JP2015056990A - ワイヤハーネス - Google Patents
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Abstract
【課題】複数のサブハーネスを結束してワイヤハーネスを形成する際に、テープや締付バンド等の結束材を不要とする。【解決手段】複数のサブハーネスを合体して組み立てるワイヤハーネスであって、前記複数のサブハーネスは、それぞれ暗部硬化性の紫外線硬化樹脂を塗布した後に紫外線を照射して所要形状に硬化させた外装部を備えており、これら複数のサブハーネスの前記外装部は互いに嵌合させて合体保持できる形状としている。【選択図】図1
Description
本発明はワイヤハーネスに関し、詳しくは、自動車等の車両に配索するワイヤハーネスを複数のサブハーネスを合体させて構成するものである。
車両に配索するワイヤハーネスは構成する電線群が多数本になると共に分岐も増加し、ワイヤハーネスが複雑化および大型化している。よって、インストルメントパネルハーネス、フロアハーネス、エンジンハーネス等の大型のワイヤハーネスは、同一のコネクタに接続する複数本の電線を予め結束してサブハーネスを設けておき、複数のサブハーネスを組み合わせて本結束し、1つのワイヤハーネスとして組み立てている。
前記複数のサブハーネスを組み合わせて本結束する場合、ワイヤハーネス組立作業台上に立設した布線治具にサブハーネスの電線を支承して配線していき、全てのサブハーネスの布線終了後に、これらのサブハーネスにテープやシートを巻き付け、あるいはコルゲートシューブに通して電線の保護を図ると共に本結束を行っている。
このように、サブハーネスを本結束する際に、テープ、シート等の何らかの結束部品を必要とし、かつ、テープ巻き等は作業の熟練度により製品精度が左右される問題がある。
前記問題に対して、特開2012−249428号公報において、図7に示すように、電線束100、200をそれぞれ樹脂成形体110、210でモールドし、該樹脂成形体110、210に凹凸嵌合部150、250を設けて凹凸嵌合して合体する合体ワイヤハーネスが提案されている。
特許文献1ではサブハーネスに相当する電線束100、200を成形金型内に挿入してモールドにより樹脂成形体110、210を成形しているため、成形設備が必要となり、コスト高になる。かつ、このモールド成形をワイヤハーネスの組立作業台上で行うことができず、別作業でなり、ワイヤハーネスの他の組立作業と連続的に行うことができない。よって、作業時間がかかり、生産性が悪い問題がある。
本発明は前記問題に鑑みてなされたもので、ワイヤハーネスの組立作業台上で、テープ等の結束部品を不要しながら、複数のサブハーネスを合体させて形成できるワイヤハーネスを提供することを課題としている。
前記課題を解決するため、本発明は、複数のサブハーネスを合体して組み立てるワイヤハーネスであって、
前記複数のサブハーネスは、それぞれ暗部硬化性の紫外線硬化樹脂を塗布した後に紫外線を照射して所要形状に硬化させた外装部を備えており、これら複数のサブハーネスの前記外装部は互いに嵌合させて合体保持できる形状としていることを特徴とするワイヤハーネスを提供している。
前記複数のサブハーネスは、それぞれ暗部硬化性の紫外線硬化樹脂を塗布した後に紫外線を照射して所要形状に硬化させた外装部を備えており、これら複数のサブハーネスの前記外装部は互いに嵌合させて合体保持できる形状としていることを特徴とするワイヤハーネスを提供している。
前記サブハーネスに設ける前記外装部は、少なくとも幹線から枝線が分岐する分岐領域を含めた所要領域に部分的に設け、あるいはサブハーネスの全長に設け、
複数の前記サブハーネスの外装部を凹凸嵌合して合体して、断面形状が楕円状あるいは円形となるようにしていることが好ましい。
例えば、ワイヤハーネスの全長が短いと共に簡単に構成である場合は、該ワイヤハーネスを構成するサブハーネスの全長に前記外装部を設け、全長にわたってサブハーネス同士を合体させることが好ましい。
一方、ワイヤハーネスがインストルメントハーネス、エンジンハーネス、フロアハーネス等のワイヤハーネスの全体が長く、多数のサブハーネスを組み合わせて構成している場合には、分岐箇所を含めて結束すべき箇所(屈曲部等)に部分的に暗部硬化性の紫外線硬化樹脂からなる外装部を設けることが好ましい。
なお、外部干渉材がなく、平坦な車体パネルに沿って直線状に配索するワイヤハーネスの領域等では複数のサブハーネスに車体係止用のバンドクリップを間隔をあけて巻き付けてサブハーネス同士を結束するため、当該領域には前記紫外線硬化樹脂からなる外装材を設けなくてもよい。
複数の前記サブハーネスの外装部を凹凸嵌合して合体して、断面形状が楕円状あるいは円形となるようにしていることが好ましい。
例えば、ワイヤハーネスの全長が短いと共に簡単に構成である場合は、該ワイヤハーネスを構成するサブハーネスの全長に前記外装部を設け、全長にわたってサブハーネス同士を合体させることが好ましい。
一方、ワイヤハーネスがインストルメントハーネス、エンジンハーネス、フロアハーネス等のワイヤハーネスの全体が長く、多数のサブハーネスを組み合わせて構成している場合には、分岐箇所を含めて結束すべき箇所(屈曲部等)に部分的に暗部硬化性の紫外線硬化樹脂からなる外装部を設けることが好ましい。
なお、外部干渉材がなく、平坦な車体パネルに沿って直線状に配索するワイヤハーネスの領域等では複数のサブハーネスに車体係止用のバンドクリップを間隔をあけて巻き付けてサブハーネス同士を結束するため、当該領域には前記紫外線硬化樹脂からなる外装材を設けなくてもよい。
前記互いに合体する前記サブハーネスの外装部には、一方の外装部に他方の外装部を嵌合保持する嵌合片を設けると共に、軸線方向の移動を防止するストッパー部を設けていることが好ましい。
例えば、前記分岐位置を挟む両側の幹線側領域で合体する複数のサブハーネスの前記外装部には、合体する少なくとも一方に他方の外装部を内嵌保持する嵌合片を設けると共に、軸線方向の移動を防止するストッパー部を設けている。サブハーネスが幹線領域から屈曲して枝線領域となる部分を含む場合、幹線側領域で前記のように嵌合片で合体状態で保持できれば、枝線側領域では、嵌合ではなく、単に合体できる形状にすれば離脱不可に保持できる。
例えば、前記分岐位置を挟む両側の幹線側領域で合体する複数のサブハーネスの前記外装部には、合体する少なくとも一方に他方の外装部を内嵌保持する嵌合片を設けると共に、軸線方向の移動を防止するストッパー部を設けている。サブハーネスが幹線領域から屈曲して枝線領域となる部分を含む場合、幹線側領域で前記のように嵌合片で合体状態で保持できれば、枝線側領域では、嵌合ではなく、単に合体できる形状にすれば離脱不可に保持できる。
前記サブハーネスに形成する外装部を形成する紫外線硬化樹脂は、前記のように、暗部硬化性を有するものとしている。該暗部硬化性の紫外線硬化樹脂は、一部を外方から紫外線照射するだけで硬化が連鎖して進行し、照射光が遮られる部分、照射光が届かない内部、照射側と反対側の裏面を含む紫外線硬化樹脂の全体を硬化させることができる。よって、ワイヤハーネスの長い領域に暗部硬化性の紫外線硬化樹脂からなる外装部を設けても、全体に紫外線を照射させる必要が無く、一部に紫外線を照射するだけで良いため、短時間で硬化した外装部を形成できる。
前記紫外線硬化樹脂は、イソシアネート基を2つ以上有するポリイソシアネート化合物に対し、水酸基を2つ以上有するポリオールの水酸基の2つ以上が(メタ)アクリレートとエステル結合を形成することにより、水酸基の数が1以下に設定されたポリオールの(メタ)アクリレートを主成分とする紫外線硬化剤(A)と、
ウレタン結合、尿素結合、イソシアネート基から選択される少なくとも1種を1個以上含む化合物と、含金属化合物とを含有する金属錯体化合物からなる連鎖移動剤(B)と、 紫外線重合開始剤(C)と、
を配合した組成物からなる。
ウレタン結合、尿素結合、イソシアネート基から選択される少なくとも1種を1個以上含む化合物と、含金属化合物とを含有する金属錯体化合物からなる連鎖移動剤(B)と、 紫外線重合開始剤(C)と、
を配合した組成物からなる。
前記紫外線硬化樹脂層は、前記紫外線硬化剤(A)における前記ポリイソシアネートの化合物と前記ポリオールの(メタ)アクリレートの配合比を質量比で90:10〜60:40とし、紫外線照射後の硬度を比較的高いものとすることが好ましい。
また、該暗部硬化性の紫外線硬化樹脂は120℃以下では溶融しない耐熱性を有するものとしている。
また、該暗部硬化性の紫外線硬化樹脂は120℃以下では溶融しない耐熱性を有するものとしている。
前記暗部硬化性の紫外線硬化樹脂は、前記連鎖移動剤(B)を配合していることを特徴としている。該暗部硬化性を有する紫外線硬化樹脂として、本出願人の先願に係わるWO2012/102299号公報に記載の紫外線硬化性組成物が好適に用いられる。
該暗部硬化性の紫外線硬化性組成物は、照射光が届かない暗部に位置しラジカル発生が無い部分を硬化できる紫外線硬化樹脂からなる。
なお、有機・無機フィラー、カーボン・金属粒子、繊維、ポリマー・オリゴマー、各種改質添加剤等からなる紫外線透過抑制物を配合した場合も、全体を確実に硬化させることができる。
該暗部硬化性の紫外線硬化性組成物は、照射光が届かない暗部に位置しラジカル発生が無い部分を硬化できる紫外線硬化樹脂からなる。
なお、有機・無機フィラー、カーボン・金属粒子、繊維、ポリマー・オリゴマー、各種改質添加剤等からなる紫外線透過抑制物を配合した場合も、全体を確実に硬化させることができる。
前記暗部硬化性を有する紫外線硬化樹脂は、熱処理や湿気硬化処理等を必要とせず、紫外線が照射されて紫外線硬化樹脂の一部が硬化すると、紫外線が遮られた暗部も前記連鎖移動剤により順次硬化させることができ、紫外線硬化樹脂の全体を暗部も含めて迅速に硬化させることができる。具体的には、暗部硬化性を有する紫外線硬化樹脂に対して、例えばUVランプで10秒間紫外線照射を行うと、ランプにより照射された部分は瞬時に硬化し、UVランプの光が届かない暗部も数十秒間の放置で硬化できる。
また、本発明は、前記ワイヤハーネスの組立方法を提供している。
該組立方法は、複数のサブハーネスの形成時に、各サブハーネスの電線群に暗部硬化性の紫外線硬化樹脂を塗布した後に型枠内に挿入し、ついで、外部から紫外線を照射して、前記型枠の内面に沿った形状に硬化させた所要断面形状の外装部を設け、
前記外装部を設けたサブハーネスをワイヤハーネスの組立作業台上の本結束時に、前記外装部同士を嵌合して合体保持しているワイヤハーネスの組立方法からなる。
該組立方法は、複数のサブハーネスの形成時に、各サブハーネスの電線群に暗部硬化性の紫外線硬化樹脂を塗布した後に型枠内に挿入し、ついで、外部から紫外線を照射して、前記型枠の内面に沿った形状に硬化させた所要断面形状の外装部を設け、
前記外装部を設けたサブハーネスをワイヤハーネスの組立作業台上の本結束時に、前記外装部同士を嵌合して合体保持しているワイヤハーネスの組立方法からなる。
前記のように、本発明の複数のサブハーネスを結束して1本のワイヤハーネスを組み立てる場合、暗部硬化性の紫外線硬化樹脂で所要形状に硬化して形成した外装部を各サブハーネスに予め設けているため、本結束時に従来必要とされたテープ巻きや締付バンドにより締結等が不要となり、部品点数および取付作業性を簡素化できる。かつ、前記外装部を嵌合して合体し、断面円形あるいは楕円状等にコンパクトにまとめると、ワイヤハーネスの配索スペースを狭小化できる等の利点がある。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図3に第1実施形態を示す。
図1(A)に示す実施形態のワイヤハーネス1は自動車に配索するワイヤハーネスであり、幹線1Aおよび該幹線1AからT字状に分岐する枝線1Bを備え、該ワイヤハーネス1はサブハーネス3、4、5を本結束して組み立てている。
図1乃至図3に第1実施形態を示す。
図1(A)に示す実施形態のワイヤハーネス1は自動車に配索するワイヤハーネスであり、幹線1Aおよび該幹線1AからT字状に分岐する枝線1Bを備え、該ワイヤハーネス1はサブハーネス3、4、5を本結束して組み立てている。
前記ワイヤハーネス1は、幹線1Aから枝線1Bが分岐する部分の幹線側領域Z1および枝線側領域Z2にかけて、各サブハーネス3、4、5の電線群3W、4W、5Wをそれぞれ暗部硬化性の紫外線硬化樹脂20からなる外装部23、24、25で外装している。幹線側領域Z1で外装部23と24、23と25を断面楕円形状に嵌合して合体し、枝線側領域Z2では外装部24と25を断面円形に嵌合して合体し、テープや締付バンドを用いずに合体状態を保持している。
前記外装部23、24、25は、各サブハーネス3、4、5の電線群3W、4W、5Wに後述する暗部硬化性の紫外線硬化樹脂20を塗布し、塗布後に外装部23、24、25を形成する部分を図2に示す型枠6、7、8に挿入し、この状態で紫外線を照射し、それぞれ所要形状に硬化して設けている。なお、前記電線群3W〜5Wへの紫外線硬化樹脂20の塗布は、溶融した紫外線硬化樹脂の貯留槽に電線群3W、4W、5Wを浸漬して塗布することが好ましい。
詳細には、幹線側領域Z1では、サブハーネス3の電線群3Wを内部に挿通した紫外線硬化樹脂20からなる外装部23の外形を略断面半楕円状としている。分岐位置Pを挟む一方側に断面半楕円状としたサブハーネス4の幹線部4aの外装部24aをサブハーネス3の前記外装部23に嵌合して合体している。分岐位置Pを挟む他方側に断面半楕円状に形成したサブハーネス5の幹線部5aの外装部25aをサブハーネス3の外装部23と嵌合して合体している。
前記幹線側領域Z1では、サブハーネス3、4の外装部23と24a、サブハーネス3、5の外装部23と25aは長さ方向に延在する平面部を突き合わせて合体して断面楕円形状としている。該合体状態を、テープや締結バンドを用いずに保持できるようにするため、外装部23を図1(B)に示す形状としている。即ち、断面半楕円状とするサブハーネス3の外装部23には、半円弧状の外周面23cの両端縁から平面部23sを挟むように円弧状の嵌合片23dと23eを突設している。該嵌合片23dと23eの間に、サブハーネス4、5の外装部24a、25aの平面部24s、25sを外装部23の平面部23sと突き合わせて無理入れ状に嵌合している。
さらに、サブハーネス3の外装部23には、長さ方向の両端に平面部23sからストッパー部23h、23iを突設し、かつ、ストッパー部23h、23iに隣接した両側縁に前記嵌合片23d、23eを設けていない挿入開口23j、23kを設けている。
長さ方向の一方の挿入開口23jよりサブハーネス4の外装部24aを挿入し、前記嵌合片23d、23eで挟んだ状態で押し込み、分岐位置Pに先端を位置させ、他端を前記ストッパー部23hに当接して、外装部23と24aを合体保持している。
同様に、長さ方向の他方の挿入開口23kよりサブハーネス5の外装部25aを挿入し、前記嵌合片23d、23eで挟んだ状態で押し込み、分岐位置Pに先端を位置させて前記外装部24aと突き合わせ、他端を前記ストッパー部23iに当接して、外装部23と25aを合体保持している。
長さ方向の一方の挿入開口23jよりサブハーネス4の外装部24aを挿入し、前記嵌合片23d、23eで挟んだ状態で押し込み、分岐位置Pに先端を位置させ、他端を前記ストッパー部23hに当接して、外装部23と24aを合体保持している。
同様に、長さ方向の他方の挿入開口23kよりサブハーネス5の外装部25aを挿入し、前記嵌合片23d、23eで挟んだ状態で押し込み、分岐位置Pに先端を位置させて前記外装部24aと突き合わせ、他端を前記ストッパー部23iに当接して、外装部23と25aを合体保持している。
枝線側領域Z2では、サブハーネス4の枝線部4bを内部に挿通した紫外線硬化樹脂20からなる外装部24bの外形を断面3/4楕円状としている。該外装部24bを前記幹線側の外装部24aより90度屈曲して設けている。
一方、サブハーネス5の枝線部5bを内部に挿通した紫外線硬化樹脂からなる外装部25bの外形を断面1/4楕円状としている。該外装部25bを前記幹線側の外装部25aより90度屈曲して設けている。
一方、サブハーネス5の枝線部5bを内部に挿通した紫外線硬化樹脂からなる外装部25bの外形を断面1/4楕円状としている。該外装部25bを前記幹線側の外装部25aより90度屈曲して設けている。
前記サブハーネス4の幹線部4aをサブハーネス3の幹線部3aに前記のように外装部23と24aを合体させた状態で、図1(A)に示すように、サブハーネス4の枝線部4bの外装部24bが幹線より90度屈曲して突設する。この状態で、前記のように、サブハーネス5の幹線部5aをサブハーネス3に合体させると、サブハーネス5の枝線部5bの1/4楕円状の外装部25bは、先に組みつけているサブハーネス4の枝線部4bの3/4楕円状の外装部24bに、断面円形を形成するように合体する。
また、サブハーネス4の3/4楕円状の外装部24bにサブハーネス5の1/4楕円状の外装部25bが挟持された嵌合状態となるため、合体保持できる。かつ、幹線側で外装部24aと25bがサブハーネス3の外装部23と合体保持されているため、枝線側でも合体が保持される。
前記サブハーネス3、4、5の幹線側領域Z1および枝線側領域Z2に設ける外装部23、24(24aおよび24b)、25(25aおよび25b)を構成する暗部硬化性の紫外線硬化樹脂20は、一部に紫外線を照射して硬化すると、紫外線が照射されていない部分に硬化が連鎖して伝わり、数十分で全体を硬化できるものである。かつ、該紫外線照射による硬化時に、型枠6、7、8に前記紫外線硬化樹脂20を塗布した電線群3W〜5Wを充填すると、型枠6、7、8の内面形状に沿った外形を有する前記外装部23、24、25を形成できる。
前記暗部硬化性を有する紫外線硬化樹脂20は、紫外線硬化材(A)、連鎖移動剤(B)と、紫外線重合開始剤(C)を配合した紫外線硬化樹脂からなる。
前記暗部硬化性を有する紫外線硬化樹脂4の成分である前記連鎖移動剤(B)は、(a)ウレタン結合、尿素結合、イソシアネート基から選択される少なくとも1種を1個以上含む化合物と、(b)含金属化合物とを含有する金属錯体化合物からなる。
前記連鎖移動剤(B)は発生したラジカルを安定化した上で、分子間または分子内伝達機能を発揮できる。よって、連鎖移動剤(B)が系内に発生したラジカルをラジカルの発生のない箇所にまで瞬時に伝達し、重合反応を開始してラジカル重合反応を進行させることができる。その結果、紫外線硬化材(A)に連鎖移動剤(B)を配合すると、従来、硬化させることが困難であった照射光が届かない内部や裏面側(即ち、暗部)も確実に硬化することができる。かつ、硬化直前に硬化剤を混合する作業工程や、照射後に加熱や湿気硬化等により暗部を硬化させる工程等が不要であり、硬化作業を短時間で行うことができ、硬化作業性に優れている。
連鎖移動剤(B)における前記(a)成分のウレタン結合、尿素結合、イソシアネート基を含む化合物は、下記(式1)で示されるウレタン結合部、下記(式2)で示される尿素結合部、下記(式3)で示されるイソシアネート基から選択される少なくとも1種を1分子中に1個以上含有すればよい。
(式1)−NH−COO−
(式2)−NH−CO−NH−
(式3)−N=C=0
(式1)−NH−COO−
(式2)−NH−CO−NH−
(式3)−N=C=0
連鎖移動剤(B)を構成する前記(b)の含金属化合物は、スズ、銅、亜鉛、コバルト、ニッケルから選択される少なくとも1種の金属を含むことが好ましい。これらのうちでは、比較的高温(例えば120℃程度の温度)で活性化され、常温では暗部での硬化速度を向上させる効果が奏されにくいため、本組成物の保存安定性を高くできるなどの観点から、亜鉛系の金属錯体化合物や、銅系の金属錯体化合物などがより好ましい。
前記(b)の含金属化合物の具体例として、本出願人の先願に係わるWO2012/102299号公報の段落0010、段落0154に列挙された含金属化合物が挙げられる。
前記(b)の含金属化合物の具体例として、本出願人の先願に係わるWO2012/102299号公報の段落0010、段落0154に列挙された含金属化合物が挙げられる。
連鎖移動剤(B)において、前記(a)と(b)の配合比は、質量比で(a):(b)=100:0.001〜100:10、好ましくは100:0.005〜100:5であることが好ましい。
前記(a)と(b)とからなる連鎖移動剤(B)として機能する金属錯体化合物において、錫系の金属錯体化合物としては、ビス(2,4−ペンタンジオナト)錫、ジブチル錫ビス(トリフルオロメタンスルホナート)、ジブチル錫ジアセタート、ジラウリン酸ジブチル錫、ジブチル錫マレアート、フタロシアニン錫(IV)ジクロリド、テトラブチルアンモニウムジフルオロトリフェニル錫、フタロシアニン錫(II)、トリブチル(2−ピリジル)錫、トリブチル(2−チエニル)錫、酢酸トリブチル錫、トリブチル(トリメチルシリルエチニル)錫、トリメチル(2−ピリジル)錫 などを挙げることができる。
銅系の金属錯体化合物としては、ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)銅(II)、ビス(2,4−ペンタンジオナト)銅(II)、ビス(1,3−プロパンジアミン)銅(II)ジクロリド、ビス(8−キノリノラト)銅(II)、ビス(トリフルオロ−2,4−ペンタンジオナト)銅(II)、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジチオカルバミン酸銅(II)、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸銅(II)、エチレンジアミン四酢酸銅(II)二ナトリウム、フタロシアニン銅(II)、ジクロロ(1,10−フェナントロリン)銅(II)、フタロシアニン銅 、テトラ−4−tert−ブチルフタロシアニン銅、テトラキス(アセトニトリル)銅(I)ヘキサフルオロホスファート、ナフテン酸銅などを挙げることができる。
亜鉛系の金属錯体化合物としては、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジチオカルバミン酸亜鉛(II)、ビス(2,4−ペンタンジオナト)亜鉛(II)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)、ビス(テトラブチルアンモニウム)ビス(1,3−ジチオール−2−チオン−4,5−ジチオラト)亜鉛コンプレックス、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛(II)、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(II)、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、フタロシアニン亜鉛、ナフテン酸亜鉛などを挙げることができる。
コバルト系の金属錯体化合物としては、ビス(シクロペンタジエニル)コバルト(III)ヘキサフルオロホスファート、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]コバルト(II)ジクロリド、ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)コバルト(II)、(1R,2R)−N,N’−ビス[3−オキソ−2−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ブチリデン]−1,2−ジフェニルエチレンジアミナトコバルト(II)、(1S,2S)−N,N’−ビス[3−オキソ−2−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ブチリデン]−1,2−ジフェニルエチレンジアミナトコバルト(II)、ビス(2,4−ペンタンジオナト)コバルト(II)、ビス(トリフルオロ−2,4−ペンタンジオナト)コバルト(II)、フタロシアニンコバルト(II)、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムコバルト、ヘキサアンミンコバルト(III) クロリド、N,N’−ジサリチラルエチレンジアミンコバルト(II)、[5,10,15,20−テトラキス(4−メトキシフェニル)ポルフィリナト]コバルト(II)、トリス(2,4−ペンタンジオナト)コバルト(III)、ナフテン酸コバルトなどを挙げることができる。
ニッケル系の金属錯体化合物としては、[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)ジクロリド、ビス(ジチオベンジル)ニッケル(II)、ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)ニッケル(II)、ビス(2,4−ペンタンジオナト)ニッケル(II)、ビス(テトラブチルアンモニウム)ビス(マレオニトリルジチオラト)ニッケル(II)コンプレックス、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ニッケル(II)ジクロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)ジクロリド、ブロモ[(2,6−ピリジンジイル)ビス(3−メチル−1−イミダゾリル−2−イリデン)]ニッケルブロミド、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムニッケル(II)、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル(II)、ジエチルジチオカルバミン酸ニッケルなどを挙げることができる。
前記金属錯体化合物の市販品として下記が挙げられる。
・BPDZ:[東京化成社製「ビス(2,4−ペンタンジオナト)亜鉛(II)」]
・CDEDTC:[東京化成社製「ジエチルジチオカルバミン酸銅(II)」]
・DBTDL:[東京化成社製「ジラウリン酸ジブチル錫」]
銅系の金属錯体化合物としては、ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)銅(II)、ビス(2,4−ペンタンジオナト)銅(II)、ビス(1,3−プロパンジアミン)銅(II)ジクロリド、ビス(8−キノリノラト)銅(II)、ビス(トリフルオロ−2,4−ペンタンジオナト)銅(II)、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジチオカルバミン酸銅(II)、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸銅(II)、エチレンジアミン四酢酸銅(II)二ナトリウム、フタロシアニン銅(II)、ジクロロ(1,10−フェナントロリン)銅(II)、フタロシアニン銅 、テトラ−4−tert−ブチルフタロシアニン銅、テトラキス(アセトニトリル)銅(I)ヘキサフルオロホスファート、ナフテン酸銅などを挙げることができる。
亜鉛系の金属錯体化合物としては、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジチオカルバミン酸亜鉛(II)、ビス(2,4−ペンタンジオナト)亜鉛(II)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)、ビス(テトラブチルアンモニウム)ビス(1,3−ジチオール−2−チオン−4,5−ジチオラト)亜鉛コンプレックス、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛(II)、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(II)、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、フタロシアニン亜鉛、ナフテン酸亜鉛などを挙げることができる。
コバルト系の金属錯体化合物としては、ビス(シクロペンタジエニル)コバルト(III)ヘキサフルオロホスファート、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]コバルト(II)ジクロリド、ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)コバルト(II)、(1R,2R)−N,N’−ビス[3−オキソ−2−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ブチリデン]−1,2−ジフェニルエチレンジアミナトコバルト(II)、(1S,2S)−N,N’−ビス[3−オキソ−2−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ブチリデン]−1,2−ジフェニルエチレンジアミナトコバルト(II)、ビス(2,4−ペンタンジオナト)コバルト(II)、ビス(トリフルオロ−2,4−ペンタンジオナト)コバルト(II)、フタロシアニンコバルト(II)、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムコバルト、ヘキサアンミンコバルト(III) クロリド、N,N’−ジサリチラルエチレンジアミンコバルト(II)、[5,10,15,20−テトラキス(4−メトキシフェニル)ポルフィリナト]コバルト(II)、トリス(2,4−ペンタンジオナト)コバルト(III)、ナフテン酸コバルトなどを挙げることができる。
ニッケル系の金属錯体化合物としては、[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)ジクロリド、ビス(ジチオベンジル)ニッケル(II)、ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)ニッケル(II)、ビス(2,4−ペンタンジオナト)ニッケル(II)、ビス(テトラブチルアンモニウム)ビス(マレオニトリルジチオラト)ニッケル(II)コンプレックス、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ニッケル(II)ジクロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)ジクロリド、ブロモ[(2,6−ピリジンジイル)ビス(3−メチル−1−イミダゾリル−2−イリデン)]ニッケルブロミド、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムニッケル(II)、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル(II)、ジエチルジチオカルバミン酸ニッケルなどを挙げることができる。
前記金属錯体化合物の市販品として下記が挙げられる。
・BPDZ:[東京化成社製「ビス(2,4−ペンタンジオナト)亜鉛(II)」]
・CDEDTC:[東京化成社製「ジエチルジチオカルバミン酸銅(II)」]
・DBTDL:[東京化成社製「ジラウリン酸ジブチル錫」]
前記紫外線硬化材(A)は、イソシアネート基を2つ以上有するポリイソシアネート化合物に対し、水酸基を2つ以上有するポリオールの水酸基の2つ以上が(メタ)アクリレートとエステル結合を形成することにより、水酸基の数が1以下に設定されたポリオールの(メタ)アクリレートを主成分とすることが好ましい。
前記ポリオールの(メタ)アクリレートは、水酸基の数が1以下に設定されているため、ポリイソシアネート化合物に配合された状態では、ポリイソシアネート化合物とのウレタン化反応が進行するのを抑えられている。これにより、本組成物の保存安定性が高められている。前記ポリオールの(メタ)アクリレートの水酸基の数は、1であっても良いし、0であっても良い。本組成物の保存安定性の点では、より好ましくは0である。
該ポリオールの(メタ)アクリレートとしては、ジプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、1−アクリロイロキシ−3−メタクリロイロキシ−2−プロパノール(2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート)等が好ましい。該(メタ)アクリレートの具体例として、前記WO2012/102299号公報の段落0131に記載のものが挙げられる。
該(メタ)アクリレートの市販品としては、下記が挙げられる。
・DPGA:[東京化成社製「ジプロピレングリコールジアクリレート」]
・TEGDA:[東京化成社製「テトラエチレングリコールジアクリレート」]
・AMPOH:[東京化成社製「1−アクリロイロキシ−3−メタクリロイロキシ−2−プロパノール(2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート)」]
・IBA:[東京化成社製「イソボルニルアクリレート」]
該ポリオールの(メタ)アクリレートとしては、ジプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、1−アクリロイロキシ−3−メタクリロイロキシ−2−プロパノール(2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート)等が好ましい。該(メタ)アクリレートの具体例として、前記WO2012/102299号公報の段落0131に記載のものが挙げられる。
該(メタ)アクリレートの市販品としては、下記が挙げられる。
・DPGA:[東京化成社製「ジプロピレングリコールジアクリレート」]
・TEGDA:[東京化成社製「テトラエチレングリコールジアクリレート」]
・AMPOH:[東京化成社製「1−アクリロイロキシ−3−メタクリロイロキシ−2−プロパノール(2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート)」]
・IBA:[東京化成社製「イソボルニルアクリレート」]
前記イソシアネート基を2つ以上有するポリイソシアネート化合物としては、具体的には、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートなどを挙げることができる。また、これらのポリイソシアネートを水と反応させて得られるビウレット型ポリイソシアネート、これらのポリイソシアネートをトリメチロールプロパン等の多価アルコールと反応させて得られるアダクト型ポリイソシアネート、これらのポリイソシアネートを一部ポリエステルやポリエーテル誘導体と重合させた液状プレポリマー、これらのポリイソシアネートをイソシアヌレート化して得られる多量体などを挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ポリイソシアネート化合物の市販品として下記が挙げられる。
・N3600:[住化バイエルウレタン社製「デスモジュールN3600」]
・N3200:[住化バイエルウレタン社製「デスモジュールN3200」]
また、ウレタンプレポリマーの合成品として下記UP−1とUP−2が挙げられる。
前記ポリイソシアネート化合物の市販品として下記が挙げられる。
・N3600:[住化バイエルウレタン社製「デスモジュールN3600」]
・N3200:[住化バイエルウレタン社製「デスモジュールN3200」]
また、ウレタンプレポリマーの合成品として下記UP−1とUP−2が挙げられる。
前記ウレタンプレポリマーUP−1は下記の方法で合成される。
攪拌機を備えた反応容器に、数平均分子量が400のポリプロピレングリコール80質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート40質量部とジブチル錫ジラウレート0.1質量部を仕込み、攪拌しながら液温度を室温から50℃まで1時間かけて上げる。その後少量をサンプリングしFT−IRを測定して2300cm−1付近のイソシアネートの吸収を確認しながら、50℃にて攪拌を続ける。その吸収が無くなった時を反応終了とする。これをウレタンプレポリマーUP−1とする。
前記ウレタンプレポリマーUP−2は下記の方法で合成される。
攪拌機を備えた反応容器に、数平均分子量が1250の末端ジオール型ポリカプロラクトン50質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート13.5質量部とジブチル錫ジラウレート0.1質量部を仕込み、攪拌しながら液温度を室温から50℃まで1時間かけて上げる。その後少量をサンプリングしFT−IRを測定して2300cm−1付近のイソシアネートの吸収を確認しながら、50℃にて攪拌を続ける。その吸収が無くなった時を反応終了とする。これをウレタンプレポリマーUP−2とする。
攪拌機を備えた反応容器に、数平均分子量が400のポリプロピレングリコール80質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート40質量部とジブチル錫ジラウレート0.1質量部を仕込み、攪拌しながら液温度を室温から50℃まで1時間かけて上げる。その後少量をサンプリングしFT−IRを測定して2300cm−1付近のイソシアネートの吸収を確認しながら、50℃にて攪拌を続ける。その吸収が無くなった時を反応終了とする。これをウレタンプレポリマーUP−1とする。
前記ウレタンプレポリマーUP−2は下記の方法で合成される。
攪拌機を備えた反応容器に、数平均分子量が1250の末端ジオール型ポリカプロラクトン50質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート13.5質量部とジブチル錫ジラウレート0.1質量部を仕込み、攪拌しながら液温度を室温から50℃まで1時間かけて上げる。その後少量をサンプリングしFT−IRを測定して2300cm−1付近のイソシアネートの吸収を確認しながら、50℃にて攪拌を続ける。その吸収が無くなった時を反応終了とする。これをウレタンプレポリマーUP−2とする。
前記紫外線硬化材(A)において、前記ポリイソシアネート化合物と前記ポリオールの(メタ)アクリレートの配合比が、質量比で、90:10〜10:90、好ましくは80:20〜20:80である。前記ポリオールの(メタ)アクリレートの配合量が質量比で90を超えると、ポリイソシアネート化合物の配合量に対して多過ぎるので、暗部での硬化反応を担うポリイソシアネート化合物の量が不十分となり、暗部での硬化速度が遅くなる傾向にある。一方、前記ポリオールの(メタ)アクリレートの配合量が質量比で10未満でも、ポリイソシアネート化合物を硬化させる活性種の発生量が不十分となり、暗部での硬化速度が遅くなる傾向にある。
また、紫外線硬化樹脂20の紫外線硬化後の硬度は、前記ポリイソシアネートの化合物と前記ポリオールの(メタ)アクリレートの配合比によって変わり、ポリイソシアネートの化合物の配合割合が高いと硬くなり、ポリオールの(メタ)アクリレートの配合割合が高いと柔らかくなる。
本実施形態では、紫外線硬化後の硬度が大きくするため、紫外線線硬化樹脂4Aは、ポリイソシアネートの化合物とポリオールの(メタ)アクリレートの配合比を質量比で90:10〜60:40としている。
本実施形態では、紫外線硬化後の硬度が大きくするため、紫外線線硬化樹脂4Aは、ポリイソシアネートの化合物とポリオールの(メタ)アクリレートの配合比を質量比で90:10〜60:40としている。
前記紫外線硬化材(A)と連鎖移動剤(B)との配合比は、質量比で、(A):(B)=90:10〜10:90が好ましい。具体的には、前記紫外線硬化材(A)の(メタ)アクリレートが50〜70質量%、好ましくは、55〜65質量%、連鎖移動剤(B)が50〜30質量%、好ましくは45〜35質量%である。
前記紫外線重合開始剤(C)はポリオールの(メタ)アクリレートをラジカル反応させるなどの目的で用いられる。紫外線重合開始剤(C)は、紫外線を吸収してラジカル反応を開始させる化合物であれば特に制限されるものではない。該紫外線重合開始剤(C)として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−テイルアントラキノン等、前記WO2012/102299号公報の段落0133に記載のものが挙げられる。
該紫外線重合開始剤(C)の市販品としては、例えば、IRGACURE184、369、651、500、907、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61;Darocure1116、1173、LucirinTPO(以上、BASF製)、ユベクリルP36(UCB製)などを挙げることができる。
該紫外線重合開始剤(C)の市販品としては、例えば、IRGACURE184、369、651、500、907、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61;Darocure1116、1173、LucirinTPO(以上、BASF製)、ユベクリルP36(UCB製)などを挙げることができる。
前記紫外線重合開始剤(C)の配合量としては、前記紫外線硬化材(A)100質量部に対し、0.01〜10質量部の範囲内であることが好ましい。より好ましくは0.1〜7質量部の範囲である。紫外線重合開始剤の配合量が0.01質量部未満では、紫外線重合開始剤の量が少な過ぎて、紫外線による硬化反応が開始しにくい。一方、紫外線重合開始剤の配合量が10質量部を超えると、不溶物を生じ、硬化物の物性を損なうおそれがある。
紫外線硬化樹脂20には、本発明の目的を損なわない範囲で、上記各種成分以外に、必要に応じて、各種の配合剤を配合することができる。配合剤としては、前記WO2012/102299号公報の段落0117〜0126に記載の安定化剤、可塑剤、軟化剤、顔料、染料、帯電防止剤、難燃剤、接着性付与剤、増感剤、分散剤、溶剤、抗菌抗カビ剤などを挙げることができる。各配合剤は適宜、組み合わせて用いることができる。また、配合剤の配合量は、用途等に合わせて適宜定めることができる。
前記紫外線硬化樹脂の製造方法は、特に限定されないが、上記各成分を、例えば減圧下または窒素等の不活性ガス雰囲気下で、混合ミキサー等の撹拌装置を用いて十分に混練し、均一に分散させる方法が好ましい。
次に、ワイヤハーネス1の組立方法を説明する。
まず、サブハーネス3の電線群3Wの所要領域を、溶融した暗部硬化性の紫外線硬化樹脂20を貯留している貯留槽(図示せず)に浸漬して、電線群3Wに紫外線硬化樹脂20を塗布する。この塗布状態で紫外線硬化樹脂20は柔らかいゲル状であり、電線群3Wから流れ落ちることはない。
紫外線硬化樹脂20を塗布した後、図2に示す底壁6aおよび幅方向の両側壁6b、6cを有する型枠6内に、紫外線硬化樹脂20を塗布している部分の電線群3Wを上方開校6hから押し込み、長さ方向の両端開口か6d、6eから紫外線硬化樹脂20を塗布していない電線群3Wの両側部を引き出す。
まず、サブハーネス3の電線群3Wの所要領域を、溶融した暗部硬化性の紫外線硬化樹脂20を貯留している貯留槽(図示せず)に浸漬して、電線群3Wに紫外線硬化樹脂20を塗布する。この塗布状態で紫外線硬化樹脂20は柔らかいゲル状であり、電線群3Wから流れ落ちることはない。
紫外線硬化樹脂20を塗布した後、図2に示す底壁6aおよび幅方向の両側壁6b、6cを有する型枠6内に、紫外線硬化樹脂20を塗布している部分の電線群3Wを上方開校6hから押し込み、長さ方向の両端開口か6d、6eから紫外線硬化樹脂20を塗布していない電線群3Wの両側部を引き出す。
前記サブハーネス3の外装部23には、電線群3Wを挿通する断面半楕円部23bの両側縁に嵌合片23dと23e、長さ方向の両端にストッパー23hと23iおよび隣接して挿入開口23j、23kを設ける必要がある。よって、型枠6の形状を前記嵌合片、ストッパー部および挿入開口が硬化させた紫外線硬化樹脂で成形される形状としている。
前記型枠6に充填した紫外線硬化樹脂20が塗布された電線群3Wの一部上面に、紫外線照射ランプ(図示せず)より紫外線を照射する。この紫外線の照射により、紫外線硬化樹脂20で成形する外装部23は紫外線が当たる部分から硬化が開始する。この硬化が開始した部分から、照射側と反対側で照射光が届かない裏面側および内周面側(即ち、暗部)も連鎖移動剤(B)により硬化していく。このように、紫外線の照射で紫外線が直接に当たる部分が略瞬時に乾燥硬化すると共に、暗部側の紫外線硬化樹脂20も硬化時間は若干遅れるが数十秒で硬化する。
前記工程でサブハーネス3の外装部23を形成する。同様の工程で、サブハーネス4、の外装部24(24aと24b)を図2に示す型枠7を用いて形成すると共に、サブハーネス5の25(25aと25b)を図2に示す型枠8を用いて形成する。
前記のように、サブハーネス3、4、5を本結束する前に、それぞれ外装部23、24、25を予め形成している。これら外装部23、24、25を設けたサブハーネス3、4、5を、ワイヤハーネス組立作業台(図示せず)上で嵌合して合体して本結束している。
該本結束時に、ワイヤハーネス組立作業台上に立設した電線布線治具で各サブハーネスを支持して布線する。
布線後に、サブハーネス3、4、5の幹線側領域Z1で外装部23と24a、23と25aとを断面楕円状に合体させて保持する。この状態で、枝線側領域Z2でサブハーネス4、5の外装部24bと25bとを断面円形に合体させる。
従来は複数のサブハーネスを布線後に、分岐位置でテープまたは締付バンドを用いて本結束していた作業を、前記のように、本実施形態では、テープ、締付バンドを用いず、断面楕円形状および断面円形に嵌合して合体させると共に、この合体形状を保持できるため、結束作業を簡単に行うことができる。
布線後に、サブハーネス3、4、5の幹線側領域Z1で外装部23と24a、23と25aとを断面楕円状に合体させて保持する。この状態で、枝線側領域Z2でサブハーネス4、5の外装部24bと25bとを断面円形に合体させる。
従来は複数のサブハーネスを布線後に、分岐位置でテープまたは締付バンドを用いて本結束していた作業を、前記のように、本実施形態では、テープ、締付バンドを用いず、断面楕円形状および断面円形に嵌合して合体させると共に、この合体形状を保持できるため、結束作業を簡単に行うことができる。
前記第1実施形態では、サブハーネス3、4、5で形成するワイヤハーネス1が比較的短く、かつ、構成が簡単であるため、それぞれ複数の電線群3W、4W、5Wの両端末にコネクタCを結合して形成する各サブハーネス3、4、5の略全長に前記外装部23、24、25を設け、電線群の保護及び経路規制を行っている。
よって、ワイヤハーネス1には、従来用いられている電線群を本結束するためのテープ、締付バンド等による結束を行っておらず、かつ、電線群を保護するためのテープ、シート、コルゲートチューブ、プロテクタ等の外装材も取り付けていない。その結果、シンプルな構成となり、ワイヤハーネスのスリム化およびコストダウンを図ることができる。
よって、ワイヤハーネス1には、従来用いられている電線群を本結束するためのテープ、締付バンド等による結束を行っておらず、かつ、電線群を保護するためのテープ、シート、コルゲートチューブ、プロテクタ等の外装材も取り付けていない。その結果、シンプルな構成となり、ワイヤハーネスのスリム化およびコストダウンを図ることができる。
なお、ワイヤハーネスを構成するサブハーネスが長尺で、且つ構成が複雑な場合、分岐箇所を含め本結束が必要な領域に、部分的に前記暗部硬化性の紫外線硬化樹脂からなる外装部を設けてもよい。
図4に2組のサブハーネス50と60に設けた外装部51と61とを合体して本結束するワイヤハーネス1−Bの第2実施形態を示す。
外装部51、61は、前記第1実施形態と同様に、それぞれサブハーネス50、60の電線群50W、60Wに塗布した暗部硬化性の紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して硬化して形成している。
外装部51、61は、前記第1実施形態と同様に、それぞれサブハーネス50、60の電線群50W、60Wに塗布した暗部硬化性の紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して硬化して形成している。
サブハーネス50の外装部51は断面矩形状とし、その上面の両側縁から嵌合片51dと51eを突設し、サブハーネス60の断面台形状とした外装部61を嵌合片51dと51eで嵌合挟持した状態で合体保持している。
なお、サブハーネス50、60の外装部51、61を図5(A)(B)(C)に示す形状として合体保持してもよい。
図5(A)の第1変形例では、外装部51を断面台形状と、その上部に断面三角形とした外装部分61を合体し、全体形状を断面三角形としている。
図5(B)の第2変形例では、外装部51と61を長軸方向が長い半楕円形状とし、外装部51と61とを左右方向に合体させている。
図5(C)の第3変形例では、外装部51、61を略断面直角三角形とし、一方の外装部51より嵌合片51d、51eを突設して外装部61を嵌合し、合体状態で略正三角形としている。
なお、前記第1実施形態と同様に、前記第1〜第3変形例のいずれも、一方の外装部に他方の外装部の軸線方向の移動を阻止できるストッパー部を設けている。
図5(A)の第1変形例では、外装部51を断面台形状と、その上部に断面三角形とした外装部分61を合体し、全体形状を断面三角形としている。
図5(B)の第2変形例では、外装部51と61を長軸方向が長い半楕円形状とし、外装部51と61とを左右方向に合体させている。
図5(C)の第3変形例では、外装部51、61を略断面直角三角形とし、一方の外装部51より嵌合片51d、51eを突設して外装部61を嵌合し、合体状態で略正三角形としている。
なお、前記第1実施形態と同様に、前記第1〜第3変形例のいずれも、一方の外装部に他方の外装部の軸線方向の移動を阻止できるストッパー部を設けている。
図6に第3実施形態を示す。
第3実施形態では、4つのサブハーネス70A〜70Dにそれぞれ断面1/4円形の扇状の外装部71を設け、これら4つのサブハーネスの外装部71を合体して1つの断面円形のワイヤハーネスとしてもよい。なお、4つの各外装部71には隣接する外装部を嵌合する嵌合片(図示せず)を長さ方向で部分的に設けている。
他の構成および合体方法等は第1実施形態と同様である。
第3実施形態では、4つのサブハーネス70A〜70Dにそれぞれ断面1/4円形の扇状の外装部71を設け、これら4つのサブハーネスの外装部71を合体して1つの断面円形のワイヤハーネスとしてもよい。なお、4つの各外装部71には隣接する外装部を嵌合する嵌合片(図示せず)を長さ方向で部分的に設けている。
他の構成および合体方法等は第1実施形態と同様である。
前記第1、第2実施形態および変形例、第3実施形態のいずれにおいても、各サブハーネスに設けた外装部を合体したワイヤハーネスの形状が、該ワイヤハーネスを配索するスペースに対応した形状とし、ワイヤハーネスを無理なく配索できるようにしている。
1 ワイヤハーネス
3、4、5 サブハーネス
3W、4W、5W 電線群
6、7、8 型枠
20 暗部硬化性の紫外線硬化樹脂
23、24、25 外装部
P 分岐位置
Z1 幹線側領域
Z2 枝線側領域
3、4、5 サブハーネス
3W、4W、5W 電線群
6、7、8 型枠
20 暗部硬化性の紫外線硬化樹脂
23、24、25 外装部
P 分岐位置
Z1 幹線側領域
Z2 枝線側領域
Claims (5)
- 複数のサブハーネスを合体して組み立てるワイヤハーネスであって、
前記複数のサブハーネスは、それぞれ暗部硬化性の紫外線硬化樹脂を塗布した後に紫外線を照射して所要形状に硬化させた外装部を備えており、これら複数のサブハーネスの前記外装部は互いに嵌合させて合体保持できる形状としていることを特徴とするワイヤハーネス。 - 前記サブハーネスに設ける前記外装部は、少なくとも幹線から枝線が分岐する分岐領域を含めた所要領域に部分的に設け、あるいはサブハーネスの全長に設け、
前記複数のサブハーネスを凹凸嵌合して合体した状態で、断面形状が楕円状、円形状になるようにしている請求項1に記載のワイヤハーネス。 - 前記互いに合体する前記サブハーネスの外装部には、一方の外装部に他方の外装部を嵌合保持する嵌合片を設けると共に、軸線方向の移動を防止するストッパー部を設けている請求項1または請求項2に記載のワイヤハーネス。
- 前記暗部硬化性の紫外線硬化樹脂は、
イソシアネート基を2つ以上有するポリイソシアネート化合物に対し、水酸基を2つ以上有するポリオールの水酸基の2つ以上が(メタ)アクリレートとエステル結合を形成することにより、水酸基の数が1以下に設定されたポリオールの(メタ)アクリレートを主成分とする紫外線硬化剤(A)と、
ウレタン結合、尿素結合、イソシアネート基から選択される少なくとも1種を1個以上含む化合物と、含金属化合物とを含有する金属錯体化合物からなる連鎖移動剤(B)と、 紫外線重合開始剤(C)と、
を配合した組成物からなる請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のワイヤハーネス。 - 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のワイヤハーネスの組立方法であって、
複数のサブハーネスの形成時に、各サブハーネスの電線群に暗部硬化性の紫外線硬化樹脂を塗布した後に型枠内に挿入し、ついで、外部から紫外線を照射して、前記型枠の内面に沿った形状に硬化させた所要断面形状の外装部を設け、
前記外装部を設けたサブハーネスをワイヤハーネスの組立作業台上の本結束時に、前記外装部同士を嵌合して合体保持しているワイヤハーネスの組立方法。
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