JP2015057526A - 地山斜面の安定化工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】切土作業、切土法面処理作業を速やかに行う工法を提供する。【解決手段】切土対象の急傾斜の地山斜面を幅w1、w2、w3のように複数に区分して地山斜面の上下方向に沿った複数の縦方向分割施工区域A1、A2、A3を設定し、それら縦方向分割施工区域ごとに上方から下方に向けて切土して切土法面Aを形成する。縦方向分割施工区域A1の切土法面Aに対して切土法面処理を行い、それと並列して縦方向分割施工区域A2に対して切土作業を実施する。ワイヤーに支持された加工機械を用いて実施し、加工機械の登坂能力を超える急傾斜の地山斜面において、法枠形成前にアンカー設置工程を実施する。そのため、急傾斜の地山斜面で深い箇所で崩壊しやすい状態の場合においての法枠の形成が容易となる。【選択図】図1

Description

本発明は、急傾斜の地山斜面を切土して切土法面を形成し、切土法面に安定化処理を施して当該切土法面を安定化させる工法に関する。
例えば山間部の山麓に道路を開削する工事や都市近郊の丘陵地帯に宅地を造成する工事の場合、対象とする地山の斜面を切土して平坦な地面を造成し、さらに、斜面の切土施工に伴って形成される切土法面の崩落や地滑りなどを防ぐために当該切土法面を安定化させる切土法面処理工事を実施することが必要とされる。
従来、そのための工法としていわゆる逆巻工法が知られている(特許文献1,2参照)。この逆巻工法では、まず工事に先立つ工事設計として、切土対象の地山における斜面の頂部から底部に亘る斜面全長を上下方向で例えば5〜10m間隔に区分して複数の施工区域を設定する。各施工区域は切土対象の地山斜面の全幅を横切る状態で設定され、このような施工区域が地山斜面の頂部から底部まで複数個設定される。工事に際しては、最初に最上段の施工区域の切土施工を行って地山斜面を切土すると同時に当該施工区域の最底部に平坦な小段または盛土部を造成し、次いでその小段または盛土部や切土法面に作業足場を組み、そしてその作業足場を拠点にして切土施工によって形成された切土法面に対する切土法面処理を行って当該法面を安定化させる。そして最上段の施工区域での切土施工と法面処理が完了してはじめて、最上段の施工区域の下部に位置する次段の施工区域の切土施工とそれに続く切土法面処理の工事に移る。このように、従来の逆巻工法では、上段の施工区域の切土施工と切土法面処理が共に完了してから下段の施工区域の工事に移るという態様で、最下段の施工区域まで順次工事が進められていく。
特開平11−61840号公報 特開2001−11863号公報 特開2002−54151号公報
しかしながら、上記した従来の逆巻工法には次のような問題がある。
まず、上段の施工区域の切土施工と切土法面の安定化処理が完了するまでは下段の施工区域の工事に進むことができないという問題である。上段の施工区域の工事完了前に下段の施工区域の工事に着手すると、上段の施工区域の崩落や作業足場の損壊などが発生する恐れがあるからである。
このため、ある施工区域において、切土施工に用い、それに続く切り土法面処理工事にあっては既に不要である加工機械であっても、切土法面処理工事が完了するまでは当該施工区域に放置しておかなければならないという問題もある。そのため、高価な加工機械を徒に遊休させることになり、その使用効率は著しく低下し、工期を長引かせるとともに工事費を高めることにもなる。また、下段の施工区域に工事を進める場合には、これら加工機械や解体した作業足場などを下段の施工区域に移動させなければならないのであるが、それは多大な時間と労力を必要とする。
また、ある施工区域において形成された切土法面の高さが高い場合には、作業足場は当該切土法面の最底部ではなく、切土法面そのものに組み立てることが必要になるのであるが、それは作業足場を極めて不安定なものにする。しかも、傾斜が比較的なだらかであればこのような作業足場も設置可能であるが、急傾斜地の場合には足場の設置作業そのものも困難となる。
一方、切土法面処理工程では、ロックボルトやグランドアンカー等のアンカーを設置して法面の安定化を図る工法、及び、格子状の法枠を設置して法面を安定化する工法、さらには、これらを併用する工法などが知られている。このうち、両者を併用した工法、すなわち、法枠の交点などにアンカーを設置する工法が、法面の安定化のためには望ましい(特許文献3参照)。
特許文献3に示されているように、従来、法枠の形成にあたって、予め型枠を設置し、その際、アンカーを打設する位置に鋼管等からなる孔型枠を設置し、孔型枠以外の型枠内にモルタルなどの硬化材を吹き付け、その後、孔型枠内にアンカーを打設するのが一般である。一方、予め略十字型等に形成した法枠ブロックを用いる場合には、アンカーを先に設置し、その設置したアンカーに法枠ブロックを締結して配置している。特許文献3に示されたような、型枠を設置して硬化材を吹き付ける工法においてアンカーを先に設置すると、型枠の位置がアンカーの打設位置に左右されるため、型枠の設置作業が煩雑化する。しかし、施工対象の地山が数m乃至それ以上深い箇所で崩壊しやすい状態の場合、法枠を先に設置すると、法枠の重量により、アンカーの設置前にその深い箇所から崩壊が生じたり、あるいは、勾配が所定以上の場合には、法枠がその自重によってズレ落ちるおそれがあったりする。それを防ぐために法枠下方に段を形成することもあるが、その場合には作業が煩雑化する。アンカーを先に設置できればこのような問題がなくなり、深い箇所からの崩壊防止、急傾斜地における法枠のズレ落ちを防止できる。しかし、アンカーの設置工程では、切土法面に対して略直交する方向に数m以上の削孔をし、その長さに見合う鉄筋の挿入する必要があり、法枠の設置前にアンカーを設置するには、加工機械を配置する足場を設置しないと作業が困難である。
本発明は、上記した問題に鑑みなされたものであり、切土法面の安定化処理の完了を待つことなく次の施工区域の工事を可能とし、それにより、加工機械の遊休期間の短縮、工期の短縮、工事費の削減を実現することができると共に、法面処理工程において、アンカー設置工程を容易に実施でき、しかも、法枠形成工程の前に実施することで、施工対象の地山の崩壊防止や急傾斜地における法枠のズレ落ち防止に貢献することができる急傾斜の地山斜面の安定化工法の提供を課題とする。
上記した課題を解決するため、本発明者は、従来の逆巻工法の上記した問題が切土対象とする地山斜面の全幅に亘って横切る施工区域を設定していることに起因することに着目すると共に、作業足場を組む必要のないワイヤーの牽引力を利用した加工機械を用いることに着目し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の地山斜面の安定化工法は、急傾斜の地山斜面を切土して切土法面を形成する切土工程と、形成された当該切土法面を処理する切土法面処理工程とを有する地山斜面の安定化工法であって、切土対象の地山斜面を幅方向に沿って複数に区分し、前記地山斜面の上下方向に沿った縦方向分割施工区域を複数設定し、前記複数の縦方向分割施工区域のうち、一の縦方向分割加工区域に切土工程を実施して切土法面を形成した後、当該縦方向分割加工区域における切土法面を処理する切土法面処理工程と、次の縦方向分割施工区域における切土工程とを並行して実施し、以降、順次、切土工程を実施した縦方向分割加工区域の切土法面への切土法面処理工程と、次の縦方向分割施工区域の切土工程とを並行して実施していくと共に、前記切土工程及び前記切土法面処理工程における作業の少なくとも一部を、ワイヤーに支持された加工機械を用い、前記ワイヤーの牽引力を利用して前記加工機械を前記縦方向分割施工区域内で移動させて実施し、かつ、前記切土法面処理工程として、前記切土法面の所定位置にアンカーを設置するアンカー設置工程と、前記アンカー設置工程後、前記アンカーが、各枠辺部又はそれらの交点のいずれかの範囲内に位置するように法枠を形成する法枠形成工程とを実施することを特徴とする。
また、本発明の地山斜面の安定化工法は、急傾斜の地山斜面を切土して切土法面を形成する切土工程と形成された当該切土法面を処理する切土法面処理工程とを有する地山斜面の安定化工法であって、切土対象の地山斜面を上下方向に沿って複数に区分して横方向分割施工区域を設定すると共に、前記横方向分割施工区域ごとにその幅方向に沿って複数に区分し、前記地山斜面の上下方向に沿った複数の縦方向分割施工区域を設定し、前記横方向分割施工区域のうち上段に位置する横方向分割施工区域において、当該横方向分割施工区域内に位置する前記複数の縦方向分割施工区域のうち、一の縦方向分割施工区域に切土工程を実施した後、当該縦方向分割施工区域における切土法面処理工程と、当該横方向分割施工区域内又はその下段の横方向分割施工区域内に位置する次の縦方向分割施工区域に切土工程とを並行して実施し、その後、順次、より下段に位置する横方向分割施工区域において前記切土処理及び前記切土法面処理を並行して実施していくと共に、前記切土工程及び前記切土法面処理工程における作業の少なくとも一部を、ワイヤーに支持された加工機械を用い、前記ワイヤーの牽引力を利用して前記加工機械を前記縦方向分割施工区域内で移動させて実施し、かつ、前記切土法面処理工程として、前記切土法面の所定位置にアンカーを設置するアンカー設置工程と、前記アンカー設置工程後、前記アンカーが、各枠辺部又はそれらの交点のいずれかの範囲内に位置するように法枠を形成する法枠形成工程とを実施することを特徴とする。
前記切土工程又は前記切土法面処理工程で用いられる前記加工機械は、幅方向に間隔をおいて一対のワイヤーが設けられており、前記各ワイヤーの上端を前記縦方向分割区域の上方で支持し、前記各ワイヤーの牽引力を利用して前記加工機械を前記縦方向分割施工区域内で移動させ、一の縦方向分割施工区域における切土工程又は切土法面処理工程を実施した後、前記各ワイヤーで前記加工機械を前記縦方向分割施工区域の上部にまで移動させ、ついで、当該加工機械を他の縦方向分割施工区域に移動させて当該他の縦方向分割施工区域内の切土工程又は切土法面処理工程を実施することが好ましい。
前記一対のワイヤーは、前記縦方向分割施工区域の上方で支持された部位における該一対のワイヤー間の間隔が、前記加工機械に支持された部位における該一対のワイヤー間の間隔よりも広くなるように張設されていることが好ましい。
前記法枠形成工程は、型枠を設置した後、硬化材によって造成する工法により実施することができる。この場合、前記硬化材による造成工程を、前記ワイヤーに支持された加工機械を用いて実施することが好ましい。
前記法枠形成工程は、予め所定形状に形成された法枠ブロックを設置する工法により実施することができる。この場合、前記法枠ブロックの設置工程を、前記ワイヤーに支持された加工機械を用いて実施することが好ましい。
前記法枠形成工程で形成される各法枠は多角形であり、そのうちの一つの角部が各法枠の中で下端に位置するように形成されることが好ましい。
前記下端に位置する角部に排水部が設けられていることが好ましい。
前記法枠ブロックとして略十字型に形成されたものを用い、隣接する4つの各法枠ブロックの交点を結んだ仮想四角形の一つの角部が下端となるように配置することが好ましい。
前記アンカー設置工程では、前記加工機械として、アウターケーシングとインナーロッドとの二重管式の削孔部材と前記削孔部材を移動可能に支持するガイドシェルとを備え、前記アウターケーシングとインナーロッドを、削孔時には切土法面の所定の位置に向かって共に前記ガイドシェルに沿って前進移動させ、削孔後、前記アウターケーシングを削孔内に位置させたまま、前記インナーロッドを前記ガイドシェルに沿って後退移動させ、その後、前記インナーロッドを取り外すことなく前記アウターケーシングを前記ガイドシェル上に後退させることができるものを用いて実施することが好ましい。
前記加工機械として、前記ガイドシェルに沿って移動可能であると共に、前記アウターケーシング及びインナーロッドが接続され、前記アウターケーシング及びインナーロッドによる削孔を実施する際の駆動力を付与するドリフタと、前記ドリフタとは独立して前記ガイドシェルに沿って移動可能であると共に、前記アウターケーシングを保持可能な回転引抜装置とを有し、前記アウターケーシング及びインナーロッドによる削孔後、前記アウターケーシングを前記回転引抜装置に保持させると共に前記ドリフタとの接続を解除し、前記アウターケーシングを前記削孔内に位置させたまま、前記ドリフタを後退させて前記インナーロッドを前記ガイドシェルの待機位置に復帰させ、前記削孔内に位置する前記アウターケーシング内への充填材の充填作業後、前記アウターケーシングを保持した前記回転引抜装置を後退させ、待機状態の前記インナーロッドの周囲に、前記アウターケーシングを外挿して前記ドリフタに再接続可能な構成のものを用いることが好ましい。
本発明においては、急傾斜の切土対象の地山斜面の幅方向に複数の縦方向分断施工区域を設定し、その縦方向分断施工区域に対して切土工程や切土法面処理工程を実施することができる。そのため、例えば地山斜面の幅方向に隣接して設定されている縦方向分割施工区域に対して、切土工程とそれに続く切土法面処理工程を順次連続して実施することができる。すなわち、先に切土工程を実施した縦方向分割施工区域における切土法面処理工程の完了を待つことなく、当該縦方向分割施工区域の切土法面処理工程と、次の縦方向分割施工区域の切土工程とを共にすなわち並行して実施でき、作業効率の向上を図ることができる。特に、切土法面形成用の加工機械あるいは形成された切土法面処理用の加工機械を用いた場合には、各加工機械を遊休させることなく、工期の短縮、工事費の削減を実現することができる。
しかも、本発明は、切土工程及び切土法面処理工程の少なくとも一部の作業を、ワイヤーに支持された加工機械を用いて実施する。従って、ワイヤーの牽引力を利用して加工機械を縦方向分割施工区域内で足場を設置することなく移動させて作業できる。すなわち、ワイヤーに支持された加工機械を用いることにより、加工機械の登坂能力を超える急傾斜の地山斜面において、法枠形成前にアンカー設置工程を容易に実施できる。そのため、急傾斜の地山斜面で深い箇所で崩壊しやすい状態の場合において、法枠を先に設置することによって法枠の重量により、深い箇所からの崩壊や法枠自体のズレ落ち等を防止でき、作業効率をさらに向上させ、工期の短縮、工事費の削減に寄与できる。
本発明の第1の実施形態に係る第1安定化工法で実施される第1切土工法を説明するための図である。 本発明の第2の実施形態に係る第2安定化工法で実施される第2切土工法を説明するための図である。 本発明の第1の実施形態に係る第1安定化工法の一態様を説明するための図である。 本発明の第2の実施形態に係る第2安定化工法の一態様を説明するための図である。 本発明の第1及び第2安定化工法において切土法面処理に好適に利用できる加工機械を示した側面図である。 図5の加工機械の平面図である。 図5の加工機械における回転引抜装置の構成を説明するための図であり、(a)はアウターケーシングと回転引抜装置の関係を示した分解図、(b)は(a)のB矢視図、(c)は(a)のC−C線矢視図、(d)は(a)のD−D線矢視図である。 図5の加工機械の法面移動時を示した図である。 図5の加工機械の削孔作業前の状態を示した図である。 図5の加工機械による削孔工程を説明するための図である。 図5の加工機械による削孔後、インナーロッドを引き抜く工程を説明するための図である。 図5の加工機械においてインナーロッドを引き抜いた後の工程を説明するための図である。 図13は法枠形成工程の一例を説明するための図である。 図14は排水部を形成する場合の法枠の例を示した図である。 図15は図14のA−A線断面図である。 図16は法枠形成工程で法枠ブロックを用いる工程を説明するための図である。 図17(a),(b)は法枠ブロックを用いた法枠形成工程の他の例を説明するための図である。
本発明の安定化工法は、切土施工を行って切土法面を形成する工程(切土工程)と、切土工程で形成された切土法面に切土法面処理を施して当該切土法面を安定化させる工程(切土法面処理工程)を有しているが、説明の都合上、まず、切土工程で実施される切土工法について説明する。この切土工法には、本発明の第1の実施形態に係る安定化工法で適用される第1切土工法と第2の実施形態に係る安定化工法で適用される第2切土工法の2つの態様がある。まず、図1に基づき、第1の実施形態に係る安定化工法で適用される第1切土工法について説明する。
この工法は、切土対象の地山斜面の面積が比較的小さい場合や、地山斜面の面積は小さくないが土質が強固で切土しても崩落や地滑りなどが発生しないような地山斜面に適用される。
この工法では、まず工事に先立ち、切土対象の地山斜面に当該地山斜面の上下方向に延びる複数の縦方向分割施工区域を設定する。地山斜面の全面を一度に切土すると、当該地山斜面の崩落や地滑りなどが起こる危険性もあるので、それを避けるために本発明の第1切土工法では切土施工する箇所を予め複数に分割しておく。すなわち縦方向分割施工区域の設定個数は複数個に設定される。各縦方向分割施工区域の幅は制限されるものではなく、土質等を考慮して現場毎に適宜の幅に設定される。また、各縦方向分割施工区域の幅は等幅であってもよいし、異なる幅であってもよい。
例えば、図1で示したように、全幅がWである地山斜面を3つに区分して分割することにより、地山斜面の頂部から底部にまで至る上下方向に延び、幅がそれぞれW1、W2、W3である3つの縦方向分割施工区域A1、A2、A2を設定する。縦方向分割施工区域A1、A2、A3のそれぞれにつき、地山斜面の上方から下方に向けて切土施工を実施する。具体的には、例えば縦方向分割施工区域A1に対してその頂部から底部に向かう切土施工を実施して当該縦方向分割施工区域A1を切土法面Aに整形し、そこが終われば次の縦方向分割施工区域A2の切土施工に移るという態様で切土施工は進められていく。
ここで、本発明は、施工対象の法面が、加工機械の自走での登坂能力(通常、30〜35度)を越える急傾斜の地山斜面の施工に適用される。上記のように、このような急傾斜地では、足場の設置作業自体が困難であるし、また、加工機械の上げ下ろし作業も面倒である。そこで、加工機械側と縦方向分割施工区域の上方との間に少なくとも1本のワイヤーを掛け渡し、このワイヤーを巻き取り巻き戻すようにして、加工機械の自走での登坂能力にワイヤーによる牽引力を付加できる構成とすることが好ましい。これにより、加工機械の自走での登坂能力を越える急傾斜地で安定した施工が可能となる。
但し、登坂能力を超える急傾斜地においてより安定した作業を可能とするために、例えば特公平7−100944号公報に開示されているような加工機械を以下の態様で駆動させて切土施工を行うことが好ましい。すなわちその加工機械1は、図1で示したように、架台の両側に例えば無限軌道や車輪からなる走行部1a、1bを備えていて自走可能であり、また旋回自在でかつ水平姿勢の維持が可能な作業台と切土するための掘削手段(ショベル)が搭載されたバックホー等から構成される。そして、この加工機械1には、幅方向に一定間隔をおいて一対のワイヤー2a、2bが配設されている。具体的には、例えば加工機械1の架台の前後方向中央付近から後端部までの間の任意位置に幅方向に一定間隔をおいて一対のウインチ3a、3bが搭載され、そしてウインチ3aにワイヤー2aが巻回され、ウインチ3bにワイヤー2bが巻回されている。ウインチ3a、3bに巻回されたワイヤー2a、2bは前方に引き出され、さらに、架台の前端部付近に設けたガイド部材31a、31bに巻き掛けられている。一方、縦方向分割施工区域A1の上方に一対の支持具4a、4bを固定配置し、ここに前記した各ワイヤー2a、2bの上端を結合する。加工機械1の自重により支持具4a、4bとウインチ3a、3b間にはワイヤー2a、2bが張設され、当該加工機械1は縦方向分割施工区域A1の上部に配置され、支持される。
このとき、一対の支持具4a、4b間の間隔を、加工機械1における一対のワイヤー2a、2b間の間隔(ウインチ3a、3b間の間隔)よりも広くして、支持具4a、4bと加工機械1との間で張設されているワイヤー2a、2bの平面視形状が、図1で示したように、逆ハの字状にすることが好ましい。加工機械1の縦方向分割施工区域A1内における駆動動作の自由度が高まり、同時に加工機械1の駆動動作時における安定性が高まるからである。また、加工機械1として、走行部1a、1b及び架台は、法面と同角度傾斜するが、作業性やエンジンの姿勢を考慮して作業台が常に水平姿勢を保つように制御できるものを用いた場合、すなわち、法面の傾斜に応じて、走行部1a、1b及び架台に対して、作業台の前端側を中心として後端側が上方に回動するように制御できるものを用いた場合、法面の傾斜が急になるほど、作業台は架台に対して離隔するため、加工機械1の安定性は低下し、左右に傾倒しやすくなるほか、後方へも転倒しやすくなる。ところが、本実施形態のように、逆ハの字状に張設した一対のワイヤー2a、2bに支持させることにより、このような姿勢における加工機械1の安定性が確保される。
ここで、ウインチ3a、3bは、走行部1a、1bを支持する架台の前端部付近に設けることもできるが、本実施形態のように、架台の前後方向中央付近から後端部までの間に配置し、前端部付近にはガイド部材31a、31bを設けることが好ましい。ワイヤー2a、2bは上記したように逆ハの字状に張設されることになるため、これを直接ウインチ3a、3bに巻回させると、ワイヤー2a、2bが偏って巻き付けられるなどの弊害が生じる場合がある。そこで、逆ハの字状に張設されるワイヤー2a、2bを架台の前端付近に配置したガイド部材31a、31bで一旦受けて方向を制御し、ウインチ3a、3bの軸方向に略直交する方向に沿ってワイヤー2a、2bが出し入れされるようにすることが好ましい。このようなガイド部材31a、31bとしては、ローラー、滑車、フェアリーダー、ユニバーサルフェアリーダー等を用いることができる。また、各ワイヤー2a、2bの上端を縦方向分割施工区域A1の上方に配置した一対の支持具4a、4bに結合しているが、一対の支持具4a、4bとしては、アンカーボルトのようなものであってもよいし、立木等を用いることもできる。
切土施工は次のように行われる。まず、上記のようにワイヤー2a、2bに支持された加工機械1を縦方向分割施工区域A1の最上部に配置する。次に、ワイヤー2a、2bを繰り出しながら下方に移動しつつ加工機械1を操作して切土していく。上方から下方に順に切土していくと、最終的に加工機械1は、縦方向分割施工区域A1の最底部に至ることになる。なお、その途中において、ウインチ3a、3bをそれぞれ独立してワイヤー2a、2bの巻き取り、巻き戻しを適宜に行って加工機械1を縦方向分割施工区域A1内で可能な範囲で上下左右方向へ移動させことはできるが、基本的には、上方から下方へと作業を実施していく。
縦方向分割施工区域A1の切土施工が終了したならば、ウインチ3a、3bによってワイヤー2a、2bを巻き取り、当該縦方向分割施工区域A1の最底部(造成された平坦な小段)に位置する加工機械1をその自走力に併せてワイヤー2a、2bの牽引力を利用して、形成された切土法面Aの頂部にまで移動させる。次に、隣接する縦方向分割施工区域A2の頂部に加工機械1を移動する。縦方向分割施工区域A2の頂部に固定配置された一対の支持具(立木等も可)に一対のワイヤ−2a、2bを結合して、加工機械1を縦方向分割施工区域A2の上方から下方に向かって、前記した態様で再び切土施工を行う。この作業を順次行うことにより、切土対象の地山斜面の全てが切土法面Aに整形される。
次に、図2に基づき、本発明の第2の実施形態に係る安定化工法で適用される第2切土工法について説明する。
この工法は、切土対象の地山斜面が比較的大面積である場合や、それほど大面積ではないが土質が軟弱で切土施工時に崩落や地滑りを起こす危険性が想定される地山斜面に適用される。
この工法では、まず、切土対象の地山斜面に当該地山斜面の幅方向に延びる複数の横方向分割施工区域を設定し、さらに横方向分割施工区域ごとに当該地山斜面の上下方向に延びる複数の縦方向分割施工区域を設定する。その場合、横方向分割施工区域の設定は従来の逆巻工法に準じて行えばよく、そして縦方向分割施工区域の設定は上記した本発明の第1切土工法を適用して行えばよい。なお、各縦方向分割施工区域の幅は制限されるものではなく、土質等を考慮して現場毎に適宜の幅に設定され、各縦方向分割施工区域の幅は等幅であってもよいし、異なる幅であってもよいことは上記第1切土工法と同様である。
また、各段の横方向分割施工区域のそれぞれにおける縦方向分割施工区域の設定個数は同じであっても異なっていてもよく、その個数は地山斜面の土質の状態や面積の大小を考慮して適宜に選択すればよい。
例えば、図2で示したように、上下方向の斜面全長がLである地山斜面を3つに分割することにより、地山斜面の幅方向に延び、上下方向の長さがそれぞれL1、L2、L3である3つの横方向分割施工区域B1、B2、B3を設定する。次に、それぞれの横方向分割施工区域ごとに、前記した第1切土工法の場合と同じようにして複数の縦方向分割施工区域を設定する。図2の場合は、最上段の横方向分割施工区域B1に4つの縦方向分割施工区域A1〜A4が、中段の横方向分割施工区域B2に5つの縦方向分割施工区域A5〜A9が、そして最下段の横方向分割施工区域B3に6つの縦方向分割施工区域A10〜A15が設定されている。
第2切土工法では、まず最上段の横方向分割施工区域B1において、縦方向分割施工区域A1について前記した第1切土工法と同じ態様で、すなわち、上方から下方に向かって切土施工を行う。次に、隣接する縦方向分割施工区域A2について同様に切土施工を行って、さらに縦方向分割施工区域A3、A4について、順次、切土施工を行う。これにより、横方向分割施工区域B1の全体が切土法面Aに整形される。
このとき、同じ横方向分割施工区域内のある縦方向分割施工区域から隣接する縦方向分割施工区域の切土施工に移る場合は、前記した第1切土工法と同様の作業を行えばよい。すなわち、例えば縦方向分割施工区域A1の切土施工が終了して当該施工区域の最底部(横方向分割施工区域B1に造成された小段)に位置する加工機械1を、ワイヤー2a、2bで牽引して縦方向分割施工区域A1の上部にまで移動させ、他方で縦方向分割施工区域A2の頂部に新たに一対の支持具を固定配置し(一対の支持具として立木等を利用できる点は上記と同様である)、そこに加工機械1の一対のワイヤーを結合して、当該加工機械1を縦方向分割施工区域A2の上部に移動配置したのち駆動して、当該縦方向分割施工区域A2の切土施工を実施する。
また、ある横方向分割施工区域の完了して下段の横方向分割施工区域の切土施工に移る場合、例えば横方向分割施工区域B1全体の切土施工が完了した場合は、一対の支持具を横方向分割施工区域B2に設定されている縦方向分割施工区域A5の上方に位置する地山斜面の頂部に固定配置し、それにワイヤー2a、2bを結合して加工機械1を縦方向分割施工区域A5の上部に移動配置し、以後、縦方向分割施工区域A5から縦方向分割施工区域A9まで順次切土施工を行って当該横方向分割施工区域B2の全体を切土法面に整形する。そしてその後、同様にして加工機械1を横方向分割施工区域B3に設定されている縦方向分割施工区域A10に移動配置して縦方向分割施工区域A10から縦方向分割施工区域A15まで順次切土施工を行って、地山斜面全体の切土施工を完了する。
なお、図2では加工機械1を支持する支持具4a、4bを地山斜面の頂部に固定して各段の横方向分割施工区域に切土施工を行う事例を示したが、上段の切土施工が完了したら、支持具を、上段の横方向分割施工区域の最底部(造成された小段)または下段の横方向分割施工区域の上部に固定配置して加工機械を当該下段の横方向分割施工区域に移動配置してそこの切土施工を行うこともできる。
第2切土工法においても、上記のように、ワイヤーで支持した加工機械を利用して切土施工を行うと、地山の斜面に沿った高さ方向に長くなるように施工区域(縦方向分割施工区域)を設定した際に、加工機械は最底部から最上部へと移動することが容易であり、不安定な作業足場を組むことなく実施でき、作業スピードを向上させ、工事費の低減に寄与する。
次に、図3に基づき、本発明の第1の実施形態に係る安定化工法(第1安定化工法)について説明する。
この工法は、前記した第1切土工法で形成された切土法面に切土法面処理を施して当該切土法面を安定化させる工程(切土法面処理工程)を進めながら、次の縦方向分割施工区域に切土施工を行って切土法面を形成する工程(切土工程)を行うという態様で、一方の縦方向分割施工区域と他方の縦方向分割施工区域同士とで、切土工程と切土法面処理工程を並列して行う工法である。
この工法では、図3で示したように、まず、第1切土工法によって切土対象の地山斜面に複数の縦方向分割施工区域が設定され、そしてその1つに第1切土工法を適用してそこを切土法面Aに整形する。従って、その時点では残りの縦方向分割施工区域A2、A3は未施工の地山斜面のままになっている。
次に、整形された切土法面Aに対して切土法面処理工程が実施され、これと並列して、隣接する縦方向分割施工区域A2に対して切土工程が実施される。具体的には、例えば、縦方向分割施工区域A2の頂部に一対の支持具4a、4bを固定配置し、そこに加工機械1に設けられている一対のワイヤー2a、2bのそれぞれ上端を結合して当該加工機械1を縦方向分割施工区域A2の上部に移動配置し、その加工機械1を駆動して縦方向分割施工区域A2の上方から下方に向けて切土工程を実施する。
一方、縦方向分割施工区域A1に属する既に整形された切土法面Aの頂部には、例えば、新たに一対の支持具4A、4Bが固定配置され、ここに、切土法面処理用の加工機械1’が新たに接続される。すなわち、一対のワイヤー2A、2Bを備え、それらを巻き取りまたは巻き戻す一対のウインチ3A、3Bが幅方向での間隔をおいて配設されている加工機械1’の当該各ワイヤー2A、2Bの上端をそれぞれ支持具4A、4Bに結合することにより、加工機械1’を切土法面Aの上部に配置して支持する。そして、当該加工機械1’を駆動して切土法面Aの上方から下方に向けて所定の切土法面処理工程を実施する。この場合も、第1切土工法の場合と同じように、一対の支持具4A、4B間の間隔を、加工機械1’における一対のワイヤー2A、2B間の間隔(ウインチ3A、3B間の間隔)よりも広くして、支持具4A、4Bと加工機械1’との間で張設されているワイヤー2A、2Bの平面視形状が、逆ハの字状にすることが好ましい。また一対のウインチ3A、3Bの前方に一定間隔をおいて一対のフェアリーダ等のガイド部材31A、31Bを配設することが好ましい。
縦方向分割施工区域A2の切土工程が終了してそこが切土法面に整形されれば、上記態様と同様にして、その切土法面に対する切土法面処理工程と隣接する縦方向分割施工区域A3に対する切土工程が並行して実施される。
次に、図4に基づき、本発明の第2の実施形態に係る安定化工法(第2安定化工法)について説明する。
この工法は、前記した第2切土工法で形成された切土法面に切土法面処理工程を実施しして当該切土法面を安定化させながら、これと並列的に、次に工事すべき未施工の縦方向分割施工区域に対して切土工程を実施する工法である。
以下にこの工法を図4で示した例を参照して説明する。図4の例では、切土対象の地山斜面に3つの横方向分割施工区域B1、B2、B3を設定し、横方向分割施工区域B1には4つの縦方向分割施工区域A1〜A4を、横方向分割施工区域B2には同じく4つの縦方向分割施工区域A5〜A8を、横方向分割施工区域B3にも同じく4つの縦方向分割施工区域A9〜A12を設定している。
また、図4では、既に、横方向分割施工区域B1内の縦方向分割施工区域A1、A2、A3までは切土工程とそれに続く切土法面処理工程が完了していて、その処理面は安定化処理法面A0になっているが、縦方向分割施工区域A4の場合は切土工程だけが終了していて、その法面は未処理の切土法面Aの状態を示している。そして、縦方向分割施工区域A4で既に切土工程を実施してそこを切土法面Aに整形した加工機械1が、前記した第1安定化工法の場合と同じように、横方向分割施工区域B1の下段の横方向分割施工区域B2内に位置する縦方向分割施工区域A5に移動配置され、また未だ切土法面処理工程が実施されていない縦方向分割施工区域A4に切土法面処理用の加工機械1’が新たに配置された状態を示している。
従って、切土施工用の加工機械1は一対の支持具4a、4bと一対のウインチ3a、3bとの間に平面視形状が逆ハの字状に張設された一対のワイヤー2a、2bで縦方向分割施工区域A5の上に配置されて支持されており、また切土法面を処理する加工機械1’は縦方向分割施工区域A4の頂部に新たに固定配置された一対の支持具4A、4Bと一対のウインチ3A、3Bとの間に同じく平面視形状が逆ハの字状に張設された一対のワイヤー2A、2Bを介して切土法面Aに配置されて支持されている。
この状態で、切土法面Aの上方から下方に向けて加工機械1’を駆動させて当該切土法面Aに対する切土法面処理工程が実施されて当該切土法面Aを安定化処理法面A0にする工事が進められる。これと並列して、縦方向分割施工区域A5の上方から下方に向けて加工機械1を駆動させて当該縦方向分割施工区域A5に対する切土工程が実施されて当該縦方向分割施工区域A5を切土法面Aにする工事が独立して進められる。
これらの各区域の工事が終了すると、加工機械1を前記した第1安定化工法と同様の作業を行って次の縦方向分割施工区域A6に移動配置してそこでの切土工程を実施し、また加工機械1’を第1安定化工法と同様にして既に切土工程が終了している縦方向分割施工区域A5の切土法面Aに移動配置してそこでの切土法面処理工程を実施するという態様で、切土工程と切土法面処理工程を同時進行で実施させる。そして、横方向分割施工区域B2の各縦方向分割施工区域A5〜A8に引き続き、最下段の横方向分割施工区域B3の各縦方向分割施工区域A9〜A12においても同様の作業を行い、最終的に、全ての面を安定化処理面に施工する。
上記した第1及び第2の実施形態に係る第1及び第2安定化工法によれば、縦方向分割施工区域を設定して作業ができ、不安定な作業足場を組む必要がなくなることに加え、切土工程とそれに続く切土法面処理工程を順次連続して実施することができる。そのため、先に切土工程を行った縦方向分割施工区域において切土法面処理工程を実施している際に、他の縦方向分割施工区域においては切土工程を実施するというように異なる作業工程を並列的に実施することができ、作業効率が高まる。また、各加工機械を遊休させることなく、さらなる工期の短縮、工事費の削減を実現することができる。
次に、第1及び第2安定化工法における切土法面処理工程をさらに詳細に説明する。これらの実施形態において、切土法面処理工程は、切土法面の所定位置にアンカーを設置するアンカー設置工程を実施した後、設置したアンカーが、各枠辺部又はそれらの交点のいずれかの範囲内に位置するように法枠を形成する法枠形成工程を実施することを特徴とする。
切土法面処理用の加工機械1’は、上記のように、加工機械1’の自走力に、ワイヤー2A、2Bの牽引力を利用して急傾斜地に施工された各縦方向分割施工区域の切土法面を各区域の頂上まで移動可能である。急傾斜地は、先に法枠を設置するとその自重により法枠自体が滑り落ちるおそれがあるし、また、表面から深い位置で亀裂が発生している場合には法枠を先に設置すると崩壊のおそれもある。そこで、このような急傾斜地こそ、速やかにアンカーを設置して地盤の滑り力を抑えることが好ましい。本実施形態では、加工機械1’が上記のようにワイヤー2A、2Bの牽引力を利用できる構成であるため、切土法面がいかに急傾斜であっても、安定した姿勢でアンカーの打設を行うことができる。
アンカー設定工程には、ロックボルト工、グランドアンカー工等の種々のアンカー工が含まれるが、急傾斜地におけるアンカー設置工程で使用する加工機械1’としては、図5〜図12に示したように、アウターケーシングとインナーロッドとの二重管式の削孔部材と前記削孔部材を移動可能に支持するガイドシェルとを備え、アウターケーシングとインナーロッドを、削孔時には切土法面の所定の位置に向かって共に前記ガイドシェルに沿って前進移動させ、削孔後、前記アウターケーシングを削孔内に位置させたまま、前記インナーロッドを前記ガイドシェルに沿って後退移動させ、その後、前記インナーロッドを取り外すことなく前記アウターケーシングを前記ガイドシェル上に後退させることができる加工機械100を用いることが好ましい。
この加工機械100は、架台101に無限軌道等の走行部102,102が取り付けられて自走式になっていると共に、架台101には左右に所定間隔をおいて一対のウインチ103,103が設けられ、このウインチ103,103に巻回されたワイヤー104,104が、施工区域の上方に設置される支持具200,200に連結されている。なお、ウインチ103,103の前方にはフェアリーダ等のガイド部材105,105が設けられており、ワイヤー104,104はこのガイド部材105,105に巻き掛けられ、張設方向が安定するようになっている。すなわち、ウインチ103,103とガイド部材105,105との間では、2本のワイヤー104,104は相互に略平行になるように張られているが、一対の支持具200,200の離隔距離を架台101の幅よりも広い距離としている場合に、ガイド部材105,105から支持具200,200までは一対のワイヤ104,104が拡開するように広がり、すなわち逆ハ字状に張設されることになる。このように張設することにより、上記したように加工機械100の動作方向の自由度が高まり、かつ、動作時における安定性が高まる。
架台101の前方端寄りに削孔機構部支持台106が設けられている。削孔機構部は、ガイドシェル107とこのガイドシェル107に支持される二重管式の削孔部材であるアウターケーシング108とインナーロッド109を有している。ガイドシェル107には、その下面の前方寄りに第1ブラケット107aが設けられており、この第1ブラケット107aが削孔機構部支持台106の上部に支軸106aを介して連結され、該ガイドシェル107はその後端側が上下に回動するように設けられている。ガイドシェル107において、上記第1ブラケット107aよりも後方に適宜の間隔離れた位置に第2ブラケット107bが下方に突出するように設けられており、この第2ブラケット107bと削孔機構部支持台106の下部との間にシリンダ120が連結配設されている。すなわち、シリンダ本体121の底部側が削孔機構部支持台106の下部に回動可能に連結され、ピストン122の先端側が第2ブラケット107bに回動可能に連結されている。従って、シリンダ120のピストン122がシリンダ本体121に対して伸長方向に変位すると、ガイドシェル107は、支軸106aを中心として上方に回動し、ピストン122がシリンダ本体121に収納される方向に変位すると、ガイドシェル107は支軸106aを中心として下方向に回動する。目的の削孔位置に移動するまでは、ピストン122をシリンダ本体121に収納された状態としてガイドシェル107を架台101に対して略平行に保持し、削孔位置に至ったならば、ピストン122を伸長させてガイドシェル107の後端側を上昇させ、ガイドシェル107を削孔位置に対して略垂直姿勢となるようにする(図8及び図9参照)。
ガイドシェル107は、二重管式のアウターケーシング108及びインナーロッド109を支持できる長さを備えている。例えば、ロックボルト工用であれば、アウターケーシング108及びインナーロッド109は例えば5〜10mの長さで形成され、ガイドシェル107はそれとほぼ同じがそれ以上の長さを有している。
ガイドシェル107には、該ガイドシェル107に沿って走行可能な走行体110が設けられている。この走行体110は、ガイドシェル107の下面側に配置された伝動装置111に連結され、ガイドシェル107に沿って移動する。伝動装置111は、ガイドシェル107の後端側に配置された駆動モータ111dにより回転するギヤやプーリ等からなる原動側回転部材111aと、ガイドシェル107の先端側に配置されたギヤやプーリ等からなる従動側回転部材111bと、原動側回転部材111aと従動側回転部材111bに巻き掛けられるチェーンやベルト等からなる帯状部材111cとを備えて構成され、帯状部材111cに走行体110が連結されている。従って、駆動モータ111dの駆動により原動側回転部材111aが回転すると帯状部材111cが原動側回転部材111aと従動側回転部材111bとの間で回転動作する。これにより、帯状部材111cに連結された走行体110がガイドシェル107に沿って後端側から先端側へ、あるいは、先端側から後端側へとスライド移動する。
ガイドシェル107には、走行体110を挟んで後端側にドリフタ112が配設され、先端側に回転引抜装置114が配設されている。ドリフタ112及び回転引抜装置114は、いずれもガイドシェル107に沿って移動可能に設けられている。ドリフタ112にはガイドシェル107の先端側に向かって突出する連結用バー112aが設けられ、回転引抜装置114にはガイドシェル107の後端側に向かって突出する連結用バー114aが設けられている。一方、走行体110の前後には連結用穴110a,110aが設けられており(図7(a)参照)、後端側の連結用穴110aにドリフタ112の連結用バー112aを連結することにより、ドリフタ112が走行体110に牽引されてガイドシェル107上をスライド移動する。走行体110の先端側の連結用穴110aに回転引抜装置114の連結用バー114aを連結することにより、回転引抜装置114が走行体110に牽引されてガイドシェル117上をスライド移動する。
ここで、ドリフタ112には、スイベル112bを介して、インナーロッド109及びアウターケーシング108の後端側が接続される。また、インナーロッド109及びアウターケーシング108の先端側は、回転引抜装置114を貫通し、さらに、ガイドシェル107の最先端部に設けられた支持板115を貫通して支持されている。回転引抜装置114には、図7に示したように、中央部に回転自由に配設された筒状部材114bが配設されており、筒状部材114b内をアウターケーシング108が貫通する。筒状部材114bの周囲にはギア部材114cが設けられており、このギア部材114cは、回転引抜装置114に付設された回転モータ114dの出力軸に連結された出力ギア114eにかみ合い、回転モータ114dを駆動させると、出力ギア114e、ギア部材114cを介して筒状部材114bが回転する。一方、アウターケーシング108の後端付近には、回り止め用の角形の回転引抜用ブロック108aが溶接等により固着されている。また、筒状部材114bの後端側には、回転引抜用ブロック108aが嵌ることができる同形状に形成された凹状のチャック部114fが形成されている。従って、アウターケーシング108を前進させ、回転引抜用ブロック108aをチャック部114fに嵌め合わせ、ドリフタ112との接続を解除すると、回転引抜装置114の回転モータ114dの駆動により、筒状部材114bと共にアウターケーシング108が回転することになる。
この加工機械100によれば、所定の削孔位置までは、図8に示したように削孔機構部を架台101に対して略平行な姿勢で移動する。なお、この初期状態では、ドリフタ112をガイドシェル107の後端側に、回転引抜装置114をガイドシェル107の先端側に位置させ、走行体110はドリフタ112の連結用バー112aに連結させた状態としておく。削孔位置に至ったならば、ガイドシェル107の後方が上昇するようにシリンダ120のピストン122を伸長させて回動し、図9に示したように、二重管式のアウターケーシング108及びインナーロッド109が削孔位置に対して略垂直になるようしてセットして位置決めする。
位置決めしたならば、伝動装置111を駆動し、帯状部材111cを回動させて走行体110をガイドシェル107の先端側に向かって移動させる。また、ドリフタ112を駆動させ、アウターケーシング108とインナーロッド109を共に地面(法面)に押しつけて回転させながら打撃していく。これにより、アウターケーシング108の先端のアウタービット108bにより削孔され、アウターケーシング108及びインナーロッド109が共に地面に侵入していき、削孔300を形成していく(図12参照)。なお、このとき、アウターケーシング108の回転引抜用ブロック108aは、回転引抜装置114のチャック部114fに嵌め合わせないようにしておく。
アウターケーシング108及びインナーロッド109が所定長さ地面に侵入して削孔工程が終了したならば、回転引抜用ブロック108aを回転引抜装置114のチャック部114fに嵌め合わせる。また、アウターケーシング108の後端部をドリフタ112から外す。この状態で伝動装置111を動作させて走行体110をガイドシェル107に沿って後退移動させる。これにより、図11に示したように、アウターケーシング108を削孔300内に残した状態で、インナーロッド109のみが引き抜かれ、ガイドシェル107上に復帰する。
インナーロッド109を引き抜いたならば、図12に示したように、削孔300内に存置されているアウターケーシング108内に鉄筋等の応力材301を挿入し、さらに、セメント等の充填材302を充填する。
次に、ドリフタ112の連結用バー112aと走行体110の連結用穴110aとの連結を解除し、走行体110を前進させ、回転引抜装置114の連結用バー114aを走行体110の連結用穴110aに接続する。その状態で、図12に示したように、回転引抜装置114の回転モータ114dを駆動し、筒状部材114bを回転させる。アウターケーシング108は回転引抜用ブロック108aが回転引抜装置114のチャック部114fに嵌め合わせられているため、筒状部材114bが回転することにより回転する。アウターケーシング108をこのようにして回転させながら、走行体110を後退移動させると、回転引抜装置114が後退していき、アウターケーシング108は削孔300から引き抜かれていく。削孔前の状態では、ガイドシェル107上において、アウターケーシング108はインナーロッド109の外周を取り囲むようにセットされていたため、アウターケーシング108を引き抜いていくと、既にガイドシェル107上に復帰しているインナーロッド109の周囲に該アウターケーシング108は外挿されることになる。そして、アウターケーシング108の後端部をスイベル112bを介してドリフタ112に再接続する。なお、回転引抜装置114は、走行体110を動作させてガイドシェル107の先端側の初期位置に復帰させ、さらにその後走行体110を後退させて、ドリフタ112の連結用バー112aに走行体110を連結して図9に示した状態にする。これにより、次の削孔作業を行うことができる状態となる。
ある一つのロックボルト等のアンカーを施工したならば、一対のウインチ103,103に接続された一対のワイヤー104,104の長さを調整し、上下左右に加工機械100を移動させて、次の削孔位置において上記作業を順次行っていく。
従来、二重管式の削孔装置では、引き抜く際には、まず、アウターケーシングを削孔内に残したまま、ドリフタを後退させてインナーロッドのみを引き抜き、インナーロッドを取り外してから、ドリフタを再度前進させてアウターケーシングに接続し、アウターケーシングを引き抜くという工程を経て行われる。このため、インナーロッドを取り外した際の一時保管場所の確保に問題があり、また、インナーロッドの取り外し作業等の手間がかかっていた。しかしながら、上記した加工機械100によれば、例えばロックボルト工であれば、例えば5〜10mの長さを有するアウターケーシング108及びインナーロッド109を用いると共に、ガイドシェル107としてそれと同程度かそれ以上の長さを有するものを用い、さらにアウターケーシング108を単独で支持しかつ単独で後退移動できる機構を採用する。それにより、5〜10m程度の削孔300を形成するのに必要な長さを備えた、二重管式のアウターケーシング108及びインナーロッド109を引き抜いた際に、その長さのまま受け入れることができる。その結果、上記のように先に引き抜いたインナーロッド109を取り外すことなく、その外周囲にアウターケーシング108を外挿することができ、従来よりも効率のよい作業を実施できる。すなわち、インナーロッドの一時保管場所が不要であり、そのような保管場所を形成することが困難な急傾斜地用として特に適していると共に、工期の短縮、工事費の削減を目的とする本発明の安定化工法にける切土法面処理に適している。
なお、上記した加工機械100はロックボルト工に限らずグランドアンカー工でも適用可能である。すなわち、従来のグランドアンカー工において用いていた二重管式削孔装置では、1〜1.5mのアウターケーシング及びインナーロッドを複数本連結しながら削孔し、引き抜く際は、それらを一つずつ切り離しながら行う必要があった。しかしながら、この工法においても上記した加工装置100ならば、ガイドシェルとして、グランドアンカー工における削孔に必要な1〜1.5mのものを複数本連結した長さ以上(数m〜数十m)のものを用いることで、連結されて1本の状態になったインナーロッドを一度に引き抜き、かつ、同じく1本の状態になったアウターケーシングを同様に引き抜いてインナーロッドに外挿させることが可能となり、効率のよい作業を行うことが可能となる。
上記によりアンカー設置工程を実施したならば、次に、法枠形成工程を実施する。本実施形態によれば、既にアンカー工が設置されているため、地盤の安定性が高まっている。この状態で法枠を形成するため、急傾斜地でありながら法枠の安定した設置が可能となる。
法枠形成工程は、型枠を設置し、この型枠を用いて硬化材によって法枠を造成する工程を有する。硬化材による造成としては、型枠内にモルタルやコンクリート等の硬化材を吹き付る手段は、打設する手段等を採用することができる。この点は、一般の法枠形成工程と同様であるが、本実施形態は、図13に示したように、アンカー500(図12に示した鉄筋等の応力材301とセメント等の充填材302とから構成される)が既に設置されているため、このアンカー500が法枠の範囲に位置するように施工される。すなわち、型枠600は、鉄筋や金網を用いて格子状に形成されるが、アンカー500がこの格子の交点に位置するように形成される。なお、アンカー500の位置はこれに限らず、隣接する交点間の辺の間に位置するようにしてもよし、格子の交点と、辺の間の両方に位置するようにしてもよい。次に、型枠600内に硬化材700を吹き付け等して硬化させ、格子状の法枠を形成する。
本実施形態によれば、アンカー500を先に打設して法枠を形成する。アンカー500の打設は、予め法枠が設置されていれば、そこに形成したアンカー用のガイド孔を通じて打設すればよいが、急傾斜地において先に法枠を設置することは、自重による滑り落ちや地盤の崩壊など上記のような問題が生じる。そこでアンカー500を先に打設することが考えられるが、急傾斜地では足場の構築が困難であり、アンカーを打設するための加工機械を用いることが難しい。しかし、本実施形態では、上記した加工機械100を用いることにより、急傾斜地において足場を構築することなく容易にアンカーを打設することができる。
法枠形成工程で形成される各法枠は多角形であり、例えば略三角形又は略四角形であり、そのうちの一つの角部が各法枠の中で下端に位置するように形成されることが好ましい。例えば、図14に示したように、法枠700は略四角形(略菱形)となるように形成され、各辺の交点にアンカー500が締結されるように設置される。そして、一つの角部が各法枠の中で下端に位置するように形成されることで、上下方向中途位置から当該角部の最も高い位置に向かって傾斜する傾斜壁からなる排水部710を形成する(図15参照)。これにより、図15の矢印Bに示したように、法枠内の雨水が該排水部710を伝って斜面の下方へと流れることになり、法枠内に雨水が溜まることを防止できる。なお、法枠は多角形のものに限らず、縦枠のみからなる構成とすることも可能である。
ここで、法枠形成工程における硬化材による造成工程、すなわち、モルタルやコンクリート等の吹き付けや打設は、上記したワイヤ−2A,2Bの牽引力を利用して切土法面Aを移動する加工機械1’を用いて実施することができることはもちろんである。加工機械1’を用いた硬化材の吹き付け作業等は、法枠形状が多角形でも可能であるが、縦枠のみからなるものについては、特に加工機械1’の移動が上下方向だけとなって容易であるため、適している。
なお、法枠形成工程では、図16に示したように、予め所定形状に形成された法枠ブロック800を、打設済みのアンカー500に締結して設置する工法を採用することも可能である。
法枠ブロック800としては、略十字型に形成されたものを用いる一方、図17に示したように、隣接する4つの各法枠ブロック800の交点を結んだ仮想四角形900(図において二点鎖線で示す)の一つの角部900Aが下端となるように、すなわち、この仮想四角形900が略菱形となるように配置することが好ましい。この場合、図17(a)に示したように、法枠ブロック800の各辺800Bと仮想四角形900の各辺900Bとが正面から見てずれた位置関係で設置してもよいし、図17(b)に示したように、法枠ブロック800の各辺800Bと仮想四角形900の各辺900Bとが正面からみて一致する位置関係で設置してもよい。
法枠ブロック800を用いる場合、法枠ブロック800の各辺800B同士は、それらを結んだときにできるだけ一直線上に位置することが好ましく、それにより、法枠形成後の見栄えがよくなる。しかし、アンカー500を先に設置した場合、隣接する法枠ブロック800の各辺800B同士が厳密に一直線とならずズレが生じるおそれがある。この場合、図16のように、隣接する4つの各法枠ブロック800の交点を結んだ仮想四角形の横辺が水平となるように配置する場合と、図17(a),(b)のように仮想四角形900の各辺900Bが斜めの位置関係となるように配置する場合とを比較すると、各辺800B同士の間にズレがあった場合、そのズレは視覚的には図17(a),(b)の構成の方が目立ちにくい。そこで、アンカー500を先に設置する場合には、法枠ブロック800を図17のように配置することが好ましい。また、同様の理由から、型枠600を用いて法枠700を形成する工法の場合も、図13に示したような形状よりも、図14に示したような略菱形形状とした方が視覚的にズレが目立たないという利点がある。
また、法枠ブロック800の運搬設置工程も、上記したワイヤ−2A,2Bの牽引力を利用して切土法面Aを移動する加工機械1’を用いて実施することができることはもちろんである。
なお、上記した説明では、切土工程及び前記切土法面処理工程における作業の少なくとも一部を、ワイヤーに支持された加工機械を用いて実施している。例えば、切土工程で使用する加工機械、切土法面処理工程におけるアンカー設置工程で使用する加工機械として、ワイヤーに支持されたものを使用している。ワイヤーに支持された加工機械を用いる工程は、これに限らず、上記のように、法枠形成工程における硬化材の吹き付け作業等、あるいは、法枠ブロックの運搬設置作業等にも利用できることはもちろんであると共に、さらに、他の工程においても、必要に応じてワイヤーに支持された加工機械を用いることが急傾斜地の作業には適している。
A 切土法面
A0 切土法面の処理面
A1,A2,A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10、A11、A12、
A13、A14、A15 縦方向分割施工区域
B1、B2、B3 横方向分割施工区域
1 切土用の加工機械
1’、100 切土法面処理用の加工機械
2a、2A、2b、2B、104 ワイヤー
3a、3A、3b、3B、103 ウインチ
4a、4A、4b、4B、200 支持具
301 応力材
302 充填材
500 アンカー
600 型枠
700 法枠
800 法枠ブロック
900 仮想四角形

Claims (13)

  1. 急傾斜の地山斜面を切土して切土法面を形成する切土工程と、形成された当該切土法面を処理する切土法面処理工程とを有する地山斜面の安定化工法であって、
    切土対象の地山斜面を幅方向に沿って複数に区分し、前記地山斜面の上下方向に沿った縦方向分割施工区域を複数設定し、
    前記複数の縦方向分割施工区域のうち、一の縦方向分割加工区域に切土工程を実施して切土法面を形成した後、当該縦方向分割加工区域における切土法面を処理する切土法面処理工程と、次の縦方向分割施工区域における切土工程とを並行して実施し、
    以降、順次、切土工程を実施した縦方向分割加工区域の切土法面への切土法面処理工程と、次の縦方向分割施工区域の切土工程とを並行して実施していくと共に、
    前記切土工程及び前記切土法面処理工程における作業の少なくとも一部を、ワイヤーに支持された加工機械を用い、前記ワイヤーの牽引力を利用して前記加工機械を前記縦方向分割施工区域内で移動させて実施し、
    かつ、前記切土法面処理工程として、
    前記切土法面の所定位置にアンカーを設置するアンカー設置工程と、
    前記アンカー設置工程後、前記アンカーが、各枠辺部又はそれらの交点のいずれかの範囲内に位置するように法枠を形成する法枠形成工程と
    を実施することを特徴とする地山斜面の安定化工法。
  2. 急傾斜の地山斜面を切土して切土法面を形成する切土工程と形成された当該切土法面を処理する切土法面処理工程とを有する地山斜面の安定化工法であって、
    切土対象の地山斜面を上下方向に沿って複数に区分して横方向分割施工区域を設定すると共に、前記横方向分割施工区域ごとにその幅方向に沿って複数に区分し、前記地山斜面の上下方向に沿った複数の縦方向分割施工区域を設定し、
    前記横方向分割施工区域のうち上段に位置する横方向分割施工区域において、当該横方向分割施工区域内に位置する前記複数の縦方向分割施工区域のうち、一の縦方向分割施工区域に切土工程を実施した後、当該縦方向分割施工区域における切土法面処理工程と、当該横方向分割施工区域内又はその下段の横方向分割施工区域内に位置する次の縦方向分割施工区域に切土工程とを並行して実施し、
    その後、順次、より下段に位置する横方向分割施工区域において前記切土処理及び前記切土法面処理を並行して実施していくと共に、
    前記切土工程及び前記切土法面処理工程における作業の少なくとも一部を、ワイヤーに支持された加工機械を用い、前記ワイヤーの牽引力を利用して前記加工機械を前記縦方向分割施工区域内で移動させて実施し、
    かつ、前記切土法面処理工程として、
    前記切土法面の所定位置にアンカーを設置するアンカー設置工程と、
    前記アンカー設置工程後、前記アンカーが、各枠辺部又はそれらの交点のいずれかの範囲内に位置するように法枠を形成する法枠形成工程と
    を実施することを特徴とする地山斜面の安定化工法。
  3. 前記切土工程又は前記切土法面処理工程で用いられる前記加工機械は、幅方向に間隔をおいて一対のワイヤーが設けられており、前記各ワイヤーの上端を前記縦方向分割区域の上方で支持し、前記各ワイヤーの牽引力を利用して前記加工機械を前記縦方向分割施工区域内で移動させ、一の縦方向分割施工区域における切土工程又は切土法面処理工程を実施した後、前記各ワイヤーで前記加工機械を前記縦方向分割施工区域の上部にまで移動させ、ついで、当該加工機械を他の縦方向分割施工区域に移動させて当該他の縦方向分割施工区域内の切土工程又は切土法面処理工程を実施する請求項1又は2記載の地山斜面の安定化工法。
  4. 前記一対のワイヤーは、前記縦方向分割施工区域の上方で支持された部位における該一対のワイヤー間の間隔が、前記加工機械に支持された部位における該一対のワイヤー間の間隔よりも広くなるように張設されている請求項3記載の地山斜面の安定化工法。
  5. 前記法枠形成工程は、型枠を設置した後、硬化材によって造成する工法により実施される請求項1〜4のいずれか1に記載の地山斜面の安定化工法。
  6. 前記硬化材による造成工程を、前記ワイヤーに支持された加工機械を用いて実施する請求項5記載の地山斜面の安定化工法。
  7. 前記法枠形成工程は、予め所定形状に形成された法枠ブロックを設置する工法により実施される請求項1〜4のいずれか1に記載の地山斜面の安定化工法。
  8. 前記法枠ブロックの設置工程を、前記ワイヤーに支持された加工機械を用いて実施する請求項7記載の地山斜面の安定化工法。
  9. 前記法枠形成工程で形成される各法枠は多角形であり、そのうちの一つの角部が各法枠の中で下端に位置するように形成される請求項1〜8のいずれか1に記載の地山斜面の安定化工法。
  10. 前記下端に位置する角部に排水部が設けられている請求項9記載の地山斜面の安定化工法。
  11. 前記法枠ブロックとして略十字型に形成されたものを用い、隣接する4つの各法枠ブロックの交点を結んだ仮想四角形の一つの角部が下端となるように配置する請求項7又は8記載の地山斜面の安定化工法。
  12. 前記アンカー設置工程では、
    前記加工機械として、
    アウターケーシングとインナーロッドとの二重管式の削孔部材と前記削孔部材を移動可能に支持するガイドシェルとを備え、
    前記アウターケーシングとインナーロッドを、削孔時には切土法面の所定の位置に向かって共に前記ガイドシェルに沿って前進移動させ、削孔後、前記アウターケーシングを削孔内に位置させたまま、前記インナーロッドを前記ガイドシェルに沿って後退移動させ、その後、前記インナーロッドを取り外すことなく前記アウターケーシングを前記ガイドシェル上に後退させることができるものを用いて実施する請求項1〜11のいずれか1に記載の地山斜面の安定化工法。
  13. 前記加工機械として、
    前記ガイドシェルに沿って移動可能であると共に、前記アウターケーシング及びインナーロッドが接続され、前記アウターケーシング及びインナーロッドによる削孔を実施する際の駆動力を付与するドリフタと、
    前記ドリフタとは独立して前記ガイドシェルに沿って移動可能であると共に、前記アウターケーシングを保持可能な回転引抜装置と
    を有し、
    前記アウターケーシング及びインナーロッドによる削孔後、前記アウターケーシングを前記回転引抜装置に保持させると共に前記ドリフタとの接続を解除し、前記アウターケーシングを前記削孔内に位置させたまま、前記ドリフタを後退させて前記インナーロッドを前記ガイドシェルの待機位置に復帰させ、前記削孔内に位置する前記アウターケーシング内への充填材の充填作業後、前記アウターケーシングを保持した前記回転引抜装置を後退させ、待機状態の前記インナーロッドの周囲に、前記アウターケーシングを外挿して前記ドリフタに再接続可能な構成のものを用いる請求項12記載の地山斜面の安定化工法。
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