JP2015058227A - 医用画像診断装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】天板だれの画質への影響を低減することを可能とする。【解決手段】実施形態の医用画像診断装置は、架台装置と、寝台装置と、架台駆動部と、取得部と、制御部とを備える。架台装置は、被検体が挿入される開口部を有し、開口部に挿入された被検体を撮影することで被検体の内部情報を取得する。寝台装置は、被検体が載置される天板を、開口部に向けて移動可能に片持ち支持する。架台駆動部は、架台装置を傾斜する。取得部は、開口部に向けた天板の移動により生じる、天板の鉛直方向の傾斜量を取得する。制御部は、取得された傾斜量に基づいて、架台装置を傾斜させる。【選択図】図2
Description
本発明の実施形態は、医用画像診断装置に関する。
近年、被検体内部の情報を架台装置で収集し、この収集された情報に基づいて被検体内部を画像化して医用画像を生成する医用画像診断装置が用いられるようになっている。この医用画像診断装置としては、例えば、X線CT装置(computed tomography:コンピュータ断層撮影装置)や、磁気共鳴診断装置(MRI:magnetic resonance imaging)、PET(positron-emission tomography:ポジトロン放出断層撮影装置)等が該当する。
これらの医用画像診断装置においては、被検体全身の内部情報を連続的に収集できるように、被検体が横臥する天板を寝台装置から架台装置側へ、例えば、2000mm程度せり出すように構成されている。この時、天板は寝台装置側において片持ちで支持されていることから、せり出し量が大きくなる程、被検体の重み(力点)が片持ち支持の支点から離れて力モーメントが大きくなるため、天板のうち支持されている寝台装置側の一方の高さに比べ支持されていない他方の高さが低くなる、いわゆる天板のだれが生じてしまうことがある。このような天板だれは、スキャン位置における被検体の傾斜を招き、撮影された画像の画質に大きな影響を及ぼす。
本発明が解決しようとする課題は、天板だれの画質への影響を低減することを可能とする医用画像診断装置を提供することである。
実施形態の医用画像診断装置は、架台装置と、寝台装置と、架台駆動部と、取得部と、制御部とを備える。架台装置は、被検体が挿入される開口部を有し、開口部に挿入された被検体を撮影することで被検体の内部情報を取得する。寝台装置は、被検体が載置される天板を、開口部に向けて移動可能に片持ち支持する。架台駆動部は、架台装置を傾斜する。取得部は、開口部に向けた天板の移動により生じる、天板の鉛直方向の傾斜量を取得する。制御部は、取得された傾斜量に基づいて、架台装置を傾斜させる。
以下、添付図面を参照して、実施形態にかかる医用画像診断装置を詳細に説明する。なお、以下の説明において、同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
医用画像診断装置は、例えば、X線CT装置や磁気共鳴診断装置(MRI)、ポジトロン放出断層撮影装置(PET)等であってよく、寝台装置で片持ち支持される天板が装置(架台)内部に侵入しその状態で天板に横臥する被検体の撮影が行われる装置であればいずれの装置であってもよい。なお、本実施形態では、X線CT装置を例に挙げて説明する。
図1は、実施形態にかかる医用画像診断装置1の構成例を示す図である。図2は、実施形態にかかる医用画像診断装置1の架台装置10、寝台装置20、コンソール装置100の概要を示す図である。なお、図2においては、架台装置10における架台寝台制御部17に関連した内部構成の概略が示されている。
図1、2に示すように、医用画像診断装置1は、架台装置10と、寝台装置20と、コンソール装置100とを有する。
図2に示すように、架台装置10は、被検体Pが挿入される開口部19を有し、開口部19に挿入された被検体Pを撮影することで被検体Pの内部情報を取得する。具体的には、架台装置10は、被検体PにX線を照射し、被検体Pを透過したX線を検出してコンソール装置100に出力する。かかる架台装置10は、図1に示すように、高電圧発生部11と、X線管12と、X線検出器13と、データ収集部14と、回転フレーム15と、架台駆動部16と、架台寝台制御部17と、第1のレーザ変位計18aと、第2のレーザ変位計18bとを有する。
高電圧発生部11は、架台寝台制御部17による制御に従って、X線管12に対して高電圧を供給する。X線管12は、高電圧発生部11から供給される高電圧によってX線を発生する真空管であり、回転フレーム15の回転に伴って、被検体Pに対してX線を照射する。すなわち、高電圧発生部11は、X線管12に供給する管電圧や管電流を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線量を調整する。
X線検出器13は、被検体Pを透過したX線を検出する2次元アレイ型検出器(面検出器)であり、複数チャンネル分のX線検出素子を配してなる検出素子列が被検体Pの体軸方向(図1に示すZ軸方向)に沿って複数列配列されている。具体的には、X線検出器13は、被検体Pの体軸方向に沿って320列など多列に配列されたX線検出素子を有し、例えば、被検体Pの肺や心臓を含む範囲など、広範囲に被検体Pを透過したX線を検出することが可能である。
データ収集部14は、X線検出器13によって検出されたX線を用いて投影データを生成し、生成した投影データをコンソール装置100の画像処理部140に送信する。回転フレーム15は、被検体Pを中心にして、高速でかつ連続的に回転する円環状のフレームであり、X線管12及びX線検出器13が対向して配置される。
架台駆動部16は、架台寝台制御部17による制御に従って、架台装置10を駆動する。具体的には、架台駆動部16は、モータの駆動によって回転フレーム15を高速に連続回転させ、被検体Pを中心とした円軌道上でX線管12及びX線検出器13を連続回転させる。
また、架台駆動部16は、架台装置10のX軸方向の両端において支持する支持部を軸として、モータの駆動によって架台装置10を傾斜させる。より具体的には、図2に例示した架台装置10の傾斜前の水平状態から、図面左側に架台装置10を傾斜させる(図7参照)。これにより、天板22が開口部19側へ進出した際に生じる天板だれの傾斜(Y軸下方向への天板22の傾斜)に架台装置10の傾斜を合わせることが可能となる(詳細は後述する)。なお、架台駆動部16により架台装置10を傾斜させる動作をチルト動作と呼ぶ。
架台寝台制御部17は、後述するスキャン制御部160による制御に従って、高電圧発生部11、架台駆動部16及び寝台駆動部21を制御する。また、架台寝台制御部17には、第1のレーザ変位計18a、第2のレーザ変位計18bが接続されている。
第1のレーザ変位計18a、第2のレーザ変位計18bは、照射したレーザにより距離を計測する装置であり、開口部19に向けた天板22の移動方向(Z軸方向)の所定位置に各々設けられている。具体的には、図2に示すように、開口部19内の下部において、寝台装置20に対して遠い方から第1のレーザ変位計18a、第2のレーザ変位計18bの順に設けられている。
図3は、架台装置10の上面から見た概要を示す図である。図3に示すように、第1のレーザ変位計18a、第2のレーザ変位計18bは、鉛直上方(Y軸上方向)に向けて設置されており、鉛直上方に照射したレーザにより直上まで移動した天板22の鉛直位置を検出する。
架台寝台制御部17は、第1のレーザ変位計18a、第2のレーザ変位計18bにより計測された値をもとに、天板22の天板だれによる傾斜量を取得し、その傾斜量に基づいて架台駆動部16におけるチルト動作を制御することで、被検体Pの撮影が天板だれの傾斜に沿って行われるように架台装置10を傾斜させる(詳細は後述する)。
寝台装置20は、撮影対象の被検体Pを載置する台であり、寝台駆動部21と、天板22とを有する。寝台駆動部21は、架台寝台制御部17による制御に従って、モータの駆動によって、天板22を被検体Pの体軸方向に連続して往復移動(図2のA方向)する。また、寝台駆動部21は、架台寝台制御部17による制御に従って、モータの駆動によって、天板22を鉛直方向に移動する(図2のB方向)。これにより、天板22が支持される高さの調整が可能となっている。
なお、寝台駆動部21によるA方向及びB方向における天板22の移動量は、エンコーダ等により計測されて、架台寝台制御部17に通知される。したがって、架台寝台制御部17は、通知された値によって天板22のA方向及びB方向における位置を把握することができる。
図2に示すように、天板22は、天板22を直接支える寝台23と、寝台23を支える基台24とにより支持される。天板22には、医用画像診断装置1を利用して被検体Pの内部情報を取得する際、すなわち撮影する際には被検体Pが載置される。また、天板22は、上述した寝台駆動部21による往復移動の際にはA方向へのスライドが可能であるとともに、寝台装置20から架台装置10側へ天板22がせり出す時には、寝台23で天板22の一端が片持ち支持される。このせり出し量は2000mm程度であってよく、せり出し量が大きくなる程、天板22に生じる天板だれは大きくなる。
なお、医用画像診断装置1による検査では、回転フレーム15を固定させた状態でX線管12からX線を照射しながら天板22を移動させることで、被検体Pの全身を体軸方向に沿ってスキャンしたスキャノグラムが撮影される。そして、被検体Pのスキャノグラムを参照した操作者は、X線CT画像の撮影計画を立案する。これにより、架台装置10は、例えば、天板22を移動させながら回転フレーム15を回転させて被検体Pをらせん状にスキャンするヘリカルスキャンを実行する。または、架台装置10は、天板22を移動させた後に被検体Pの位置を固定したままで回転フレーム15を回転させて被検体Pを円軌道にてスキャンするコンベンショナルスキャンを実行する。
図1に示すように、コンソール装置100は、入力部110と、表示部120と、システム制御部130と、画像処理部140と、データ記憶部150と、スキャン制御部160とを有し、操作者による医用画像診断装置1の操作を受け付けるとともに、架台装置10によって収集された投影データからX線CT画像を再構成し表示する。
入力部110は、医用画像診断装置1の操作者が各種指示や各種設定の入力に用いるマウスやキーボードなどを有し、操作者から受け付けた指示や設定の情報を、システム制御部130に転送する。例えば、入力部110は、操作者からスキャン計画及び再構成計画の設定に関する操作や、医用画像を表示させる際の各種設定に関する編集操作等を受け付ける。なお、医用画像診断装置1は、スキャン計画の設定において、被検体Pの身体情報(性別や年齢、身長、体重)、検査目的、検査部位などに応じて、各種条件があらかじめ設定されたスキャン計画から最適なスキャン計画を操作者に選択させることも可能である。このように、あらかじめ設定されたスキャン計画は、「EP(Expert Plan):エキスパートプラン」と呼ばれる。
表示部120は、液晶ディスプレイなどであり、各種情報を表示する。例えば、表示部120は、データ記憶部150によって記憶されているX線CT画像や、操作者から各種指示を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)などを表示する。
システム制御部130は、例えばCPU(Central Processing Unit)等であり、架台装置10、寝台装置20及びコンソール装置100をCPUがプログラムに従って制御することによって、医用画像診断装置1全体の制御を行う。例えば、システム制御部130は、スキャン制御部160を制御して3次元の投影データを収集させる。また、例えば、システム制御部130は、画像処理部140を制御して3次元の投影データからX線CT画像を再構成させる。また、システム制御部130は、画像処理部140によって再構成されたX線CT画像を表示部120に表示させる。
画像処理部140は、画像再構成部141を有する。画像再構成部141は、データ収集部14から受信した3次元の投影データに対して各種処理を行う。具体的には、画像再構成部141は、データ収集部14から受信した3次元の投影データに対して感度補正などの前処理を行い、前処理後の投影データを逆投影処理することで、3次元X線CT画像(以下、「ボリュームデータ」と記す)を再構成する。そして、画像再構成部141は、再構成後のボリュームデータをデータ記憶部150に格納する。例えば、画像再構成部141は、被検体Pを撮影することにより収集された投影データから、被検体Pの体軸方向に沿った複数のアキシャル面の医用画像データを再構成することで、ボリュームデータを生成する。例えば、画像再構成部141は、500枚のアキシャル面の医用画像データを再構成する。この500枚のアキシャル面の医用画像データ群が、ボリュームデータである。
データ記憶部150は、画像データ記憶部151と、設定情報記憶部152とを有する。画像データ記憶部151は、画像再構成部141によって再構成されたボリュームデータを記憶する。設定情報記憶部152は、システム制御部130によって用いられる各種設定情報を記憶する。スキャン制御部160は、システム制御部130から指示されたスキャン条件に基づき架台寝台制御部17を制御する。
次に、架台寝台制御部17の制御のもとで行われるチルト動作の詳細を説明する。図4は、実施形態にかかる医用画像診断装置1の動作の一例を示すフローチャートである。
図4に示すように、天板22に載置された被検体Pの撮影にかかる処理が開始されると、被検体Pを開口部19内に挿入するため、架台寝台制御部17は、寝台駆動部21により開口部19方向への天板22のスライドを開始させる(S11)。次いで、架台寝台制御部17は、撮影条件(例えば被検体Pの頭部、腹部など)に対応した位置まで天板22をスライドさせたところで、寝台駆動部21によるスライドを停止させて位置決めする(S12)。
次いで、架台寝台制御部17は、第1のレーザ変位計18a、第2のレーザ変位計18bの検知結果を取得し(S13)、第1のレーザ変位計18a、第2のレーザ変位計18bの検出値がチルト動作が許可されたチルト動作許可範囲内であるか否かを判定する(S14)。
図5は、チルト動作許可範囲を例示する図である。なお、図5におけるθは、天板22の天板だれにより生じた水平方向に対する傾斜角(天板角度)である。図5に示すように、第1のレーザ変位計18a、第2のレーザ変位計18bの検出値が、鉛直方向における上限として設定された閾値SH1から鉛直方向における下限として設定された閾値SH2の間に収まる場合は、開口部19内に正常に天板22が挿入されたものとして、チルト動作を許可する。
また、第1のレーザ変位計18a、第2のレーザ変位計18bの検出値がともに閾値SH1を上回る場合は、天板22が開口部19に挿入されていないことから、NG(チルト動作許可範囲外)としてチルト動作を不許可とする。また、第2のレーザ変位計18bの検出値が閾値SH1、SH2の間に収まり、第1のレーザ変位計18aの検出値が閾値SH1を上回る場合は、開口部19内に途中まで正常に天板22が挿入されたものとして、チルト動作を許可する。また、第2のレーザ変位計18bの検出値が閾値SH1、SH2の間に収まり、第1のレーザ変位計18aの検出値が閾値SH2を下回る場合は、開口部19内に正常に天板22が挿入されているが、被検体Pの手などの障害物が天板22の下にあるとして、チルト動作を許可する。
架台寝台制御部17は、第1のレーザ変位計18a、第2のレーザ変位計18bの検出値がチルト動作が許可されたチルト動作許可範囲内である場合(S14:YES)はS15へ処理を進める。また、チルト動作許可範囲内でない場合(S14:NO)は、S22へ処理を進めて架台/寝台の動作なしとする。このように、第1のレーザ変位計18a、第2のレーザ変位計18bの検出値がチルト動作許可範囲内であるか否かを判定してチルト動作を許可/不許可とすることで、意図しないチルト動作を防止できる。
S15において、架台寝台制御部17は、第1のレーザ変位計18aの検知結果をチルト動作許可範囲内で得ており、第1のレーザ変位計18aにより天板22の鉛直位置を検知できているか否かを判定する。第1のレーザ変位計18aにより天板22の鉛直位置を検知できている場合(OK)には、第2のレーザ変位計18bでも同様に天板22の鉛直位置を検知できており、第1のレーザ変位計18a、第2のレーザ変位計18bともに天板22の鉛直位置を検知できていることから、架台寝台制御部17は、第1のレーザ変位計18a、第2のレーザ変位計18bにより得られる天板22の鉛直位置をもとに天板22の傾斜量を求める第1の検出モードへ切り替える(S16)。第1のレーザ変位計18aにより天板22の鉛直位置を検知できていない場合(NG)には、S17へ処理を進める。
S17において、架台寝台制御部17は、第2のレーザ変位計18bの検知結果をチルト動作許可範囲内で得ており、第2のレーザ変位計18bにより天板22の鉛直位置を検知できているか否かを判定する。第2のレーザ変位計18bにより天板22の鉛直位置を検知できている場合(OK)には、架台寝台制御部17は、第2のレーザ変位計18bにより得られる天板22の鉛直位置のみで天板22の傾斜量を求める第2の検出モードへ切り替える(S18)。第2のレーザ変位計18bにより天板22の鉛直位置を検知できていない場合(NG)には、第1のレーザ変位計18a、第2のレーザ変位計18bにより天板22の傾斜量を求めることができないことから、S22へ処理を進めて架台/寝台の動作なしとする。
S16、S18に次いで、架台寝台制御部17は、第1の検出モード又は第2の検出モードで、第1のレーザ変位計18a、第2のレーザ変位計18bによる天板22の鉛直位置をもとに、天板22の傾斜量であり、水平方向に対する傾斜角θ(図5参照)である天板角度と、天板22の鉛直方向への位置ずれ(天板だれが生じていない理想的な水平状態に対するずれ量)とを算出する(S19)。
次いで、架台寝台制御部17は、傾斜角θがθ>0として算出されたか否かを判定する(S20)。θ>0として算出された場合(S20:YES)は天板だれによる傾斜があることから、架台寝台制御部17は、架台駆動部16、寝台駆動部21を制御して、算出された傾斜角θに対応した架台装置10のチルト動作、位置ずれに対応した寝台23の上下動作を行わせる(S21)。θ>0として算出されていない場合(S20:NO)は天板だれによる傾斜がないことから、架台寝台制御部17は、S22へ処理を進めて架台/寝台の動作なしとする。S21、S22に次いで、架台装置10では、スキャン制御部160の制御のもと、被検体Pの内部情報を取得するためのスキャン処理が行われる(S23)。
ここで、天板22の傾斜角θの算出と、算出された傾斜角θに対応した架台装置10のチルト動作の詳細を説明する。図6は、天板22の傾斜角θの算出を例示する図である。図6において、第1のレーザ変位計18a、第2のレーザ変位計18b間の水平距離はL[m]とする。また、第1のレーザ変位計18aに対する天板22の鉛直位置(距離)はx1[m]とする。また、第2のレーザ変位計18bに対する天板22の鉛直位置(距離)はx2[m]とする。また、基準長xsは、第1のレーザ変位計18a、第2のレーザ変位計18bと同じ高さ位置から寝台23の上面までの距離とする。
第2のレーザ変位計18bにより得られる天板22の鉛直位置のみで天板22の傾斜量を求める第2の検出モードでは、基準長xs[m]との比較による傾斜角θの算出を次の式(1)を用いて行う。
ここで、基準長xsは、メモリなどに予め設定された寝台23の高さ情報と、第2のレーザ変位計18bの床面からの距離から架台寝台制御部17が求めるものとする。なお、基準長xsは、架台寝台制御部17が寝台駆動部21により寝台23の高さを変更したところで、その変更量をもとに新たな値が算出されて、更新される。
第1のレーザ変位計18a、第2のレーザ変位計18bにより得られる天板22の鉛直位置をもとに天板22の傾斜量を求める第1の検出モードでは、第1のレーザ変位計18a、第2のレーザ変位計18bの測定値の差(x2−x1)から次の式(2)を用いて傾斜角θを算出する。
図7は、架台装置10にチルト動作を例示する図である。図7に示すように、架台寝台制御部17では、上述した第1の検出モード又は第2の検出モードで算出された傾斜角θに合わせてチルト動作を行わせることで、天板だれに沿って架台装置10による被検体Pの撮影が行われるようにする。これにより、医用画像診断装置1では、天板だれの画質への影響を低減することが可能となる。
次に、天板22の鉛直方向への位置ずれの算出と、算出された位置ずれに対応した寝台23の上下動作の詳細を説明する。図8は、寝台23の上下動作を例示する図である。
図8において、第1のレーザ変位計18a、第2のレーザ変位計18b間の水平距離はL[m]、第1のレーザ変位計18a、第2のレーザ変位計18b間の中間距離はL/2[m]とする。また、天板22は最初にθ0の傾斜角であったものが、時間t後にθtの傾斜角になったものとする。また、第1のレーザ変位計18a、第2のレーザ変位計18b間の中間における時間t後の天板22の鉛直方向ずれ量をΔyとする。
上述した第1の検出モード又は第2の検出モードで傾斜角θ0、θtは算出されているものとし、傾斜角θ0、θtの場合における天板22の水平方向の長さはL/2で近似できるものとすると、Δyは、次の式(3)を用いて算出する。
したがって、架台寝台制御部17では、算出されたΔyだけ寝台23の高さを上げることで、天板だれによる鉛直方向のずれを補正する。逆に、天板が傾斜角θtから傾斜角θ0となる場合には、算出されたΔyだけ寝台23の高さを下げることで、天板だれによる鉛直方向のずれを補正する。これにより、医用画像診断装置1では、架台装置10による被検体Pの撮影において、天板だれの画質への影響を低減することが可能となる。
また、S23におけるスキャン処理が被検体Pへのヘリカルスキャンである場合は、天板22の移動とともに、第1のレーザ変位計18a、第2のレーザ変位計18bにより逐次取得された傾斜量に基づいて、チルト動作や寝台上下動作を行う。
図9は、ヘリカルスキャンの動作の一例を示すフローチャートである。図9に示すように、被検体Pへのヘリカルスキャンが開始されると、架台寝台制御部17は、回転フレーム15の回転、すなわち線源であるX線管12の位置に同期した所定の検知タイミングであるか否かを判定する(S31)。例えば、回転フレーム15による回転で、X線管12の位置が被検体Pの直上となるタイミングであるか否かを判定する。
検知タイミングである場合(S31:YES)、架台寝台制御部17は、前述したS15〜S22と同様の処理(S32〜S39)を行う。検知タイミングでない場合(S31:NO)、架台寝台制御部17は、処理を待機する。
これにより、医用画像診断装置1では、ヘリカルスキャン中において生じる天板だれにもチルト動作や寝台上下動作で逐次対応することができ、架台装置10による被検体Pのヘリカルスキャンにおいて、天板だれの画質への影響を低減することが可能となる。また、線源であるX線管12の位置に同期したチルト動作や寝台上下動作が行われることから、ヘリカルスキャンで収集されたデータから画像を再構成する際に、チルト動作や寝台上下動作の位置補正によって生じるノイズ成分を低減できる。
なお、上述したチルト動作や寝台上下動作による天板だれに対応した補正(S21)は、次の(1)〜(3)のいずれのタイミングで行われてよい。
(1)タイミングを問わず、常にチルト動作や寝台上下動作による天板だれに対応した補正を行う。
(2)スキャン位置決め完了についてのステータス信号を設け、そのステータス信号の受領をフラグとし、スキャン完了までチルト動作や寝台上下動作による天板だれに対応した補正を行う。
(3)スキャン開始指示をフラグとし、スキャン完了までチルト動作や寝台上下動作による天板だれに対応した補正を行う。
(1)タイミングを問わず、常にチルト動作や寝台上下動作による天板だれに対応した補正を行う。
(2)スキャン位置決め完了についてのステータス信号を設け、そのステータス信号の受領をフラグとし、スキャン完了までチルト動作や寝台上下動作による天板だれに対応した補正を行う。
(3)スキャン開始指示をフラグとし、スキャン完了までチルト動作や寝台上下動作による天板だれに対応した補正を行う。
(変形例)
上述した実施形態では、開口部19に向けた天板22の移動により生じる、天板22の鉛直方向の傾斜量を、第1のレーザ変位計18a、第2のレーザ変位計18bにより取得する構成を例示した。しかしながら、天板22の天板だれは被検体Pの重み(力点)が片持ち支持の支点から離れて力モーメントが大きくなることを起因とすることから、被検体Pの身長及び体重とを含む身体情報と、寝台23からせり出た天板22の移動量とに基づいて、天板22の傾斜量(傾斜角θ、Δy)を取得することが可能である。
上述した実施形態では、開口部19に向けた天板22の移動により生じる、天板22の鉛直方向の傾斜量を、第1のレーザ変位計18a、第2のレーザ変位計18bにより取得する構成を例示した。しかしながら、天板22の天板だれは被検体Pの重み(力点)が片持ち支持の支点から離れて力モーメントが大きくなることを起因とすることから、被検体Pの身長及び体重とを含む身体情報と、寝台23からせり出た天板22の移動量とに基づいて、天板22の傾斜量(傾斜角θ、Δy)を取得することが可能である。
具体的には、天板22の材質、被検体Pの身長・体重、寝台23からせり出た天板22の移動量を、想定される範囲で値を変更してシュミレーション計算を行う。このシュミレーション計算により、被検体Pの身長及び体重、寝台23からせり出た天板22の移動量を変数として天板22の傾斜量を得る関数やテーブルデータを得る。そして、得られた関数やテーブルデータを設定情報として予め設定情報記憶部152に記憶しておく。
図10は、変形例にかかる医用画像診断装置1の動作の一例を示すフローチャートである。図10に示すように、処理が開始されると、架台寝台制御部17は、入力部110により操作者から入力された被検体Pの身体情報(少なくとも身長、体重を含む)を取得する(S51)。なお、身体情報には性別などが含まれていてもよく、身長、体重などによる体型を性別などで補正してもよいものとする。
次いで、架台寝台制御部17は、寝台駆動部21により開口部19方向への天板22のスライドを開始させる(S52)。次いで、架台寝台制御部17は、撮影条件(例えば被検体Pの頭部、腹部など)に対応した位置まで天板22をスライドさせたところで、寝台駆動部21によるスライドを停止させて位置決めする(S53)。次いで、架台寝台制御部17は、前述したエンコーダ等の計測をもとに、天板22のスライド量(寝台23からせり出た天板22の移動量)を取得する(S54)。
次いで、架台寝台制御部17は、前述したテーブルデータであり、設定情報記憶部152に予め設定されたスライド量・身体情報−天板角度・位置ずれ量テーブルを参照し(S55)、スライド量・身体情報(身長、体重)を変数(項目)として天板角度(θ)・位置ずれ量(Δy)を算出する(S56)。
次いで、架台寝台制御部17は、傾斜角θがθ>0として算出されたか否かを判定する(S57)。θ>0として算出された場合(S57:YES)は天板だれによる傾斜があることから、架台寝台制御部17は、架台駆動部16、寝台駆動部21を制御して、算出された傾斜角θに対応した架台装置10のチルト動作、位置ずれに対応した寝台23の上下動作を行わせる(S58)。θ>0として算出されていない場合(S57:NO)は天板だれによる傾斜がないことから、架台寝台制御部17は、S59へ処理を進めて架台/寝台の動作なしとする。S58、S57に次いで、架台装置10では、スキャン制御部160の制御のもと、被検体Pの内部情報を取得するためのスキャン処理が行われる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、天板だれの画質への影響を低減することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…医用画像診断装置、10…架台装置、11…高電圧発生部、12…X線管、13…X線検出器、14…データ収集部、15…回転フレーム、16…架台駆動部、17…架台寝台制御部、18a…第1のレーザ変位計、18b…第2のレーザ変位計、19…開口部、20…寝台装置、21…寝台駆動部、22…天板、23…寝台、24…基台、100…コンソール装置、110…入力部、120…表示部、130…システム制御部、140…画像処理部、141…画像再構成部、150…データ記憶部、151…画像データ記憶部、152…設定情報記憶部、160…スキャン制御部、P…被検体、SH1、SH2…閾値
Claims (9)
- 被検体が挿入される開口部を有し、前記開口部に挿入された被検体を撮影することで当該被検体の内部情報を取得する架台装置と、
前記被検体が載置される天板を、前記開口部に向けて移動可能に片持ち支持する寝台装置と、
前記架台装置を傾斜する架台駆動部と、
前記開口部に向けた前記天板の移動により生じる、当該天板の鉛直方向の傾斜量を取得する取得部と、
前記取得された傾斜量に基づいて、前記架台装置を傾斜させる制御部と、
を備える医用画像診断装置。 - 前記制御部は、前記天板の移動により生じる当該天板の鉛直方向への傾斜に沿って前記被検体の撮影が行われるように前記架台装置を傾斜させる、
請求項1に記載の医用画像診断装置。 - 前記寝台装置は、鉛直方向に移動可能に前記天板を支持し、
前記制御部は、前記取得された傾斜量に基づいた前記天板の鉛直方向のずれ量をもとに、前記寝台装置における前記天板の支持位置を移動させる、
請求項1又は2に記載の医用画像診断装置。 - 前記開口部に向けた前記天板の移動方向における所定位置での前記天板の鉛直位置を検出する検出部を更に備え、
前記取得部は、前記所定位置で検出された前記天板の鉛直位置に基づいて前記傾斜量を取得する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の医用画像診断装置。 - 前記開口部に向けた前記天板の移動方向において距離の異なる少なくとも2つの前記検出部を備え、
前記取得部は、前記検出部ごとに検出された前記天板の鉛直位置に基づいて前記傾斜量を取得する、
請求項4に記載の医用画像診断装置。 - 前記制御部は、前記検出部の検出値が予め設定された範囲内である場合に前記架台装置を傾斜させる、
請求項4又は5に記載の医用画像診断装置。 - 前記取得部は、前記被検体の身長及び体重とを含む身体情報と、前記開口部に向けた前記天板の移動量とに基づいて前記傾斜量を取得する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の医用画像診断装置。 - 前記制御部は、前記被検体の内部情報を取得するための線源を回転し、前記開口部内の前記天板を移動して、当該天板に載置された前記被検体のヘリカルスキャンを行う際に、前記天板の移動とともに逐次取得された傾斜量に基づいて前記架台装置を傾斜させる、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の医用画像診断装置。 - 前記制御部は、前記線源の回転に同期して前記架台装置を傾斜させる、
請求項8に記載の医用画像診断装置。
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WO2017135733A1 (ko) * | 2016-02-03 | 2017-08-10 | 삼성전자주식회사 | 의료용 테이블 및 이를 포함하는 의료용 영상장치 |
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