以下、添付図面を参照して、本願に係るX線CT装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態は一例であり、本願に係るX線CT装置は、以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、本実施形態に係るX線CT装置の構成例を示す図である。例えば、図1に示すように、本実施形態に係るX線CT装置100は、架台10と、寝台20と、コンソール30とを有する。
架台10は、被検体S(患者)にX線を照射し、被検体Sを透過したX線を検出して、コンソール30に出力する装置である。例えば、架台10は、X線照射制御回路11と、X線発生装置12と、検出器13と、データ収集回路(DAS:Data Acquisition System)14と、回転フレーム15と、架台駆動回路16と、投光器17とを有する。
X線発生装置12は、X線を発生し、発生したX線を被検体Sへ照射する。例えば、X線発生装置12は、X線管12aと、ウェッジ12bと、コリメータ12cとを有する。
X線管12aは、X線を発生する。例えば、X線管12aは、真空管であり、図示しない高電圧発生装置から供給される高電圧によってX線を発生する。また、X線管12aは、ファン角及びコーン角を持って広がるX線を発生する。
ウェッジ12bは、X線管12aから曝射されたX線のX線量を調節するためのX線フィルタである。具体的には、ウェッジ12bは、X線管12aから被検体Sへ照射されるX線が予め定められた分布になるように、X線管12aから曝射されたX線を透過して減衰するフィルタである。例えば、ウェッジ12bは、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウムを加工したフィルタである。なお、ウェッジは、ウェッジフィルタ(wedge filter)や、ボウタイフィルタ(bow-tie filter)とも呼ばれる。
コリメータ12cは、後述するX線照射制御回路11による制御のもと、ウェッジ12bによってX線量が調節されたX線の照射範囲を絞り込むためのスリットである。
X線照射制御回路11は、後述するスキャン制御回路33による制御のもと、X線発生装置12を制御する。例えば、X線照射制御回路11は、図示しない高電圧発生装置を制御して、X線発生装置12が有するX線管12aに高電圧を供給する。また、X線照射制御回路11は、X線管12aに供給する管電圧や管電流を調整することで、被検体Sに対して照射されるX線量を調整する。また、X線照射制御回路11は、X線発生装置12が有するウェッジ12bの切り替えを行う。また、X線照射制御回路11は、X線発生装置12が有するコリメータ12cの開口度を調整することにより、X線の照射範囲(ファン角やコーン角)を調整する。
検出器13は、X線管12aから発生したX線を検出する。例えば、検出器13は、被検体Sを透過したX線を検出する2次元アレイ型検出器(面検出器)であり、複数チャンネル分のX線検出素子を配してなる検出素子列が被検体Sの体軸方向(図1に示すZ軸方向)に沿って複数列配列されている。具体的には、本実施形態における検出器13は、被検体Sの体軸方向に沿って320列など多列に配列されたX線検出素子を有し、例えば、被検体Sの肺や心臓を含む範囲など、広範囲に被検体Sを透過したX線を検出することが可能である。
回転フレーム15は、円環状に形成されたフレームであり、X線発生装置12と検出器13とを被検体Sを挟んで対向するように支持する。
架台駆動回路16は、後述するスキャン制御回路33による制御のもと、回転フレーム15を回転駆動させることによって、被検体Sを中心とした円軌道上でX線発生装置12と検出器13とを旋回させる。
データ収集回路14は、後述するスキャン制御回路33による制御のもと、検出器13が検出したX線の検出データから投影データを収集する。データ収集回路14は、DAS(Data Acquisition System)とも呼ばれる。例えば、データ収集回路14は、検出器13により検出されたX線強度分布データに対して、増幅処理やA/D変換処理、チャンネル間の感度補正処理等を行なって投影データを生成し、生成した投影データを後述するコンソール30に送信する。なお、チャンネル間の感度補正処理は、後述する前処理回路34が行なっても良い。
投光器17は、被検体Sが載置される天板21に可視光線(レーザー光)を照射する。例えば、投光器17は、架台10に形成された、天板21が挿入される開口部の上部に設けられ、下側に向けて可視光線を照射する。天板21上で可視光線が照射された位置は、他の位置と比べて明るく見えるようになる。例えば、天板21上で可視光線が照射された位置は、被検体Sを天板21上に配置する際の位置決めの基準として利用される。
寝台20は、被検体Sを載せる装置であり、図1に示すように、被検体Sが載置される天板21と、寝台駆動装置22とを有する。寝台駆動装置22は、天板21をZ軸方向へ移動して、被検体Sを回転フレーム15内に移動させる。すなわち、寝台駆動装置22は、天板21を長手方向に移動するための移動機構の一例である。
架台10は、例えば、天板21を連続的に移動させながら回転フレーム15を回転させて被検体Sを螺旋状にスキャンするヘリカルスキャンを実行する。または、架台10は、天板21を移動させた後に被検体Sの位置を固定したままで回転フレーム15を回転させて被検体Sを円軌道にてスキャンするコンベンショナルスキャンを実行する。または、架台10は、天板21の位置を一定間隔で移動させてコンベンショナルスキャンを複数の撮影位置で行うステップアンドシュート方式を実行する。
コンソール30は、操作者によるX線CT装置100の操作を受け付けるとともに、架台10によって収集された投影データを用いてCT画像データを再構成する装置である。コンソール30は、図1に示すように、入力回路31と、ディスプレイ32と、スキャン制御回路33と、前処理回路34と、記憶回路35と、画像再構成回路36と、処理回路37とを有する。
入力回路31は、X線CT装置100の操作者が各種指示や各種設定の入力に用いるマウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック等を有し、操作者から受け付けた指示や設定の情報を、処理回路37に転送する。例えば、入力回路31は、操作者から、CT画像データの撮影条件や、CT画像データを再構成する際の再構成条件、CT画像データに対する画像処理条件等を受け付ける。また、入力回路31は、画像上の部位や、関心領域などの所定の領域を指定するための指定操作を受け付ける。
ディスプレイ32は、操作者によって参照されるモニタであり、処理回路37による制御のもと、CT画像データから生成されたCT画像を操作者に表示したり、入力回路31を介して操作者から各種指示や各種設定等を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示したりする。
スキャン制御回路33は、処理回路37による制御のもと、X線照射制御回路11、架台駆動回路16、データ収集回路14及び寝台駆動装置22の動作を制御することで、架台10における投影データの収集処理を制御する。例えば、スキャン制御回路33は、本撮影で撮影される撮影領域の位置決めに用いられるスキャノ画像を収集する撮影を実行するように制御する。すなわち、スキャノ画像は、被検体の位置決め画像の一例である。また、例えば、スキャン制御回路33は、診断に用いる画像を収集する本撮影における投影データの収集処理をそれぞれ制御する。
例えば、スキャン制御回路33は、X線管12aを0度の位置(被検体Sに対して正面方向の位置)に固定して、天板21を定速移動させながら連続的に撮影を行うことで2次元のスキャノ画像を撮影する。或いは、スキャン制御回路33は、X線管12aを0度の位置に固定して、天板21を断続的に移動させながら、天板移動に同期して断続的に撮影を繰り返すことで2次元のスキャノ画像を撮影する。ここで、スキャン制御回路33は、被検体Sに対して正面方向だけでなく、任意の方向(例えば、側面方向など)からスキャノ画像を撮影することができる。
前処理回路34は、データ収集回路14によって生成された投影データに対して、対数変換処理と、オフセット補正、感度補正及びビームハードニング補正等の補正処理とを行なって、補正済みの投影データを生成する。具体的には、前処理回路34は、データ収集回路14によって生成されたスキャノ画像の投影データ及び本撮影によって収集された投影データのそれぞれについて、補正済みの投影データを生成して、記憶回路35に格納する。
記憶回路35は、前処理回路34により生成された投影データを記憶する。具体的には、記憶回路35は、前処理回路34によって生成された、スキャノ画像の投影データ及び本撮影によって収集される診断用の投影データを記憶する。また、記憶回路35は、後述する画像再構成回路36によって生成されたCT画像などを記憶する。また、記憶回路35は、後述する処理回路37による処理結果を適宜記憶する。
画像再構成回路36は、記憶回路35が記憶する投影データを用いてCT画像データを再構成する。具体的には、画像再構成回路36は、スキャノ画像の投影データ及び診断に用いられる画像の投影データから、CT画像データをそれぞれ再構成する。ここで、再構成方法としては、種々の方法があり、例えば、逆投影処理が挙げられる。また、逆投影処理としては、例えば、FBP(Filtered Back Projection)法による逆投影処理が挙げられる。或いは、画像再構成回路36は、逐次近似法を用いて、CT画像データを再構成することもできる。また、画像再構成回路36は、CT画像データに対して各種画像処理を行うことで、種々のCT画像を生成する。そして、画像再構成回路36は、再構成したCT画像データや、各種画像処理により生成したCT画像を記憶回路35に格納する。
処理回路37は、架台10、寝台20及びコンソール30の動作を制御することによって、X線CT装置100の全体制御を行う。具体的には、処理回路37は、スキャン制御回路33を制御することで、架台10で行なわれるCTスキャンを制御する。また、処理回路37は、画像再構成回路36を制御することで、コンソール30における画像再構成処理や画像生成処理を制御する。また、処理回路37は、記憶回路35が記憶する各種CT画像を、ディスプレイ32に表示するように制御する。
以上、本実施形態に係るX線CT装置100の全体構成について説明した。
ここで、このようなX線CT装置100において、天板21を移動させる際には、例えば天板21及び天板21周辺の機械的な構造等によって、天板21上の各位置に振動が生じる場合がある。そして、撮影対象の部位に振動が生じた状態で撮影が行われると、撮影される画像の画質が低下することがあり得る。
一般的に、X線CT装置に設けられる寝台は、被検体が載置される天板の一端を支持する片持ち梁構造を有しており、天板を寝台から送り出す際に、支点間の距離及び天板のたわみによって支点と天板との接触状態が変化する。この支点と天板との接触状態には、釣り合いの状態が変わる変曲点が存在し、この変曲点を通過する際に天板の振動が大きくなると考えられる。そして、天板上で撮影対象の部位が置かれた位置が振動している状態で撮影が行われた場合には、撮影される画像の画質が低下することがあり得る。
このようなことから、本実施形態に係るX線CT装置100は、天板に生じる振動を考慮した被検体の天板上での適切な位置決めを支援することができるように構成されている。以下、このようなX線CT装置100の構成について、より詳細に説明する。
例えば、図1に示すように、処理回路37が、移動制御機能37aと、表示制御機能37bと、撮影制御機能37cとを有する。なお、移動制御機能37aは、特許請求の範囲に記載した移動制御部の一例である。また、表示制御機能37bは、特許請求の範囲に記載した表示制御部の一例である。また、撮影制御機能37cは、特許請求の範囲に記載した撮影制御部の一例である。
ここで、例えば、処理回路37は、プロセッサによって実現される。また、例えば、移動制御機能37a、表示制御機能37b、及び撮影制御機能37cの各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路35に記録される。そして、処理回路37は、各プログラムを記憶回路35から読み出して実行することで、各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路37は、図1の処理回路37内に示された各機能を有することとなる。
移動制御機能37aは、X線管12aから検出器13へのX線の経路と交差する移動経路上で天板21を移動する。具体的には、移動制御機能37aは、寝台駆動装置22を制御することで、当該移動経路上で天板21を移動する。すなわち、移動制御機能37aは、天板21を長手方向に移動するための移動機構を制御する。
図2は、本実施形態に係る移動制御機能37aによる天板21の移動を示す図である。例えば、図2に示すように、移動制御機能37aは、架台10に設けられたX線管12aと検出器13との間を通る移動経路R上で、寝台20から架台10へ向かう方向、及び、架台10から寝台20へ向かう方向に天板21を移動させる。ここで、例えば、移動経路Rは、X線管12aの中心から検出器13の中心へ向かうX線の経路Pと、当該移動経路R上の位置Iで直交するように設定される。
このように、天板21を移動させる際には、前述したように、例えば天板21及び天板21周辺の機械的な構造等によって、天板21上の各位置に振動が生じる場合がある。
図3は、本実施形態に係る天板21上の各位置に生じる振動の一例を示す図である。ここで、図3の上側に示す図は、天板21を寝台20から架台10へ向かう方向に連続的に移動した場合に天板21に生じる振動の大きさを示している。図3の上側に示す図において、横軸は、天板21における先端の位置をゼロとした場合の各位置を示しており、縦軸は、図2に示した位置Iで天板21上の各位置に生じる振動の振幅の大きさを示している。また、図3の下側に示す図は、天板21を上方から見た様子を示しており、上側に示す図の横軸の位置に長手方向の位置を合わせて示している。
例えば、図3に示すように、天板21を寝台20から架台10へ向かう方向に連続的に移動させた場合に、天板21上の一部の位置に他の位置と比べて大きな振動が生じる場合がある。なお、図3は、天板21における長手方向の中央付近で極大となる振動が生じた場合の例を示している。このように、天板21上で大きな振動が生じる位置に撮影対象の部位が置かれて撮影が行われた場合には、撮影される画像の画質が低下することがあり得る。
図1に戻って、表示制御機能37bは、天板21上の各位置が移動経路上でX線の経路と交差する位置に移動された際に当該各位置に生じる振動の大きさを示す情報を表示する。すなわち、表示制御機能37bは、天板21上の長手方向の各位置がX線の経路と交差する位置に移動された際に当該各位置に生じる振動の大きさを示す情報を表示する。具体的には、表示制御機能37bは、当該振動の大きさを示す情報をディスプレイ32に表示する。
例えば、表示制御機能37bは、天板21の形状を表す天板画像を表示し、当該天板画像上の各位置に対応付けて、振動の大きさを示す情報を表示する。すなわち、天板画像は、天板21の模擬画像の一例である。
図4は、本実施形態に係る表示制御機能37bによって表示される情報の一例を示す図である。なお、図4は、図3と同じ例を示している。例えば、図4の下側に示すように、表示制御機能37bは、天板21の形状を表す天板画像40を表示する。そして、例えば、表示制御機能37bは、天板21上の各位置に生じる振動の大きさに応じて、天板画像40に異なる色を付ける。
例えば、図4に示すように、表示制御機能37bは、2つの閾値T1及びT2(T1>T2)を用いて、天板21上の各位置に生じる振動の振幅を3つの範囲に分ける。例えば、表示制御機能37bは、振幅≧T1となる範囲を「振動大」、T1>振幅≧T2となる範囲を「振動中」、振幅<T2となる範囲を「振動小」とする。そして、表示制御機能37bは、天板画像40に、振動の範囲ごとに異なる色を付ける。
なお、ここでは、振幅を3つの範囲に分ける場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、表示制御機能37bは、振幅を4つ以上の範囲に分けてもよいし、1つの位置ごとに振幅の大きさに応じて色付けを行ってもよい。また、表示制御機能37bは、振幅の大きさに応じて異なる色を付けるのではなく、異なる模様を付けてもよい。
このように、表示制御機能37bが、天板21上の各位置がX線の経路と交差する位置に移動された際に当該各位置に生じる振動の大きさを示す情報を表示することによって、放射線技師等が天板21上に被検体を配置する際に、表示された情報を参照することで、撮影対象の部位が振動の小さい位置に配置されるように被検体を位置決めできるようになる。
以上のように、表示制御機能37bは、振動の大きさを示す情報を、天板21の模擬画像と対応付けて表示する。
また、表示制御機能37bは、撮影条件に応じて、当該撮影条件に基づいて撮像が実行される際に生じる振動の大きさを示す情報を表示する。
例えば、表示制御機能37bは、被検体の体重に応じて、当該体重の被検体が天板21に載置された場合に生じる振動の大きさを示す情報を表示する。
具体的には、例えば、表示制御機能37bは、被検体の体重を変えながら天板21を移動させて振動を実測した実測結果に基づいて、振動の大きさを示す情報を表示する。この場合には、例えば、記憶回路35が、図3に示したように、天板21における先端の位置をゼロとした場合の各位置と、図2に示した位置Iで天板21上の各位置に生じる振動の振幅の大きさとを対応付けた情報を、被検体の体重ごとに記憶する。
図5は、本実施形態に係る記憶回路35によって記憶される振動の情報の一例を示す図である。例えば、図5に示すように、記憶回路35は、被検体の体重(体重1、体重2、体重3、・・・)ごとに、天板21における各位置(位置1、位置2、位置3、・・・)と、当該各位置に生じる振動の振幅の大きさ(振幅11、振幅12、振幅13、・・・)とを対応付けた情報を記憶する。この情報は、X線CT装置100の使用が開始される前(例えば、X線CT装置100の出荷時や設置時等)に、予め実測結果に基づいて生成され、記憶回路35に記憶される。
そして、表示制御機能37bは、記憶回路35に記憶された振動の情報を参照し、撮影条件の一部として設定された被検体の体重に対応する情報を取得する。そして、表示制御機能37bは、取得した情報に基づいて、天板21上の各位置に生じる振動の大きさを示す情報を表示する。
なお、例えば、被検体の体重と、天板21の各位置に生じる振動の振幅との関係を関数で定義することが可能な場合には、表示制御機能37bは、当該関数を用いて、天板21の各位置に生じる振動の大きさを導出してもよい。この場合には、表示制御機能37bは、当該関数を用いて、撮影条件の一部として設定された被検体の体重から天板21の各位置に生じる振動の振幅を算出する。そして、表示制御機能37bは、算出した結果に基づいて、天板21上の各位置に生じる振動の大きさを示す情報を表示する。
このように、表示制御機能37bが、被検体の体重に応じて、当該体重の被検体が天板21に載置された場合に生じる振動の大きさを示す情報を表示することによって、被検体の体重によって天板21に生じる振動が変動する場合でも、個々の被検体に合わせて、より適切に被検体を位置決めできるようになる。
なお、図2〜5では、X線の経路を、X線管12aの中心から検出器13の中心へ向かう直線の経路とした場合の例を示したが、実施形態はこれに限られない。
通常、X線管12aから曝射されるX線は、放射状に広がって検出器13に入射する。そのため、例えば、X線の経路は、天板21の長手方向に幅を有する経路としてもよい。
この場合には、例えば、表示制御機能37bは、天板21上の長手方向の各位置に生じる振動の大きさを示す情報として、天板21とX線の経路とが交差する範囲内の長手方向の各位置に生じる振動の大きさの平均値を示す情報を表示する。ここで表示される平均値は、天板21上の各位置が、天板21とX線の経路とが交差する範囲における長手方向の中心の位置に移動された際に、当該範囲内の各位置に生じる振動の大きさの平均値である。
また、この場合には、記憶回路35は、被検体の体重ごとに、天板21における長手方向の各位置と、上述した平均値とを対応付けた情報を記憶する。
また、例えば、表示制御機能37bは、天板21に被検体が載置される際の長手方向における当該被検体の向きに係る撮影条件に応じて、振動の大きさを示す情報を表示してもよい。
例えば、ここでいう被検体の向きに係る撮影条件として、架台10の開口部に被検体が挿入される際の被検体の挿入方向がある。例えば、被検体の挿入方向として、架台10の開口部に対して被検体が頭から挿入されることを示す「ヘッドファースト」又は、架台10の開口部に対して被検体が足から挿入されることを示す「フットファースト」が設定される。ここで、ヘッドファーストで撮影が行われる場合と、フットファーストで撮影が行われる場合とでは、天板21上での被検体の配置が変わるため、天板21に生じる振動の大きさが変動すると考えられる。
さらに、例えば、被検体の向きに係る撮影条件として、天板21の長手方向の端部に取り付けられる付属品が用いられるか否かがある。例えば、撮影対象の部位の位置や被検体の身長等によっては、被検体の頭又は足が天板21からはみ出してしまう場合があり、そのような場合には、天板21の長手方向の端部に、頭を支持するためのヘッドレストや、足を支持するためのフットレスト等の付属品が取り付けられることがある。ここで、天板21に付属品が取り付けられる場合には、付属品が用いられない場合と比べて、天板21上での被検体の配置が変わるため、天板21に生じる振動の大きさが変動すると考えられる。
このように、天板21に生じる振動の大きさは、被検体の向きに係る撮影条件に応じて変動すると考えられる。
そこで、例えば、表示制御機能37bは、被検体の向きに係る撮影条件を変えて、天板21の振動を実測した実測結果に基づいて、振動の大きさを示す情報を表示する。この場合には、例えば、記憶回路35が、図3に示したように、天板21における先端の位置をゼロとした場合の各位置と、図2に示した位置Iで天板21上の各位置に生じる振動の振幅の大きさとを対応付けた情報を、被検体の向きに係る撮影条件ごとに記憶する。
例えば、記憶回路35は、ヘッドファーストであり、かつ、ヘッドレストが用いられる場合、フットファーストであり、かつ、フットレストが用いられる場合、ヘッドファーストであり、かつ、フットレストが用いられる場合、フットファーストであり、かつ、ヘッドレストが用いられる場合、ヘッドファーストであり、かつ、付属品が用いられない場合、及び、フットファーストであり、かつ、付属品が用いられない場合のそれぞれごとに、天板21における各位置(位置1、位置2、位置3、・・・)と、当該各位置に生じる振動の振幅の大きさ(振幅11、振幅12、振幅13、・・・)とを対応付けた情報を記憶する。この情報は、被検体の体重ごとに情報を記憶しておく場合と同様に、X線CT装置100の使用が開始される前(例えば、X線CT装置100の出荷時や設置時等)に、予め実測結果に基づいて生成され、記憶回路35に記憶される。
そして、表示制御機能37bは、記憶回路35に記憶された振動の情報を参照し、撮影条件の一部として設定された被検体の向きに係る情報を取得する。そして、表示制御機能37bは、取得した情報に基づいて、天板21上の各位置に生じる振動の大きさを示す情報を表示する。なお、この場合にも、被検体の体重に応じて情報を表示する場合と同様に、表示制御機能37bは、関数を用いて、天板21の各位置に生じる振動の大きさを導出してもよい。
さらに、例えば、表示制御機能37bは、被検体の体重及び被検体の向きに係る撮影条件の両方に応じて、振動の大きさを示す情報を表示してもよい。この場合には、記憶回路35が、被検体の向きに係る撮影条件ごとに、図5に例示した体重ごとの情報を記憶しておく。
このように、表示制御機能37bが、撮影条件に応じて、当該撮影条件に基づいて撮像が実行される際に生じる振動の大きさを示す情報を表示することによって、撮影条件によって天板21に生じる振動が変動する場合でも、より適切に被検体を位置決めできるようになる。
そして、例えば、表示制御機能37bは、撮影対象の部位を含む被検体の形状を表す被検体画像を天板画像上に位置合わせしてさらに表示する。例えば、表示制御機能37bは、放射線技師等によって天板21上に被検体が配置される際に、被検体画像として、天板21上で振動の大きさが所定値未満となる位置に撮影対象の部位が配置されるように、被検体の形状を模擬的に表した模擬画像を表示する。また、例えば、表示制御機能37bは、本撮影で撮影される撮影領域の位置決め用に被検体のスキャノ画像が撮影された後に、被検体画像として、スキャノ画像を表示する。なお、表示制御機能37bによって行われる被検体画像の表示については、後に詳細に説明する。
図1に戻って、撮影制御機能37cは、天板21が撮影位置に移動された場合に天板21上のX線が交差する位置に生じる振動の大きさが所定値以下となるまでの減衰時間を導出し、当該減衰時間に基づいて撮影を制御する。具体的には、撮影制御機能37cは、スキャン制御回路33及び移動制御機能37aを制御することで、当該撮影を開始する。
例えば、撮影制御機能37cは、天板21の高さ、天板21の送り量、被検体の体重、及び、天板21の移動速度を変えながら天板21を移動させて振動の減衰時間を実測した実測結果に基づいて、撮影を制御する。この場合には、例えば、記憶回路35が、天板21の高さ、天板21の送り量、被検体の体重、及び、天板21の移動速度と、図2に示した位置Iで天板21上の各位置に生じる振動の振幅が所定値以下となるまでの減衰時間とを対応付けた情報を記憶する。
図6は、本実施形態に係る記憶回路35によって記憶される減衰時間の情報の一例を示す図である。例えば、図6に示すように、天板21の高さ(高さ1、高さ2、高さ3、・・・)、天板21の送り量(送り量1、送り量2、送り量3、・・・)、被検体の体重(体重1、体重2、体重3、・・・)、及び、天板21の移動速度(移動速度1、移動速度2、移動速度3、・・・)と、減衰時間(減衰時間1、減衰時間2、減衰時間3、・・・)とを対応付けた情報を記憶する。この情報は、X線CT装置100の使用が開始される前(例えば、X線CT装置100の出荷時や設置時等)に、予め実測結果に基づいて生成され、記憶回路35に記憶される。
そして、例えば、撮影制御機能37cは、天板21が撮影位置に移動されるまでの移動時間と振動の減衰時間との合計が最小となるように、天板21の移動速度を制御する。まず、撮影制御機能37cは、記憶回路35に記憶された減衰時間の情報を参照し、撮影条件の一部として設定された天板21の高さ、天板21の送り量、及び被検体の体重に対応する情報を取得する。その後、撮影制御機能37cは、取得した情報ごとに、天板21の送り量と天板21の移動速度から天板21の移動時間を算出し、算出した移動時間と減衰時間との合計を算出する。そして、撮影制御機能37cは、算出した移動時間と減衰時間との合計が最小となる情報を特定し、特定した情報の移動速度で天板21を移動するように、移動制御機能37aに指示する。
なお、例えば、天板21の高さ、天板21の送り量、及び被検体の体重と、天板21の移動時間と減衰時間との合計が最小となる天板21の移動速度との関係を関数で定義することが可能な場合には、表示制御機能37bは、当該関数を用いて、天板21の移動速度を導出してもよい。この場合には、表示制御機能37bは、当該関数を用いて、撮影条件の一部として設定された天板21の高さ、天板21の送り量、及び被検体の体重から天板21の移動速度を算出する。そして、表示制御機能37bは、算出した移動速度で天板21を移動するように、移動制御機能37aに指示する。
このように、撮影制御機能37cが、天板21が撮影位置に移動されるまでの移動時間と振動の減衰時間との合計が最小となるように、天板21の移動速度を制御することによって、天板21に生じる振動を考慮した最適な撮影時間を設定することができる。
そして、例えば、撮影制御機能37cは、天板21が撮影位置に移動された後に、導出された減衰時間が経過した時点で、撮影を開始する。このとき、具体的には、撮影制御機能37cは、スキャン制御回路33を制御することで、当該撮影を開始する。なお、撮影制御機能37cによって行われる撮影の制御については、後に詳細に説明する。
以下、上述した表示制御機能37b及び撮影制御機能37cによって行われる処理について、フローチャートを参照して、より詳細に説明する。
図7は、本実施形態に係る表示制御機能37b及び撮影制御機能37cによって行われる処理の処理手順を示すフローチャートである。
例えば、図7に示すように、まず、撮影制御機能37cが、入力回路31を介して操作者から撮影条件に関する情報の入力を受け付け、受け付けた情報に基づいて、撮影条件を設定する(ステップS1)。ここで設定される撮影条件には、被検体の体重、被検体の身長、天板21の高さ、天板21の送り量、被検体の向きに係る撮影条件等が含まれる。
その後、表示制御機能37bが、天板21の形状を表す天板画像40、及び、天板21の各位置に生じる振動の大きさを示す情報を表示する(ステップS2)。また、表示制御機能37bは、天板21上で振動の大きさが所定値未満となる位置に撮影対象の部位が配置されるように、被検体の模擬画像を天板画像40上に位置合わせしてさらに表示する(ステップS3)。
図8及び9は、本実施形態に係る表示制御機能37bによる模擬画像の表示の一例を示す図である。なお、図8及び9は、図4を参照して説明したように、天板21上の各位置に生じる振動の大きさを「振動小」、「振動中」及び「振動大」の3つの範囲に分けて表示した場合の例を示している。また、図8は、図3及び4に示したように、天板21上で振動が極大となる位置が1箇所ある場合の例を示しており、図9は、天板21上で振動が極大となる位置が2箇所ある場合の例を示している。
ここで、図8の(A)は、撮影対象の部位が肝臓であり、撮影条件の一部として設定された被検体の方向がHF(Head First)である場合の例を示している。この場合に、例えば、図8の(A)に示すように、表示制御機能37bは、天板画像40における先端側に被検体の頭部が配置されるように、模擬画像50を表示する。また、表示制御機能37bは、被検体の模擬画像50に含まれる肝臓の部分51が「振動小」の範囲に配置されるように、模擬画像50を天板画像40上に位置合わせして表示する。このとき、例えば、表示制御機能37bは、肝臓の部分51が「振動小」の範囲に配置され、かつ、できるだけ天板21の中心に近い位置に配置されるように、模擬画像50を配置する。
また、図8の(B)は、撮影対象の部位が小腸であり、撮影条件の一部として設定された被検体の方向がFF(Foot First)である場合の例を示している。この場合に、例えば、図8の(B)に示すように、表示制御機能37bは、天板画像40における先端側に被検体の脚部が配置されるように、模擬画像50を表示する。また、表示制御機能37bは、被検体の模擬画像50に含まれる小腸の部分52が「振動小」の範囲に配置されるように、模擬画像50を天板画像40上に位置合わせして表示する。このとき、例えば、表示制御機能37bは、図8の(A)に示した例と同様に、小腸の部分52が「振動小」の範囲に配置され、かつ、できるだけ天板21の中心に近い位置に配置されるように、模擬画像50を配置する。
このように、表示制御機能37bが、天板21上で振動の大きさが所定値未満となる位置に撮影対象の部位が配置されるように、被検体の模擬画像50を天板画像40上に位置合わせして表示することによって、放射線技師等が天板21上に被検体を配置する際に、撮影対象の部位が振動の小さい位置に配置されるように、より容易に被検体を位置決めできるようになる。
ここで、表示制御機能37bは、模擬画像50を天板画像40上に位置合わせした際に被検体の一部が天板21からはみ出す場合には、模擬画像50上で当該一部を識別可能に表示する。例えば、図8の(B)に示すように、被検体の脚が天板21からはみ出す場合には、表示制御機能37bは、脚の位置にグラフィック60を表示する。
このように、表示制御機能37bが、天板21からはみ出す部分を模擬画像50上で識別可能に表示することによって、放射線技師等に対して、例えば、被検体の脚部がはみ出していた場合には脚部を折り曲げる等、天板21からはみ出す部分に関する対応を促すことができる。
また、例えば、表示制御機能37bは、被検体の身長に応じて、模擬画像50の大きさを変えて表示する。例えば、図9の(A)及び(B)は、撮影対象の部位が肝臓であり、撮影条件の一部として設定された被検体の方向がHF(Head First)である場合の例を示している。ここで、図9の(B)は、図9の(A)と比べて被検体の身長が小さい場合の例を示している。
この場合に、例えば、図9の(A)及び(B)に示すように、表示制御機能37bは、天板画像40における先端側に被検体の頭部が配置されるように、模擬画像50を表示する。また、例えば、図9の(A)及び(B)に示すように、表示制御機能37bは、図8の(A)に示した例と同様に、肝臓の部分51が「振動小」の範囲に配置され、かつ、できるだけ天板21の中心に近い位置に配置されるように、模擬画像50を配置する。
そして、例えば、図9の(A)及び(B)に示すように、表示制御機能37bは、撮影条件の一部として設定された被検体の身長に応じて、模擬画像50の大きさを変えて表示する。具体的には、表示制御機能37bは、被検体の身長が予め決められた基準身長より大きい場合には、被検体の身長と基準身長との比に合わせて、基準身長に合わせた大きさに作成された模擬画像50を拡大して表示する。一方、表示制御機能37bは、被検体の身長が基準身長より小さい場合には、被検体の身長と基準身長との比に合わせて、基準身長に合わせた大きさに作成された模擬画像50を縮小して表示する。
このように、表示制御機能37bが、被検体の身長に応じて、模擬画像50の大きさを変えて表示することによって、放射線技師等に対して、被検体と天板21との位置関係をより正確に提示することができるようになる。
また、例えば、表示制御機能37bは、天板21上に被検体が載置される際の被検体の位置決めの基準となる位置を示す情報をさらに表示する。例えば、図8の(B)及び図9の(B)に示すように、表示制御機能37bは、天板画像40上で、天板21に予め付けられているマークに対応する位置に、当該マークの位置を示すグラフィック70を表示する。
なお、ここでは、被検体の位置決めの基準となる位置を示す情報として、天板21に予め付けられているマークの位置を示すグラフィック70を表示する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、表示制御機能37bは、投光器17によって天板21上に可視光線が照射されている位置を示すグラフィックを表示してもよい。
このように、表示制御機能37bが、天板21上に被検体が載置される際の被検体の位置決めの基準となる位置を示す情報を表示することによって、放射線技師等が、被検体をより正確に位置決めできるようになる。
以上のように、表示制御機能37bは、振動の大きさを示す情報を、被検体の形状を模擬的に表した模擬画像と対応付けて表示する。
そして、図7に戻って、放射線技師等によって被検体が天板21に配置された後に(ステップS4,Yes)、撮影制御機能37cが、操作者からの開始指示に応じて、スキャノ画像を撮影する(ステップS5)。
その後、表示制御機能37bが、被検体のスキャノ画像を天板画像40上に位置合わせして表示する(ステップS6)。
図10及び11は、本実施形態に係る表示制御機能37bによるスキャノ画像の表示の一例を示す図である。なお、図10の(A)及び(B)は、図8の(A)及び(B)に示した天板画像40上にスキャノ画像80を表示した場合の例を示しており、図11の(A)及び(B)は、図9の(A)及び(B)に示した天板画像40上にスキャノ画像80を表示した場合の例を示している。ここで、スキャノ画像80には、撮影対象の部位である肝臓81や小腸82が描出されている。
例えば、図10及び11に示すように、表示制御機能37bは、予め装置座標等を用いて定義された天板21の位置と画像上の位置との位置関係に基づいて、撮影されたスキャノ画像80を天板画像40上に位置合わせして表示する。これにより、スキャノ画像80は、図8及び9に示した模擬画像50と同様に、被検体の身長や被検体の方向に応じて、被検体ごとに適宜に大きさや向きが変えられて表示されることになる。
ここで、例えば、図10の(B)に示すように、表示制御機能37bは、スキャノ画像80を表示する場合も、図8の(B)に示した例と同様に、天板21からはみ出した被検体の部分を示すグラフィック60を表示する。
また、例えば、図10の(B)及び図11の(B)に示すように、表示制御機能37bは、スキャノ画像80を表示する場合も、図8の(B)及び図9の(B)に示した例と同様に、天板画像40上で、天板21に予め付けられているマークに対応する位置に、当該マークの位置を示すグラフィック70を表示する。
このように、表示制御機能37bが、本撮影で撮影される撮影領域の位置決め用に撮影された被検体のスキャノ画像80を天板画像40上に位置合わせして表示することによって、放射線技師等が天板21上に被検体を配置する際に、撮影対象の部位が振動の小さい位置に配置されているか否かをより正確に判断できるようになる。
以上のように、表示制御機能37bは、振動の大きさを示す情報を、被検体の位置決め画像と対応付けて表示する。
そして、図7に戻って、放射線技師等によって、被検体が適切に位置決めされていないと判断された場合には(ステップS7,No)、撮影制御機能37cが、操作者からの開始指示に応じて、再度、スキャノ画像を撮影し(ステップS5)、表示制御機能37bが、再度、撮影されたスキャノ画像を天板画像40上に位置合わせして表示する(ステップS6)。
こうして、放射線技師等は、天板画像40上に表示されたスキャノ画像80を参照しながら、撮影対象の部位が振動の小さい位置に配置されるように被検体が適切な位置に配置されるまでの間は、スキャノ画像の撮影を繰り返し行う。
そして、放射線技師等によって、被検体が適切に位置決めされたと判断された場合には(ステップS7,Yes)、撮影制御機能37cが、操作者によってスキャノ画像上で設定された撮影領域の位置に基づいて、本撮影の撮影領域を設定する(ステップS8)。
その後、撮影制御機能37cは、操作者からの開始指示に応じて、被検体の本撮影を実行する(ステップS9)。
図12は、本実施形態に係る撮影制御機能37cによって行われる本撮影の処理手順を示すフローチャートである。
例えば、図12に示すように、撮影制御機能37cは、操作者から本撮影の開始指示を受け付けた場合に(ステップS10,Yes)、まず、天板21が撮影位置に移動された場合に天板21上のX線が交差する位置に生じる振動の大きさが所定値以下となるまでの減衰時間を導出する(ステップS11)。
その後、撮影制御機能37cは、天板21が撮影位置に移動されるまでの移動時間と導出された減衰時間との合計が最小となる天板21の移動速度を導出する(ステップS12)。そして、撮影制御機能37cは、導出された移動速度で撮影位置まで天板21を移動するように、寝台駆動装置22を制御する(ステップS13)。
続いて、撮影制御機能37cは、天板21が撮影位置に移動された後に、導出された減衰時間が経過した時点で(ステップS14,Yes)、スキャノ画像を用いて設定された撮影領域の撮影を開始する(ステップS15)。これにより、天板21上でX線が交差する位置に生じている振動が所定値以下まで小さくなったタイミングで、自動的に撮影を開始できるようになる。
なお、例えば、撮影制御機能37cは、天板21が撮影位置に移動された後に、導出された減衰時間が経過した時点で、自動的に撮影を開始するのではなく、当該減衰時間が経過した旨を報知してもよい。例えば、撮影制御機能37cは、ディスプレイ32にメッセージを表示することによって、減衰時間が経過した旨を報知する。この場合には、撮影制御機能37cは、撮影を開始する操作を操作者から受け付け、当該操作を契機に撮影を開始する。これにより、天板21上でX線が交差する位置に生じている振動が所定値以下まで小さくなったタイミングで、操作者の手動により撮影を開始できるようになる。
以上、表示制御機能37b及び撮影制御機能37cによって行われる処理について説明した。ここで、図7に示した各ステップのうち、ステップS1、S5、S8及びS9は、例えば、処理回路37が撮影制御機能37cに対応する所定のプログラムを記憶回路35から呼び出して実行することにより実現される。また、ステップS2、S3及びS6は、例えば、処理回路37が表示制御機能37bに対応する所定のプログラムを記憶回路35から呼び出して実行することにより実現される。また、図12に示した各ステップは、例えば、処理回路37が撮影制御機能37cに対応する所定のプログラムを記憶回路35から呼び出して実行することにより実現される。
なお、ここでは、1つの撮影位置に天板21を移動して撮影を行う場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、撮影制御機能37cは、天板21の位置を一定間隔で移動させてコンベンショナルスキャンを複数の撮影位置で行うステップアンドシュート方式の撮影が行われる場合には、天板21を各撮像位置に移動させるごとに、上述したように減衰時間を導出して撮影を制御する。
また、例えば、撮影制御機能37cは、天板21を連続的に移動させながら回転フレーム15を回転させて被検体Sを螺旋状にスキャンするヘリカルスキャンが行われる場合には、天板21上でX線の経路と交差する位置に生じる振動の大きさに応じて、天板21の移動速度及び回転フレーム15の回転速度を制御してもよい。この場合には、例えば、撮影制御機能37cは、天板21を連続的に移動させながら、天板21上で振動が大きい範囲がX線と交差している間は、振動が小さい範囲と比べて、天板21の移動速度及び回転フレーム15の回転速度を小さくするように制御する。例えば、図4に示すように、天板21上に生じる振動を「振動小」、「振動中」及び「振動大」の3つの範囲に分けた場合には、撮影制御機能37cは、「振動中」の範囲では、「振動小」の範囲と比べて天板21の移動速度及び回転フレーム15の回転速度を小さくするように制御し、「振動大」の範囲では、「振動中」の範囲と比べて天板21の移動速度及び回転フレーム15の回転速度を小さくするように制御する。
上述したように、本実施形態に係るX線CT装置100は、天板21上で被検体の位置決めが行われる際に、天板21上の各位置がX線の経路と交差する位置に移動された際に当該各位置に生じる振動の大きさを示す情報を表示する。この構成によれば、放射線技師等が天板21上に被検体を配置する際に、表示された情報を参照することで、撮影対象の部位が振動の小さい位置に配置されるように被検体を位置決めできるようになる。
したがって、本実施形態によれば、天板に生じる振動を考慮した被検体の天板上での適切な位置決めを支援することができる。また、この結果として、天板の振動による画質の低下を抑制することができる。
なお、上記説明で用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは、記憶回路35に保存されたプログラムを読み出して実行することで、各機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。
また、上記実施形態で図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、天板に生じる振動を考慮した被検体の天板上での適切な位置決めを支援することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。