JP2015059387A - 段差被覆材及び段差構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】段差被覆材の上面被覆部に降った雨水等が立ち上がり面被覆部の下端まで流下するのを阻止し、立ち上がり面被覆部に筋状の水垂れ線が生じないように図った段差被覆材と、この段差被覆材で段差を被覆した段差構造を提供する。
【解決手段】段差の立ち上がり面21とコーナー22と上面23をそれぞれ被覆する立ち上がり面被覆部1とコーナー被覆部2と上面被覆部3とを備えた略L字形状の段差被覆材11であって、立ち上がり面被覆部1の前面に、段差被覆材の幅方向に連続する通水溝4を形成した構成の段差被覆材11とする。段差構造は段差被覆材11で段差20の立ち上がり面21とコーナー22と上面23を被覆した構造とする。上面被覆部3に降った雨水等がコーナー被覆部2を経て立ち上がり面被覆部1に流下する途中で通水溝4に流入するようにし、立ち上がり面被覆部1の下端まで流下しないようにして水垂れ線の発生を防止する。
【選択図】図2

Description

本発明は段差被覆材及び段差構造に関し、更に詳しくは、段差の立ち上がり面を被覆する立ち上がり面被覆部に水垂れ線が生じないように改良した段差被覆材と、この段差被覆材で段差を被覆した段差構造に関する。
屋外などの雨が降りかかるところに存在する段差、例えば、屋外階段や、集合住宅のバルコニーの面台などにおいては、防滑性や美観の向上、昇降時や歩行時の防音、転倒時の怪我の防止などを目的として、合成樹脂製やゴム製の段差被覆材を段差の表面[段差の立ち上がり面からコーナーを経て上面(踏み面)に至るまでの面]に貼着することが盛んに行われている。これらの段差被覆材は、段差の上面(踏み面)を被覆する上面被覆部や、段差のコーナーを被覆するコーナー被覆部に、防滑性を向上させる凹凸の形成や表面処理が施され、安全性の向上に寄与している。
その一方で、段差被覆材の上面被覆部に降った雨水は、コーナー被覆部に形成された防滑用凹凸部分の凹部を通って、段差の立ち上がり面を被覆する段差被覆材の立ち上がり面被覆部を流れ落ちることになるため、この状況が継続すると、雨水に含まれる汚れやミネラル分が付着、固定化して、段差被覆材の立ち上がり面被覆部に筋状の水垂れ線が生じ、美観が損なわれるという問題があった。
また、段差被覆材のコーナー被覆部に防滑用の凹凸部分が形成されていなくても、コーナー被覆部から立ち上がり面被覆部に流れ落ちる雨水に所謂水道が形成されると、その部分に筋状の水垂れ線が発生するという問題があった。
このため、本出願人は、階段の踏み面部と段鼻部と蹴上げ部の一部もしくは全部にそれぞれ配設される水平部と屈曲部と前垂れ部とを有する略L字形状の床材であって、該床材の前垂れ部の表面に水平方向に連続する水切り突起を形成した階段用床材を提案した(特許文献1)。
この階段用床材は、水切り突起の先端から雨水が滴下するため、前垂れ部の水切り突起より下側部分に雨水が流れ落ちることがないものであるが、風の影響等をうけると、水切り突起の先端から滴下する雨水が前垂れ部の下側部分に掛かって、水垂れ線が発生する虞れがあった。
特開2007−056549号公報
本発明は上記事情の下になされたもので、その解決しようとする課題は、段差被覆材の上面被覆部に降った雨水等が立ち上がり面被覆部の下端まで流下するのを阻止し、立ち上がり面被覆部に筋状の水垂れ線が生じないように図った段差被覆材と、この段差被覆材で段差を被覆した段差構造を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る段差被覆材は、段差の立ち上がり面とコーナーと上面をそれぞれ被覆する立ち上がり面被覆部とコーナー被覆部と上面被覆部とを備えた略L字形状の段差被覆材であって、上記立ち上がり面被覆部の前面に、段差被覆材の幅方向に連続する通水溝が形成されていることを特徴とするものである。
本発明の段差被覆材においては、前記コーナー被覆部に、溝下端が前記通水溝に臨む排水溝が形成されていることが望ましく、この排水溝の前記通水溝に臨む下端側が下広がり状に形成されていることが望ましい。
また、本発明の段差被覆材においては、前記コーナー被覆部の表面に複数の隆起部が段差被覆材の幅方向に間隔をあけて形成され、これらの隆起部の相互間が前記排水溝になっていることが望ましい。
更に、本発明の段差被覆材においては、前記通水溝の下側内面の前端側に水保持堰が形成されていることが望ましい。
一方、本発明に係る段差構造は、上記の段差被覆材で、段差の立ち上がり面とコーナーと上面を被覆したことを特徴とするものである。
本発明に係る段差被覆材のように、立ち上がり面被覆部の前面に、段差被覆材の幅方向に連続する通水溝が形成されていると、上面被覆部に降った雨水や掃除に使用した水がコーナー被覆部を経て立ち上がり面被覆部を流下する途中で通水溝に流入し、通水溝の内部を流れて通水溝の端部から流落する。従って、雨水等が段差被覆材の立ち上がり面被覆部の下端まで流下し難いので、水垂れ線が生じ難くなり、美観を損なう虞れがほぼ解消される。
通常、建物の雨掛り部分には、降った雨水などを排水するため、水平に対して0.5/100〜2/100程度の水勾配を設けられることが多く、またこのように積極的に水勾配を設けないような場合であっても施工誤差等によって自然勾配が形成されることになる。このような状況のもと、通水溝に流入した水は、水下側にある段差の端部まで運ばれるのである。また、勾配が小さく水の搬送能力が不足しているような場合であっても、若干なりとも水下側に運ばれてから流落するので、同じ個所を水が流下することがなく、筋状の水垂れ線の発生が緩和される。
また、本発明の段差被覆材において、コーナー被覆部に、溝下端が前記通水溝に臨む排水溝が形成されているものは、上面被覆部からコーナー被覆部を経て立ち上がり面被覆部へ流れる雨水等が排水溝に集水されて整流され、この整流された雨水等が通水溝に流入することになるので、通水溝への雨水等の流入がスムーズに行われるようになる。
そして、この排水溝の前記通水溝に臨む下端側が下広がり状に形成されているものは、排水溝を流れる雨水等が下広がり状の下端側で両側に広がりながら通水溝に流入して通水溝の内部を流れることになるので、通水溝への雨水等の流入と通水溝内部での雨水等の流れ(移動)が一層スムーズになる。
更に、本発明の段差被覆材において、コーナー被覆部の表面に複数の隆起部が段差被覆材の幅方向に間隔をあけて形成され、これらの隆起部の相互間が前記排水溝になっているものは、排水溝を形成するためにコーナー被覆部を部分的に凹設して厚みを薄くしなくてもよいため、コーナー被覆部の部分的な強度低下をなくすことができる。
また、本発明の段差被覆材において、通水溝の下側内面の前端側に水保持堰が形成されているものは、通水溝に流入した雨水等を通水溝の下側内面の前端から流れ落ちないように水保持堰で堰き止めて保持し、通水溝の内部に流すことができる。
そして、本発明に係る段差構造のように、上述した本発明の段差被覆材で段差の立ち上がり面とコーナーと上面を被覆したものは、段差被覆材の上面被覆部に降った雨水等がコーナー被覆部を経て立ち上がり面被覆部を流下する途中で通水溝に流入し、通水溝の内部を流れて通水溝の端部から下方に流れ落ちるため、雨水等が段差被覆材の立ち上がり面被覆部の下端まで流下し難くなり、段差被覆材の立ち上がり面被覆部や段差の立ち上がり面の露出部分に水垂れ線が生じ難くなるので、美観を維持することができる。
本発明の一実施形態に係る段差被覆材の斜視図である。 同段差被覆材の断面図である。 図2の円で囲んだ部分の拡大図である。 同段差被覆材の部分正面図である。 排水溝の形態が異なる段差被覆材の部分正面図である。 排水溝の形態が更に異なる段差被覆材の部分正面図である。 (a)、(b)はいずれも通水溝の形態が異なる段差被覆材の部分断面図である。 本発明の他の実施形態に係る段差被覆材の部分断面図である。 本発明の更に他の実施形態に係る段差被覆材の断面図である。 本発明の一実施形態に係る段差構造の断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳述する。
図1は本発明の一実施形態に係る段差被覆材の斜視図、図2は同段差被覆材の断面図、図3は図2の円で囲んだ部分の拡大図、図4は同段差被覆材の部分正面図、図5は排水溝の形態が異なる段差被覆材の部分正面図、図6は排水溝の形態が更に異なる段差被覆材の部分正面図、図7の(a)、(b)はいずれも通水溝の形態が異なる段差被覆材の部分断面図、図8は本発明の他の実施形態に係る段差被覆材の部分断面図、図9は本発明の更に他の実施形態に係る段差被覆材の断面図、図10は本発明の一実施形態に係る段差構造の断面図である。
図1〜図4に例示の段差被覆材11は、図2に示すように、段差20の立ち上がり面21を被覆する立ち上がり面被覆部1と、段差20のコーナー22を被覆するL形に屈曲したコーナー被覆部2と、段差20の上面23(踏み面)を被覆する上面被覆部3とを備えた略L字形状の段差被覆材であって、この実施形態のものは、塩化ビニル樹脂やオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂で成形されている。段差被覆材11の材質は熱可塑性樹脂に限定されるものではなく、熱硬化性樹脂、ゴム、金属、木材などで製造してもよい。
この段差被覆材11の立ち上がり面被覆部1の前面には、図1,図2,図4に示すように、段差被覆材11の幅方向(左右方向)に連続する通水溝4が形成されている。この通水溝4は、段差被覆材11の上面被覆部3からコーナー被覆部2を経て立ち上がり面被覆部1に流下する雨水等を流入させて該溝4の端部まで流し、該端部から流落させるものである。
また、段差被覆材11のL形に屈曲したコーナー被覆部2の表面には、図1,図2,図4に示すように、L形に屈曲した隆起部5が段差被覆材11の幅方向に間隔をあけて複数形成されており、これらの隆起部5の下端部と後端部は、立ち上がり面被覆部1と上面被覆部3の方に延長して設けられている。そして、これらの隆起部5の相互間には、溝下端が上記通水溝4に臨む排水溝6が形成されている。このため、上面被覆部3からコーナー被覆部2を経て立ち上がり面被覆部1へ流れる雨水等は、この排水溝6に集水されて整流され、整流された雨水等が上記通水溝4に流入するので、通水溝4への雨水等の流入がスムーズに行われるようになっている。
上記通水溝4は、隆起部5の下端との間に一定の間隔をあけて下側の溝側壁4aを立ち上がり面被覆部1の前面に形成することにより、隆起部5の下端と下側の溝側壁4aとの間に形成されたものであって、図3に示すように、下側の溝側壁4aの高さ寸法A(突出寸法)と隆起部5の高さ寸法B(隆起寸法)は同一であり、通水溝4の深さはこれらの寸法A,Bに等しくなっている。
この通水溝4の深さ寸法、換言すれば寸法A,Bは、2〜5mmであることが好ましく、また、通水溝4の幅寸法C(上下方向の幅寸法)は、2〜5mmであることが好ましい。この程度の深さ寸法と幅寸法を有する通水溝4を形成すると、排水溝6を流下する雨水等が溢れることなく通水溝4に流入し、通水溝4の端部まで流れて流下するので、雨水等が通水溝4から溢れて立ち上がり面被覆部1の下端まで流下することがほぼなくなり、水垂れ線の発生をほぼ確実に防止することが可能となる。通水溝4の深さ寸法と幅寸法がそれぞれ2mmよりも小さくなると、雨水等が通水溝4に充分流入せず通水溝4から溢れやすくなり、また、通水溝4の深さ寸法と幅寸法がそれぞれ5mmよりも大きくなると、汚れ物質などが通水溝4の下側内面4b(溝側壁4aの上面)に堆積する懸念が生じる。
なお、下側の溝側壁4aの高さ寸法(突出寸法)は、図8に示す段差被覆材12のように、隆起部5の高さ寸法(隆起寸法)より小さくしてもよい。但し、これとは逆に、下側の溝側壁4aの高さ寸法を隆起部5の高さ寸法よりも大きくすると、歩行時や昇降時に、隆起部5より前方に突き出した溝側壁4aに足が引っ掛かりやすく、歩行や昇降の妨げとなるので、避けるべきである。
通水溝4を形成する高さ位置は、上面被覆部3の表面から5〜30mm下方の位置であることが好ましく、かかる高さ位置に通水溝4を形成すると、上面被覆部3からコーナー被覆部2の排水溝6を経て立ち上がり面被覆部1に流下する雨水等の流下速度が遅いので、流下する雨水等を溢れないように通水溝4に導入することができる。
通水溝4は、この実施形態のように、段差被覆材11の幅方向の全長さに亘って連続していることが好ましいが、ある程度の長さ、具体的には30cm〜1m程度の長さで連続し、それらの連続する通水溝の相互間に切れ目部分(下側の溝側壁4aが欠けている部分)があってもよい。このような場合は、雨水等が切れ目部分から立ち上がり面被覆部1の下部に流下するので、該下部に水垂れ線が部分的に生じる虞れがあるものの、立ち上がり面被覆部1の全域で水垂れ線が生じることはないので、美観を保つことができる。
但し、通水溝4の上記切れ目部分が排水溝6の下方に位置しないように、切れ目部分の位置をずらせ、排水溝6から流下する雨水等が通水溝4に確実に流入できるようにすることが重要である。
通水溝4の下側の溝側壁4aは、段差被覆材11と同じ材質でも異なる材質でもよく、また、段差被覆材11と一体に形成してもよいし、別個に形成して接着、粘着、溶着、溶接等の接合手段や、係合、嵌合等の機械的手段で結合させてもよい。但し、生産性や耐久性の観点から、段差被覆材11と同じ材料で一体に形成することが望ましい。
また、この実施形態では、通水溝4の下側内面4b(下側の溝側壁4aの上面)を平坦な水平面に形成しているが、図7(a)に示すように、通水溝4の下側内面4bの前端側に水保持堰4cを通水溝4の全長に亘って形成してもよいし、図7(b)に示すように、通水溝4の下側内面4bを前端に近づくほど高くなるように傾斜させ、この傾斜した下側内面4bの前端部を水保持堰4cとしてもよい。このような水保持堰4cが形成されていると、通水溝4に流入した雨水等を下側の溝側壁4aの前端から流れ落ちないように水保持堰4cで堰き止めて保持しながら、通水溝4の内部を移動させて通水溝4の端部から流落させることができる。
なお、水保持堰4cの好ましい高さ(通水溝4の下側内面4bの最深部から水保持堰4cの上端まで寸法)は、0.5〜3mmである。
この実施形態における通水溝4は、段差被覆材11の幅方向に水平となるように、換言すれば上面被覆部3と平行になるように、立ち上がり面被覆部1の前面に形成されているが、通水溝4に流入した雨水等が通水溝4の端部に向かってスムーズに流れるように、段差被覆材11の幅方向のいずれか一端側から他端側に向かって、或いは、幅方向の中央部から両端に向かって、若干の流れ勾配(0.5/100〜3/100程度の流れ勾配)を付けて通水溝4を形成してもよい。この流れ勾配は通水溝4それ自体を若干傾斜させて付けるようにしてもよいし、通水溝4の下側内面4bのみを若干傾斜させて付けるようにしてもよい。
もっとも、この実施形態のように通水溝4が水平に形成されていても、前記したように、段差20の上面23は施工時の誤差等で幅方向に僅かに傾斜している場合が多く、そのような段差20を段差被覆材11で被覆すると通水溝4に僅かな流れ勾配が自然に付くので、通水溝4に流入した雨水等は通水溝4の水下側ないし端部に向かってスムーズに流れるようになる。
また、通水溝4は、図9に示す段差被覆材13のように、立ち上がり面被覆部1を凹設することによって形成してもよいし、立ち上がり面被覆部1まで延長して形成された隆起部5の下部に通水溝4を凹設して形成してもよい。このように立ち上がり面被覆部1や隆起部5の下端部を凹設して形成される通水溝4の断面形状は、図9に示すような方形でもよいし、半円形でもよい。
前記隆起部5の相互間に形成される排水溝6の深さ、換言すれば、隆起部5の高さは、2〜10mmであることが好ましく、排水溝6の幅は、2〜10mmであることが好ましい。この程度の深さと幅があれば、雨水等を両側に溢れないように集水して適切に整流しながら流下させることができる。また、排水溝6の好ましいピッチ間隔は30〜100mmであり、かかるピッチ間隔となるように隆起部5の横幅寸法を設定することが好ましい。
なお、排水溝6の深さは、隆起部相互間の立ち上がり面被覆部1、コーナー被覆部2、上面被覆部13のそれぞれの表面を凹ませて更に深くしてもよい。
この排水溝6の前記通水溝4に臨む下端側は、図4に示すように、隣り合う隆起部5,5の下端角部にアールR,Rを設けることで、下広がり状に形成されている。このように排水溝6の下端側が下広がり状に形成されていると、排水溝6を流下する雨水等が下広がり状の下端側で両側に広がって通水溝4に流入し、通水溝4の端部に向かって流れるので、通水溝4への雨水等の流入と通水溝4内部での雨水等の流れが一層スムーズになる。上記Rの寸法は、3〜10mmとすることが好ましい。
また、図5に示すように、隣り合う隆起部5,5の対向する側辺5a,5aを斜めに切り欠くことで、排水溝6の下端側を下広がり状に形成してもよく、更に、図6に示すように、下広がり状に形成された排水溝6の下端側に、二等辺三角形の分水用凸部7を形成してもよい。このような分水用凸部7を形成すると、排水溝6を流下する雨水等が分水用凸部7で両側に分水されて通水溝4に流入し、通水溝4の内部で両側(左右)に分かれてスムーズに流れることになるので、通水溝4への雨水等の流入と通水溝4内部での雨水等の流れが更に向上する。なお、隆起部5の側辺5aの好ましい切り欠き寸法は、3〜10mmである。
L形に屈曲した各隆起部5の上面被覆部3側に延びる水平部の表面には、図1,図2に示すように、段差被覆材11の幅方向に細長い複数の防滑用線状凸部8が互いに平行に形成されている。そして、上面被覆部3にも、段差被覆材11の幅方向に細長い互いに平行な複数の防滑用線状凸部8を表面に形成した矩形凸部9が、それぞれの隆起部5の後方に位置して平行に複数形成されている。従って、この段差被覆材11で被覆された段差20を昇降又は歩行する際には、上記の防滑用線状凸部8によって良好な滑り止め作用が発揮されるので、滑ったり転んだりする心配が激減し、安全性が向上する。
なお、段差被覆材11の上面被覆部3やコーナー被覆部2の表面に、防滑用粒子を埋設したり、防滑剤を塗布するなどの防滑処理を施して、安全性を高めるようにしてもよい。
この実施形態の段差被覆材11では、立ち上がり面被覆部1の前面に通水溝4を1つだけ形成しているが、場合によっては、複数の通水溝4を上下平行に形成してもよい。このように複数の通水溝4を形成すると、上側の通水溝4に流入した雨水等が溢れても、その下側の通水溝4に流入し、立ち上がり面被覆部1の下部への雨水等の流下が二段階で阻止されるため、水垂れ線の防止効果が更に顕著になる。
前記の隆起部5、排水溝6、防滑用線状凸部9、矩形凸部10などは好ましくは形成されるものであるから、省略しても勿論よい。
図9に示す段差被覆材13は、そのように隆起部、排水溝、防滑用線状凸部、矩形凸部などを全て省略し、立ち上がり面被覆部1とコーナー被覆部2と上面被覆部3とを備えた略L字形状の段差被覆材の該立ち上がり面被覆部1の前面に、段差被覆材13の幅方向に連続する通水溝4を1つ凹設して形成しただけの最も簡素な構成の段差被覆材である。
以上のような段差被覆材11,12,13は、使用する材料に応じて種々の製造手段を採用して製造することが可能であり、例えば、熱可塑性樹脂を用いて製造する場合は、押出成形してロールでエンボス成形する押出エンボス成形、粉体やペレットを積層した後に加熱・プレスする熱圧成形、射出成形など、様々な公知の手段を採用して製造することができる。
図10は本発明の一実施形態に係る段差構造の断面図であって、この段差構造は、前述した本発明の段差被覆材11を使用し、この段差被覆材11のコーナー被覆部2を段差20のコーナー22に位置合わせすると共に、接着剤や粘着剤や両面粘着テープなどの貼着剤30を介して、段差20の立ち上がり面21とコーナー22と上面(踏み面)23を、段差被覆材11の立ち上がり面被覆部1とコーナー被覆部2と上面被覆部3とで被覆、貼着したものである。
なお、段差被覆材11については既に詳細に説明したので、図10において各部に前記と同じ符合を付すだけにとどめ、重複する説明は省略する。
この本発明の段差構造のように、段差20の立ち上がり面21とコーナー22と上面23を本発明の段差被覆材11で被覆すると、段差被覆材11の上面被覆部3に降った雨水等がコーナー被覆部2を経て立ち上がり面被覆部1に流下する際に、段差被覆材11の排水溝6に集水されて整流され、この整流された雨水等が通水溝4に流入して通水溝4の内部を流れ、通水溝4の端部から段差20の下方に流れ落ちるので、雨水等が段差被覆材11の立ち上がり面被覆部1の下端まで流下し難くなる。従って、段差被覆材11の立ち上がり面被覆部1や、段差20の立ち上がり面21の露出部分に水垂れ線が生じ難くなるので、美観が損なわれる心配をほぼ解消することができる。また、防滑用線状凸部8によって防滑効果も発揮されるので、転倒の虞れが激減して安全性も向上する。
1 立ち上がり面被覆部
2 コーナー被覆部
3 上面被覆部
4 通水溝
4a 下側の溝側壁
4b 通水溝の下側内面
4c 水保持堰
5 隆起部
6 排水溝
R アール
7 分水用凸部
8 防滑用線状凸部
11,12,13 段差被覆材
20 段差
21 立ち上がり面
22 コーナー
23 上面(踏み面)
30 貼着剤

Claims (6)

  1. 段差の立ち上がり面とコーナーと上面をそれぞれ被覆する立ち上がり面被覆部とコーナー被覆部と上面被覆部とを備えた略L字形状の段差被覆材であって、
    上記立ち上がり面被覆部の前面に、段差被覆材の幅方向に連続する通水溝が形成されていることを特徴とする段差被覆材。
  2. 前記コーナー被覆部に、溝下端が前記通水溝に臨む排水溝が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の段差被覆材。
  3. 前記排水溝の前記通水溝に臨む下端側が下広がり状に形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の段差被覆材。
  4. 前記コーナー被覆部の表面に複数の隆起部が段差被覆材の幅方向に間隔をあけて形成され、これらの隆起部の相互間が前記排水溝になっていることを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載の段差被覆材。
  5. 前記通水溝の下側内面の前端側に水保持堰が形成されていることを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の段差被覆材。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の段差被覆材で、段差の立ち上がり面とコーナーと上面を被覆したことを特徴とする段差構造。
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