため、第3施形態の磁界センサ3は、一方のループコイルの径内側に所定の隙間をあけて他方のループコイルを設けることが可能である。
第3実施形態では、第1−第3ループコイル31,32,33の全体の形状を必ずしも楕円形または長方形にすることなく、その一部に凹部34,35,36を形成することで、一方のループコイルの径内側に他方のループコイルを配置することができる。
また、第3実施形態においても、第1−第3ループコイル31,32,33は同一形状であるので、3個のループ面の面積が同一であり、第1−第3ループコイル31,32,33の出力特性を同一にすることができる。
なお、第3実施形態では、第1−第3ループコイルが凹部34,35,36を有しているので、それらの形状を円形としてもよい。
(第4実施形態)
本発明の第4施形態を図8及び図9に示す。第4施形態の磁界センサ4は、第1−第3ループコイル41,42,43が、それぞれ第1−第3基板44,45,46の配線パターンとして形成されている。
第1−第3基板44,45,46は、同一の楕円形状に形成される。第1−第3基板44,45,46は、第1−第3ループコイル41,42,43が形成された位置よりも径内側の部分が切り取られた、環状の基板である。
第1−第3基板44,45,46は、長手方向の内径d3が短手方向の外径d4よりも大きい。そのため、一方の基板の長手方向の内壁の径内側に、他方の基板の短手方向の外壁を設けることが可能である。これにより、第1ループコイル41と第2ループコイル42との間に所定の隙間が形成される。
第1−第3基板44,45,46は、それぞれの基板に形成された第1−第3ループコイル41,42,43のループ面が互いに直交するように配置される。したがって、第1−第3基板44,45,46は、ループコイル同士が非接触で交差する箇所で、一方の基板の板厚面と他方の基板の板厚面とが向き合うように配置される。
また、第1−第3基板44,45,46に形成された第1−第3ループコイル41,42,43の中心Oは同一位置となる。そして、第1−第3ループコイル41,42,43の長手方向又は短手方向の中心線C1,C2,C3は、3次元直交座標を形成する。したがって、磁界センサ4は、中心Oの周囲に存在する磁界を3次元で検出することが可能である。
次に、第4実施形態の磁界センサ4と第2比較例の磁界センサ200の出力特性を比較した試験結果について、図10から図14を参照して説明する。
第4実施形態の磁界センサ4による出力試験の構成を図10及び図11に示す。なお、図10及び図11では、磁界センサ4を模式的に示しており、第3ループコイル43及び第1−第3基板44,45,46は省略している。
第4実施形態の磁界センサ4は、基板91に設けられたマイクロストリップライン92に対し、第1ループコイル41のループ面が平行に設置され、第2ループコイル42のループ面が垂直に設置される。図11に示すように、この磁界センサ4は、2個のループコイル同士が交差する箇所で、ループコイルの板厚面同士が向き合う構成である。なお、ループコイルの板厚面の幅をW1とする。
この構成で、ネットワークアナライザ93からマイクロストリップライン92に電力を注入し、第1、第2ループコイル41,42の出力をネットワークアナライザ93に入力して、伝送特性を計測した。
第2比較例の磁界センサ200による出力試験の構成を図12及び図13に示す。
第2比較例の磁界センサ200は、図示しない球体の表面に第1、第2ループコイル201,202を設けたものである。また、この磁界センサ200は、2枚のループコイル201,202が交差する箇所に絶縁体204を挟むことで、短絡を防いでいる。
図13に示すように、第1、第2ループコイル201,202は、球体の表面に沿った所定の幅W2を有する。第2比較例の磁界センサ200は、2個のループコイル同士が交差する箇所で、ループコイルの板幅面同士が向き合う構成である。第2比較例のループコイルの板幅W2は、第4実施形態のループコイルの板厚の幅W1よりも広い。
比較例の磁界センサ200も、マイクロストリップライン92に対し、第1ループコイル201のループ面が平行に設置され、第2ループコイル202のループ面が垂直に設置される。この構成で、ネットワークアナライザ93からマイクロストリップライン92に電力を注入し、第1、第2ループコイル201,202の出力をネットワークアナライザ93に入力して、伝送特性を計測した。
第4実施形態の磁界センサ4と第2比較例の磁界センサ200の出力特性の試験結果を図14に示す。
図14は、横軸に周波数を示し、縦軸に第1ループコイルと第2ループコイルとの出力比を示している。
第2比較例の磁界センサ200による2個のループコイル201,202の出力比を実線Rに示し、第4実施形態の磁界センサ4による2個のループコイル41,42の出力比を実線Sに示す。第4実施形態の出力比を示した実線Sは、第2比較例の出力比を示した実線Rよりも高い値を示している。
この原因として、第2比較例の磁界センサ200は、第1ループコイル201と第2ループコイル202との距離が近いので、これらが交差する箇所で絶縁体204による容量結合が生じる。そのため、第1ループコイル201が計測した磁界B1が容量結合によって第2ループコイル202に影響を与え、原理上磁界を計測しない第2ループコイル202が磁界を計測したものと考えられる。
これに対し、第4実施形態の磁界センサ4は、計測した周波数の全領域において、2個のループコイル41,42の出力比が、第2比較例の出力比よりも高い値となっている。
即ち、第4実施形態の磁界センサ4は、2個のループコイル同士が交差する箇所で、ループコイルの板厚面同士が向き合う構成であり、且つ、2個のループコイル同士が所定の隙間をあけて設けられるので、ループコイルの間の容量結合が弱い構成である。そのため、第1ループコイル41が計測した磁界が第2ループコイル42にほとんど影響を与えることなく、計測した周波数の全領域において、2個のループコイル41,42の出力比が高い値となる。したがって、第4実施形態の磁界センサ4は、マイクロストリップライン92から生じた磁界を、広い周波数領域において正確に計測することができる。
(第5実施形態)
本発明の第5施形態を図15から図19に示す。第5施形態の磁界センサ5は、第1−第3基板54,55,56が、第1−第3ループコイル51,52,53が形成された位置よりも径内側の部分が切り取られていない、楕円形の基板である。
図17に示すように、第1−第3基板54,55,56は、それぞれ長手方向に延びるスリット57,58,59を有する。このスリット57,58,59は、他の基板の短手方向を差し込み可能な大きさに形成される。第1−第3基板54,55,56の少なくともいずれか1つは、スリットが長手方向の一方に開口している。図17(C)に示すように、第5実施形態では、第3基板56のスリット59のみが長手方向の一方に開口している。
この磁界センサ5の組付け方法は、次のとおりである。
まず、第1基板54のスリット57に第2基板55を挿し込む。次に、第3基板56のスリット59に第1基板54を挿し込むと同時に、第2基板55のスリット58に第3基板56を挿し込む。これにより、第1−第3基板54,55,56が組み付けられる。
図18及び図19に示すように、第5実施形態の第1−第3ループコイル51,52,53は、例えば3層基板の配線パターンとして形成される。
第1−第3ループコイル51,52,53は、3層基板の中央の配線パターンを信号線511とし、その上下をシールド用の配線512,513とする。また、上下のシールド用の配線512,513をスルーホール514,515で接続し、信号線511の両側を囲う。これにより、第1−第3ループコイル51,52,53をシールデッドループコイルとすることができる。
第5実施形態では、第1−第3基板54,55,56は、他の基板の短手方向を差し込み可能なスリット57,58,59を長手方向に有する。これにより、第1−第3基板54,55,56を容易に組み合わせることができる。
また、第5実施形態では、第1−第3基板54,55,56の少なくともいずれか1つは、スリットが長手方向の一方に開口している。これにより、2個の基板のスリットを開口することなく、基板の剛性を高めることができる。
なお、第1−第3基板54,55,56のスリットをいずれも長手方向の一方に開口することにより、3枚の基板を全て同一形状としてもよい。
(第6実施形態)
本発明の第6施形態を図20に示す。第6施形態の磁界センサ6は、上述した第1実施形態の磁界センサ1に対し、第3ループコイルを備えていない。第6施形態の磁界センサ6は、第1ループコイル11と第2ループコイル12のみを備える構成により、磁界を2次元で計測することが可能である。
なお、第2−第5実施形態においても、磁界センサは、第1ループコイルと第2ループコイルのみを備え、第3ループコイルを備えないものとすることが可能である。
(他の実施形態)
上述した複数の実施形態では、磁界を検出する磁界センサが備える第1−第3ループコイルについて説明した。これに対し、他の実施形態では、第1−第3ループコイルは、電波を送受信可能なアンテナとして使用してもよい。
上述した第4、第5実施形態では、ループコイルを基板に形成する場合、基板の板厚面が向き合うように構成した。これに対し、他の実施形態では、ループコイルを基板に形成する場合、基板の板幅面が向き合うように構成してもよい。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記複数の実施形態を組み合わせることに加え、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
1,2,3,4,5,6 ・・・磁界センサ
11,21,31,42,51,61・・・第1ループコイル
12,22,32,42,52,62・・・第2ループコイル

Claims (10)

  1. 磁界を検出可能な第1ループコイル(11,21,31,42,51,61)と、
    前記第1ループコイルと同一形状に形成され、前記第1ループコイルの径内側に所定の隙間をあけて設けられることにより、前記第1ループコイルが検出する磁界とは異なる向きの磁界を検出可能な第2ループコイル(12,22,32,42,52,62)と、を備えることを特徴とする磁界センサ(1,2,3,4,5,6)。
  2. 前記第1ループコイル及び前記第2ループコイルは、長手方向および短手方向を有する環状に形成され、
    前記第1ループコイルの長手方向の内壁よりも径内側に前記第2ループコイルの短手方向の外壁が位置することを特徴とする請求項1に記載の磁界センサ(1,2,4,5,6)。
  3. 前記第1ループコイルの中心と、前記第2ループコイルの中心とは同じ位置であることを特徴とする請求項1または2に記載の磁界センサ。
  4. 前記第1ループコイル(41,51)が配線パターンとして形成された第1基板(44,54)と、
    前記第2ループコイル(42,52)が配線パターンとして形成された第2基板(45,55)と、を備え、
    前記第1基板の板厚面と前記第2基板の板厚面とは、前記第1ループコイルと前記第2ループコイルとが非接触で交差する箇所で向き合うことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の磁界センサ(4,5)。
  5. 前記第1基板(54)は、前記第2基板の短手方向を差し込み可能なスリット(57)を長手方向に有することを特徴とする請求項4に記載の磁界センサ(5)。
  6. 前記第1ループコイルの径外側且つ前記第2ループコイルの径内側に前記第1ループコイル及び前記第2ループコイルから所定の隙間を開けて設けられ、前記第1ループコイル及び前記第2ループコイルが検出する磁界とは異なる向きの磁界を検出可能な第3ループコイル(13,23,43,53,63)をさらに備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の磁界センサ(1,2,3,4,5)。
  7. 前記第1ループコイル、前記第2ループコイル及び前記第3ループコイルは、長手方向および短手方向を有する環状に形成され、
    前記第1ループコイルの長手方向の内壁よりも径内側に前記第2ループコイルの短手方向の外壁が位置し、
    前記第2ループコイルの長手方向の内壁よりも径内側に前記第3ループコイルの短手方向の外壁が位置し、
    前記第3ループコイルの長手方向の内壁よりも径内側に前記第1ループコイルの短手方向の外壁が位置することを特徴とする請求項6に記載の磁界センサ(1,2,4,5)。
  8. 前記第1ループコイルが配線パターンとして形成された第1基板と、
    前記第2ループコイルが配線パターンとして形成された第2基板と、
    前記第3ループコイル(43,53)が配線パターンとして形成された第3基板(46,56)と、を備え、
    前記第1ループコイルと前記第2ループコイルとが非接触で交差する箇所で、前記第1基板の板厚面と前記第2基板の板厚面とが向き合い、
    前記第2ループコイルと前記第3ループコイルとが非接触で交差する箇所で、前記第2基板の板厚面と前記第3基板の板厚面とが向き合い、
    前記第3ループコイルと前記第1ループコイルとが非接触で交差する箇所で、前記第3基板の板厚面と前記第1基板の板厚面とが向き合うことを特徴とする請求項6または7に記載の磁界センサ(4,5)。
  9. 前記第1基板は、前記第2基板の短手方向を差し込み可能なスリットを長手方向に有し、
    前記第2基板(55)は、前記第3基板の短手方向を差し込み可能なスリット(58)を長手方向に有し、
    前記第3基板(56)は、前記第1基板の短手方向を差し込み可能なスリット(59)を長手方向に有することを特徴とする請求項8に記載の磁界センサ(5)。
  10. 前記第1基板のスリット、前記第2基板のスリット及び前記第3基板のスリットのいずれか一つは、長軸方向の一方に開口していることを特徴とする請求項9に記載の磁界センサ。
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