JP2015058368A - 塗工ダイとこれを有する塗工装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ペースト塗工膜の形状安定化を図る新たな塗工手法を提供する。
【解決手段】塗工ダイ110は、ポンプ120から圧送供給を受けたペーストが塗工孔116に到るまでのペースト流路118に、第1凸部列115−1と第2凸部列115−2とを備える。第1凸部列115−1と第2凸部列115−2の両凸部列は、ペースト通過方向と交差する流路幅方向に沿って、複数の凸部115を間欠的に並べて備える。そして、隣り合う第1凸部列115−1と第2凸部列115−2の両凸部列は、それぞれの凸部115を、流路幅方向にピッチをズラして並べている。
【選択図】図7
【解決手段】塗工ダイ110は、ポンプ120から圧送供給を受けたペーストが塗工孔116に到るまでのペースト流路118に、第1凸部列115−1と第2凸部列115−2とを備える。第1凸部列115−1と第2凸部列115−2の両凸部列は、ペースト通過方向と交差する流路幅方向に沿って、複数の凸部115を間欠的に並べて備える。そして、隣り合う第1凸部列115−1と第2凸部列115−2の両凸部列は、それぞれの凸部115を、流路幅方向にピッチをズラして並べている。
【選択図】図7
Description
本発明は、塗工ダイとこれを有する塗工装置に関する。
ペーストの塗工対象となる基材にペーストを塗工ダイから吐出して塗工する塗工手法は、広く普及しており、帯状或いは間欠的なペースト塗工膜の形状安定化を図ることが提案されている(例えば、特許文献1)。
上記の特許文献で提案された塗工手法は、ペースト塗工膜の形状安定化を図る上で、ダイにおけるペーストの通過流路に、突出部をペースト通過方向に沿って設けて、この突出部にてペーストの流れを阻止している。ところで、塗工されるペーストは、その粘度が多種多様であり、ペーストの流れは、ペースト通過流路の突出部の間に制限されるとは言え、ペースト粘度によっては、ペーストの流れにおいて流速差が生じ得る。そして、この流速差は、ペースト通過流路の突出部の間が広くなるほど、或いはペースト粘度が大きいほど大きくなり、突出部を備えない場合には、より顕著に現れ、ペーストの流れの先端では、ペースト幅方向に波打つ波打ち形状が発現し得る。このペーストの流れ先端の波打ち形状は、ペースト塗工膜の塗工幅方向において膜厚の不均一を招いたり、ペースト塗工膜の目付量にバラツキを生じ得る。こうしたことから、ペースト塗工膜の形状安定化を図る新たな塗工手法が要請されるに到った。この他、ペースト塗工膜の形成コストの低減を可能とすることも要請されている。
上記した課題の少なくとも一部を達成するために、本発明は、以下の形態として実施することができる。
(1)本発明の一形態によれば、塗工ダイが提供される。この塗工ダイは、ペーストの塗工対象となる基材に該ペーストを吐出する塗工ダイであって、前記ペーストを吐出するよう開口した塗工孔に到るペースト通過流路と、該ペースト通過流路を通過する前記ペーストの流れに、流れ方向が変わる乱流を前記開口の手前の前記ペースト通過流路で誘起する乱流誘起機構とを備える。上記形態の塗工ダイでは、塗工孔に到るペースト通過流路をペーストが流れる際、ペースト粘度によりペーストの流れにおいて流速差が起き得るが、ペーストの流れには、乱流誘起機構により、その流れ方向が変わる乱流が誘起される。このため、ペースト通過流路においては、誘起された乱流でペーストの流れに分流や合流が起き、流速差が相殺される。よって、上記形態の塗工ダイによれば、ペーストの流れの先端での波打ちを抑制できる。
(2)上記の形態の塗工ダイにおいて、前記乱流誘起機構は、前記ペースト通過流路に配設され、ペースト通過方向と交差する交差方向に沿って凸部を並べて有する凸部列を複数列有し、該複数列の凸部列の隣り合う前記凸部列は、各列の前記凸部列における前記凸部を前記交差方向でピッチをズラして並べているようにしてもよい。こうすれば、塗工孔に到るペーストの流れにおける乱流を、隣り合う凸部列においてピッチがズレて並んだそれぞれの凸部がペーストの流れ方向を変えることで簡便に誘起できる。よって、この形態の塗工ダイによれば、分流や合流による流速差の相殺を通して、ペーストの流れの先端での波打ちを抑制できる。
(3)上記の形態の塗工ダイにおいて、それぞれの前記凸部列は、前記凸部を、前記交差方向に沿って直線状またはジグザグ状に並べて有するようにしてもよい。こうすれば、より確実且つ簡便に乱流を誘起できる。
(4)本発明の他の形態によれば、塗工装置が提供される。この塗工装置は、ペーストの塗工対象となる基材に該ペーストを塗工する塗工装置であって、上記したいずれかの形態の塗工ダイを、該塗工ダイが有する前記開口を前記基材に対向させて備える。上記形態の塗工装置では、塗工孔に到るペースト通過流路をペーストが流れる際、ペースト粘度によりペーストの流れにおいて流速差が起き得るが、ペーストの流れには、塗工ダイの乱流誘起機構により、その流れ方向が変わる乱流が誘起される。このため、ペースト通過流路においては、誘起された乱流でペーストの流れに分流や合流が起き、流速差が相殺されるので、ペーストの流れの先端での波打ちは抑制される。そして、基材には、波打ちが抑制された状態でペーストが塗工される。この結果、上記形態の塗工装置によれば、ペースト塗工膜の塗工幅方向における膜厚の均一化や、ペースト塗工膜の目付量のバラツキを抑制して、ペースト塗工膜の形状の安定化を図ることができる。ペーストの粘度により乱流の発生状況に差が生じるとは言え、ペーストの流れの乱流は、ペースト粘度に拘わらず起きるので、上記形態の塗工装置によれば、ペースト粘度によるダイ交換等を要しないので、汎用性が高まる他、ペースト塗工膜の形成コストの低減に寄与できる。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、ペーストの塗工方法、基材を電解質膜としペースト塗工膜をアノード或いはカソードの電極触媒層とした膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly/MEA)の製造方法等の形態で実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき説明する。図1は本発明の実施形態としての塗工装置100の概略構成を一部の概略分解の様子と概略拡大視と合わせて示す説明図である。
図示するように、塗工装置100は、塗工ダイ110と、ポンプ120と、ペースト貯留槽130と、基材案内ローラー140とを備える。ポンプ120は、ペースト貯留槽130に貯留済みのペーストを塗工ダイ110に圧送供給する。この際の圧送圧や圧送量は、図示しない制御装置の制御を受けて設定され、ポンプ120は、設定済みの圧送圧・圧送量でペーストを供給するよう駆動する。基材案内ローラー140は、基材Kをローラー表面に接触させ、図示しない制御装置の制御を受けて回転して、基材Kを下流に搬送すると共に、塗工ダイ110から塗工されたペーストの塗工圧を受け止める。
塗工ダイ110は、基材案内ローラー140に接触保持された基材Kに対向し、基材Kにポンプ120から圧送供給されたペーストを吹き付け塗工すべく、上流ダイ111と、下流ダイ112と、シム114とを備える。上流ダイ111は、ポンプ120から供給されたペーストをマニホールド113に受け取り、このマニホールド113にてダイ幅方向に亘ってペーストを行き渡らせる。シム114は、上流ダイ111と下流ダイ112に挟持され、上下流のダイの間に、塗工孔116と、ペースト流路118とを形成する。図2は塗工ダイ先端を概略的に拡大して断面視した上で塗工ダイ110の詳細構成と基材案内ローラー140との関係を模式的に示す説明図である。ペースト流路118は、マニホールド113から塗工孔116に到るまでのペーストの通過流路となり、ペーストは、ペースト流路118に沿ったペーストの流れ(以下、ペースト流Psと称する)にて、塗工孔116に向けて流れる。
塗工孔116は、ペーストを吐出するよう矩形形状に開口し、その長辺方向を基材Kの幅方向に合わせて、基材Kに対向する。そして、塗工ダイ110は、基材案内ローラー140の表面からの隔たり(塗工ギャップDd)において、ペーストを塗工孔116から基材Kに吐出して、基材Kの表面に到る塗工ビートPvを形成する。この塗工ビートPvが基材案内ローラー140の回転により基材Kの表面に沿って延びることで、基材Kにペースト塗工膜PTが形成される(図1参照)。
この他、塗工ダイ110は、ペースト流路118に、ペースト流路118に沿ったペースト通過方向と交差する方向、図1におけるダイ幅方向に沿って第1凸部列115−1と第2凸部列115−2とを備える。これら各凸部列は、図2に示すように、複数の凸部115をダイ幅方向に沿って間欠的に直線状に並べて備え、それぞれの凸部115は、ペースト流路118において、上流ダイ111の流路底面から下流ダイ112の流路上面に掛けて延びている。本実施形態の塗工ダイ110では、塗工孔116の上下間隙、即ちペースト流路118の流路高さを1.2mmとした上で、各凸部列の凸部115を直径2φで1mmの高さの円柱体とした。そして、隣り合う第1凸部列115−1と第2凸部列115−2とは、図2に示すように、凸部115を、ダイ幅方向においてピッチをズラして、詳しくはほぼ半ピッチズラして備えている。また、塗工ダイ110は、隣り合う第1凸部列115−1と第2凸部列115−2とを、塗工孔116の開口部から20mmの範囲内に備える。なお、図2では、第1凸部列115−1および第2凸部列115−2に、4個の凸部115が含まれている様子を示しているが、実機においては、製造対象となるMEAの幅に合わせて4個以上の凸部115が配設されている。
本実施形態の塗工装置100は、基材Kを電解質膜としペースト塗工膜PTをアノード或いはカソードの電極触媒層とした膜電極接合体(MEA)の製造を意図している。よって、塗工ダイ110から吐出するペーストについては、所定の剪断速度γ(1/sec)当たりで10000〜30000mPa・sの粘度を備えた電極触媒層形成用のペーストを想定している。また、ペースト塗工速度については、MEAの生産性から、50〜80m/minとし、塗工流量は500〜1500g/min、塗工ギャップDdは50〜1000μmを想定している。なお、上記のスペックは、MEAにおける電極触媒層として求められる電極触媒層の層厚を達成するためのものであり、塗工装置100の使用用途は、MEAの製造以外の用途に用いることができ、上記した粘度等に規定されるわけではない。
次に、本実施形態の塗工ダイ110を有する塗工装置100で得られる利点について説明する。図3は対比する比較例塗工ダイH110を分解視して示す説明図、図4は比較例塗工ダイH110のペースト流路118をペーストが流れる際のペースト流Psの流路内上面視の様子と塗工ビートPvの先端形状をダイ先端側から正面視した様子とを模式的に示す説明図、図5は図3の比較例塗工ダイH110にて基材Kに形成されたペースト塗工膜PTを図1の5−5線にて切断して塗工膜表面の形態を模式的に示す説明図、図6は図3の比較例塗工ダイH110にて基材Kに形成されたペースト塗工膜PTの幅方向に亘る膜厚推移を示すグラフである。図4における塗工ビートPvのペースト先端形状Pspの様子は、比較例塗工ダイH110からペーストを吐出し、その際の塗工ビートPvの先端をダイ先端側から高速度写真撮影し、その撮像画像データから塗工ビートPvのペースト先端形状Pspを把握し、これをペーストの吐出直後からの時間経過に沿って示している。また、図6のグラフは、塗工済みペースト塗工膜PTを加熱硬化させた後に、その断面を顕微鏡観察して求めた。
比較例塗工ダイH110では、マニホールド113に供給されたペースト(例えば、所定の剪断速度γ(1/sec)当たりで10000mPa・sの粘度)は、高さが1.2mmの矩形形状のペースト流路118を流路方向に沿って流れる際、ペースト流路118の底面および上面、並びに両側面との接触を起こす。そして、ペーストは上記した高粘度を有するが故に、図4の上面視に示すように、ペースト流路118の幅方向に亘るペースト流Psにおいて流速差が生じる。このため、ペースト流路118におけるペースト流Psの先端(以下、ペースト流先端Pt)では、ペースト流路118の幅方向に波打つ波打形状が現れ、この状態のまま、ペーストは塗工孔116から吐出される。また、塗工孔116から吐出されたペースト先端形状Pspは、図4の正面視に示すように、塗工孔116の幅方向において、吐出直後は塗工孔116の形状に倣った形状であるものの、時間経過と共に塗工孔116の上下において膨らみが点在する。こうしたペースト流先端Ptの波打ちや塗工孔116の上下における膨らみは、ペースト塗工膜PTの膜厚に影響を及ぼし、図5に示すように、ペースト塗工膜PTには、その塗工幅方向において塗工膜上面に凹凸が繰り返される。よって、比較例塗工ダイH110で得られたペースト塗工膜PTは、塗工膜上面の凹凸の繰り返しの影響を受け、図6に示すように、塗工幅に沿った塗工膜の膜厚は大きくバラついて不均一となる。このように不均一な膜厚により、単位時間当たりのペースト塗工膜PTの目付量はバラつくことが容易に想定される。
図7は本実施形態の塗工ダイ110のペースト流路118をペーストが流れる際のペースト流Psの流路内上面視の様子を比較例塗工ダイH110と対比して模式的に示す説明図である。図示するように、本実施形態の塗工ダイ110であっても、第1凸部列115−1の上流側におけるペースト流路118では、上記したペーストは、高粘度を有するが故に、ペースト流路118の幅方向に亘るペースト流Psには流速差が生じる。しかしながら、流速差を持ったペースト流Psで流れるペーストは、隣り合う第1凸部列115−1と第2凸部列115−2とにおいて幅方向ピッチがズレて並んだそれぞれの凸部115により、図7下段に示しようにその流れの向きが変えられる。このため、第1凸部列115−1より下流側のペースト流路118において、ペースト流Psに流れ方向が変わる乱流Pstが発生し、それぞれの凸部115では、ペースト流Psの分流や合流が起きる。よって、本実施形態の塗工ダイ110によれば、凸部115で発生した乱流Pstの分流および合流により、第1凸部列115−1および第2凸部列115−2を通過後にあっては、ペースト流Psの流速差は相殺され、ペースト流先端Ptでの波打ちを抑制できる。
図8は本実施形態の塗工ダイ110と比較例塗工ダイH110とについての塗工ビートPvの形状と膜厚バラツキとを対比して示す説明図である。この図8のビード形状は、上記のそれぞれの塗工ダイからペーストを吐出し、その際に塗工ビートPvが延びる様子をダイ側方側から高速度写真撮影し、その撮像画像データから塗工ビートPvの延び形状を把握し、これをビード形状とした。また、図8における膜厚グラフは、塗工済みペースト塗工膜PTを加熱硬化させた後に、その断面を顕微鏡観察して求めた。この図8に示すように、比較例塗工ダイH110では、塗工孔116から吐出された塗工ビートPvに、吐出方向においてペースト厚みが膨らんで波打ついわゆるサメの歯様のビード形状が現れるのに対し、本実施形態の塗工ダイ110では、こうしたサメの歯様のビード形状は見られず、安定した厚みのビード形状が得られた。こうしたビード形状の相違と、上記した第1凸部列115−1および第2凸部列115−2を通過後におけるペースト流Psの流速差相殺によるペースト流先端Ptでの波打ち抑制とにより、本実施形態の塗工ダイ110を用いた塗工装置100によれば、ペースト塗工膜PTの塗工幅方向における膜厚のバラツキを、比較例塗工ダイH110に比して1/3程度に抑制できた。こうした膜厚のバラツキ抑制により、本実施形態の塗工ダイ110を用いた塗工装置100によれば、基材Kに塗工したペースト塗工膜PTの目付量のバラツキについてもこれを抑制でき、ペースト塗工膜PTの形状の安定化を図ることができる。
ところで、図7の下段に示した乱流Pstが起きる状況や乱流Pstの大きさ等においては、塗工ダイ110から塗工するペーストの粘度により差が生じるとは言え、乱流Pstの発生およびその分流・合流による流速差相殺は、ペースト粘度に拘わらず起きる。よって、本実施形態の塗工ダイ110を用いた塗工装置100によれば、ペースト粘度による塗工ダイ110の交換を要しないので、汎用性が高まる他、ペースト塗工膜PTの形成コストの低減、延いてはMEAの製造コストの低減を図ることができる。
本実施形態の塗工ダイ110は、既存の塗工装置が備える上記の比較例塗工ダイH110と取替可能であり、こうしたダイ取替により、既存の塗工装置を、本実施形態の塗工装置100と同様に、ペースト塗工膜PTの形状の安定化が可能な塗工装置とできる。よって、本実施形態の塗工ダイ110によれば、ダイ取替により、既存設備の有効利用を図った上で、ペースト塗工膜PTの安定化、品質の向上に寄与できる。
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、或いは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
上記の実施形態では、第1凸部列115−1および第2凸部列115−2を、円柱体の凸部115を備えるものとしたが、次のようにしてもよい。図9は円柱体の凸部115と代替え可能な凸部の形態を示す説明図である。図示するように、円柱体の凸部115に代えて、立方体の凸部115aや、三角錐形状の凸部115b、円錐形状の凸部115cとしてもよい。
上記の実施形態では、第1凸部列115−1と第2凸部列115−2の2列の凸部列を備えるようにしたが、3列以上の凸部列を有するようにしてもよい。図10は第1凸部列115−1〜第3凸部列115−3の3列の凸部列を備える一実施形態を示す説明図である。図示するように、この実施形態では、第1凸部列115−1と第2凸部列115−2の列ピッチTp1と、第2凸部列115−2と第3凸部列115−3の列ピッチTp2とを異なるものとし、列ピッチTp2を列ピッチTp1より短ピッチとした。この実施形態では、凸部列が第1凸部列115−1〜第3凸部列115−3の3列であることから、乱流Pstの発生頻度が高まってその分流・合流がより繰り返される。よってペースト流Psにおける流速差の相殺がより進み、ペースト流先端Ptの波打ちのより一層の抑制に有益となる。加えて、第2凸部列115−2より下流では、この両凸部列通過の間に生じた乱流Pstが短い距離(列ピッチTp2)のうちに改めて第3凸部列115−3により分流・合流を起こす。これらの結果、図10に示す実施形態によれば、ペースト塗工膜PTの塗工幅方向における膜厚のバラツキ抑制を高い実効性で達成でき、ペースト塗工膜PTの膜厚および目付量の均一化をより進めて、ペースト塗工膜PTの形状の確実な安定化を図ることができる。なお、図10の実施形態において、列ピッチTp1と列ピッチTp2とを等ピッチとしてもよく、列ピッチTp1を列ピッチTp2より短ピッチとしてもよい。
図11は他の実施形態の塗工ダイ110Aにおける凸部列の概略を示す説明図である。この実施形態の塗工ダイ110Aでは、第1凸部列115−1と第2凸部列115−2の各凸部列は、図示するように、複数の凸部115をダイ幅方向に沿って間欠的にジグザグ状に並べて備え、それぞれの凸部115は、ペースト流路118において、上流ダイ111の流路底面から下流ダイ112の流路上面に掛けて延びている。そして、隣り合う第1凸部列115−1と第2凸部列115−2は、既述したように、凸部115を、ダイ幅方向においてピッチをズラして、詳しくはほぼ半ピッチズラして備えている。この実施形態の塗工ダイ110Aによっても、ペースト流路118を通過するペーストの流れに乱流を誘起して、既述した効果を奏することができる。
図12はまた別の実施形態の塗工ダイ110Bにおける凸部列の概略を示す説明図である。この実施形態の塗工ダイ110Bでは、凸部115Aをペースト流路118に点在配置して備える。この凸部115Aは、水車様に正逆回転自在にペースト流路118の底部に埋設設置されており、ペースト流Psのぶつかりにより自らの回転を起こし、ペースト流路118を通過するペーストの流れに乱流を誘起する。よって、この実施形態の塗工ダイ110Bによっても、既述した効果を奏することができる。
100…塗工装置
110、110A、110B…塗工ダイ
111…上流ダイ
112…下流ダイ
113…マニホールド
114…シム
115、115a〜115c、115A…凸部
115−1…第1凸部列
115−2…第2凸部列
115−3…第3凸部列
116…塗工孔
118…ペースト流路
120…ポンプ
130…ペースト貯留槽
140…基材案内ローラー
K…基材
H110…比較例塗工ダイ
Pt…ペースト流先端
PT…ペースト塗工膜
Dd…塗工ギャップ
Ps…ペースト流
Pv…塗工ビート
Tp1…列ピッチ
Tp2…列ピッチ
Psp…ペースト先端形状
Pst…乱流
110、110A、110B…塗工ダイ
111…上流ダイ
112…下流ダイ
113…マニホールド
114…シム
115、115a〜115c、115A…凸部
115−1…第1凸部列
115−2…第2凸部列
115−3…第3凸部列
116…塗工孔
118…ペースト流路
120…ポンプ
130…ペースト貯留槽
140…基材案内ローラー
K…基材
H110…比較例塗工ダイ
Pt…ペースト流先端
PT…ペースト塗工膜
Dd…塗工ギャップ
Ps…ペースト流
Pv…塗工ビート
Tp1…列ピッチ
Tp2…列ピッチ
Psp…ペースト先端形状
Pst…乱流
Claims (4)
- ペーストの塗工対象となる基材に該ペーストを吐出する塗工ダイであって、
前記ペーストを吐出するよう開口した塗工孔に到るペースト通過流路と、
該ペースト通過流路を通過する前記ペーストの流れに、流れ方向が変わる乱流を前記開口の手前の前記ペースト通過流路で誘起する乱流誘起機構とを備える
塗工ダイ。 - 前記乱流誘起機構は、前記ペースト通過流路に配設され、ペースト通過方向と交差する交差方向に沿って凸部を並べて有する凸部列を複数列有し、該複数列の凸部列の隣り合う前記凸部列は、各列の前記凸部列における前記凸部を前記交差方向でピッチをズラして並べている請求項1に記載の塗工ダイ。
- それぞれの前記凸部列は、前記凸部を、前記交差方向に沿って直線状またはジグザグ状に並べて有する請求項2に記載の塗工ダイ。
- ペーストの塗工対象となる基材に該ペーストを塗工する塗工装置であって、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の塗工ダイを、該塗工ダイが有する前記開口を前記基材に対向させて備える
塗工装置。
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JP2013191333A Pending JP2015058368A (ja) | 2013-09-17 | 2013-09-17 | 塗工ダイとこれを有する塗工装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023085770A1 (ko) * | 2021-11-09 | 2023-05-19 | 주식회사 엘지에너지솔루션 | 전극 코팅 장치 및 방법 |
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2013
- 2013-09-17 JP JP2013191333A patent/JP2015058368A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2023085770A1 (ko) * | 2021-11-09 | 2023-05-19 | 주식회사 엘지에너지솔루션 | 전극 코팅 장치 및 방법 |
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